JP4599737B2 - 焼結原料の造粒方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉で使用される焼結鉱を焼成するに先立って焼結原料を造粒して擬似粒子を製造する方法に関し、詳しくは粉状鉄源の擬似粒子の表面を粉状炭材および粉石灰石で被覆した擬似粒子を造粒する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉で使用する焼結鉱の原料のうち、鉄源となる主原料は、鉱石の予備処理で発生する粉鉱石と製鉄所内で発生する返鉱,ミルスケール,高炉ダスト,転炉ダスト等の粉末含鉄原料との混合物(以下、粉状鉄源という)を使用する。さらに、焼結機で焼結するときに熱源として機能する粉コークスや粉炭等(以下、粉状炭材という)、および高炉で溶銑を溶製するときに造滓材として機能する粉石灰石等を副原料として使用する。
【0003】
このようにして粉状鉄源,粉状炭材および粉石灰石を適宜配合した焼結原料を造粒した後、焼結機に装入して焼結鉱を製造する。ただし焼結原料は粉状であるから、焼結機で焼成するときの通気性を維持することを目的として、焼結機に装入する前に予め造粒して擬似粒子としたものを焼結機に装入する。
焼結鉱の品質を示す指標として、高炉内でガス還元される際の被還元性を示す指標RIが広く利用されている。RI値は、JIS規格M8713 に規定されているように、所定の温度で還元ガス中に一定時間暴露された試料の減量から、還元の進捗程度を求めるものである。RI値が大きいものほど被還元性が良く、高炉内で還元されやすいので、高炉操業の燃料比低減等の効果が得られる。つまりRI値は、焼結鉱の品質を評価するうえで重要な指標である。
【0004】
RI値は焼結鉱の鉱物組織で決まるので、RI値を高めて焼結鉱の被還元性を向上するためには、焼結原料の成分を調整するのが効果的である。しかしながら焼結原料の成分は、高炉で焼結鉱を使用して溶銑を溶製するときのスラグ成分を調整する観点から設計されるので、RI値を高めるための成分とは必ずしも一致しない。
【0005】
そこで、高炉のスラグ成分を調整する観点から設計された従来と同様の成分を有し、しかもRI値を高めた焼結鉱を製造する必要がある。そのような特性の焼結鉱を製造するにあたって、焼結機に装入する前に予め造粒した擬似粒子を、図2に示すような3層構造とする被覆造粒方法が開発されている。その被覆造粒方法は、まず粉状鉄源をドラムミキサーに装入して造粒することによって、粉状鉄源のうちの比較的粒径の大きい粒子が核鉱石7となり、粉状鉄源のうちの微細な粒子が核鉱石7表面に付着して微細鉱石層8を形成する。次いで、粉状炭材および粉石灰石をドラムミキサーに追加装入して再度造粒することによって、微細鉱石層8表面に粉状炭材および粉石灰石が付着して炭材と石灰の混合層9を形成する。
【0006】
このような3層構造の擬似粒子(以下、3層擬似粒子という)は、各粒子の表層が石灰を多量に含有するので、焼結機で焼成すると、表層部には針状カルシウムフェライトが形成され、内部には、 Fe23 を主とする1次ヘマタイトが形成される。擬似粒子の表層部に形成される針状カルシウムフェライトは強度が高く、内部に形成される1次ヘマタイトは被還元性が優れている。したがって図2に示すような3層擬似粒子を焼成して製造した焼結鉱は、強度およびRI値がともに向上して、高炉での使用に好適である。
【0007】
しかしながら3層擬似粒子の製造方法は、粉状鉄源を造粒する工程と、粉状炭材,粉石灰石を追加装入して造粒する工程との2段階の造粒工程が必要である。そのため1機のドラムミキサーで、このような3層擬似粒子を製造する場合は、焼結原料が同一のドラムミキサーで2回造粒されるので、ドラムミキサーの生産能力が半減して焼結機の操業に支障をきたす。一方、生産能力を維持しながら3層擬似粒子を製造するためには、ドラムミキサーが2機必要となり、設備費が増大する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題を解消し、焼結原料を焼結機で焼成するに先立って表層部を炭材と石灰で被覆した擬似粒子を簡便な手段で安価に製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、粉状鉄源、粉状炭材および粉石灰石をドラムミキサーで混合造粒する焼結原料の製造方法であって、ドラムミキサーの給鉱部から粉状鉄源を装入して造粒し、さらに下記の (1)式で算出される擬似粒子の粒径変化率が 0.6〜0.9 の範囲内を満足するドラムミキサー内の位置に粉状炭材と粉石灰石とを装入して造粒した後、ドラムミキサーの排鉱部から3層擬似粒子を排出する焼結原料の造粒方法である。
【0010】
粒径変化率=(d−DI )/(DO −DI ) ・・・ (1)
d:ドラムミキサー内の任意の位置における擬似粒子の平均粒径(mm)
I :給鉱部における粉状鉄源の平均粒径(mm)
O :排鉱部における3層擬似粒子の平均粒径(mm)
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を適用する装置の例を模式的に示すフロー図である。焼結原料の混合造粒に用いられるドラムミキサー1は、内壁面に螺旋状の突起を有する円筒型のドラムをほぼ水平に保持して、その中心軸を中心にして回転するものである。給鉱部2からドラムミキサー1内に装入された粉末の焼結原料は、ドラムミキサー1の回転にともなってドラムの内壁面を円周方向に上昇する。そして焼結原料が上昇していって、内壁面との摩擦力に比べて焼結原料の自重の方が大きくなると、焼結原料が内壁面にそって落下する。こうしてドラムミキサー1を回転することによって焼結原料はドラムミキサー1内で上昇と落下を繰り返す。このとき焼結原料に適量の水分を添加しておくと、粉状である焼結原料の粒子が互いに付着して擬似粒子となる。
【0012】
ドラムミキサー1のドラム内壁面には螺旋状の突起が設けられているので、給鉱部2からドラムミキサー1内に装入された焼結原料は、ドラム内で上昇と落下を繰り返すうちに排鉱部3の方向へ移動する。このようにしてドラムミキサー1内で、焼結原料が上昇と落下を繰り返しながら給鉱部2から排鉱部3へ移動する間に、擬似粒子が大きく成長する。給鉱部2から排鉱部3までの距離が5mのドラムミキサー1を用いて造粒した場合の、給鉱部2からの距離(m)と擬似粒子の平均粒径(mm)との関係を図3に示す。
【0013】
図3から判るように、ドラムミキサー1内では給鉱部2から排鉱部3へ原料が移動するにつれて、原料同士の付着成長が進行して粒子径が大きくなっていくことが判る。したがって、ドラムミキサー1の給鉱部2において粉状鉄源4のみを装入して、粉状鉄源4中の粒子径の比較的大きい核鉱石7の周りに微細鉱石8が付着して擬似粒子がある程度成長した位置で、さらに粉状炭材5と粉石灰石6を添加すれば、その後は微細鉱石8と粉状炭材5,粉石灰石6とがさらに擬似粒子表面に付着して成長することになる。このような操作によれば、1機のドラムミキサー1で図2に示すような3層擬似粒子を形成することができる。
【0014】
そこで図1に示すように、焼結原料のうちの粉状鉄源4を給鉱部2からドラムミキサー1内に装入しながら、排鉱部3からドラムミキサー1内の種々の位置に粉状炭材5および粉石灰石6を装入して3層擬似粒子を造粒した。次いで、排鉱部3から排出された3層擬似粒子を用いて鍋試験機で焼結鉱を焼成し、得られた焼結鉱のRI値(%)を測定した。その結果を図4に示す。なお図4では、粉状炭材5および粉石灰石6を装入する位置は、下記の (1)式で算出される擬似粒子の粒径変化率で示す。
【0015】
粒径変化率=(d−DI )/(DO −DI ) ・・・ (1)
d:ドラムミキサー内の任意の位置における擬似粒子の平均粒径(mm)
I :給鉱部における粉状鉄源の平均粒径(mm)
O :排鉱部における3層擬似粒子の平均粒径(mm)
図4から明らかなように、粒径変化率が 0.6〜0.9 を満足する範囲内で、RI値が向上した。したがって粒径変化率は、 0.6〜0.9 の範囲内とする必要がある。なお、好ましくは 0.7〜0.8 の範囲内である。
【0016】
粉状鉄源4,粉状炭材5および粉石灰石6をドラムミキサー1内に装入する装置は、ベルトコンベア,振動フィーダー,バケットコンベア等の従来から知られている輸送装置を用いれば良い。なお図1には粉状炭材5および粉石灰石6を排鉱部3からドラムミキサー1内に装入する例を示したが、本発明においては、粒径変化率が 0.6〜0.9 を満足する位置に粉状炭材5および粉石灰石6を装入すれば良いのであるから、給鉱部2から装入しても問題はない。ただし、粉状炭材5および粉石灰石6を排鉱部3から装入すると、給鉱部2に配設される粉状鉄源4の輸送装置と干渉しないので好ましい。
【0017】
【実施例】
図1に示す装置を使用して3層擬似粒子を造粒した。すなわち粉状鉄源4を給鉱部2から装入し、かつ粒径変化率が0.75となるドラムミキサー1内の位置に粉状炭材5および粉石灰石6を排鉱部3からベルトコンベアを用いて装入して3層擬似粒子を造粒した。これを発明例とする。
【0018】
また、比較例として、給鉱部2から粉状鉄源4,粉状炭材5および粉石灰石6を装入して擬似粒子を造粒した。
次いで、比較例の擬似粒子を焼結機に装入して焼結鉱を焼成した。比較例の擬似粒子による焼結機の操業時間は8Hとした。引き続き発明例の3層擬似粒子を焼結機に装入して焼結鉱を焼成した。発明例の3層擬似粒子による焼結機の操業時間は16Hとした。なお焼結機の生産能力は日産7000tであった。
【0019】
このときの焼結機の焼成面積1m2 あたりの生産性(t/hr・m2 )および得られた焼結鉱のRI値(%)を調査した。図5は、焼結機の操業開始を0hrとして、その後の操業時間に対応させて焼結機の生産性(t/hr・m2 )と焼結鉱のRI値(%)の推移を示すグラフである。
図5から明らかなように、焼結機の生産性については、発明例および比較例は同じレベルで推移した。しかし焼結鉱のRI値は、発明例の方が比較例に比べて向上した。したがって、本発明によって1機のドラムミキサー1で3層擬似粒子を造粒でき、しかもその3層擬似粒子を用いて焼結鉱を焼成することによって、焼結鉱のRI値が向上することが確かめられた。
【0020】
【発明の効果】
本発明では、表層部を粉状炭材および粉石灰石で被覆した擬似粒子を造粒するにあたって簡便な手段で安価に造粒でき、しかもその擬似粒子を用いて焼結鉱を焼成することによって焼結鉱のRI値を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する装置の例を模式的に示すフロー図である。
【図2】3層擬似粒子の断面図である。
【図3】給鉱部からの距離と擬似粒子の平均粒径との関係を示すグラフである。
【図4】粒径変化率とRI値との関係を示すグラフである。
【図5】焼結機の生産性と焼結鉱のRI値の推移を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ドラムミキサー
2 給鉱部
3 排鉱部
4 粉状鉄源
5 粉状炭材
6 粉石灰石
7 核鉱石
8 微細鉱石
9 炭材と石灰の混合層

Claims (1)

  1. 粉状鉄源、粉状炭材および粉石灰石をドラムミキサーで混合造粒する焼結原料の造粒方法であって、前記ドラムミキサーの給鉱部から前記粉状鉄源を装入して造粒し、さらに下記の (1)式で算出される擬似粒子の粒径変化率が 0.6〜0.9 の範囲内を満足する前記ドラムミキサー内の位置に前記粉状炭材と前記粉石灰石とを装入して造粒した後、前記ドラムミキサーの排鉱部から3層擬似粒子を排出することを特徴とする焼結原料の造粒方法。
    粒径変化率=(d−DI )/(DO −DI ) ・・・ (1)
    d:ドラムミキサー内の任意の位置における擬似粒子の平均粒径(mm)
    I :給鉱部における粉状鉄源の平均粒径(mm)
    O :排鉱部における3層擬似粒子の平均粒径(mm)
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