JP5498367B2 - 機械加工部品用のダンパ及び防振治具並びに機械加工部品の加工方法 - Google Patents

機械加工部品用のダンパ及び防振治具並びに機械加工部品の加工方法 Download PDF

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本発明は、切削加工中に発生する被削材のびびり振動を抑制するのに有効な機械加工部品用のダンパ及び防振治具並びに機械加工部品の加工方法に係り、特に大物薄肉機械加工部品に好適な機械加工部品用のダンパ及び防振治具並びに機械加工部品の加工方法に関する。
転削加工や旋削加工により機械加工部品の素材厚さが薄い部分を切削加工する場合において、切り込み量や送り速度などを高い加工能率になるように設定すると、素材厚さが薄いことから素材の動的な剛性が低くなり、加工部品の自励振動(びびり振動)が発生する。
このびびり振動により切削加工に使用する工具の欠損や、機械加工部品の加工面精度が低下してしまうため、自励振動が発生しないように、一般的に切り込み量や送り量を下げて加工しなければならず、素材厚さが薄い機械加工部品を加工する際は加工能率が低くなってしまうという課題を有していた。このような課題を引き起こすびびり振動を抑制する手段として、種々の抑制方法が実施、検討されている。
この種の背景技術として、例えば特開2009−168099号公報(特許文献1)がある。この公報に記載のダンパは、錘と粘弾性体とダンパ支持体から主に構成されたダンパが2つ設けられており、前記2つのダンパがそれぞれ異なる固有振動数を有すことで、機械加工部品である制振対象が複数の固有振動数を有していても、前記2つのダンパを前記制振対象の複数の固有振動数における振動振幅が最小となるように予め前記2つの錘質量および粘弾性体のばね定数を調整することで、広い周波数帯帯域の振動を抑制できるダンパである。
また、別の例として、特開2010−53966号公報(特許文献2)がある。この公報には、内筒部材と筒状のマス部材との間の隙間が異なる大きさとなるように内筒部材が異形状に形成されており、またマス部材の内周部に周方向に延在する内筒部材の軸方向に対して前後方向に傾斜する傾斜面を有した突起部が設けられ、前記内筒部材および前記質量体が弾性的により連結される構造のダイナミックダンパであり、前記隙間形状の大きさや、前記突起部の形状を調整することで、前記内筒部材の軸方向および半径方向の振動を同時に抑制可能なダンパである。
前記特許文献1および特許文献2は、いずれの例も錘と弾性体を備えたダンパを用いて制振対象の振動を抑制するダンパであって、錘が弾性体により支持されていること、また制振対象の固有振動数に対して、予めダンパの固有振動数を調整することを前提としたダンパ構造を有する。
特開2009−168099号公報 特開2010−53966号公報
前記特許文献1および特許文献2に記載のダンパの制振対象に対する振動抑制効果は、大物構造物の場合、制振対象の錘質量に対するダンパを構成する錘質量の比がある程度大きくなければならない。このため、大物構造物に対して効果的な振動抑制効果を得るためには、ダンパを構成する錘質量も重くしなければならない。例えば制振対象の錘質量が数トンである場合、ダンパにより効果的な振動抑制効果を得るためには、ダンパ錘質量を数十〜数百キロに設定する必要がある。しかし、前記特許文献1および特許文献2で示したようなダンパは、ダンパを構成する錘の支持体に弾性体が用いられているため、ダンパを構成する前記錘質量が重くなると、弾性体の強度を上回り、弾性体が極端に変形する場合や、破損する可能性がある。
また、ダンパを用いて制振対象の振動を効果的に抑制するためには、ダンパの固有振動数を制振対象の固有振動数に対してある程度同調するにように調整する必要がある。前記特許文献1および前記特許文献2の場合、ダンパの固有振動数の調整方法として、錘質量と、錘を支持している粘弾性体の種類を選択し剛性(バネ定数)を変える調整方法や、事前に前記突起形状を変えることで弾性体との接触面積を変えて剛性を調整する方法がとられている。しかし、制振対象の錘質量が重く、かつ固有振動数が低い場合、ダンパの固有振動数を低く設定するため、錘質量を重くしなければならず、加えて粘弾性体を柔らかくしなければならいため、粘弾性体が錘質量を支えきれず変形や破損が発生し、固有振動数を低周波に設定できない課題がある。
加えて、前記特許文献1および特許文献2は、制振対象と同調するようにダンパの固有振動数を調整する際、錘質量と粘弾性体の組み合わせや接触面積を事前に調整していることから、制振対象にダンパを取り付けた後に、ダンパの固有振動数を容易に微調整できず、制振対象に対して正確に同調させることが出来ない課題がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の第1の目的は、粘弾性体の変形や破損が発生しない、大質量の錘を支持可能なダンパを提供することである。
また、本発明の第2の目的は、ダンパの固有振動数を容易に微調整可能な機構を有するダンパを提供することである。
さらに、本発明の第3の目的は、少なくとも第1の目的を達成できるダンパを用い、大質量を有する大物構造物のびびり振動を効果的に抑制可能な防振治具または大物構造物である機械加工部品の加工方法を提供することである。
例えば、制振対象の錘質量が数千キロで固有振動数が数十Hzの固有振動数を有する薄肉構造物の切削加工時のびびり振動を抑制可能なダンパと前記ダンパを内蔵した防振治具または機械加工部品の加工方法を提供する。
本発明は、上記の目的を達成するために、少なくとも下記の特徴を有する。
本発明は、制振対象と接触するための接触棒と、前記接触棒の軸と同軸に前記接触棒に連結された支持部を有する支持部材と、前記支持部材に固定された固定板と、前記接触棒の軸方向と並進移動可能な状態で設置された錘と、前記錘を前記軸方向と垂直な方向に支持する錘支持体と、前記固定板と前記錘支持体との間に設けられた粘弾性体とを有すること第1の特徴とする。
また、本発明は、前記粘弾性体と接触する接触部材と、前記接触部材と前記粘弾性体との接触面積を可変する可変手段とを具備するバネ定数調整機構を有することを第2の特徴とする。
さらに、本発明は、前記支持部が、前記固定板を固定する支持棒を有し、前記錘支持体は前記支持棒に摺動可能に設けられ、前記固定板は前記錘支持体に正対するように前記支持棒に設けられたことを第3の特徴とする。
また、本発明は、前記接触部材は前記固定板に前記軸方向と垂直な方向に移動可能な調整板であり、前記可変手段は前記固定板に設けられ、前記調整板を移動させる調整板移動手段であることを第4の特徴とする
さらに、本発明は、前記粘弾性体が前記軸に対して点対称の筒管形状に形成された径の異なる複数個の弾性体からなり、前記粘弾性体の個数および種類を変更可能な構造としていることを第5の特徴とする。
また、本発明は、前記錘が前記軸に対して点対称の筒管形状に径方向または周方向に分割された複数の錘から構成されていることを第6の特徴とする。
さらに、本発明は、前記錘支持体は前記固定板を囲むように形成され、前記錘を前記錘支持体の囲みの外側面に設け、前記粘弾性体は前記固定板と前記錘支持体の間のうち前記軸方向の第1の間に設けられ、前記固定板と前記錘支持体の前記間のうち前記第1の間と異なる他の間である第2の間に前記錘を支持する錘自重支持部材を設けたことを第7の特徴とする。
また、本発明は、前記錘自重支持部材がローラまたはスライド機構であることを第8の特徴とする。
さらに、本発明は、前記接触部材が前記第1の間に設けられ前記粘弾性体と接触可能なロッドであり、前記可変手段は前記ロッドを回転または移動させる調整部を有することを第9の特徴とする。
また、本発明は、制振対象である板の中央部に第2乃至9のいずれかの特徴有する機械加工部品用のダンパを固定し、前記板の固有振動数に同調させるように前記ダンパのバネ定数を調整し、前記板を転削加工することを第10の特徴とする
また、本発明は、制振対象に固定する固定手段及び上面、下面のうち少なくとも一面に複数のダンパ支持板を有するリングと、前記複数のダンパ支持板に固定された前記請求項1乃至9のいずれかの特徴有する機械加工部品用のダンパとを有していることを第11の特徴とする。
さらに、本発明は、リングの上面、下面のうち少なくとも一方の面に設けられた複数のダンパ支持板に前記請求項2乃至12のいずれかに記載の機械加工部品用のダンパを固定し、制振対象である円筒管に前記リングを固定し、前記円筒管の固有振動数に同調させるように前記ダンパのバネ定数を調整し、前記円筒管の内面を旋削加工することを第12の特徴とする。
本発明によれば、第1の効果として、粘弾性体の変形や破損が発生しない、大質量の錘を支持可能なダンパを提供できる。
また、本発明によれば、第2の効果として、ダンパの固有振動数を容易に微調整可能な機構を有するダンパを提供できる。
さらに、本発明によれば、第3の効果として、少なくとも第1の効果を達成できるダンパを用い、大質量を有する大物構造物のびびり振動を効果的に抑制可能な防振治具または大物構造物である機械加工部品の加工方法を提供できる。
上記した以外の課題、機構および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施形態であるダンパの実施例1の構成図である。 図1(a)におけるA−A断面図を示す図である。 図1(a)におけるB−B断面図を示す図である。 実施例1における図1のバネ部のバネ定数調整機構を示す図である。 本発明の実施形態であるダンパの実施例2の構成図である。 図6(a)は図5に示すダンパにおいて固定板と粘弾性体を固定板の側面方向から見た図である。図6(b)は図6(a)に示すH−H矢視断面図である 錘自重支持部材の他の実施例を示す図である。 実施例2における図5のバネ部のバネ定数調整機構を示す図である。 本発明の実施形態であるダンパの実施例1を薄板に取り付けた例を示す図である。 本発明の実施形態であるダンパの実施例1を内蔵した防振治具の例を示す図である。 本発明の実施形態であるダンパの実施例1を内蔵した防振治具を薄肉円筒管に取り付けた例を示す図である。 本発明の実施形態であるダンパの実施例1を内蔵した防振治具による薄肉円筒管の振動抑制効果の例を示した図である。
まず、本発明のダンパの実施形態、特に固有振動数が低く大質量を有する大物構造物における切削加工中に発生するびびり振動を効果的に抑制可能なダンパの実施例を、図面を用いて説明する。
(ダンパの実施例1)
図1は本発明のダンパの第1の実施例1のダンパの構成図である。図1(a)は、制振対象に対して接触する姿勢における重力方向Gの断面図を示す。図1(b)は、図1(a)における矢印D方向から見た図である。
ダンパ100は、接触棒101、支持部材121である支持棒102、溝202とネジ穴部204が設けられた固定板104、ネジ107及び溝202に挿入された調整板203を有する伝達部300、円筒形状の錘103、錘103をコ状の断面形状を一回転して中心に得られる中空円筒201を有する錘支持体106及び複数の粘弾性体105から成るバネ部302を具備するダンパ部301とを有している。
接触棒101は制振対象に接触し、制振対象の振動(振動方向:S)を固定板104と粘弾性体105とを介して錘103に伝える機能を有する。
支持棒102は、二つの機能を有する。その第1は、本実施例の特徴である粘弾性体105に対して錘103の自重による負荷が作用しないように錘103の自重を支持する機能である。この機能を実現するために、支持棒102は錘支持体106の中空円筒201の内径面と接触している。第2は、錘103と錘支持体106が支持棒102の軸方向と並進移動可能にするための摺動軸としての機能である。
固定板104は調整板203とともにダンパ部301を挟み込むことで拘束し、制振対象の振動を直接ダンパ部301に伝える機能を有している。
錘103と粘弾性体105を具備するダンパ部301は、固定板104と粘弾性体105を介して制振対象からの振動(外力)が錘103に伝達される際に、錘103が制振対象の振動の位相に対して位相差を有して振動することで、粘弾性体105に変形が生じ、粘弾性体105の変形により制振対象の振動エネルギーを熱エネルギーとして発散させることで、制振対象の振動を低減する機能を有している。
図2は図1(a)におけるA−A断面図を示し、錘103の形状を示す。錘103は複数の半円筒管状の錘に分割し、例えば支持棒102に錘固定用ネジ108で固定することで、制振対象の固有振動や質量特性に合わせてダンパ部301の錘質量を増減できる構造にしている。勿論、分割せずに一体に形成してもよいし、また、半円筒管状ではなく一つまたは3つ以上の円筒管状に設けてもよいし、さらに形成される円筒管に隙間があってもよい。さらにまた、円筒管状ではなく、例えば、直筒管状、六角筒管などの上下左右のバランスが取れる接触棒101の軸に対して点対象の筒管形状を有するものであればよい。
図3は図1(a)におけるB−B断面図を示し、粘弾性体105の形状を示す。粘弾性体105においても、制振対象の固有振動数によっては複数個(図3では105aから105cの3個)ではなく一つでもよいし、4個以上でもよい。また、錘103と同様に、図3に示す円筒形状ではなく2つ以上の円筒形状に設けてもよいし、さらに形成される円筒形状間に隙間があってもよい。さらにまた、円筒管状ではなく、例えば、錘と同様に、点対象の筒管形状を有するものであればよい。
以上説明した本実施例1によれば、接触棒101に固定される支持棒102に錘支持体106を摺動させ、粘弾性体105を支持棒102と軸方向と平行に設ける錘支持構造とすることで、粘弾性体105に対して錘103の自重による負荷が作用しない、即ち粘弾性体の変形や破損が発生しない大質量の錘を支持可能なダンパを提供できる。
次に、実施例1における図1のバネ部301のバネ定数調整機構350を説明する。図4(a)は制振対象と接触時する姿勢における重力方向Gの断面図を示す。図4(b)は、図4(a)における矢印D方向から見た図である。
バネ定数調整機構350は、溝202とネジ穴部204が設けられた固定板104、と可変手段であるネジ107及び溝202に挿入された接触部材である調整板203とを有する。
調整板203は、伝達部300の軸方向と垂直な平面内で、粘弾性体105と接触しながら前記溝202の側面と平行に移動可能な状態で設置されており、各調整板203に設けられたネジ107を回転させ前記調整板203がダンパ100の軸方向と垂直な平面内で前記軸方向に対して放射状に移動することで、粘弾性体105との接触面積を変化させ、バネ部302が有するバネ定数を微調整するための機能を有している。
また、複数の粘弾性体105からなるバネ部302は図3に示しように円筒形状になっており、支持棒102の軸方向と垂直な平面内で、かつ固定板104と錘103に挟まれながら接触する状態で並列に配置可能な形状になっており、図4に示す粘弾性体105の設置個数および粘弾性体105a乃至105cの種類を変えることで、バネ定数の大まかな調整が可能な機能を有している。
以上説明した実施例のバネ定数調整機構350によれば、バネ定数の大まかな調整が可能な機構、しかもダンパの固有振動数を容易に微調整可能な機構を有するダンパを提供できる。
(ダンパの実施例2)
次に、本発明の実施形態であるダンパの実施例2を図5乃至7を用いて説明する。図5は本発明のダンパの第2の実施例2の構成図である。図6(a)は図5においてダンパ100Aにおいて固定板104Aと粘弾性体105Aを固定板104Aの側面方向から見た図である。図6(b)は図6(a)に示すH−H矢視断面図である。実施例2においては、実施例1と基本的に同様な機能を有するものに同一の符号を付し、添え字Aを付している。なお、図5乃至図7において、Gは重力方向を、Sは制振対象の振動方向を示す。
図5に示すように、実施例2に係るダンパ100Aは、実施例1と同様に接触棒101A、支持部材121A及び固定板104Aを具備する伝達部300Aと、四角柱形状の錘103A、錘103Aを支持する錘支持体106A及び複数の粘弾性体105Aから成るバネ部302Aを具備するダンパ部301Aとを有している。
ダンパ部301Aは、固定板104Aに並列に連結させた2つのダンパ構造部10A及びダンパ構造部10Bを有する。ダンパ構造部10A及びダンパ構造部10Bは基本的に同じ構成を有しているので、説明及び図面において、ダンパ構造部10Bのみの構成要素を示すときは添え字Bを付し、ダンパ構造部10Aのみの構成要素又は実施例2として代表して示すときは添え字Aを付す。
支持部材121Aは、接触棒101Aと接触する支持部102Aと固定板104Aを固定する固定部122Aとを有する。固定部122Aは、縦長の矩形断面を有し、ダンパ100Aの制振対象の振動方向Sに伸びている固定板104Aを片持ちで取り付けている。
さらに、並列に連結される2つのダンパ構造部10Aを有するダンパ301Aは、図6に示すように、縦長の矩形断面を有する固定板104Aの上面、右側面、下面及び左側面を取り囲むように、上面板5Aと、右側面板6Aと、下面板7Aと、左側面板8Aとで構成される錘支持体106A、錘支持体106Aの左右側面板6A、8Aに取り付けられた直方体の形状を有する錘103A及び固定板104Aと錘支持体106Aとの間に設けられた粘弾性体(例えば、低弾性ゴム)105Aとを有する。
また、ダンパ構造部10Aは、錘支持体106Aの上下面内側と固定板104Aの上下面との間に錘支持体106Aに回転可能に設けられ、錘103Aの自重を支持し、並進運動可能にする錘自重支持部材110Aとして複数(本実施例では上下に2個づつ)の支持ローラ111Aを設けている。
錘自重支持部材110Aとして支持ローラ111Aの代わりに、図7に示すように、固定板104Aの上下面にガイド12Aを固定し、錘支持体106Aの上面板5Aと下面板7Aとにガイド12A上を摺動するスライダ13Aを有するスライド機構112Aを用いてもよい。
このように、錘103Aが取り付けられた各錘支持体106Aを有するダンパ構造部10Aは、図5及び図6に示すように、粘弾性体105Aを介して、固定板104Aに固定板104Aの側面に沿った長手方向(軸心方向)と平行に取り付けられる。
これ等の構成により、粘弾性体105Aが固定板104Aの軸心を中心にして捩れることなくダンパ構造部10Aを重力方向及び側面方向に支えていることで、ダンパ構造部10Aは制振対象(機械加工部品)に間接的に固定された固定板104Aに対して広周波数帯域(例えば30〜3000Hz)に亘り振動方向に対して効果的な自励振動の抑制が出来るように並進運動可能な構造となっている。即ち、図5及び図6に示すように、固定板104Aの上面と錘支持体106Aの上面板5との間に及び固定板104Aの下面と錘支持体106Aの下面板7との間に錘103Aの自重を支える錘自重支持部材を設け、並びに、固定板104Aの右側面と錘支持体106Aの右側面板及び固定板104Aの左側面と錘支持体106Aの左側面板8との間に、振動方向(固定板104Aの長手方向(軸心方向))に長くした直方体若しくは直方体に近似した形状を有する粘弾性体105Aを挟むように接着して固定することにより、ダンパ構造部10Aを固定板104Aの軸心を中心にして捩れることなく重力方向及び側面方向に支え、ダンパ構造部10Aは制振対象(機械加工部品)に間接的に固定された固定板104Aに対して広周波数帯域(例えば30〜3000Hz)に亘り振動方向に対して効果的な自励振動の抑制が出来るように並進運動可能に構成される。
以上説明した本実施例2によれば、錘103Aの自重を、各錘支持部材であるローラ111Aを介して錘支持体106Aを支持することで、粘弾性体105Aに対して錘103の自重による負荷が作用しない、即ち粘弾性体の変形や破損が発生しない大質量の錘を支持可能なダンパを提供できる。
なお、各粘弾性体105Aは、固定板104A並びに各錘支持体106Aに対して接着して固定されるため、剥がれる可能性がある。そのため、並進運動時に各粘弾性体105Aが剥がれることによってダンパ構造部10が固定板104Aより脱落しないために、図5に示すように、受け板54が固定板104Aの端部に取り付けられている。支持部材121A側については、固定部122Aがダンパ構造部10を脱落させない役目を果すことになる。
次に、実施例2におけるバネ定数調整機構350Aを説明する。図8(a)は、図5(a)に示す楕円C内をバネ定数調整機構350A(図5(a)には示さず)に焦点を合わせて示した図である。図8(b)は図8(a)において矢印F方向からの矢視図である。図8(c)、図8(d)は、図8(a)に示したバネ定数調整機構350Aの2つの状態を示す図である。
バネ定数調整機構350Aは、粘弾性体105Aの両側に設けられた接触部材である偏心ロッド351Aと、偏心ロッドを回転させる可変手段である調整部352Aとを有する。そこで、偏心ロッド351Aを矢印Eのように回転させ、粘弾性体105Aと偏心ロッド351との接触面積を変化させ、粘弾性体105Aが振動方向に変形するときのバネ定数を微調整する。図8(c)は接触面積が全く無いときの状態を示し、バネ定数が一番弱い状態となる。一方、図8(d)は接触面積が最大のときの状態を示し、バネ定数が一番強い状態となる。
上記において接触部材として偏心ロッド351Aに限らず楕円形状などの回転によって接触面積が変わる形状をロッドであればよい。また、可変手段として回転に限らず、例えば円形状のロードを粘弾性体105A方向に移動することによって接触面積を変えてもよい。
以上はバネ定数調整機構350Aによる微調整を説明したが、大まか調整を以下に説明する。複数の粘弾性体105Aからなるバネ部302Aは図5に示しように直方体形状で、固定板104Aと錘103Aに挟まれながら接触する状態で並列に配置可能な形状になっている。従って、第1の方法は、図5に示す粘弾性体105Aの設置個数および粘弾性体105Aの種類を変えることである。
また、実施例2の上記説明では、錘103Aを錘支持体106Aの左右側面板6、8に取り付けられた。従って、第2の方法は、錘支持体106Aの上面板、下面板にも錘103Aを取り付け、或いは錘103Aの重量を増減することである。
以上説明した実施例のバネ定数調整機構350Aによれば、バネ定数の大まかな調整が可能な機構、しかもダンパの固有振動数を容易に微調整可能な機構を有するダンパを提供できる。
以上説明した第1及び第2の実施例のダンパを大物薄肉機械加工部品の切削加工に適用した防振冶具の実施形態を説明する。以下の説明においてはダンパの実施例1を適用した例を説明する。
(防振治具の実施例1)
防振治具の実施例1のダンパは、例えば図9に示す片持ち状態の大物薄板400の中間部402を転削工具401にて転削加工する際に有効である。ダンパのバネ部302の設定方法としては、例えば有限要素法等もしくは打撃試験により薄板400の質量および固有振動数の見積りをしておき、大物薄板400の質量および固有振動数に合わせて、バネ部302と錘103の質量をあらかじめ大まかに調整し、薄板の先端に接触棒101を例えば溶接等で薄板400に固定することで、ダンパ100を大物薄板400へ取り付ける。そして、調整板203を可動させバネ部302のバネ定数を微調整することで、容易に薄板400の固有振動数に同調させることができ、転削工具401による大物薄板400の転削加工の際に発生するびびり振動を抑制することが可能である。
本実施例における具体的な効果の例としては、大物薄板400の中間部402が固有振動数23Hz、モード質量は約1300kgを有している場合、ダンパ100において質量100kgを有する錘103と、減衰比0.1を有するバネ部302のバネ定数を最適同調させることで、ダンパ100を取り付けない場合と比べ、中間部402の振動振幅を約1/5程度に抑制することが可能である。
(防振治具の実施例2)
本実施例では、薄板だけでなく大物薄肉円管の切削加工の際に発生するびびり振動の抑制も行える防振治具の実施例2を説明する。図10は、実施例2における防振治具の構造500を示す構成図の例である。図1のダンパ100のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、以下の説明において省略する。
防振治具500はリング501、複数の固定棒502、ダンパ支持板503と実施例1の複数のダンパ100から構成される。リング501はダンパ100とダンパ支持板503を支持する機能を有する。ダンパ支持板503はダンパ100を支持し、制振対象に対してダンパ100の位置を固定する機能を有する。
ダンパ100は複数のダンパ支持板503を介して複数個設置可能であり、例えば本実施例では4つ配置した防振治具500であるが、リング501の上面504スペースに配置可能な個数分配置しても構わない。また、ダンパ100は、リング501の上面504だけでなく、必要に応じて下面505に、前記上面504の配置方法と同様に設置しても構わない。
本実施例のダンパは、例えば図11(a)および(b)に示す片持ち状態の大型薄肉円筒管600の先端を旋削加工する際に、例えば有限要素法等もしくは試験により前記円筒管600の質量および固有振動数の見積りをしておき、前記円筒管600の質量および固有振動数に合わせて、図1のダンパ100のバネ部302と錘103の質量をあらかじめ大まかに調整し、前記円筒管600の先端に図1のダンパ100の接触棒101を押し当てて固定し、ダンパ100を前記円筒管600へ固定する。そして、図1のダンパ100の調整板203を可動させバネ部300のバネ定数を微調整することで、容易に前記円筒管600の固有振動数に同調させることができ、旋削工具601による大型薄肉円筒管600の旋削加工の際に発生するびびり振動を抑制することが可能である。
図12は、図11記載の大型薄肉円筒管に本発明のダンパを備えた防振治具500を取り付けた際の振動抑制効果を示す周波数応答の例である。本実施例の具体的な数値例としては、大型薄肉円筒管600は直径約5600mm、高さ7000mm、板厚さ70mmの形状を有しており、固有振動数は14Hz、先端のモード質量は11000kgであり、ダンパ100は質量30kgである。
本発明によるダンパ100を前記円筒管600に取り付け、前記円筒管600の固有振動数に合わせて前記ダンパの固有振動数を調整することで、周波数応答における前記円筒管600の振動振幅を大幅に低減できる。
なお、以上の防振治具の実施例1、2においてはダンパの実施例1を用いたが、ダンパの実施例2の接触棒101Aを同様に大物薄板400に取り付ける、あるいは防振治具500のダンパ支持板503に取り付けることで、ダンパの実施例1を用いた実施例と同様な効果を奏することができる。
また、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
100、100A:ダンパ 101、101A:接触棒
102:支持棒 102A:支持部
103、103A:錘
104、104A:固定板 105、105A:粘弾性体
106、106A:錘支持体 107:ネジ
110A:錘自重支持部材 111A:支持ローラ
112A:支持ガイド機構 120A、120B:ダンパ構造部
121、121A:支持部材 122A:固定部
201:中空円筒 202:溝
203:調整板 300、350A:伝達部
301、301A:ダンパ部 302、302A:バネ部
350、350A:バネ定数調整機構 351A:偏心しロッド
352、352A:調整部 400:薄板
401:転削工具 500:防振治具
501:リング 502:固定棒
503:ダンパ支持板 504:上面
505:下面 600:円筒管。

Claims (14)

  1. 制振対象と接触するための接触棒と、前記接触棒の軸と同軸に前記接触棒に連結された支持部を有する支持部材と、前記支持部材に固定された固定板と、前記接触棒の軸方向と並進移動可能な状態で設置された錘と、前記錘を前記軸方向と垂直な方向に支持する錘支持体と、前記固定板と前記錘支持体との間に設けられた粘弾性体とを有しており、前記粘弾性体と接触する接触部材と、前記接触部材と前記粘弾性体との接触面積を可変する可変手段とを具備するバネ定数調整機構を有すること特徴とする機械加工部品用のダンパ。
  2. 前記支持部は、前記固定板を固定する支持棒を有し、前記錘支持体は前記支持棒に摺動可能に設けられ、前記固定板は前記錘支持体に正対するように前記支持棒に設けられたことを特徴とする請求項に記載の機械加工部品用のダンパ。
  3. 前記接触部材は前記固定板に前記軸方向と垂直な方向に移動可能な調整板であり、前記可変手段は前記固定板に設けられ、前記調整板を移動させる調整板移動手段であることを特徴とする請求項に記載の機械加工部品用のダンパ。
  4. 前記調整板移動手段は、前記固定板に前記調整版に平行に設けられネジきりされたネジきり穴と、前記ネジきり穴を移動する前記調整板移動させるネジとを有することを特徴とする請求項に記載の機械加工部品用のダンパ。
  5. 前記粘弾性体は前記軸に対して点対称の筒管形状に形成された径の異なる複数個の弾性体からなり、前記粘弾性体の個数および種類を変更可能な構造としていることを特徴とする請求項に記載の機械加工部品用のダンパ。
  6. 前記錘は前記軸に対して点対称の筒管形状に径方向または周方向に分割された複数の錘から構成されていることを特徴とする請求項に記載の機械加工部品用のダンパ。
  7. 前記筒管形状は円筒管状であることを特徴とする請求項またはに記載の機械加工部品用のダンパ。
  8. 前記錘支持体は前記固定板を囲むように形成され、前記錘を囲む前記錘支持体の外側面に設け、前記粘弾性体は前記固定板と前記錘支持体の間のうち前記軸方向の第1の間に設けられ、前記固定板と前記錘支持体の前記間のうち前記第1の間と異なる他の間である第2の間に前記錘を支持する錘自重支持部材を設けたことを特徴とする請求項に記載の機械加工部品用のダンパ。
  9. 前記錘自重支持部材はローラまたはスライド機構であることを特徴とする請求項に記載の機械加工部品用のダンパ。
  10. 前記接触部材は前記第1の間に設けられ前記粘弾性体と接触可能なロッドであり、前記可変手段は前記ロッドを回転または移動させる調整部を有することを特徴とする請求項に記載の機械加工部品用のダンパ。
  11. 前記ロッドは偏心または楕円形状ロッドであることを特徴とする請求項10に記載の機械加工部品用のダンパ。
  12. 制振対象である板の中央部に前記請求項乃至11のいずれかに記載の機械加工部品用のダンパを固定し、前記板の固有振動数に同調させるように前記ダンパのバネ定数を調整し、前記板を転削加工することを特徴とする機械加工部品の加工方法。
  13. 制振対象に固定する固定手段及び上面、下面のうち少なくとも一面に複数のダンパ支持板を有するリングと、前記複数のダンパ支持板に固定された前記請求項1乃至11のいずれかに記載の機械加工部品用のダンパとを有していることを特徴とする防振治具。
  14. リングの上面、下面のうち少なくとも一方の面に設けられた複数のダンパ支持板に前記請求項乃至11のいずれかに記載の機械加工部品用のダンパを固定し、制振対象である円筒管に前記リングを固定し、前記円筒管の固有振動数に同調させるように前記ダンパのバネ定数を調整し、前記円筒管の内面を旋削加工することを特徴とする機械加工部品の加工方法。
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