以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、この実施の形態に適用されるパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板(図示せず)と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)と、を含む構造体である。
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の前面には、チャンスボタン16が設けられている。チャンスボタン16は、可変表示装置9などの演出手段において所定の種類の演出が実行されているときに、遊技者がこれを操作し、その操作が所定の操作条件を満たしたか否かにより、演出の結果を変化させることができるボタンである。
打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4、回転操作することにより遊技領域7に打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。
遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)により構成される可変表示装置9を備えている。可変表示装置9の周囲を取り巻く円形状の枠の中に、演出手段としての装飾ランプ25a〜25cと、役物26とが設けられている。遊技領域7の可変表示装置9よりも下側には、2つの始動入賞口14a、14bが上下に並べて配置されている。下側にある始動入賞口14bには、開放状態となることで遊技球の入賞を容易にする可変入賞装置15が設けられている。可変入賞装置15が閉鎖状態となっているときには、始動入賞口14bへの遊技球の入賞が困難になるが、完全に不可能となってしまう訳ではない。
始動入賞口14a、14bの下方には、大入賞口21が開放状態とされる特別可変入賞装置20が設けられている。特別可変入賞装置20が閉鎖状態となっているときには、大入賞口21に遊技球が全く入賞し得なくなる。特別可変入賞装置20が設けられている位置は、遊技者が可変表示装置9を見て遊技を進めている場合には、大入賞口21が開放状態となっているのかどうかが遊技者にほとんど分からないような位置となっている。特別可変入賞装置20の両側には、7セグメントLEDにより構成される特別図柄表示器10a、10bが設けられている。特別図柄表示器10a、10bでは、7セグメントLEDによって表示される特別図柄の変動表示を行なっている。
特別図柄表示器10aは、始動入賞口14aへの遊技球の入賞に基づいて特別図柄の変動表示を行い、特別図柄表示器10bは、始動入賞口14bへの遊技球の入賞に基づいて特別図柄の変動表示を行う。特別図柄表示器10a、10bの両方で同時に特別図柄の変動表示が行われることはなく、特別図柄表示器10aまたは10bで特別図柄の変動表示が終了した後に、特別図柄表示器10a、10bの両方で変動表示を開始させるための条件が成立しているときには、いわゆる電チューサポートがされる方の特別図柄表示器10bで優先的に特別図柄の変動表示が行われることとなる。
特別図柄表示器10a、10bの表示結果の態様は、7つのセグメントの点灯/非点灯の組み合わせにより、2^7−1=127通りある(^は、べき乗を表し、7セグメントの全てを非点灯する態様が特別図柄表示器10a、10bの表示結果として除かれるため、1だけマイナスされている)。第1特定表示結果、第2特定表示結果、第3特定表示結果、第4特定表示結果には、「0」〜「9」の数字などの遊技者にとって比較的分かり易い図柄を含んでいてよいが、意味のある文字とは認識できない7つのセグメントの点灯/非点灯の組み合わせも採用しており、特別図柄表示器10a、10bの表示結果だけからは大当たりの種類を特定することが非常に困難なものとなっている。
特別図柄表示器10a、10bに第1特定表示結果(確率変動大当たり図柄)を表示した後には、後述する第1大当たり遊技状態に遊技状態を制御する。第1大当たり遊技状態の終了後に、次の大当たり(種類を問わず)が発生するまでの間、時短状態(特別図柄及び普通図柄の変動表示の時間が短縮される状態)に遊技状態が制御されるとともに、通常遊技状態(或いは、確率変動状態とならない時短状態)よりも大当たり確率が高くなる確率変動状態に遊技状態が制御される。
特別図柄表示器10a、10bに第2特定表示結果(確変昇格大当たり図柄)を表示した後には、後述する第1大当たり遊技状態に遊技状態を制御する。第1大当たり遊技状態の終了後に、次の大当たり(種類を問わず)が発生するまでの間、時短状態(特別図柄及び普通図柄の変動表示の時間が短縮される状態)に遊技状態が制御されるとともに、前記した確率変動状態に遊技状態が制御される。
特別図柄表示器10a、10bに第3特定表示結果(突然確変大当たり図柄)を表示した後には、後述する第2大当たり遊技状態に遊技状態を制御する。第2大当たり遊技状態の終了後に、次の大当たり(種類を問わず)が発生するまでの間、時短状態(特別図柄及び普通図柄の変動表示の時間が短縮される状態)に遊技状態が制御されるとともに、前記した確率変動状態に遊技状態が制御される。
特別図柄表示器10a、10bに第4特定表示結果(時短大当たり図柄)を表示した後には、後述する第1大当たり遊技状態に遊技状態を制御する。第1大当たり遊技状態の終了後に、特別図柄表示器10a、10bにおいて100回の変動表示が行われるまでの間は時短状態に遊技状態が制御されるものの、次の大当たり発生までの大当たり確率を通常とする(確率変動状態の大当たり確率よりも低くなる)通常遊技状態に制御される。通常遊技状態において何れかの種類の大当たりが発生することを、初当たりという。
また、可変表示装置9では、横方向に3つ並べられた飾り図柄表示領域9a〜9cにて飾り図柄(例えば、「0」〜「9」の10種類)を縦方向にスクロールさせる変動表示を行っている。可変表示装置9は、特別図柄表示器10a、10bで行われる変動表示の内容を、飾り図柄の変動表示によって演出効果を高めて遊技者に表示するための変動表示装置である。特別図柄表示器10a、10bで特別図柄の変動表示が継続されている限り、飾り図柄の変動表示が一旦停止(仮停止)していても、大当たり抽選及び大当たり種別抽選に対する確定的な表示結果が示されたことにはならない。
さらに、可変表示装置9においては、飾り図柄が変動表示されるのに合わせてキャラクタの表示などによる演出(リーチ予告や大当たり予告などの各種演出)が行われるが実行されるものとなる。可変表示装置9は、特別図柄の変動表示に合わせて飾り図柄の変動表示を行うため以外に、後述する大当たりラウンド演出における画像を表示するためにも用いられる。
なお、第1特定表示結果(確率変動大当たり図柄)の表示によっても、第2特定表示結果(確変昇格大当たり図柄)の表示によっても、第1大当たり状態から確率変動状態への制御(+時短)という遊技状態の制御には全く変わりがない。もっとも、特別図柄表示器10a、10bに第1特定表示結果(確率変動大当たり図柄)が表示されたときには、この時点で可変表示装置9に表示される飾り図柄を「1」または「7」で揃えるなどして確率変動状態に制御される旨が報知される。
これに対して、第2特定表示結果(確変昇格大当たり図柄)が表示されたときには、この時点では可変表示装置9に表示される飾り図柄を第4特定表示結果(時短大当たり図柄)が表示されたときと同様に「1」または「7」以外の図柄で揃えるなどして確率変動状態に制御される旨が報知されない。第4特定表示結果(時短大当たり図柄)が表示されたときには、可変表示装置9に表示される飾り図柄を「1」または「7」以外の図柄とする。確率変動状態に制御される旨は、大当たりラウンド演出において報知される。
第3特定表示結果(突然確変大当たり図柄)が表示されたときには、可変表示装置9に表示される飾り図柄を特別図柄表示器10a、10bにハズレ図柄が表示されたときと同様の3つの飾り図柄が揃っていない態様にするものとなっている。なお、突然確変大当たりによって制御される第2大当たり遊技状態は、後述するように大入賞口21の開放が極短期間で終了し、大当たりラウンド演出も実行されずに次の変動表示の開始までハズレ図柄を表示したままとしておく。もっとも、第2大当たり遊技状態が終了して次の変動表示が開始されたときには、確率変動状態に制御されていることとなる。
また、特別図柄表示器10aまたは10bにて特別図柄の変動表示が行われ、可変表示装置9にて飾り図柄の変動表示が行われているときに、装飾ランプ25a〜25cの点灯や役物26の駆動などによる演出が実行されることがある。なお、パチンコ遊技機1において実行される演出には、大きく分けて予告と告知とがあるが、予告とは、それによって示される内容が生じる可能性があることの報知であり、それによって示される内容が生じることを確定的に示す報知である告知と区別される。但し、一連の演出の終了間際までは可能性を示すだけであるが、当該一連の演出の最終部分で確定的な報知がなされる場合は、最終部分が告知、それよりも前の部分が予告としての意味を持つ演出となる。
可変表示装置9の表示領域のうちの下部の表示領域に、始動入賞口14a、14bに遊技球が入り始動条件が成立したが未だ特別図柄表示器10a、10bの開始条件(例えば、前回の特別図柄の変動表示の終了、大当たり遊技状態の終了)が成立していない始動条件の成立回数として後述する主基板31のRAM55(図2参照)に記憶された保留記憶数をそれぞれ表示する保留記憶数表示手段として特別図柄保留記憶表示部11a、11bが設定されている。
特別図柄保留記憶表示部11aは、4つのアイコン(花の形態)の表示部を備え、始動入賞口14aへの有効始動入賞(本実施形態では、保留記憶数が4未満のときの始動入賞)がある毎に、表示するアイコンをその時点で表示されているアイコンの右側に1つ追加し、特別図柄表示器10aにて特別図柄の変動表示が開始される毎に、最も左側に表示されていたアイコン(今回開始した変動表示に対応していたもの)を消去するとともに、他に表示されていたアイコンを1つずつ左にずらして表示する。すなわち、表示するアイコンの数を1つ減らす。特別図柄保留記憶表示部11bについても、同様に、始動入賞口14bへの有効始動入賞がある毎に、アイコンを1つ増やし、特別図柄表示器10bにて特別図柄の変動表示が開始される毎に、アイコンを1つ減らす。
RAM55(図2参照)には、特別図柄表示器10aにおける特別図柄の始動条件が成立(打球が始動入賞口14aへ入賞)したときに主基板31のCPU56(図2参照)により抽出された大当たり判定用乱数等の各種乱数の抽出順番を特定可能に記憶する4つの保留記憶バッファが設けられている。特別図柄保留記憶表示部11aは、保留記憶バッファのうちで各種乱数の記憶された保留記憶バッファの数(保留記憶数)を特定可能に表示する。保留記憶バッファには、抽出された各種乱数のうち未だ開始条件(例えば、前回の特別図柄の変動表示の終了、大当たり遊技状態の終了)が成立していない数値データが予め定められた上限数として4個まで記憶される。特別図柄保留記憶表示部11bについても、同様の保留記憶バッファが設けられている。
上記した始動入賞口14a、14bに入った入賞球は、それぞれ遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ62a、62b(図2参照)によって検出される。可変入賞装置15は、ソレノイド71(図2参照)によって開放状態とされる。後述する普通図柄の変動表示の結果に応じてソレノイド71により可変入賞装置15が開放状態となることにより、遊技球が始動入賞口14bに入賞し易くなり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態となる。
また、特別可変入賞装置20は、ソレノイド72(図2参照)により可動して大入賞口21に遊技球が入賞可能な受入可能状態と、大入賞口21に遊技球が入賞不能な受入不能状態とに変化可能であり、受入可能状態において大入賞口21が開放状態とされるものとなる。また、特別可変入賞装置20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球は、カウントスイッチ63(図2参照)で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口21内の経路を切り換えるためのソレノイド73(図2参照)も設けられている。
特別可変入賞装置20は、第1大当たり遊技状態において、大入賞口21の開放から一定時間経過するまで、または所定個数(例えば、10個)の遊技球が入賞するまで大入賞口21を開放状態とする。大入賞口21が開閉されてから一定期間(例えば、第1大当たり遊技状態においては30秒、第2大当たり遊技状態においては1秒)経過するまで、または所定個数(例えば、10個)の打球が大入賞口21に入賞するまでが1ラウンドである。大当たり遊技状態は、このような大入賞口21の開放が所定回数(例えば、15回)に亘って繰り返して提供される遊技状態である。
特別可変入賞装置20は、また、第2大当たり遊技状態において、大入賞口21を極めて短い時間(例えば、0.2〜0.5秒程度)で2回だけ開放状態とする。突然確変大当たりしたときに確率変動状態に制御される前の遊技状態が、この第2大当たり遊技状態である。第2大当たり遊技状態は、大入賞口21の開放が極めて短い期間しか行われないため、打球が1つも大入賞口21に入賞しないまま終了して、確率変動状態に制御されることとなる場合も多く、第2大当たり遊技状態に制御されたこと自体が遊技者に気づかれない場合も多い。
また、遊技領域7の左側には、「15」及び「2」と付された一対のLEDからなるラウンド数表示器19が設けられている。このラウンド数表示器19は、発生される大当たり遊技状態のラウンド数(第1、第2大当たり遊技状態で、それぞれ15、2ラウンド)を表示するものである。一方、遊技領域7の右側には、「○」及び「×」と付された左右一対のLEDからなる普通図柄表示器12が設けられている。この普通図柄表示器12は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」及び「×」)を変動表示可能なものである。
ゲート28a、28bを遊技球が通過したことがゲートスイッチ61(図2参照)で検出されると、普通図柄当たり判定用乱数が抽出されて主基板31(図2参照)に搭載されるRAM55(図2参照)の普通図柄バッファに格納される。この実施の形態では、RAM55(図2参照)の普通図柄バッファに記憶可能な普通図柄当たり判定用乱数の記憶数の上限は、4個となっている。普通図柄表示器12において普通図柄の表示状態が変化(「○」および「×」が交互に点灯)する変動表示を開始できる状態(前回の普通図柄表示器12における変動表示の終了)であれば、普通図柄表示器12において普通図柄の変動表示が開始される。
普通図柄表示器12の上方には、普通図柄バッファに格納される普通図柄当たり判定用乱数の記憶数を表示する所定数(この実施の形態では4つ)のLEDを有する普通図柄保留記憶表示器13が設けられている。この普通図柄保留記憶表示器13は、ゲート28a、28bを遊技球が通過したことがゲートスイッチ61で検出されて新たに普通図柄当たり判定用乱数が記憶されると、点灯するLEDを1つ増やす。普通図柄表示器12にて普通図柄(例えば、「○」及び「×」)の変動表示が開始される毎に点灯しているLEDを1減らす。
普通図柄表示器12にて、○と×の付された左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって普通図柄の変動表示が行われ、変動表示は所定時間(例えば、時短状態であれば2.9秒、時短状態でなければ29.2秒)継続する。そして、変動表示の終了時に○の付された左側のランプが点灯すれば当たりとなる。普通図柄表示器12における変動表示の表示結果が当たりである場合には、可変入賞装置15が所定時間(例えば、時短状態であれば2.9秒、時短状態でなければ1.4秒)だけ開放状態になる。
普通図柄の変動表示の結果を当たりとするか否かは、ゲート28a、28bを遊技球が通過し、ゲートスイッチ61で遊技球が検出されたときに抽出された普通図柄当たり判定用乱数の値が所定の普通図柄当たり判定値と合致したか否かによって決定される。この当たり確率は、時短状態では非常に高い(例えば、35/36)が、時短状態でなければ低い(例えば、1/36)となっている。時短状態は、このように可変入賞装置15が開放状態にある割合が非常に多いので、遊技者の手持ちの遊技球を減少させずに(或いは、減少したとしても減少量はごく僅かで)、遊技を進められる状態となっている。
ゲート28aの左方及び下方、並びにゲート28bの下方及び右方には、それぞれ入賞口29a〜29dが設けられている。入賞口29a〜29dに遊技球が入賞したことが入賞口スイッチ64a(図2参照)で検出されると、所定数の遊技球が払い出される。遊技球の払い出しは、始動入賞口14a、14b、大入賞口21への遊技球の入賞によっても行われるが、ゲート28a、28bを遊技球が通過しても行われない。
遊技盤6の遊技領域7の下部には、入賞しなかった打球が取り込まれるアウト口30が設けられている。また、遊技領域7の外側の左右上部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周上部、外周左部および外周右部には、前面枠に設けられた天枠ランプ40、枠ランプ左41および枠ランプ右42が設けられている。
また、図1には示していないが。パチンコ遊技機1には打球操作ハンドル5を操作することにより駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置45(図2参照)が設けられている。打球発射装置45から発射された遊技球は、遊技盤6に遊技領域7を囲むように円形状に載設された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。始動入賞口14a、14b、大入賞口21、入賞口29a〜29dのいずれにも入賞しなかった遊技球は、アウト口30から排出されるものとなっている。
図2は、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の回路構成の概要を表したブロック図である。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53が搭載されている。基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って遊技の信号を制御するCPU56、及び表示制御基板80等に制御信号を送信するI/Oポート部57を含む。
この実施の形態では、ROM54、RAM55、CPU56及びI/Oポート部57を含む基本回路53は、1チップマイクロコンピュータとして構成されているが、この基本回路53を構成する1チップマイクロコンピュータには、パチンコ遊技機1の電源が遮断されている間にもバックアップバッテリから電力が供給されている。すなわち、RAM55に記憶されているデータは、バックアップバッテリから電力が供給される限りにおいて、パチンコ遊技機1の電源が遮断されている間も保持される。
なお、CPU56はROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、CPU56が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているCPUについても同様である。また、この実施の形態で用いられる遊技制御用マイクロコンピュータとは、主基板31に搭載されるCPU56、ROM54、RAM55、I/Oポート部57、等の周辺回路のことである。
また、ゲートスイッチ61、始動口スイッチ62a、62b、カウントスイッチ63、入賞口スイッチ64、余剰球受皿4がいっぱいになったときに検出する満タンスイッチ(図示しない)、カウントスイッチ短絡信号(図示しない)、からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路32、可変入賞装置15を開閉するソレノイド71、特別可変入賞装置20を開閉するソレノイド72、大入賞口21内に設けられたシーソーを可動するソレノイド73、等を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路33、電源投入時に基本回路53をリセットするためのシステムリセット回路(図示しない)、基本回路53から与えられるデータに従って、大当たり遊技状態(第1大当たり遊技状態、第2大当たり遊技状態)の発生を示す大当たり情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路34、も主基板31に搭載されている。
また、電源起動時において内部状態(RAM55)をリセットするリセットスイッチ93、及び電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94も、主基板31に接続されており、これらのスイッチの検出信号を基本回路53へと送る。これらのスイッチ93、94は、パチンコ遊技機1の内部に設けられている。
また、主基板31に搭載されたCPU56は、特別図柄表示器10a、10bの表示制御、普通図柄表示器12、およびラウンド数表示器19の表示制御を行う。さらに、普通図柄保留記憶表示器13の発光制御を行う。
主基板31に設けられた遊技制御用マイクロコンピュータ(CPU56及びROM54、RAM55等の周辺回路)は、プリペイドカード等が挿入されることによって球貸しを可能にするカードユニット50、遊技盤6に設けられた複数の入賞口にて遊技球の入賞を検出したことにより賞球払い出しを行う球払出装置44、を制御する払出制御基板36に払出制御信号を送信する。また、遊技制御用マイクロコンピュータは、打球操作ハンドル5を操作することにより打球発射装置45を駆動制御して遊技球を遊技領域7に向けて発射制御する発射制御基板37に発射制御信号を送信する。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータは、表示制御基板80に演出制御コマンド(演出制御信号)を送信する。演出制御コマンドを受信することにより表示制御基板80に設けられた表示制御用マイクロコンピュータ(表示制御用CPU(図示しない)、RAM(図示しない)、ROM(図示しない)、I/Oポート部(図示しない)、等の周辺回路)は、可変表示装置9の表示制御を行う。表示制御用マイクロコンピュータには、パチンコ遊技機1の電源が遮断されている間にバックアップバッテリから電力が供給されず、そのRAMに記憶されたデータは、パチンコ遊技機1の電源が遮断されると消去される。
表示制御用CPUは、ROMに格納されたプログラムに従って動作し、主基板31から演出制御コマンドを受信すると、受信した演出制御コマンドに従って可変表示装置9の表示制御を行う。具体的には、画像表示を行う表示制御機能及び高速描画機能を有するVDP(図示しない)により可変表示装置9の表示制御を行う。表示制御用CPUは、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示しない)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、可変表示装置9に表示される画像の中でも使用頻度の高いキャラクタ画像データ、具体的には、人物、怪物、文字、図形または記号等を予め格納しておくためのものである。
そして、表示制御用CPUは、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、表示制御用CPUからデータが入力されたことに基づいて動作する。この実施の形態では、可変表示装置9の表示制御を行うVDP(図示しない)が表示制御基板80に搭載されている。また、VDPは、表示制御用CPUとは独立した二次元のアドレス空間を持ち、そこにVRAM(図示しない)をマッピングしている。VDPは、キャラクタ画像データに従って可変表示装置9に表示するための画像データを生成し、VRAMに展開する。VRAMは、VDPによって生成された画像データを展開するためのフレームバッファメモリである。そして、可変表示装置9に出力する。なお、可変表示装置9の表示制御には、特別図柄の変動表示、大当たりラウンド演出、保留記憶のアイコン表示などが含まれる。
また、表示制御基板80には、スイッチ回路(図示しない)を介してチャンスボタン16が接続されており、チャンスボタン16の操作によって内容が変化される演出を可変表示装置9において実行しているときには、チャンスボタン16の操作を検出した検出信号に基づいて、可変表示装置9における画像の表示を制御するものとしている。
また、この実施の形態では、表示制御基板80に設けられた表示制御用マイクロコンピュータは、音声出力基板70にスピーカ27の駆動信号を出力することによりスピーカ27の音声出力制御を行うとともに、ランプドライバ基板35に役物、ランプ・LEDの駆動信号を出力することによりパチンコ遊技機1に設けられた役物、ランプ・LEDの発光制御を行う。すなわち、表示制御基板80に搭載される表示制御用マイクロコンピュータは、主基板31から送信される可変表示装置9の表示制御、ランプ・LEDの点灯制御、遊技音発生等の演出の制御に関する指令情報としての演出制御コマンド(制御信号)に基づいて可変表示装置9、スピーカ27、パチンコ遊技機1に設けられるランプ・LED等の発光体の制御を行う演出制御用マイクロコンピュータである。
スピーカ27から出力される音声の再生の処理そのものは、音声出力基板70に搭載された音声制御用マイクロコンピュータ(CPU、RAM、ROMを含む)が行い、ランプ・LEDの点灯制御の処理そのものは、ランプドライバ回路35に搭載されたランプ制御用マイクロコンピュータ(CPU、RAM、ROMを含む)が行うものとなっている。もっとも、これらのマイクロコンピュータは、表示制御基板80の表示制御用CPUから指示されたままに音声の再生出力やランプ・LEDの点灯を単純に行うのみであり、どの様な音声を再生出力させるか、ランプ・LEDをどの様に点灯させるかは、表示制御基板80の表示制御用CPUが制御しているとも言える。
以下、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1における特別図柄表示器10a、10bにおける特別図柄の変動表示、及び可変表示装置9における飾り図柄の変動表示について説明する。特別図柄の変動表示の結果を大当たりとするか否か、大当たりとする場合にはいずれの種類の大当たりとするか、さらには特別図柄の変動パターンをいずれとするかは、始動入賞時に抽出される各種乱数に基づいて、特別図柄表示器10a、10bにおける特別図柄の変動表示の始動条件が成立したときに決定される。
まず、大当たりの決定について説明する。図3(a)は、ROM54に記憶されている大当たり判定用テーブルを示す図である。特別図柄の変動表示の結果を大当たりとするか否かは、図3(a)の大当たり判定用テーブルと、始動入賞時に抽出された乱数のうちの大当たり判定用乱数(ランダムR:0〜65535)の値とに基づいて決定される。通常時(非確率変動時)においては、大当たり判定用乱数の値が1000〜1059、13320〜13477であれば、大当たりとすることを決定し、それ以外の値であれば、ハズレとすることを決定する。一方、確率変動時においては、大当たり判定用乱数の値が1020〜1519、13320〜15004であれば、大当たりとすることを決定し、それ以外の値であれば、ハズレとすることを決定する。
次に、大当たり種別の決定について説明する。図3(b)及び図3(c)は、ROM54に記憶されている大当たり種別判定用テーブルを示す図である。ここで、図3(b)は、特別図柄表示器10bで特別図柄の変動表示を行う場合に大当たり種別を決定するための大当たり種別判定用テーブルであり、図3(c)は、特別図柄表示器10aで特別図柄の変動表示を行う場合に大当たり種別を決定するための大当たり種別判定用テーブルである。
特別図柄表示器10bで特別図柄の変動表示を行う場合には、大当たり判定用乱数及び大当たり判定用テーブルに基づいて特別図柄の変動表示の結果を大当たりとする旨が決定された場合、さらに始動入賞時に抽出された乱数のうちの大当たり種別判定用乱数(ランダムQ:0〜9)の値が0、3、5または7であれば確率変動大当たりと決定し、1であれば確変昇格大当たりと決定し、9であれば突然確変大当たりと決定し、2、4、6または8であれば時短大当たりと決定する。
一方、特別図柄表示器10aで特別図柄の変動表示を行う場合には、大当たり判定用乱数及び大当たり判定用テーブルに基づいて特別図柄の変動表示の結果を大当たりとする旨が決定された場合、さらに始動入賞時に抽出された乱数のうちの大当たり種別判定用乱数(ランダムQ:0〜9)の値が3、5または7であれば確率変動大当たりと決定し、1であれば確変昇格大当たりと決定し、0または9であれば突然確変大当たりと決定し、2、4、6または8であれば時短大当たりと決定する。
ところで、確率変動状態では、30分の1の確率で大当たりとなるが、新たな大当たりが発生するまで特別図柄の変動表示が実行される回数の制限なく、時短状態に制御される。時短状態では、可変入賞装置15が開放状態にある割合が非常に高く、特別図柄表示器10aよりも優先される特別図柄表示器10bにて特別図柄の変動表示を行わせるための始動入賞口14bの入賞による保留記憶が途切れることが少ない。また、第1大当たり遊技状態に制御されている間の時間は非常に長いので、ほとんど例外なく、第1大当たり遊技状態が終了するまでに始動入賞口14aの入賞による保留記憶も、始動入賞口14bの入賞による保留記憶も何れも一杯になる。
特別図柄表示器10aで特別図柄の変動表示を行う場合に確率変動大当たりまたは確変昇格大当たりとなる確率は、大当たりとなった場合の2/5(=4/10)であるのに対して、特別図柄表示器10bで特別図柄の変動表示を行う場合に確率変動大当たりまたは確変昇格大当たりとなる確率は、大当たりとなった場合の1/2(=5/10)もある。つまり、一旦確率変動大当たりまたは確変昇格大当たりが発生すると、それに基づく第1大当たり遊技状態が終了してから、さらに遊技者が多くの遊技球を獲得することができる第1大当たり遊技状態を介して次も確率変動状態となる割合が高いものとなる。
次に、特別図柄の変動パターンの決定について説明する。特別図柄の変動パターンは、開始条件が成立したときに、特別図柄の変動表示の結果(大当たりとするか否か、大当たりとする場合は大当たりの種別)に応じて決定されるものとなる。また、変動パターンを決定する場合、まず始動入賞時に抽出された乱数のうちの変動種別判定用乱数の値に基づいて変動パターンの種別を決定し、さらに始動入賞時に抽出された変動パターン判定用乱数の値に基づいて変動パターンを決定するものとなる。
変動パターンの種別には、ハズレとすることが決定された場合には、非リーチハズレ、ノーマルリーチ、スーパーリーチの3種類がある。確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとすることが決定された場合には、ノーマルリーチ、スーパーリーチの2種類がある。突然確変大当たりとすることが決定された場合には、突然確変の1種類であるが、これは、飾り図柄の変動に関しては非リーチハズレと基本的に同じものになる。
ここで、ノーマルリーチ、スーパーリーチは、何れも変動表示の過程において1番目、2番目にそれぞれ停止される左と右の飾り図柄が同一の種類の図柄で揃うリーチ表示態様が出現するパターンであるが、ノーマルリーチは、中の飾り図柄の変動表示の態様がハズレの場合と異ならない(最終的に停止される図柄は異なる)変動パターンであり、変動表示の開始から終了までに要する時間が非リーチハズレと比べて通常の場合には変わりがない。一方、スーパーリーチは、リーチ表示態様が出現した後、最後に停止される中の飾り図柄の変動表示が通常とは異なる態様となる演出表示が行われる変動パターンとなっており、変動表示に要する時間が非リーチハズレやノーマルリーチと比べると、かなり長くなっている。
もっとも、保留記憶の数が3以上となったときには、選択された変動パターンの本来の変動表示時間よりも特別図柄及び飾り図柄の変動表示が実行される時間が短縮される(4となったときには、3となったときよりも一層短縮される)。非リーチハズレとノーマルリーチでは、通常の場合に変動表示が実行される時間に変わりがないものの、ノーマルリーチでは一旦リーチ表示態様を出現させてから表示結果を導出させるという過程を経ることになるため、短縮された変動時間については、このような過程を経ないでよい非リーチハズレよりもノーマルリーチハズレの方が長くなる。また、スーパーリーチの変動パターンでは、中の飾り図柄における演出表示が(全部または一部)省略されて飾り図柄の変動表示の結果が表示されることがある。
次に、ハズレが決定されたときの変動パターンの種別の振り分けについて詳細に説明する。図4は、ROM54に記憶されている変動パターンの種別決定用テーブルのうちで、ハズレが決定されたときに適用される変動パターンの種別決定用テーブルを示す図である。ハズレが決定されたときには、保留記憶の数に応じて種別の振り分けが異なっている。図4の例では、変動種別判定用の乱数が0〜251の範囲の値を取るものとして説明する。
図示するように、保留記憶の数が2以下であるときには、変動種別判定用の乱数の値が0〜99だと非リーチハズレ、100〜229だとノーマルリーチハズレ、230〜251だとスーパーリーチハズレとなる。一方、保留記憶の数が3以上であるときには、変動種別判定用の乱数の値が0〜199だと非リーチハズレ、200〜229だとノーマルリーチハズレ、230〜251だとスーパーリーチハズレとなる。つまり、スーパーリーチハズレに振り分けられることとなる乱数の範囲は、保留記憶の数に関わらずに同じであるのに対して、非リーチハズレとノーマルリーチハズレに振り分けられる乱数の範囲は、保留記憶の数に応じて異なっていることになる。
一方、図示を省略するが、確率変動大当たりが決定されたときに適用される変動パターンの種別決定用テーブル、確変昇格大当たりが決定されたときに適用される変動パターンの種別決定用テーブル、時短大当たりが決定されたときに適用される変動パターンの種別決定用テーブル、突然確変大当たりが決定されたときに適用される変動パターンの種別決定用テーブルでは、保留記憶の数に応じた種別の振り分けの違いはない。つまり、ノーマルリーチ、スーパーリーチの各々に振り分けられることとなる乱数の範囲は、保留記憶の数に関わらずに同じである。また、スーパーリーチに振り分けられる比率は、ハズレが決定されたときよりも高くなっている。
変動パターンの種別が決定されると、そこからより細かく変動パターンが決定される。ここで、変動パターンの種別が非リーチハズレ、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりでノーマルリーチの場合に選択される変動パターンは、それぞれ1種類だけである。ノーマルリーチハズレの場合に選択される変動パターンには、飾り図柄のすべりコマ数が異なる複数の変動パターン(1コマ前、1コマ後、2コマ後)がある。
また、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりでのスーパーリーチBは、飾り図柄を「1」または「7」以外の図柄で揃えて仮停止させた後に、さらに全ての飾り図柄を揃えたままの状態で再変動させ、最終的な結果を表示する再抽選を含むパターンである。確率変動大当たりの場合には、「1」または「7」以外の図柄が揃えられた後に、最終的に「1」または「7」の図柄が揃えられて停止するが、確変昇格大当たりまたは時短大当たりの場合には、「1」または「7」以外の図柄が揃えられた後に、最終的に「1」または「7」の図柄が再度揃えられて停止するものとなる。
特別図柄表示器10a、10bにおける特別図柄の変動表示の開始条件は、当該変動表示を行わせることとなる始動入賞よりも先の始動入賞に基づく全ての変動表示が終了していることによって成立する(但し、第1、第2大当たり遊技状態に制御されたときには、その終了によって成立する)。従って、保留記憶が全くない状態で始動入賞した場合には、当該始動入賞によって直ちに特別図柄の変動表示の開始条件が成立することとなる。
これに対して、未だ先の始動入賞に基づく変動表示が終了していないときの始動入賞(特定始動入賞とする)によって保留記憶がされていた場合には、特定始動入賞よりも1つだけ先の始動入賞(先始動入賞とする)に基づく特別図柄の変動表示が終了したときに、特定始動入賞に基づく特別図柄の変動表示の開始条件が成立する。このとき、先始動入賞に基づく特別図柄の変動表示の終了後に、遅滞なく特定始動入賞に基づく特別図柄の変動表示が開始されることとなる。
前述したとおり、特別図柄表示器10a、10bにおいて特別図柄が変動表示されるときにおいては、可変表示装置9において飾り図柄が変動表示される。特別図柄表示器10a、10bにおける特別図柄の変動表示は、開始条件の成立によって直ちに開始されるものとなるが、可変表示装置9における飾り図柄の変動表示は、開始条件の成立によって直ちに開始されるのではなく、開始条件の成立から一定の遅延時間(インターバル期間)を経過してから開始されるものとなっている。なお、特別図柄の変動表示は、開始条件が成立してから選択された変動パターンに応じて定められた変動表示時間を経過するまで実行されることとなる。
上記したように、特別図柄表示器10a、10bに第1、第2または第4特定表示結果が導出されると、すなわち確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりが発生すると、第1大当たり遊技状態に制御されるが、この確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりを発生させることとなる始動入賞が発生しても、そのときには先の始動入賞に基づいて特別図柄の(飾り図柄も)変動表示が行われていることもある。この場合は、始動入賞に基づいて変動表示を行うための保留記憶情報(始動入賞時に抽出された各種乱数)が保留記憶されるが、保留記憶されている旨が特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されて、遊技者に報知されるものとなる。
もっとも、先の始動入賞に基づく飾り図柄の変動表示が行われている間に保留記憶の表示が行われても、保留記憶の中に確率変動大当たりまたは確変昇格大当たり、若しくは時短大当たりとなる乱数が含まれていることがあるが、当該先の始動入賞に基づく飾り図柄の変動表示自体は後の始動入賞についての保留記憶とは関係なく行われるので、保留記憶の中に確率変動大当たりまたは確変昇格大当たり、若しくは時短大当たりとなる乱数が含まれていることを遊技者が知ることはできない。
しかし、飾り図柄の変動表示が行われている間や、第1大当たり遊技状態が終了して大当たりラウンド演出から再び飾り図柄の変動表示が行われるときにおいて、未だ実際には開始されていない変動表示において大当たりやスーパーリーチになるかどうかが分からないからと言って、遊技者がこれを期待していない訳ではない。そこで、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1では、このような遊技者の期待感を煽るために、飾り図柄の変動表示が行われている間に、保留記憶により次以降に行われる変動で確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなる可能性があること、或いはスーパーリーチとなることを報知する先読み予告を行うものとしている。なお、飾り図柄の変動表示が実行されている間は、スーパーリーチを先読み予告し、大当たりラウンド演出が実行されている間は、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりを先読み予告するものとなっている。
図5は、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1における先読み予告の実行態様を示す図である。なお、図5においては、始動入賞口14aへの始動入賞が4つ保留記憶されている状態で飾り図柄表示領域9a〜9cにおいて飾り図柄が変動表示されていて、特別図柄保留記憶表示部11aに4つの花のアイコン(以下、単に「アイコン」という)11a−1〜11a−4が表示されている場合を例にしている。
先読み予告は、特別図柄保留記憶表示部11aにアイコンが表示されている状態で目印表示としての蝶111または蝶112が飛来してきて、アイコン11a−1〜11a−4を構成する花に留まることによって行われる。先読み予告は、特別図柄保留記憶表示部11aにおいて始動入賞の保留記憶を示すアイコン11a−1〜11a−4を構成する花に、蝶111または蝶112が留まるという保留記憶の表示と目印表示との関連性を持った演出によって実行されるものとなる。なお、図5では、蝶111と蝶112の2つが表示されているが、実際には同時に1つしか表示され得ない。
蝶111または蝶112が留まった花のアイコン11a−1〜11a−4が先読み予告の対象となる保留記憶を示すが、蝶111または蝶112が留まった花のアイコンに対応する変動表示が必ずしも先読み予告の確定対象であるとは限らない。すなわち、特別図柄保留記憶表示部11aに表示されたアイコン11a−1〜11a−4の各々に対応する保留記憶に基づいて実行される変動表示がスーパーリーチになるものである場合は、当該変動表示が先読み予告の確定対象とされ得る。先読み予告の確定対象とされたアイコン11a−1〜11a−4には、蝶111または蝶112が一旦留まると、対応する変動表示が開始される直前まで留まり続ける(但し、後述するように保留記憶数が1以下になった場合を除く)。
特別図柄保留記憶表示部11aに表示されたアイコン11a−1〜11a−4の各々に対応する保留記憶に基づいて実行される変動表示がスーパーリーチになるものでない場合(大当たりラウンドが実行されている間は、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるものでない場合)も、当該変動表示が先読み予告の暫定対象とされる。先読み予告の暫定対象とされたアイコン11a−1〜11a−4には、蝶111または蝶112が一旦留っても、対応する変動表示が開始される直前まで蝶111または蝶112が留まり続けるということはない。
先読み予告の暫定対象となる変動表示は、実際には当該変動表示より後の変動表示でスーパーリーチになるものがあり、先読み予告の確定対象となる変動表示がある場合にも、当該先読み予告の確定対象となる変動表示とは別の変動表示に決められることがある。先読み予告の暫定対象となる変動表示は、実際には他にスーパーリーチ等になるものがなく、先読み予告の確定対象となり得る変動表示がない場合にも、保留記憶されている何れかの変動表示に決められることがある。
前者の場合は、先読み予告の暫定対象とされた変動表示に対応したアイコン11a−1〜11a−3(アイコン11a−4に対応した変動表示が暫定対象となることはない)に蝶111または蝶112が一旦留まり(或いは、スーパーリーチ等になる始動入賞よりも前に蝶111または蝶112が留まっている暫定対象の変動表示があり)、当該先読み予告の暫定対象とされた変動表示が開始されるよりも前に、一旦留まった(或いは、先に留まっている)アイコン11a−1〜11a−3から後の変動表示に対応したアイコン11a−2〜11a−4まで飛んでいくこととなる。
ここで、飛び元と飛び先のアイコンが同じでも、飛んでいく経路(或いは、飛んでいる時間)が長いものと短いものがあり、スーパーリーチ等になる変動表示に対応したアイコンまで飛んでいく場合(蝶111または蝶112が留まると確定対象であり、当該アイコンから蝶111または蝶112が飛び立つことはない)と、未だスーパーリーチ等となる変動表示よりも前の変動表示に対応したアイコンまでしか飛んでいかない場合(蝶111または蝶112が新たに留まったアイコンに対応した変動表示も暫定対象でしかなく、さらに当該アイコンから蝶111または蝶112が先読み予告の確定対象とされた変動表示に対応したアイコンまで飛んでいく)とがある。
後者の場合は、先読み予告の暫定対象とされた変動表示に対応したアイコン11a−1〜11a−3から他のアイコンに蝶111または蝶112が飛んでいくことがある。ここでも、蝶111または蝶112が飛んでいく経路(或いは、飛んでいる時間)には、長いものと短いものがある。また、先読み予告の暫定対象とされた変動表示があってアイコン11a−1〜11a−3に蝶111または蝶112が一旦留まった場合でも、そのままスーパーリーチ等になる変動表示がなければ、蝶111または蝶112が可変表示装置9の表示領域の枠外まで飛び去ってしまうことがある。
なお、蝶111、112の違いは、何れかのアイコン11a−1〜11a−4に一旦留まった後、そこから他のアイコンへの飛び移り易さに違いがあるものであり、蝶112の方が蝶111よりも他のアイコンに飛び移りにくい。また、時短状態に制御されている間は、選択される変動パターンによっては蝶111または蝶112が他のアイコンまで飛んでいく演出を行うのに十分な時間を確保できないことがあるので、新たな変動表示の開始によってアイコン11a−2〜11a−4がシフトされてアイコン11a−1〜11a−3となるときに、蝶111または蝶112の位置を変えないままにして、対象となる変動表示を変えるだけとしている。
例えば、1回の変動表示が終了した時点でアイコン11a−1〜11a−3の3つが表示され、そのうちのアイコン11a−2(先読み予告の暫定対象)に蝶111が留まっている状態から新たな変動表示が開始されると、これまでのアイコン11a−2、11a−3がそれぞれ左に1つずつシフトして新たにアイコン11a−1、11a−2として表示される。このとき、蝶111は可変表示装置9上の同じ位置に表示され続け、アイコン11a−2に対応した変動表示(新たな変動表示の開始前はアイコン11a−3に対応した変動表示)が先読み予告の確定または暫定対象となり、アイコン11a−1に対応した変動表示(新たな変動表示の開始前はアイコン11a−2に対応した変動表示)は対象から外れることとなる。
さらに、特別図柄保留記憶表示部11aに表示されているのが左端のアイコン11a−1だけとなった(即ち、始動入賞口14aの始動入賞についての保留記憶が1つだけとなった)場合には、当該アイコンに蝶111または蝶112が留まっていても、消去されてしまうことになる。ここで、時短状態に制御されているときには、新たな変動表示の開始でアイコン11a−1だけとなると同時に蝶111または蝶112が表示消去されるが、時短状態に制御されていないときには、可変表示装置9の表示領域の枠外まで蝶111または蝶112が飛び去るようにして表示消去されるものとなっている。
上記したような先読み予告を実行するか否か、及び如何なる態様で実行するかは、表示制御基板80の表示制御用CPUが決定するものとなっている。また、飾り図柄の変動表示についても、具体的に表示される飾り図柄の種類は、主基板31のCPU56によって行われた大当たりの決定、大当たり種別の決定、及び変動パターンの決定に従うことを条件として、表示制御基板80の表示制御用CPUが決定するものとなっている。
これらの決定を表示制御基板80の表示制御用CPUが行えるようにするため、始動入賞口14aまたは14bに遊技球が入賞したときに、このときに抽出された大当たり判定用乱数により大当たりとなるか否か(さらに、大当たり種別乱数により決定される大当たりの種別を含んでいてもよい)、及び変動種別判定用乱数の値により選択される変動パターンの種別、並びに遊技球が入賞した始動入賞口の種類と該始動入賞後の保留記憶数と対応付けた始動入賞コマンドが、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。なお、始動入賞コマンドの詳細については、後述する。
また、特別図柄表示器10aまたは10bにて特別図柄の変動表示を開始させるときに、これを開始させた始動入賞と、この変動表示において大当たりとするか否か及び大当たり種別と、決定された変動パターンとを示す開始時コマンドが、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。また、遊技状態が変化したときに、変化した後の遊技状態を示す遊技状態コマンドが、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。
また、特別図柄表示器10aまたは10bに第1特定表示結果〜第6特定表示結果が導出されて、大当たり遊技状態に制御されたときには、各ラウンドが開始される度に当該ラウンド数を示す大当たりラウンドコマンドが、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。各ラウンドが終了したときにも、ラウンドの終了を示すラウンド終了コマンドが、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。
さらに、パチンコ遊技機1の電源を立ち上げたときには、前回の電源遮断時のデータがクリアされずにRAM55に記憶されていれば該電源遮断時の状態(始動入賞口14a、14bの保留記憶がある場合もあり)から、RAM55がクリアされていれば初期状態(始動入賞口14a、14bの何れの保留記憶の数も0)から、遊技の進行を開始させることとなるが、このときに、始動入賞口14a、14bの保留記憶数と遊技状態とを特定可能な情報を含む起動時コマンドが、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。
表示制御基板80の表示制御用CPUは、最新に受信した始動入賞コマンド(或いは起動時コマンド)で示される始動入賞口14a、14bの保留記憶の数を開始時コマンドを受信する度に減算していくことで、始動入賞口14a、14bの保留記憶の数をリアルタイムで把握できるものとなっている。
次に、始動入賞口14aまたは14bに遊技球が入賞したときに送信される始動入賞コマンドについて説明する。図6は、始動入賞コマンドのフォーマットを示す図である。図示するように、始動入賞コマンドには、始動入賞コマンドA101と、始動入賞コマンドB102と、始動入賞コマンドC103の3種類がある。何れも上位バイトが制御情報(コマンドの種類毎の識別情報)、下位バイトが当該コマンドで表示制御基板80の表示制御用CPUに通知される情報となっている。
始動入賞コマンドA101は、始動入賞口14aについての保留記憶数(始動入賞後)を始動入賞口14aに遊技球が入賞したときには、始動入賞コマンドA101と始動入賞コマンドC103とが、始動入賞口14bに遊技球が入賞したときには、始動入賞コマンドB102と始動入賞コマンドC103とが送信される。なお、本発明の実施の形態において、単に「始動入賞コマンド」と言った場合には、特に説明がない限り、始動入賞コマンドA101と始動入賞コマンドC103のセット、または始動入賞コマンドB102と始動入賞コマンドC103のセットを指すものとする。
始動入賞コマンドA101は、始動入賞口14aについての保留記憶数(始動入賞後)を示すコマンドであり、始動入賞コマンドB102は、始動入賞口14bについての保留記憶数(始動入賞後)を示すコマンドである。始動入賞口14a、14bの何れであるかは、上位バイトの制御情報で区別される。
始動入賞コマンドC103は、当該始動入賞に基づく変動表示で停止される飾り図柄を示す停止図柄情報と、当該始動入賞に基づく変動表示で選択される変動パターンの種別を示す変動パターン情報とを含むコマンドである(以下、停止図柄情報と変動パターン情報とを合わせて、先読み情報と呼ぶ場合がある)。大当たりとなるか否か、大当たりとなる場合の種別は、始動入賞コマンドの送信の際に既に確定している。また、具体的な変動パターンも、当該始動入賞に基づく変動表示が開始されるときに決定されるが、ハズレであってもスーパーリーチとなることは始動入賞コマンドの送信の際に既に確定している。始動入賞コマンドの送信時では未だ確定しないのは、非リーチハズレとなるかノーマルリーチハズレとなるかだけである(但し、非リーチハズレとなること、ノーマルリーチハズレとなることが一部確定している場合もある)。
始動入賞コマンドの送信時において未だ非リーチハズレとなるかノーマルリーチハズレとなるかが確定していない場合には、CPU56は、とりあえず非リーチハズレになるものとして、始動入賞コマンドC103の停止図柄情報(ハズレ図柄)と変動パターン情報(非リーチハズレ)とを定める。それ以外の場合には、当該始動入賞に基づく変動表示において大当たりとなるか否か、大当たりの種別、及び選択される変動パターンの種別に従って、停止図柄情報(確変当たり図柄、通常当たり図柄、確変リーチ図柄、通常リーチ図柄、ハズレ図柄)と、変動パターン情報とを定める。なお、突然確変大当たりとなる場合の停止図柄情報は、ハズレ図柄となる。
始動入賞コマンドC103は、上位バイトの識別情報で始動入賞口14a、14bの何れであるかが識別されないが、必ず始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102の何れかに続けて送信されるため、表示制御基板80の表示制御用CPUは、コマンドの送受信において異常が生じない限り、1つ前に送信されたコマンド(始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102)を参照すれば、始動入賞口14a、14bの何れの始動入賞に基づいて送信されたものであるかを識別することができる。
始動入賞口14aに遊技球が入賞していたときには、CPU56は、これについての保留記憶数(始動入賞後)を読み出して始動入賞コマンドA101を生成するとともに、大当たり判定用乱数に基づいて大当たりとなるか否か、及び変動種別判定用乱数に基づいて選択される変動パターンの種別(但し、既に確定しているスーパーリーチハズレ以外では暫定的に非リーチハズレ)を判定して始動入賞コマンドC103を生成し、順番にRAM55の送信コマンドキューに挿入する。始動入賞口14bに遊技球が入賞していたときも同様に、始動入賞コマンドB102と始動入賞コマンドC103を生成し、順番にRAM55の送信コマンドキューに挿入する。
後述する始動口スイッチ通過処理に他の処理が割り込んだり、他の種類のコマンドを生成して送信コマンドキューに挿入することはないので、始動入賞コマンドA101と始動入賞コマンドC103、或いは始動入賞コマンドB102と始動入賞コマンドC103は、必ず続けて送信コマンドキューに挿入される。主基板31のCPU56は、後述するように2ms毎に割り込み処理を行い、各割り込み処理で送信コマンドキューから1つコマンドを取り出して表示制御基板80の表示制御用CPUに送信しているが、送信コマンドキューに未だコマンドが残っていれば、その先頭のコマンドが次の割り込み処理で送信される。
従って、主基板31のCPU56による始動入賞コマンドの生成、及びCPU56と表示制御基板80の表示制御用CPUとの間での送受信の処理で異常(コマンド取りこぼし、コマンドのデータ化け)が生じていない限り、始動入賞コマンドA101が送信された割り込み処理の次の割り込み処理で必ず対応する始動入賞コマンドC103が、始動入賞コマンドB102が送信された次の割り込み処理で必ず対応する始動入賞コマンドC103が送信されることとなる。
一方、表示制御基板80の表示制御用CPUは、33ms毎の割り込み処理でコマンドの受信を判定しているが、例えば、始動入賞口14aの始動入賞に基づいて送信される始動入賞コマンドA101及び始動入賞コマンドC103の受信は、コマンドの生成及び送受信の処理で異常が生じていない限り、同じ回の割り込み処理か、連続した2回の割り込みで判定されることとなる。
表示制御基板80に搭載された表示制御用マイクロコンピュータのRAMには、主基板31のCPU56から送られてきたコマンドに応じて各種演出を実行できるようにするため(つまり、コマンドが示す内容を把握できるようにするため)のコマンド保存領域が設けられている。図7は、表示制御基板80に搭載された表示制御用マイクロコンピュータに含まれるRAMに設けられるコマンド保存領域を示す図である。ここでは、本発明の説明に必要な始動入賞コマンドと開始時コマンドの保存領域のみを示している。
図示するように、表示制御用マイクロコンピュータに含まれるRAMには、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bと、開始時コマンドの保存領域80cとが設けられている。始動入賞コマンドの保存領域80a、80bは、それぞれ始動入賞口14a、14bの各々に対応する始動入賞コマンドを先入れ先出し方式で保存する領域である。すなわち、RAM55に設けられた始動入賞口14a、14bの各々に対する保留記憶バッファに対応させて、始動入賞コマンド80a、80bの保存領域が設けられている。
例えば、始動入賞口14aについての始動入賞コマンド(始動入賞コマンドA101及び始動入賞コマンドC103)を受信すると、そのうちの始動入賞コマンドC103が始動入賞コマンドの保存領域80aの最後尾に保存される(始動入賞コマンドA101が示す内容は、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bの違いと、始動入賞コマンドC103の記憶順で特定されるため、特に記憶させておく必要はない)。但し、第1大当たり遊技状態または時短状態に制御されているときに始動入賞口14bについての始動入賞コマンドを受信したときは、そのときの内容で始動入賞コマンドC103を始動入賞コマンドの保存領域80aの最後尾に保存させるのではなく、停止図柄情報がハズレ図柄、変動パターン情報が非リーチハズレを示す内容に書き換えて始動入賞コマンドC103を保存させる。
始動入賞口14bについての始動入賞コマンド(始動入賞コマンドB102及び始動入賞コマンドC103)を受信すると、そのうちの始動入賞コマンドC103が始動入賞コマンドの保存領域80bの最後尾に保存される(始動入賞コマンドB102が示す内容は、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bの違いと、始動入賞コマンドC103の記憶順で特定されるため、特に記憶させておく必要はない)。第1大当たり遊技状態または時短状態に制御されているときに始動入賞口14bについての始動入賞コマンドを受信したときは、始動入賞口14aについての始動入賞コマンドを受信したときと異なり、そのときの内容のままで始動入賞コマンドC103を始動入賞コマンドの保存領域80aの最後尾に保存させる。
また、パチンコ遊技機1の電源投入時に送信された起動時コマンドを受信すると、受信した起動時コマンドが示す始動入賞口14a、14bの保留記憶の数だけ、それぞれ始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに停止図柄情報がハズレ図柄、変動パターン情報が非リーチハズレを示す内容の始動入賞コマンドC103(実際には受信していないもの)を書き込む。
始動入賞口14aについての開始時コマンドを受信すると、始動入賞コマンドの保存領域80aの先頭に保存されている始動入賞コマンドC103が取り出される。取り出された始動入賞コマンドC103は、このタイミングでは先読み予告などの演出の決定に用いられずに破棄される。始動入賞コマンドの保存領域80bについても、同様である。
始動入賞コマンドの保存領域80a、80bには、始動入賞コマンドC103と対応付けて、対応する変動表示を先読み予告の確定/暫定対象としたかを示す情報(先読み予告対象情報)が記憶される。始動入賞コマンドの保存領域80aに保存される始動入賞コマンドC103が書き換えられる場合を除いて、始動入賞コマンドの受信の度に後述する先読み予告の決定が行われ、先読み予告情報が参照される。また、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bは、開始時コマンドを受信する度に参照され、スーパーリーチとなるもの(第1大当たり遊技状態では、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たり)がなく、何れかに暫定対象とする先読み予告対象情報が記憶されていなければ、後述する先読み予告の暫定対象に関する決定が行われる。
また、開始時コマンドの保存領域80cは、可変表示装置9において実行中の変動表示についての開始時コマンドを保存する領域である。例えば、始動入賞口14aについてのものであるか始動入賞口14bについてのものであるかを問わず、表示制御基板80の表示制御用CPUが開始時コマンドを受信すると、当該開始時コマンドを開始時コマンドの保存領域80cに記憶させる。開始時コマンドの保存領域80cに保存された開始時コマンドは、当該開始時コマンドに基づく飾り図柄の変動表示が終了したときに消去される。
以下、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機において、表示制御基板80の表示制御用CPUにより実行される演出の制御について説明する。表示制御基板80の表示制御用CPUは、開始時コマンドを受信すると、後に説明するように飾り図柄の種類を選択し、開始時コマンドが示す変動パターンで飾り図柄を可変表示装置9において変動表示させた後、選択した種類の飾り図柄を可変表示装置9に表示して、変動表示の結果を示すものとしている。
まず、先読み予告の実行に先立って、飾り図柄の選択について説明する。前述したように、飾り図柄の変動表示において具体的に表示される飾り図柄の種類は、主基板31のCPU56によって行われた大当たりの決定、大当たり種別の決定、変動パターンの決定に従うことを条件として、表示制御基板80の表示制御用CPUが決定するものとなっている。例えば、確率変動大当たりが決定されているときには、最終的に停止される飾り図柄は、3つとも「1」または「7」の同じ図柄となり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりが決定されているときには、最終的に停止される飾り図柄は、3つとも「1」または「7」以外の同じ図柄となる。
確変昇格大当たりまたは時短大当たりでは、最終的に停止される図柄を「1」または「7」以外の同じ図柄としなければならないため、その前提で表示されるリーチ表示態様も「1」または「7」以外の同じ図柄が2つ停止した態様となる。スーパーリーチにおいて再抽選はあっても、そこでの降格はできないため、最終的に停止される図柄を「1」または「7」以外の同じ図柄とするには、リーチ表示態様も「1」または「7」以外の同じ図柄が2つ停止した態様としなければならないからである。
確率変動大当たりでは、最終的に停止される図柄を「1」または「7」の同じ図柄としなければならないので、再抽選のないノーマルリーチの変動パターンで確率変動大当たり図柄を表示させるためには、その前提で表示されるリーチ表示態様も「1」または「7」の同じ図柄が2つ停止した態様としなければならない。一方、再抽選のあるスーパーリーチでは、「1」または「7」以外の同じ図柄を一旦揃えてから、「1」または「7」の同じ図柄を揃えた態様に変更することができるため、リーチ表示態様は「1」または「7」以外の同じ図柄が2つ停止した態様とすることができる。
次に、先読み予告の実行について詳細に説明する。前述したように、始動入賞口14a、14bに遊技球が入賞すると、始動入賞コマンド(始動入賞コマンドA101及び始動入賞コマンドC103、或いは始動入賞コマンドB102及び始動入賞コマンドC103)が主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUに送信され、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに始動入賞コマンドC103が保存される。保存される始動入賞コマンドC103は、当該始動入賞に基づく変動表示で停止される飾り図柄を示す停止図柄情報と、変動パターンの種別がスーパーリーチであるか否かを示す変動パターン情報とを含んでいる。
飾り図柄の変動表示が実行されているとき、即ち第1大当たり遊技状態に制御されていないときには、変動パターン情報に基づいて先読み予告が実行される。一方、第1大当たり遊技状態に制御されているときには、停止図柄情報に基づいて先読み予告が実行される。以下では、先ず飾り図柄の変動表示が実行されているときの先読み予告について説明する。
表示制御基板80の表示制御用CPUが始動入賞コマンドを受信すると、先読み予告についての決定が行われる。この決定は、受信した始動入賞コマンドC103に含まれる変動パターン情報がスーパーリーチである旨を示しているか否かに応じて行われる。なお、先読み予告の確定対象が定められている場合には、始動入賞コマンドC103に含まれる変動パターン情報の如何に関わらず、先読み予告についての決定は行われない。
なお、先読み予告は、始動入賞口14aへの始動入賞と始動入賞口14bへの始動入賞とで別々に行われる。次に説明するように、表示制御基板80の表示制御用CPUが始動入賞コマンドを受信したときにおける先読み予告の決定は、当該時点で特別図柄保留記憶表示部11aの各アイコンに蝶111または蝶112が付されているかに応じて行われるものとなる。
例えば、特別図柄保留記憶表示部11aの何れかのアイコンに蝶111または蝶112が留まっていて、特別図柄保留記憶表示部11bのアイコンに蝶111または蝶112が留まっていない状態で始動入賞口14aに対応する始動入賞コマンドを受信したときには蝶111または蝶112が留まっているものとして決定が行われるが、始動入賞口14bに対応する始動入賞コマンドを受信したときには蝶111または蝶112が留まっていないものとして決定が行われる。また、両者は、別々に行われるものであるため、後述するように蝶111または蝶112が異なるアイコンに移動することはあるが、例えば、特別図柄保留記憶表示部11aのアイコンに留まっている蝶111または蝶112が特別図柄保留記憶表示部11bのアイコンに移動することはない。
図8は、飾り図柄の変動表示が実行されている間において、スーパーリーチとなる始動入賞があった場合の先読み予告の決定テーブルを示す図である。表示制御基板80の表示制御用CPUは、変動パターンの種別がスーパーリーチとなることを示す始動入賞コマンドを受信すると、これに対応する変動表示は先読み予告の確定対象となり得るが、この確定対象となる変動表示に対応したアイコンよりも前の始動入賞に基づく変動表示に対応したアイコンに既に蝶111または蝶112が留まっているか否かに応じて、先読み予告の決定を行う。
図8(a)は、前の始動入賞に基づく何れの変動表示に対応したアイコンにも蝶111または蝶112が留まっていない場合における先読み予告の実行態様の決定テーブルを示す。図8(b)は、先読み予告を実行すべく特別図柄保留記憶表示部11a、11bのアイコンに留まる蝶111または蝶112の種類の選択テーブルを示す。図8(a)に示すように、先読み予告の実行態様は、スーパーリーチを示す始動入賞コマンドを受信したときの遊技状態が時短状態であるか否かに応じて決定されるものとなる。
時短状態に制御されていない場合には、蝶111または蝶112が最初に留まるアイコン(先読み予告の暫定対象となる)から確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンまで1つずつ移動していくか、蝶111または蝶112が最初に留まるアイコンから確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンまで直接移動するか、最初から確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンに蝶111または蝶112が留まるかが決定されるものとなる。
スーパーリーチとなる始動入賞コマンドを受信したときに実行されている変動表示が終了するまでに蝶111または蝶112が留まる(実際には、アイコンの表示と同時に蝶111または蝶112も表示されている)のは、最初から確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンに蝶111または蝶112が留まる場合だけである。それ以外は、スーパーリーチとなる始動入賞コマンドを受信したときに実行されている変動表示が終了した後の変動表示の実行中に、決定に従ってアイコンに蝶111または蝶112が留まるものとなる。従って、蝶111または蝶112が何れかのアイコンに留まるタイミングにおいて、確定対象となり得る変動表示よりも前の変動表示に対応したアイコンは、最大でも2つまでしか表示されていないことになる。
確定対象となり得る変動表示よりも2つ前の変動表示に対応したアイコンに最初に蝶111または蝶112が留まり、確定対象となり得るアイコンまで変動表示毎に1つずつ移動していくものとして、その間の蝶111または蝶112の移動が短距離であるものがa1の割合で、長距離であるものがa2の割合で決定される。もっとも、このような決定がされた場合、確定対象となり得る変動表示よりも前の変動表示に対応したアイコンが1つしかなければ、蝶111または蝶112の移動は1回しかない(この場合、見た目としては後述する確定対象となり得る変動表示よりも1つ前のアイコンに最初に蝶111または蝶112が留まり、確定対象となり得るアイコンまで直接移動することが決定された場合と変わらなくなる)。
また、確定対象となり得る変動表示よりも1つ前の変動表示に対応したアイコンに最初に蝶111または蝶112が留まり、確定対象となり得るアイコンまで直接移動していくものとして、その間の蝶111または蝶112の移動が短距離であるものがa3の割合で、長距離であるものがa4の割合で決定される。
また、確定対象となり得る変動表示よりも2つ前の変動表示に対応したアイコンに最初に蝶111または蝶112が留まり、確定対象となり得るアイコンまで直接移動していくものとして、その間の蝶111または蝶112の移動が短距離であるものがa5の割合で、長距離であるものがa6の割合で決定される。もっとも、このような決定がされた場合も、確定対象となり得る変動表示よりも前の変動表示に対応したアイコンが1つしかなければ、確定対象となり得る変動表示よりも1つ前のアイコンに最初に蝶111または蝶112が留まり、確定対象となり得るアイコンまで直接移動することとなる。
最初から確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンに蝶111または蝶112が留まるものとしては、確定対象となり得る変動表示まで残り1回のとき(つまり、これに対応したアイコンが1番左側に表示されているとき)に蝶111または蝶112が留まることとなるものがa7の割合で、残り2回のとき(つまり、これに対応したアイコンが左から2番目に表示されているとき)に蝶111または蝶112が留まることとなるものがa8の割合で、残り3回のときに蝶111または蝶112が留まることとなるものがa9の割合で、確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンの表示に蝶111または蝶112が留まっていることとなるものがa10の割合で選択される。
一方、時短状態に制御されているときには、確定対象となり得る変動表示よりも2つ前の変動表示に対応したアイコンに最初に蝶111または蝶112が留まり、確定対象となり得るアイコンまで変動表示毎に1つずつ移動していくものがb1の割合で選択される。もっとも、このような決定がされた場合も、確定対象となり得る変動表示よりも前の変動表示に対応したアイコンが1つしかなければ、確定対象となり得る変動表示よりも1つ前のアイコンに最初に蝶111または蝶112が留まり、確定対象となり得るアイコンまで直接移動することとなる。
最初から確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンに蝶111または蝶112が留まるものとしては、確定対象となり得る変動表示まで残り1回のとき(つまり、これに対応したアイコンが1番左側に表示されているとき)に蝶111または蝶112が留まることとなるものがb7の割合で、残り2回のとき(つまり、これに対応したアイコンが左から2番目に表示されているとき)に蝶111または蝶112が留まることとなるものがb8の割合で、残り3回のときに蝶111または蝶112が留まることとなるものがb9の割合で、確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンの表示に蝶111または蝶112が留まっていることとなるものがb10の割合で選択される。なお、a7:a8:a9:a10=b7:b8:b9:b10とすることが好ましい。
また、図8(b)に示すように、最初から確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンに蝶111または蝶112が留まることが決定された場合は、実際にアイコンに留まる蝶の種類を蝶111または蝶112のうちで蝶111とすることをα1の割合で決定し、蝶112とすることをα2の割合で決定する。それ以外の場合には、蝶111とすることをβ1の割合で決定し、蝶112とすることをβ2の割合で決定する。ここで、α2>β2となっており、蝶112がアイコンに留まった場合には、蝶111がアイコンに留まった場合よりも移動しにくいものとなる(確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンだけとなって蝶111または蝶112が消去される場合を除いて、確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンに蝶111または蝶112が留まると、当該変動表示の開始まで蝶111または蝶112が他の変動表示に移動するということはないので)。
図8(c)は、前の始動入賞に基づく何れかの変動表示に対応したアイコンにも蝶111または蝶112が既に留まっている場合における先読み予告の実行態様の決定テーブルを示す。図8(c)に示すように、ここでも先読み予告の実行態様は、スーパーリーチを示す始動入賞コマンドを受信したときの遊技状態が時短状態であるか否かに応じて決定されるものとなる。なお、既に表示されているアイコンに対応した変動表示にスーパーリーチとなるものがある場合には、当該変動表示が確定対象となり得る変動表示となっているので、今回受信した始動入賞コマンドに基づく変動表示を先読み予告の確定対象とした決定は行わない。
時短状態に制御されていない場合には、蝶111または蝶112が留まっているアイコン(先読み予告の暫定対象となっている)から確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンまで1つずつ移動していくものとして、その間の蝶111または蝶112の移動が短距離であるものがc1の割合で、長距離であるものがc2の割合で決定される。もっとも、このような決定がされた場合、確定対象となり得る変動表示よりも前の変動表示に対応したアイコンが1つしかなければ、蝶111または蝶112の移動は1回しかなく、結果的に確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンまで直接移動することとなる。
また、蝶111または蝶112が留まっているアイコン(先読み予告の暫定対象となっている)から確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンまで直接移動していくものとして、その間の蝶111または蝶112の移動が短距離であるものがc3の割合で、長距離であるものがc4の割合で決定される。一方、時短状態に制御されている場合は、蝶111または蝶112が留まっているアイコン(先読み予告の暫定対象となっている)から確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンまで1つずつ移動していくものだけが決定される。
図9は、飾り図柄の変動表示が実行されている間において、スーパーリーチとならない始動入賞があった場合等の先読み予告の決定テーブルを示す図である。このテーブルに基づいた先読み予告の決定により、実際には保留記憶バッファにスーパーリーチとなる変動表示が保留記憶されていないにも関わらず、蝶111または蝶112が特別図柄保留記憶表示部11a、11bのアイコンに留まるという、いわゆるガセの先読み予告が実行されるものとなる。
図9(a)は、前の始動入賞に基づく何れの変動表示に対応したアイコンにも蝶111または蝶112が留まっていない場合における先読み予告の実行態様の決定テーブルを示す。図9(b)は、先読み予告を実行すべく特別図柄保留記憶表示部11a、11bのアイコンに留まる蝶111、112の種類の選択テーブルを示す。この場合、スーパーリーチとならない始動入賞コマンドを受信したときに実行されていた変動表示の次の変動表示が実行されている間に蝶111または蝶112が特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンの何れかに留まることができる。
蝶111または蝶112が留まるアイコンを変動表示の開始まで残り1回のアイコン(つまり、1番左側に表示されているアイコン)に蝶111または蝶112が留まることとなるものがd1の割合で、残り2回のアイコン(つまり、左から2番目に表示されているアイコン)に蝶111または蝶112が留まることとなるものがd2の割合で、残り3回のアイコンに蝶111または蝶112が留まることとなるものがd3の割合で決定され、何れのアイコンにも蝶が留まらないこととなるものがd4の割合で決定される。
なお、例えば、残り3回のアイコンに蝶111または蝶112が留まることが決定されても、実際に表示されているアイコンが2つしかなければ、残り2回のアイコンに蝶111または蝶112が留まることとなる。また、1回の変動表示の間に複数の始動入賞コマンドを受信した場合には、先に受信した始動入賞コマンドに基づく決定はキャンセルされ、後の始動入賞コマンドの受信に基づいて、改めて先読み予告についての決定がなされる。
また、図9(b)に示すように、蝶111とすることをβ1の割合で決定し、蝶112とすることをβ2の割合で決定する。ここで、α2>β2であるので、スーパーリーチとなる変動表示が保留記憶されていない場合で蝶111または蝶112が特別図柄保留記憶表示部11a、11bに留まる場合を加味しても、蝶112がアイコンに留まった場合には、蝶111がアイコンに留まった場合よりも移動しにくいものとなる。
また、先読み予告の確定対象となり得る変動表示が保留記憶されていない場合において特別図柄保留記憶表示部11a、11bのアイコンに蝶111または蝶112が留まっている場合には、新たな変動表示が開始される度に当該変動表示において蝶111または蝶112を移動させるか否かが決定されるものとなる。図9(c)は、時短状態に制御されていない場合における蝶111または蝶112の移動決定テーブルを示す。図9(d)は、時短状態に制御されている場合における蝶111または蝶112の移動決定テーブルを示す。
図9(c)に示すように、時短状態に制御されていないときには、蝶111または蝶112が留まっているアイコンが残り1回で変動表示が開始される変動表示(今回新たに開始された変動表示の次に開始される変動表示)に対応したアイコンか否かに応じて、蝶111または蝶112の移動が決定される。
蝶111または蝶112が留まっているアイコンが残り1回で変動表示が開始される変動表示に対応したアイコンである場合には、当該アイコンから蝶111または蝶112が移動しないことは決定されることはない。ここで、特別図柄保留記憶表示部11a、11bにアイコンが1つしか表示されていない場合には、上記したように当該アイコンに蝶111または蝶112が留まっている場合はないので、次に示すような何らかの移動が決定されたのに移動できないということはない。1つ右のアイコンまで蝶111または蝶112を移動していくものとして、その間の蝶111または蝶112の移動が短距離であるものがe1の割合で、長距離であるものがe2の割合で決定される。
2つ右のアイコンまで蝶111または蝶112を移動していくものとして、その間の蝶111または蝶112の移動が短距離であるものがe3の割合で、長距離であるものがe4の割合で決定される。もっとも、2つ右のアイコンまで蝶111または蝶112が移動していくものが決定されても、蝶111または蝶112の留まっているアイコンより右に1つしかアイコンがなければ、蝶111または蝶112は1つ右のアイコンまでしか移動せず、蝶111または蝶112の留まっているアイコンより右に全くアイコンがなければ、蝶111または蝶112は移動されないこととなる。さらに、蝶111または蝶112が可変表示装置9の表示領域の枠外に飛び立って表示消去されるものが、e5の割合で決定される。
蝶111または蝶112が留まっているアイコンが残り1回で変動表示が開始される変動表示に対応したアイコンでない場合には、当該アイコンから蝶111または蝶112が移動しないことがf0の割合で決定される。また、1つ右のアイコンまで蝶111または蝶112を移動していくものとして、その間の蝶111または蝶112の移動が短距離であるものがf1(=e1)の割合で、長距離であるものがf2(=e2)の割合で決定される。
2つ右のアイコンまで蝶111または蝶112を移動していくものとして、その間の蝶111または蝶112の移動が短距離であるものがf3(=e3)の割合で、長距離であるものがf4(=e4)の割合で決定される。もっとも、2つ右のアイコンまで蝶111または蝶112が移動していくものが決定されても、蝶111または蝶112の留まっているアイコンより右に1つしかアイコンがなければ、蝶111または蝶112は1つ右のアイコンまでしか移動せず、蝶111または蝶112の留まっているアイコンより右に全くアイコンがなければ、蝶111または蝶112は移動されないこととなる。さらに、蝶111または蝶112が可変表示装置9の表示領域の枠外に飛び立って表示消去されるものが、f5の割合で決定される。
ここで、蝶111または蝶112が移動することの決定割合であるe1、e2、e3、e4は、図8(a)で示した蝶111または蝶112が先読み予告の確定対象となり得る変動表示に対応したアイコンに移動することの決定割合であるa1、a2、a3、a4、a5、a6との間に、次に示す数式1の関係を有する。この関係は、蝶111または蝶112が長距離移動した場合の方が、短距離移動した場合よりも、移動先のアイコンに対応する変動表示がスーパーリーチとなる変動表示であることの割合(可能性、信頼度)が高くなることを示すものである。
また、図9(d)に示すように、時短状態に制御されているときにも、蝶111または蝶112が留まっているアイコンが残り1回で変動表示が開始される変動表示(今回新たに開始された変動表示の次に開始される変動表示)に対応したアイコンか否かに応じて、蝶111または蝶112の移動が決定される。
蝶111または蝶112が留まっているアイコンが残り1回で変動表示が開始される変動表示に対応したアイコンである場合には、当該アイコンから蝶111または蝶112が移動しないことは決定されることはない。1つ右のアイコンまで蝶111または蝶112を移動していくことがg1の割合で、蝶111または蝶112を可変表示装置9から表示消去することがg2の割合で決定される。
蝶111または蝶112が留まっているアイコンが残り1回で変動表示が開始される変動表示に対応したアイコンでない場合には、当該アイコンから蝶111または蝶112が移動しないことがh0の割合で、1つ右のアイコンまで蝶111または蝶112を移動していくことがh1の割合で、蝶111または蝶112を可変表示装置9から表示消去することがh2の割合で決定される。
一方、第1大当たり遊技状態に制御されているときの先読み予告は、保留記憶中に確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるものが含まれているか否かを先読み予告するものであるが、従来のパチンコ遊技機において特別図柄保留記憶表示部11a、11bのアイコンを通常とは異なる表示態様に変えるというところをアイコンの表示態様を変えないが蝶111または蝶112を留まらせるということに置き換えた以外は、従来のパチンコ遊技機の場合と同じであるので、詳細な説明を省略する。
上記したように、始動入賞口14aに遊技球が始動入賞したときには始動入賞コマンドA101及び始動入賞コマンドC103が、始動入賞口14bに遊技球が入賞したときには始動入賞コマンドB102及び始動入賞コマンドC103が、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。
もっとも、CPU56から表示制御用CPUへのコマンドの送信は、一方向でのみ行われているため、CPU56から正しくコマンドが送信されているのに表示制御用CPUが取りこぼしてしまったり、CPU56のコマンドの送信と表示制御用CPUのコマンドの受信とは何れも正しく行われているのに送信途中でコマンドがデータ化けすることもある。CPU56の制御負荷が一時的に異常な状態になるなどして本来の送信すべきタイミングでコマンドが送信されないこともある。このような異常は、当然のことながら始動入賞コマンドにおいても起こりえる。
表示制御基板80の表示制御用CPUが受信した始動入賞口コマンドのうちの始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102が示す保留記憶の数が、直前までに表示制御用CPUにて受信された各コマンド(始動入賞コマンドに限らない)から把握される保留記憶の数から1つだけ増加させた正常な数(但し、1つだけの増加であっても最大保留記憶数を越える5となっている場合は正常な数ではない)となっていない場合には、始動入賞コマンドの生成や送受信における異常が発生していると考えられる。また、始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102の受信から1割り込み(33ms)以内で始動入賞コマンドC103を受信していない場合には、始動入賞コマンドの生成や送受信における異常が発生していると考えられる。
そこで、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1では、このような保留記憶数が正常な数でない始動入賞コマンドを受信した場合や、始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102の受信から1割り込み(33ms)以内で始動入賞コマンドC103を受信していない場合には、新たな大当たりが発生するまで先読み予告の実行を禁止するものとしている。この場合、表示制御基板80の表示制御用CPUは、第1大当たり遊技状態を終了した時点で始動入賞口14a、14bの保留記憶数がそれぞれ4個になっていると初期判断を行い、当該第1大当たり遊技状態が終了した後に、先読み予告の実行を再開させるものとなる。
以下、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1において遊技の進行のために行われる処理について説明する。まず、電源起動時の処理について説明する。リセットスイッチ93をON状態とした状態でメインスイッチ94をON状態としてパチンコ遊技機1を起動すると、RAM55の格納領域のうち使用中スタック領域を除く全ての格納領域を初期化する。そして、遊技を進行させるための処理を開始させることができる。
一方、リセットスイッチ93をOFF状態でメインスイッチ94をON状態としてパチンコ遊技機1を起動した場合は、RAM55のデータが壊れているかどうかを診断し、RAM55のデータが壊れていなかった場合、すなわち前回のパチンコ遊技機1の電源をOFFしたときのデータが正常なままで残っている場合には、RAM55に記憶されているデータはそのままとして、前回にパチンコ遊技機1の電源をOFFしたときの状態から、遊技を進行させるための処理を開始させることができる。また、パチンコ遊技機1の起動時には、RAM55に残っていたデータのうちの遊技状態と始動入賞口14a、14bについての保留記憶数を参照し、これに基づいて起動時コマンドを生成し、表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信する。
パチンコ遊技機1において遊技を進行させるための処理は、2ms毎に実行されるタイマ割り込みに従って実行される。なお、打球操作ハンドル5の操作に基づく遊技領域7への遊技球の発射だけは、2ms毎のタイマ割り込み処理とは独立して行われるものとなっている。
図10は、CPU56が実行するメイン処理にて2ms毎に実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込が発生すると、CPU56は、レジスタの退避処理(ステップS21)を行った後、ステップS22〜S36の遊技制御処理を実行する。遊技制御処理において、CPU56は、まず、スイッチ回路32を介して、ゲートスイッチ61、始動口スイッチ62a、62b、カウントスイッチ63、クリアスイッチ65、等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定するスイッチ処理を行う(ステップS22)。
次に、遊技制御に用いられる大当たり判定用の乱数、大当たり種別判定用乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS23)。CPU56は、更に、初期値用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理(ステップS24)及び表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS25)。
更に、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス処理では、遊技状態に応じて特別図柄表示器10a、10b、可変表示装置9、特別可変入賞装置20、等を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示器12の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。普通図柄プロセス処理を実行することにより普通図柄表示器12の表示制御および可変入賞装置15の開閉制御が実行される。
次いで、CPU56は、特別図柄プロセス処理でRAM55の送信コマンドキューの先頭に入れられた可変表示装置9等において各種演出を行うためのコマンドを先頭から1つ取り出し、これを表示制御基板80に送出する特別図柄コマンド制御処理を行う(ステップS28)。また、普通図柄プロセス処理でRAM55の所定の領域に設定された普通図柄に関するコマンドを送出する普通図柄コマンド制御処理を行う(ステップS29)。
更に、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当たり情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS30)。
また、CPU56は、始動口スイッチ62a、62b、カウントスイッチ63等の検出信号に基づく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS31)。具体的には、始動口スイッチ62a、62b、カウントスイッチ63等の何れかがオンしたことに基づく入賞検出に応じて、払出制御基板36に賞球個数を示す払出制御コマンドを出力する。払出制御基板36に搭載されている払出制御用CPUは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置44を駆動する。
そして、CPU56は、保留記憶数の増減をチェックする記憶処理を実行する(ステップS32)。記憶処理においては、始動口スイッチ62a、62bの検出信号に基づいて大当たり判定用乱数等の各種乱数を抽出し、抽出した乱数の値を始動口スイッチ62a、62bの別に保留記憶させる。
また、遊技機の制御状態を遊技機外部で確認できるようにするための試験信号を出力する処理である試験端子処理を実行する(ステップS33)。更に、所定の条件が成立したときにソレノイド回路33に駆動指令を行う(ステップS34)。可変入賞装置15、特別可変入賞装置20、を開放状態または閉鎖状態としたり、大入賞口21内の遊技球通路を切り替えたりするために、ソレノイド回路33は、駆動指令に応じてソレノイド71〜73を駆動する。その後、レジスタの内容を復帰させ(ステップS35)、割込許可状態に設定する(ステップS36)。
次に、ステップS26の特別図柄プロセス処理について説明する。特別図柄プロセス処理では、CPU56は、まず、遊技盤6に設けられている始動入賞口14a、14bに遊技球が入賞したことを検出するための始動口スイッチ62a、62bがオンしているかどうか、すなわち遊技球が始動入賞口14a、14bに入賞する始動入賞が発生しているかどうかを判定し、始動入賞が発生していたら始動口スイッチ通過処理を行う。
始動口スイッチ通過処理では、オンとなった始動口スイッチ62a、62bに対応する始動入賞口14a、14bの保留記憶数を判定する。また、大当たり判定用乱数大当たり、種別判定用乱数、変動種別判定用乱数、及び変動パターン判定用乱数を抽出し、当該始動入賞に基づく変動表示で大当たりとなるか否か(さらに、大当たりの種別を判定してもよい)、及び当該始動入賞に基づく変動表示で選択される変動パターンの種別を判定する(但し、スーパーリーチとなることが確定しない場合には、暫定的にノーマルリーチハズレと判定する)。
そして、始動入賞口14aの始動入賞であった場合には、始動入賞コマンドA101及び始動入賞コマンドC103を生成して、RAM55のコマンド送信キューに順番に挿入する。始動入賞口14bの始動入賞であった場合には、始動入賞コマンドB102及び始動入賞コマンドC103を生成して、RAM55のコマンド送信キューに順番に挿入する。なお、始動口スイッチ62a、62bの両方がオンしていたときには、上記の処理を始動入賞口14a、14bのそれぞれに対して順番に行い、この場合には、始動入賞コマンドA101及び始動入賞コマンドC103、始動入賞コマンドB102及び始動入賞コマンドC103の順でコマンド送信キューに挿入される。
その後、特別図柄プロセスフラグの状態に応じて、次に説明する特別図柄通常処理、変動パターン設定処理、演出設定処理、特別図柄変動処理、特別図柄停止処理、大入賞口開放前処理、大入賞口開放中処理、大当たり終了処理の何れかの処理を行う。
特別図柄通常処理:特別図柄の変動表示を開始できる状態になるのを待つ。CPU56は、特別図柄の変動表示が開始できる状態になると、保留記憶バッファに記憶される数値データの記憶数(保留記憶数)を確認する。保留記憶カウンタのカウント値が0でなければ、特別図柄の変動表示の結果、大当たり判定用乱数の値に基づいて大当たりとするか否か(特定表示結果とするか否か)を決定し、大当たりとする場合には、大当たり種別判定用乱数の値に基づいて大当たりの種別も決定する。
変動パターン設定処理:特別図柄表示器10a、10bにおける特別図柄の変動パターン種別を、始動入賞時に抽出した変動種別判定用乱数の値と保留記憶の数とに応じて選択する。そして、選択した変動パターンの種別と始動入賞発生時に抽出した変動パターン判定用乱数の値に応じて予め定められた複数種類の変動パターンの中から選択する。決定された変動パターンに基づいて、特別図柄の変動時間を特別図柄プロセスタイマ(ダウンタイマにより構成される)にセットした後、特別図柄プロセスタイマをスタートさせる。このとき、特別図柄表示器10aまたは10bに特別図柄の変動表示開始を指示する信号を出力するとともに、大当たりとするか否か及び大当たり種別を示すとともに選択した変動パターンを示す開始時コマンドとを、直後の特別図柄コマンド制御処理(ステップS28)で表示制御基板80に対して送信される状態に設定する。
特別図柄変動処理:変動パターン設定処理で選択された変動パターンに応じて変動時間のセットされた特別図柄プロセスタイマの計時時間を監視し、当該変動時間が経過して特別図柄プロセスタイマがタイムアウトすると、次に特別図柄停止処理に移行させるよう制御を行う。
特別図柄停止処理:特別図柄表示器10a、10bにて変動表示する特別図柄の変動表示を停止するとともに、特別図柄の停止を示す信号を特別図柄表示器10a、10bに出力される状態に設定するとともに、図柄の停止を示す図柄停止コマンドを、直後の特別図柄コマンド制御処理(ステップS28)で表示制御基板80に送信される状態に設定する。
大入賞口開放前処理:大当たり後に最初にこの処理が行われるときには大入賞口21のラウンド数を設定した後、大入賞口21を開放する制御を開始する。具体的には、ソレノイド72を駆動して大入賞口21を開放状態として特別可変入賞装置20を開放状態とする。また、大入賞口21の開放されたラウンド数をカウントすると共に、開放タイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定する。
大入賞口開放中処理:大当たり遊技状態中のラウンド表示のためのラウンドコマンド及びラウンド終了コマンドを、直後の特別図柄コマンド制御処理(ステップS28)で表示制御基板80に送信される状態に設定する処理や、大入賞口21の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。
大当たり終了処理:大当たり遊技状態が終了して遊技状態が変化したことを示す遊技状態コマンドを、直後の特別図柄コマンド制御処理(ステップS28)で表示制御基板80に送信される状態に設定する。
一方、表示制御基板80などのサブ側の各種基板においては、主基板31の基本回路53から送信されたコマンドに基づいて、特別図柄の変動表示に合わせて可変表示装置9において飾り図柄の変動表示を実行したり、先読み予告などの各種演出を実行したり、第1大当たり遊技状態に制御されているときに大当たりラウンド演出を実行する処理を行う。図11は、表示制御基板80の表示制御用CPUが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
このメイン処理では、まず、表示制御基板80に搭載された表示制御用マイクロコンピュータに含まれるRAMのうちで必要な領域を初期化する初期化処理を行う(ステップS701)。次に、所定時間(例えば33ms(可変表示装置9の1フレーム期間))毎に実行されるタイマ割り込み処理によってセットされるタイマ割り込みフラグの状態が1となっているかどうかを判定し(ステップS702)、タイマ割り込みフラグの状態が1となるまでステップS702の処理を繰り返して行う。タイマ割り込みフラグの状態が1となっている後、まず、このタイマ割り込みフラグを0にクリアする(ステップS703)。
主基板31の基本回路53から送信されたコマンドが受信コマンドキューに挿入されているかどうかをチェックする。コマンド受信キューにコマンドが挿入されている場合には、コマンド受信キューからコマンドを取り出し、その内容を解析するコマンド解析処理を実行する。複数のコマンドがコマンド受信キューに送信されている場合には、その全てのコマンドを順番に受信コマンドキューから取り出し、それぞれの内容を解析する。コマンド解析処理では、始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102が示す保留記憶数が、直前までに受信したコマンドから把握される保留記憶数に対して1だけ増加した正常な数となっているか、始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102の受信と同じ割り込みで、或いは次の割り込みで、始動入賞コマンドC103を続けて受信しているかの判定も行う(ステップS704)。
次に、コマンド解析処理におけるコマンドの解析結果に基づいて、可変表示装置9において飾り図柄を変動表示させたり、大当たりラウンド演出を実行させたりする演出制御プロセス処理を実行する(ステップS705)。また、コマンドの解析結果に基づいて、先読み予告などの各種演出を実行させる予告制御プロセス処理を実行する(ステップS706)。さらに、演出の実行に必要な各種乱数を更新する乱数更新処理を実行して(ステップS707)、ステップS702の処理に戻る。
以下、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1における先読み予告の実行を、具体的な例に基づいて説明する。図12は、パチンコ遊技機1における先読み予告の第1の実行例を示す図であり、ここでは、蝶111が最初に留まったアイコンから短距離移動して他のアイコンに移動する場合を示す。図13は、パチンコ遊技機1における先読み予告の第2の実行例を示す図であり、ここでは、蝶111が最初に留まったアイコンから長距離移動して他のアイコンに移動する場合を示す。
なお、図12、図13において、△(実際には可変表示装置9に表示されない)は先読み予告の暫定対象であることを、▲(実際には可変表示装置9に表示されない)は先読み予告の確定対象(となり得るもの)であることを示す(後述する、図14〜図16において同じ)。また、説明を簡単にするため、始動入賞口14aについての保留記憶に対する保留記憶、即ち特別図柄保留記憶表示部11aに表示されている花のアイコンに蝶111または蝶112が留まることで行われる先読み予告についてのみ考えるものとする。また、時短状態には制御されていないものとする。
第1の例では、図12(a)に示すように、ある回の飾り図柄の変動表示が終了してハズレの表示結果が導出された段階で、始動入賞口14aについての保留記憶が4つあり、特別図柄保留記憶表示部11aに4つのアイコンが表示されているものとする。ここで、図12(a)において特別図柄保留記憶表示部11aに表示されている4つのアイコンのうちの1番左に表示されているアイコンに対応した保留記憶に基づく変動表示が開始されるときに、左から3番目に表示されているアイコンに対応した保留記憶が先読み予告の暫定対象として決定されたものとする。また、蝶111が選択されたものとする。
そして、図12(b)に示すように、図12(a)において1番左に表示されていたアイコンに対応した保留記憶に基づく変動表示が実行されている間に(この間において、先読み予告の暫定対象の変動表示に対応したアイコンが左から2番目に表示される)、蝶111が左から2番目のアイコンに向かって飛んできて、図12(c)に示すように、当該変動表示が終了してハズレの表示結果が導出された段階で、左から2番目のアイコンに蝶111が留まった状態となる。
図12(c)において1番左に表示されているアイコンに対応した保留記憶に基づく変動表示が開始されるときに、蝶111を1つ右のアイコンまで短距離移動させることが決定されたものとする。そして、図12(d)に示すように、当該変動表示が開始されて特別図柄保留記憶表示部11aのアイコンがシフトされると、蝶111が留まっているアイコンは1番左のアイコンということになるが、当該変動表示が実行されている間に、図12(e)に示すように、蝶111が1番左のアイコンから飛び立ち(これで当該アイコンに対応した変動表示が暫定対象でなくなる)、図12(f)に示すように、短距離を移動して蝶111が左から2番目のアイコンに留まるものとなる。
第2の例では、図13(a)に示すように、ある回の飾り図柄の変動表示が実行されている時点で、始動入賞口14aについての保留記憶が4つあり、特別図柄保留記憶表示部11aに4つのアイコンが表示されているものとする。ここで、図13(a)において特別図柄保留記憶表示部11aに表示されている4つのアイコンのうちの左から3番目に表示されているアイコンに対応した変動表示がスーパーリーチとなるもの(先読み予告の確定対象となり得るもの)とする。また、このスーパーリーチとなる変動表示についての始動入賞があったときに、蝶111が確定対象となる変動表示よりも1つ前の変動表示に対応したアイコンに留まり、確定対象となるアイコンまで長距離移動により直接移動することが決定されているものとする。
次に、図13(b)に示すように、この回の変動表示が実行されている間に蝶111が左から2番目のアイコンに向かって飛んできて、図13(c)に示すように、当該変動表示が終了してハズレの表示結果が導出された段階で、左から2番目のアイコンに蝶111が留まった状態となる。図13(d)に示すように、図13(c)において1番左に表示されているアイコンに対応した保留記憶に基づく変動表示が開始され、特別図柄保留記憶表示部11aのアイコンがシフトされると、蝶111が留まっているアイコンは1番左のアイコンということになる。
次に、当該変動表示が実行されている間に、図13(e)に示すように、蝶111が1番左のアイコンから飛び立ち(これで当該アイコンに対応した変動表示が暫定対象でなくなる)、図13(f)に示すように、当該変動表示が終了してハズレの表示結果が導出された段階では、短距離を移動して蝶111が左から2番目のアイコン(確定対象となり得る変動表示に対応)に留まっているものとなる。なお、図13(f)の時点において、それまでの新たな始動入賞により特別図柄保留記憶表示部11aには4つのアイコンが表示された状態になっている。
次に、図13(g)に示すように、図13(f)において1番左に表示されているアイコンに対応した保留記憶に基づく変動表示が開始され、特別図柄保留記憶表示部11aのアイコンがシフトされると、蝶111が留まっているアイコンは1番左のアイコンということになる。ここで、蝶111が留まっているアイコンは、先読み予告の確定対象となった変動表示に対応したものであるため、図13(h)に示すように、このアイコンから蝶111が飛び立つことなく、当該変動表示が終了されることとなる。
その後、図13(i)に示すように、図13(h)において1番左に表示されているアイコンに対応した保留記憶に基づく変動表示が開始され、特別図柄保留記憶表示部11aのアイコンがシフトされると、特別図柄保留記憶表示部11aに表示されているアイコンに蝶111または蝶112が留まっているものがなくなり、この変動表示は先読み予告の確定対象であったため、図13(j)に示すように、飾り図柄の変動表示がスーパーリーチで実行されるものとなる。
以上説明したように、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1では、始動入賞口14a、14bに遊技球が始動入賞すると、大当たり判定用乱数などの各種乱数が抽出され、抽出された乱数に基づき行われる大当たり抽選及び大当たり種別抽選の結果により確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなると、大入賞口21を長期間に亘って開放して遊技者が多くの遊技球を獲得できることになる第1大当たり遊技状態に制御される。また、突然確変大当たりとなると、第2大当たり遊技状態に制御された後に確率変動状態に制御される。
このような大当たり抽選及び大当たり種別抽選の結果は、特別図柄表示器10a、10bにても示されるが、遊技者にとって非常に識別しづらく、また、面白みもないものであるため、可変表示装置9において行われる飾り図柄の変動表示の結果によっても示される。可変表示装置9において行われる飾り図柄の変動表示は、遊技者の期待感を高めさせるべく様々な変動パターンを以て実行されるが、その変動パターンの種別として、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるときには、これらの大当たりとならないときよりも高い割合で選択されるスーパーリーチが含まれている。遊技者は、飾り図柄の変動表示の結果が導出される前に、まずスーパーリーチとなることに期待感を持つことになる。
また、始動入賞口14a、14bへの始動入賞があっても、それより先の始動入賞に基づく変動表示が実行されていると(始動入賞口14bの始動入賞では、さらに先後を問わずに始動入賞口14aへの始動入賞もあると)、該始動入賞に基づく変動表示を即座に実行し得ないが、そのような始動入賞は、始動入賞口14a、14bのそれぞれについて最大4つまでRAM55の保留記憶バッファに保留記憶されるものとなる。そして、保留記憶バッファに始動入賞が保留記憶されていると、それぞれの始動入賞に対応したアイコンが特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されることとなる。
ここで、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示される各アイコンは、花の形態を有するものとなっているが、保留記憶バッファに保留記憶されている始動入賞にスーパーリーチとなるものが含まれていることを示唆する先読み予告を、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されている花のアイコン11a−1〜11a−4に蝶111または蝶112を留まらせることによって実行されることとなっている。スーパーリーチとなる変動表示に対応した保留記憶は、先読み予告の確定対象であり、対応するアイコンに蝶111または蝶112が留まるとそこから他のアイコンに移動することはない(但し、保留記憶の数が当該始動入賞の1つだけとなって蝶111または蝶112が消去されることはある)。
特別図柄保留記憶表示部11a、11bのアイコンに蝶111または蝶112が留まっているだけでは、遊技者は、蝶111または蝶112の留まっているアイコンに対応した変動表示においてスーパーリーチとなるか否かについて確定的に判断することはできない。もっとも、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに蝶111または蝶112の留まっている花のアイコンがあれば、これに対応した変動表示においてスーパーリーチとなることを期待することができる。
もっとも、蝶111または蝶112の留まっている花のアイコンに対応した変動表示においてスーパーリーチとなることを期待していても、実際にスーパーリーチとなるものでない(即ち、先読み予告の確定対象でない)場合には、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されている他のアイコンに蝶111または蝶112が移動してしまうことがある。蝶111または蝶112が移動すると言うことは、遊技者がスーパーリーチとなることを期待できる変動表示が、これまで蝶111または蝶112が留まっていたアイコンに対応した変動表示から、蝶111または蝶112が移動して留まったアイコンに対応した変動表示に変わってしまうということになる。
このように特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示された何れかのアイコンに蝶111または蝶112が留まって先読み予告が実行されても、当該アイコンから他のアイコンに蝶111または蝶112が移動してしまうことで遊技者がスーパーリーチを期待できる変動表示が他の変動表示に移ってしまう(この場合、これまで蝶111または蝶112が留まっていたアイコンに対応した変動表示でスーパーリーチとなることが期待できなくなってしまう)。このように先読み予告において遊技者がスーパーリーチとなることを期待できる変動表示が変化してしまうことで、遊技者に意外性を与えることができる。
また、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示された何れかのアイコンに蝶111または蝶112が一旦留まっても、そのようなアイコンに対応した変動表示が実行される直前まで蝶111または蝶112が留まったままでいるとは限らないので、蝶111または蝶112の留まったアイコンに対応した変動表示が、そのままスーパーリーチとなることを先読み予告されているか否かに対して遊技者の関心を継続させることができる。
また、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示された何れかのアイコンに蝶111または蝶112が留まった後に、その蝶111または蝶112が他のアイコンに移動する場合だけではなく、他の何れのアイコンにも移動することなく可変表示装置9の表示領域の枠外に飛び去って表示消去される(但し、時短状態ではアイコンのシフト時にそのまま表示消去される)ことがある。この場合、遊技者がスーパーリーチとなることを期待できる変動表示そのものがなくなってしまうこととなる。
これにより、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されたアイコンのうちに蝶111または蝶112が留まっているアイコンがあっても、蝶111または蝶112が表示消去されて何れのアイコンにも蝶111または蝶112が留まっていないという状態になることもあるので、蝶111または蝶112が他のアイコンに移動するかだけではなく、蝶111または蝶112が可変表示装置9に表示され続けるか否かということについても遊技者の関心を継続させることができる。
また、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンに蝶111または蝶112を留まらせることができるのは、特別図柄保留記憶表示部11a、11bの各々で2つ以上のアイコンが表示されているときに限られている。例えば、蝶111または蝶112が特別図柄保留記憶表示部11aの何れかのアイコンに留まった時点では、該アイコンを含めて2つ以上のアイコンが表示されていたが、新たな変動表示の開始によって特別図柄保留記憶表示部11aのアイコンが1つだけになってしまうことになると、蝶111または蝶112は表示消去されてしまう。
特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンの数が1つだけになってしまった状態で当該アイコンに蝶111または蝶112を留まらせておくと、該アイコンに対応した変動表示がスーパーリーチとなるものでなくても蝶111または蝶112を移動させることができない。アイコンの数が1つだけになったときに蝶111または蝶112を表示消去させることで、スーパーリーチとなるものでないにも関わらずアイコンに蝶111または蝶112が留まり続けて、遊技者にスーパーリーチになるものと勘違いさせてしまうという事態を防ぐことができる。
一方、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンの数が1つだけになると、当該アイコンに対応した変動表示がスーパーリーチとなるものであったとしても蝶111または蝶112が表示消去される。仮にスーパーリーチになるものであったからといって蝶111または蝶112を表示させたままにしておくと、これによってスーパーリーチとなることが遊技者に分かってしまう。保留記憶の数は、遊技者が意図的に調整することが可能であるが、このようにスーパーリーチになるものであったとしてもアイコンが1つだけとなれば蝶111または蝶112を表示消去させることで、遊技者が意図的にスーパーリーチとなるか否かを予め知り得るようにしてしまうのを防ぐことができる。
また、特にスーパーリーチとなるものが含まれている場合において、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されたアイコンに蝶111または蝶112が留まるタイミングは、当該変動表示まで残り1回、2回、3回となったときのタイミングと、始動入賞によりアイコンが表示されるのと同時というタイミングがある。このように特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されるアイコンに蝶111または蝶112が留まるタイミングが一定しないので、始動入賞後、何時アイコンに蝶111または蝶112が留まるかにも遊技者に興味を抱かせることができる。
また、例えば、特別図柄保留記憶表示部11a、11bにアイコンが表示されたタイミングで蝶111または蝶112が留まっていなくても、当該始動入賞に基づく変動表示まで残り1回となるまでアイコンに蝶111または蝶112が留まる可能性があるので、遊技者の関心を失わせない。また、始動入賞により特別図柄保留記憶表示部11a、11bにアイコンが表示されるのと同時に該アイコンに蝶111または蝶112が留まっていたときには、それでスーパーリーチの確定となるので、最初にアイコンが表示される際に蝶111または蝶112が留まっているかにも関心を持たせることができる。
また、時短状態に制御されている場合を除いて、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンに留まっている蝶111または蝶112が他のアイコンに移動する場合において、短距離を移動して他のアイコンに移動する場合と長距離を移動して他のアイコンに移動する場合とがある。ここで、蝶111または蝶112が長距離を移動して他のアイコンに留まった場合の方が、短距離を移動して他のアイコンに留まった場合よりも、該移動先のアイコンに対応した変動表示でスーパーリーチとなる可能性が高いものとなっている。これにより、単に蝶111または蝶112が移動するか否かだけではなく、如何なる経路で蝶111または蝶112が移動するかにも遊技者に興味を与えることができるので、さらに遊技の興趣を向上させることができる。
また、スーパーリーチとなることを先読み予告するために特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンには、蝶111と蝶112の2種類の何れかが留められ得るが、最初からスーパーリーチとなる変動表示のアイコンに蝶111または蝶112を留めさせる場合には、蝶112を選択する割合が他の場合よりも高いものとなっている。スーパーリーチとなる変動表示に対応したアイコンからは蝶111または蝶112はそれ以上移動し得ないが、このような割合で蝶111と蝶112の何れかを選択することによって、蝶112の方が蝶111よりも一旦留まったアイコンからの移動が少ないということになる。言い換えると、蝶112が留まったアイコンは、対応する変動表示でスーパーリーチとなるものである可能性が高いと言うことになる。
これにより、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンに蝶111または蝶112が留まるか否かだけではなく、蝶111または蝶112の何れが留まるかにも遊技者に興味を与えることができるので、さらに遊技の興趣を向上させることができる。また、蝶111または蝶112の何れが特別図柄保留記憶表示部11a、11bのアイコンに留まったかによって、該アイコンに留まった蝶111または蝶112が移動される可能性を遊技者がある程度予測することが可能となる。
ところで、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1では、CPU56等の制御部を搭載したメイン側の主基板31と、表示制御用マイクロコンピュータを搭載した表示制御基板80などのサブ側の基板とに分けて、制御回路を構成している。遊技の進行は、主基板31に搭載されたCPU56により制御されているが、先読み予告などの演出の実行は、主基板31のCPU56から送信されたコマンドに基づいて、表示制御基板80に搭載された表示制御用マイクロコンピュータに含まれる表示制御用CPUにより制御されている。
先読み予告を実行するためには、表示制御用CPUは、始動入賞口14a、14bの始動入賞について保留記憶されている内容を知る必要がある。このために主基板31のCPU56は、始動入賞口14a、14bに遊技球が始動入賞したときに始動入賞コマンド(始動入賞コマンドA101及び始動入賞コマンドC103、または始動入賞コマンドB102及び始動入賞コマンドC103)を送信するだけでよい。表示制御基板80の表示制御用CPUは、受信した始動入賞コマンドに含まれる始動入賞コマンドC103を、RAMに設けられた始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに先入れ先出しで記憶させていけばよい。
そして、表示制御用CPUは、先読み予告の実行を決定するために、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶させておいた始動入賞コマンドC103を参照することで、始動入賞口14a、14bの始動入賞についての保留記憶にスーパーリーチとなるもの、或いは確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるものが含まれているか否かを判定することができるものとなっている。このため、主基板31と表示制御基板80というメイン−サブの基板構成とし、先読み予告の実行をサブ側の表示制御基板80に搭載された表示制御用CPUにより制御するものとしても、全体としての制御を複雑化させることがない。
パチンコ遊技機1の制御回路は、このようなメイン−サブの基板構成で構成されているが、メイン側の主基板31に搭載されたRAM55はパチンコ遊技機1の電源が遮断されたときにおいてもデータがバッテリバックアップされているのに対して、サブ側の表示制御基板80に搭載された表示制御用マイクロコンピュータに含まれるRAMはデータがバッテリバックアップされていない。つまり、電源を遮断してもRAM55の保留記憶バッファに記憶された保留記憶のデータが消えないため、パチンコ遊技機1を起動した後には電源を遮断する直前の状態から遊技が再開される。
一方、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶された始動入賞コマンドC103のデータは消えてしまっているため、パチンコ遊技機1の電源を起動した後には始動入賞口14a、14bの保留記憶に対する先読み予告を実行することができないことになる。もっとも、パチンコ遊技機1の電源を立ち上げたときには、始動入賞口14a、14bのそれぞれの保留記憶の数と遊技状態とを示す起動時コマンドがCPU56から表示制御用CPUへと送信される。表示制御用CPUは、起動時コマンドが示す保留記憶の数だけ、非リーチハズレを示す始動入賞コマンドC103を始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶させる。
このため、パチンコ遊技機1の電源を立ち上げたときにCPU56と表示制御用CPUの双方で実行しなければならない制御を、最小限に抑えることができる(仮に、電源の遮断前に始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶されていた始動入賞コマンドC103を復元しようとすると、主基板31のCPU56は、始動入賞口14a、14bの始動入賞毎に保留記憶バッファに記憶されている各種乱数に基づいて始動入賞コマンドと同等のコマンドを生成し、これを送信する必要が生じるので、制御が複雑になる)。
また、パチンコ遊技機1の電源を立ち上げたときの制御をこのように行うことで、実際には保留記憶にスーパーリーチとなるもの、或いは確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるものが含まれていない場合に、スーパーリーチハズレとなるもの、或いは確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるものが含まれていることを徒に遊技者に期待させてしまうことがない。一方、先読み予告が行われないままに実行された変動表示の変動パターンがスーパーリーチとなっても、或いは変動表示の結果が確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなっても、遊技者の気分を害することはないので、大きな問題が生じることはない。
上記したように、始動入賞口14a、14bの何れについての保留記憶もある場合には、始動入賞口14bの保留記憶が優先的に消化され、特別図柄表示器10bで特別図柄の変動表示が行われるものとなる。時短状態においては、可変入賞装置15の開放が頻繁に行われ、始動入賞口14bに遊技球が入賞する頻度が高まるので、始動入賞口14bについての保留記憶が途切れることは少ない。
従って、時短状態は、始動入賞口14aについての保留記憶があっても、これに基づく変動表示が行われないようになることを前提とした遊技状態であると言える。第1大当たり遊技状態が終了した後は、必ずこの時短状態に制御される。従って、時短状態に制御されている間は、開発者側の意図としては、始動入賞口14bへの始動入賞に基づいて実行される変動表示の結果により大当たりを発生させ、第1、第2大当たり遊技状態に制御させようとしていると言える。
この実施の形態にかかるパチンコ遊技機では、第1大当たり遊技状態または時短状態に制御されているときの始動入賞口14aへの始動入賞に基づく保留記憶は、スーパーリーチとなるものでもなく、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるものでもないと判定することで、始動入賞口14aへの始動入賞に基づく保留記憶にスーパーリーチとなるもの、或いは確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるものが含まれているか否かの判断材料を遊技者に与えないものとしている。これにより、遊技者の技術介入により時短状態に制御されているときに第1大当たり遊技状態の発生が生じないようにし、開発者が想定していた以上の出玉が得られてしまうことを防ぐことができる。
また、始動入賞口14a、14bへの始動入賞に基づいて表示制御基板80の表示制御用CPUが受信した始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102により示される始動入賞口14a、14bについての保留記憶数が、表示制御用CPUが直前までに受信していたコマンドに基づいて認識している保留記憶数に対して1だけ増加した正常な数を示すものでない場合に、次の第1大当たり遊技状態が終了するまで、先読み予告の実行を禁止するものとしている。これにより、本来先読み予告の対象とすべきではない変動表に対して意図せぬ先読み予告が実行されてしまうことを防ぐことができる。
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
上記の実施の形態では、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは突然確変大当たりの発生に基づいて確率変動状態に制御された場合、当該確率変動状態は、次に大当たりが発生するまで無制限で継続されるものとなっていた(但し、次の大当たりが確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは突然確変大当たりであれば、改めて確率変動状態に制御される)。もっとも、確率変動状態において実行される特別図柄の変動表示の回数を無制限とせずに、一定回数までとするものとしてもよい。
1回の確率変動状態において実行される特別図柄の変動表示の最大回数は、確率変動状態における大当たり確率の逆数よりも大きい回数(例えば、100回)とすることもできる。或いは、保留記憶の数程度(例えば、始動入賞口14bについての保留記憶数である4、或いは始動入賞口14a、14bについての保留記憶数の合計である8)とすることもできる。確率変動状態において実行される特別図柄の変動表示の回数を一定回数に限る場合、時短状態に制御する回数も、これに合わせることができる。
なお、確率変動状態において実行される特別図柄の変動表示の回数を制限した場合、確率変動状態の終了までの残り回数が所定回数(例えば、4回)となった変動表示は、先読み予告の確定対象とはしないものとしてもよい。また、確率変動状態の終了までの残り回数が所定回数となった場合は、先読み予告自体を実行しないものとしてもよい。或いは、そもそも確率変動状態に制御されているときには、その残り回数に関わらずに、先読み予告を実行しないものとしてもよい。
上記の実施の形態では、飾り図柄の変動パターンは、主基板31のCPU56が、変動種別判定用乱数の値に基づいて種別を決定した後、決定した種別と変動パターン判定用乱数の値に基づいて詳細なパターンとして決定されるものとしていた。もっとも、スーパーリーチとなるか否かは、変動種別判定用乱数の値に基づく変動パターンの種別の決定までで確定されるものとなる。主基板31のCPU56が決定するのは変動パターンの種別までとし(但し、この場合は、種別毎に変動表示の時間が確定されるものとする)、詳細な変動パターンの決定は、表示制御基板80の表示制御用CPUが行うものとしてもよい。
上記の実施の形態では、大当たり抽選及び大当たり種別抽選の結果に関わらず、変動パターンとして疑似連を選択することはなかった。これに対して、変動パターンとして一定の割合で疑似連を選択できるようにしてもよい。ここで、疑似連とは、特別図柄の変動表示に応じて可変表示装置9で飾り図柄が変動表示されるが、1回分の特別図柄の変動表示(すなわち、1回の始動入賞)に対して、飾り図柄表示領域9a〜9cの全てにおいて飾り図柄の変動表示を仮停止(図柄の更新を停止しているが確定はしていない状態であって、揺り動かすなどの状態としていてもよい)させた後に、全ての飾り図柄を再度変動表示させる再変動表示を1回または複数回実行する飾り図柄の変動パターンを指す。
上記の実施の形態では、第1大当たり遊技状態に制御されずに、可変表示装置9において飾り図柄の変動表示を行うことが可能となっている場合には、始動入賞口14a、14bについての保留記憶にスーパーリーチとなるものが含まれるか否かを先読み予告するものとしていた。もっとも、このような場合も、第1大当たり遊技状態に制御されていて大当たりラウンド演出が行われている場合と同様に、始動入賞口14a、14bについての保留記憶に確率変動大当たり、確変昇格大当たり、または時短大当たりとなるものが含まれるか否かを先読み予告するものとしてもよい。
確率変動状態に制御されている場合、或いは確率変動表示の残り回数が一定回数以上である場合に限って、保留記憶にスーパーリーチとなるものが含まれているか否かではなく、確率変動大当たり、確変昇格大当たり、または時短大当たりとなるものが含まれるか否かを先読み予告するものとしてもよい。一方、第1大当たり遊技状態において、保留記憶にスーパーリーチとなるものが含まれているか否かを先読み予告するものとしてもよい。
上記の実施の形態では、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されるアイコンを花の形態とし、先読み予告を行うべくこれらのアイコンに付される目印表示を花に留まる蝶111、112としていた。もっとも、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されるアイコンをヘリポートの形態とする一方で目印表示をヘリポートに離着陸するヘリコプターとしたり、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されるアイコンを釣り針の形態とする一方で目印表示を釣り針に食いつく魚としたりすることで、両者の関連性を持たせるものであってもよい。もっとも、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されるアイコンと先読み予告を行うべくこれらのアイコンに付される目印表示との間に関連性がないものであっても、本発明を実施することは可能である。
また、特別図柄保留記憶表示部11a、11bは、可変表示装置9にアイコンを表示させる表示領域を設けることで形成されていたが、可変表示装置9とは別にLEDなどを各々4個ずつ並べて形成するものとしてもよい。LEDを並べて形成した特別図柄保留記憶表示部が可変表示装置の直ぐ下に置かれているのであれば、可変表示装置9のLEDに近い領域に蝶111、112のような目印表示を行うことで、上記の実施の形態と同様にして先読み予告を行うことができる。
上記の実施の形態では、特別図柄保留記憶表示部11aに表示されているアイコンのうちのアイコン11a−4に蝶111または蝶112が留まるのは、スーパーリーチとなる始動入賞があったタイミングで当該始動入賞に対応した変動表示のアイコンがアイコン11a−4として表示される場合だけであった。もっとも、表示制御基板80の表示制御用CPUが、スーパーリーチとならないことを示す始動入賞コマンドを受信したときにも先読み予告についての決定を行うのであれば、先読み予告の暫定対象となる変動表示のアイコンとしてアイコン11a−4に蝶111または蝶112が留まることがあってもよい。
上記の実施の形態では、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンに蝶111または蝶112が留まるのは、始動入賞によりアイコンが表示されるタイミングと同時にする場合の他は、当該始動入賞があった時点よりも後に開始された変動表示が実行されている間のタイミングとしていた。もっとも、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンに蝶111または蝶112が留まるタイミングは、これだけに限られるものではなく、例えば、新たな始動入賞により特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンがシフトされるタイミングとしてもよい。
また、1回の変動表示において飾り図柄の表示結果が導出されてから次の回の変動表示が開始されるまでのインターバル期間(この期間では、飾り図柄が停止して表示されている)において、特別図柄保留記憶表示部11a、11bのアイコンに蝶111または蝶112が留まるようにしてもよい。もっとも、始動入賞口14a、14bへの遊技球の始動入賞や、可変表示装置9における飾り図柄の変動表示とは全く無関係に任意のタイミングで、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンに蝶111または蝶112が留まるようにすることもできる。
また、上記の実施の形態では詳細に説明していないが、パチンコ遊技機1においては、上記した先読み予告の他に、飾り図柄の変動表示が行われている間に当該回の変動表示でリーチとなる可能性を報知するリーチ予告演出や、大当たりとなる可能性を報知する大当たり予告演出が実行されることがある。これらのリーチ予告演出や大当たり予告演出などの他の演出が遊技者に分かりにくくなることを防止するため、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンに蝶111または蝶112が留まるタイミングは、飾り図柄の変動表示以外の他の演出が実行されていないときとすることができる。他のアイコンに蝶111または蝶112が移動するタイミングについても同様である。
上記の実施の形態では、時短状態に制御されていないときに特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示された何れかのアイコンから他のアイコンに蝶111または蝶112が移動する場合において、短距離移動とするものと長距離移動とするもの(それぞれ、移動時間も短時間、長時間となる)があり、長距離移動したか短距離移動したかによって、蝶111または蝶112の移動先のアイコンに対応する変動表示がスーパーリーチとなる信頼度が異なるようにしていた。もっとも、移動経路(移動距離)は同じであるが移動所要時間が異なるようにしたり、移動経路(移動距離)は異なるが移動所要時間は同じであるようにすることもできる。
また、例えば、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンのうちの第1のアイコンから第2のアイコンまで蝶111または蝶112が移動する場合において、第1のアイコンから第2のアイコンまで蝶111または蝶112が直接移動する場合と、第1のアイコンから第3のアイコンに蝶111または蝶112が一旦移動し、さらに第2のアイコンに移動する場合とで、最終的な移動先である第2のアイコンに対応する変動表示がスーパーリーチとなる信頼度が異なるようにしてもよい(何れの信頼度が高いものとしてもよい)。
さらに、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンのうちの第1のアイコンから第2のアイコンまで蝶111または蝶112が移動する場合において、第1のアイコンから第3のアイコンに蝶111または蝶112が一旦移動し、さらに第2のアイコンに移動する場合と、第1のアイコンから第4のアイコンに蝶111または蝶112が一旦移動し、さらに第2のアイコンに移動する場合とで、最終的な移動先である第2のアイコンに対応する変動表示がスーパーリーチとなる信頼度が異なるようにしてもよい(何れの信頼度が高いものとしてもよい)。
上記の実施の形態では、特別図柄保留記憶表示部11a、11bの何れかのアイコンに留まっている蝶111または蝶112は、当該アイコンに対応した変動表示よりも後に実行される変動表示に対応したアイコンにしか移動することはなかった。つまり、蝶111または蝶112の移動は、左から右にのみ行われるものとしていた。もっとも、特別図柄保留記憶表示部11a、11bの何れかのアイコンに留まっている蝶111または蝶112が、当該アイコンに対応した変動表示よりも1つまたは2つ前に実行される変動表示に対応したアイコンに移動することがあってもよい。つまり、蝶111、l12の移動が、右から左に行われることがあってもよい。但し、例えば、特別図柄保留記憶表示部11aにおいて1番左のアイコン11a−1に蝶111または蝶112が移動した場合において当該アイコン11a−1に対応する変動表示が先読み予告の確定対象となる変動表示でない場合、当該変動表示が開始されるよりも前に蝶111または蝶112を再び別のアイコンに移動させる、或いは表示消去させる必要がある。
上記の実施の形態では、特別図柄保留記憶表示部11a、11bのアイコンに留まっている蝶111または蝶112は、そのアイコンから飛び立つことなく当該アイコンに留まり続けている限り、当該アイコンが先読み予告の確定対象となる変動表示のアイコンであるか否かに関わらず、その表示態様が変わることはなかった。もっとも、蝶111または蝶112の留まっているアイコンが先読み予告の確定対象である場合には、先読み予告の確定対象でない場合よりも高い割合で、羽ばたいたり光り輝いたりといったように、蝶111または蝶112の表示態様を変化させるものとしてもよい。なお、蝶111または蝶112のアイコンが先読み予告の確定対象である場合には蝶111または蝶112の表示態様を変化させるのを100%の割合としたり、蝶111または蝶112のアイコンが先読み予告の確定対象でない場合には蝶111または蝶112の表示態様を変化させるのを0%の割合とすることもできる。
また、このように蝶111または蝶112の表示態様を変化させるタイミングは、蝶111または蝶112の留まっているアイコンに対応した変動表示が残り1回の変動表示となったときだけとしても、当該変動表示の直前に実行される変動表示が終了した後から当該変動表示が実行される間のインターバル期間にあるときだけとしてもよい。もっとも、蝶111または蝶112の留まっているアイコンに対応した変動表示が残り何回であるかに関わらず、蝶111または蝶112の表示態様が変化させられる場合があってもよい。この場合、残り回数が少なくなるほど表示態様が変化させられる割合が高くなるようにしてもよく、先読み予告の確定対象であるか否かで表示態様を変化させる割合を異ならせることと併用するものとしてもよい。
上記の実施の形態では、スーパーリーチとなる変動表示のアイコンに蝶111または蝶112が留まると、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンが1つだけとなって蝶111または蝶112が表示消去される場合を除いて、他の変動表示に対応するアイコンに蝶111または蝶112が移動することはなかった。もっとも、スーパーリーチとなる変動表示が開始される直前で最終的に対応するアイコンに蝶111または蝶112が留まっているようにするのであれば、スーパーリーチとなる変動表示のアイコンに留まっている蝶111または蝶112が移動することがあってもよい。
例えば、スーパーリーチとなる変動表示のアイコンに留まっていた蝶111または蝶112が他の変動表示に対応したアイコンに一旦移動してから、当該スーパーリーチとなる変動表示が開始されるよりも前に当該スーパーリーチとなる変動表示となるアイコンに戻るものとしてもよい。或いは、スーパーリーチとなる変動表示のアイコンに留まっていた蝶111または蝶112が当該アイコンから一旦飛び立った後、他の変動表示に対応するアイコンに移動することなく、再び当該スーパーリーチとなる変動表示のアイコンに戻って留まるものとしてもよい。
上記の実施の形態では、スーパーリーチとなる始動入賞があったとき、またはスーパーリーチとなる保留記憶がない状態で新たな変動表示が開始されたときにおける決定に従って、遊技者が何も行わなくても特別図柄保留記憶表示部11a、11bの何れかのアイコンに留まった蝶111または蝶112が他のアイコンに移動するものとなっていた。もっとも、特別図柄保留記憶表示部11a、11bの何れかのアイコンに留まった蝶111または蝶112が他のアイコンに移動するための条件として、他の条件を付け加えるものとしてもよい。
例えば、蝶111または蝶112の移動は、さらに遊技者がチャンスボタン16を操作したことを条件としてもよい。スーパーリーチとなる変動表示(即ち、先読み予告の確定対象となり得る変動表示)が保留記憶されていても、蝶111または蝶112が留まっているアイコンに対応した変動表示が開始されるまでに遊技者がチャンスボタン16を操作しなかった場合には、スーパーリーチとなる変動表示に対応したアイコンに蝶111または蝶112を移動させることなく、可変表示装置9から表示消去させるものとしてもよい。
また、特定の変動パターンで飾り図柄の変動表示が実行されることとしてもよい。特定の変動パターンとしては、ノーマルリーチハズレの全部または所定の種類のものや、非リーチハズレのうちで変動時間が一定程度以上に長いものなどを適用することができる。確率変動大当たり、確変昇格大当たり、または時短大当たりを先読み予告する場合には、スーパーリーチハズレの全部または所定の種類のものとすることもできる。
上記の実施の形態では、スーパーリーチとなる保留記憶がない状態で新たな変動表示が開始されたときにおける決定に従って、或いは特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンが1つだけとなったことを条件として、特別図柄保留記憶表示部11a、11bの何れかのアイコンに留まっている蝶111または蝶112を表示消去させるものとなっていた。もっとも、特別図柄保留記憶表示部11a、11bの何れかのアイコンに留まっている蝶111または蝶112を表示消去させるための条件は、これに限るものではない。
例えば、ゲート28a、28bの遊技球の通過に基づいて行われる抽選で普通図柄当たりとなったとき、或いは、遊技状態が変化したとき(例えば、時短状態から通常遊技状態など)にも、特別図柄保留記憶表示部11a、11bの何れかのアイコンに留まっている蝶111または蝶112を表示消去させるものとしてもよい。また、スーパーリーチとなる保留記憶がない状態で新たな変動表示が開始されたときにおける決定で、蝶111または蝶112を一旦他のアイコンに移動させてから表示消去することを決定することがあってもよい。
上記の実施の形態では、特別図柄保留記憶表示部11a、11bにそれぞれ表示されている最大4つまでのアイコンのうちの複数のアイコンに同時に蝶111または蝶112が留まることはなかった(但し、特別図柄保留記憶表示部11aに表示されている何れかのアイコンに蝶111または蝶112が留まり、特別図柄保留記憶表示部11bに表示されている何れかのアイコンにも蝶111または蝶112が留まるということはあり得た)。もっとも、本発明は、特別図柄保留記憶表示部11a、11bにそれぞれ表示されている最大4つまでのアイコンのうちの複数のアイコンに同時に蝶111または蝶112が留まることがあり得るものであっても構わない。
図14は、この変形例における先読み予告の実行例を示す図である。図14(a)に示すように、ある回の飾り図柄の変動表示が実行されている時点で、始動入賞口14aについての保留記憶が4つあり、特別図柄保留記憶表示部11aに4つのアイコンが表示されているものとする。ここで、左から3番目に表示されているアイコンに対応した変動表示がスーパーリーチとなるもの(先読み予告の確定対象となり得るもの)とするが、これとは別に、左から2番目に表示されたアイコンに対応した変動表示が先読み予告の暫定対象として決定されているものとする。また、それぞれに対して蝶112、蝶111が選択されているものとする。
次に、図14(b)に示すように、この回の変動表示が実行されている間に左から2番目のアイコンに向かって蝶111が、左から3番目のアイコンに向かって蝶112が飛んでくる。そして、図14(c)に示すように、当該変動表示が終了してハズレの表示結果が導出された段階で、左から2番目のアイコンに蝶111が、左から3番目のアイコンに蝶112が留まった状態となる。図14(d)に示すように、図14(c)において1番左に表示されているアイコンに対応した保留記憶に基づく変動表示が開始され、特別図柄保留記憶表示部11aのアイコンがシフトされると、蝶111が留まっているアイコンは1番左のアイコン、蝶112が留まっているアイコンは左から2番目のアイコンということになる。
蝶111が留まっている1番左のアイコンに対応した変動表示は、スーパーリーチとなるものではなく先読み予告の確定対象となっていないので、図14(e)に示すように、当該変動表示が行われている間に、1番左のアイコンから蝶111が飛び立ち、可変表示装置9の表示領域の枠外に飛び去って表示消去されることとなる。一方、左から2番目のアイコンに対応した変動表示は先読み予告の確定対象となるため、当該アイコンに留まっている蝶112が飛び立ってしまうことはない。そして、図14(f)に示すように、当該変動表示が終了した段階では、左から2番目のアイコンに蝶112が留まっているだけの状態となる。
なお、図14の例では、特別図柄保留記憶表示部11aに表示されているアイコンのうちの2つのアイコンに蝶111または蝶112が同じ変動表示で留まるものを示していたが、ある回の変動表示で特別図柄保留記憶表示部11aに表示されているアイコンのうちの1つに蝶111または蝶112が留まり、次の回の変動表示において、既に何れかのアイコンに留まっていた蝶111または蝶112を表示消去することなく、それとは別のアイコンに蝶111または蝶112を留まらせて、特別図柄保留記憶表示部11aに表示されているアイコンのうちの2つのアイコンに蝶111または蝶112が留まった状態となるようにしてもよい。また、1つのアイコンに同時に複数の蝶111または蝶112が留まることがあってもよい。
また、図14の例では、始動入賞口14aについての保留記憶のうちにスーパーリーチとなるものが含まれており、それが先読み予告の確定対象となって先読み予告が行われる場合において、複数のアイコンに蝶111または蝶112が留まる例を説明したが、始動入賞口14aについての保留記憶のうちにスーパーリーチとなるものがない場合でも、保留記憶されているもののうちの複数が先読み予告の暫定対象となって、それぞれに対応する複数のアイコンに同時に蝶111または蝶112が留まることがあってもよい。
また、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンのうちの複数のものに蝶111または蝶112が留まることとなる場合には、1つのアイコンだけに蝶111または蝶112が留まった場合よりもスーパーリーチとなるものが含まれていることの信頼度が高くなるようにしてもよい。蝶111または蝶112が留まったアイコンの組み合わせの違いに応じて、保留記憶にスーパーリーチとなるものが含まれていることの信頼度が異なるようにしてもよい。さらに、先読み予告の確定対象となる変動表示のアイコンに蝶111または蝶112が留まっている場合には、暫定対象のアイコンに蝶111または蝶112が留まっている場合よりも高い割合で、他のアイコンに蝶111または蝶112を追加して留まらせるようにしてもよい。
このように特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンのうちの任意の数のアイコンに蝶111または蝶112を留まらせることができるようにすることによって、単に蝶111、l12がアイコンに留まるかだけではなく、幾つ留まるか、さらには如何なる組み合わせのアイコンに留まるかにも遊技者を注目させることができ、さらに遊技の興趣を向上させることができる。
上記の実施の形態では、特別図柄保留記憶表示部11a、11bには、保留記憶バッファに保留記憶されている始動入賞口14a、14bの始動入賞に対応したアイコンが表示されるのみで、既に実行されている変動表示についてのアイコンは表示されないものとなっていた。もっとも、保留記憶バッファに保留記憶されている始動入賞口14a、14bの始動入賞に対応したアイコンに加えて、現時点で実行されている変動表示に対応したアイコンも、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示させるものとしてもよい。
図15、図16は、この変形例における先読み予告の実行例を示す図である。図15、図16に示す例では、飾り図柄の変動表示の表示結果が導出されてから次の回の変動表示が開始されるまでのインターバル期間においても、特別図柄保留記憶表示部11aのアイコンに留まっている蝶111または蝶112を飛び立たせることができ、また、飛び立った後に元のアイコンと同じアイコンに蝶111または蝶112が留まることもできるものとする。
図15(a)に示すように、ある回の飾り図柄の変動表示が実行されている時点で、始動入賞口14aについての保留記憶が4つあり、これらの保留記憶に対応した4つのアイコンが特別図柄保留記憶表示部11aに表示されるが、そのさらに左側に、現在実行されている変動表示に対応したアイコン11a−0が表示されるものとする。ここで、アイコン11a−0を含めて左から4番目のアイコンに対応した変動表示が先読み予告の暫定対象または確定対象として決定され、当該変動表示が実行されるまで蝶の移動は決定されないものとする。
次に、図15(b)、(c)に示すように、この回の変動表示が実行されている間に左から4番目のアイコンに向かって蝶111が飛んできて留まり、図15(d)に示すように、当該変動表示が終了してハズレの表示結果が導出された段階で、左から4番目のアイコンに蝶111が留まった状態となっている。その後、次の回の変動表示が開始されるに際して、図15(e)に示すように、これまで実行されていた変動表示に対応したアイコン11a−0が表示消去され、図15(f)に示すように、新たな回の飾り図柄の変動表示の開始とともにアイコンがシフトされ、蝶111の留まっているアイコンが左から3番目のアイコンとなる。
そして、図15(g)に示すように、当該変動表示が終了してハズレの表示結果が導出された段階で、左から3番目のアイコンに蝶111が留まった状態となっている。その後、次の回の変動表示が開始されるに際して、図15(h)に示すように、これまで実行されていた変動表示に対応したアイコン11a−0が表示消去され、図15(i)に示すように、新たな回の飾り図柄の変動表示の開始とともにアイコンがシフトされ、蝶111の留まっているアイコンが左から2番目のアイコンとなる。
そして、図15(j)に示すように、当該変動表示が終了してハズレの表示結果が導出された段階で、左から2番目のアイコンに蝶111が留まった状態となっている。その後、次の回の変動表示が開始されるに際して、図16(a)に示すように、これまで実行されていた変動表示に対応したアイコン11a−0が表示消去され、図16(b)に示すように、新たな回の飾り図柄の変動表示の開始とともにアイコンがシフトされ、蝶111の留まっているアイコンが左から1番目のアイコン、即ち実行の開始された変動表示を示すアイコンとなる。
そして、図16(c)に示すように、当該変動表示が終了してハズレの表示結果が導出された段階で、左から1番目のアイコン(即ち、たった今表示結果が導出された変動表示に対応したアイコン)に蝶111が留まった状態となっている。その後、次の回の変動表示が開始されるに際して、図16(d)に示すように、これまで実行されていた変動表示に対応したアイコン11a−0が表示消去されるまでに、アイコン11a−0に留まっていた蝶111がここから飛び立つものとなる。
さらに、新たに開始された変動表示(これ以後の始動入賞の保留記憶はないものとする)がスーパーリーチとなるものでなければ、図16(e−1)に示すように、アイコン11a−0から飛び立った蝶111は、可変表示装置9の表示領域の枠外まで飛び去ってしまうこととなる。一方、新たに開始された変動表示がスーパーリーチとなるものであれば、図16(e−2)に示すように、アイコン11a−0から飛び立った蝶111が当該アイコン11a−0に戻って留まり、実行中の変動表示でスーパーリーチとなることが遊技者に示されるものとなる。
以上のように、この変形例においては、現時点で実行されている変動表示に対応したアイコンも特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示され、ここにも蝶111または蝶112が留まり得るようにしている。このため、現在実行中の変動表示についてスーパーリーチとなるか否かのリーチ予告も先読み予告と連動した態様で実行することができ、さらに遊技の興趣を向上させることができる。また、変動表示の開始直前までアイコンに蝶111または蝶112が留まっていた変動表示でも、その開始後に当該アイコンから蝶111または蝶112が飛び立って他のアイコンに移動したり、可変表示装置9の表示領域の枠外に飛び去ってしまうことがあるので、始動入賞から当該始動入賞に基づく変動表示でスーパーリーチなるか否かが確定するまで遊技者の興味を持続させることができる。