JPH05164186A - 能動的動吸振器 - Google Patents

能動的動吸振器

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Publication number
JPH05164186A
JPH05164186A JP32764691A JP32764691A JPH05164186A JP H05164186 A JPH05164186 A JP H05164186A JP 32764691 A JP32764691 A JP 32764691A JP 32764691 A JP32764691 A JP 32764691A JP H05164186 A JPH05164186 A JP H05164186A
Authority
JP
Japan
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mass
vibration
spring system
spring
active dynamic
Prior art date
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Pending
Application number
JP32764691A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeki Sato
佐藤  茂樹
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP32764691A priority Critical patent/JPH05164186A/ja
Publication of JPH05164186A publication Critical patent/JPH05164186A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】アクチュエータの個数をさほど増やさなくて
も、振動自由度を増加できる能動的動吸振器を提供す
る。 【構成】質量体4,永久磁石5及びリング部材6をコイ
ルスプリング17を介してハウジング2に弾性支持して
なるマス・バネ系と、質量体15及び電磁コイル10を
コイルスプリング18を介してハウジング2に弾性支持
してなるマス・バネ系とで、吸振部を構成する。その
際、それらマス・バネ系の振動方向をリニアベアリング
11A,11B,12A,12Bによって軸3の軸方向
に一致させ、且つ、永久磁石5及び電磁コイル10間に
発生する電磁力の方向も、軸3の軸方向とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、振動系の振動を吸収
する動吸振器(ダイナミック・ダンパ)に関し、特に、
振動系の振動状態に併せて制振特性を調整できる能動的
動吸振器(アクティブ・ダイナミック・ダンパ)におい
て、アクチュエータの個数をそれほど増やさなくても振
動自由度の増加を可能にし、各振動制御対象モードに対
する制御力が小さくても済むようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来の能動的動吸振器としては、例え
ば、実開昭60−88137号公報の第4図に開示され
るようなものがあり、この従来の能動的動吸振器と同等
の構成を図7に示す。即ち、能動的動吸振器1の円筒形
のハウジング2内には、軸方向に進退自在に軸3が支持
され、この軸3には、軸3が貫通するように磁性材料か
らなる質量体4が固定される。
【0003】質量体4は、円柱形の本体4aと、これの
上端部に形成されたフランジ部4bとから構成されてい
て、フランジ部4bの下面には、軸3と同軸にリング状
の永久磁石5が固着されている。この永久磁石5は、上
下方向(軸方向)にS極及びN極が並んでおり、永久磁
石5の下面側には、質量体4と同様に磁性材料からなる
リング部材6が固着されている。なお、質量体4の本体
4aの周面と、リング部材6の内周面との間は、隙間が
設けられている。
【0004】一方、フランジ部4aの上面及びこれに対
向するハウジング2の内端面の間と、リング部材6の下
面及びこれに対向するハウジング2の内端面の間とのそ
れぞれには、軸3の軸方向に沿った弾性力を発生するコ
イルスプリング7,8が介在していて、これにより、質
量体4,永久磁石5及びリング部材6が、ハウジング2
に弾性支持されている。
【0005】そして、ハウジング2内には、質量体4の
本体4aを取り囲むように、本体4a及びリング部材6
のいずれとも非接触に、軸3と同軸の円筒形のボビン9
が固定されていて、このボビン9には、質量体4の本体
4aの周面と、リング部材6の内周面との間の隙間に位
置するように、軸3と同軸に電磁コイル10が巻かれて
いる。
【0006】この能動的動吸振器1は、そのハウジング
2を、質量体4の振動方向と振動制御対象としての振動
系の振動方向とが一致するように、その振動系に固定し
て使用するものであるが、ハウジング2内には、質量体
4,磁石5及びリング部材6で質量部分が構成され、コ
イルスプリング7及び8でバネが構成されるマス・バネ
系が存在し、このマス・バネ系が吸振部となる結果、電
磁コイル10に電流を流さなければ、通常の受動的な動
吸振器として働く。
【0007】そして、永久磁石5で生成された磁束は、
質量体4の本体4aの周面と、リング部材6の内周面と
の間の隙間において、軸3に直交する方向を向くから、
その磁束と電磁コイル10を流れる電流とが鎖交するこ
とにより、図7上下方向の電磁力が発生する。つまり、
電磁コイル10に流れる電流の方向及び大きさを適宜制
御することにより、上記マス・バネ系の振動特性が変わ
り、そのマス・バネ系がハウジング2に付与する力が変
化するから、振動系の振動特性が当初の状態から変化し
ても、例えばフィードバック制御を実行することによ
り、この能動的動吸振器1の制振性能が能動的に変化
し、良好な制振効果が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上記従来の能
動的動吸振器1にあっては、小さな制御力(消費電力)
で十分な制振効果が得られるように、質量体4,磁石5
及びリング部材6で質量部分が構成され、コイルスプリ
ング7及び8でバネが構成されるマス・バネ系の共振周
波数は、振動系の振動制御対象周波数に一致又は略一致
させることが一般に行われているが、一つの能動的動吸
振器には一つのマス・バネ系しか存在しないので、振動
制御対象周波数が複数存在する場合には、マス・バネ系
の共振周波数は、いずれか一つの振動制御対象周波数に
対応させるしかなく、従って、マス・バネ系の共振周波
数から大きく離れた振動制御対象周波数の振動が発生し
た場合には、多大な制御力が必要になってしまう。
【0009】このような不具合は、上記のような能動的
動吸振器1を複数設け、各能動的動吸振器1に含まれる
マス・バネ系の共振周波数のそれぞれを、複数存在する
振動制御対象周波数のそれぞれに個別に対応させれば解
消可能ではあるが、これでは、振動制御対象周波数の個
数に応じて、永久磁石5及び電磁コイル10で構成され
るアクチュエータが必要となるから、装置の規模自体も
大きくなり、且つ、コストも大幅に増大してしまうとい
う欠点がある。
【0010】この発明は、このような従来の技術が有す
る未解決の課題に着目してなされたものであって、アク
チュエータの個数をそれほど増やさなくても、振動自由
度の増加を可能にし、もって、振動制御対象周波数が複
数存在する場合に、いずれの振動制御対象周波数に対し
ても小さな制御力で十分な制振効果が得られる能動的動
吸振器を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明である能動的動吸振器は、質量
部分に磁石を有するマス・バネ系と、質量部分に電磁コ
イルが巻かれたマス・バネ系とを、前記磁石及び電磁コ
イル間に電磁力を発生可能に且つその電磁力の方向とそ
れらマス・バネ系の振動の方向とが一致するように配設
してなる吸振部を備えた。
【0012】そして、請求項2記載の発明は、上記請求
項1記載の発明において、複数の吸振部を直列に配設し
た。また、請求項3記載の発明は、上記請求項1又は請
求項2記載の発明において、吸振部と直列に別のマス・
バネ系を配設した。さらに、請求項4記載の発明は、上
記請求項1乃至請求項3記載の発明において、各マス・
バネ系の共振周波数のそれぞれを、複数存在する振動制
御対象周波数の内の別々の周波数に一致又は略一致させ
た。
【0013】そして、請求項5記載の発明は、上記請求
項4記載の発明において、各マス・バネ系の質量部分の
重量比を、それらマス・バネ系が対応する振動制御対象
モードの等価重量比に一致又は略一致させた。また、請
求項6記載の発明は、上記請求項4記載の発明におい
て、各マス・バネ系の質量部分の重量比を、それらマス
・バネ系が対応する振動制御対象周波数の2乗の逆数の
比に一致又は略一致させた。
【0014】
【作用】請求項1記載の発明にあっては、質量部分に磁
石を有するマス・バネ系と、質量部分に電磁コイルが巻
かれたマス・バネ系とで、振動系の振動を吸収する吸振
部を構成しているため、一つの能動的動吸振器に、少な
くとも二つのマス・バネ系が存在することになる。ま
た、それらマス・バネ系の共振周波数は、当然に別々に
設定することができる。
【0015】そして、それらマス・バネ系同士は、質量
部分に設けられた磁石及び電磁コイルにより発生する電
磁力によって、互いに質量部分の振動に影響を与えるこ
とができるから、磁石及び電磁コイルで構成されるアク
チュエータは、二つのマス・バネ系の振動特性を能動的
に制御することになり、一つのアクチュエータに対して
振動自由度が二つになる。
【0016】さらに、請求項2記載の発明のように、請
求項1記載の発明おける吸振部を、複数直列に接続する
と、n個のアクチュエータで、振動自由度が2nとな
り、吸振部がある程度の個数になれば、一つの能動的動
吸振器によって、広い周波数帯域に渡る振動の制振が行
える。また、請求項3記載の発明のように、吸振部と直
列に別のマス・バネ系を配設すると、そのマス・バネ系
も独自の共振周波数を有することから、そのマス・バネ
系の個数だけ、振動自由度が増加することになる。
【0017】そして、請求項4記載の発明のように、各
マス・バネ系の共振周波数を、複数存在する振動制御対
象周波数の内の別々の周波数に対応させれば、各振動制
御対象周波数に対して、小さな制御力で十分な制振効果
が発揮される。なお、動吸振器においては、マス・バネ
系の質量が大きければ大きい程、小さなストロークで大
きな力が発生し、制御力も小さくて済むため、マス・バ
ネ系の質量部分は重ければ重い程良いことになるが、能
動的動吸振器の大きさや配設スペース等の制約があるの
が普通である。
【0018】従って、請求項4記載の発明のように、複
数のマス・バネ系が存在する場合には、各マス・バネ系
の質量部分の重量比は、最適な比率に設定することが望
ましい。ここで、等価重量が大きければ大きい程、制御
するには大きな力が必要となることから、請求項5記載
の発明のように、振動制御対象モードの等価重量比に基
づいて各マス・バネ系の質量部分の重量比を選定すれ
ば、各モードに対して効果的な制振が行われる。
【0019】また、制御力の反力としてマス・バネ系の
質量部分の慣性力を用いていると、振幅に対して慣性力
は振動数の2乗に比例して得られるから、結局、高周波
な振動には大きなストロークが不要となり、従って、請
求項6記載の発明のように、振動制御対象周波数の2乗
の逆数の比に基づいて各マス・バネ系の質量部分の重量
比を選定すれば、各振動制御対象周波数に対して効果的
な制振が行われる。
【0020】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は、本発明の第1実施例を示す図である。
先ず、構成を説明すると、この能動的動吸振器1は、円
筒形のハウジング2を有するとともに、この円筒形をな
すハウジング2の軸心部には、リニアベアリング11
A,11Bによって軸3が軸方向に進退自在に支持され
ている。
【0021】軸3には、その軸方向中央部よりも若干上
側に位置するように、磁性材料からなる質量体4が固定
されていて、質量体4は、軸3と同軸の円柱形をなす本
体4aと、この本体4aの上端部に形成された軸3と同
軸のフランジ部4bとから構成されている。質量体4の
フランジ部4bの下側を向く面には、リング状の永久磁
石5が、軸3と同軸に固着されており、また、その永久
磁石5の下面側には、磁性材料からなるリング部材6が
軸3と同軸に固着されている。ただし、質量体4の本体
4aの周面と、リング部材6の内周面との間は、隙間が
設けられている。
【0022】永久磁石5は、軸方向に極が存在する磁石
であって、従って、この永久磁石5で生成された磁束
は、質量体4の本体4aの周面と、リング部材6の内周
面との間の隙間においては、周方向いずれの位置におい
ても、軸3に対して直交する方向を向いている。一方、
軸3の下側には、リニアベアリング12A,12Bによ
って軸方向に進退自在に、軸3と同軸の円板形をなす質
量体15が配設されていて、この質量体15の質量体4
側を向く面には、質量体4の本体4aを取り囲むよう
に、本体4a及びリング部材6のいずれとも非接触に、
軸3と同軸の円筒形のボビン9が固定されている。
【0023】そして、ボビン9には、質量体4の本体4
aの周面と、リング部材6の内周面との間の隙間に位置
するように、軸3と同軸に電磁コイル10が巻かれてい
て、この電磁コイル10には、信号線16を介して、外
部からいずれの向きにも任意の大きさの制御電流を供給
できるようになっている。なお、リング部材6と電磁コ
イル10との間は、非接触であるが、電磁力が効率良く
発生するためには、その隙間は僅かであることが望まし
く、従って、リニアベアリング11A,11B,12
A,12Bによるクリアランスの管理が必要である。
【0024】さらに、質量体4のフランジ部4bの上面
と、これに対向するハウジング2の内端面との間には、
軸3の軸方向の弾性力を付与するコイルスプリング17
が介在していて、これにより、質量体4が、ハウジング
2に弾性支持されている。また、質量体15の下面と、
これに対向するハウジング2の内端面との間にも、軸3
の軸方向の弾性力を付与するコイルスプリング18が介
在していて、これにより、質量体15が、ハウジング2
に弾性支持されている。
【0025】なお、リング部材6の下面側と、質量体1
5の上面側との間には、質量体4及び15の干渉を防止
するために、コイルスプリング19を介在させている
が、このコイルスプリング19のバネ定数は、コイルス
プリング17及び18のバネ定数に比較して無視できる
程度に十分小さくしてある。そして、この能動的動吸振
器1は、制振制御対象20に、その振動制御対象20の
振動方向と、軸3の軸方向とが一致するように、ボルト
21,22を介して固定する。
【0026】次に、本実施例の作用を説明する。本実施
例の能動的動吸振器1も、電磁コイル10に制御電流を
流さなければ、吸振部として、質量体4,磁石5及びリ
ング部材6を質量部分としたマス・バネ系と、質量体1
5,ボビン9及び電磁コイル10を質量部分としたマス
・バネ系とを有する通常の受動的な動吸振器と同等であ
る。
【0027】従って、電磁コイル10に制御電流が流さ
れていなければ、マス・バネ系が二つ存在することか
ら、それらマス・バネ系の振動特性に応じて、二つの周
波数に対して制振作用が得られる動吸振器として働く。
図2(a)は、本実施例の能動的動吸振器1を、2自由
度系の振動制御対象20(例えば、自動車)に適用した
場合のモデルである。なお、コイルスプリング19は、
他のコイルスプリング17及び18に比較してそのバネ
定数が十分小さく無視できるので、モデルには表してい
ない。
【0028】即ち、振動制御対象20が2自由度系であ
れば、共振周波数は二つ存在することになるが、能動的
動吸振器1は、上述のように二つのマス・バネ系を有す
るから、一方のマス・バネ系の共振周波数及び他方のマ
ス・バネ系の共振周波数のそれぞれを、二つ存在する振
動制御対象の共振周波数のそれぞれに個別に一致又は略
一致させる。
【0029】そして、電磁コイル10に制御電流を流す
と、この制御電流と、永久磁石5の磁束とが鎖交するこ
とから、軸3の軸方向の電磁力が発生するが、永久磁石
5及び電磁コイル10のいずれも可動となっているた
め、その電磁力は、両方のマス・バネ系に影響を与える
ことになる。つまり、本実施例の構成では、一つのアク
チュエータで、二つのマス・バネ系の振動特性を制御で
きることになる。
【0030】そして、制御力uは、振動制御対象のマス
・バネ系及び能動的動吸振器1のマス・バネ系の各質量
部分の加速度(d2 1 /dt2 ,d2 2 /dt2
2 3 /dt2 ,d2 4 /dt2 )を検出し、それ
ら加速度を積分して速度(dx1 /dt,dx2 /d
t,dx3 /dt,dx4 /dt)を求め、それら速度
をさらに積分して変位(x1 ,x2 ,x3 ,x4 )を求
め、下記の(1)式に基づいて決定する。
【0031】 u=f1 dx1/dt+f2 dx2/dt+f3 dx3/dt+f4 dx4/dt +f5 1 +f6 2 +f7 3 +f8 4 ……(1) なお、フィードバックゲインf1 〜f8 は、最適レギュ
レータ理論により求めれば、安定性の良いゲインが求め
られる。このような制御を実行した場合の振動加速度
を、図3の制御Aに示す。これによれば、制御を行わな
い場合にピークを示す1次モード及び2次モードの両方
において良好な制振効果が得られることが判る。
【0032】これは、能動的動吸振器1に二つのマス・
バネ系を構成し、それらマス・バネ系の共振周波数を、
振動制御対象周波数のそれぞれに対応させたからであ
り、いずれの振動制御対象周波数に対しても、いずれか
のマス・バネ系の共振周波数が対応しているから、小さ
な制御力で十分な制振効果が得られるのである。ちなみ
に、図7に示した従来の能動的動吸振器をモデルで表す
と、図2(b)のようになり、これによる制振効果は、
図3の制御Bに示すようになる。
【0033】ただし、制御Bでは、マス・バネ系の共振
周波数を1次モードに設定し、また、条件を併せるた
め、図1の能動的動吸振器1に含まれるマス・バネ系の
質量部分のトータルの質量と同じ質量のマス・バネ系を
有し、且つ、図4に示すように、同じ制御力を付与する
こととした。即ち、図3の制御Bに示すように、従来の
構成では、マス・バネ系の共振周波数を1次モードに設
定しているため、2次モードに対しては、ほとんど制振
効果が得られないが、上述のように、本実施例の構成で
あれば、従来の能動的動吸振器に比較して、より良好な
制振効果を得ることができる。
【0034】しかも、本実施例の構成では、確かにマス
・バネ系は二つになっているが、能動的制御を実行する
ためのアクチュエータは、従来と同様に一つであるか
ら、装置の極端な大型化や大幅なコストアップ等を招く
ことがない。ここで、能動的動吸振器1の二つのマス・
バネ系の質量部分の重量比の設定について説明する。
【0035】即ち、マス・バネ系の質量部分の重量が大
きければ大きい程、受動的な動吸収効果も大きくなるこ
とから、質量体4及び15は、大きければ大きい程良い
ことになる。しかし、質量体4及び15は、この能動的
動吸振器1の配設スペースの制約等から、無制限に大き
くできるものではない。
【0036】そこで、それら質量体4及び15の重量比
を選定するに当たり、先ず、振動制御対象20の1次モ
ード及び2次モードの等価重量を考慮する。つまり、等
価重量は、その振動モードの大きさ(動きにくさ)を表
すので、等価重量が大きい程、制振のために大きな制御
力が必要となることから、質量体4を含むマス・バネ系
の重量と、質量体15を含むマス・バネ系の重量との比
を、それらが対応する振動制御対象モードの等価重量の
比に一致又は略一致させれば、各振動制御対象モードに
対して、同等の制御電流をもって、良好な制振効果を得
ることができる。
【0037】また、本実施例の場合は、制御力としてマ
ス・バネ系の可動マスの慣性力を用いているが、振幅に
対して慣性力は振動数の2乗に比例して得られることか
ら、より高周波の振動には大きなストロークが不要とな
り、その分、質量部分を軽く設定すべきである。よっ
て、質量体4を含むマス・バネ系の重量と、質量体15
を含むマス・バネ系の重量との比を、それらが対応する
振動制御対象周波数の2乗の逆数の比に一致又は略一致
させれば、やはり、各振動制御対象モードに対して、同
等の制御電流をもって、良好な制振効果を得ることがで
きる。
【0038】図5は、本発明の第2実施例を示す図であ
る。なお、上記第1実施例と同等の構成には、同じ符号
を付し、その重複する説明は省略する。即ち、本実施例
にあっては、上記第1実施例と同様に、ハウジング2内
に、重量部分に永久磁石5を有するマス・バネ系と、重
量部分に電磁コイル10を有するマス・バネ系とで構成
される吸振部を備えている。
【0039】そして、質量体15の下方には、リニアベ
アリング12C及び12Dによって軸方向に進退自在に
軸3に外嵌した質量体24が配設され、この質量体24
も、質量体4と同様に、磁性材料から構成されるととも
に、永久磁石25及びリング部材26を一体に有してい
る。さらに、質量体24の下方には、リニアベアリング
12E及び12Fによって軸方向に進退自在に軸3に外
嵌した質量体35が配設され、この質量体35も、質量
体15と同様に、電磁コイル30が巻かれたボビン29
を一体に有し、その電磁コイル30が、質量体24の本
体24aとリング部材26との間の隙間に位置してい
る。なお、電磁コイル26も、電磁コイル10と同様
に、信号線16を介して、外部からいずれの向きにも任
意の大きさの制御電流を供給できるようになっている。
【0040】そして、質量体35及びこれに対向するハ
ウジング2の内端面間にはコイルスプリング38が介在
し、リング部材26及び質量体35間にはコイルスプリ
ング39が介在し、質量体15及び質量体24のフラン
ジ部24b間にはコイルスプリング40が介在してい
て、これにより、各質量体4,15,24,35は、ハ
ウジング2内に弾性支持されている。
【0041】つまり、本実施例では、ハウジング2内
に、重量部分に永久磁石5を有するマス・バネ系及び重
量部分に電磁コイル10を有するマス・バネ系で構成さ
れる吸振部と、重量部分に永久磁石25を有するマス・
バネ系及び重量部分に電磁コイル30を有するマス・バ
ネ系で構成される吸振部とが、直列に配設されているこ
とになる。
【0042】このような構成であると、マス・バネ系が
四つ存在するから、この能動的動吸振器1の振動自由度
は4となり、従って、それらマス・バネ系の共振周波数
を振動制御対象モードのそれぞれに対応させることによ
り、4次までの振動制御対象モードを有する振動制御対
象に対して良好な制振効果が得られることになる。しか
も、振動自由度が4であるにも関わらず、能動的制御を
実行するためのアクチュエータは二つで済むから、大幅
なコストアップや装置の大型化を招くようなこともな
い。
【0043】そして、ここでも、良好な制振効果を得る
ために、上記第1実施例で説明したのと同様に、各マス
・バネ系の質量部分の比率は、振動制御対象モードの等
価重量比や、振動制御対象周波数の2乗の逆数の比に基
づいて選定することが望ましい。なお、各コイルスプリ
ング17,19,38,39及び40のバネ定数は、各
振動制御対象モードに対して良好な制振効果が得られる
ように、適宜シミュレーション等を行って決定されるも
のである。
【0044】図6は、本発明の第3実施例を示す図であ
る。なお、上記第1実施例と同等の構成には、同じ符号
を付し、その重複する説明は省略する。即ち、本実施例
は、重量部分に永久磁石5を有するマス・バネ系及び重
量部分に電磁コイル10を有するマス・バネ系で構成さ
れる吸振部と直列に、リニアベアリング12G及び12
Hによって軸方向に進退自在に軸3に外嵌する質量体4
1を配設するとともに、この質量体41及びこれに対向
するハウジング2の内端面間にコイルスプリング42を
配設し、さらに、その質量体41と質量体15との間
に、コイルスプリング43を介在させたものである。
【0045】このような構成であると、能動的動吸振器
1には、三つのマス・バネ系が存在することになるか
ら、振動自由度は3となるから、それら各マス・バネ系
の共振周波数を振動制御対象モードのそれぞれに対応さ
せることにより、3次までの振動制御対象モードを有す
る振動制御対象に対して良好な制振効果が得られること
になる。
【0046】そして、重量部分に永久磁石5を有するマ
ス・バネ系と、重量部分に電磁コイル10を有するマス
・バネ系とに対しては、永久磁石5及び電磁コイル10
で構成されるアクチュエータによって能動的な制御が可
能であるから、これらマス・バネ系を、大きな制振効果
が望まれる(例えば、発生頻度の大きい)振動制御対象
モードに対応させ、受動的な動吸振器として働く質量体
41を含むマス・バネ系を、ある程度の制振効果が得ら
れれば十分な(例えば、発生頻度の小さい)振動制御対
象モードに対応させれば、アクチュエータの個数を増や
すことなく、全体として良好な制振効果を発揮すること
ができる。
【0047】なお、上記各実施例では、磁石として永久
磁石5,25を適用した場合について説明したが、電磁
石を適用してもよい。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
質量部分に磁石を有するマス・バネ系と、質量部分に電
磁コイルが巻かれたマス・バネ系とで吸振部を構成した
ため、アクチュエータの個数をそれほど増やすことな
く、振動自由度を増加できるという効果がある。
【0049】特に、請求項4記載の発明であれば、各マ
ス・バネ系の共振周波数が各振動制御対象モードに対応
しているため、各振動制御対象モードに対する制御力が
小さくても済むという効果が得られる。そして、請求項
5又は請求項6記載の発明であれば、各マス・バネ系の
質量部分の重量比が最適な比率となる結果、各振動制御
対象モードに対して、良好な制振効果を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の構成を示す断面図であ
る。
【図2】図1及び図7の構成をモデル図である。
【図3】第1実施例の制振効果を従来のそれと対比して
示すグラフである。
【図4】振動の周波数に対する制御力を示すグラフであ
る。
【図5】本発明の第2実施例の構成を示す断面図であ
る。
【図6】本発明の第3実施例の構成を示す断面図であ
る。
【図7】従来の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 能動的動吸振器 2 ハウジング 3 軸 4,15,24,35,41 質量体 5,25 永久磁石 9,29 ボビン 10,30 電磁コイル 17,18,19,38,39,40,42,43
コイルスプリング

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量部分に磁石を有するマス・バネ系
    と、質量部分に電磁コイルが巻かれたマス・バネ系と
    を、前記磁石及び電磁コイル間に電磁力を発生可能に且
    つその電磁力の方向とそれらマス・バネ系の振動の方向
    とが一致するように配設してなる吸振部を備えたことを
    特徴とする能動的動吸振器。
  2. 【請求項2】 複数の吸振部を直列に配設した請求項1
    記載の能動的動吸振器。
  3. 【請求項3】 吸振部と直列に別のマス・バネ系を配設
    した請求項1又は請求項2記載の能動的動吸振器。
  4. 【請求項4】 各マス・バネ系の共振周波数のそれぞれ
    を、複数存在する振動制御対象周波数の内の別々の周波
    数に一致又は略一致させた請求項1乃至請求項3のいず
    れかに記載の能動的動吸振器。
  5. 【請求項5】 各マス・バネ系の質量部分の重量比を、
    それらマス・バネ系が対応する振動制御対象モードの等
    価重量比に一致又は略一致させた請求項4記載の能動的
    動吸振器。
  6. 【請求項6】 各マス・バネ系の質量部分の重量比を、
    それらマス・バネ系が対応する振動制御対象周波数の2
    乗の逆数の比に一致又は略一致させた請求項4記載の能
    動的動吸振器。
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