JP6898628B2 - 神経変性疾患治療剤 - Google Patents

神経変性疾患治療剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6898628B2
JP6898628B2 JP2016119085A JP2016119085A JP6898628B2 JP 6898628 B2 JP6898628 B2 JP 6898628B2 JP 2016119085 A JP2016119085 A JP 2016119085A JP 2016119085 A JP2016119085 A JP 2016119085A JP 6898628 B2 JP6898628 B2 JP 6898628B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
strain
lactic acid
lactobacillus
plant lactic
fermented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016119085A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017222601A (ja
Inventor
杉山 政則
政則 杉山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hiroshima University NUC
Original Assignee
Hiroshima University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hiroshima University NUC filed Critical Hiroshima University NUC
Priority to JP2016119085A priority Critical patent/JP6898628B2/ja
Publication of JP2017222601A publication Critical patent/JP2017222601A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6898628B2 publication Critical patent/JP6898628B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は神経変性疾患の予防又は治療剤に関する。
神経変性疾患は、系統的な神経細胞の変性、脱落に基づく神経回路網の破綻により引き起こされる病態である。代表的な疾患として、アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、緑内障が知られているほか、自閉症との関連性も議論されている。
このうち、アルツハイマー型認知症は初老期に発病する進行性の神経変性疾患であり、認知症の50%を占めるとされ、近年、その患者数は高齢者人口の増加とともに増え、わが国の65歳の高齢者の14%ほどが現在認知症を患っており、社会的に重要な疾患となっている。
神経変性疾患の原因である神経変性死のメカニズムには多くの分子群が複雑に関与し、それらの発現、機能異常が生じているものと予想される。しかしながら、その分子病態については解明されたものはほとんどなく、有効な神経変性の抑制方法も確立されていない。アルツハイマー病の発症機序として現在最も有力な説は、ベータアミロイドタンパク質が脳内に異常沈着することにより神経変性が誘導され、その結果認知障害を発症するというものである。
アルツハイマー病治療薬の代表的なものとして現在コリンエステラーゼ阻害を主作用に持つドネペジル等が上市されているが、当該薬剤は記憶学習機能に関連するコリン作動性神経を賦活することにより一過的に症状を緩和するいわば対処療法的な位置づけにあり、神経の変性の進行抑制ないしは神経再生を誘導する機序やアルツハイマー病発症原因自体を取り除く原因療法的治療薬は未だ存在していないのが現状である。
したがって、中枢神経系の神経細胞に作用し、神経細胞を活性化し、神経突起の萎縮を抑制或いは神経突起の形成を促進させて神経変性を抑制し、それに伴う病態や臨床症状を予防もしくは治療することができる神経変性疾患剤の開発が切望されている。
例えば、特許文献1では、アルツハイマー病、パーキンソン病等の神経変性疾患の治療、予防のために、海馬BDNF発現を増加させる目的で、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999を含む食用組成物、健康補助食品、医療用組成物が提案されている。
また、特許文献2では、乳酸菌の表面にワクチン抗原たるAβ(アミロイドβ)分子種を発現する乳酸菌を固体に投与することにより抗アミロイドβ抗体を誘導し、アミロイドβに対する免疫を固体に誘導してアルツハイマー病の予防、治療方法が提案されている。
また、特許文献3では、抗アルツハイマー用組成物及び食品として、大豆を納豆菌等で発酵させた発酵物の抽出物を含む組成物が提案されている。
また、特許文献4では、酸化及び抗老化機能及び認知症改善効果を有する新規の乳酸菌として、キムチから分離したラクトバチルス・ペントーサス変種プランタルム(Lactobacillus pentosus var. plantarum)C29 KCCM11291P及びラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)C3 KCCM430009を有効成分として含む抗酸化及び抗老化薬学組成物及び健康機能食品、認知症予防または治療用組成物及び認知症予防または改善用健康機能食品、C29またはC3菌株で発酵した発酵組成物を有効成分として含む認知症の予防または治療用組成物が提案されている。
また、非特許文献1では、柑橘類の成分ノビレチンや生薬エキスにNGF(nerve growth factor)神経突起伸展作用を増強する効果のあることが報告されている。
一方、八朔(学名:Citrus hassaku Hort.)は、元々は広島が原産のミカン科の常緑高木で、柑橘類の一つである。また、その果皮は、芳香性の健胃薬として腹痛、膨満感、便秘等の治療又は予防に使用され、また咳又は痰を鎮めるためにも使用される。さらに、八朔中に含まれるノビレチンにはアンドロゲン受容体結合阻害作用があり、男性型禿頭、多毛症、脂漏症等に有効であることが報告されている(特許文献5)。
また、田七人参、杜仲、甘草及び黄精を含む生薬組成物(例えば、「養生片仔廣」(登録商標)」)は、血中GPT(ALTとも呼ぶ)及びGOT(AST)を正常化し、肝機能改善作用を有するサプリメントとして知られ、肝癌に対する抑制作用を有すること(特許文献6)や、コレステロール血症、高血圧症等の生活習慣病の改善に(特許文献7)に有効であることも報告されている。
しかしながら、八朔や田七人参、杜仲、甘草及び黄精を含む生薬組成物を含む培地で乳酸菌培養して得られた発酵物が、神経変性疾患に有効であることは、これまで全く知られていない。
特開2015−77133号公報 国際公開第2006/126682号 特開2013−107872号公報 特表2015−526085号公報 特開2005−206546号公報 特開2006−117588号公報 特開2000−139405号公報
Yasushi Ohizumia,YAKUGAKU ZASSHI 135(3) 449-464(2015)
本発明は、神経突起の形成を促進し、アルツハイマー病、パーキンソン病、緑内障等の神経変性疾患の予防又は治療に有効な手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、酒粕を含む八朔果汁を培地とした植物乳酸菌発酵物又は田七人参、杜仲、甘草及び黄精を含む生薬組成物の植物乳酸菌発酵物に、神経突起形成促進作用があり、これらが神経変性疾患の予防又は治療に有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)〜4)に係るものである。
1)八朔の植物乳酸菌発酵物、又は田七人参、杜仲、甘草及び黄精から選ばれる1種以上を含有する生薬組成物の植物乳酸菌発酵物を有効成分とする神経変性疾患の予防又は治療剤。
2)植物乳酸菌が、ラクトバチルス プランタラム、ラクトバチルス ブレビス、ペディオコッカス ペントサセウス、及びラクトバチルス ロイテリから選ばれる1種以上である1)に記載の神経変性疾患の予防、改善又は治療剤。
3)植物乳酸菌が、ラクトバチルス プランタラムSN13T株、ラクトバチルス プランタラムSN35N株、ぺディオコッカス ペントサセウスLP28株及びラクトバチルス ブレビス174A株及びラクトバチルス ロイテリBM53−1株から選ばれる1種以上である1)に記載の神経変性疾患の予防、改善又は治療剤。
4)生薬組成物が、田七人参、杜仲、甘草及び黄精の全てを含む1)〜3)のいずれかの神経変性疾患の予防又は治療剤。
本発明の神経変性疾患の予防又は治療剤によれば、特定の神経細胞の変性、脱落を伴うアルツハイマー病、パーキンソン病等の予防、改善又は治療が可能となる。
PC−12細胞における神経突起形成促進作用。(1)ラクトバチルス プランタラムSN35N株のMRS培地での培養物、(2)YHKを含むMRS培地(乳酸菌発酵無し)、(3)YHKの植物乳酸菌(ラクトバチルス プランタラムSN35N株)発酵物、(4)八朔果汁(乳酸菌発酵無し)、(5)八朔果汁の植物乳酸菌(ラクトバチルス プランタラムSN35N株)発酵物。 YHKの植物発酵物のneurogenin−1転写活性。174A:ラクトバチルス ブレビス174A株、SN35N:ラクトバチルス プランタラムSN35N株、LP28:ぺディオコッカス ペントサセウスLP28株。
本発明の植物乳酸菌発酵物は、「八朔(ハッサク)」又は「田七、杜仲、甘草及び黄精を含む生薬組成物」を植物乳酸菌で発酵させた発酵物である。
「八朔」は、広島県が原産で、和歌山県等で盛んに栽培されているミカン科の常緑高木であり、その学名は「Citrus hassaku Hort.」である。
乳酸菌発酵に供する部位は、果実、果皮等が挙げられるが、果実が好ましい。
本発明において、八朔は、ミキサー等を用いて摩砕し、必要に応じて発酵に適した形状、例えばピューレ状(果皮を含む)、搾汁、八朔抽出液(八朔を水等の抽出溶媒で抽出した液)、若しくはこれらの濃縮液、又は八朔の果皮を粉末化したものをそのまま、或いはこれらを蒸留水等で適当な濃度に希釈して発酵原料とすることができる。
本発明において、田七人参、杜仲、甘草及び黄精から選ばれる1種以上を含有する生薬組成物(以下、「生薬組成物」とも称する)としては、田七人参、杜仲、甘草及び黄精の一種以上を組み合わせて用いることができるが、田七人参、杜仲、甘草及び黄精の4種を含むものが好ましい。田七人参、杜仲、甘草及び黄精を含む生薬組成物としては、好適には、組成物中に、田七を10〜90質量%、好ましくは30〜90質量%、杜仲を10〜90質量%、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは40〜90質量%、甘草を4〜15質量%、より好ましくは6〜11重量%、黄精を4〜20質量%、好ましくは6〜12質量%を含有する組成物が挙げられ、さらに高麗人参(朝鮮人参)を5〜20質量%含有するもの、さらには、蜂蜜を30質量%以下で含むものが好適に例示される。より具体的には、田七55質量%、杜仲25質量%、黄精10質量%、甘草5質量%、高麗人参3質量%、及び蜂蜜2質量%を含有する組成物が例示できる。
ここで、「田七人参」は、三七人参とも呼ばれ、中国原産のサンシチニンジン Panax pseudo-ginseng Wall.の根を、「杜仲」は、トチュウ科のトチュウ Eucommiae ulmoidesの樹皮の乾燥物を、「黄精」は、Polygonati Rhizoma又はSiberian Solomonseal Rhizomeとも称され、Polygonatum属の起源植物の根茎の乾燥物を、「甘草」は、マメ科のGlycyrrhiza属植物であるGlycyrrhiza glabra Linnの根及び走茎の乾燥物を、それぞれ意味する。
上記生薬組成物は、田七人参、杜仲、黄精及び甘草の各熱水抽出物を乾燥させたエキスに、適宜高麗人蔘エキスや蜂蜜を加えて混合し、粉末状又は粉末顆粒状とすることにより調製することができる。
本発明の生薬組成物としては、田七人参、杜仲、黄精及び甘草を含有する市販の「養生片仔廣(登録商標)」(株式会社 協通事業)を用いることもできる。
本発明において、植物乳酸菌とは植物由来の乳酸菌をいい、例えば穀物、野菜、果物、あるいはこれらを原材料に含む発酵食品から分離されたものを使用することができる。具体的には、ラクトバチルス プランタラムSN13T株(分離源:ソーセージ)、ラクトバチルス プランタラムSN26T株(分離源:ソーセージ)、ラクトバチルス プランタラムSN35N株(分離源:ナシ)、ラクトバチルス プランタラムJCM 1149株(分離源:塩漬キャベツ)、ラクトバチルス プランタラムJCM 8348株(分離源:コメ)、ラクトバチルス プランタラムIFO3070株(JCM 1057株)、ラクトバチルス カゼイK−1株(分離源:亀田 植物乳酸菌ヨーグルト)、ラクトバチルス カゼイJCM 8136株(分離源:不明)、ペディオコッカス ペントサセウス(分離源:大塚 野菜の戦士)、ペディオコッカス ペントサセウスLP28株(分離源:ロンガン)、ペディオコッカスJCM 5885株(分離源:酒もろみ)、ラクトバチルス プランタラムSN35M株(分離源:メロン)、ラクトコッカス ラクティス サブスペシース ラクティス SN26N株(分離源:ナシ)、エンテロコッカス スペシースSN21I株(分離源:イチジク)及びエンテロコッカス ムンヅティSN29N株(分離源:ナシ)ラクトバチルス ブレビス174A株(分離源:伊予柑 NITE AP−002247)のほか、ラクトバチルス ヒルガルディNBRC15886(分離源:ワイン)等が挙げられ、このうち、ラクトバチルス プランタラム、ラクトバチルス ブレビス、ペディオコッカス ペントサセウス、ラクトバチルス ロイテリBM53−1(NITE P−02128)が好ましい。
中でも、本発明者により分離され、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターへ寄託されている、ラクトバチルス プランタラムSN13T株(NITE P−7)、ラクトバチルス プランタラムSN35N株(NITE P−6)、ディオコッカス ペントサセウスLP28株(NITE BP−700)及びラクトバチルス ブレビス174A株 (NITE AP−002247)、ラクトバチルス ロイテリBM53−1(NITE P−02126)がより好ましい。
八朔や生薬組成物に植物乳酸菌を接種する方法は特に制限されず、例えば上記の発酵に適した形状にした八朔や生薬組成物に菌体を混合する方法、発酵に適した形状の八朔や生薬組成物を溶解又は懸濁した水に菌体を混合する方法、菌体を適当な液体培地(例えば、MRS培地)で培養した培養液を、発酵に適した形状の八朔や生薬組成物に接触させる方法、発酵に適した形状の八朔や生薬組成物を溶解又は懸濁した上記液体培地で植物乳酸菌を培養する方法などである。ここで、培養に際しては、酒粕を添加するのが当該植物乳酸菌の増殖を促進させる点から好ましい。特に八朔の植物乳酸菌発酵物を製造する場合には、酒粕の存在下で培養することが必要である。酒粕の添加量は、培地中に好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜2質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%である。
発酵に際しては、植物乳酸菌の一白金耳を種培養培地に接種することにより所定時間培養して種培養液とするが、本培養では本培養培地容量に対して1%〜2%程度の種培養液を接種後、30〜45℃の温度で12〜72時間、好ましくは10時間〜36時間培養することで乳酸菌発酵液を得る。発酵過程では発酵液のpHが徐々に低下するが、pHが4.5以下になるまで発酵させることが好ましく、4.2以下がより好ましい。また、発酵は、好気発酵、嫌気発酵のいずれでも可能であり、好ましくは嫌気発酵である。好気発酵の場合には撹拌発酵よりも静置発酵が好ましい。
得られた発酵物は、必要に応じて加熱殺菌(通常、60〜85℃で2〜60分間)した後、そのまま用いることができるが、遠心分離等の手段により、該発酵物から不溶物を除去して、その上清を用いることもできる。さらに、ろ過により菌体等を除いた上清を用いることもできる。
斯くして得られる本発明の植物乳酸菌発酵物は、後記実施例に示すように、ラット由来のPC−12細胞における神経突起の形成を促進することから、神経新生促進作用及び/又は神経再生促進作用を有すると考えられる。したがって、本発明の植物乳酸菌発酵物は、神経変性疾患の予防又は治療剤となり得、神経変性疾患の予防又は治療のために使用することができる。神経変性疾患の予防又は治療剤は、神経変性疾患の予防又は治療に有効な医薬品又は食品として、又は医薬品又は食品に配合する素材として使用可能である。
ここで、食品は、神経変性疾患の予防又は改善をコンセプトとし、その旨を表示した保険機能食品、例えば機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品等とすることが可能である。
本発明において、「神経変性疾患」としては、特定の神経細胞の変性、脱落に基づく神経回路網の破綻により引き起こされる病態をいい、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、小脳性運動失調症、脊髄性筋萎縮症、進行性核上麻痺、ハンチントン病等を挙げることができる。
本発明の植物乳酸菌発酵物を含む医薬品として用いる場合の投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与又は注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、外用剤等による非経口投与が挙げられるが、好ましい形態は経口投与である。
このような種々の剤型の医薬製剤は、本発明の植物乳酸菌発酵物の作用を妨げない範囲で、他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせることにより調製できる。
また、本発明の植物乳酸菌発酵物を含む食品の形態としては、果汁又は野菜汁飲料、炭酸飲料、茶系飲料、乳飲料、発酵乳、発酵果汁、発酵野菜汁、アルコール飲料、清涼飲料等の飲料や、ゼリー状食品や各種スナック類、焼き菓子、ケーキ類、チョコレート、ジャム、パン、ガム、飴、スープ類、漬物、佃煮などの各種食品組成物の他、サプリメントの如く上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、シロップ等)が挙げられる。
上記医薬品や食品における本発明の植物乳酸菌発酵物の含有量は、特に限定されず一日投与量等に合わせて適宜調節すれば良い。一例として、経口投与用製剤として用いる場合の該製剤中の含有量は、乾燥固形分として0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜10重量%が良い。
上記医薬品や食品の摂取又は投与対象者としては、神経機能の低下した者、神経機能低下のリスクが高い者、例えばアルツハイマー病の患者、アルツハイマー病の疑いがある患者等が挙げられる。
本発明の神経変性疾患の予防又は改善剤は、1日1回又は数回に分けて投与することができ、投与量は特に制限されない。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
製造例1 八朔の植物乳酸菌発酵物の調製
八朔濃縮果汁(株式会社ヒロシマ・コープ、広島県三原市)をBrix 17.0に合わせ、炭酸水素ナトリウムでpH5.2に調整した。その後、1% になるよう酒粕粉末を加え、100℃で10分間の熱処理により殺菌した。 準備した本培養培地に以下に示す植物乳酸菌株の前培養液を1%になるように加え、37℃で48時間の静置培養を行った。培養終了後、培養液を遠心し、その培養液上清を5N NaOHでpH5.5に調整後、フィルター殺菌したものを、八朔の植物乳酸菌発酵物として得た。
植物乳酸菌:ラクトバチルス プランタラムSN13T株、ラクトバチルス プランタラムSN35N株、ぺディオコッカス ペントサセウスLP28株及びラクトバチルス ブレビス174A株、ラクトバチルス ロイテリ BM53−1株
製造例2 田七人参、杜仲、甘草及び黄精の4種を含む生薬組成物「養生片仔廣(登録商標)の植物乳酸菌発酵物の調製
「養生片仔廣(登録商標)」(株式会社 協通事業製;「YHK」と略す」)のタブレット錠剤(0.25g重量/ 錠)を乳鉢ですり潰し、得られた粉末を20 (w/v) % となるよう蒸留水に懸濁し、60℃で, 4時間, 撹拌した。得られた懸濁液を遠心し、その上清を5% になるようMRS培地に加え, 121℃, 15分間の熱処理により殺菌した。これを培地として以下に示す植物乳酸菌株の前培養液(スターター)を1%になるように加え, 37℃, 48時間の静置培養を行った。培養終了後、培養液を遠心し、その培養液上清を5N NaOHでpH5.5に調整後、フィルター(0.22 μm 直径, アドバンテック)で濾過滅菌したものを生薬組成物の植物乳酸菌発酵物として得た。
植物乳酸菌:ラクトバチルス プランタラムSN13T株、ラクトバチルス プランタラムSN35N株、ディオコッカス ペントサセウスLP28株及びラクトバチルス ブレビス174A株、ラクトバチルス ロイテリ BM53−1株
試験例1 神経突起形成促進作用
1.方法
ラット副腎髄質褐色腫由来細胞(PC−12細胞)の培養には、10%FBS及び抗生物質(ペニシリンおよびストレプトマイシン)を含有するDMEMを用いた。100 mm 組織培養皿 (Falcon) に PC-12 細胞を播種した後,CO2 インキュベーターを用い、 37℃,5% CO2条件下で培養した. なお、3日に一度、 Trypsin-EDTA 処理して継代した。さらに、神経突起形成実験には、PC12細胞を、6x105 cells/well になるように24-ウェルプレートへ播種し、24 時間培養した。培養終了後、培養液を除去し、1% FBS/ DMEM を加え6−8時間スタベーションを行った。そのあと、製造例1で調製した八朔の植物乳酸菌発酵物及び未発酵のサンプル(乳酸菌を接種しない八朔果汁)、製造例2で調製した生薬組成物の植物乳酸菌発酵物及び未発酵のサンプル(乳酸菌を接種しなかった培地のみ)を最終濃度5%になるよう加え、さらに4-5日間培養した。
2.結果
図1(1)の写真のように, ラクトバチルス プランタルム SN35N株をMRS培地で培養し, 得られた培養液上清は, PC-12細胞の突起形成を引き起こさない。また、図1(2)のようにYHKを含むMRS培地(乳酸菌培養なし)、及び図1(4)のように八朔果汁(乳酸菌培養なし)にはPC-12細胞の突起形成能は存在しない。
しかしながら、YHKの植物乳酸菌(SN35N株)発酵物(図1(3))や、八朔果汁の植物乳酸菌(SN35N株)発酵物(図1(5))ではPC−12細胞の突起形成を著しい促進が認められた。
尚、図1には、ラクトバチルス プランタルム SN35N株を用いて発酵した発酵物の結果を示したが、製造例1及び2で示した植物乳酸菌株を用いた発酵物にはいずれも突起形成促進効果が認められ、そのうち、ラクトバチルス プランタルム SN35N株とペディオコッカス ペントサセウス LP28株はより効果が高かった。
実施例2 神経突起誘導能促進作用
1.方法
neurogenin-1は転写調節因子の1つであり、この発現量が多ければ神経突起誘導能が高いと判断できる。そこで、定量PCR(Q−PCR)を用いて、neurogenin-1の発現量を測定した。すなわち、製造例2と同様に、YHKを添加したMRS培地で3種類の植物乳酸菌(Lb. brevis 174A; Lb. plantarum SN35N; P. pentosaceus LP28)を培養し、得られた各培養液上清(YHKの植物乳酸菌発酵物)をPC−12培養細胞に添加し、その神経細胞で発現するneurogenin-1をQ-PCRで定量した。
2.結果
未醗酵のYHK含有培地のみを添加した場合におけるPC−12細胞のneurogenin-1転写量を1としたときの、3種の各乳酸菌によるYHKの発酵物を添加した際に誘導されるneurogenin-1転写量を図2に示した。
その結果、何れの植物乳酸菌発酵物においてもneurogenin-1の発現量が増加したが、特にLP28による発酵物においてneurogenin-1の発現量が高かった。

Claims (4)

  1. 七人参、杜仲、甘草及び黄精を含有する生薬組成物の植物乳酸菌発酵物を有効成分とする神経新生又は再生促進剤であって、植物乳酸菌がラクトバチルス プランタラム、ラクトバチルス ブレビス、ペディオコッカス ペントサセウス及びラクトバチルス ロイテリから選ばれる1種以上である、神経新生又は再生促進剤
  2. 植物乳酸菌が、ラクトバチルス プランタラムSN13T株、ラクトバチルス プランタラムSN35N株、ディオコッカス ペントサセウスLP28株、ラクトバチルス ブレビス174A株及びラクトバチルス ロイテリBM53−1株から選ばれる1種以上である請求項1に記載の神経新生又は再生促進剤
  3. 八朔の酒粕存在下における植物乳酸菌発酵物を有効成分とする神経新生又は再生促進剤であって、植物乳酸菌がラクトバチルス プランタラム、ラクトバチルス ブレビス及びペディオコッカス ペントサセウスから選ばれる1種以上である、神経新生又は再生促進剤。
  4. 植物乳酸菌が、ラクトバチルス プランタラムSN13T株、ラクトバチルス プランタラムSN35N株、ぺディオコッカス ペントサセウスLP28株及びラクトバチルス ブレビス174A株から選ばれる1種以上である請求項3に記載の神経新生又は再生促進剤。
JP2016119085A 2016-06-15 2016-06-15 神経変性疾患治療剤 Active JP6898628B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016119085A JP6898628B2 (ja) 2016-06-15 2016-06-15 神経変性疾患治療剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016119085A JP6898628B2 (ja) 2016-06-15 2016-06-15 神経変性疾患治療剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017222601A JP2017222601A (ja) 2017-12-21
JP6898628B2 true JP6898628B2 (ja) 2021-07-07

Family

ID=60686249

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016119085A Active JP6898628B2 (ja) 2016-06-15 2016-06-15 神経変性疾患治療剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6898628B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107773580B (zh) * 2016-08-25 2021-09-07 谢心范 用于预防或治疗痴呆症或神经退行性疾病的生药组合物
TW201919668A (zh) 2017-06-14 2019-06-01 英商4D製藥研究有限公司 包含細菌品系之組成物
AU2019216129B2 (en) * 2018-02-02 2022-03-17 Kobiolabs, Inc. Lactobacillus plantarum KBL396 strain and use thereof
JP7153899B2 (ja) * 2018-03-30 2022-10-17 丸善製薬株式会社 美白剤及び皮膚化粧料
JP2021004214A (ja) * 2019-06-27 2021-01-14 株式会社再春館製薬所 組み合わせ発酵物
JP6739602B1 (ja) * 2019-07-24 2020-08-12 雪印メグミルク株式会社 記憶・学習能維持および/または向上用組成物及び組成物を含む食品、医薬品、飼料
JP7063514B2 (ja) * 2019-12-02 2022-05-09 株式会社ライフ・クオリティ研究所 起立性低血圧の予防又は改善用剤及びそれを含む組成物
CN112841641B (zh) * 2021-01-26 2022-03-15 宁波健安进生物科技有限公司 一种即食黄精脆片及其制备方法

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1129909A (zh) * 1994-09-19 1996-08-28 柏幸成 抗感染症药和大脑代谢促进药及其制备方法
JP4588132B2 (ja) * 1998-11-13 2010-11-24 心範 謝 食品添加剤及び健康食品
WO2003077869A2 (en) * 2002-03-15 2003-09-25 Samaritan Pharmaceuticals, Inc Neuroprotective spirostenol pharmaceutical compositions
KR100688425B1 (ko) * 2003-05-19 2007-03-02 홍림통산(주) 유효 성분으로 진세노시드 Rh2를 함유하는 뇌세포 보호조성물
JP2006117588A (ja) * 2004-10-22 2006-05-11 Shinhan Sha 生薬組成物
JP5204771B2 (ja) * 2007-06-21 2013-06-05 長瀬産業株式会社 Gaba作動性ニューロン賦活剤
JP5667358B2 (ja) * 2009-06-03 2015-02-12 富士産業株式会社 柑橘類果皮の麹菌発酵組成物
WO2011105568A1 (ja) * 2010-02-26 2011-09-01 小太郎漢方製薬株式会社 学習・記憶障害および運動障害などを伴う中枢神経変性疾患を改善する乾燥植物組織および植物組織抽出物ならびにこれらを含有する医薬品および食品
WO2014027864A1 (ko) * 2012-08-16 2014-02-20 경희대학교 산학협력단 노화 및 치매의 예방 및/또는 치료 활성을 갖는 유산균
KR20140094962A (ko) * 2013-01-23 2014-07-31 계명대학교 산학협력단 리코칼콘 a를 포함하는 퇴행성 신경질환 예방 또는 치료용 조성물

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017222601A (ja) 2017-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6898628B2 (ja) 神経変性疾患治療剤
CN104784230B (zh) 发酵红参及发酵红参的制备方法
KR20050109985A (ko) 항알레르기용 조성물
KR101252639B1 (ko) 쌍화탕 또는 이의 유산균 발효물을 포함하는 골다공증 예방 또는 치료용 조성물
JP2018153182A (ja) ラクトバチルスプランタルムtci378、およびそれを用いた脂肪の減少および胃腸機能の改善における使用
KR101851195B1 (ko) 발효 뽕잎, 발효 뽕잎 추출물 및 이의 용도
KR20230005057A (ko) 락토바실러스 속 균주 및 한약재를 포함하는 병용 요법을 이용한 항노화 조성물
KR101709281B1 (ko) 생약 추출물 또는 이의 유산균 발효물을 포함하는 골다공증 예방 또는 치료용 조성물
KR20170104051A (ko) 발효 녹용 추출물 또는 그의 분획물을 함유하는 면역 강화용 조성물
KR101614929B1 (ko) 인지장애 및 기억장애 치료용 약학 조성물
KR102302933B1 (ko) 마늘 혼합 발효물의 제조 및 심혈관 질환에 유효한 약학 조성물의 제조방법
KR20200008977A (ko) 약콩 발효물을 포함하는 근감소증의 예방, 치료용, 근력 개선 또는 근육량 증대용 조성물
KR101690779B1 (ko) 홍삼농축분말 및 복분자완숙과추출물을 함유하는 발효물의 제조방법 및 상기 방법으로 제조된 발효물
KR101689192B1 (ko) 결명자를 발효시켜 변비 개선 또는 예방 활성을 증진시키는 락토바실러스 케피리 균주
TWI734322B (zh) 用於預防或治療幽門螺旋桿菌相關疾病之韓國泡菜
KR102037897B1 (ko) 케피어 유래 유산균 및 포도씨 분말을 포함하는 비만의 예방 또는 치료용 조성물
KR102275055B1 (ko) 알피나 골무꽃 추출물을 포함하는 조성물
KR101973514B1 (ko) 포도씨 분말을 포함하는 프리바이오틱스
KR101608502B1 (ko) 마늘 발효물을 포함하는 심혈관계 질환의 예방 또는 치료용 약학 조성물
KR101683030B1 (ko) 발효 울금 추출물의 제조방법 및 이의 추출방법에 의해 얻어진 추출물을 유효성분으로 포함하는 암의 예방 또는 치료용 약학 조성물
KR101577732B1 (ko) 황백 발효물을 유효성분으로 포함하는 대사성 골질환 또는 갱년기 질환의 예방 또는 치료용 약학적 조성물
KR101794637B1 (ko) 바실러스 서브틸리스 균주를 이용한 마늘 발효물 및 이의 제조방법
KR101482044B1 (ko) 하수오 및 생강 발효물을 포함하는 퇴행성 뇌질환 예방 또는 개선용 식품 조성물 및 그 제조방법
KR20170029103A (ko) 유산균 발효 허브 추출물을 함유하는 면역활성, 소화불량, 설사 및 변비 예방 또는 개선 기능성 식품 조성물
KR102030902B1 (ko) 벚나무속 식물의 열매를 이용한 유산균 발효 방법 및 이의 용도

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200221

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200423

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200625

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201110

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210601

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210604

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6898628

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150