JPS6124126B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、金属切削工具の技術分野に関し、
さらに詳述すると、中ぐり棒として知られた金属
切削工具に係るものである。

中ぐり棒は、中ぐり工具としても知られてお
り、現存する穴の拡大に特に有用である。工作物
の要件により、精密な公差がしばしば要求され
る。

中ぐり棒は通常２つの部品すなわち中ぐり棒頭
部と中ぐり棒自体とからなる。中ぐり棒の操作に
おいて、工作物は回転し、中ぐり棒は固定状態を
維持するまたは中ぐり棒は回転し、工作物も回転
する。

この発明の目的は、中ぐり棒が固定状態を維持
する間に工作物が回転する場合に最もよく達成さ
れることが期待される。

中ぐり棒頭部が工作物と接触する間中ぐり棒は
その一端で保持される。したがつて中ぐり棒は張
出されまたは片持ちされる。

中ぐり棒の使用において遭遇する有害な状態は
金属切削作業に起因するびびりまたは自励振動で
ある。中ぐり棒の振動がその固有周波数と合致す
るときびびりは最も重大である。これは共振とし
て知られている。共振の結果として公差がきわめ
て低下し、表面仕上が不十分になり、工具が破損
する。

したがつてびびりおよび共振を回避することが
望ましい。

多くの状況の下で、より高い剛性の材料が使用
されるように棒の材料を変更することにより、例
えば、鋼の代りにタングステンカーバイドを使用
することによりびびりを回避することが可能であ
る。他の役に立つことは棒の直径の増大またはそ
の張出し量の減小である。可能ならば、棒をその
張出し端で支持することもまた望ましい。

上述した方法のどれでも振動の影響を軽減する
ことが可能でない場合には、振動自体を解消する
ことが必要である。その１つの方法は振動減衰装
置を適用することであり、その幾つかが本技術分
野で周知である。そのような振動減衰装置の１つ
が、本出願人に譲渡されかつ登録商標De
Vibratorとして知られている米国特許第第
3164041号、第3207009号、第3207014号に示され
ている。この先行技術の振動減衰装置は、中ぐり
棒に加えられる振動のエネルギーを吸収し、つい
でこのエネルギーを振動減衰装置内に収容された
各慣性力デイスクのランダムな衝突を通してかつ
デイスク自体間の摩擦を通して消散することによ
つて働く。この振動減衰装置は広範囲の振動周波
数にわたつて有効である。

振動を解消する別の方法は動振動吸収器を適用
することである。動振動吸収器の完全な論述は、
ASME会報、1928年、第50巻（ページ９〜22）、
“The Theory of the Dynamic Vibration
Absorber”と題する論文に見出される。簡単に
言えば、この動振動吸収器は中ぐり棒に加えられ
る振動を吸収し、ついで180度の位相外れで自体
が振動し始め、これにより障害力と等しいかつ反
対の力を加える。このようにして、有害な振動が
効果的に解消される。

動振動吸収器は所望周波数で振動するように同
調させられうる。例えば、米国特許第3838936号
を参照されたい。この所望周波数は非常にしばし
ば中ぐり棒の固有周波数であり、これにより共振
すなわち最も有害な振動形態がうまく行けば解消
されるまたは少なくとも低減される。

しかしながら、先行技術の設計の問題点は機械
操作者によつてまた長期間使用後不同調にされう
ることである。

先行技術の別の問題点は有害な振動が可能と見
なされる程度まで低減されないことである。

かくして、この発明の一目的は、同調動振動吸
収器が操作者に対して抵抗性があるようにするこ
とである。

この発明の別の目的は、同調動振動吸収器が長
期間の使用にわたつて不同調に抵抗性があるよう
にすることである。

この発明の別の目的は、動振動吸収器が容易に
移転できるようにすることである。

この発明のさらに別の目的は、動振動吸収器が
中ぐり棒に無関係に同調させられうるようにする
ことである。

この発明のさらに別の目的は、動振動吸収器が
有害振動の改良された低減を与える能力があるよ
うにすることである。

本発明に従つて、一端に中央ボアを有する中ぐ
り棒と、中ぐり棒にその一端において適当な手段
で取付けるための中ぐり棒頭部とからなる、耐振
動性中ぐり工具が開示される。ボアには中ぐり工
具中の振動を解消するための同調吸収器パツケー
ジが挿入される。同調吸収器パツケージは独立装
置でありかつ中ぐり棒間で移転可能である。

中ぐり棒頭部はボアと整合した凹部を有する。
同調吸収器パツケージは好適には中ぐり棒頭部の
凹部中へ延在する。

同調吸収器パツケージは、吸収器主要部と、吸
収器主要部の両端上のエラストマ支持体と、吸収
器主要部及びエラストマ支持体を受入れるための
円筒形容器と、円筒形容器用の端キヤツプとから
なる。吸収器パツケージの所望振動周波数に同調
するようにエラストマ志支持体の一方と相互作用
をする同調機構もまた設けられている。

好適には、同調吸収器パツケージはさらに吸収
器主要部の各端と各エラストマ支持体との間に少
なくとも１つのさら形ワツシヤを含む。同調吸収
器パツケージはさらに各さら形ワツシヤと各エラ
ストマ支持体との間に少なくとも１つの鋼スペー
サを含む。

最も好適には、同調吸収器パツケージはさらに
円筒形容器に添加された減衰流体を含む。減衰流
体は好適にはシリコーン油である。

同調機構は円筒形容器の一端中の穴と円筒形容
器内部の圧力板とを含む。圧力板は穴と連通する
第一の面とエラストマ支持体の一方と接触する第
二の面とを有する。同調機構はさらに圧力板の第
一の面と接触しかつ穴とねじ係合するねじ付き部
材を含む。

本発明に従つて、中ぐり棒の一端にある中央ボ
アと、中ぐり棒にその一端において取付けるため
の中ぐり棒頭部とを有するタイプの中ぐり工具中
の振動を低減する方法もまた開示される。この方
法は中ぐり棒の固有振動周波数と関連がある振動
周波数に吸収器パツケージを同調させ、ついで中
ぐり棒が遭遇しうる自励振動を解消するように同
調吸収器パツケージを中央ボアに挿入することか
らなる。

本発明の本質は添付図面と関連する以下の詳細
な説明からさらに明らかになるであろう。

図面を参照すると、第１図は本発明に係る耐振
動性中ぐり工具２の図を示す。この中ぐり工具は
一端８に中央ボア６を有する中ぐり棒４と、一端
で適当な手段によつて中ぐり棒に取付け１２のた
めの中ぐり棒頭部１０とからなる。中ぐり工具中
の振動を解消するために同調吸収器パツケージ１
４がまたボア６に挿入されている。同調吸収器パ
ツケージは独立装置であり、中ぐり棒間で移転可
能である。

好適には、中ぐり棒頭部１０はボアと整合した
凹部１６を有する。同調吸収器パツケージ１４は
中ぐり棒頭部の凹部中へ延在する。同調吸収器パ
ツケージを中ぐり工具の切削部分１３にできる限
り近く配置して、中ぐり工具中の振動を最も効果
的に解消するようにすることが望ましい。

次に第２，３図を参照すると、同調吸収器パツ
ケージ１４は、吸収器主要部１８と、吸収器主要
部１８の両端２４，２６上のエラストマ支持体２
０，２２と、吸収器主要部１８およびエラストマ
支持体２０，２２を受入れるための円筒形容器２
８と、円筒形容器２８用の端キヤツプ３０とから
なる。エラストマ支持体の一方と相互作用をし
て、吸収器パツケージの所望振動周波数に同調す
るようにするために同調機構３２もまた設けられ
ている。

吸収器主要部はタングステン、タングステン合
金又は他の高密度材料から作られ、吸収器パツケ
ージから最適の性能を得るようにすることが好適
である。

同調吸収器パツケージがいつたん完全に組立て
られると、端キヤツプがエポキシその他の適当な
手段によつて容器に固着される。

好適には、同調吸収器パツケージ１４はさらに
吸収器主要部の各端２４，２６と各エラストマ支
持体２０，２２との間に少なくとも１つのさら形
ワツシヤ３４，３６を含む。吸収器パツケージは
各端にさら形ワツシヤがなくても良好に働くが、
さら形ワツシヤがパツケージ中に含まれるときに
は振動の解消においては実質的な改良があること
が見出された。最も好適な実施態様においては、
各端に２つのさら形ワツシヤがあるときに吸収器
パツケージは最も有効であることが見出された。

好適には、また、各さら形ワツシヤ３４，３６
と各エラストマ支持体２０，２２との間に少なく
とも１つの鋼スペーサ３８，４０がある。鋼スペ
ーサは吸収器パツケージの同調において特に有用
であることが見出された。

明瞭のために、さら形ワツシヤと鋼スペーサは
第３図には示されていない。

最も好適な実施態様においては、同調吸収器パ
ツケージはさらに円筒形容器２８に添加された減
衰流体４２を含む。減衰流体はシリコーン油であ
ることが最も好適である。

同調機構３２は円筒形容器２８の一端４６中の
穴４４と円筒形容器内部の圧力板４８とからな
る。圧力板は穴４４と連通する第一の面５０とエ
ラストマ支持体の一方と接触する第二の面５２と
を有する。圧力板４８の第一の面５０と接触しか
つ前記穴４４とねじ係合するねじ付き部材５４も
また設けられている。

本発明に従つて、中ぐり工具中の振動を低減す
るための方法が開示される。中ぐり工具は中ぐり
棒４の一端８に中央ボア６を有しかつ第一の端に
おいて中ぐり棒への取付け１２のための中ぐり棒
頭部１０を有するタイプのものである。中ぐり棒
への中ぐり棒頭部の取付けは従来技術で周知の幾
つかの手段の任意のものによつてなされうる。そ
の方法は吸収器パツケージ１４を中ぐり棒の固有
振動周波数と関連がある振動周波数に同調させ、
さらに、中ぐり棒が遭偶しうる自励振動を解消す
るように同調吸収器パツケージ１４を中央ボア６
に挿入することからなる。

特許請求の範囲内で多くの改変がなされうる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る中ぐり工具の側面断面図
である。第２図は同調吸収器パツケージの拡大側
面図である。第３図は第２図の−線断面図で
ある。 ２…中ぐり工具、４…中ぐり棒、６…ボア、１
０…中ぐり棒頭部、１３…切削部分、１４…同調
吸収器パツケージ、１８…吸収器主要部、２０，
２２…エラストマ支持体、２８…円筒形容器、３
０…端キヤツプ、３２…同調機構、３４，３６…
さら形ワツシヤ、３８，４０…スペーサ、４２…
減衰流体、４４…穴、４８…圧力板、５４…ねじ
付き部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一端に中央ボアを有する中ぐり棒と、前記中
   ぐり棒に前記一端において取付けるための手段を
   もつ中ぐり棒頭部と、中ぐり工具中の振動を解消
   するために前記ボアに挿入された同調吸収器パツ
   ケージとからなり、前記同調吸収器パツケージが
   独立装置でありかつ中ぐり棒間で移動可能であ
   り、前記同調吸収器パツケージは、吸収器主要部
   と、前記吸収器主要部の両端上のエラストマ支持
   体と、前記吸収器主要部および前記エラストマ支
   持体を受入れるための円筒形容器用と、前記円筒
   形容器用の端キヤツプと、前記吸収器パツケージ
   の所望振動周波数に同調するように前記エラスト
   マ支持体の一方と相互作用をする同調機構と、前
   記円筒形容器内の減衰流体とからなることを特徴
   とする耐振動性中ぐり工具。 ２ 前記中ぐり棒頭部が前記ボアと整合した凹部
   を有し、前記同調吸収器パツケージが前記中ぐり
   棒頭部の前記凹部中へ延在する特許請求の範囲第
   １項記載の中ぐり工具。 ３ 同調吸収器パツケージが、前記吸収器主要部
   の各端と各前記エラストマ支持体との間に少なく
   とも１つのさら形ワツシヤを含む特許請求の範囲
   第１項記載の中ぐり工具。 ４ 同調吸収器パツケージが、各前記さら形ワツ
   シヤと各前記エラストマ支持体との間に少なくと
   も１つの鋼スペーサを含む特許請求の範囲第３項
   記載の中ぐり工具。 ５ 減衰流体がシリコーン油である特許請求の範
   囲第１項記載の中ぐり工具。 ６ 同調機構が、前記円筒形容器の一端中の穴
   と、前記穴と連通する第一の面と前記エラストマ
   支持体の前記一方と接触する第二の面とを有す
   る、前記円筒形容器内部の圧力板と、前記圧力板
   の前記第一の面と接触しかつ前記穴とねじ係合す
   るねじ付き部材とからなる特許請求の範囲第１項
   記載の中ぐり工具。