JP4887611B2 - 焼結鉱の製造方法および造粒粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、焼結鉱の製造方法および造粒粒子に関し、特に、下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造する際に用いる焼結原料の造粒技術等に適用して有効な技術に関する。
鉄鋼業においては、近年、良質なヘマタイト系の鉄鉱石の枯渇のため、使用する鉄鉱石がリモナイト系鉱石に移行している。また、リモナイト系鉱石は結晶水が6mass%以上であって採掘能力の限界から、結晶水が3mass%以上で、粒径が0.25mm以下の微粉部分を25mass%以上含有するマラマンバ系鉱石が増加することが予想されている。
マラマンバ系鉱石を鉄鉱石の一部として用いて焼結鉱を製造する場合には、図23に第1の参考技術として示すような焼結原料の処理方法が一般的であると考えられる。まず、マラマンバ系鉱石101、および粒径が10mm以下の鉄鉱石102、および珪石、蛇紋岩または、ニッケルスラグなどからなるSiO含有原料103、および石灰石などのCaOを含有する石灰石系粉原料104、および粉コークスまたは無煙炭などの熱源となる固体燃料系粉原料105を適当量の水分を添加してドラムミキサー106を用いて混合、造粒して、水を架橋にして擬似粒子と呼ばれる造粒粒子を形成する。この造粒物からなる配合原料は、ドワイトロイド式焼結機のパレット上に適当な厚さ例えば500〜700mmになるように装入して表層部の固体燃料に着火し、着火後は下方に向けて空気を吸引しながら固体燃料を燃焼させ、その燃焼熱によって配合した焼結原料を焼結させて焼結ケーキとする。この焼結ケーキは破砕、整粒され、一定の粒径以上の焼結鉱を得る。一方、それ未満の粒径を有するものは返鉱となり、焼結原料として再利用される。
ここで、焼結鉱は原料中のコークスを、層内を通過する空気によって燃焼させて製造しているので、その生産性は、パレット上での通過風量(通気性)によって決定される。パレット上での通気性は、擬似粒子の粒径によって決定される焼結前の冷間通気性と、融液の流動を介して生成される空気の流路である焼結ケーキの気孔径によって決定される焼結中や焼結後の熱間通気性に大きく分けられる。
このため、これまでに、通気性の改善に対して、擬似粒子径を大きくすることでパレット上での通気性を改善しようという試みが多くなされているが、マラマンバ鉱石は、多孔質であるために、一旦、ドラムミキサーで造粒しても、時間が経過すると、架橋である水が鉱石内に吸収されてしまい、せっかく製造した造粒物が焼結機上で崩壊し、通気性の悪化に繋がる。これを防止するため、予めマラマンバ鉱石を造粒する際の水分を所定量以上に増加させようとすると、ドラムミキサー内での円滑な転動が起こらず、造粒粒子径が逆に低下し、やはり通気性に悪影響を与えてしまう。
このような問題に対して、たとえば、特許文献1では、高速攪拌ミキサーを用いてマラマンバ系の鉱石を処理して、短時間の内に、鉱石内に造粒水分を吸収させて造粒することで、通常のドラムミキサーでの造粒に比較して造粒水分を増加させることが可能となり、焼結機上での通気性が改善されると述べられている。
また、特許文献2では、表面がギザギザであったり、開気孔が多く、微粉が付着し易い返鉱や鉄鉱石塊鉱篩下粉をマラマンバ鉱石とともに造粒することで、造粒性の改善につなげることが報告されている。
一方、高炉での通気性を確保する観点から、製造された焼結鉱の冷間強度が重要視されているが、上記特許文献1,2に開示された技術は、ドラムミキサーでの造粒粒子径の増加のみの観点からの冷間の通気性の改善対策であり、冷間強度の改善までは考慮していない。
これに対し、特許文献3では、焼結プロセスにおけるフラックスである石灰石と熱源である粉コークスを鉄鉱石の造粒粒子の表面に選択的に付着・外装化させることで、鉄鉱石とSiO含有原料を、石灰石および固体燃料系原料から分離し、カルシウムシリケートの生成を抑制して冷間強度を改善する技術が提案されている。この技術では、鉄鉱石等を造粒後に、水に濡れ難く他の原料の造粒を阻害する粉コークスや石灰石を造粒することで造粒性を改善するとともに、フラックスである石灰石を造粒粒子外側に偏在させることで焼結後に塊表面に強度の高いカルシウムフェライトを多く生成させることにより、焼結鉱を製造するプロセスの事前処理として膨大な設備を必要とせず、高い冷間強度が得られるとしている。この技術において鉄鉱石としてマラマンバ鉱石を用いた場合には、具体的には図24に第2の参考技術として示すような造粒プロセスとなると考えられる。すなわち、マラマンバ系の鉱石101、その他の鉄鉱石102、SiO含有原料103等のドラムミキサー106での造粒後に、固体燃料系粉原料105、石灰石系粉原料104を添加してさらに造粒する。
しかしながら、実際には、鉄鉱石としてマラマンバ鉱石を適用して前記特許文献3に開示された方法を実施した場合には、冷間強度の改善効果が十分ではない。このような問題点は、リモナイト系の鉱石や、高リン鉱石等の、マグネタイト鉱石、ヘマタイト鉱石のような良質鉄鉱石以外の鉄鉱石を用いた場合には少なからず存在する。
特開2003−129139号公報 特開2000−63960号公報 WO01/92588号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、マグネタイト鉱石、ヘマタイト鉱石に代表される良質鉄鉱石以外の鉄鉱石を用いた場合であっても、造粒した際の粒径を大きくすることができ、かつ焼結過程で生成する融液の流動性を向上させて、冷間と熱間の両方の通気性を改善して、焼結後の冷間強度を優れたものにすることができる焼結鉱の製造方法、および焼結用原料としての造粒粒子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、鉄鉱石を含有する核粒子の表面に、鉄含有物質を用いて第一の被覆層を形成し、前記第一の被覆層の表面に、石灰石および固体燃料系原料にて第二の被覆層を形成して、焼結用原料としての造粒粒子を形成する工程と、前記造粒粒子を焼結する工程とを具備する焼結鉱の製造方法であって、前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、気孔率が20%以下であり、前記核粒子用の鉄鉱石は、気孔率が20%超およびAl 含有率が1.5mass%超の両方を満たすことを特徴とする焼結鉱の製造方法を提供する。
上記第1の観点において、前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、Al 含有率が1.5mass%以下であることが好ましい。
前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、Al 含有率が2.1mass%以下であり、前記核粒子用の鉄鉱石は、Al 含有率が2.1mass%超であることが好ましい。
また、前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、マグネタイト鉱石、ヘマタイト鉱石、ミルスケール、および鉄粉から選択される1種または2種以上であり、前記核粒子に用いられる鉄鉱石は、マグネタイト鉱石およびヘマタイト鉱石以外の鉄鉱石を含むことが好ましい。
さらに、前記核粒子用の鉄鉱石は、マラマンバ鉱石、リモナイト鉱石、および高リン鉱石から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
上記第1の観点において、前記核粒子は前記核粒子用の鉄鉱石を造粒することにより得られたものであってもよい。この場合には、前記核粒子は、前記核粒子用の鉄鉱石を、高速攪拌羽を備えた造粒機にて造粒することが好ましい。また、前記第二の被覆層は、先に石灰石を被覆し、その後固体燃料系原料を被覆して形成してもよい。
本発明の第の観点では、焼結鉱の製造プロセスに焼結用原料として供され、鉄鉱石を含有する核粒子の周囲に鉄含有物質を用いた第一の被覆層を形成し、さらにその上に石灰石および固体燃料系原料による第二の被覆層を形成してなる造粒粒子であって、前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、気孔率が20%以下であり、前記核粒子を構成する鉄鉱石は、気孔率が20%超およびAl 含有率が1.5mass%超の両方を満たすことを特徴とする造粒粒子を提供する。
上記第2の観点において、前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、Al 含有率が1.5mass%以下であることが好ましい。
前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、Al 含有率が2.1mass%以下であり、前記核粒子用の鉄鉱石は、Al 含有率が2.1mass%超であることが好ましい。
また、前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、マグネタイト鉱石、ヘマタイト鉱石、ミルスケール、および鉄粉から選択される1種または2種以上であり、前記核粒子を構成する鉄鉱石は、マグネタイト鉱石およびヘマタイト鉱石以外の鉄鉱石を含むことが好ましい。
前記核粒子用の鉄鉱石としては、マラマンバ鉱石、リモナイト鉱石、および高リン鉱石から選択される1種または2種以上を用いることができる。また、前記第二の被覆層は、石灰石を用いて形成された内層と、その外側に固体燃料系原料を用いて形成された外層とを有する構造であってもよい。
上記した本発明によれば、鉄鉱石を含有する核粒子の表面に所定の鉄含有物質を用いて第一の被覆層を形成し、さらにその上に石灰石および固体燃料系原料にて第二の被覆層を順次造粒形成することにより、焼結鉱を得るための焼結用原料である造粒粒子を製造するので、膨大な予備処理等を必要とすることなく、粒径の大きな、冷間通気性の良好な焼結用原料である造粒粒子を得ることができる。また、核粒子を造粒して形成する場合に高速攪拌羽を備えた造粒機を用いることにより、核粒子の強度や緻密性を向上させて、より造粒性を向上させることができる。
また、焼結用原料である造粒粒子として、気孔率が高い鉄鉱石で構成された核粒子が、気孔率が低い鉄含有物質による第一の被覆層で覆われた状態のものを用いることにより、造粒粒子表面で形成されたカルシウムフェライト等の融液が気孔率の高い核粒子に到達し難くなり、その融液が核粒子の気孔に吸収されて流動性が低下することが防止され、融液の高い流動性により熱間通気性を向上させることができ、焼結反応がベッドの厚さ方向に均一に進行して返鉱の少ない焼結鉱が得られるとともに、冷間強度の高い焼結鉱を得ることができる。
さらに、融液のAl含有率が増加すると融液の粘度が上がるため、焼結用原料である造粒粒子として、気孔率およびAl含有率のいずれか、または両方が高い鉄鉱石で構成された核粒子が、気孔率およびAl含有率が低い鉄含有物質で覆われた状態とすることにより、その融液が核粒子の気孔に吸収されて流動性が低下することが防止されることに加えて、核粒子のAlと融液とが反応することによる流動性の低下も防止され、融液の流動性をより高くして熱間通気性を一層向上させることができ、焼結反応をベッドの厚さ方向により均一に進行させて返鉱をより少なくすることができるとともに、より冷間強度の高い焼結鉱を得ることができる。
上記の発明思想を工業的に具体化する手段として、第一の被覆層にマグネタイト鉱石、ヘマタイト鉱石、ミルスケール、および鉄粉から選択される1種または2種以上の鉄含有物質を用い、この第一の被覆層で、マグネタイト鉱石およびヘマタイト鉱石以外の気孔率およびAl含有率のいずれかまたは両方が高いマラマンバ系鉱石、リモナイト系鉱石、高リン鉱石等を含有した核粒子を覆うことにより、造粒粒子の表面で形成されたカルシウムフェライト融液が核粒子に到達することが阻止され、融液の流動性が低下することが防止される。
本発明によれば、膨大な予備処理等を必要とすることなく、焼結鉱の生産性や強度を悪化させることなく、マラマンバ系鉱石、リモナイト鉱石、高リン鉱石等の気孔率およびAlの含有率のいずれかまたは両方が高い鉄鉱石を製鉄原料として用いて、冷間および熱間通気性が良好な状態で焼結鉱を製造することができ、かつ得られた焼結鉱の冷間強度を高くすることができる。このように、従来のマグネタイト鉱石やヘマタイト鉱石等の良質な原料以外の原料を用いても、優れた特性を得ることができるので、資源の有効利用を図ることができ、工業的価値が高い。
以下、本発明を完成するに至った経緯および本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。
まず、今回の検討に用いた鉱石の性状を表1に示す。
Figure 0004887611
焼結ケーキ中の気孔は、構造欠陥であるために冷間強度に大きな影響を及ぼすだけでなく、空気の流路でもあるので焼結層内の通気性に対しても決定的な影響を与える。そこで図1に示すX線CT装置を用いて、焼結過程における気孔の成長現象について定量化を行い、各種鉱石の影響を調査した。本実施の形態で用いたX線CT装置20は、焼結機上のベッドの状態を再現する試験鍋21と、試験鍋21を下方吸引するブロワー22を備えている。試験鍋21を挟んで対向する位置には、試験鍋21にX線を照射するX線源23、および試験鍋21を透過したX線を検出するX線検出器24が設けられ、X線源23およびX線検出器24は、レール26に沿って、互いに対向した状態のままで試験鍋21の周囲を旋回する構成となっている。X線検出器24は、画像解析装置25に接続されており、この画像解析装置25は、試験鍋21の周囲を旋回するX線源23から当該試験鍋21に対して様々な角度で照射され、試験鍋21を透過して検出されたX線の強度から、試験鍋21内における焼結ケーキの内部における気孔の構造や融液の流動状態を検出して可視化して出力する機能を備えている。
表2に焼結実験の条件を、表3に実験水準を示す。表3に例示されるように、焼結実験No.1は、100質量%のヘマタイト鉱石からなるヘマタイト鉱石A、焼結実験No.2は、ヘマタイト鉱石に40質量%のマラマンバ鉱石を配合したマラマンバ鉱石B、焼結実験No.3は、ヘマタイト鉱石に40質量%のリモナイト鉱石を配合したリモナイト鉱石Cである。
Figure 0004887611
Figure 0004887611
気孔構造解析や融液流動解析は、60th Ironmaking Conference Proc.(2001),P.817(N.Oyama et al)を参考にして行った。
図2に焼結実験No.1〜3の各実験水準における焼結完了後の焼結ケーキのX線CT像を示す。図中の黒色は気孔、白色は固体である。これより、ヘマタイト鉱石A(100質量%のヘマタイト鉱石)を配合して焼結した焼結ケーキと比較して、マラマンバ鉱石B(ヘマタイト鉱石に40質量%のマラマンバ鉱石を配合したもの)やリモナイト鉱石C(ヘマタイト鉱石に40質量%のリモナイト鉱石を配合したもの)を配合した焼結ケーキ中の気孔は十分に成長していないことが確認された。
次に、図2を基に気孔の幅に対応するブランチ幅をまとめた結果を図3に示す。図3の傾きをブランチ幅の成長速度と定義し、融液流動指数との関係を図4に示す。これらより、マラマンバ鉱石やリモナイト鉱石を配合すると、融液の流動性が低下し、気孔が十分に成長しないことが分かった。
ここで、気孔は、焼結ケーキの構造欠陥であるために冷間強度に影響を与えるだけでなく、空気の流路として通気性をも大きく左右する。本発明者らのこれまでの検討結果より、気孔がより大きく成長する方が、破壊時にその気孔は開放されるため、結果的には高強度の焼結鉱が製造されるとともに、通気性も良好となることが知られている。そのため、焼結鉱の強度や焼結層内の通気性を改善するためには、如何に融液の流動性を高めて気孔の成長を促進するかが重要な課題となる。
図5に水銀圧入法により測定した各種鉱石中の気孔径分布を示す。これより、マラマンバ鉱石Bとリモナイト鉱石Cはヘマタイト鉱石Aよりも気孔量が多いが、特に、マラマンバ鉱石Bは、リモナイト鉱石Cと比較して、1μm程度の気孔が多く、鉱石内の気孔量が著しく多いことが分かった。このため、図6に示すように、ヘマタイト鉱石Aは鉱石間に生成した融液は鉱石間に維持されるものの、気孔の多いマラマンバ鉱石B、リモナイト鉱石Cの場合には、鉱石間に生成した融液は、流動する前に、鉱石内の気孔に吸収されやすく、流動できる融液量が不足し、特に、マラマンバ鉱石を使用した場合は、その傾向が大きいことが推測された。
さらに、石灰石と鉱石の溶融現象を調査する目的で、図7に示すように、ヘマタイト鉱石とマラマンバ鉱石の表面にそれぞれ石灰石を付着させた造粒粒子を作成し、電気炉内において1300℃で5分間加熱後、焼結体を取り出して、その断面を電子線マイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe Micro-Analyzer)で測定した。図8に測定結果を示す。これより、鉱石表面に生成したカルシウムフェライト系融液に着目すると、マラマンバ鉱石の焼結体の場合、ヘマタイト鉱石よりも融液中にアルミナ(Al)が濃縮していることが観察された。これは、マラマンバ鉱石は多孔質であるとともに、ここで用いたヘマタイトよりもAl量が多いため、気孔を介して鉱石中のアルミナがより多く融液中に放出されたためと推察された。
以上の検討結果をもとに、最適な造粒粒子構造として、図9の構造にすべきことを着想するに至った。すなわち、図9の(a)の断面図に例示されるように、本実施の形態の造粒粒子50は、気孔率が高い鉄鉱石を含む核粒子51を、気孔率の低い鉄含有物質を用いた第一の被覆層52で被覆し、さらにその外側を、石灰石14および固体燃料系原料15からなる第二の被覆層53で被覆した構造とする。ここで、造粒粒子中の質量割合としては、一般に、第二の被覆層53は20〜30mass%程度となる。核粒子51と第一の被覆層52の質量割合はそのときの操業条件で変わり得るが、代表的な値としては、核粒子51が30〜50mass%程度、第一の被覆層52が20〜40mass%程度である。寸法としては、一般に造粒粒子が3〜5mmφ程度、第二の被覆層が0.5〜1mm程度、核粒子が1〜2mmφ程度である。
これは、せっかく石灰石を分離してカルシウムシリケートの生成を抑制し、融液をカルシウムフェライトを主体とするものにしても、融液を形成する石灰石と直接接触する鉄鉱石の気孔率が高い場合には、焼結時に形成された融液が気孔に吸い取られて融液が不足し、融液が十分流動することができないが、このような気孔率の高い鉄鉱石を核粒子として用い、その上に気孔率が少ない鉄含有物質を被覆し、さらにその上に融液を生成する石灰石を被覆することにより、気孔率が高い鉄鉱石と融液を形成する石灰石とを切り離すことができ、従来のヘマタイト鉱石と同様に焼結できるとの考えに基づく。
これにより、図9の(b)に例示されるように、造粒粒子50を焼結した後の焼結粒子50aは、鉄鉱石に由来する酸化鉄を主体とする溶融核粒子(コア)51aと、その外側を覆う鉄含有物質に由来する酸化鉄を主体とする中間層52aと、中間層52aを覆うカルシウムフェライトを主体とする最外層53aとからなり、溶融核粒子(コア)51aは相対的に多孔質であり、中間層52aは溶融核粒子(コア)51aよりも緻密質である構造を有する。焼結時には、最外層53aを構成するカルシウムフェライトは融液として存在し、焼結を促進して、焼結粒子50aの集合体からなる焼結鉱が形成される。なお、符号51bは気孔を示す。
次に、融液の粘度に及ぼすAl量の影響を把握した結果について説明する。
CaO:20mass%、Fe:80mass%の融液(カルシウムフェライト系融液)に、Al試薬を8mass%までの種々の添加量で外部添加し、得られた融液(1300℃、1350℃、1400℃)の粘度を測定した。融液の粘度測定には、図10に示す球引き上げ法を採用し、球引き上げの際、天秤指示針の一定区間の移動速度を基に算出した。図11に測定結果を示す。図11に示すように、Al量の増加に伴い、融液粘度が上昇することが確認された。
次に、融液の粘度と浸透速度について実験した結果について説明する。
ここでは、図12に示す装置を用いて融液の浸透速度を測定した。具体的には、装置の上からガラスビーズの充填層内に粘度の異なる融液を滴下させ、その浸透速度を測定することにより、融液の粘度と浸透速度との関係を求めた。
図13に実験結果を示す。図13に示すように、融液粘度の上昇とともに、融液の浸透速度は低下することが確認された。したがって、Al量の増加によって粘度が上昇した融液は浸透速度が低下し、その浸透速度の低下により焼結ケーキ中の気孔の成長が阻害され、これらがひいては、熱間での通気性やコークスの燃焼性の悪化、および冷間強度の低下につながるものと考えられる。
このようなAlの影響を考慮すると、図9の(a)の断面図における造粒粒子50の核粒子51として気孔率およびAl量のいずれかまたは両方が高い鉄鉱石を用いた場合に、核粒子51を被覆する第一の被覆層52として気孔率およびAl量の低い鉄含有物質を用いることが好ましい。
これは、融液を形成する石灰石と直接接触する鉄鉱石のAl量が多い場合には融液のAl含有率が高くなって融液粘度が上昇し、融液が十分流動することができないおそれがあるが、このような気孔率およびAl量のいずれかまたは両方が高い鉄鉱石を用いた核粒子51を覆う第1被覆層52として、気孔率およびAl量が少ない鉄含有物質を用いて、核粒子51と融液を形成する石灰石とを切り離すことにより、その融液が核粒子の気孔に吸収されて流動性が低下することが防止されることに加えて、核粒子のAlと融液とが反応することによる流動性の低下も防止され、融液の流動性をより高くして熱間通気性を一層向上させることができ、冷間強度をより高くすることができる。
この場合にも、図9の(b)に示すように、造粒粒子50を焼結した後の焼結粒子50aは、鉄鉱石を主体とする溶融核粒子(コア)51aと、その外側を覆う鉄含有物質を主体とする中間層52aと、中間層52aを覆うカルシウムフェライトを主体とする最外層53aとからなる。そして、溶融核粒子(コア)51aは相対的に多孔質および/または高Al含有であり、中間層52aは溶融核粒子(コア)51aよりも緻密質および低Al含有率である構造を有する。この場合にも、焼結時には、最外層53aを構成するカルシウムフェライトは融液として存在し、焼結を促進して、焼結粒子50aの集合体からなる焼結鉱が形成される。
上記いずれの場合にも、第一の被覆層52を構成する鉄含有物質は、焼結鉱を構成するものであることから、ある程度以上の鉄含有率が必要であり、40mass%以上が好ましい。また、第一の被覆層52には通常SiO含有原料が含有されるが、SiO含有原料は必須なものではなく、鉄鉱石のみでも構わない。第一の被覆層52は、上述のように、第二の被覆層53中の石灰石により形成される融液を核粒子51から切り離す役割を有するものであり、その中の鉄含有物質は気孔率が20%以下である必要がある。気孔率が20%超の場合には、焼結のための融液が不足する不都合が生じる。気孔率の下限は特に存在しないが、鉄含有物質の気孔率は通常1%以上であるため、1%が事実上の下限となる。つまり、第一被覆層52を構成する鉄含有物質の気孔率の範囲は1〜20%が好ましい。Alの影響を考慮する場合には、第一の被覆層52を構成する鉄含有物質は、気孔率が20%以下およびAl含有率が2.1mass%以下である必要がある。Al含有率が2.1mass%超の場合には、焼結のための融液の粘度が高くなる傾向がある。Al含有率の下限は特に存在しないが、Alは鉄含有物質中に通常0.1mass%以上含まれているため、0.1mass%が事実上の下限となる。つまり、第一被覆層52を構成する鉄含有物質のAl含有率の範囲は0.1〜2.1mass%が好ましい。Al含有率のより好ましい範囲は1.5mass%以下、さらには0.1〜1.5mass%である。
核粒子51を構成する鉄鉱石としては、前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質よりも、気孔率が高いものが用いられる。また、Alの影響を考慮する場合には、気孔率およびAl含有率のいずれか、または両方が高いものが用いられる。これにより、第一の被覆層52を形成する効果が得られる。核粒子51を構成する鉄鉱石として気孔率が20%超のものを用いた場合に、より効果が明確なものとなるので、核粒子51を構成する鉄鉱石の気孔率は20%超であることが好ましく、20%超〜40%以下がより好ましい。Alの影響を考慮する場合には、核粒子51を構成する鉄鉱石として、気孔率が20%超およびAl含有率が2.1mass%超のいずれかまたは両方を満たすものを用いた場合に、より効果が明確なものとなる。核粒子51を構成する鉄鉱石のAl含有率は、2.1mass%超〜3.5mass%以下であることが望ましい。第一の被覆層52に用いられる鉄含有物質としてAl含有率が1.5mass%以下のものを用いた場合には、核粒子51用の鉄鉱石として、気孔率が20%超およびAl含有率が1.5mass%超のいずれかまたは両方を満たすものも用いることができる。
核粒子51には、鉄鉱石の他にSiO含有原料を含有させてもよい。しかし、石灰石を含有させると、本発明の効果が減殺されることとなるので、核粒子51には石灰石は含ませない。核粒子51を構成する鉄鉱石は、複数種類のものを混合して用いてもよい。このように複数種類のものを用いた場合には、気孔率、Al含有率は、それぞれ平均気孔率、平均Al含有率で把握することができ、これら平均気孔率、平均Al含有率が上記関係を満たせばよく、一部に気孔率または気孔率およびAl含有率が低い鉄鉱石を用いてもよい。
第二の被覆層53は、石灰石14および固体燃料系原料15が混合されて形成されていてもよいが、先に石灰石14を被覆して内層とし、その後固体燃料系原料15を被覆して外層とする二層構造を有するものであってもよい。
表4に、各種鉄鉱石等の鉄含有物質の性状を示す。この表4に示すように、ヘマタイト鉱石、マグネタイト鉱石、ミルスケールは、気孔率が20%以下であり、Alの影響を考慮しても、Al含有率が2.1mass%以下であるため、第一の被覆層52の鉄含有率として適したものとなる。ミルスケール以外の製鉄工場で生じる鉄粉も、鉄含有率が40mass%以上、気孔率20%以下であれば、第一の被覆層52の鉄含有物質として使用することが可能である。Alの影響を考慮する場合には、これに加えてAl含有率が2.1mass%以下であれば、第一の被覆層52の鉄含有物質として使用することが可能である。
一方、リモナイト鉱石、マラマンバ鉱石、高リン鉱石(高P鉱石)は、気孔率が20%超であるから、核粒子51として用いられる。特に、高リン鉱石はAl含有率が2.1mass%超であり、これを核粒子として用いた場合には、Alの影響を十分に考慮する必要がある。
上述したように、核粒子51を構成する鉄鉱石はこれらの複数種類を含有してもよく、第一の被覆層52の鉄含有物質よりも平均気孔率および平均Al含有率のいずれかまたは両方が高くなる範囲であれば、ヘマタイト鉱石やマグネタイト鉱石、さらにはミルスケール、鉄粉を小量含んでもよい。
また、たとえば同じヘマタイト鉱石であっても、気孔率やAl含有率が異なるため、核粒子51と第一の被覆層52の両方にヘマタイト鉱石を用い、核粒子51として気孔率およびAl含有率のいずれかまたは両方がより高いものを用いるようにしても効果が得られる。
このように鉄鉱石の種類を考慮すると、図9の(b)に例示される造粒粒子50を焼結した後の焼結粒子50aは、溶融核粒子(コア)51aとして、マラマンバ鉱石、リモナイト鉱石、および高リン鉱石から選択される1種または2種以上に由来する酸化鉄を主体とするものが用いられ、その外側を覆う中間層52aとして、マグネタイト鉱石、ヘマタイト鉱石、ミルスケール、および鉄粉から選択される1種または2種以上に由来する酸化鉄を主体とするものが用いられる。
Figure 0004887611
次に、上記図9(a)に例示される断面構造を持つ本実施形態の造粒粒子の製造プロセスについて説明する。図14は本発明の第1の実施形態に係る焼結原料の製造方法の一例を示す造粒プロセスフロー図である。ここでは、核粒子51としてマラマンバ鉱石を用い、第一の被覆層52の鉄含有物質としてヘマタイト鉱石を用いた例を示す。
まず、マラマンバ鉱石11を、第1造粒機16にて、造粒することにより、マラマンバ鉱石11からなる核粒子51を製造する。
そして、この核粒子51を核として、ヘマタイト鉱石12および必要に応じてSiO含有原料13を用いて、第2造粒機17にて造粒することにより、核粒子51の上に第一の被覆層52を形成し、中間造粒粒子を得る。
次いで、この第一の被覆層52を有する中間造粒粒子を核として、石灰石14および固体燃料系原料15を用いて第3造粒機18において造粒することで、核粒子51、第一の被覆層52、第二の被覆層53からなる多層構造の造粒粒子50(図9の(a))を得ることができる。この場合に、上述したように、先に石灰石14を被覆して内層とし、その後固体燃料系原料15を被覆して外層として、第二被覆層を二層構造にしてもよい。
なお、第一の被覆層52に含まれるSiO含有原料13としては、珪石、蛇紋岩、Niスラグ等を挙げることができる。また、鉄含有物質として鉄鉱石を用いる場合には、鉄鉱石にも3〜5mass%程度のSiOが含有されている。SiO含有原料13は粉状のものが好ましく、平均粒径としては2mm未満が好ましく、例えば0.1〜1.0mmのものが用いられる。また第二の被覆層53に含まれる固体燃料系原料15としては、コークス、無煙炭等を挙げることができる。石灰石14および固体燃料系原料15はいずれも紛状のものが好ましく、平均粒径としては0.5mm以下、さらには0.25mmが好ましい。
上記の本実施形態の造粒粒子50の効果を証明する目的で、図15に示すような造粒実験を実施した。
造粒実験No.1は、図23に示す造粒技術を用いた場合で、マラマンバ系の鉄鉱石101〜固体燃料系粉原料105の全原料をドラムミキサー106で300秒間均一に造粒する場合を示している。
造粒実験No.2は、図24に示す造粒技術を用いた場合で、石灰石やコークス以外の原料(マラマンバ系鉱石101〜SiO含有原料103)をドラムミキサー106にて240秒間造粒した後、石灰石104および固体燃料系原料105を用いてドラムミキサー106にてさらに60秒間造粒した場合を示している。
造粒実験No.3は、本発明の第1の実施形態の場合であり、マラマンバ系鉱石11のみにて第1造粒機16で120秒間造粒して核粒子51を形成した後、この核粒子51を核として、ヘマタイト鉱石12およびSiO含有原料13を用いて第2造粒機17により240秒間造粒することで、第一の被覆層52を造粒形成し、さらに、石灰石14および固体燃料系原料15を用いて、第3造粒機18により、この第一の被覆層52の上に第二の被覆層53を60秒間造粒形成することで、図9(a)に例示されるような多層構造の造粒粒子50を造粒したものである。
造粒実験No.4は、後述する本発明の第2の実施形態の場合であり、詳細は後述する。
図16に焼結体の冷間強度と還元粉化性を測定した結果を示す。これより、本実施形態の製造法を採用することで、冷間強度に優れ、還元後の強度も改善することが確認された。表5に図15の方法に従って製造した造粒粒子を用いて焼結実験を行った結果を示す。これより、本発明法(第1の実施形態:造粒実験No.3)を採用することで、生産性、冷間強度(シャッター強度、還元粉化性(RDI))、歩留ともに改善することが示された。
Figure 0004887611
さらに、本発明者らは、マラマンバ鉱石の造粒性についての調査を重ね、以下の知見を得た。
図17に示す鉱石の濡れ性を評価する装置を用いて、図18、図19、図20に示す結果を得た。すなわち、図17に例示される濡れ性評価装置30は、評価対象の鉱石粉が充填される筒体31と、この筒体31の下端を覆うガーゼ32と、ガーゼ32に覆われた筒体31の下端が浸漬される水34が貯留された水槽33からなる。
このような濡れ性評価装置30において、筒体31内における水34の上昇高さh(cm)は、筒体31に充填された粉体の粒径をR(cm)、水の粘度をη、水−空気の表面張力をγ、水と粉体の接触角をθ(°)、浸漬後の経過時間をt(秒)、Fitting Parameterをφとすると、次の式(1)で表される。
Figure 0004887611
図18の(a)および(b)は、マグネタイト系鉱石、マラマンバ系鉱石、ヘマタイト系鉱石の各々を、図17の濡れ性評価装置30の個々の筒体31に装填して、同時に水34に浸漬してから5秒後、および30秒後における、水の上昇高さを示している。
図19は、ヘマタイト鉱(接触角:45°)、マラマンバ鉱(接触角:61°)、リモナイト鉱(接触角:37°)、マグネタイト鉱(接触角:68°)、ヘマタイト鉱(接触角:55°)の各鉱石について、濡れ性評価装置30の筒体31に充填して測定した場合の、筒体31における水の上昇高さと経過時間の関係の測定結果を示している。
図18と図19より、マラマンバ鉱石)は、特異なマグネタイト鉱石を除くと、今回の調査した鉱石(ヘマタイト鉱,リモナイト鉱etc.)の中で最も水との濡れ性が悪いため、図20に示すように、造粒機で製造した造粒粒子の水の表面張力による付着強度が低く、焼結過程でせっかく造粒した粒子が崩壊してしまい、通気性を阻害することに繋がることが分かった。
しかし、図21に示すように、マラマンバ鉱石の表面形状の変化から加圧すると、成型体の強度が他の鉱石よりも顕著に増加することが見出され、表6に示すようにドラムミキサーなどよりもフルード数(=遠心力/重力)が大きい高速攪拌ミキサー(凹型のパン(Disk)の内部で攪拌羽(Agitator)を相対的に回転させる構成)を用いてマラマンバ鉱石を造粒する方が有効である知見を得た。
Figure 0004887611
この知見に基づき、本発明の第2の実施形態として、図22に例示される焼結用原料の製造方法を実施した。
この図22の場合、上述の図14と異なる点は、マラマンバ系鉱石11の核粒子51を形成する第1造粒機16の代わりに、高速攪拌ミキサー16Aを用いて造粒することにある。高速攪拌ミキサー16Aとしては、凹型のパン(Disk)の内部で攪拌羽(Agitator)を相対的に回転させる構成の、アイリッヒミキサーや、レディゲミキサーを用いることができる。その場合、攪拌羽の回転数は、一例として、50〜300rpmとすることができる。
また、必要に応じて、マラマンバ系鉱石11に、後の焼結工程からの返鉱を混ぜて高速攪拌ミキサー16Aにて造粒してもよい。この高速攪拌ミキサー16Aによる造粒過程では、マラマンバ系鉱石11の粒子同士が強く加圧された状態となるため、図21に例示されるように、引張強度の増大効果により、マラマンバ系鉱石11からなる核粒子51の強度を増加させることができる。
この第2の実施形態に基づいて造粒実験を行った。この造粒実験は、図15の造粒実験No.4に対応する。ここでは、マラマンバ系鉱石11のみ(または必要に応じて返鉱を混ぜて)にて高速攪拌ミキサー16Aで120秒間造粒して核粒子51を形成した後、この核粒子51を核として、その他鉄鉱石類12およびSiO含有原料13を用いて第2造粒機17により240秒間造粒することで、第一の被覆層52を造粒形成し、さらに、石灰石14および固体燃料系原料15を用いて、第3造粒機18により、この第一の被覆層52の上に第二の被覆層53を60秒間造粒形成することで、図9(a)に例示されるような多層構造の造粒粒子50を造粒した。
表7は、図14に例示される第1の実施形態(造粒実験No.3)と、図22に例示される高速攪拌ミキサー16Aを用いる第2の実施形態(造粒実験No.4)の造粒プロセスで得られた造粒粒子50の焼結実験結果を比較して示している。この表7からも明らかなように、高速攪拌ミキサー16Aを用いることで、造粒粒子50の焼結後の焼結鉱のシャッター強度や生産率等のさらなる改善が出来ることが、表5と同様の実験で確認することできた。
Figure 0004887611
本発明は、マラマンバ系鉱石やリモナイト系鉱石、高リン鉱石等の品位の低い鉄鉱石を用いた焼結プロセスに広く適用することができる。
焼結過程の気孔構造解析や融液流動解析方法の一例を示す概念図。 各種鉄鉱石の焼結体のX線CT画像の一例を示す説明図。 各種鉄鉱石の焼結体の気孔構造解析結果の一例を示す線図。 各種鉄鉱石の焼結体の気孔構造と融液流動性の関係の一例を示す説明図。 各種鉄鉱石中の気孔径分布の測定結果の一例を示す線図。 融液流動性の低下原因の一例を説明する概念図。 理想造粒粒子およびその焼結体の一例を示す断面図。 ヘマタイト鉱およびマラマンバ鉱の焼結体断面のEPMAの測定結果の一例を示す説明図。 (a)および(b)は、本発明の第1または第2の実施の形態の焼結用原料の製造方法で得られる造粒粒子と、その焼結体の構造の一例を示す断面図。 融液の粘度測定装置を示す図。 カルシウムフェライト系融液へ添加するAl量と融液の粘度との関係を示す図。 融液の浸透試験装置を示す図。 融液の粘度と融液の浸透速度との関係を示す図。 本発明の第1の実施形態である焼結用原料の製造方法の一例を示す造粒プロセスフロー図。 本発明と参考技術の焼結用原料の製造方法による造粒実験のプロセスフロー図。 本発明と参考技術の焼結体の冷間強度、還元粉化性(RDI)を比較対照して示す説明図。 鉱石の濡れ性の測定方法の一例を示す概念図。 各種鉱石の濡れ性の測定試験における水の上昇高さを比較対照して示す説明図。 各種鉱石の濡れ性の測定結果の一例を示す線図。 鉱石の接触角と造粒粒子の付着強度の関係の一例を示す説明図。 各鉱石の加圧体の引張強度を比較対照して示す説明図。 本発明の第2の実施の形態である焼結用原料の製造方法の一例を示す造粒プロセスフロー図。 本発明の第1の参考技術に係る焼結原料の混合、造粒工程を示すプロセスフロー図。 本発明の第2の参考技術に係る焼結原料の混合、造粒工程のプロセスフロー図。
符号の説明
11…マラマンバ鉱石
12…ヘマタイト鉱石
13…SiO含有原料
14…石灰石
15…固体燃料系原料
16…第1造粒機
16A…高速攪拌ミキサー
17…第2造粒機
18…第3造粒機
20…X線CT装置
21…試験鍋
22…ブロワー
23…X線源
24…X線検出器
25…画像解析装置
26…レール
30…濡れ性評価装置
31…筒体
32…ガーゼ
33…水槽
34…水
50…造粒粒子
51…核粒子
52…第一の被覆層
53…第二の被覆層
50a…焼結体
51a…溶融核粒子
51b…気孔
52a…中間層
53a…最外層

Claims (13)

  1. 鉄鉱石を含有する核粒子の表面に、鉄含有物質を用いて第一の被覆層を形成し、前記第一の被覆層の表面に、石灰石および固体燃料系原料にて第二の被覆層を形成して、焼結用原料としての造粒粒子を形成する工程と、
    前記造粒粒子を焼結する工程と
    を具備する焼結鉱の製造方法であって、
    前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、気孔率が20%以下であり、前記核粒子用の鉄鉱石は、気孔率が20%超およびAl含有率が1.5mass%超の両方を満たすことを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  2. 前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、Al含有率が1.5mass%以下であることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
  3. 前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、Al含有率が2.1mass%以下であり、前記核粒子用の鉄鉱石は、Al含有率が2.1mass%超であることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
  4. 前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、マグネタイト鉱石、ヘマタイト鉱石、ミルスケール、および鉄粉から選択される1種または2種以上であり、前記核粒子に用いられる鉄鉱石は、マグネタイト鉱石およびヘマタイト鉱石以外の鉄鉱石を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
  5. 前記核粒子用の鉄鉱石は、マラマンバ鉱石、リモナイト鉱石、および高リン鉱石から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項4に記載の焼結鉱の製造方法。
  6. 前記核粒子は前記核粒子用の鉄鉱石を造粒することにより得られることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
  7. 前記第二の被覆層は、先に石灰石を被覆し、その後固体燃料系原料を被覆することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
  8. 焼結鉱の製造プロセスに焼結用原料として供され、鉄鉱石を含有する核粒子の周囲に鉄含有物質を用いた第一の被覆層を形成し、さらにその上に石灰石および固体燃料系原料による第二の被覆層を形成してなる造粒粒子であって、
    前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、気孔率が20%以下であり、前記核粒子を構成する鉄鉱石は、気孔率が20%超およびAl含有率が1.5mass%超の両方を満たすことを特徴とする造粒粒子。
  9. 前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、Al含有率が1.5mass%以下であることを特徴とする請求項8に記載の造粒粒子。
  10. 前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、Al含有率が2.1mass%以下であり、前記核粒子用の鉄鉱石は、Al含有率が2.1mass%超であることを特徴とする請求項8に記載の造粒粒子。
  11. 前記第一の被覆層に用いられる鉄含有物質は、マグネタイト鉱石、ヘマタイト鉱石、ミルスケール、および鉄粉から選択される1種または2種以上であり、前記核粒子を構成する鉄鉱石は、マグネタイト鉱石およびヘマタイト鉱石以外の鉄鉱石を含むことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の造粒粒子。
  12. 前記核粒子を構成する鉄鉱石は、マラマンバ鉱石、リモナイト鉱石、および高リン鉱石から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項11に記載の造粒粒子。
  13. 前記第二の被覆層は、石灰石を用いて形成された内層と、その外側に固体燃料系原料を用いて形成された外層とを有することを特徴とする請求項8から請求項12のいずれか1項に記載の造粒粒子。
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