JP6544420B2 - 加工工具 - Google Patents

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Description

ここに開示する技術は、加工機の主軸に取り付けられ該主軸の回転によって回転するとともに、加工時に発生する振動を抑制する動吸振器が内蔵された加工工具に関する技術分野に属する。
従来より、マシニングセンタ等の加工機の主軸に着脱可能に取り付けられ、主軸により刃具を回転させてワークの加工を行う加工工具が知られている。このような加工工具でワークを加工する際には、該加工に伴い加工工具が振動して加工精度が低下してしまうことがある。そこで、加工工具に、加工時に発生する振動を抑制するための動吸振器を内蔵させたものがある(例えば、特許文献1)。
特許文献1には、加工機の主軸に着脱自在に取り付けられ、先端に上記刃先部が設けられた長尺状の工具本体を備え、該工具本体には、該工具本体の長手方向に延びる中空部と、該工具本体の先端に開口しかつ該工具本体の基端側に延びて上記中空部と連通する連通孔と、が形成され、工具本体に内蔵された動吸振器は、中空部に収容された該中空部よりも細い棒状の振動体と、中空部に収容され、振動体を取り囲む筒状の減衰ゴムと、連通孔に螺合するとともに、一部が中空部に突出して振動体の一端を支持する振動体よりも弾性率の高い柱状の支持体と、連通孔の開口から挿入され、支持体に係合して支持体の軸周りの回転を規制する規制部材と、を有する加工工具が開示されている。
特許第6079682号公報
ところで、加工機による加工は、加工条件が異なれば、加工時に発生する加工工具の振動の周波数等も異なる。
特許文献1に記載の加工工具では、振動体を取り囲む筒状の減衰ゴムの弾性を利用して加工工具の振動を抑制している。このため、加工工具の振動を適切に抑制するには、加工条件に対応した弾性を有する複数種類の減衰ゴムを用意し、加工条件に合わせて最適な減衰ゴムに逐一変更する必要がある。このことは、加工効率の悪化を招くおそれがある。また、減衰ゴムは、経年劣化により弾性が変化しやすく、加工工具の振動を適切に抑制することができなくなる可能性がある。
また、加工工具の刃先部が経年劣化すると、同一の加工条件であったとしても、加工時に発生する振動の周波数等が変わることがある。特許文献1に記載の加工工具では、このような場合にも、減衰ゴムの変更が必要になる。
よって、加工工具において、加工時に発生する振動を適切に抑制するという観点からは改良の余地がある。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加工条件に応じて動吸振器の振動抑制の調整を容易に行うことができるようにして、加工時に発生する加工工具の振動を適切に抑制することにある。
上記課題を解決するために、ここに開示する技術では、加工機の主軸に取り付けられ該主軸の回転によって回転するとともに、加工時に発生する振動を抑制する動吸振器が内蔵された加工工具を対象として、上記主軸に着脱自在に取り付けられる長尺状の工具本体と、上記工具本体の先端に設けられ、上記主軸の回転によって回転する刃先部とを備え、上記工具本体には該工具本体の長手方向に延びる中空部が形成され、上記動吸振器は、上記刃先部の基端部と連結されかつ上記中空部に収容されかつ磁性を有する棒状の振動体と、上記振動体に振動減衰力を与える磁石部材とを有し、上記磁石部材は、上記振動体に対する振動減衰力を調整可能に構成されている、ものとした。
この構成によると、加工時には、刃先部と連結された振動体が振動する。一方で、振動体は磁性を有しているため、該振動体には磁石部材からの磁気吸引力が作用する。この磁気吸引力が振動体に対する振動減衰力として作用する。つまり、動吸振器のバネマスモデルにおいて、振動体が質点及びバネに相当し、磁石部材がダンパに相当する。この結果、加工工具の振動を減衰させることができる。
磁石部材は振動体に対する振動減衰力を調整可能に構成されているため、加工条件に応じて動吸振器の振動抑制の調整を容易に行うことができる。
ここで、磁石部材により生じる振動体に対する振動減衰力(上述の磁気吸引力)は、該磁石部材から放出されかつ対象物(例えば、振動体)を通過する磁束の密度(つまり、磁束密度)に比例する。磁束密度の大きさは、磁石部材の磁荷の大きさに比例しかつ磁石部材からの距離に反比例する。このため、例えば、後述するように振動体と磁石部材との間の相対距離を調整すれば振動体に対する振動減衰力を調整することができる。また、例えば、磁石部材を電磁石で構成する場合には、磁石部材に流す電流を調整すれば、磁荷が調整されて、磁束密度を調整することができるため、振動体に対する振動減衰力を調整することができる。さらに、例えば、磁石部材と対象物との間に、磁束を遮蔽する磁束遮蔽部材を設けて、該磁束遮蔽部材によって、磁石部材から放出されかつ対象物を通過する磁束の密度を調整することでも、振動体に対する振動減衰力を調整することができる。
したがって、加工時に発生する加工工具の振動を適切に減衰することができるようになる。
上記加工工具の一実施形態では、上記磁石部材は、上記工具本体に取り付けられかつ上記振動体に対する相対距離を調整可能に配設されており、上記磁石部材と上記振動体との相対距離が調整されることで、上記振動体に対する振動減衰力が調整される。
すなわち、上述したように、磁石部材の振動体に対する振動減衰力は、対象物(ここでは、振動体)を通過する磁束の密度に比例する。このため、磁石部材の位置を調整して、振動体と磁石部材との間の相対距離を調整すれば振動体に対する振動減衰力を調整することができる。よって、加工条件に応じた動吸振器の振動抑制の調整をより容易に行うことができるようになり、加工時に発生する加工工具の振動をより適切に減衰することができる。また、磁石部材として電磁石を採用する必要がないため、動減衰器の構成を簡単にすることができる。
上記一実施形態において、上記工具本体には、上記磁石部材を移動させて上記相対距離を調整するための調整工具を挿入可能な調整工具挿入孔が、更に形成されている、ことが好ましい。
この構成によると、調整工具挿入孔が形成されていることにより、容易に振動体と磁石部材との間の相対距離を調整することができる。これにより、加工条件に応じた動吸振器の振動抑制の調整を一層容易に行うことができるようになり、加工時に発生する加工工具の振動を一層適切に減衰することができる。
上記加工工具において、上記振動体は、棒状の軸部と、この軸部に取り付けられかつ該軸部の軸方向に位置調整可能な質量体とを有する、ことが好ましい。
この構成によると、振動体の共振周波数を質量体の位置を調整することで容易に調整することができる。これにより、加工条件に応じた動吸振器の振動抑制の調整をより一層容易に行うことができるようになり、加工時に発生する加工工具の振動をより一層適切に減衰することができる。
ここに開示する技術では、他の態様の加工工具も含み、この他の態様では、加工機の主軸に取り付けられ該主軸の回転によって回転するとともに、加工時に発生する振動を抑制する動吸振器が内蔵された加工工具を対象として、上記主軸に着脱自在に取り付けられる長尺状の工具本体と、上記工具本体の先端に設けられ、上記主軸の回転によって回転する刃先部とを備え、上記工具本体には該工具本体の長手方向に延びかつ有底の中空部が形成され、上記中空部の底部には、磁性体が設けられており、上記動吸振器は、上記刃先部の基端部と連結されかつ上記中空部に収容される棒状の振動体と、上記振動体に上記磁性体に対する相対距離を調整可能に取り付けられかつ上記振動体に振動減衰力を与える磁石部材とを有し、上記磁石部材と上記磁性体との相対距離が調整されることで、上記振動体に対する振動減衰力が調整される、ものとした。
この構成でも、動吸振器のバネマスモデルにおいて、振動体が質点及びバネに相当し、磁石部材がダンパに相当する。この結果、加工工具の振動を減衰させることができる。
また、この構成によると、振動体と一緒に磁石部材も振動するが、中空部に設けられた磁性体に対する磁石部材の磁気吸引力によって、該磁石部材ごと振動体を制動させて、振動体に対する振動減衰力を調整するようにする。この場合の振動体に対する振動減衰力は、上記磁性体を通過する磁束の密度に比例する。磁石部材と中空部の底部との相対距離が調整されると、中空部の底部を通過する磁束の密度が調整されるため、上記振動減衰力を調整することができる。よって、この構成でも、磁石部材の位置を調整すれば振動体に対する振動減衰力を調整することができるため、加工条件に応じた動吸振器の振動抑制の調整を容易に行うことができるようになり、加工時に発生する加工工具の振動を適切に減衰することができる。
以上説明したように、ここに開示する加工工具は、該加工工具に内蔵された動吸振器が、刃先部の基端部と連結されかつ工具本体の中空部に収容された棒状の振動体と、上記振動体に振動減衰力を与える磁石部材とを有し、該磁石部材は、振動体に対する振動減衰力を調整可能に構成されているため、加工条件に応じて動吸振器の振動抑制の調整を容易に行うことができ、加工時に発生する加工工具の振動を適切に減衰することができる。
実施形態1に係る加工工具を示す側面図である。 実施形態1に係る加工工具の動吸振器の構成を示す縦断面図である。 実施形態1に係る加工工具のバネマスモデルを示す概略図である。 実施形態1に係る加工工具と磁石部材が設けられていない動吸振器を有する加工工具との加振テストの評価結果の一例を示すグラフである。 実施形態1の変形例に係る加工工具を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る加工工具を示す斜視図である。 図5のVII-VII線相当の断面図である。 本発明の実施形態3に係る加工工具の動吸振器の構成を示す縦断面図である。
(実施形態1)
以下、例示的な実施形態1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態1に係る加工工具1を示す。この加工工具1は、図示を省略するマシニングセンタ(加工機)の主軸に取り付けられ該主軸の回転によって回転する工具である。加工工具1は、例えば自動車のミッションケース等の切削加工に用いられる工具である。
加工工具1は、上記マシニングセンタの主軸に着脱自在に取り付けられる長尺状の工具ホルダ3(工具本体)と、工具ホルダ3の先端に設けられ、上記主軸の回転によって回転するソリッドエンドミル5とを備えている。以下の説明では、加工工具1についての先端側を「先端側」といい、加工工具1についての基端側を「基端側」という。
工具ホルダ3は、金属製であって、略円筒状をなしている。工具ホルダ3の基端部には、図1及び図2に示すように、上記マシニングセンタの主軸に取り付けられる取付部7が設けられている。工具ホルダ3は、全体的に均一な外径になっており、取付部7の近傍部分が拡径した拡径部3aとなっている。工具ホルダ3には、ソリッドエンドミル5を取り付けるための取付孔としての中空部9が形成されている。中空部9は、工具ホルダ3の先端に開口し、この先端から、工具ホルダ3の長手方向の中間まで延びている。中空部9は、後述する挿入孔11と連通している。
中空部9は、工具ホルダ7の先端から延びかつ相対的に径の小さい小径部9aと、該小径部9aの基端側の端部から延びかつ相対的に径の大きい大径部9bとで構成されている。中空部9の小径部9aの内周面には雌ねじが形成されている。
ソリッドエンドミル5は、エンドミル本体51(刃先部)と、エンドミル本体51の基端部から基端側に向かって延びるボス52とを有している。
エンドミル本体51は、円柱体の外周面に複数の刃を形成して構成されている。エンドミル本体51の基端側の部分には、後述する連通孔54の雌ねじと螺合する雄ねじが形成されたエンドミル取付部51aが設けられている。
ボス52は、略円筒状をなしている。ボス52の外周面には雄ねじが形成されており、図2に示すように、該雄ねじは中空部9の小径部9aに形成された雌ねじと螺合する。ボス52の筒内部は、筒軸方向の中央よりも基端側の半部分を貫通しかつ中空部9の大径部9aに連通する貫通孔53と、筒軸方向の中央よりも先端側の半部分を貫通しかつ貫通孔53に連通する連通孔54とを有している。連通孔54の内周面には、上記エンドミル取付部51aの雄ねじと螺合する雌ねじが形成されている。
エンドミル本体51のエンドミル取付部51aが、ボス52の連通孔54に螺合された状態で、ボス52が中空部9の小径部9aに螺合することで、エンドミル本体51は、工具ホルダ3に一体的に固定される。これにより、工具ホルダ3が上記主軸に取り付けられた状態で上記主軸が回転すると、工具ホルダ3と共にエンドミル本体51が回転するようになる。以上のことから、本実施形態1ではボス52も工具本体を構成する。
加工工具1には、加工時に発生する振動を抑制する動吸振器20が内蔵されている。加工時に発生する振動とは、例えば、びびり振動である。
動吸振器20は、図2に示すように、エンドミル取付部51aの基端(エンドミル本体51の基端部)と連結されかつ中空部9に収容されかつ磁性を有する棒状の振動体21と、振動体21に振動減衰力を与える磁石部材30とを有している。
振動体21は、図2に示すように、中空部9内で工具ホルダ3の長手方向に延びる棒状の軸部22と、軸部22の基端側の部分に取り付けられた質量体23とを有している。
軸部22は、鉄系合金などの磁性を有する金属で構成されている。軸部22は、先端がエンドミル取付部51aの基端にろう付けにより接合されている。軸部22は、図2に示すように、先端側の部分が、ボス52の連通孔54内及び貫通孔53内に位置している。軸部22の径は、貫通孔53の内径よりも小さい。つまり、軸部22における中空部9の大径部9b内に位置している部分は、その径方向に振動可能となっている。
軸部22の基端側の部分には雄ねじが形成されており、該雄ねじに質量体23が螺合されている。質量体23が軸部22に螺合されていることにより、該質量体23は、軸部22の軸方向に位置調整可能に構成されている。質量体23には、その径方向に延びるねじ孔23aが形成されている。このねじ孔23aには、いもねじ24が螺合している。いもねじ24は軸部22に当接するまでねじ孔23aにねじ込まれる。これにより、いもねじ24がねじ孔23aにねじ込まれた状態では、質量体23は上記軸方向には動かないようになっている。
質量体23も、軸部22と同様に、鉄系合金などの磁性を有する金属で構成されている。質量体23の最大径は、中空部9の大径部9bの内径よりも小さい。これにより、質量体23が設けられていたとしても、振動体21は径方向に振動可能になっている。
磁石部材30は、図2に示すように、挿入孔11内に設けられた調整ロッド31と、該調整ロッド31の先端に固着された磁石本体32とを有している。挿入孔11における拡径部3aに形成された部分には、雌ねじが形成されており、該雌ねじには、調整ロッド31の基端に設けられかつ雄ねじからなるねじ部31aが螺合する。磁石部材30は、調整ロッド31のねじ部31aの先端から先端側に向かって延びる軸部31bの先端に固着されている。磁石部材30は、調整ロッド31のねじ部31aを回転させることで、工具ホルダ3の長手方向における位置が調整されて、上記振動体21との相対距離が調整されるようになっている。つまり、磁石部材30は、工具ホルダ3(工具本体)に螺合されかつ振動体21に対する相対距離を調整可能に配設されている。
調整ロッド31のねじ部31aの基端側の端面部には、ドライバーなど、調整ロッド31を回転させて、磁石部材30の上記長手方向の位置を調整するための調整工具が係合する溝(図示省略)が形成されている。上記調整工具は上記挿入孔11の基端側(つまり、取付部7側の開口)から挿入可能になっている。このことから、挿入孔11は、磁石部材30を移動させて、磁石部材30と振動体21との相対距離を調整するための上記調整工具を挿入可能な調整工具挿入孔に相当する。
磁石本体32は、その軸方向が上記長手方向に平行に延びる円柱状をなしている。磁石本体32の周面には、該周面から延びる磁束を、該磁石部材32の軸方向(上記長手方向と一致)に偏向させるためのヨーク33が設けられている。このヨーク33によって、磁石本体32から放出される磁束は、該磁石本体32の軸方向に沿って振動体21に向かって延びるようになる。磁石本体32は、例えば、ネオジム系の永久磁石で構成されている。
ここで、加工工具1のバネマスモデルについて説明する。加工工具1のバネマスモデルは、図3に示すようになる。図3に示すように、工具ホルダ3とソリッドエンドミル5とが全体として質点(図3のm1)に相当するとともに、該質点を上記加工機の主軸に対して支持するバネ(図3のk1)に相当する。そして、ソリッドエンドミル5によるワークの加工時には、工具ホルダ3及びソリッドエンドミル5の全体が上記加工機の主軸に対して、k1/m1の共振周波数で上記加工工具1の径方向に共振する。このときの共振周波数は、上記加工工具1が取り付けられる上記加工機の仕様や加工条件、さらにはソリッドエンドミル5の状態(経年劣化が生じている等)によって変化する。
動吸振器20のバネマスモデルは、図3に示すように、振動体21が質点(図3のm2)及びバネ(図3のk2)に相当する。一方で、振動体21は磁性を有しているため、該振動体21には磁石部材30の磁石本体32からの磁気吸引力が作用する。この磁気吸引力が振動体21に対する振動減衰力として作用する。つまり、磁石部材30(厳密には、磁石本体32)がダンパ(図3のc)に相当する。
工具ホルダ3及びソリッドエンドミル5の全体の共振、つまり加工工具1の共振を抑制するためには、動吸振器20の振動体21の共振周波数及び磁石部材30の振動減衰力を適切に設定すればよい。
共振周波数については、振動体21の重心の位置に依存する。本実施形態では、質量体23が軸部22の基端側の部分に螺合されており、該質量体23を回転させることで、軸部22の軸方向における質量体23の位置を調整することができるため、振動体21の重心の位置を調整可能である。
一方で、磁石部材30の振動体21に対する振動減衰力(上述の磁気吸引力)は、該磁石部材30の磁石本体32から放出されかつ振動体21を通過する磁束の密度(つまり、磁束密度)に比例する。磁束密度の大きさは、磁石部材30の磁石本体32の磁荷の大きさに比例しかつ該磁石本体32からの距離(すなわち、振動体21と磁石本体32との相対距離)に反比例する。本実施形態では、磁石部材30は、工具ホルダ3に螺合されているため、磁石部材30を回転させて、振動体21と磁石部材30(厳密には磁石本体32)との間の相対距離を調整することができる。これにより、磁石部材30の振動体21に対する振動減衰力を調整することができる。つまり、本実施形態1に係る加工工具1では、磁石部材30は、振動体21に対する振動減衰力を調整可能に構成されており、特に、磁石部材30と振動体23との相対距離が調整されることで、振動体23に対する振動減衰力が調整されるようになっている。
このように、本実施形態の動吸振器20では、振動体21の共振周波数及び磁石部材30の振動体21に対する振動減衰力を調整可能に構成されているため、加工条件に応じて動吸振器20の振動抑制能力が容易に調整可能となり、加工時に発生する加工工具の振動を適切に抑制することができる。
図4は、本実施形態1に係る加工工具1と、磁石部材30が設けられていない動吸振器を有する従来の加工工具とを対象に、加振テストを行った結果を示す。この試験は、加工機の主軸に取り付けられた加工工具1のソリッドエンドミル5に加速度センサを取り付け、該ソリッドエンドミル5に外部から衝撃を加えて、加速度センサの検出信号を処理すること行った。
図4の上図は、縦軸は加速度(m・s−2/N)を表し、横軸は周波数(Hz)を示している。上図中の実線は本実施形態1に係る加工工具1の試験結果を示し、破線は、従来の加工工具の試験結果を示す。
図4の上図から分かるように、従来の加工工具では、特定の共振周波数において大きなピークを示している。この共振周波数は、加工工具の固有振動数に相当する。これに対し、本実施形態1に係る加工工具1では、このピークが1/5程度に抑制されていることが分かる。
図4の下図は、ソリッドエンドミル5に加えた振動が収束するまでの時間(振幅がほぼ0になるまでの時間)を計測した結果である。この下図から分かるように、本実施形態1に係る加工工具1では、従来の加工工具と比較して、収束時間が約1/10程度になっていることが分かる。したがって、本実施形態1に係る加工工具1は、従来の加工工具よりも顕著な振動抑制効果を示すことが確認された。
したがって、本実施形態1に係る加工工具1では、動吸振器20のバネマスモデルにおいて、振動体21が質点及びバネに相当し、磁石部材30がダンパに相当する。そして磁石部材30は振動体23に対する振動減衰力を調整可能に構成されているため、加工条件に応じて動吸振器20の振動抑制の調整を容易に行うことができる。この結果、加工時に発生する加工工具1の振動を適切に減衰することができる。
特に、本実施形態1に係る加工工具1では、磁石部材30は、工具ホルダ3に螺合により取り付けられかつ振動体23に対する相対距離を調整可能に配設されているため、磁石部材30と振動体23との相対距離が調整されることで、磁石部材30の振動体23に対する振動減衰力が調整される。これにより、加工条件に応じた動吸振器20の振動抑制の調整をより容易に行うことができるようになり、加工時に発生する加工工具1の振動をより適切に減衰することができる。
また、本実施形態1に係る加工工具1では、磁石部材30を移動させて、磁石部材30と振動体21との相対距離を調整するための上記調整工具を挿入可能な挿入孔11が形成されている。これにより、容易に振動体21と磁石部材30との間の相対距離を調整することができる。この結果、加工条件に応じた動吸振器20の振動抑制の調整を一層容易に行うことができるようになり、加工時に発生する加工工具1の振動を一層適切に減衰することができる。
図5は、実施形態1の変形例に係る加工工具101を示す。この加工工具101では、調整ロッド31の軸部31bが設けられておらず、磁石本体32がねじ部31aの先端に直接固着されている点で上述の加工工具1とは異なる。この変形例でも、磁石本体32の周面にはヨーク33が設けられている。
この加工工具101でも、ねじ部31aの周面に雄ねじが形成されるとともに、挿入孔11の内周面全体に雌ねじが形成されている。そして、ねじ部31aの雄ねじが挿入孔11の雌ねじと螺合しており、ねじ部31aを回転させて、振動体23と磁石部材30との間の相対距離が調整されるようになっている。図示は省略するが、ねじ部31aの基端側の端面部には、ドライバーなど、磁石部材30を回転させて、工具ホルダ3の長手方向における磁石部材30の位置を調整するための調整工具が係合する溝が形成されている。上記調整工具は上記挿入孔11の基端側(つまり、取付部7側の開口)から挿入可能になっている。つまり、この変形例でも、挿入孔11は、磁石部材30を移動させて、磁石部材30と振動体21との相対距離を調整するための上記調整工具を挿入可能な調整工具挿入孔に相当する。
この変形例でも、動吸振器20のバネマスモデルにおいて、振動体21が質点及びバネに相当し、磁石部材30がダンパに相当する。そして磁石部材30は振動体23に対する振動減衰力を調整可能に構成されているため、加工条件に応じて動吸振器20の振動抑制の調整を容易に行うことができる。この結果、加工時に発生する加工工具1の振動を適切に減衰することができる。
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係る加工工具201を示す。この加工工具201は、上記ソリッドエンドミル5の代わりに、サイドカッター205が設けられている点で、上記実施形態1の加工工具1とは異なる。また、本実施形態2に係る加工工具201では、工具ホルダ203の構成が上記実施形態1の加工工具1とは異なる。さらに、本実施形態2に係る加工工具201では、動吸振器220の構成が上記実施形態1の加工工具1とは異なる。以下の説明では、加工工具201についての先端側を「先端側」といい、加工工具201についての基端側を「基端側」という。
加工工具201の工具ホルダ203は、金属製であって、略円柱状をなし、基端部には、上記マシニングセンタの主軸に取り付けられる取付部207が設けられている。工具ホルダ203の中間部203bは、先端側に向かって縮径し、先端部203aは、基端部203cよりも小径となっている。工具ホルダ203には、サイドカッター205を取り付けるための取付穴としての中空部209が形成されている。本実施形態2では、図7に示すように、中空部209は有底であり、工具ホルダ203の先端に開口し、該先端から工具ホルダ203の中間部203bまで延びている。
上記中空部209は、工具ホルダ203の長手方向に延び、横断面が円形をなしている。中空部209は、基端側に向かって徐々に縮径しており、該先端近傍の大径部209aと、該大径部209aの基端側に形成され、内周面に雌ねじが形成された中径部209bと、該中径部209bの基端側に形成された小径部209cとを有している。中空部209の底部209d(基端側の端部)には、鉄系金属等からなる磁性体234が配設されている。
サイドカッター205は、図7に示すように、略正八角形状のサイドカッター本体251と、該サイドカッター本体251から基端側に延びる略円筒状のボス252とを有している。
サイドカッター本体251の該周端には、切刃256(刃先部)が固定される切刃取付部257が周方向に90°間隔で4つ形成されている。
ボス252は、略円筒状をなしている。ボス252は、工具ホルダ203の中空部209と螺合して該工具ホルダ203に固定されるカッター固定部252aと、該カッター固定部252aから先端側に延びてサイドカッター本体251に繋がる本体支持部252bとを有している。
ボス252のカッター固定部252aの外周面には雄ねじが形成されており、図7に示すように、該雄ねじは中空部209の大径部209aを挿通して、該中空部209の中径部209bに螺合している。本体支持部252bと工具ホルダ203との間には、スペーサ258が配設されており、本体支持部252bの基端側の端面はスペーサ258の先端側の面に当接している。
ボス252の筒内部は、カッター固定部252a及び本体支持部252bの基端側の半部分を貫通する貫通孔253と、サイドカッター本体251の先端側の面に開口しかつサイドカッター本体251及び本体支持部252bの先端側の半部分を貫通しかつ貫通孔253に連通する連通孔254とを有している。連通孔254の内周面には、後述する支持体259の雄ねじと螺合する雌ねじが形成されている。
ボス252が中空部209の中径部209bに螺合することで、サイドカッター本体251は、工具ホルダ203に一体的に固定される。これにより、工具ホルダ203が上記主軸に取り付けられた状態で上記主軸が回転すると、工具ホルダ203と共にサイドカッター本体251が回転して、切刃256が回転する。以上のことから、本実施形態2ではサイドカッター本体251及びボス252も工具本体を構成する。
本実施形態2では、動吸振器220は、図7に示すように、サイドカッター205の貫通孔253及び工具ホルダ203の中空部209に収容された棒状の振動体221と、振動体221に振動減衰力を与える磁石部材230と、振動体221をサイドカッター205に対して支持する支持体259とを有している。
振動体221は、図7に示すように、中空部209内で工具ホルダ203の長手方向に延びる棒状の軸部222を有している。
軸部222は、鉄系合金で構成されている。軸部222の径は貫通孔253の内径よりも小さい。つまり、軸部222における中空部209内に位置している部分は、その径方向に振動可能となっている。
軸部222の先端側の端部は、上記連通孔254に螺合する支持体259に固定支持されている。
支持体259は、振動体221の軸部222よりも弾性率の高い鋼材で構成されている。支持体259の基端側の端面には、先端側に向かって凹んだ凹部259aが形成されており、この凹部259aに軸部222の先端部がろう付けにより連結されている。これにより、振動体221は、支持体259を介してサイドカッター本体251の基端部と連結さている。
支持体259の先端側の部分には、ねじ穴259bが形成されており、該ねじ穴259bには、連通孔254の先端側の開口から挿入されるねじ260が螺合されている。ねじ260は、その軸部260bがねじ穴259bに螺合すると共に、その頭部260aが連通孔254の開口端に当接している。
支持体259の外周面には雄ねじが形成されており、該雄ねじは連通孔254の内周面に形成された雌ねじに螺合している。このため、支持体259をその軸周りに回転させることにより、支持体259は、工具ホルダ203の長手方向に進退移動する。これにより、支持体259の貫通孔253への突出量を調整することができるようになっている。
磁石部材230は、図7に示すように、軸部222の基端部に設けられた位置調整ねじ223に螺合により連結される磁石ホルダ231と、該磁石ホルダ231に埋設された磁石本体232とを有している。上記位置調整ねじ223のピッチは、支持体259に形成された雄ねじのピッチよりも小さく設定されている。尚、磁石ホルダ231及び磁石本体232を含む磁石部材230の質量は、軸部222を含む振動体221の質量に対してかなり小さくなっており、磁石部材230の、工具ホルダ203の長手方向における位置が変化したとしても、振動体221の重心の位置には影響しない。すなわち、磁石部材230の上記長手方向における位置が変化したとしても、後述する共振周波数には影響しないようになっている。
磁石ホルダ231には、その径方向に延びるねじ孔231aが形成されている。このねじ孔231aには、いもねじ231bが螺合している。いもねじ231bは位置調整ねじ223の軸部に当接するまでねじ孔231aにねじ込まれる。これにより、いもねじ231bがねじ孔231aにねじ込まれた状態では、磁石ホルダ231は上記軸方向には動かないようになっている。
磁石本体232の周面には、該周面から延びる磁束を、該磁石本体232の軸方向(上記長手方向と一致)に偏向させるためのヨーク233が設けられている。このヨーク233によって、磁石本体232から放出される磁束は、該磁石本体232の軸方向に沿って、中空部209に設けられた磁性体234に向かって延びるようになる。磁石本体232は、例えば、ネオジム系の永久磁石で構成されている。
本実施形態2では、磁石部材230と磁性体234との間の相対距離が調整できるようになっている。具体的には、磁石ホルダ231を位置調整ねじ223に対して締め付けたり緩めたりすることで、磁石部材230と磁性体234との間の相対距離が調整される。また、支持体259を連通孔254の雌ねじに対して締め付けたり緩めたりすると、軸部222ごと磁石部材230の、工具ホルダ203の長手方向における位置が変わるため、磁石部材230と磁性体234との間の相対距離を調整することができる。すなわち、磁石部材230は、振動体221に磁性体234に対する相対距離を調整可能に取り付けられている。
本実施形態2では、動吸振器220のバネマスモデルは、振動体221及び支持体259における貫通孔253内に突出する部分(以下、支持体259の基端側部分という)が質点及びバネに相当する。一方で、磁性体234は工具ホルダ203固定されているため、磁石部材230の磁石本体232からの磁気吸引力が磁性体234に対して作用すると、該磁気吸引力は振動体221及び支持体の基端側部分に対する振動減衰力となる。つまり、磁石部材230(厳密には、磁石本体232)がダンパに相当する。
そして、本実施形態2では、動吸振器220の共振周波数については、支持体259を連通孔254の雌ねじに対して締め付けたり緩めたりして、支持体259における貫通孔253内に突出する部分の長さを調整することで、調整することができる。
一方で、本実施形態2では、磁石部材230の振動体221に対する振動減衰力(上述の磁気吸引力)は、磁石部材230(厳密には磁石本体232)と磁性体234との間の相対距離を調整することで、調整することができる。
このように、本実施形態2に係る加工工具201の動吸振器220でも、共振周波数及び磁石部材230の振動体221に対する振動減衰力を調整可能に構成されているため、加工条件に応じて動吸振器220の振動抑制能力が容易に調整可能となり、加工時に発生する加工工具201の振動を適切に抑制することができる。
尚、本実施形態2に係る加工工具201の動吸振器220において、共振周波数及び磁石部材230の振動体221に対する振動減衰力を調整する際には、先ず、支持体259における貫通孔253内に突出する部分の長さを調整して、共振周波数の調整を行った後に、磁石部材230と磁性体234との間の相対距離を調整して、磁石部材230の振動体221に対する振動減衰力を調整するようにすることが望ましい。
(実施形態3)
図8は、実施形態3に係る加工工具301を示す。この加工工具301は、上記ソリッドエンドミル5やサイドカッター205の代わりに、ボーリング用のチップ305が設けられている点で、上記実施形態1及び2の加工工具1,201とは異なる。また、本実施形態3に係る加工工具301では、工具ホルダ303の構成が上記実施形態1及び2の加工工具1,201とは異なる。さらに、本実施形態3に係る加工工具301では、動吸振器320の構成が上記実施形態1及び2の加工工具1,201とは異なる。以下の説明では、加工工具301についての先端側を「先端側」といい、加工工具301についての基端側を「基端側」という。
加工工具301の工具ホルダ303(工具本体)は、金属製であって、略円柱状をなし、基端部には、上記マシニングセンタの主軸に取り付けられる取付部307が設けられている。全体的に均一な外径になっており、取付部307の近傍部分が拡径した拡径部となっている。工具ホルダ303には中空部309が形成されている。本実施形態3では、図8に示すように、中空部309は有底であり、工具ホルダ303の先端に開口し、該先端から工具ホルダ303の中間まで延びている。工具ホルダ303の、中空部309よりも基端側の部分には、加工中にクーラント液を供給するためのクーラント流路304が設けられている。
本実施形態3では、中空部309は、横断面が円形をなしており、略均一な径で工具ホルダ303の長手方向に延びている。中空部309の底部309d(基端側の端部)には、鉄系金属等からなる磁性体334が配設されている。
中空部309内には、上記チップ305を支持するための支持リング359が、その孔部359aが上記長手方向に延びるように嵌め込まれている。支持リング359は、工具ホルダ303の長手方向に移動可能に中空部309に嵌め込まれている。支持リング359の孔部359aには雌ねじが形成されている。
チップ305は、チップ本体351(刃先部)と、該チップ本体351から基端側に向かって中空部309内に延びるとチップ取付部352が形成されている。チップ取付部352の周面には雄ねじが形成されており、該雄ねじが支持リング359の孔部359aの雌ねじと螺合することで、チップ305が工具ホルダ303に支持される。チップ取付部352の支持リング359よりも基端側の部分は、動吸振器320の一部を構成する。
チップ取付部352が支持リング359の孔部359aに螺合することで、チップ本体351は、工具ホルダ303に一体的に固定される。これにより、工具ホルダ303が上記主軸に取り付けられた状態で上記主軸が回転すると、工具ホルダ303と共にチップ本体351が回転する。
動吸振器320は、図8に示すように、工具ホルダ303の中空部309に収容された棒状の振動体321と、振動体321に振動減衰力を与える磁石部材330とを有している。
振動体321は、図9に示すように、中空部309内で工具ホルダ303の長手方向に延びる棒状の軸部322を有している。
軸部322は、鉄系合金で構成されている。軸部322の径は中空部309の内径よりも小さい。つまり、軸部322はその径方向に振動可能となっている。
軸部222の先端側の端部は、チップ取付部352の基端部にろう付けにより固定支持されている。
磁石部材230は、図8に示すように、軸部322の基端部に設けられた位置調整ねじ323に螺合により連結される磁石ホルダ331と、該磁石ホルダ331に埋設された磁石本体332とを有している。尚、磁石ホルダ331及び磁石本体332を含む磁石部材330の質量は、軸部322を含む振動体321の質量に対してかなり小さくなっており、磁石部材330の、工具ホルダ302の長手方向における位置が変化したとしても、振動体321の重心の位置には影響しない。すなわち、磁石部材330の上記長手方向における位置が変化したとしても、後述する共振周波数には影響しないようになっている。
磁石ホルダ331には、上記実施形態2と同様に、その径方向に延びるねじ孔331aが形成されている。このねじ孔331aには、いもねじ331bが螺合している。いもねじ331bは位置調整ねじ323の軸部に当接するまでねじ孔331aにねじ込まれる。これにより、いもねじ331bがねじ孔331aにねじ込まれた状態では、磁石ホルダ331は上記軸方向には動かないようになっている。
磁石本体332の周面には、該周面から延びる磁束を、該磁石本体332の軸方向(上記長手方向と一致)に偏向させるためのヨーク333が設けられている。このヨーク333によって、磁石本体332から放出される磁束は、該磁石本体332の軸方向に沿って、中空部309に設けられた磁性体334に向かって延びるようになる。磁石本体332は、例えば、ネオジム系の永久磁石で構成されている。
本実施形態3では、磁石ホルダ331を位置調整ねじ323に対して締め付けたり緩めたりすることで、磁石部材330と磁性体334との間の相対距離が調整されるようになっている。
本実施形態3では、動吸振器320のバネマスモデルは、振動体321及びチップ取付部352における支持リング359よりも基端側の部分(以下、チップ取付部352の基端側部分という)が質点及びバネに相当する。一方で、磁性体234が工具ホルダ303に固定されているため、磁石部材330の磁石本体332からの磁気吸引力が磁性体334に対して作用すると、該磁気吸引力は振動体321及びチップ取付部352の基端側部分に対する振動減衰力となる。つまり、磁石部材330(厳密には、磁石本体332)がダンパに相当する。
そして、本実施形態3では、動吸振器320の共振周波数については、チップ取付部352に対する支持リング359の、工具ホルダ303の長手方向における位置を調整して、調整することができる。つまり、支持リング359の上記長手方向における位置を調整すれば、チップ取付部352の基端側部分の長さが変わるため、動吸振器320の共振周波数を調整することができる。
一方で、本実施形態3では、磁石部材330の振動体321に対する振動減衰力(上述の磁気吸引力)は、磁石部材330(厳密には磁石本体332)と磁性体334との間の相対距離を調整することで、調整することができる。
このように、本実施形態3に係る加工工具301の動吸振器320でも、共振周波数及び磁石部材330の振動体321に対する振動減衰力を調整可能に構成されているため、加工条件に応じて動吸振器320の振動抑制能力が容易に調整可能となり、加工時に発生する加工工具301の振動を適切に抑制することができる。
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上述の実施形態1〜3では、磁石部材30,230,330と対象物(実施形態1の振動体21、実施形態2及び3の磁性体234,334)との間の相対距離を調整することで、磁石部材30,230,330の振動体21,221,321に対する振動減衰力を調整するようにしたが、これに限らず、例えば、磁石部材30,230,330と上記対象物との間に、磁石部材30,230,330の磁石本体32,232,332から放出される磁束を遮蔽する磁束遮蔽部材を設けて、該磁束遮蔽部材によって、磁石本体32,232,332から放出されかつ上記対象物を通過する磁束の密度を調整することでも、振動体21,221,321に対する振動減衰力を調整することができる。
また、磁石部材30,230,330の磁石本体32,232,332の磁荷を変えることで、上記振動減衰力を調整するようにしてもよい。これは、例えば、磁石本体32,232,332を電磁石で構成して、該磁石本体32,232,332に流す電流の大きさを調整するようにすることで可能となる。ただし、該磁石本体32,232,332に流す電流の大きさを調整するための装置が別途必要になるため、上述の実施形態のように、磁石部材30,230,330と上記対象物との間の相対距離を調整することで、磁石部材30,230,330の振動体21,221,321に対する振動減衰力を調整するような構成とする方が好ましい。
さらに、上述の実施形態2及び3では、工具ホルダ203,303とは別体で磁性体234,334を設けていたが、これに限らず、工具ホルダ203,303が磁性を有している場合には、磁性体234,334を設けずに、工具ホルダ203,303における中空部209,309の底部を形成する部分を上記磁性体の代わりにしてもよい。
また、上述の実施形態1及び該実施形態1の変形例では、ソリッドエンドミル5の工具ホルダ3への取り付けをねじ締結で行っているが、これに替えて、コレットチャック機構により、ソリッドエンドミル5のボス52を外周から挟持して取り付ける構造であってもよい。
さらに、上述の実施形態では、工具ホルダ3,203,303に取り付けられる工具として、ソリッドエンドミル5、サイドカッター205及びボーリング用のチップ305を例示したが、これら以外の工具でもよい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。ここに開示された技術の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本技術の範囲内のものである。
ここに開示された技術は、加工機の主軸に取り付けられ該主軸の回転によって回転するとともに、加工時に発生する振動を抑制する動吸振器が内蔵された加工工具として有用である。
1,101,201,301 加工工具
3,203,303 工具ホルダ(工具本体)
9,209,309 中空部
11 挿入孔(調整工具挿入孔)
20,220,320 動吸振器
21,221,321 振動体
22,222,322 軸部
23 質量体
30,230,330 磁石部材
51 エンドミル本体(刃先部)
52,252 ボス(工具本体)
234,334 磁性体
251 サイドカッター本体(工具本体)
256 切刃(刃先部)
351 チップ本体(刃先部)

Claims (5)

  1. 加工機の主軸に取り付けられ該主軸の回転によって回転するとともに、加工時に発生する振動を抑制する動吸振器が内蔵された加工工具であって、
    上記主軸に着脱自在に取り付けられる長尺状の工具本体と、
    上記工具本体の先端に設けられ、上記主軸の回転によって回転する刃先部とを備え、
    上記工具本体には該工具本体の長手方向に延びる中空部が形成され、
    上記動吸振器は、
    上記刃先部の基端部と連結されかつ上記中空部に収容されかつ磁性を有する棒状の振動体と、
    上記振動体に振動減衰力を与える磁石部材とを有し、
    上記磁石部材は、上記振動体に対する振動減衰力を調整可能に構成されていることを特徴とする加工工具。
  2. 請求項1に記載の加工工具において、
    上記磁石部材は、上記工具本体に取り付けられかつ上記振動体に対する相対距離を調整可能に配設されており、
    上記磁石部材と上記振動体との相対距離が調整されることで、上記振動体に対する振動減衰力が調整されることを特徴とする加工工具。
  3. 請求項2に記載の加工工具において、
    上記工具本体には、上記磁石部材を移動させて上記相対距離を調整するための調整工具を挿入可能な調整工具挿入孔が、更に形成されていることを特徴とする加工工具。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の加工工具において、
    上記振動体は、棒状の軸部と、この軸部に取り付けられかつ該軸部の軸方向に位置調整可能な質量体とを有することを特徴とする加工工具。
  5. 加工機の主軸に取り付けられ該主軸の回転によって回転するとともに、加工時に発生する振動を抑制する動吸振器が内蔵された加工工具であって、
    上記主軸に着脱自在に取り付けられる長尺状の工具本体と、
    上記工具本体の先端に設けられ、上記主軸の回転によって回転する刃先部とを備え、
    上記工具本体には該工具本体の長手方向に延びかつ有底の中空部が形成され、
    上記中空部の底部には、磁性体が設けられており、
    上記動吸振器は、
    上記刃先部の基端部と連結されかつ上記中空部に収容される棒状の振動体と、
    上記振動体に上記磁性体に対する相対距離を調整可能に取り付けられかつ上記振動体に振動減衰力を与える磁石部材とを有し、
    上記磁石部材と上記磁性体との相対距離が調整されることで、上記振動体に対する振動減衰力が調整されることを特徴とする加工工具。
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