JP5503726B2 - 学習・記憶障害および運動障害などを伴う中枢神経変性疾患を改善する乾燥植物組織および植物組織抽出物ならびにこれらを含有する医薬品および食品 - Google Patents

学習・記憶障害および運動障害などを伴う中枢神経変性疾患を改善する乾燥植物組織および植物組織抽出物ならびにこれらを含有する医薬品および食品 Download PDF

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Description

本発明は、学習・記憶障害および運動障害などを伴う中枢神経変性疾患を改善する乾燥植物組織および植物組織抽出物に関する。本発明はまた、上記乾燥植物組織または植物組織抽出物を含有する、医薬品および食品にも関する。
現代の高齢化社会において、アルツハイマー病およびパーキンソン病などの中枢神経変性疾患の患者が増大し、社会問題となっている。中でもアルツハイマー病は認知機能障害、学習・記憶障害などを伴う進行性中枢神経変性疾患であり、その原因として学習・記憶に重要なN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体の機能を低下させるアミロイドβペプチドの重合および蓄積による神経変性が考えられている(非特許文献1を参照のこと)。
一般に、記憶は3つの過程、すなわち記憶の獲得(encoding)、保持(retention)および想起(recall)の過程からなり、これら3つの過程のメカニズムは異なると考えられている。アルツハイマー病の中核症状である学習・記憶障害では、特に記憶の保持および想起過程に顕著な障害が起こっていると理解されている。このうち、想起能力を改善する作用を有する天然フラボノイド類の一つとして、式(I):
Figure 0005503726
で示されるノビレチンが知られており(特許文献1または非特許文献1もしくは2を参照のこと)、ノビレチンはまた、神経細胞に対して神経突起伸長作用を有することも知られている(特許文献2を参照のこと)。ノビレチンは種々の柑橘類植物の果皮などに含まれるが、通常極めて微量しか含まれていない。そのため、柑橘類植物の果皮由来の生薬の一つである陳皮は通常、健胃作用、去痰作用または鎮咳作用などを示し、これらの作用にはノビレチンは関与していないと考えられる。これまでにノビレチン特有の薬効を凌駕する、つまりノビレチンを上回る中枢神経変性疾患改善作用を示す柑橘類の乾燥植物組織およびその抽出物は知られていない。
また、柑橘類の全果由来の搾汁液またはその抽出物を含有する学習・記憶障害改善作用を示す機能性食品が知られているが(特許文献3を参照のこと)、ここで用いられた柑橘類の全果にはノビレチンが微量しか含まれておらず、その薬効はノビレチン単体の想起能力の増強効果を超えるものではない。
一方、中枢神経変性疾患の一つであるパーキンソン病は、振戦、動作緩慢、筋固縮、姿勢反射障害などの四大運動徴候を特徴とし、ドーパミン作動性神経系が何らかの要因で変性脱落するために起こる運動野の機能障害である。その治療方法の一つとして、現在、ドーパミン補充療法などが行われている。ドーパミン生合成経路における酵素の転写活性、つまりそのmRNAの発現量を上昇させる薬物は多く知られているが、ドーパミン自体の生成量を増大させる薬物はほとんど知られていない。また、ドーパミン合成能促進作用およびドーパミン分泌促進作用を示す柑橘類の乾燥植物組織およびその抽出物も知られていない。
国際公開2005/082351号公報 特開2002−60340号公報 特開2007−61028号公報
日薬理誌 (Folia Pharmacol. Jpn.) 132, 155-159 (2008) The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 2007, Vol. 321, No. 2, pp.784-790
このような状況下、中枢神経変性疾患、特にアルツハイマー病およびパーキンソン病の改善効果を有する乾燥植物組織または植物組織抽出物が開発されれば、中枢神経変性疾患における有望な根本治療薬の開発の実現が期待できる。その結果、我が国が抱えている高齢化社会における認知症などの難治進行性神経疾患の克服や医療保険制度の問題の解決に向けて大きく前進できる。さらに、学習・記憶障害のうち記憶の想起能力だけでなく、記憶の獲得および保持能力を増強させる乾燥植物組織または植物組織抽出物が開発されれば、医薬品および食品への応用についてより有用なものとなる。
本発明者らは、鋭意研究の結果、顕著な中枢神経変性疾患改善効果を有する、柑橘類の乾燥植物組織および植物組織抽出物を見出した。本発明者らは特に、中枢神経変性疾患のうちアルツハイマー病およびパーキンソン病の根本治療薬として応用可能な柑橘類の乾燥植物組織および植物組織抽出物を見出した。本発明者らはさらに、アルツハイマー病の中核症状である記憶障害において記憶の想起能力のみならず、記憶の獲得および保持能力をも増強させる、柑橘類の乾燥植物組織および植物組織抽出物を見出した。
具体的には、本発明は以下の態様を含む:
(1)乾燥植物組織100重量%に対してノビレチンを0.4重量%以上含有する、中枢神経変性疾患の改善のための柑橘類の果皮の乾燥植物組織;
(2)乾燥植物組織100重量%に対してノビレチンを0.3重量%以上含有する、中枢神経変性疾患の改善のための柑橘類の葉の乾燥植物組織;
(3)ノビレチン/ナリルチンの含有重量比が1.0以上である、(1)または(2)のいずれか記載の乾燥植物組織;
(4)中枢神経変性疾患がアルツハイマー病および/またはパーキンソン病である、(1)または(2)のいずれか記載の乾燥植物組織;
(5)中枢神経変性疾患の改善がcAMP応答配列(CRE)依存的転写活性の増大、記憶の獲得、保持および想起能力の増強、チロシン・ヒドロキシラーゼ(TH)転写活性の促進、TH発現量の上昇、ドーパミン合成能の促進、またはドーパミン分泌の促進によりもたらされる、(1)または(2)のいずれか記載の乾燥植物組織;
(6)植物組織抽出物100重量%に対してノビレチンを0.6重量%以上含有する、中枢神経変性疾患の改善のための柑橘類の植物組織抽出物;
(7)ノビレチン/ナリルチンの含有重量比が2.0以上である、(6)記載の植物組織抽出物;
(8)(1)または(2)のいずれか記載の乾燥植物組織から水抽出、好ましくは60〜100℃の水抽出により得られる、(6)記載の植物組織抽出物;
(9)中枢神経変性疾患がアルツハイマー病および/またはパーキンソン病である、(6)記載の植物組織抽出物;
(10)中枢神経変性疾患の改善がCRE依存的転写活性の増大、記憶の獲得、保持および想起能力の増強、TH転写活性の促進、TH発現量の上昇、ドーパミン合成能の促進、またはドーパミン分泌の促進によりもたらされる、(6)記載の植物組織抽出物;
(11)柑橘類がCitrus reticulata Blanco (Rutaceae)である、(1)または(2)のいずれか記載の乾燥植物組織;
(12)柑橘類がCitrus reticulata Blanco (Rutaceae)である、(6)記載の植物組織抽出物;
(13)柑橘類がタチバナ、好ましくはニホンタチバナである、(1)または(2)のいずれか記載の乾燥植物組織;
(14)柑橘類がタチバナ、好ましくはニホンタチバナである、(6)記載の植物組織抽出物;
(15)柑橘類がオオベニミカンである、(1)または(2)のいずれか記載の乾燥植物組織;
(16)柑橘類がオオベニミカンである、(6)記載の植物組織抽出物;
(17)医薬品100重量%に対して、10〜100重量%の(1)もしくは(2)のいずれか記載の乾燥植物組織または10〜90重量%の(6)記載の植物組織抽出物を有効成分とする、アルツハイマー病治療用医薬品;
(18)医薬品100重量%に対して、10〜100重量%の(1)もしくは(2)のいずれか記載の乾燥植物組織または10〜90重量%の(6)記載の植物組織抽出物を有効成分とする、パーキンソン病治療用医薬品;
(19)(1)または(2)のいずれか記載の乾燥植物組織と医薬的に許容される生薬成分とを1:5〜1:10の重量比率で配合して得られる配合物から水抽出、好ましくは60〜100℃の水抽出により得られる抽出物を有効成分とする、中枢神経変性疾患の治療用医薬品;
(20)食品100重量%に対して、10〜100重量%の(1)もしくは(2)のいずれか記載の乾燥植物組織または10〜90重量%の(6)記載の植物組織抽出物を含有する、中枢神経変性疾患の改善のための食品;
(21)中枢神経変性疾患がアルツハイマー病および/またはパーキンソン病である、(20)記載の食品;
(22)中枢神経変性疾患の改善が記憶の獲得、保持および想起能力の増強メカニズムによりもたらされる、(20)記載の食品;
(23)乾燥植物組織100重量%に対してノビレチンを0.3〜2.0重量%含有し、かつ、ノビレチン/ナリルチンの含有重量比が1.0〜23.0である、(4)記載の乾燥植物組織;
(24)柑橘類の植物組織を50〜100℃にて1〜3時間加熱乾燥することにより得られ、歩留まりが20〜50%である、(4)記載の乾燥植物組織;
(25)植物組織抽出物100重量%に対してノビレチンを0.6〜3.0重量%含有し、かつ、ノビレチン/ナリルチンの含有重量比が2.0〜14.0である、(9)記載の植物組織抽出物;
(26)細粒剤、茶剤、煎剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、ゼリー剤、散剤、液剤、シロップ剤またはエキス製剤の形態である、(19)記載の医薬品。
本発明の柑橘類の乾燥植物組織および植物組織抽出物は、従来の柑橘類の乾燥植物組織と比較して有意な中枢神経変性疾患改善効果を示す。
本発明の乾燥植物組織および植物組織抽出物はまた、PKA/ERK/CREBシグナル伝達を活性化し、アルツハイマー病の症状の一つである学習・記憶障害を改善する効果を有する。本発明の乾燥植物組織および植物組織抽出物は特に、学習・記憶障害改善効果のうち、記憶の獲得、保持および想起能力の増強効果を示す。本発明の乾燥植物組織および植物組織抽出物はさらに、これに含まれるノビレチン含有量と同量のノビレチン単体と比較して強力なリン酸化促進作用およびPKA/ERKシグナル伝達促進効果を有する。これらに加えて、本発明の乾燥植物組織および植物組織抽出物は、CRE転写活性およびTH転写活性、TH発現量上昇作用またはドーパミン合成能促進作用もしくはドーパミン分泌促進作用によるパーキンソン病の改善効果を示す。
本発明の乾燥植物組織および植物組織抽出物はさらに、そのノビレチン含有濃度から予測される効果を超える中枢神経変性疾患改善効果、特にCRE依存的転写活性の増大効果、記憶の獲得、保持および想起能力の増強効果、TH転写活性の促進効果ならびにTH発現量の上昇作用のみならずドーパミン生合成の促進効果やドーパミン分泌促進効果を示す。これらの効果は、当該乾燥植物組織および植物組織抽出物に含まれるノビレチンとその他の成分との相乗効果に起因すると考えられる。
ノビレチン単体では上記記憶の獲得、保持および想起能力の増強効果のうち記憶の獲得および保持能力の増強効果は認められないため、本発明の乾燥植物組織および植物組織抽出物はノビレチン単体とは全く異なる新規なメカニズムにより上記効果を奏すると考えられる。
図1Aは、本発明の陳皮に含まれるフラボノイド類の三次元クロマトグラムを示す。 図1Bは、従来の陳皮に含まれるフラボノイド類の三次元クロマトグラムを示す。 図2Aは、海馬神経細胞における陳皮エキスのCREBリン酸化促進活性を示す。 図2Bは、海馬神経細胞における陳皮エキスのPKA基質リン酸化促進活性を示す。 図2Cは、海馬神経細胞における陳皮エキスのERK1/2リン酸化促進活性を示す。 図2Dは、海馬神経細胞における陳皮エキスのPKAシグナル伝達促進効果を示す。 図2Eは、海馬神経細胞における陳皮エキスのERKシグナル伝達促進効果を示す。 図2Fは、海馬神経細胞における本発明の陳皮1および従来の陳皮7からのエキスならびにノビレチンのCRE依存的転写活性を示す。 図2Gは、海馬神経細胞における本発明の陳皮2〜4および従来の陳皮8〜10からのエキスならびにノビレチンのCRE依存的転写活性を示す。 図3Aは、陳皮エキスの学習・記憶障害の改善効果、すなわち記憶の獲得、保持および想起能力の増強効果を示す。 図3Bは、MK801誘発性学習・記憶障害に対するノビレチンの作用を示す。 図4Aは、PC12D細胞における陳皮エキスのTH転写活性促進効果を示す。 図4Bは、PC12D細胞における陳皮エキスのTH発現量上昇効果を示す。 図4Cは、PC12D細胞における陳皮エキスのドーパミン含量上昇効果を示す。
図5Aは、海馬神経細胞における橘皮エキスのCRE転写活性を示す。 図5Bは、橘皮エキスの学習障害の改善効果を示す。学習促進効果の全ペアについて、post Bonferroni試験を含むツーウェイANOVA。図面中の数値は平均値±標準誤差を示し;全試験についてn = 5である。対照(■)と比較して** p<0.01, *** p<0.001, MK-801(▲)と比較して###p<0.01, ★p<0.05。 図5Cは、橘皮エキスの記憶障害の改善効果を示す。記憶改善効果の全ペアについて、post Tukey試験を含むワンウェイANOVA。図面中の数値は平均値±標準誤差を示し;全試験についてn = 5である。対照と比較して*** p<0.001, MK-801と比較して#p<0.05および###p<0.01。 図5Dは、PC12D細胞における橘皮エキスのCRE転写活性を示す。 図5Eは、PC12D細胞における橘皮エキスのTH転写活性を示す。 図5Fは、PC12D細胞における橘皮エキスのGCH I発現量上昇効果を示す。全ペアについて、post Tukey試験を含むワンウェイANOVA。図面中の数値は平均値±標準誤差を示し;全試験についてn = 3である。対照と比較して* p<0.05, ** p<0.01, *** p<0.001。陳皮エキスと比較して# p<0.05, ## p<0.01, ### p<0.001。
図6Aは、海馬神経細胞におけるタチバナの葉由来エキスのCRE転写活性を示す。 図6Bは、PC12D細胞におけるタチバナの葉由来エキスのCRE転写活性を示す。 図7Aは、海馬神経細胞におけるオオベニミカン果皮由来エキスのCRE転写活性を示す。 図7Bは、PC12D細胞におけるオオベニミカン果皮由来エキスのCRE転写活性を示す。 図7Cは、PC12D細胞におけるオオベニミカン果皮由来エキスのTH転写活性を示す。
本発明に用いられる柑橘類は、ニホンタチバナ(Citrus tachibana)、コウライタチバナ(C. nipponokoreana)、ハナユ、シキキツ、キジツ、ダイダイ、地中海マンダリン、ダンシータンジェリン、オオベニミカン、コベニミカン、無核キシュウ、フクレミカン、カプチー、太田ポンカン、ヒラキシュウ、サンキツ、クレオパトラ、コウジ、ギリミカン、イーチャンレモン、ウンシュウミカン(Citrus unshiu Markovich)、Citrus reticulata Blanco (Rutaceae)、シークワーサー、ユズ、ブンタン、ヒュウガナツ、ポンカン、ナツミカン、ネーブルオレンジ、ハッサク、イヨおよびカボスからなる群から選択される植物のうちノビレチン含有量が高いものであり、好ましくはCitrus reticulata Blanco (Rutaceae)、ニホンタチバナ(Citrus tachibana)、コウライタチバナ(C. nipponokoreana)またはオオベニミカンである。本明細書において用語「タチバナ」は、ニホンタチバナまたはコウライタチバナを意味する。
本発明の乾燥植物組織は、上記柑橘類の果皮または葉を歩留まり(乾燥後質量/乾燥前質量の割合)が、果皮の場合には20〜50%、葉の場合には20〜50%となるような条件にて乾燥した物質を意味する。加熱乾燥条件としては、温度50〜100℃にて1〜3時間が挙げられ、好ましくは温度60℃にて2時間である。本発明の好ましい乾燥植物組織は、陳皮、橘皮およびタチバナの葉である。陳皮とは、柑橘類植物(例えば、Citrus reticulata Blanco (Rutaceae)、オオベニミカンなど)の成熟した果皮を意味し、橘皮とは、特にニホンタチバナまたはコウライタチバナなどのタチバナの成熟した果皮を意味し、タチバナの葉とは、ニホンタチバナまたはコウライタチバナなどのタチバナの葉を意味する。
本発明の植物組織抽出物は、上記乾燥植物組織からの抽出物であり、好ましくは水抽出により得られるエキスである。本明細書における好ましい水抽出は、60〜100℃における水による抽出である。
本発明の乾燥植物組織および植物組織抽出物に含まれる成分としては、フラボノイド類、例えばノビレチン、ナリルチン、タンゲレチンおよびヘスペリジンなどが挙げられる。本発明の乾燥植物組織および植物組織抽出物の活性は、これらに含まれる成分の含有量および含有比率に起因する相乗効果のために、ノビレチン単体の薬効と比較して顕著である。
本発明の乾燥植物組織は、総重量に対して0.3または0.4重量%以上、好ましくは0.3〜2.0重量%、より好ましくは0.4〜2.0重量%のノビレチン、0.7重量%以下、好ましくは0.4重量%以下のナリルチン、0.1〜0.8重量%のタンゲレチンおよび0.4〜12重量%のヘスペリジンを含有する。本発明の乾燥植物組織はまた、ノビレチン/ナリルチンの含有重量比が1.0以上、好ましくは1.5〜23.0、より好ましくは2.0〜15.0、さらに好ましくは5.0〜15.0である。
本発明の乾燥植物組織は、これに含まれる各成分の割合が上記範囲内であれば、いずれの植物に由来するものであっても、本発明の薬効、すなわち中枢神経変性疾患改善効果(抗アルツハイマー病活性、抗パーキンソン病活性など)、学習・記憶障害改善効果、リン酸化促進作用およびPKA/ERKシグナル伝達促進効果、CRE転写活性およびTH転写活性、TH発現量上昇作用、ドーパミン合成能促進作用、またはドーパミン分泌促進作用を示す。
本発明の植物組織抽出物は、総重量に対して0.6〜2.0重量%以上、好ましくは0.6〜3.0重量%のノビレチン、0.7重量%以下、好ましくは0.4重量%以下のナリルチン、0.1〜1.0重量%のタンゲレチンおよび1.8〜6.0重量%のヘスペリジンを含有する。本発明の植物組織抽出物はまた、ノビレチン/ナリルチンの含有重量比が2.0以上、好ましくは2.0〜14.0、より好ましくは2.5〜10.0である。
本発明の植物組織抽出物は、これに含まれる各成分の割合が上記範囲内であれば、いずれの植物に由来するものであっても、本発明の薬効、すなわち中枢神経変性疾患改善効果(抗アルツハイマー病活性、抗パーキンソン病活性など)、学習・記憶障害改善効果、リン酸化促進作用およびPKA/ERKシグナル伝達促進効果、CRE転写活性およびTH転写活性、TH発現量上昇作用、ドーパミン合成能促進作用、またはドーパミン分泌促進作用を示す。
本明細書において用語「中枢神経変性疾患」としては、アルツハイマー病、特に学習・記憶障害、およびパーキンソン病が挙げられる。
本発明の乾燥植物組織および植物組織抽出物の抗アルツハイマー病活性および/または抗パーキンソン病活性としては、中枢神経変性疾患の発症メカニズムに関与する学習・記憶障害の改善またはドーパミン合成の促進が挙げられる。具体的には、シナプス可塑性促進活性およびCRE(cAMP応答配列)依存的転写活性、またはチロシン・ヒドロキシラーゼ(TH)転写活性促進活性、TH発現量上昇活性、ドーパミン含量上昇活性、ドーパミン分泌促進活性などである。
より詳細には、本発明の乾燥植物組織および植物組織抽出物は、植物組織の種類に応じて異なる活性を示してもよい。例えば、ドーパミンが関連する活性について、陳皮または陳皮エキスはドーパミン含量上昇活性を示し得、橘皮または橘皮エキスはドーパミン分泌促進活性を示し得る。
本明細書において学習・記憶障害は、記憶過程における以下の三つの能力を低下させる障害である:記憶の獲得(encoding)、保持(retention)および想起(recall)能力。本明細書において用語「獲得」とは情報を記憶に取り込むことであり、「保持」とは取り込まれた情報を保存することであり、「想起」とは保存された情報を思い出すことを意味する。
本発明の乾燥植物組織または植物組織抽出物を当分野にて通常用いられる方法に従って処理することにより、中枢神経変性疾患用治療薬を製造することができる。本明細書において中枢神経変性疾患用治療薬としては、抗アルツハイマー病薬および/または抗パーキンソン病薬、すなわち抗アルツハイマー病活性および/または抗パーキンソン病活性を有する医薬品が挙げられる。
本明細書において用語「医薬品」は、ヒトおよび動物における疾患の診断、治療または予防のための物質を意味し、生薬を含む医薬品、例えば生薬製剤および漢方薬を含む。好ましい医薬品は、経口投与形態であり、より好ましくは細粒剤、茶剤、煎剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、ゼリー剤、散剤、液剤、シロップ剤またはエキス製剤である。
本明細書において用語「生薬」は、天然に存在する薬効を有する産物から有効成分を精製することなく、対象の体質改善のために用いる物質の総称であり、1以上の生薬成分を含む。本明細書において用語「漢方薬」は、漢方医学の理論に基づいて処方される医薬品を意味する。
本明細書において用語「食品」は、いわゆる健康食品と、当局の許可等の有無や食品の目的、機能等の違いによって区別される、特定保健用食品および栄養機能食品などの保健機能食品とを含む。本明細書における好ましい食品は、細粒、ゼリーの素、ピール、ジャムまたは茶であり、より好ましくは細粒または茶である。
本明細書における医薬品および食品への各成分の配合量は、対象の使用目的、性別、症状等に応じて適宜調整することができるが、例えば本発明の乾燥植物組織10〜100重量%または植物組織抽出物10〜90重量%、および他の担体または添加物0〜90重量%である。本発明の乾燥植物組織または植物組織抽出物の成人1日あたりの摂取量は、それぞれ3〜50gまたは1〜20gであるのが好ましく、より好ましくは5〜30gまたは2〜10gである。
本明細書における他の担体および添加物としては、当分野で通常用いられるものが挙げられ、例えば医薬的または食品衛生的に許容される生薬成分、アスコルビン酸、アスパルテーム、アップル香料、オレンジ香料、カラギナン、カラメル、カルナウバロウ、カルメロース、カルメロースカルシウム、還元麦芽糖液糖、還元麦芽糖水飴、含水二酸化ケイ素、キシリトール、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グラニュー糖、軽質無水ケイ酸、ゲル化剤(FG-2266、新田ゼラチン株式会社)、合成ケイ酸アルミニウム・ヒドロキシプロピルスターチ・結晶セルロース、サラシミツロウ、酸化チタン、食塩、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、タルク、デキストリン、トウモロコシデンプン、乳糖、ハチミツ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微粒二酸化ケイ素、プルラン、ペクチン、マルトース、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルセルロース、レシチンおよびローカストビーンガムが挙げられる。
本明細書における医薬的または食品衛生的に許容される生薬成分としては、当分野で通常用いられるものが挙げられ、例えばイレイセン、ウヤク、エンゴサク、オウギ、オウゴン、オウバク、オンジ、カッコウ、カッコン、カンキョウ、カンゾウ、キキョウ、キクカ、キジツ、キョウニン、ケイヒ、コウカ、コウブシ、コウボク、ゴシツ、ゴシュユ、ゴミシ、サイコ、サンシシ、ジオウ、シャクヤク、ショウキョウ、ショウマ、シンキク、セッコウ、センキュウ、ゼンコ、ソウジュツ、ソボク、ソヨウ、ダイオウ、タイソウ、ダイフクヒ、タクシャ、チクジョ、チモ、チョウトウコウ、テンマ、テンモンドウ、トウキ、トウニン、ニンジン、バクガ、バクモンドウ、ハンゲ、ビャクシ、ビャクジュツ、ビンロウジ、ブクリョウ、ボウイ、ボウショウ、ボウフウ、ボタンピ、マオウ、モクツウ、モッコウ、ヤクモソウ、リュウタンおよびワキョウカツが挙げられる。
以下の実施例において、陳皮1〜6、橘皮1〜6、タチバナの葉1〜3およびオオベニミカン1(果皮)は本発明の乾燥植物組織であり、陳皮7〜12は従来のものである。また、以下の実施例にて用いたサンプルと含有成分の観点から同程度の植物組織は、小太郎漢方製薬株式会社から入手可能である。
[実施例1]乾燥植物組織の製造
本実施例において、種々の柑橘類から採取した果皮および葉を陰干し、日干しまたは加熱乾燥することにより陳皮、橘皮、タチバナの葉およびオオベニミカンの果皮の乾燥体を製造した。加熱乾燥は、歩留まり(乾燥後質量/乾燥前質量の割合)が陳皮および橘皮について20〜50%、タチバナの葉について20〜50%、オオベニミカンの果皮について20〜50%となるまで行い、具体的には温度60℃にて2時間加熱乾燥した。
[実施例2]植物組織抽出物の製造
実施例1で得られた陳皮、橘皮、タチバナの葉またはオオベニミカンの果皮を細切りしたもの約10 gに純水400 mLを加えて加熱した(橘皮6については、細切りしたもの約20 gに純水1000 mLを加えて加熱した)。混合物が沸騰した後、100℃にて1時間かけて抽出した。次いで、ガーゼ(2枚)を通してろ過し、ろ液を凍結乾燥して植物組織抽出物を得た。植物組織抽出物の製造結果を以下の表1に示す。
Figure 0005503726
[実施例3]含有成分の分析
実施例1および2で得られた乾燥植物組織および植物組織抽出物の含有成分を以下のようにして測定した。以下に、陳皮および陳皮エキスについての分析方法を示す。
(ノビレチンおよびタンゲレチンの定量)
ノビレチンおよびタンゲレチンの定量に用いた標準溶液を以下のように調製した。ノビレチン(和光純薬工業株式会社)をデシケーター(シリカゲル)で24時間以上乾燥した。乾燥ノビレチン約5 mgをメタノール/水混液(7:3)に溶解して100 mLとし、ノビレチン標準溶液とした。また、タンゲレチン(和光純薬工業株式会社)をデシケーター(シリカゲル)で24時間以上乾燥した。乾燥タンゲレチン約3 mgをメタノール/水混液(7:3)に溶解して100 mLとし、タンゲレチン標準溶液とした。
陳皮の試料溶液として、陳皮の粉末約0.3 gを50 mLの共栓遠心沈殿管に入れ、これにメタノール50 mLを加えた。混合物に超音波を照射して(UT-305HS、シャープ株式会社)抽出を行った後、遠心分離した(KUBOTA KN-70、株式会社久保田製作所)。その後ろ過し、陳皮の試料溶液とした。
陳皮エキスの試料溶液として、陳皮エキス約0.3 gを50 mLの共栓遠心沈殿管に入れ、これにメタノール/水混液(7:3)50 mLを加えた。混合物に超音波を照射して(UT-305HS、シャープ株式会社)抽出を行った後、遠心分離した(KUBOTA KN-70、株式会社久保田製作所)。その後ろ過し、陳皮エキスの試料溶液とした。
以上のようにして調製した標準溶液および試料溶液を以下の分析条件下にて定量した。
検出器: 紫外吸光光度計(測定波長: 338 nm)
カラム: Mightysil RP-18 4.6 mm x 15 cm(関東化学株式会社)
移動相: 水/アセトニトリル混液(3:2)
流速: 1.0 mL/分(ノビレチンの保持時間を約10分とした)
カラム温度: 40℃
注入量: 10μL
(ヘスペリジンおよびナリルチンの定量)
ヘスペリジンおよびナリルチンの定量に用いた標準溶液を以下のように調製した。ヘスペリジン(和光純薬工業株式会社)をデシケーター(シリカゲル)で24時間以上乾燥した。乾燥ヘスペリジン約10 mgを50%メタノールに溶解して50 mLとし、ヘスペリジン標準溶液とした。また、ナリルチン(和光純薬工業株式会社)をデシケーター(シリカゲル)で24時間以上乾燥した。乾燥ナリルチン約10 mgを50%メタノールに溶解して500 mLとし、ナリルチン標準溶液とした。
陳皮の試料溶液として、陳皮の粉末約0.1 gにメタノール30 mLを加えた。混合物に超音波を20分間照射して(UT-305HS、シャープ株式会社)抽出を行った後、遠心分離し(KUBOTA KN-70、株式会社久保田製作所)上清を分取した。残留物にメタノール20 mLを加えて超音波を20分間照射して抽出を行った後、遠心分離した。これを分取した上清と合わせて陳皮の試料溶液とした。
陳皮エキスの試料溶液として、陳皮エキス約0.1 gを50 mLの共栓遠心沈殿管に入れ、これにメタノール/水混液(1:1)50 mLを加えた。混合物に超音波を照射して(UT-305HS、シャープ株式会社)抽出を行った後、遠心分離した(KUBOTA KN-70、株式会社久保田製作所)。その後ろ過し、陳皮エキスの試料溶液とした。
以上のようにして調製した標準溶液および試料溶液を以下の分析条件下にて定量した。
検出器: 紫外吸光光度計(測定波長: 285 nm)
カラム: L-column2 ODS 4.6 mm x 25 cm(化学物質評価研究機構)
移動相: 水/アセトニトリル/酢酸混液(40:10:1)
流速: 0.8 mL/分(ヘスペリジンの保持時間を約15分とした)
カラム温度: 30℃
注入量: 10μL
実施例1および2で得られた陳皮、橘皮、タチバナの葉およびオオベニミカンの果皮の分析結果を以下の表2に、これら植物組織抽出物の分析結果を表3に示す。また、本発明の陳皮および従来の陳皮に含まれるフラボノイド類の三次元クロマトグラムをそれぞれ図1AおよびBに示す。
Figure 0005503726
*: 各成分の含量は、用いる柑橘類の植物体の採取場所や採取時期などによって変化することがある。例えば、橘皮の青色果皮では約1.60重量%のノビレチン含量のものもあったが、黄色果皮になると約1.1重量%であった。
Figure 0005503726
*: 各成分の含量は、用いる柑橘類の植物体の採取場所や採取時期などによって変化することがある。
[試験例]
上記実施例で得られた陳皮エキスについて以下のインビトロおよびインビボ試験を行った。
[一般的試験手順1]
以下の試験例1で用いた一般的試験手順は以下のとおりである。
(ラット胎仔初代海馬神経細胞の培養)
妊娠Sprague-Dawley(SD)ラットを12時間周期の明暗サイクルにて給餌・給水して飼育した。妊娠18日目のラット(E18)からエーテル深麻酔下にて腹部正中切開により無菌的に子宮を摘出した。実体顕微鏡下、氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中にて胎仔の海馬を摘出し、パパイン酵素(SUMILON)で組織を分散させ、1000 rpmにて4分間遠心分離した後、上清を除去した。次いで、細胞ペレットを分散液(SUMILON)中にて分散させ、さらにピペッティングにより十分分散させた細胞に除去液(SUMILON)を加えて900 rpmにて5分間遠心分離した後、上清を除去した。
次に、ペレットをNeurobasal Medium(Neurobasal Medium 500 mL/フェノール・レッド不含, 50 x B27 Supplement 10 ml, 0.5 mM L-グルタミン, 0.005%ペニシリン-ストレプトマイシン)を用いて懸濁し、ポリ-L-リジンでコーティングした皿またはプレートに播種した。培養1日後に培地交換し、その後3〜4日おきに培地を半量交換し、10μM AraCを含有する培地中37℃にて5% CO2インキュベーター内で14日間培養した。
なお、薬物処置実験用試験培地は、10μM AraCを含有するNeurobasal Mediumを用いた。
(SDS-PAGEおよびウェスタン・ブロット分析1)
ラット胎仔初代海馬神経細胞を35 mm皿に1×106細胞/皿にて播種し、成長培地中14日間5% CO2インキュベーターで培養した後、薬物を10分間処置した。
各細胞を薬物処置した後、氷冷したPBSで洗浄した。次いで、細胞可溶化液(1 mM EDTA, 1% SDS, 10 mM NaF, 10 nMカリキュリン, 320 nMオカダ酸, 1 mMオルトバナジウム酸ナトリウム, 1 mM p-APMSF, 10μg/mLペプスタチンA, 10μg/mLアンチパイン, 10μg/mLロイペプチン, 10μg/mLキモスタチン, 10μg/mLホスホラミドン, 10 mM HEPES, pH7.5)で回収した。その後すみやかに95℃にて5分間煮沸し、タンパク質を変性させた後、DNAを超音波破砕してSDS-PAGE用サンプルを調製した。
SDS-PAGEの分離ゲルとして12.5%ポリアクリルアミドゲルを用い、35 V, 10 mAにて泳動した後、ゲルからPVDF膜へタンパク質を転写し、5%スキムミルクを含むTBST(10 mM Tris-HCl, 100 mM NaCl, 0.05% Tween 20, pH7.4; 以下、ブロッキングバッファと称する)を用いて室温にて1または2時間ブロッキングした。次いで、サンプルをTBSTで洗浄し、ブロッキングバッファで1000倍に希釈した一次抗体と4℃にて一晩インキュベートした。さらにサンプルをTBSTで洗浄し、ブロッキングバッファで2000倍に希釈したHRP標識IgG抗体と室温にて2時間インキュベートし、TBSTで洗浄した。抗体陽性のバンドの検出にはECL法を用いた。リプロービングは予め50℃に温めたストリッピング・バッファ(62.5 mM Tris-HCl, 2% SDS, 100 mMβ-メルカプトエタノール, pH7.4)にPVDF膜を入れて50℃にて30分間インキュベートして抗体を剥がし、TBSTで洗浄した。その後、リプロービングにより内部標準タンパク質を検出した。
(統計学的解析1)
実験結果はワンウェイANOVA(Student-Newman-Keuls)を用いて評価した。有意水準を両側5%として検定し、p<0.05を有意とした。
[試験例1]陳皮エキスの学習・記憶障害改善作用(インビトロ試験)
本試験例において、学習・記憶障害に対する本発明の陳皮エキスの作用を検討した。インビトロ試験において、陳皮エキスの海馬ニューロンにおける核内タンパク質CREBのリン酸化促進作用を検討し、初代培養海馬神経細胞におけるNMDA受容体遮断薬(MK801)によるPKA/ERKシグナル伝達抑制への陳皮エキスの影響を検討した。
なお、本明細書において用いるMK801は、グルタミン酸受容体のサブタイプの一つであるNMDA受容体の非選択的アンタゴニストであり、ジゾシルピン(dizocilpine)とも称される。
本試験例で用いた陳皮エキスは以下のように調製した。すなわち、インビトロ試験では、陳皮1からの陳皮エキス7.2 gを秤量し、50 ml遠心チューブに入れ、これにジメチルスルホキシド(DMSO)を加えて30 mLとした。その後、30分間超音波処理し、3000 rpmで10分間遠心分離し、上清を回収して陳皮エキスとして用いた。
[試験例1−1]初代培養海馬神経細胞における陳皮エキスのCREBリン酸化促進効果
種々の濃度の陳皮エキスによるCREBリン酸化に対する効果についてウェスタン・ブロット法を用いて検討した。1×106細胞/35-mmプラスチックシャーレの密度にて増殖させたE18ラット海馬神経細胞を14日間培養した。細胞を陳皮エキス(30, 60, 120, 240および480μg/ml)で10分間処理した。抗リン酸化CREB抗体を用いてウェスタン・ブロット法を行った。次いで、ブロットを剥ぎ取り、抗14-3-3-β抗体について再度試験し、等量のタンパク質が各レーンにて電気泳動されたことを確認した。
図2Aに示されるように、陳皮エキスは濃度依存的にCREBリン酸化を促進した。
[試験例1−2]初代培養海馬神経細胞における陳皮エキスのPKA基質リン酸化促進効果
種々の濃度の陳皮エキスによるPKA基質リン酸化に対する効果についてウェスタン・ブロット法を用いて検討した。1×106細胞/35-mmプラスチックシャーレの密度にて播種したE18ラット海馬神経細胞を14日間培養した。細胞を異なる濃度の陳皮エキスで10分間処理した。抗リン酸化PKA基質抗体を用いてウェスタン・ブロット法を行った。次いで、ブロットを剥ぎ取り、抗14-3-3-β抗体について再度試験し、等量のタンパク質が各レーンにて電気泳動されたことを確認した。
図2Bに示されるように、陳皮エキスは濃度依存的にPKA基質リン酸化を促進した。
[試験例1−3]初代培養海馬神経細胞における陳皮エキスの細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)1/2リン酸化促進効果
種々の濃度の陳皮エキスまたはノビレチンのERK1/2リン酸化に対する効果についてウェスタン・ブロット法を用いて検討した(陳皮エキス60μg/ml中にノビレチン1μMを含有)。1×106細胞/35-mmプラスチックシャーレの密度にて増殖させたE18ラット海馬神経細胞を14日間培養した。細胞を陳皮エキス(30, 60, 120, 240および480μg/ml)またはノビレチン(4, 8および30μM)で10分間処理した。抗リン酸化ERK1/2抗体を用いてウェスタン・ブロット法を行った。次いで、ブロットを剥ぎ取り、抗ERK1/2抗体について再度試験し、等量のタンパク質が各レーンにて電気泳動されたことを確認した。
図2Cに示されるように、陳皮エキスは濃度依存的にERK1/2リン酸化を促進した。また、陳皮エキスはノビレチンと比較して、強い作用を示した。すなわち、ノビレチン4μMを含有する本発明の陳皮エキス240μg/mlのリン酸化促進効果は、ブロットの大きさによりノビレチン4μMの効果より強いことが示唆された。
[試験例1−4]初代培養海馬神経細胞における陳皮エキスのPKA/ERKシグナル伝達促進効果
初代培養ラット海馬神経細胞においてMK801によるPKA/ERKシグナル伝達抑制に及ぼす陳皮エキスの影響を検討した。初代培養ラット海馬神経細胞に、陳皮エキスまたはノビレチンを1時間前処置した後、MK801を30分間処置し、さらに15分間N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)で処置した。抗リン酸化PKA基質抗体を用いてウェスタン・ブロット法を行った。次いで、ブロットを剥ぎ取り、抗14-3-3-β抗体について再度試験し、等量のタンパク質が各レーンにて電気泳動されたことを確認した(図2Dを参照のこと)。また、抗リン酸化ERK1/2抗体を用いてウェスタン・ブロット法を行った。次いで、ブロットを剥ぎ取り、抗ERK1/2抗体について再度試験し、等量のタンパク質が各レーンにて電気泳動されたことを確認した(図2Eを参照のこと)。
その結果、MK801はNMDAによるPKA/ERKシグナル伝達を抑制した。しかし、陳皮エキスは濃度依存的にMK801によるシグナル伝達抑制に対して拮抗作用を示し、陳皮エキス(陳皮エキス480μg/ml中にノビレチン8μMを含有)の作用はノビレチン8μMのものよりも強力であった。
(考察1)
上記試験例の結果から、シナプス形成および長期記憶の形成に深く関与することが知られている核内タンパク質であるCREB、さらにその上流にあるPKA基質およびERK1/2のリン酸化において、本発明の陳皮エキスは有意なリン酸化促進作用を有することが明らかとなった。本発明の陳皮エキスはまた、ERK1/2においてノビレチンよりも強いリン酸化促進作用を示した。
さらに、本発明の陳皮エキスは、MK801によるPKA/ERKシグナル伝達抑制に対して有意に拮抗作用を示し、その作用はノビレチンよりも強力であった。これにより本発明の陳皮エキスは、これに含まれるノビレチンとノビレチン以外の成分との相乗的作用を有することが示された。
[試験例2]海馬神経細胞における陳皮エキスのCRE依存的転写活性(インビトロ試験)
本試験例において、本発明の陳皮エキスのCRE依存的転写活性作用を従来の陳皮エキスおよびノビレチンと比較した。
上記一般的試験手順1に記載のように、ラット海馬神経細胞を初代培養した後、レポータージーンアッセイを行った。海馬神経細胞を48ウェルプレートに8 x 104細胞/ウェルで播種し、Neurobasal mediumで10〜14日間培養した。レポータープラスミド(0.1μg/ウェル)、ウミシイタケpRG-TKプラスミド(0.01μg/ウェル)をリポフェクション法にてトランスフェクトし、16時間培養。AraC無添加のNeurobasal medium(B-27 Supplement、L-グルタミン、ペニシリン-ストレプトマイシンを含む)で希釈し、300μg/mlの濃度の陳皮エキスで8時間処置した。なお、陳皮エキスは150 mg/ml DMSO溶液をストック溶液とし、分注して-20℃にて保存した。転写活性の測定はPromega社製のDual-Luciferase(登録商標)Reporter Assay Systemを用いて行った。海馬神経細胞をPassive Lysis Buffer(Promega)で可溶化後、Luciferase Assay Regent II(Promega)およびStop & Glo(登録商標)Reagent(Promega)を混和し、ルミノメーターで蛍光値を測定した。
統計学的解析のために、レポータージーンアッセイ、RT-PCRで得られた結果はone-way ANOVA(Tukey)を用いて評価した。有意水準を両側5%として検定し、p<0.05を有意とした。
(考察2)
図2Fおよび2Gに示されるように、本試験例で用いた陳皮エキスにおけるノビレチン濃度は2.5μMであり、30μMノビレチンの12分の1の濃度であるにもかかわらず、そのCRE依存的転写活性は30μMノビレチンを超えるものであった。すなわち、多成分系の本発明の陳皮エキスでは、ノビレチン以外の成分の存在によりノビレチンのCRE依存的転写促進活性がノビレチン単体から想定される活性よりも顕著かつ相乗的に増大することが判明した。さらに、本発明の陳皮エキスは、従来の陳皮エキスよりも強いCRE依存的転写活性が認められたことから、学習・記憶障害改善作用を示し、より効果的にアルツハイマー病の認識機能を改善することが示された。
[試験例3]陳皮エキスの学習・記憶障害改善作用(インビボ試験)
次に、インビボ試験において、MK801誘発性記憶障害モデルマウスを用いて、行動薬理学的に学習・記憶障害に対する本発明の陳皮エキスの作用を検討した。
本試験例で用いた陳皮エキスは以下のように調製した。すなわち、陳皮1からの陳皮エキス5.54 gを秤量し、50 ml遠心チューブに入れ、これに生理食塩水を加えて30 mLとした。その後、30分間超音波処理した。
マウスへの陳皮エキスの投与用量は、ノビレチン含量を基に調製した。ここで、ノビレチン含量は、予めノビレチン標準物質を用いたHPLC法の絶対検量線法により測定した。
MK801誘発性学習・記憶障害に対する陳皮エキスの慢性投与による作用を検討した。マウスを4群に分け、それぞれ陳皮エキス1.48 g/kgまたは3.69 g/kg(ノビレチン含量: それぞれ10 mg/kgまたは25 mg/kg)を1群ずつに、2群に生理食塩水を7日間連続的に経口投与した。7日目にこれらを投与した90分後にMK801(0.08 mg/kg)または生理食塩水を皮下投与した。その30分後に恐怖条件付け学習試験を行った。
恐怖付け学習試験において、マウスを透明なボックスに入れ、2分間自由に探索させた後、0.7 mA、2 sの電気刺激を与えた。これを3回繰り返して学習試行を行い、記憶の獲得および保持能力を評価した。24時間後に、マウスを再び透明なボックスに入れ、マウスのすくみ行動、すなわち呼吸以外のすべての動作が停止した状態を指標とした確認試行を行い、学習・記憶行動として5分間の測定により保持および想起能力を評価した。結果を図3Aに示す。
[比較試験1]ノビレチンによる学習・記憶障害改善作用の検討
上記試験例1−1にて、陳皮エキスの経口投与をノビレチン(10, 50 mg/kg)の腹腔内投与に代えて比較試験を行った。結果を図3Bに示す。
図3AおよびBに示されるように、MK801の処置により、すくみ行動が有意に減少したが、陳皮エキスの投与により学習試行および確認試行のいずれの場合も用量依存的にその減少について改善効果が認められた。特に学習試行では、本発明の陳皮エキスを投与したマウスは、MK801の処置を受けることにより学習・記憶機能が阻害されて忘却しやすくなっているにもかかわらず、3回目の条件付けにおける記憶時間が対照マウスに対して約1.5倍であり、MK801処置の陳皮エキス未投与マウスに対して約4.4倍であった(図3A)。このような結果は、ノビレチンの投与では認められなかった(比較試験1、図3B)。すなわち、本発明の陳皮エキスは、ノビレチンのみの投与では認められない記憶の獲得および保持能力の増強効果を有することが判明した。
さらに、確認試行において、本発明の陳皮エキスによる試験では、経口投与であるにもかかわらず、ノビレチン腹腔内投与による結果と比較して有意差は認められなかった。
(考察3)
上記試験例の結果から、インビボにおいても、本発明の陳皮エキスの慢性投与により学習・記憶障害を有意に改善することに加え、ノビレチンでは認められない記憶の獲得および保持能力を増強することが明らかとなった。
以上より、本発明の陳皮エキスは、シナプス可塑性促進作用およびPKA/ERK保護作用により、学習・記憶障害を改善し、さらに記憶の獲得能力を増強することが示された。すなわち、本発明の陳皮エキスは、ノビレチンよりもアルツハイマー病の中核症状である学習・記憶障害を改善し、特にノビレチンには認められない記憶の獲得および保持能力を増強および/または改善することが示された。
[一般的試験手順2]
以下の試験例4で用いた一般的試験手順は以下のとおりである。
(PC12D細胞の培養)
ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)9.5 gをMilliQ水800 mLに溶解し、これにグルコース3.5 gを加えMilliQ水で1 Lにした。オートクレーブで滅菌したものを830 mLとり、10%炭酸水素ナトリウム水溶液17 mLおよび3% L-グルタミン水溶液16.5 mLを加えた。次いで、10%となるようにウマ血清(HS)、5%となるようにウシ胎仔血清(FCS)を加えて調製したものを成長培地とし、37℃にて5% CO2インキュベーター内で培養した。
試験培地は、2% HS, 1% FCSを含有するhDMEMを使用した。
(プラスミドの導入およびレポータージーンアッセイ)
PC12D細胞を48ウェルプレートに8×104細胞/ウェルで播種し、成長培地にて24時間培養した後、pRTHプラスミドを0.1μg/ウェル、ウミシイタケpRG-TKプラスミドを0.01μg/ウェルリポフェクションした。トランスフェクション19時間後に化合物を溶解した試験培地で培地交換した。24時間インキュベートした後、培地を吸引し、Passive Lysis Bufferにて回収した。
ホタルシイタケおよびウミシイタケルシフェラーゼはDual-Luciferase Reporter Assay System(Promega)を用い、ルミノメーターで測定した。
(SDS-PAGEおよびウェスタン・ブロット分析2)
PC12D細胞を35 mm皿に0.67×106細胞/皿にて播種し、成長培地中2日間5% CO2インキュベーターで培養した後、薬物を24時間処置した。
各細胞を処置した後、氷冷したPBSで洗浄した。次いで、細胞可溶化液(1 mM EDTA, 1% SDS, 10 mM NaF, 10 nMカリキュリン, 320 nMオカダ酸, 1 mMオルトバナジウム酸ナトリウム, 1 mM p-APMSF, 10μg/mLペプスタチンA, 10μg/mLアンチパイン, 10μg/mLロイペプチン, 10μg/mLキモスタチン, 10μg/mLホスホラミドン, 10 mM HEPES, pH7.5)で回収した。その後すみやかに95℃にて5分間煮沸し、タンパク質を変性させた後、DNAを超音波破砕して遠心上清をSDS-PAGE用サンプルとして調製した。
SDS-PAGEの分離ゲルとして12.5%ゲルを用い、35 V, 10 mAにて泳動した後、ゲルからPVDF膜へタンパク質を転写し、5%スキムミルクを含むTBST(10 mM Tris-HCl, 100 mM NaCl, 0.05% Tween 20, pH7.4; 以下、ブロッキングバッファと称する)を用いて室温にて1時間ブロッキングした。次いで、サンプルをTBSTで洗浄し、ブロッキングバッファで1000倍に希釈した一次抗体と4℃にて一晩インキュベートした。さらにサンプルをTBSTで洗浄し、ブロッキングバッファで2000倍に希釈したHRP標識IgG抗体と室温にて1時間インキュベートし、TBSTで洗浄した。抗体陽性のバンドの検出にはECL法を用いた。リプロービングはストリッピング・バッファ(62.5 mM Tris-HCl, 2% SDS, 100 mMβ-メルカプトエタノール, pH7.4)を用いて抗体を剥がし、ブロットをTBSTで洗浄した後、内部標準タンパク質を検出した。
(統計学的解析2)
実験結果はワンウェイANOVA(Bonferroni)を用いて評価した。有意水準を両側5%として検定し、p<0.05を有意とした。
[試験例4]陳皮エキスのドーパミン合成促進作用
本試験例において、本発明の陳皮エキスのパーキンソン病の症状改善作用として、ドーパミン生合成系への影響を指標にして検討した。具体的には、陳皮エキスによるチロシン・ヒドロキシラーゼ(TH)転写活性への影響についてドーパミン産生細胞であるPC12D細胞において、TH遺伝子プロモーター領域DNAレポータージーンを導入して、ルシフェラーゼ活性を測定して検討した。また、THタンパク質への影響を検討するために陳皮エキスで処置したPC12D細胞におけるTHタンパク質の発現をウェスタン・ブロット法で検討した。さらに、パーキンソン病モデルマウスにおいて黒質−線条体ドーパミン神経の変性による線条体でのドーパミン含有量の低下に対する陳皮エキスまたはノビレチンの薬効を検討するため、陳皮エキスまたはノビレチンの投与後にドーパミン含量を測定した。
[試験例4−1]PC12D細胞における陳皮エキスのTH転写活性促進作用
8×104細胞/48ウェルプレートの密度にて増殖させたPC12D細胞を24時間培養した。細胞をルシフェラーゼレポーター構築体で19時間トランスフェクションし、次いで対照、陳皮1からの本発明の陳皮エキス(30, 60および120μg/ml)および従来の陳皮7のエキス(120μg/ml)またはノビレチン(2, 10および30μM)で24時間処理した。
図4Aに示されるように、PC12D細胞において、本発明の陳皮1のエキスは対照および従来の陳皮7のエキスと比較して、TH転写活性を顕著に上昇させた。また、ノビレチン換算2μMの陳皮1のエキス120μg/mlは、2μMおよび10μMのノビレチンよりも強力にTH転写活性を促進することが示された。
[試験例4−2]PC12D細胞における陳皮エキスのTH発現量上昇作用
PC12D細胞において、THタンパク質の発現の促進作用を検討した。0.67×106細胞/皿の密度にて増殖させたPC12D細胞を48時間培養した。細胞を対照または陳皮1からの陳皮エキス(60, 120, 240および480μg/ml)で24時間処理した。抗THおよび抗PKAα抗体を用いてウェスタン・ブロット分析を行った。ブロットは、最初に抗TH抗体について調べた後、剥ぎ取り、抗PKAα抗体で再度試験して等量のタンパク質が各レーンにて電気泳動されたことを確認した。
図4Bに示されるように、PC12D細胞において、陳皮エキスはTHタンパク質の発現を濃度依存的に上昇させた。
[試験例4−3]PC12D細胞における陳皮エキスのドーパミン含量上昇作用
THがドーパミン合成の律速酵素であり、PC12D細胞がドーパミン合成分泌細胞であることから、ドーパミンの上昇作用を検討した。
PC12D細胞を35 mm皿に1.0×106細胞/皿で播種し、増殖培地上5%CO2インキュベーター中にて24時間培養した後、陳皮1および陳皮7を添加した細胞培養液をさらに24時間培養した。その後、37℃に加温した低K+緩衝液(140 mM NaCl, 4.7 mM KCl, 1.2 mM KH2PO4, 2.5 mM CaCl2, 1.2 mM MgSO4, 11 mMグルコースおよび15 mM HEPES-Tris, pH7.4)にて細胞を洗浄し、最終濃度が0.4Nになるように過塩素酸溶液を加え、1分間超音波にて細胞を破砕した。得られた溶液を遠心分離し、電気化学検出器を用いた高速液体クロマトグラフィー法によりドーパミンを分離定量した。
図4Cに示されるように、本発明の陳皮1のエキスは対照および従来の陳皮7のエキスと比較して、24時間および48時間のいずれの処置においてもドーパミン含有量を増加させた。
(考察4)
上記試験例において、本発明の陳皮エキスはPC12D細胞にてTH転写活性、TH発現量およびドーパミン含量をいずれも濃度依存的に上昇させ、その作用は等濃度のノビレチンと比較して予想外かつ格別に強力であった。
すなわち、本発明の陳皮エキスは、ノビレチンより顕著にドーパミン合成促進活性を示すことが明らかとなった。従来の陳皮由来のエキスでは当該活性は認められていないことから、本発明の陳皮エキスは高含有量のノビレチンとノビレチン以外の他の成分との相乗効果によりドーパミン合成促進活性を示したと考えられる。以上により本発明の陳皮エキスは、パーキンソン病治療薬としての薬効が期待される。
[試験例5]海馬神経細胞における橘皮エキスのCRE転写活性
実施例2で得られた橘皮3から本明細書記載の方法により抽出したエキスを用いて、海馬神経細胞におけるCRE転写活性を対照およびノビレチンと比較検討した。試験手順は試験例2と同様とした。結果を図5Aに示す。
なお、本試験例で用いた橘皮3エキス300μg/mLには、ノビレチンが約9.4μM含まれていた。
図5Aに示されるように、橘皮3のエキスは対照およびノビレチンと比較して、海馬神経細胞において顕著なCRE転写活性を示した。このことから、本発明の橘皮エキスは、アルツハイマー病治療薬としての薬効が期待される。
[試験例6]橘皮エキスの学習・記憶障害改善作用(インビボ試験)
実施例2で得られた橘皮6から本明細書記載の方法により抽出したエキスを用いて、学習・記憶障害に対する本発明の橘皮エキスの作用を検討した。試験手順は試験例3と同様とした。結果を図5Bおよび図5Cに示す。
なお、橘皮エキス1.87 g/kgまたは3.73 g/kg(ノビレチン含量: それぞれ25 mg/kgまたは50 mg/kg)を1群ずつに、7日間連続的に経口投与した。
図5Bおよび図5Cに示されるように、本発明の橘皮エキスの慢性投与により学習・記憶障害を有意に改善することに加え、ノビレチンでは認められない記憶の獲得および保持能力を増強することが明らかとなった。
(考察5)
上記試験例の結果から、本発明の橘皮エキスは、アルツハイマー病治療薬としての薬効が期待される。
[試験例7]PC12D細胞における橘皮エキスのCRE転写活性
実施例2で得られた橘皮3から本明細書記載の方法により抽出したエキスを用いて、PC12D細胞におけるCRE転写活性を対照およびノビレチンと比較検討した。試験手順は試験例2と同様とした。結果を図5Dに示す。
なお、本試験例で用いた橘皮3エキス300μg/mLには、ノビレチンが約9.4μM含まれていた。
図5Dに示されるように、橘皮3のエキスは対照およびノビレチンと比較して、PC12D細胞において顕著なCRE転写活性を示した。
[試験例8]PC12D細胞における橘皮エキスのTH転写活性
実施例2で得られた橘皮3から本明細書記載の方法により抽出したエキスを用いて、PC12D細胞におけるTH転写活性を対照およびノビレチンと比較検討した。試験手順は試験例4−1と同様とした。結果を図5Eに示す。
図5Eに示されるように、橘皮3のエキスは対照およびノビレチンと比較して、PC12D細胞において顕著なTH転写活性を示した。
[試験例9]PC12D細胞における橘皮エキスのGTPシクロヒドロラーゼI(GTP cyclohydrolase I; GCH I)量上昇作用
PC12D細胞において、GCH I量上昇作用を検討した。GCH Iは、THに必須の補酵素テトラヒドロビオプテリン(BH4)の生合成における律速酵素である。
PC12D細胞は120 μg/mL濃度の橘皮エキス、陳皮エキスおよびDMSO(対照)で48時間処理後、PBSで洗浄し、細胞溶解液(1 mM EDTA, 1% SDS, 10 mM HEPES, 10 mM NaF, 1 mM p-APMSF, 1 mMオルトバナジウム酸ナトリウム, 10 nMカリキュリン(calyculin), 320 μMオカダ酸, 10 μg/mLペプスタチン(pepstatin), 10 μg/mLアンチパイン, 10 μg/mLロイペプチン, 10 μg/mLキモスタチン(chymostatin), 10 μg/mLホスホラミドン, 240 pMシペルメトリン)中で溶解した。その後5分間95℃で煮沸し、ソニケート後、10000 x gで10分間遠心を行い、上清を用いてSDS-PAGEを行った。10 μgサンプルをゲル濃度12.5%のゲルにアプライした。その後PVDFメンブレンに36Vで2時間転写を行い、メンブレンは5%スキムミルクで1時間ブロッキングした。その後GCH I抗体(ABBIOTEC、1000倍希釈)を用い、それぞれ4℃で一晩反応させ、洗浄後さらにペルオキシダーゼ標識抗ウサギ2次抗体(CST、2000倍希釈)と反応させ、ECL法でバンドを検出した。結果を陳皮エキスと比較して図5Fに示す。
なお、本試験例で用いた橘皮エキス120μg/mLにはノビレチンが約3.76μM含まれており、陳皮エキス120μg/mLにはノビレチンが約2.02μM含まれていた。
図5Fに示されるように、PC12D細胞において、橘皮エキスおよび陳皮エキスは対照に比べてGCH Iの発現量を有意に上昇させた。さらに、橘皮エキスは陳皮エキスに比べてもGCH Iの発現量を有意に上昇させた。
(考察6)
THの活性発現に必須な補酵素BH4は、ミカエリス定数が示す量より細胞内のBH4量が高くなると、THタンパク量が上昇して、THの酵素活性が増大し、ドーパミンの合成が促進される。
上記試験例の結果から、本発明の橘皮エキスは、GCH Iの発現量を有意に上昇させることから、THの活性発現に必須な補酵素BH4合成の律速酵素であるGCH I量を増加させることで、TH活性の増大を引き起こし、その結果として、ドーパミンの産生および分泌の促進が推測され、パーキンソン病治療薬としての薬効が期待される。
[試験例10]海馬神経細胞におけるタチバナの葉由来エキスのCRE転写活性
実施例2で得られたタチバナの葉1〜3から本明細書記載の方法により抽出したエキスを用いて、海馬神経細胞におけるCRE転写活性を対照およびノビレチンと比較検討した。試験手順は試験例2と同様とした。結果を図6Aに示す。
なお、本試験例で用いたタチバナの葉1由来エキス300μg/mLにはノビレチンが約4.9μM、タチバナの葉2由来エキス300μg/mLにはノビレチンが約8.5μM、タチバナの葉3由来エキス300μg/mLにはノビレチンが約6.9μM含まれていた。
図6Aに示されるように、タチバナの葉由来エキスは対照およびノビレチンと比較して、海馬神経細胞において顕著なCRE転写活性を示した。
[試験例11]PC12D細胞におけるタチバナの葉由来エキスのCRE転写活性
実施例2で得られたタチバナの葉1〜3から本明細書記載の方法により抽出したエキスを用いて、PC12D細胞におけるCRE転写活性を対照およびノビレチンと比較検討した。試験手順は試験例2と同様とした。結果を図6Bに示す。
なお、本試験例で用いたタチバナの葉1由来エキス300μg/mLにはノビレチンが約4.9μM、タチバナの葉2由来エキス300μg/mLにはノビレチンが約8.5μM、タチバナの葉3由来エキス300μg/mLにはノビレチンが約6.9μM含まれていた。
図6Bに示されるように、タチバナの葉由来エキスは対照およびノビレチンと比較して、PC12D細胞において顕著なCRE転写活性を示した。
(考察7)
上記試験例の結果から、本発明のタチバナの葉由来エキスは、ノビレチン含有量から予測される活性を超えた顕著なCRE転写活性を示しており、アルツハイマー病治療薬およびパーキンソン病治療薬としての薬効が期待される。
[試験例12]海馬神経細胞におけるオオベニミカン果皮由来エキスのCRE転写活性
実施例2で得られたオオベニミカン1から本明細書記載の方法により抽出したエキスを用いて、海馬神経細胞におけるCRE転写活性を対照およびノビレチンと比較検討した。試験手順は試験例2と同様とした。結果を図7Aに示す。
なお、本試験例で用いたオオベニミカン1果皮由来エキス100μg/mLにはノビレチンが約3.4μM、300μg/mLにはノビレチンが約10.1μM含まれていた。
図7Aに示されるように、オオベニミカン果皮由来エキスは対照およびノビレチンと比較して、海馬神経細胞において顕著なCRE転写活性を示した。
(考察6)
上記試験例の結果から、本発明のオオベニミカン果皮由来エキスは、ノビレチン含有量から予測される活性を超えた顕著なCRE転写活性を示しており、アルツハイマー病治療薬としての薬効が期待される。
[試験例13]PC12D細胞におけるオオベニミカン果皮由来エキスのCRE転写活性
実施例2で得られたオオベニミカン1から本明細書記載の方法により抽出したエキスを用いて、PC12D細胞におけるCRE転写活性を対照およびノビレチンと比較検討した。試験手順は試験例2と同様とした。結果を図7Bに示す。
なお、本試験例で用いたオオベニミカン果皮由来エキス100μg/mLにはノビレチンが約3.4μM含まれていた。
図7Bに示されるように、オオベニミカン果皮由来エキスは対照およびノビレチンと比較して、PC12D細胞において顕著なCRE転写活性を示した。
[試験例14]PC12D細胞におけるオオベニミカン果皮由来エキスのTH転写活性
実施例2で得られたオオベニミカン1から本明細書記載の方法により抽出したエキスを用いて、PC12D細胞におけるTH転写活性を対照およびノビレチンと比較検討した。試験手順は試験例4−1と同様とした。結果を図7Cに示す。
なお、本試験例で用いたオオベニミカン果皮由来エキス100μg/mLにはノビレチンが約3.4μM含まれていた。
図7Cに示されるように、オオベニミカン果皮由来エキスは対照およびノビレチンと比較して、PC12D細胞において顕著なTH転写活性を示した。
(考察7)
上記試験例の結果から、本発明のオオベニミカン果皮由来エキスは、ノビレチン含有量から予測される活性を超えた顕著なCRE転写活性およびTH転写活性を示しており、パーキンソン病治療薬としての薬効が期待される。
[製造例]本発明の医薬品および食品の製造
以下の手順により、本発明の陳皮、橘皮またはタチバナの葉を含有する医薬品または食品を製造した。
[製造例1]細粒剤A
陳皮3.0 g、トウキ3.0 g、チョウトウコウ3.0 g、センキュウ3.0 g、ビャクジュツ4.0 g、ブクリョウ4.0 g、サイコ2.0 g、カンゾウ1.5 gおよびハンゲ5.0 g(合計28.5 g)の比率で、合計量が200〜800 kgになるよう生薬を配合し、水2000〜8000 Lにて、60〜100℃、30〜180分間抽出(抽出缶)した。回転数1000〜5000 rpmでろ過(遠心分離機)して固液分離した後、8 kPa以下の減圧下で濃度約10〜40%まで濃縮(コイル回転型濃縮機)した。濃縮液を、回転数10000〜20000 rpm、給気温度130〜180℃、排気温度60〜120℃で噴霧乾燥(噴霧乾燥機)し、エキス製剤(抑肝散加陳皮半夏エキス)を得た。得られた抑肝散加陳皮半夏エキス6.1 gに対し、ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシデンプン、乳糖、プルランおよびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる添加物2.9 gの比率で、合計量が50〜400 kgの範囲で配合し、4 rpm、20分間混合(容器回転型混合機)し、ロール圧490〜2500 Paで成型して整粒(乾式造粒装置)し、篩30号〜50号間にて粒子分級(カセットスクリーン)し、細粒剤Aを得た。
得られた細粒剤A 9.0 gには、陳皮3.0 gと他の生薬とを配合した抑肝散加陳皮半夏エキスが6.1 g含有されており、目安として細粒剤A 9.0 gを成人1日あたり2〜3回に分けて服用する。
[製造例2]細粒剤B
橘皮3.0 g、ビンロウジ4.0 g、コウボク3.0 g、ケイヒ3.0 g、ソヨウ1.5 g、カンゾウ1.0 g、ダイオウ1.0 g、ショウキョウ1.0 g、モッコウ1.0 g、ゴシュユ1.0 gおよびブクリョウ3.0 g(合計22.5 g)の比率で、合計量が200〜800 kgになるよう生薬を配合し、水2000〜8000 Lにて、60〜100℃、30〜180分間抽出(抽出缶)した。回転数1000〜5000 rpmでろ過(遠心分離機)して固液分離した後、8 kPa以下の減圧下で濃度約10〜40%まで濃縮(コイル回転型濃縮機)した。濃縮液を、回転数10000〜20000 rpm、給気温度130〜180℃、排気温度60〜120℃で噴霧乾燥(噴霧乾燥機)し、エキス製剤(九味檳榔湯エキス)を得た。得られた九味檳榔湯エキス3.7 gに対し、ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシデンプン、乳糖、プルランおよびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる添加物2.3 gの比率で、合計量が50〜400 kgの範囲で配合し、4 rpm、20分間混合(容器回転型混合機)し、ロール圧490〜2500 Paで成型して整粒(乾式造粒装置)し、篩30号〜50号間にて粒子分級(カセットスクリーン)し、細粒剤Bを得た。
得られた細粒剤B 6.0 gには、橘皮3.0 gと他の生薬とを配合した九味檳榔湯エキスが3.7 g含有されており、目安として細粒剤B 6.0 gを成人1日あたり2〜3回に分けて服用する。
[製造例3]細粒剤C
陳皮2.4 g、チョウトウコウ2.4 g、ハンゲ2.4 g、バクモンドウ2.4 g、ブクリョウ2.4 g、ニンジン1.6 g、ボウフウ1.6 g、キクカ1.6 g、カンゾウ0.8 g、ショウキョウ0.8 gおよびセッコウ4.0 g(合計22.4 g)の比率で、合計量が200〜800 kgになるよう生薬を配合し、水2000〜8000 Lにて、60〜100℃、30〜180分間抽出(抽出缶)した。回転数1000〜5000 rpmでろ過(遠心分離機)して固液分離した後、8 kPa以下の減圧下で濃度約10〜40%まで濃縮(コイル回転型濃縮機)した。濃縮液を、回転数10000〜20000 rpm、給気温度130〜180℃、排気温度60〜120℃で噴霧乾燥(噴霧乾燥機)し、エキス製剤(釣藤散エキス)を得た。得られた釣藤散エキス4.48 gに対し、含水二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよびトウモロコシデンプンからなる添加物1.52 gの比率で、合計量が50〜400 kgの範囲で配合し、4 rpm、20分間混合(容器回転型混合機)し、ロール圧490〜2500 Paで成型して整粒(乾式造粒装置)し、篩30号〜50号間にて粒子分級(カセットスクリーン)し、細粒剤Cを得た。
得られた細粒剤C 6.0 gには、陳皮2.4 gと他の生薬とを配合した釣藤散エキスが4.48 g含有されており、目安として細粒剤C 6.0 gを成人1日あたり3回に分けて服用する。
[製造例4]茶剤
陳皮または橘皮を850〜4750μm角に切断し、切断した陳皮または橘皮3〜7 gを紙または布の袋に入れて茶剤とした。
得られた茶剤を成人1日あたり3回(1袋/回)で浸出して服用する。
[製造例5]生薬末-細粒剤D
陳皮または橘皮を回転数2000〜3500 rpm、目開き0.5〜3.0 mmで粗砕(粉砕機)し、さらに回転数5000〜8000 rpm、目開き150μmで粉砕(製粉機)し、生薬末とした。得られた陳皮または橘皮の生薬末10 gに対し、含水二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよびトウモロコシデンプンからなる添加物9.2 gの比率で、合計量が50〜400 kgの範囲で配合し、回転数4 rpm、20分間混合(容器回転型混合機)し、ロール圧490〜2500 Paで成型して整粒(乾式造粒装置)し、篩30号〜42号間にて粒子分級(カセットスクリーン)し、細粒剤Dを得た。
得られた細粒剤D 19.2 gには、陳皮または橘皮10 gが含有されており、目安として細粒剤D 19.2〜38.4 gを成人1日あたり2〜3回に分けて服用する。
[製造例6]煎剤
陳皮または橘皮10〜30 gを20倍量の水200〜600 mLで、100℃1時間煎じて水を半量にし、ろ過して煎剤とした。
得られた煎剤100〜300 mLには、陳皮または橘皮10〜30 gが含有されており、目安として煎剤100〜300 mLを成人1日あたり3回に分けて服用する。
[製造例7]細粒剤E
陳皮または橘皮50 kgを水500〜2000 Lにて、60〜100℃、30〜180分間抽出(抽出缶)した。回転数1000〜2500 rpmでろ過(遠心分離機)して固液分離した後、8 kPa以下の減圧下で濃度約10〜40%まで濃縮(コイル回転型濃縮機)した。濃縮液を、回転数10000〜20000 rpm、給気温度130〜180℃、排気温度60〜120℃で噴霧乾燥(噴霧乾燥機)し、陳皮または橘皮のエキスを得た。得られたエキス7.2 gに対し、微粒二酸化ケイ素およびショ糖脂肪酸エステルからなる添加物1.8 gの比率で、合計量が50〜400 kgの範囲で配合し、回転数4 rpm、20分間混合(容器回転型混合機)し、ロール圧490〜2500 Paで成型して整粒(乾式造粒装置)し、篩30号〜42号間にて粒子分級(カセットスクリーン)し、細粒剤Eを得た。
得られた細粒剤E 9.0 gには、陳皮または橘皮20 gに相当する陳皮エキスまたは橘皮エキスが7.2 g含有されており、目安として細粒剤E 9.0 gを成人1日あたり2〜3回に分けて服用する。
[製造例8]カプセル剤
陳皮または橘皮50 kgを水500〜2000 Lにて、60〜100℃、30〜180分間抽出(抽出缶)した。回転数1000〜2500 rpmでろ過(遠心分離機)して固液分離した後、8 kPa以下の減圧下で濃度約10〜40%まで濃縮(コイル回転型濃縮機)した。濃縮液を、回転数10000〜20000 rpm、給気温度130〜180℃、排気温度60〜120℃で噴霧乾燥(噴霧乾燥機)し、陳皮または橘皮のエキスを得た。得られたエキス10 gに対し、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム・ヒドロキシプロピルスターチ・結晶セルロース、トウモロコシデンプン、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウムおよびカルメロ−スカルシウムからなる添加物4.75 gの比率で、合計量が50〜400 kgの範囲で配合し、回転数4 rpm、20分間混合(容器回転型混合機)し、ロール圧490〜2500 Paで成型して整粒(乾式造粒装置)し、篩30号〜42号間にて粒子分級(カセットスクリーン)し、細粒を得た。この細粒400 mgを当分野にて通常用いられる市販のカプセルに充填(カプセル充填機)し、カプセル剤を得た。
得られたカプセル剤13個(470〜480 mg/個)には、陳皮または橘皮10 gに相当する陳皮エキスまたは橘皮エキスが3.6 g含有されており、目安としてカプセル剤13〜26個を成人1日あたり2〜3回に分けて服用する。
[製造例9]コート錠剤
陳皮または橘皮50 kgを水500〜2000 Lにて、60〜100℃、30〜180分間抽出(抽出缶)した。回転数1000〜2500 rpmでろ過(遠心分離機)して固液分離した後、8 kPa以下の減圧下で濃度約10〜40%まで濃縮(コイル回転型濃縮機)した。濃縮液を、回転数10000〜20000 rpm、給気温度130〜180℃、排気温度60〜120℃で噴霧乾燥(噴霧乾燥機)し、陳皮または橘皮のエキスを得た。得られたエキス10 gに対し、マルトース、乳糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムおよびステアリン酸マグネシウムからなる添加物9.1 gの比率で、合計量が50〜400 kgの範囲で配合し、回転数4 rpm、20分間混合(容器回転型混合機)し、回転数20〜55 rpm、一次圧縮0.6 mm以上、二次圧縮0.4 mm以上で打錠(高速回転式打錠機)し、1錠350 mgの素錠を得た。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、タルク、酸化チタンおよびカラメルからなるコーティング剤1.1 gを水/エタノール混液(3:7〜10:0)に溶解または懸濁し、排気温40〜55℃、流量200〜400 g/mL、回転数4〜6 rpmでコーティング(コーティング機)し、微量のカルナウバロウとサラシミツロウを用いて回転数1 rpm、排気温20〜30℃で艶出し(コーティング機)を行い、1錠370 mgのコート錠剤とした。
得られたコート錠剤20錠には、陳皮または橘皮10 gに相当する陳皮エキスまたは橘皮エキスが3.6 g含有されており、目安としてコート錠剤20〜40錠を成人1日あたり2〜3回に分けて服用する。
[製造例10]細粒剤F
陳皮または橘皮50 kgを水500〜2000 Lにて、60〜100℃、30〜180分間抽出(抽出缶)した。回転数1000〜2500 rpmでろ過(遠心分離機)して固液分離した後、8 kPa以下の減圧下で濃度約10〜40%まで濃縮(コイル回転型濃縮機)した。濃縮液を、回転数10000〜20000 rpm、給気温度130〜180℃、排気温度60〜120℃で噴霧乾燥(噴霧乾燥機)し、陳皮または橘皮のエキスを得た。得られたエキス10 gに対し、トウモロコシデンプン、マルトース、含水二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムからなる添加物15 gの比率で、合計量が50〜400 kgの範囲で配合し、回転数4 rpm、20分間混合(容器回転型混合機)し、ロール圧490〜2500 Paで成型して整粒(乾式造粒装置)し、篩30号〜42号間にて粒子分級(カセットスクリーン)し、細粒剤Fを得た。
得られた細粒剤F 4.5 gには、陳皮または橘皮5 gに相当する陳皮エキスまたは橘皮エキスが1.8 g含有されており、目安として細粒剤F 4.5〜9.0 gを成人1日あたり2〜3回に分けて服用する。
[製造例11]顆粒剤
陳皮または橘皮50 kgを水500〜2000 Lにて、60〜100℃、30〜180分間抽出(抽出缶)した。回転数1000〜2500 rpmでろ過(遠心分離機)して固液分離した後、8 kPa以下の減圧下で濃度約10〜40%まで濃縮(コイル回転型濃縮機)した。濃縮液を、回転数10000〜20000 rpm、給気温度130〜180℃、排気温度60〜120℃で噴霧乾燥(噴霧乾燥機)し、陳皮または橘皮のエキスを得た。得られたエキス10 gに対し、カルメロースカルシウム、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムおよびステアリン酸マグネシウムからなる添加物40 gの比率で、合計量が50〜400 kgの範囲で配合し、回転数4 rpm、20分間混合(容器回転型混合機)し、ロール圧490〜2500 Paで成型して整粒(乾式造粒装置)し、篩12号〜42号間にて粒子分級(カセットスクリーン)し、顆粒剤を得た。
得られた顆粒剤18 gには、陳皮または橘皮10 gに相当する陳皮エキスまたは橘皮エキスが3.6 g含有されており、目安として顆粒剤18〜36 gを成人1日あたり2〜3回に分けて服用する。
[製造例12]ゼリー剤
陳皮または橘皮50 kgを水500〜2000 Lにて、60〜100℃、30〜180分間抽出(抽出缶)した。回転数1000〜2500 rpmでろ過(遠心分離機)して固液分離した後、8 kPa以下の減圧下で濃度約10〜40%まで濃縮(コイル回転型濃縮機)した。濃縮液を、回転数10000〜20000 rpm、給気温度130〜180℃、排気温度60〜120℃で噴霧乾燥(噴霧乾燥機)し、陳皮または橘皮のエキスを得た。得られたエキス10 gに対し、カラギナン、ローカストビーンガム、還元麦芽糖液糖、キシリトール、アップル香料、レシチンおよびクエン酸からなる添加物40 gの比率で、合計量が10〜30 kgの範囲で配合し、回転数50〜150 rpmで混合(混合攪拌機)し、等量の80℃以上の温水を攪拌しながら加え、15℃以下に冷却してゼリー剤とした。
得られたゼリー剤18 gには、陳皮または橘皮10 gに相当する陳皮エキスまたは橘皮エキスが3.6 g含有されており、目安としてゼリー剤18〜36 gを成人1日あたり2〜3回に分けて服用する。
[製造例13]細粒
陳皮または橘皮50 kgを水500〜2000 Lにて、60〜100℃、30〜180分間抽出(抽出缶)した。回転数1000〜2500 rpmでろ過(遠心分離機)して固液分離した後、8 kPa以下の減圧下で濃度約10〜40%まで濃縮(コイル回転型濃縮機)した。濃縮液を、回転数10000〜20000 rpm、給気温度130〜180℃、排気温度60〜120℃で噴霧乾燥(噴霧乾燥機)し、陳皮または橘皮のエキスを得た。得られたエキス3.6 gに対し、微粒二酸化ケイ素およびショ糖脂肪酸エステルからなる添加物0.9 gの比率で、合計量が50〜400 kgの範囲で配合し、回転数4 rpm、20分間混合(容器回転型混合機)し、ロール圧490〜2500 Paで成型して整粒(乾式造粒装置)し、篩30号〜42号間にて粒子分級(カセットスクリーン)し、細粒を得た。
得られた細粒4.5 gには、陳皮または橘皮10 gに相当する陳皮エキスまたは橘皮エキスが3.6 g含有されており、目安として成人1日あたり細粒4.5 gを摂取する。
[製造例14]ゼリーの素
陳皮または橘皮50 kgを水500〜2000 Lにて、60〜100℃、30〜180分間抽出(抽出缶)した。回転数1000〜2500 rpmでろ過(遠心分離機)して固液分離した後、8 kPa以下の減圧下で濃度約10〜40%まで濃縮(コイル回転型濃縮機)した。濃縮液を、回転数10000〜20000 rpm、給気温度130〜180℃、排気温度60〜120℃で噴霧乾燥(噴霧乾燥機)し、陳皮または橘皮のエキスを得た。得られたエキス10 gに対し、レシチン、還元麦芽糖水飴、アスパルテーム、アスコルビン酸、クエン酸三ナトリウム、ゲル化剤(FG-2266、新田ゼラチン株式会社)およびオレンジ香料からなる添加物15.9 gの比率で、合計量が50〜400 kgの範囲で配合し、回転数4 rpm、20分間混合(容器回転型混合機)してゼリーの素とした。
得られたゼリーの素9.3 gには、陳皮または橘皮10 gに相当する陳皮エキスまたは橘皮エキスが3.6 g含有されており、目安として成人1日あたりゼリーの素9.3〜18.6 gを摂取する。
[製造例15]茶
タチバナの葉を850〜4750μm角に切断し、切断したタチバナの葉3〜7 gを紙または布の袋に入れるか、またはそのままの状態で茶とした。
目安として、得られた茶を成人1日あたり3回〜5回(1袋または3〜7 g/回)にてお湯で淹れて摂取する。
[製造例16]ピール
陳皮または橘皮200 gおよび食塩2 gを十分に浸る程度の水に入れ、蓋をして15分間沸騰させた後、お湯を捨て、冷水にくぐらせた。グラニュー糖200 gおよび水100 mLを混ぜ合わせて沸騰させた混合溶液に、水分をきった前記陳皮または橘皮を入れ、時々混ぜながら皮に透明感が出てくるまで煮た。蓋をせず、ごく弱火で40〜50分間焦げ付かないように、時々混ぜながら煮詰めた。煮汁を除いて水分をよくきった後、熱いうちに取り出して、広げて乾かした。得られた皮にグラニュー糖20 gをまぶしてピールとした。
得られたピール21.1 gには、陳皮または橘皮10 gが含有されており、目安として成人1日あたりピール21.1〜42.2 gを摂取する。
[製造例17]ジャム
陳皮または橘皮100 gに100 mLのお湯(100℃)をかけ、一晩容器に入れて蒸らし、ミキサーで粉砕した。1 Lの水を加え、強火で1時間30分煮込んだ。グラニュー糖25〜30 gを加え、中火で10〜15分間煮込んだ後、弱火にし、グラニュー糖25〜30 gを加えて溶解させた。さらに、グラニュー糖25〜30 gを加えて溶解させ、70℃以下まで冷却した後、ハチミツ60 g、ペクチン1.7 gおよびアスコルビン酸1.7 gを加え攪拌してジャムとした。
得られたジャム100 gには、陳皮または橘皮20 gが含有されており、目安として成人1日あたりジャム25〜50 gを摂取する。
[製造例18]茶
タチバナの葉30 kgを水300 Lにて、60〜100℃、5〜30分間抽出(抽出缶)した。回転数1000〜2500 rpmでろ過(遠心分離機)して固液分離し、ろ液に0.2 g/Lのアスコルビン酸を添加し、茶とした。
得られた茶500 mLには、タチバナの葉5 gが含有されており、目安として成人1日あたり茶500 mLを摂取する。
本発明の乾燥植物組織または植物組織抽出物は、アルツハイマー病およびパーキンソン病などの中枢神経変性疾患を改善する、医薬品または食品として有用であり、該疾患の有望な根本治療薬の含有成分としても利用可能である。本発明の乾燥植物組織または植物組織抽出物は特に、記憶の獲得、保持および想起能力の増強に有用である。

Claims (7)

  1. 植物組織抽出物100重量%に対してノビレチンを0.6〜3.0重量%含有し、ナリルチンを0.4重量%以下含有し、タンゲレチンを0.1〜1.0重量%含有し、ヘスペリジンを1.8〜6.0重量%含有し、ノビレチン/ナリルチンの含有重量比が2.0〜14.0である柑橘類の植物組織抽出物を含有する、学習・記憶障害における記憶の獲得能力の増強またはパーキンソン病におけるドーパミン合成能の促進、ドーパミン含量の上昇もしくはドーパミン分泌の促進のための医薬品であって、
    柑橘類がシトラス・レチクラータ・ブランコ(ルタシー)、タチバナまたはオオベニミカンである、医薬品。
  2. 柑橘類がタチバナまたはオオベニミカンである、請求項1記載の医薬品。
  3. 記憶の獲得能力の増強のための、請求項1または2のいずれか記載の医薬品。
  4. ドーパミン合成能の促進、ドーパミン含量の上昇またはドーパミン分泌の促進のための、請求項1または2のいずれか記載の医薬品。
  5. 柑橘類の植物組織抽出物が柑橘類の乾燥植物組織と医薬的に許容される生薬成分とを1:5〜1:10の重量比率で配合して得られる配合物から水抽出により得られる、請求項1〜4のいずれか記載の医薬品
  6. 細粒剤、茶剤、煎剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、ゼリー剤、散剤、液剤、シロップ剤またはエキス製剤の形態である、請求項1〜のいずれか記載の医薬品。
  7. 生薬成分がイレイセン、ウヤク、エンゴサク、オウギ、オウゴン、オウバク、オンジ、カッコウ、カッコン、カンキョウ、カンゾウ、キキョウ、キクカ、キジツ、キョウニン、ケイヒ、コウカ、コウブシ、コウボク、ゴシツ、ゴシュユ、ゴミシ、サイコ、サンシシ、ジオウ、シャクヤク、ショウキョウ、ショウマ、シンキク、セッコウ、センキュウ、ゼンコ、ソウジュツ、ソボク、ソヨウ、ダイオウ、タイソウ、ダイフクヒ、タクシャ、チクジョ、チモ、チョウトウコウ、テンマ、テンモンドウ、トウキ、トウニン、ニンジン、バクガ、バクモンドウ、ハンゲ、ビャクシ、ビャクジュツ、ビンロウジ、ブクリョウ、ボウイ、ボウショウ、ボウフウ、ボタンピ、マオウ、モクツウ、モッコウ、ヤクモソウ、リュウタンおよびワキョウカツからなる群から選択される1以上の生薬成分である、請求項記載の医薬品。
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