JP2004018893A - 高強度焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】配合原料中に含まれる鉄鉱石として、その原料の50mass%以上が見掛け密度4.3g/cm3以上の鉄鉱石を用い、この鉄鉱石原料に、コークス、石灰石、返鉱および水などを加えて混合し、造粒した後、焼結機パレット上にベット層厚が490mm以上になるように装入充填して焼結処理を行なうこと。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉の原料として用いられる高強度焼結鉱の製造方法に関し、とくにドロップインデックス(DRI)が87%以上のヤード焼結鉱に適用されるものを有利に製造するための方法について提案するものである。
【0002】
【従来の技術】
焼結鉱は、高炉用原料として広く利用されているものの1つである。通常、この焼結鉱製造用原料としては、鉄鉱石、硫酸滓、砂鉄、スケール、高炉ダストおよび転炉ダストなどの雑原料、石灰石、返鉱および粉コークスを混合させた配合原料が用いられる。
【0003】
一般に、焼結鉱は、焼結機で製造された後、高炉に直接送られて装入される。しかしながら、焼結機の休止時や生産量が不足した場合には、貯鉱ヤードにストックされている焼結鉱(以下、「ヤード焼結鉱」という)が利用されることがある。このヤード焼結鉱は、運搬時や貯鉱ヤードに積みつける際の衝撃や落下、パイルからの掻き出し時の磨耗などによって破砕・粉化し、そのため、高炉に直送される焼結鉱に比べて粒径が小さいものが多い。このように粉化した粒度の小さいヤード焼結鉱を、高炉原料として利用すると、高炉内の通気性が著しく阻害され、還元率の低下や生産率の低下を招き、コークス量の増大や炉頂ガス中ダスト量の増加をもたらすなどの問題を生じる。
【0004】
従来より、こうした焼結鉱の品質を向上させることが試みられ、種々の方法が検討されてきた。例えば、特開昭58−204134号公報では、焼成時の風量、粉コークス配合比率および焼結機のパレット速度を制御することにより、目標強度の焼結鉱を高歩留りで製造する方法などが提案されている。また、特開平1−316427号公報では、配合原料中のCaO、SiO2およびFe量を調整することにより、高品質な焼結鉱を製造する方法などが提案されている。しかしながら、これらの従来技術はいずれも、高炉に直送して利用される焼結鉱を対象としたものであって、ヤード焼結鉱に対しては、十分な効果が認められていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、上記従来技術はいずれも、焼結機から高炉に直送される焼結鉱についての提案であって、ヤード焼結鉱については効果が認められなかった。そこで、本発明は、高炉用原料として利用されるヤード焼結鉱に注目し、とくに冷間強度に優れた高強度焼結鉱の製造方法を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、従来技術の抱える上述した問題点について検討し、上記目的の実現に向けた研究の中で、下記要旨構成にかかる製造方法に想到した。すなわち、本発明は、ドロップインデックス(DRI)が87%以上の高強度の焼結鉱を製造する方法において、配合原料中に含まれる鉄鉱石として、その原料の50mass%以上が見掛け密度4.3g/cm3以上の鉄鉱石を用い、この鉄鉱石原料に、コークス、石灰石、返鉱および水などを加えて混合し、造粒した後、焼結機パレット上にベット層厚が490mm以上になるように装入充填して焼結処理を行なうことを特徴とする高強度焼結鉱の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る焼結鉱、とくにヤード焼結鉱として有望な高強度焼結鉱の製造方法について説明する。
焼結鉱は、粉鉱石などの鉄鉱石や高炉ダストなどの含鉄原料に石灰石、返鉱、粉コークスおよび水分などを添加して擬似粒子化して得た配合原料を、焼結機のパレット上に装入充填し、一定のベット層厚にコントロールした状態で連続的に移動する間に、下向きの吸引通風によって点火・焼成することにより得られるものである。すなわち、こうした処理工程を経て製造される焼結鉱は、鉄鉱石がフラックス、すなわちCaOやSiO2などのスラグ成分と反応溶融し、塊状化して生成するものである。
【0008】
このようにして得られる焼結鉱の強度については、配合原料の粒度や配合比率(塩基度)、焼成温度、パレット速度、配合原料の厚み(ベット層厚)など、様々な因子が影響をおよぼしていることは周知である。とくに、こうした焼結鉱は、非常に多孔質であり、構成する単位粒の強度、すなわち基質強度と粒をつなぐ接合強度による影響が大きい。そこで、発明者らは、成品焼結鉱の基質強度に関し、配合原料の性質、とくに緻密度の指標である見掛け密度に着目し、鉄鉱石の種類や配合比率をかえて種々の焼結鉱、とくにヤード焼結鉱として好適な焼結鉱を製造し、それらの強度に影響を及ぼす製造条件について検討した。
【0009】
その結果、ヤード焼結鉱として、とくにドロップインデックス(DRI)として示される落下強度が、87%以上を示す焼結鉱を得るためには、その有効な1つの条件として、配合原料中に含まれる鉄鉱石の緻密度を示す見掛け密度が4.3g/cm3以上の高見掛け密度鉄鉱石を配合原料の構成材料として用いること、そして焼結機のパレット上に装入堆積させる焼結原料層の層厚(ベット層厚)を、490mm以上に制御することが必要であることがわかった。
【0010】
この理由は、前者については、見掛け密度が4.3g/cm3を下回ると焼結鉱中の気孔が多くなり、この気孔が落下時の亀裂発生の起点となるため、必要強度が得られなくなり、また後者については、ベット層厚を490mmより小さくすると、焼成が速くなって反応・溶融が不十分となり、その結果、上記の落下強度(DRI)が得られなくなるからである。
【0011】
なお、本発明においては、配合原料中に占める鉄鉱石原料について、その見掛け密度が4.3g/cm3以上、5.0g/cm3以下の鉄鉱石を用いることが有効である。また、鉄鉱石原料中の高見掛け密度鉄鉱石の比率は、50mass%以上の範囲にあることが好ましく、この比率は高いほど良い。この理由は、50mass%以下では、ドロップインデックス(DRI)87%以上を満足できないためである。
【0012】
こうした鉄鉱石の例としては、南米産ヘマタイト鉱石、北米産磁鉄鉱および南米産磁鉄鉱などが挙げられる。
【0013】
また、このベット層厚というのは、焼結機が変わっても一律に490mm以上であることが必要であり、このことは、焼成時の加熱冷却にかかわるベット上下方向の焼結鉱強度の不均一性を緩和するためには、490mm以上の層厚を必要とすることを意味している。
【0014】
なお、本発明において、ベット層厚とは、粉鉱石などの鉄鉱石や高炉ダストなどの含鉄原料に、石灰石、返鉱、粉コークスおよび水分などを添加混合し、かつ造粒して擬似粒子化して得た配合原料を、焼結機のパレット上に給鉱機を介して装入充填した際の点火前の全堆積層厚みをいう。
【0015】
かかるベット層厚が、焼結鉱の落下強度に対し、他の焼成条件と比較してとくに影響が大きい理由は、落下強度の比較的弱い、上表面から100mm程度に位置する上層部の焼結鉱割合が、ベット層厚を増すことにより相対的に小さくなるためである。
【0016】
【実施例】
この実施例において、焼結鉱の製造に当たって使用した鉄鉱石(A〜E)の組成および見掛け密度を表1に示した。なお、見掛け密度の測定は、日本工業規格M8716に従って行なった。
【0017】
【表1】
【0018】
表1の鉄鉱石A〜EとNiスラグ、ドロマイトおよび石灰石とを、表2の配合比率で混合し、実機焼結機を用いてSiO2:4.7mass%、CaO:9.4mass%およびMgO:1.5mass%からなる成品焼結鉱を製造した。その際、造粒後の原料は、焼結機パレット上に、ベット層厚が500mmとなるように装入した。また、配合原料に含まれる鉄鉱石の見掛け密度が4.3g/cm3以上の鉄鉱石(以下、高見掛け密度鉄鉱石という)の比率(mass%)をあわせて表2に示す。なお、配合原料の焼結にあたっては、焼結燃料として炭材を利用し、主原料に対し4.0mass%の割合で添加した。
【0019】
【表2】
【0020】
得られた5種類の焼結鉱(操業1〜5)に対し、シャッターインデックス(SI)およびドロップインデックス(DRI)を測定した。その結果を表3に示す。
【0021】
【表3】
【0022】
上記の実験操業において、焼結鉱の強度評価に当たっては、通常の焼結鉱落下強度試験(日本工業規格M8711)によるシャッターインデックス(SI)と共に、ドロップインデックス(DRI)(焼結鉱を2m高さから50回落下させた後の粒径が5mm以上の焼結鉱の重量割合)を指標として用いた。これは、ヤード焼結鉱においては、シャッターインデックス(SI)値に差がない場合でも、焼結鉱粉率すなわち高炉内の通気性に差が生じることがあり、シャッターインデックス(SI)値の評価だけでは十分でないためである。
【0023】
この焼結鉱のドロップインデックス(DRI)は、高炉全圧損との関係において図1に示すように、ほぼ反比例の関係があり、ヤード焼結鉱の落下強度の指標として用いるのに最適であることがわかる。なお、図1は、高炉装入鉱中のヤード焼結鉱の割合が30mass%の時のドロップインデックス(DRI)と高炉全圧損との関係を示したものである。また、図1によれば、焼結鉱使用時の通常の高炉全圧損1.65kg/cm2を得るためには、ドロップインデックス(DRI)を87%にする必要があり、ちなみに、これ以上のドロップインデックス(DRI)値をもつ焼結鉱を高強度焼結鉱と称している。
【0024】
表3の結果によれば、高見掛け密度鉄鉱石の比率が50mass%以上の場合に、ドロップインデックス(DRI)値が87%以上となり、高強度焼結鉱が得られることがわかった。これは、図2に示した高見掛け密度鉄鉱石の含有比率とドロップインデックス(DRI)との関係からも明らかである。図2は、表1に示した高見掛け密度鉄鉱石:鉄鉱石Aおよび鉄鉱石Bを原料鉄鉱石として利用し、鉄鉱石原料中の該鉄鉱石含有比率を変えて焼結鉱を製造し、各焼結鉱におけるドロップインデックス(DRI)値を測定したものである。
【0025】
上記の実験例ではいずれも、配合原料を焼結機パレット上に、ベット層厚が450mm以上となるように装入して焼結鉱を製造し、このときの焼結機パレット上のベット層厚が、ドロップインデックス(DRI)に与える影響について検討を行なった。図3は、ベット層厚を、450mm、500mmおよび530mmに変化させた場合の焼結鉱ドロップインデックス(DRI)値の測定結果である。図3に示すように、ドロップインデックス(DRI)が87%以上の高強度焼結鉱を得るためには、ベット層厚を490mm以上にすることが必要であることがわかった。この理由は、上述したように層厚を低くすると焼成速度が速くなるため、反応・溶融が十分進行しない可能性があることを意味している考えられる。
【0026】
なお、本発明の上記製造技術は、ヤード焼結鉱についての提案であるが、本発明にかかる製造方法を用いれば、図4に示すように、通常の高炉直送の焼結鉱として使用する焼結鉱の製造方法としても、ヤード焼結鉱として使用した時ほどではないにしても、高炉全圧損が低くなり、通気性の改善の効果が期待できる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、冷間強度に優れた高強度ヤード焼結鉱を提供することが可能となり、運搬時や貯鉱ヤードに積みつける際の衝撃・落下などの影響を受けることなく、焼結鉱の破砕や粉化等による歩留りや品質の低下などの問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高炉全圧損とドロップインデックス(DRI)との関係を示すグラフである。
【図2】高見掛け密度鉄鉱石含有比率とドロップインデックス(DRI)との関係を示すグラフである。
【図3】焼結機パレット上のベット層厚とドロップインデックス(DRI)との関係を示すグラフである。
【図4】本発明にかかる製造方法で製造した焼結鉱を用いたときの高炉全圧損を示すグラフである。
Claims (1)
- ドロップインデックス(DRI)が87%以上の高強度の焼結鉱を製造する方法において、配合原料中に含まれる鉄鉱石として、その原料の50mass%以上が見掛け密度4.3g/cm3以上の鉄鉱石を用い、この鉄鉱石原料に、コークス、石灰石、返鉱および水などを加えて混合し、造粒した後、焼結機パレット上にベット層厚が490mm以上になるように装入充填して焼結処理を行なうことを特徴とする高強度焼結鉱の製造方法。
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