JPH07119794A - 動吸振器 - Google Patents

動吸振器

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JPH07119794A
JPH07119794A JP27040193A JP27040193A JPH07119794A JP H07119794 A JPH07119794 A JP H07119794A JP 27040193 A JP27040193 A JP 27040193A JP 27040193 A JP27040193 A JP 27040193A JP H07119794 A JPH07119794 A JP H07119794A
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JP
Japan
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movable mass
conductor
magnetic field
field generating
dynamic vibration
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Application number
JP27040193A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Katayama
洋 片山
Hiroshi Niwa
博志 丹羽
Shigeru Fujimoto
滋 藤本
Noboru Saito
登 斎藤
Yasushi Hattori
靖 服部
Hideaki Takahashi
秀明 高橋
Takuya Miyagawa
卓也 宮川
Takeshi Hagiwara
剛 萩原
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】1つの可動質量を多次元の任意方向の振動にも
追従可能とし、容易な配置設定を可能としつつ、多次元
の方向に対して制振効果を有するようにした。 【構成】リング状に形成された可動質量12と、この可
動質量12の内部に配設され且つ制振対象構造物に固定
された係止構造物13と、この係止構造物13と可動質
量12との間に複数等方向に接続固定されたばね要素1
4と、係止構造物13から可動質量12方向に放射状に
配設された導体部材16と、この導体部材16に所定の
間隙を有して磁場を与え可動質量16に固定された磁場
発生手段18a,18bとを備え、この磁場発生手段1
8a,18bと導体部材16とから磁気ダンパーを構成
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は構造物の振動に対して制
振効果を有する動吸振器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、動吸振器は振動によって慣性力
を受ける付加質量部と、この付加質量部にかかる慣性力
に対抗する反力を発生させるばね要素と、振動エネルギ
ーを吸収する減衰要素とを有している。
【0003】そして、従来の動吸振器は、制振対象構造
物の振動方向を特定し、その方向に対して制振効果を発
揮できるように、付加質量部を振動させる構成となって
おり、制振すべき振動方向が複数存在する場合、その各
方向に対応した個数分、動吸振器を設置する必要があっ
た。
【0004】以下、図15(A),(B)に基づいて従
来の動吸振器について説明する。図15(A)に示すよ
うに、床101に設置された制振対象構造物102は、
x軸、y軸の2方向の振動方向を有している。そして、
図15(B)に示すように制振対象構造物102上には
x軸、y軸それぞれの振動方向に対応して動吸振器10
3,104が載置されている。これらの動吸振器10
3,104は、それぞれ付加質量(可動質量)部105
がばね要素106と減衰要素107とによって支持され
ている。
【0005】このように構成された動吸振器103,1
04は、制振対象構造物102に振動が発生した場合、
付加質量部105に生ずる慣性力に対しばね要素106
で反力を加えながら減衰要素107で振動のエネルギー
を吸収する。したがって、動吸振器103,104はそ
れぞれ図15中においてx軸、y軸方向の振動に対して
1個の動吸振器が設置されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の動吸振器において、制振対象構造物が建築構造物な
どの大型構造物である場合には、動吸振器の設置場所も
十分に確保することができるので、動吸振器を複数個設
置することに支障はなかった。
【0007】しかしながら、機械構造物のように動吸振
器の設置スペースが制限され、且つ複数方向の制振が必
要な場合は、付加質量部の振動方向が一定である従来構
造のままでは、制振効果を得るために適切な配置設定を
行うことが困難であった。
【0008】本発明は上述した事情を考慮してなされた
もので、1つの可動質量を多次元の任意方向の振動にも
追従できるように支持し、容易な配置設定を可能としつ
つ、多次元の方向に対して制振効果を有する動吸振器を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の動吸振器は、
上述した課題を解決するために、リング状に形成された
可動質量と、この可動質量の内部に配設され且つ制振対
象構造物に固定された係止構造物と、この係止構造物と
上記可動質量との間に複数等方向に接続固定されたばね
要素と、上記係止構造物から上記可動質量方向に放射状
に延設された導体部材と、この導体部材に所定の間隙を
有して磁場を与え上記可動質量に固定された磁場発生手
段とを備え、この磁場発生手段と上記導体部材とから磁
気ダンパーを構成したことを特徴とする。
【0010】請求項2の動吸振器は、制振対象構造物に
固定された固定板と、この固定板と可動質量とを連結す
る複数の弾性棒と、上記固定板に対する上記可動質量の
距離を弾性棒軸方向に移動調整可能な第1の長さ調整機
構とを備えたことを特徴とする。
【0011】請求項3の動吸振器は、上記請求項2に記
載の動吸振器において、第1の長さ調整機構による長さ
調整に応じて長さを調整可能な第2の長さ調整機構を有
し且つ固定板に固定された連結部材と、この連結部材に
固定された第1の磁場発生手段と、この第1の磁場発生
手段に所定の間隙を有して対向配置された第2の磁場発
生手段と、上記間隙の長さを調整可能な第3の長さ調整
機構と、可動質量に固定され上記間隙に介挿された導体
板とを備え、この導体板と上記第1、第2の磁場発生手
段とから磁気ダンパーを構成したことを特徴とする。
【0012】請求項4の動吸振器は、回転方向に弾性を
有し制振対象構造物に取り付けられた回転ばねと、この
回転ばねに取り付けられその回転中心からの距離を調整
可能な可動質量および導体部材と、この導体部材に所定
の間隙を有して磁場を与える磁場発生手段とを備え、こ
の磁場発生手段と上記導体部材とから磁気ダンパーを構
成したことを特徴とする。
【0013】請求項5の動吸振器は、断面波形の弾性板
を軸対象に展開するとともに、その径方向の大きさを任
意とし、上記弾性板の内側端面および外側端面をそれぞ
れ可動質量および固定端に連結し、上記弾性板の軸対象
展開面で上記固定端から上記可動質量を弾性支持し、上
記可動質量に所定の間隙を有して固定端側に導体部材を
設置し、この導体部材に磁場を与える磁場発生手段を上
記可動質量側に対向して配置し、上記導体部材と上記磁
場発生手段とから磁気ダンパーを構成したことを特徴と
する。
【0014】請求項6の動吸振器は、内部に導体板が埋
設された積層ゴムの一端に可動質量を設置するととも
に、他端に制振対象構造物を取り付け、上記積層ゴムの
導体板と対向する取付面に磁場発生手段を設置し、この
磁場発生手段と上記導体板とから磁気ダンパーを構成し
たことを特徴とする。
【0015】請求項7の動吸振器は、制振対象構造物に
取り付けられる導体曲面座と、この導体曲面座上を移動
し磁場発生手段を周方向に所定間隔をおいて複数埋設し
た可動質量とを備え、上記導体曲面座と上記磁場発生手
段とから磁気ダンパーを構成したことを特徴とする。
【0016】請求項8の動吸振器は、制振対象構造物に
取り付けられ所定間隔をおいて磁場発生手段を複数埋設
した曲面座と、この曲面座上を移動する導体の可動質量
とを備え、この可動質量と上記磁場発生手段とから磁気
ダンパーを構成したことを特徴とする。
【0017】請求項9の動吸振器は、制振対象構造物に
取り付けられる導体曲面座と、この導体曲面座上を移動
し磁場発生機能を有する可動質量とを備え、この可動質
量と上記導体曲面座とから磁気ダンパーを構成したこと
を特徴とする。
【0018】
【作用】上記の構成を有する本発明の請求項1において
は、可動質量が制振対象物から慣性力を受けて静止位置
から移動する場合、可動質量内に配設したばね要素にそ
の変位量に応じた反力が発生する。このばね要素は可動
質量の内部に複数等方向に配設されているため、2次元
面内の任意の方向に対し、剛性を有するばね−質量系が
構成される。したがって、制振対象物に動吸振器を付加
することによって、共振振動数を変化させ、振動を抑制
することができる。
【0019】これと同時に、係止構造物および可動質量
にそれぞれ固定された導体部材および磁場発生手段との
相対運動によって発生する電磁誘導により磁気ダンパー
が構成され、振動のエネルギを抑制することができる。
【0020】請求項2においては、固定板と可動質量と
を連結している複数の弾性棒により、可動質量に復元力
を与え、可動質量側に位置する第1の長さ調整機構によ
り弾性棒長さを調整することにより、可動質量の固有振
動数を簡単に微調整することができるので、制振対象構
造物を制振するのに必要な可動質量の固有振動数をその
場で容易に正確に設定することができる。弾性棒は構造
が簡単で剛性も比較的大きいので、コイルばね等に比較
して構造を小さくすることができる。
【0021】また、制振対象構造物の固有振動数が大幅
にずれたり、固有振動数が異なる別の制振対象構造物に
動吸振器を取り付ける場合には、弾性棒の本数あるいは
太さを容易に変更し、その剛性を任意に設定することが
できるので、動吸振器の固有振動数を幅広い範囲で必要
な振動数に正確に設定することができる。
【0022】請求項3においては、制振対象構造物と可
動質量との間に磁気ダンパーを設けたので、可動質量に
減衰力を与えることができ、動吸振器として必要な減衰
力を設定することができる。また、磁気ダンパーには第
2、第3の長さ調整機構を設けてあるので、弾性棒長さ
が変更になった場合にもそれに対応して磁気ダンパー支
持部長さを調整でき、第1、第2の磁場発生手段の位置
を最適な位置に設定することができ、制振対象構造物の
制振に必要な減衰力を正確に且つ幅広く設定できるよう
になる。さらに、請求項2と同様に動吸振器の構造自体
を小さくすることができるので、制振対象構造物に取り
付けられるとともに、固有振動数の調整も容易に行うこ
とができる。
【0023】請求項4においては、回転ばねに取り付け
られた可動質量が制振対象構造物から慣性力を受ける場
合、この回転ばねに慣性力モーメントが作用する。この
とき回転ばねは回転中心から任意の位置に設置される可
動質量を、回転中心から見た設置位置での回転面内で弾
性支持することができ、1次元のみではなく2次元での
振動に対応して可動質量を振動させ、制振効果を得るこ
とができるとともに、装置の小型化が可能となる。ま
た、可動質量を回転中心から移動させることにより、可
動質量による回転慣性を変えることができ、可動質量の
固有振動数を調整することが容易である。
【0024】請求項5においては、断面波形の弾性板を
軸対象に展開したことで、2次元面内で可動質量を弾性
支持することができ、弾性板の径方向の径の大きさを任
意とし、径の大きさを調整することにより、ばね剛性に
異方性を持たせることが可能となり、振動方向によって
固有振動数の異なる制振対象構造物においても、可動質
量を効率よく振動させることができ、動吸振器として振
動の抑制が可能となる。また、可動質量側および固定端
側にそれぞれ磁場発生手段および導体部材を設置して磁
気ダンパーを構成したことにより、振動の抑制効果が大
きい。
【0025】請求項6においては、積層ゴムの一端に可
動質量を設置するとともに、他端に制振構造物を取り付
けたことで、1個の積層ゴムでも2次元面内の振動を抑
制し、動吸振器の小型化が可能となる。また、可動質量
を振動方向にばね支持する構造と磁気ダンパー構造とを
一体化したことにより、一段と小型化が図れる。
【0026】請求項7,8,9においては、制振対象構
造物に取り付けられる導体曲面座と、この導体曲面座上
を移動し磁場発生機能を有する可動質量とを備えたり、
またはこれとは逆に可動質量を導体とし、曲面座に磁場
発生手段を設置したことにより、1次元のみではなく2
次元面内での振動に対応して可動質量を振動させ制振効
果を得ることができる。これにより、動吸振器の小型化
が図れるとともに、ばね構造が不要で構造を簡略化する
ことができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0028】図1(A),(B)は本発明に係る動吸振
器の第1実施例を示す縦断面図,平面図である。
【0029】図1(A),(B)において、制振対象構
造物への取付板11上には、リング状に形成された可動
質量12と、この可動質量12内の中心部に配置された
係止構造物13とが設けられている。可動質量12と係
止構造物13との間には、湾曲した板ばね14がばね
(剛性)要素として周方向に対し等分にボルト結合ある
いは溶接により複数接続固定されている。
【0030】また、可動質量12の自重は、可動質量1
2の底部に設けられた複数のベアリング15により支持
されている。そして、係止構造物13の外周面には複数
の導体板16が可動質量12の方向に放射状に延設さ
れ、これらの導体板16の先端部は可動質量12の内周
面に複数設置されたヨーク17に挟まれている。これら
のヨーク17は、それぞれ導体板16を挟む対向面に磁
場発生手段としての磁石18a,18bが配設され、磁
石18a,18bは導体板16と上下に間隙19a,1
9bを保持しつつ、導体板16と接触することなく磁気
ダンパーを構成し、減衰要素として機能する。
【0031】次に、本実施例の作用について説明する。
【0032】制振対象構造物に振動が発生した場合は、
可動質量12に生ずる慣性力に対し板ばね14にその変
位量に応じた反力が発生する。同時に、対向する端面に
磁石18a,18bを配置したヨーク17間を導体板1
6が磁場に対し相対運動するため、導体板16には渦電
流が発生し、ヨーク17間の磁場との相互作用によっ
て、運動を制止・減衰させる。すなわち、導体板16と
磁石18a,18bとから構成される磁気ダンパーによ
り、振動のエネルギーを吸収して制振効果を発揮する。
【0033】つまり、可動質量12が制振対象物から慣
性力を受けて静止位置から移動する場合、可動質量12
の内部に複数等方向に配設した板ばね14にその変位量
に応じた反力が発生する。この板ばね14は可動質量1
2の内部に複数等方向に配設されているため、水平2次
元面内の任意の方向に対し、剛性を有するばね−質量系
を構成している。したがって、制振対象物に本実施例の
動吸振器を付加することによって、共振振動数を変化さ
せ、振動を抑制することができる。
【0034】これと同時に、係止構造物13および可動
質量12にそれぞれ設けた導体板16と磁石18a,1
8bとの相対運動によって発生する導体板16と磁石1
8a,18bにおける電磁誘導により磁気ダンパーが構
成され、振動のエネルギーを抑制することができる。そ
して、可動質量12の内部に板ばね14を配設したの
で、動吸振器の小型化が図れる。
【0035】図2(A),(B)は本発明に係る動吸振
器の第1実施例の変形例を示す縦断面図,平面図であ
る。なお、前記第1実施例と同一の部分には同一の符号
を付して説明する。
【0036】この変形例では、可動質量12と係止構造
物13との間に、導体板16に対して上下2段、互いに
反対方向に湾曲した板ばね14a,14bがボルト結合
あるいは溶接により複数接続固定されている。
【0037】このように構成したことにより、板ばね1
4a,14bの反力で係止構造物13に回転モーメント
が加わることを防止することが可能である。その他の構
成および作用は前記第1実施例と同一であるのでその説
明を省略する。
【0038】図3(A),(B)は本発明に係る動吸振
器の第2実施例を示し、(A)は(B)のA−A線断面
図,(B)は(A)のB−B線断面図である。
【0039】図3(A),(B)において、制振対象構
造物21の下面には固定板22が固定され、この固定板
22の外周部近傍に沿って雌ねじを刻設したばね鋼棒固
定孔29が計8箇所穿設されている。これら8箇所のば
ね鋼棒固定孔29の内の4箇所に、少なくとも長さ調整
範囲部分に雄ねじを刻設したボルト結合構造であるばね
鋼棒(弾性棒)24が4本螺合され、ナット構造である
固定部材23とともに固定板22に固定されている。
【0040】この部分は力学的に端部固定支持条件に近
づけるため、固定板22内にばね鋼棒24をその直径の
5倍以上螺合させ、固定部材23の軸方向長さもばね鋼
棒24の直径の1〜2倍以上に設定する必要がある。な
お、ばね鋼棒24と各固定部材23との間にがたつきが
ある場合は、その解消策として鉛などの充填材を流入固
化させたり、ばね鋼棒24と各固定部材23とを溶接す
るなどの手段が講じられる。
【0041】固定板22のばね鋼棒固定孔29と同配列
位置における可動質量26には、貫通孔28が穿設さ
れ、この貫通孔28にばね鋼棒24を挿通し、第1の長
さ調整機構としてのナット25,27をばね鋼棒24に
螺合させることにより、可動質量26が固定されてい
る。
【0042】可動重量26に対する剛性は、ばね鋼棒2
4の長さL1により決定され、その長さの微調整は第1
の長さ調整機構としてのナット25,27により調整さ
れ、可動質量26の固有振動数が適切に設定される。
【0043】なお、使用されないばね鋼棒固定孔29お
よび貫通孔28は、剛性の大幅な増加を行う際にばね鋼
棒24が追加されるが、本実施例では剛性調整が微調整
の範囲を想定しているため、追加の設定は行われていな
い。
【0044】固有振動数の微調整後は、可動質量26の
上部および下部のばね鋼棒24の固定部においても固定
支持条件に近づける必要がある。このため、ナット2
5,27の長さはばね鋼棒24の直径の1〜2倍とし、
これらナット25,27の雌ねじ部とばね鋼棒24の雄
ねじ部とのガタが生じないようにするには、上述した固
定部材23と同様の固定手段にて固定すればよい。
【0045】また、ばね鋼棒24は、繰り返し応力疲労
強度に強い材質のものが用いられるとともに、設計上振
動時のばね鋼棒24にかかる最大応力による疲労強度が
設計寿命を満たすようにする。
【0046】さらに、制振対象構造物21と動吸振器の
可動質量26との重心位置は、水平方向、すなわち2次
元平面方向において一致するように設置されるが、現実
的には概略的に設置した後、精密に一致させるために微
調整する必要がある。
【0047】その場合、固定板22に取り付けられてい
る相対位置調整機構39により、制振対象構造物21と
本実施例の動吸振器の2次元平面的な重心位置とを一致
させることができるので、重心位置の不一致、すなわち
2次元的偏心により発生するねじれ振動を防ぐことがで
き、制振対象方向のみの振動を制御することができるよ
うになる。
【0048】そして、固定板22の下面には磁気ダンパ
ー上部連結部材30が固定され、その下部に磁気ダンパ
ー第2の長さ調整機構31が取り付けられ、この下面に
磁気ダンパー下部連結部材32を介して第1の磁場発生
手段としての第1磁石35を固定した第1磁石取付板3
3が取り付けられている。磁気ダンパー第2の長さ調整
機構31の調整長さは、ばね鋼棒24の長さに応じて長
さL2に設定されている。
【0049】第1磁石取付板33は、磁気ダンパー第3
の長さ調整機構34を介して上面に第2の磁場発生手段
としての第2磁石37が固定された第2磁石取付板38
と連結されている。第1、第2磁石35,37間には、
それぞれ所定の間隙を有して介挿された導体板36が配
置され、この導体板36は可動質量26上に固定されて
いる。また、導体板36の水平面は第1、第2磁石3
5,37と一定の間隙を保持するように設定され、この
間隙は磁気ダンパー第3の長さ調整機構34により任意
に調整可能である。
【0050】ばね鋼棒24の長さL1がばね鋼棒24、
ナット25,27にて変更された場合には、磁気ダンパ
ー第2の長さ調整機構31により磁気ダンパー位置を調
整可能である。ここでは可動質量26の所定減衰定数を
満たすための減衰力を発生させるために、第1、第2磁
石35,37間は長さL3に設定されている。
【0051】図4(A),(B)は、ばね鋼棒24の長
さをL1´に変更し、可動質量26の固有振動数を変化
させた場合を示し、(A)は(B)のC−C線断面図,
(B)は(A)のD−D線断面図である。
【0052】図4(A),(B)に示すように、ばね鋼
棒24の長さをL1´に変更したので、磁気ダンパー第
2の長さ調整機構31を調整し、その長さをL2´とし
て磁気ダンパー位置を変えている。また、可動質量26
の固有振動数を変化させたので、磁気ダンパーによる減
衰定数が変わるため、所定の減衰定数に設定し直す必要
がある。そこで、ここでは減衰力を変更するため、第
1、第2磁石35,37と導体板36との間隙を磁気ダ
ンパー第3の長さ調整機構34によりL3´に調整して
いる。
【0053】次に、本実施例の作用を説明する。
【0054】固定板22と可動質量26とを連結してい
るばね鋼棒24により、可動質量26に復元力を与え、
可動質量26側に位置するナット25,27によりばね
鋼棒24長さを調整することにより、可動質量26の固
有振動数を簡単に微調整することができる。これによ
り、制振対象構造物21を制振するのに必要な可動質量
26の固有振動数をその場で容易且つ正確に設定するこ
とができる。そして、ばね鋼棒24は構造が簡単で剛性
も比較的大きいので、コイルばね等に比較して構造を小
さくすることができる。
【0055】また、制振対象構造物21の固有振動数が
大幅にずれたり、固有振動数が異なる別の制振対象構造
物に動吸振器を取り付ける場合には、ばね鋼棒24の本
数あるいは太さを容易に変更し、その剛性を任意に設定
することができるので、固有振動数を幅広い範囲で必要
とする振動数に正確に設定することができる。
【0056】さらに、固定板22に取り付けられている
相対位置調整機構39により、制振対象構造物21およ
び動吸振器の2次元平面的な重心位置を一致させること
ができるので、重心位置の不一致、つまり2次元的偏心
により発生するねじれ運動を防ぐことができ、制振対象
方向のみの振動を制御できるようになる。
【0057】図5は前記第2実施例における動吸振器の
振動時の状態を示す正面図である。図5において、ばね
鋼棒24は固定条件については前述したように固定板2
2および可動質量26のそれぞれの固定部において固定
支持条件に近くなっているので、ばね鋼棒24の変形状
態は材料力学的な梁の両端固定条件のもとでの変形とな
っており、ばね鋼棒24の両端の固定部根元で回転角が
0に近い形状となる。ばね鋼棒24の断面が円形の場合
には、任意の水平方向に等しい曲げ剛性を有する。これ
ら4本のばね鋼棒24は、それぞれ同様に変形し、それ
ぞれが同一剛性を有する並列ばねとして作用する。この
時、可動質量26は2次元平面内を並進し、また任意の
方向に等しい剛性を持つ。したがって、可動質量26は
任意方向に同一固有振動特性を有することができる。
【0058】また、制振対象構造物21の水平方向固有
振動数に異方性がある場合、第1の手段としては、ばね
鋼棒24の断面形状を矩形状あるいは楕円形状にするこ
とにより、動吸振器の水平方向固有振動数に制振対象構
造物21のそれと同様の異方性を持たせることができ
る。
【0059】第2の手段としては、可動質量26に取り
付けられるばね鋼棒24の本数に対し、直交する辺方向
のばね鋼棒24の本数を増減することにより、動吸振器
の水平方向固有振動数に制振対象構造物21のそれと同
様の異方性を持たせることができる。
【0060】このように本実施例によれば、動吸振器の
固有振動数を従来の装置より十分広い範囲に亘り柔軟且
つ正確に設定可能で、動吸振器の制振対象方向以外の有
害な振動を発生させることなく、制振対象構造物21の
制振をより効率よく、確実に行うことができる。
【0061】また、制振対象構造物21と可動質量26
との間に磁気ダンパーを設けているので、可動質量26
に減衰力を与えることができ、その結果、動吸振器とし
て必要な減衰力を設定することができるので、制振対象
構造物21の振動エネルギーを効率よく吸収でき、その
振動応答を一段と低減することができる。
【0062】さらに、磁気ダンパーには第2、第3の長
さ調整機構を設けてあるので、ばね鋼棒24長さが変更
になった場合にも、それに対応して磁気ダンパー支持部
長さを調整でき、第1、第2の磁場発生手段を最適な位
置に設定できるので、必要な減衰力を調節可能である。
【0063】図6(A),(B)は本発明に係る動吸振
器の第2実施例の変形例を示し、(A)は(B)のE−
E線断面図,(B)は(A)のF−F線断面図である。
なお、前記第2実施例と同一の部分には同一の符号を付
して説明する。
【0064】この変形例では、固有振動数が大幅に異な
る制振対象構造物21に動吸振器を取り付ける場合を想
定したものである。すなわち、固有振動数が大幅に増加
する場合、ばね鋼棒24の長さ調整だけでは調整できな
いので、ばね鋼棒24の本数を追加して剛性の増加を図
る必要がある。
【0065】そのため、この変形例では、前記第2実施
例で使用されなかったばね鋼棒固定孔29および貫通孔
28に4本のばね鋼棒24を追加固定している。ばね鋼
棒24の長さがL1の場合には、その剛性は2倍に増加
するので、可動質量26の固有振動数は21/2 倍に増加
させることができる。
【0066】また、この場合には前記第2実施例と同様
の磁気ダンパーの減衰力では減衰定数が変化するので、
第2実施例と同様の減衰定数を得るためには、磁気ダン
パーの減衰力を変える必要がある。ここでは、減衰力を
変更するために第1、第2磁石35,37と導体板36
との間隙を磁気ダンパー第3の長さ調整機構34により
L3''に調整している。
【0067】なお、一段と剛性を高める場合には、追加
したばね鋼棒24の剛性に寄与する部分、すなわち、長
さL1の部分の太さを太くすることで対応可能である。
【0068】図7は本発明に係る動吸振器の第3実施例
を示す縦断面図である。図7において、制振対象構造物
41に取り付けられた円筒51の内側に、制振対象構造
物41から所定間隔をおいて弾性円形平板42をその外
周端部で連結固定し、この弾性円形平板42の下面中央
部に剛棒43が取り付けられている。
【0069】剛棒43は、剛棒43が取り付けられた弾
性円形平板42の中央部を中心として面外変形により回
転し、これにより回転ばねが構成される。剛棒43の周
面には、ねじ部が刻設されており、可動質量としての質
量部45をねじ部の範囲で剛棒43の軸方向に移動させ
ることにより、質量部45の回転慣性を調節することが
でき、質量部45は剛棒43の所定位置で回り止め部材
53により位置決め固定される。
【0070】また、剛棒43の先端部近傍には、ねじ部
の範囲で剛棒43の軸方向に移動可能な導体板46が取
り付けられ、この導体板46は剛棒43の所定位置で回
り止め部材54により位置決め固定される。そして、導
体板46は所定の間隙49を有してヨーク47により挟
まれている。
【0071】ヨーク47には導体板46を挟む対向面に
磁場発生手段としての磁石48が配設され、この磁石4
8は導体板46と上下に間隙49を保持しながら接触す
ることなく、磁気ダンパーを構成しており、減衰要素と
して機能する。なお、この場合、ヨーク47を導体とす
るとともに、剛棒43に磁石を螺合させるようにしても
同様の機能を有する。
【0072】また、ヨーク47の外周面にはねじ部が刻
設され、このねじ部が円筒51の内面に刻設されたねじ
部50と螺合し、導体板46の位置に対応してヨーク4
7を円筒51の内面に沿って回転させることにより、上
下移動可能に構成されている。このヨーク47は円筒5
1の内面の所定位置で回り止め部材55により位置決め
固定される。円筒51には開口部52が形成され、この
開口部52を通して質量部45の上下位置を調整するこ
とができる。
【0073】次に、本実施例の作用を説明する。
【0074】剛棒43に取り付けられた質量部45が制
振対象構造物41から慣性力を受けた場合、弾性円形平
板42に慣性力モーメントが作用する。このとき弾性円
形平板42は回転中心から任意の位置に設置される質量
部45を回転中心から見た設置位置での回転面内で弾性
支持することができ、1次元のみではなく2次元での振
動に対応して質量部45を振動させることにより、制振
効果を得ることができるとともに、装置の小型化が可能
となる。また、質量部45を回転中心から移動させるこ
とにより、質量部45による回転慣性を変えることがで
き、質量部45の固有振動数を容易に調整することがで
きる。
【0075】また、質量部45が取り付けられる剛棒4
3と、円筒51内に螺合されたヨーク47とにそれぞれ
導体板46と磁石48とが配設され、質量部45の振動
により導体板46と磁石48との間に相対変位を発生さ
せたことで、電磁誘導を利用した磁気ダンパーが構成さ
れ、運動を制止・減衰させ振動のエネルギーを吸収して
制振効果を発揮する。
【0076】さらに、回転運動による接線方向の変位
は、回転中心からの距離に比例するため、磁気ダンパー
を構成する位置を回転中心からの距離を大きく設定する
ことにより、導体板46と磁石48との相対速度を増幅
できるため、より減衰効果を大きくすることが可能とな
り、磁気ダンパーを小型化することができる。それと同
時に、磁気ダンパーを取り付ける回転中心からの距離を
変更することにより、導体板46と磁石48との相対速
度を変えて、減衰力の大きさを調整することができる。
【0077】図8は本発明に係る動吸振器の第4実施例
を示す縦断面図、図9(A),(B)は図8の波形の弾
性板の構造を示す斜視図,断面図である。
【0078】本実施例では、図9(A),(B)に示す
ように、波形の断面形状を有する弾性板61を軸対象に
展開し、展開面の方向によって径の大きさを変化させる
ことにより、楕円状に弾性板61を形成してばね要素と
している。このため、長円方向および短円方向のばね剛
性を変えた構成となっている。
【0079】図8において、弾性板61の外側端面62
は上板63に固定され、内側端面64は可動質量65に
固定される。この可動質量65の下面にはボールベアリ
ング66が複数設置され、下板67の上面を滑動する構
造となっている上板63および下板67は可動質量65
を取り囲む側板68により連設されており、また可動質
量65の中心部はくりぬかれ、その内周部に対向するよ
うに互いに対をなす磁石69が設置され、この対をなす
磁石69の間にこれらにより発生する磁束を横切るよう
に、所定の間隙を有し導体部材としての導体円板70が
下板67から鉛直方向に延びる支柱71で支持されるこ
とにより、磁気ダンパーを構成している。
【0080】次に、本実施例の作用を説明する。
【0081】可動質量65は、下板67の上面を滑る2
次元面内を振動することができ、制振対象物に本実施例
の動吸振器を設置することにより、2次元面内の振動に
対応可能な小型の動吸振器を構成することができる。
【0082】また、弾性板61を楕円状に形成したこと
により、振動方向によって固有振動数の異なる制振対象
物の振動抑制にも効果が得られる。以下にこの理由を述
べる。
【0083】弾性板61の径方向のばね定数は、曲りは
りの計算式から求まるが、ここでは単純に図10
(A),(B)に示すような弾性板61の波形の半波分
の曲りはりのばね定数を求めることとする。曲りはりの
ばね定数は、
【数1】 上式において、k4 :曲りはりのばね定数,E4 :曲り
はりの縦弾性定数,L4 :曲りはりの断面長さ,t4
曲りはりの板厚,l4 :曲りはりの平行部長さ,r4
曲りはりの半径であり、図10(A)におけるP4 は外
力である。
【0084】このため、曲りはりの半径r4 の大きさを
小さくすること、または曲りはりの板厚t4 を厚くする
ことによって、曲りはりのばね定数k4 が大きくなるこ
とが判る。また、曲りはりの平行部長さl4 を短くする
ことで、曲りはりの半径r4の調整による曲りはりのば
ね定数k4 の変化量を小さくすることができる。
【0085】よって、弾性板61を楕円状に形成したこ
とで、周方向の曲りはりのばね定数を変えることがで
き、振動方向によって固有振動数を変えることが可能で
ある。また、これは弾性板61の板厚を周方向に変化分
布させた場合も同様な効果が得られる。
【0086】また、2次元面内に対応可能な磁気ダンパ
ーを有しているので、振動減衰効果が大きい。さらに、
一つの波形の弾性板61により2次元面内方向の振動を
抑制可能としたので、動吸振器を小型化することができ
る。
【0087】なお、上板63、下板67および側板68
を強磁性体により構成すれば、磁気シールドを構成する
ことができ、磁気を嫌う環境での使用が可能となる。そ
して、磁石69を電磁石とすれば、磁気ダンパーの減衰
力を容易に調整することが可能となる。また、上記実施
例において、磁石69と導体円板70との配設位置を逆
にしても同様の機能が得られる。
【0088】図11は本発明に係る動吸振器の第5実施
例を示す縦断面図である。図11に示すように、本実施
例では剛性を有し上下方向に配置された2枚の固定板7
2と、これらの固定板72によって挟まれ内部に積層さ
れる積層ゴム73と、この積層ゴム73に挿入される挿
入板74とからばね要素を構成している。
【0089】この挿入板74は導体にて構成されるとと
もに、この挿入板74に対向するように上下の固定板7
2には、所定間隔をおいて磁場発生手段としての複数の
磁石75を埋設固定することにより、挿入板74に磁場
をかけている。このため、固定板72と挿入板74との
相対運動によって生ずる電磁誘導で磁気ダンパーが構成
される。そして、上部に位置する固定板72の上方に可
動質量76を搭載し、且つ下部に位置する固定板72の
下方に制振対象構造物を取り付けることにより、動吸振
器が構成される。
【0090】次に、本実施例の作用を説明する。
【0091】本実施例では、可動質量76が積層ゴム7
3の積層面である2次元面内を振動し、制振対象構造物
に本実施例の動吸振器を設置することによって、2次元
面内の振動に対応できる小型の動吸振器を構成すること
ができる。
【0092】2次元面内の振動に対応可能な磁気ダンパ
ーを2枚の固定板72および積層ゴム73に内部に設置
しているので、動吸振器を一段と小型化するとともに、
振動減衰効果が大きい。なお、挿入板74の外周部の一
部または全部を積層ゴム73の外部に引き出すことで、
振動に伴い発生する熱を放熱させる機能を有することと
なる。
【0093】図12は本発明に係る動吸振器の第6実施
例を示す正面図である。図12に示すように、磁場発生
手段としての磁石83を周方向に複数埋設した断面円形
の可動質量82は、制振対象構造物に取り付けられる導
体曲面座81の上に搭載され、この導体曲面座81の曲
面に沿って可動質量82を転がるように振動させること
で、動吸振器が構成される。
【0094】次に、本実施例の作用について説明する。
【0095】導体曲面座81に制振対象構造物からの振
動が加わると、導体曲面座81上を可動質量82が転が
る。このため、振動時に導体曲面座81と磁石83との
間に発生する相対速度による電磁誘導で、その相対速度
と逆の方向に反力が生じる。これにより、磁気ダンパー
が構成され、その電磁誘導による磁場との相互作用によ
り振動エネルギーを吸収することにより、制振対象構造
物の振動を抑制することができる。
【0096】ここで、導体曲面座81の側面に可動質量
82に対して所定の間隙を有して導体板を設置すれば、
磁気ダンパーによる減衰効果を一段と大きくすることが
できる。また、導体曲面座81の曲面を3次元に展開す
れば、2次元面内の振動に対応可能な動吸振器となる。
さらに、動吸振器の固有振動数は、導体曲面座81の曲
率(半径)を変えることにより設定することができる。
例えば、円筒状の曲面を転がる可動質量82の場合、固
有振動数は、
【数2】f=2π{g/1.5(R−r)}1/2 上式において、f:固有振動数,g:重力加速度,R:
曲面座半径,r:可動質量半径である。よって、曲面座
半径Rを変えるか、可動質量半径rを変えることによ
り、動吸振器の固有振動数を調整することができる。
【0097】なお、第6実施例の動吸振器が塵の多い環
境で使用する場合は、導体曲面座81を囲むように防塵
カバーが取り付けられる。また、可動質量82を導体曲
面座81上で滑らせて振動させる場合は、可動質量82
と曲面座81との接触面の摩擦を小さくするために、可
動質量82と曲面座81との間に潤滑剤を塗布すること
が有効であり、またこれにより微小振動にも対応できる
ようになる。そして、可動質量82に比重の高い重金属
を用いれば、一段と装置の小型化が図れる。
【0098】このように本実施例によれば、制振対象構
造物に取り付けられる導体曲面座81と、この導体曲面
座81上を滑るまたは転がるように移動する可動質量8
2とを設置し、導体曲面座81から可動質量82の慣性
力を受けることにより動吸振器を構成したので、1次元
のみではなく2次元面内での振動に対応して可動質量8
2を振動させ制振効果を得ることができる。これによ
り、動吸振器の小型化が図れるとともに、ばね構造が不
要で構造を簡略化することができる。
【0099】図13は本発明に係る動吸振器の第6実施
例の第1変形例を示す正面図である。この第1変形例で
は、前記第6実施例とは逆に曲面座84に磁場発生手段
としての磁石86を所定間隔をおいて複数埋設し、この
曲面座84の上に導体である可動質量85を設置して磁
気ダンパーを構成したものである。このように構成して
も第6実施例と同様の効果が得られる。
【0100】図14は本発明に係る動吸振器の第6実施
例の第2変形例を示す正面図である。この第2変形例で
は前記第6実施例において磁石を可動質量に埋め込んで
いたものを、可動質量88を磁場発生手段としての磁石
自体として導体曲面座87の上に設置し、磁気ダンパー
を構成したものであり、第2変形例でも前記第6実施例
と同様の効果が得られる。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
によれば、可動質量が水平2次元の任意の方向に対し
て、ばね要素の同一剛性により支持されているため、振
動方向に関係なく、制振効果が得られる。また、可動質
量をリング状に形成し、その内部に係止構造物を配設し
たので、係止構造物を小さくすることができ、その結果
全体として小型の動吸振器を提供することができる。
【0102】また、本発明の請求項2によれば、長さ調
整機構で固定板に対する可動質量の距離を弾性棒軸方向
に移動調整可能としたことにより、動吸振器の固有振動
数を従来の装置より十分広い範囲に亘り柔軟且つ正確に
設定可能で、動吸振器の制振対象方向以外の有害な振動
を発生させることなく、制振対象構造物の制振をより効
率よく、確実に行うことができる。そして、弾性棒は構
造が簡単で剛性も比較的大きくできるので、コイルばね
等に比較して構造を小さくすることができる。
【0103】さらに、本発明の請求項3によれば、制振
対象構造物と可動質量との間に磁気ダンパーを設けてい
るので、可動質量に減衰力を与えることができ、その結
果、動吸振器として必要な減衰力を設定することができ
るので、制振対象構造物の振動エネルギーを効率よく吸
収でき、その振動応答を一段と低減することができる。
さらに、磁気ダンパーには第2、第3の長さ調整機構を
設けてあるので、弾性棒長さが変更になった場合にも、
それに対応して磁気ダンパー支持部長さを調整でき、第
1、第2の磁場発生手段を最適な位置に設定できるの
で、必要な減衰力を調節可能である。
【0104】本発明の請求項4によれば、回転ばねに可
動質量を取り付けたことにより、可動質量を回転面内で
弾性支持することができ、これにより一次元のみではな
く2次元面内での振動に対応して制振効果を得ることが
できるとともに、装置の小型化が図れる。また、磁気ダ
ンパーを用いて非接触状態で運動を制止・減衰させて振
動エネルギーを吸収するため、信頼性の高い制振効果を
得ることができる。
【0105】本発明の請求項5によれば、断面波形の弾
性板を軸対象に展開したことにより、可動質量を軸対象
面内で弾性支持することができ、1次元のみではなく、
2次元面内での振動に対応して制振効果を得ることがで
きるとともに、装置の小型化が可能となる。
【0106】また、弾性板の径方向の径の大きさを任意
としたことで、径の大きさを調整することで、ばね剛性
に異方性を持たせることが可能となり、振動方向によっ
て固有振動数の異なる制振対象構造物においても、可動
質量を効率よく振動させることができ、動吸振器として
振動の抑制が可能である。そして、可動質量側および固
定端側にそれぞれ磁場発生手段および導体部材を設置し
て磁気ダンパーを構成したので、振動の抑制効果が大き
い。
【0107】本発明の請求項6によれば、積層ゴムの一
端に可動質量を設置するとともに、他端に制振対象構造
物を取り付けたことにより、1個の積層ゴムで2次元面
内の振動を抑制可能で、動吸振器の小型化が図れる。ま
た、積層ゴムに導体部材を配置し、この導体部材に磁場
を与えるように取付面に磁場発生手段を配置したので、
可動質量を振動方向に弾性支持する構造と、磁気ダンパ
ー構造が一体化され、一段と動吸振器の小型化が図れ
る。
【0108】本発明の請求項7,8,9によれば、制振
対象構造物に取り付けられる導体曲面座と、この導体曲
面座上を移動し磁場発生機能を有する可動質量とを備え
たり、またはこれとは逆に可動質量を導体とし、曲面座
に磁場発生手段を設置したことにより、1次元のみでは
なく2次元面内での振動に対応して可動質量を振動させ
制振効果を得ることができる。これにより、動吸振器の
小型化が図れるとともに、ばね構造が不要で構造を簡略
化することができる。
【0109】また、磁気ダンパーを構成している磁場発
生手段および導体部材を振動面内に配置するだけで、容
易に多次元方向の減衰効果を得ることができ、減衰要素
の小型化も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A),(B)は本発明に係る動吸振器の第1
実施例を示す縦断面図,平面図。
【図2】(A),(B)は本発明に係る動吸振器の第1
実施例の変形例を示す縦断面図,平面図。
【図3】(A),(B)は本発明に係る動吸振器の第2
実施例を示し、(A)は(B)のA−A線断面図,
(B)は(A)のB−B線断面図。
【図4】(A),(B)は第2実施例のばね鋼棒の長さ
を変更した状態を示し、(A)は(B)のC−C線断面
図,(B)は(A)のD−D線断面図。
【図5】第2実施例における動吸振器の振動時の状態を
示す部分断面正面図。
【図6】(A),(B)は第2実施例の変形例を示し、
(A)は(B)のE−E線断面図,(B)は(A)のF
−F線断面図。
【図7】本発明に係る動吸振器の第3実施例を示す縦断
面図。
【図8】本発明に係る動吸振器の第4実施例を示す縦断
面図。
【図9】(A),(B)は図8の波形の弾性板の構造を
示す斜視図,断面図。
【図10】(A)は弾性板を構成する曲りはりの拡大
図、(B)は(A)におけるG−G線断面図。
【図11】本発明に係る動吸振器の第5実施例を示す縦
断面図。
【図12】本発明に係る動吸振器の第6実施例を示す正
面図。
【図13】本発明に係る動吸振器の第6実施例の第1変
形例を示す正面図。
【図14】本発明に係る動吸振器の第6実施例の第2変
形例を示す正面図。
【図15】(A)は従来の動吸振器を示す概略側面図、
(B)は(A)の平面図。
【符号の説明】
11 導体板 12 可動質量 13 係止構造物 14 板ばね(ばね要素) 15 ベアリング 16 導体板 17 ヨーク 18a,18b 磁石(磁場発生手段) 19a,19b 間隙 21 制振対象構造物 22 固定板 24 ばね鋼棒 25,27 ナット(第1の長さ調整機構) 26 可動質量 29 ばね鋼棒固定孔 30 磁気ダンパー上部連結部材 31 磁気ダンパー第2の長さ調整機構 34 磁気ダンパー第3の長さ調整機構 35 第1磁石(第1の磁場発生手段) 37 第2磁石(第2の磁場発生手段)電導板 39 相対位置調整機構 41 制振対象構造物 42 弾性円形平板 43 剛棒 45 質量部 46 導体板 47 ヨーク 48 磁石(磁場発生手段) 49 間隙 61 弾性板 62 外側端面 63 上板 64 内側端面 65 可動質量 67 下板 69 磁石(磁場発生手段) 70 導体円板(導体部材) 72 固定板 73 積層ゴム 74 挿入板 75 磁石(磁場発生手段) 76 可動質量 81 導体曲面座 82 可動質量 83 磁石(磁場発生手段) 84 曲面座 85 可動質量 86 磁石(磁場発生手段) 87 導体曲面座 88 可動質量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 登 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 服部 靖 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 高橋 秀明 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 宮川 卓也 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 萩原 剛 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リング状に形成された可動質量と、この
    可動質量の内部に配設され且つ制振対象構造物に固定さ
    れた係止構造物と、この係止構造物と上記可動質量との
    間に複数等方向に接続固定されたばね要素と、上記係止
    構造物から上記可動質量方向に放射状に延設された導体
    部材と、この導体部材に所定の間隙を有して磁場を与え
    上記可動質量に固定された磁場発生手段とを備え、この
    磁場発生手段と上記導体部材とから磁気ダンパーを構成
    したことを特徴とする動吸振器。
  2. 【請求項2】 制振対象構造物に固定された固定板と、
    この固定板と可動質量とを連結する複数の弾性棒と、上
    記固定板に対する上記可動質量の距離を弾性棒軸方向に
    移動調整可能な第1の長さ調整機構とを備えたことを特
    徴とする動吸振器。
  3. 【請求項3】 上記請求項2に記載の動吸振器におい
    て、第1の長さ調整機構による長さ調整に応じて長さを
    調整可能な第2の長さ調整機構を有し且つ固定板に固定
    された連結部材と、この連結部材に固定された第1の磁
    場発生手段と、この第1の磁場発生手段に所定の間隙を
    有して対向配置された第2の磁場発生手段と、上記間隙
    の長さを調整可能な第3の長さ調整機構と、可動質量に
    固定され上記間隙に介挿された導体板とを備え、この導
    体板と上記第1、第2の磁場発生手段とから磁気ダンパ
    ーを構成したことを特徴とする動吸振器。
  4. 【請求項4】 回転方向に弾性を有し制振対象構造物に
    取り付けられた回転ばねと、この回転ばねに取り付けら
    れその回転中心からの距離を調整可能な可動質量および
    導体部材と、この導体部材に所定の間隙を有して磁場を
    与える磁場発生手段とを備え、この磁場発生手段と上記
    導体部材とから磁気ダンパーを構成したことを特徴とす
    る動吸振器。
  5. 【請求項5】 断面波形の弾性板を軸対象に展開すると
    ともに、その径方向の大きさを任意とし、上記弾性板の
    内側端面および外側端面をそれぞれ可動質量および固定
    端に連結し、上記弾性板の軸対象展開面で上記固定端か
    ら上記可動質量を弾性支持し、上記可動質量に所定の間
    隙を有して固定端側に導体部材を設置し、この導体部材
    に磁場を与える磁場発生手段を上記可動質量側に対向し
    て配置し、上記導体部材と上記磁場発生手段とから磁気
    ダンパーを構成したことを特徴とする動吸振器。
  6. 【請求項6】 内部に導体板が埋設された積層ゴムの一
    端に可動質量を設置するとともに、他端に制振対象構造
    物を取り付け、上記積層ゴムの導体板と対向する取付面
    に磁場発生手段を設置し、この磁場発生手段と上記導体
    板とから磁気ダンパーを構成したことを特徴とする動吸
    振器。
  7. 【請求項7】 制振対象構造物に取り付けられる導体曲
    面座と、この導体曲面座上を移動し磁場発生手段を周方
    向に所定間隔をおいて複数埋設した可動質量とを備え、
    上記導体曲面座と上記磁場発生手段とから磁気ダンパー
    を構成したことを特徴とする動吸振器。
  8. 【請求項8】 制振対象構造物に取り付けられ所定間隔
    をおいて磁場発生手段を複数埋設した曲面座と、この曲
    面座上を移動する導体の可動質量とを備え、この可動質
    量と上記磁場発生手段とから磁気ダンパーを構成したこ
    とを特徴とする動吸振器。
  9. 【請求項9】 制振対象構造物に取り付けられる導体曲
    面座と、この導体曲面座上を移動し磁場発生機能を有す
    る可動質量とを備え、この可動質量と上記導体曲面座と
    から磁気ダンパーを構成したことを特徴とする動吸振
    器。
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