JP5498313B2 - インバータ装置 - Google Patents
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Description
(第1実施形態)
以下、第1実施形態によるインバータ装置について、図1に基づいて説明する。
(ii)入力電力=出力電力(kW)+0.05×インバータ定格電力(kW)
(i)の場合には、特定の条件において損失がインバータ装置の出力電力の3%であったこと、(ii)の場合には、特定の条件において損失がインバータ装置の定格電力の5%であったことなど、実験或いは経験により入力電力の推測を行っている。すなわち、これらの演算式は、キャリア周波数や出力周波数、2相又は3相の違いによる制御の切替え、あるいは電動機3の種類等の要因を考慮することなく特定の条件で最適化されたものである。換言すると、上記した演算式は、最適化された条件以外においては、誤差要因となっていた。
ここで、インバータ装置1の出力電力PEoutは、ベクトル制御に用いるd−q変換された出力電流(d軸電流Id、q軸電流Iq)および出力電圧(d軸電圧Vd、q軸電圧Vq)により、
また、インバータ装置1の損失Ptotalは、内部回路ごとの損失の合計として、以下のように算出することができる。
Ptotal=Prec+Pcapa+Pcont+Pinv ・・・(3)
ただし、
Prec :整流回路4の損失(W)
Pcapa:平滑コンデンサ回路5の損失(W)
Pcont:制御電源回路7の損失(W)
Pinv:インバータ主回路6の損失(W)
ここで、制御電源回路7の損失Pcontは、制御電源回路7における変換損失と、操作パネル8や制御回路9など制御電源回路7から直流電源の供給を受ける直流回路部における消費電力とを含めたものとする。
ただし、
PTc :IGBTの導通損失(W)
PTsw :IGBTのスイッチング損失(W)
PDc:FRDの導通損失(W)。FRD:フリーホイールダイオード。
PDsw:FRDのスイッチング損失(W)
そして、これらの各成分は、以下の式にて表すことができる。
Vce0:IGBTコレクタ・エミッタ間スレッショルド電圧(V)
RIGBT:IGBTスロープ抵抗(Ω)
Vf0:FRDスレッショルド電圧(V)
Rdiode:FRDスロープ抵抗(Ω)
Eon:Vce_m、ic_mの条件で測定されたIGBTのターンオン時のエネルギー損失(J)
Eoff:Vce_m、ic_mの条件で測定されたIGBTのターンオフ時のエネルギー損失(J)
Err:Vm、imの条件で測定されたFRDの逆回復時のエネルギー損失(J)
M:変調率
VDC:直流部電圧(V)。インバータ主回路6への入力電圧(直流部電圧値に相当)。
cos(φ):インバータ装置1の出力力率。以下の(9)式で算出する。
α:制御方式による変換係数。制御方式の相数により以下のように切り替える。
・3相制御方式の場合 α=1 ・・・(10)
・2相制御方式の場合 α=(1/2)×(2−cos(φ)) ・・・(11)
この場合、同種の電動機3であれば同一の関数を適用することも可能である。ただし、例えば誘導電動機と同期電動機とを比較すると、その力率は大きく異なり、一般的に同期電動機のほうが力率が高い。そのため、インバータ装置1を誘導電動機および同期電動機の双方に適用可能にする場合には、電動機3の種類に応じて、すなわち、インバータ装置1の駆動条件に応じて、cos(φ)の演算に用いる(12)式の関数を切り替える構成としてもよい。
また、正確に算出された入力電力を表示部8aに表示したり、外部の制御装置に信号出力したりすることにより、使用者の省エネの割合を知りたいという要望に応えることができる。
また、整流回路4の損失Prec、平滑コンデンサ回路5の損失Pcapa、および制御電源回路の損失Pcontを定数値あるいはインバータ主回路6出力電力に比例した値などとしているので、演算の簡略化および効率化を図ることができる。
次に第2実施形態のインバータ装置を図2に基づいて説明する。第2実施形態では、制御電源回路の損失を、直流回路部を構成するそれぞれの回路の動作状態に応じて算出する点において第1実施形態と異なっている。
<冷却ファン21駆動中>
Pcont=(1/K)×(Pcont_1+PDC_fan) ・・・(13)
<冷却ファン21停止中>
Pcont=(1/K)×(Pcont_1) ・・・(14)
ただし、
K:制御電源回路7の変換効率(定数)
Pcont_1:冷却ファン21以外の直流回路部における消費電力(W)
=Pcont_A+Pcont_opt1+Pcont_opt2+Pcont_opt3 ・・・(15)
PDC_fan:冷却ファン21の消費電力(W)
Pcont_A:冷却ファン21と拡張ユニット以外の直流回路部の消費電力(W)
Pcont_opt1:通信オプション23の消費電力(W)
Pcont_opt2:拡張端子台オプション24の消費電力(W)
Pcont_opt3:制御端子台25の消費電力(W)
このように、制御電源回路7の損失を、直流回路部を構成する回路の動作状態に応じて算出することにより、例えば冷却ファン21の消費電力が大きい場合にその影響を考慮に入れて損失を算出することができる。また、各拡張ユニットでの消費電力をあらかじめ測定しておき、接続コネクタに取り付けられたことを認識している拡張ユニットにおける消費電力を加算することで、より正確な入力電力の算出が可能となる。また、拡張ユニットの数が異なる場合には、それに応じて(15)式のパラメータを増減させればよい。もちろん、拡張ユニットの消費電力を算出する際に、拡張ユニットが接続されているか否かだけでなく、その拡張ユニットが動作しているか否かをも考慮して消費電力を算出してもよい。また、インバータ装置1の純正オプション以外の拡張ユニットが接続される可能性がある場合を想定し、拡張ユニットの消費電力を使用者が設定可能なパラメータとしてもよい。
次に第3実施形態のインバータ装置を図3に基づいて説明する。第3実施形態では、平滑コンデンサ回路における損失を平滑コンデンサ回路の出力電力の関数としている点において第1実施形態と異なっている。尚、第3実施形態のインバータ装置は、第1実施形態と同様であるので、図1をも参照しながら説明する。
Pcapa=Rcapa・Iripple 2 ・・・(16)
ただし、
Rcapa:等価直列抵抗(Ω)
Iripple:コンデンサのリプル電流(A)
なお、RcapaおよびIrippleは、平滑コンデンサ回路5が複数のコンデンサを直列あるいは並列に接続して構成されている場合、それら全体を1つのコンデンサとみなしたときの換算値である。
PDC_2=PEout+Pcont+Pinv ・・・(17)
Pcapa=A・PDC_2 2+B・PDC_2+C ・・・(18)
すなわち、本実施形態によれば、平滑コンデンサ回路5の損失Pcapaを、電流検出回路13の検出値から算出可能なインバータ装置1の出力電力PEoutと、上記した第1実施形態または第2実施形態で推定したPcontおよびPinvと用いて算出可能な後段の各内部回路への出力電力PDC_2により推定することができる。これにより、平滑コンデンサ回路5の損失Pcapaを定数もしくはインバータ装置1の出力電力の定数倍として算出する場合に比べて、より実際の損失を反映した関数によって平滑コンデンサ回路5の損失Pcapaを算出することができる。
次に第4実施形態のインバータ装置を図4に基づいて説明する。第4実施形態では、整流回路における損失を整流回路の出力電力の関数としている点において第1実施形態と異なっている。尚、第4実施形態のインバータ装置は、第1実施形態と同様であるので、図1をも参照しながら説明する。
第4実施形態における整流回路4の損失Precの算出方法は、第3実施形態と同様の考え方に基づいている。つまり、整流回路4から出力される出力電力PDC_1は、後段の各内部回路に供給されることから、整流回路4の出力電力PDC_1と、平滑コンデンサ回路5の出力電力PDC_2およびその損失Pcapaとの間には、以下の(19)式の関係が成立する。
PDC_1=PDC_2+Pcapa ・・・(19)
Prec=D・PDC_1 2+E・PDC_1+F ・・・(20)
ただし、D、E、Fは、図4の測定結果から算出した係数
また、本実施形態と第3実施形態とを組み合わせてもよい。すなわち、内部回路の損失を算出する場合、消費電力を定数として扱う内部回路と、消費電力を変数や関数により算出する内部回路とが混在していてもよい。
次に第5実施形態のインバータ装置を図5に基づいて説明する。第5実施形態では、各内部回路にオプションとして装着される構成要素の損失をも算出している点において第1実施形態と異なっている。
次に第6実施形態のインバータ装置について説明する。第6実施形態では、インバータ装置の運転モードによって損失の算出を行っている点において第1実施形態と異なっている。なお、第6実施形態のインバータ装置は、第1実施形態と同様であるので、図1をも参照しながら説明する。
<回生モード:上記した(2)式で得られるPEoutが負の数の場合>
回生モードの場合、入力電力Piは以下の(21)式で表される。
Pi=0 ・・・(21)
この場合、インバータ装置1の損失を以下の(22)式によって回生モード中の損失を算出する。尚、(22)式におけるPinvは回生モードに合わせて演算するものとする。
Ptotal=Pcont+Pinv ・・・(22)
このとき、以下の(23)式にて、回生モードにおいて平滑コンデンサ回路5部分に蓄えられるエネルギーを累積演算する。
以下の(24)式を用いて算出する。
なお、(24)式による演算中にEregene_2が負になる前に再度回生モードとなった場合には、(23)式に替えて以下の(25)式を使用する。
次に第7実施形態のインバータ装置について説明する。第7実施形態は、第6実施形態の変形である。本実施形態では、従来からインバータ装置に備わっている直流電圧検出機能を用いて回生モードおよび力行モードにおける損失を算出する。
上記した(2)式で得られるPEoutが負の数の場合、(21)式にて示したようにPi=0として算出する。これは、第6実施形態と同様であるが、本実施形態では、PEoutが負になった瞬間、もしくは負になる直前の一定期間の平均の直流部電圧VDC_1を記憶する。
<力行モードにおける損失の算出>
回生モードの後、力行モードになった瞬間の直流部電圧VDC_2、および回生モード時に記憶したVDC_1に基づいて、以下の(26)式の演算を力行モードになった瞬間に開始する。
次に第8実施形態のインバータ装置を図6に基づいて説明する。第8実施形態では、インバータ装置に制動回路と制動抵抗器とを設け、その損失をも算出している点において第2実施形態と異なっている。
(iii)回生モードの後、力行モードになった時点において制動回路41内のスイッチング素子がOFF状態の場合、VDC_2は、力行モードになった時点の直流部電圧とする。
(iv)回生モードの後、力行モードになった時点において制動回路41内のスイッチング素子がON状態の場合、VDC_2は、スイッチング素子がOFF状態となった時点の直流部電圧とする。
次に第9実施形態のインバータ装置について説明する。第9実施形態は、第7実施形態および第8実施形態の変形である。
第7実施形態および第8実施形態におけるVDC_2の求め方、および(26)式の演算開始時期については以下のようにしてもよい。すなわち、VDC_2とは異なるVDC_3を予め設定しておき、回生モード以降に最後にVDC_3より高い電圧からVDC_3以下の電圧に切り替わった瞬間に、上記した(26)式に替えて、以下の(27)式にて演算を開始する。
また、VDC_3を予め設定しておくのではなく、例えば以下の(28)式のように設定してもよい。ただしβは予め設定した値とする。
VDC_3=VDC_1 + β(VDC_2 − VDC_1) ・・・(28)
これにより常にVDC_1<VDC_3<VDC_2となり、第8実施形態のように条件(iii)および条件(iv)による切替えの対応が不要となる。これにより、容易に損失の算出が可能になる。尚、制動回路41が動作した場合のVDC_2については、インバータ装置が従来備えている制動回路を動作させる基準電圧等と一致させてもよい。
次に第10実施形態のインバータ装置について説明する。第10実施形態は、回生モードにおけるインバータ主回路への入力電圧の変動が少ない場合、簡便な算出方法を用いる点が第6実施形態から第9実施形態と異なっている。
インバータ主回路6への入力電圧すなわち直流部電圧は、電圧検出回路12により検出される。回生モードにおいて直流部電圧の変動が少ない場合、制御回路9は、以下のようにしてインバータ装置の入力電力Piを算出する。
次に第11実施形態のインバータ装置を図7に基づいて説明する。第11実施形態では、各内部回路の損失を関数による算出ではなく、予め定義したテーブルにより行っている点において各実施形態と異なっている。
なお、図7は、第1実施形態におけるインバータ主回路6の損失Pinvの一例であり、パラメータとして出力電流、変調率M、キャリア周波数fswを用いているが、損失への影響度を勘案してパラメータの種類を増減してもよい。なお、他の内部回路に対しても、同様のルックアップテーブルを用いてももちろんよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
Ptotal=PAC_fan+Prec+Pcapa+Pcont+Pinv ・・・(29)
ただし、PAC_fanはAC冷却ファン33の損失(W)
また、図8に示したように、交流電源2から電力供給される制御電源回路34を備えた構成も想定される。このような場合には(17)式を以下の(30)式に置き換えてもよい。
PDC_2=PEout+Pinv ・・・(30)
この場合、図8の構成においては、各演算式は以下のようになるが、それぞれインバータ装置の内部回路の構成に合わせて詳細な演算式を改変すればよい事は明らかである。
<AC冷却ファン駆動中の場合>
Ptotal=PAC_fan+Pcont+PAC_choke+Prec+PDC_choke+Pcapa+Pinv ・・・(31)
<AC冷却ファン停止中の場合>
Ptotal=Pcont+PAC_choke+Prec+PDC_choke+Pcapa+Pinv ・・・(32)
この(31)式または(32)式において、すなわち、AC冷却ファンの運転状態に応じて、以下の各式により、Ptotalを算出する。
PDC_2=PEout+Pinv ・・・(33)
PDC_3=PEout+Pinv+Pcapa=PDC_2+Pcapa ・・・(34)
PDC_choke=G・PDC_3 2+H・PDC_3+I ・・・(35)
ただし、G、H、Iは係数
PDC_1=PEout+Pinv+Pcapa+PDC_choke=PDC_3+PDC_choke ・・・(36)
Prec=D・PDC_1 2+E・PDC_1+F ・・・(20)
PAC_1=PEout+Pinv+Pcapa+PDC_choke=PDC_1+Prec ・・・(37)
PAC_choke=J・PAC_1 2+L・PAC_1+M ・・・(38)
ただし、J、L、Mは係数
Pcont=(1/K)×(Pcont_1) ・・・(14)
=Pcont_A+Pcont_opt1+Pcont_opt2+Pcont_opt3 ・・・(15)
これらの式により、入力電力の算出を行うことができる。
Claims (15)
- 整流回路、平滑コンデンサ回路、インバータ主回路、制御電源回路からなる内部回路と、前記制御電源回路から直流電源の供給を受ける直流部回路を構成し前記内部回路を制御する制御回路と、を備えるインバータ装置であって、
前記制御回路は、前記内部回路ごとの損失を算出し、それらの損失を出力電力に加算することにより入力電力を算出するとともに、前記インバータ主回路の損失を算出するとき、当該インバータ主回路の出力電流を変数とすることを特徴とするインバータ装置。 - 前記インバータ主回路の損失を算出するとき、当該インバータ主回路へ入力される直流部電圧値を変数とすることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
- 前記インバータ主回路の損失を算出するとき、キャリア周波数を変数とすることを特徴とする請求項1または2記載のインバータ装置。
- 前記インバータ主回路の損失を算出するとき、出力力率を変数とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のインバータ装置。
- 前記インバータ主回路の損失を算出するとき、当該インバータ主回路の駆動条件に応じて算出に用いる関数の一部を切り替えることを変更することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のインバータ装置。
- 前記内部回路を冷却する強制冷却手段をさらに備え、
前記強制冷却手段による損失を含めて入力電力を算出することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のインバータ装置。 - 前記直流部回路を構成する付属回路を接続するための外部接続手段をさらに備え、 前記制御電源回路7の損失を算出するとき、前記外部接続手段に接続されている前記付属回路の種類および数量の少なくとも一方に基づいて、当該付属回路における損失を含んで前記制御電源回路の損失を算出することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載のインバータ装置。
- 前記整流回路または平滑コンデンサ回路の損失を算出するとき、後段の回路への出力電力を変数として各内部回路における損失を算出することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載のインバータ装置。
- 前記整流回路または平滑コンデンサ回路の損失を算出するとき、後段への出力電力に加えて、他の変数を備えていることを特徴とする請求項8記載のインバータ装置。
- 前記内部回路の損失を算出するとき、負荷装置に対する定格出力ごとに予め設定されている値を係数として用いることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載のインバータ装置。
- 前記内部回路の損失を算出するとき、負荷装置に対する定格出力ごとに予め設定されている関数を用いることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載のインバータ装置。
- 前記内部回路の損失を算出するとき、予め設定されているテーブルを用いて損失を算出することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項記載のインバータ装置。
- 前記整流回路の前段に交流リアクトルを、又、前記整流回路の後段に直流リアクトルを接続可能であり、
入力電力を算出するとき、前記交流リアクトル又は前記直流リアクトルにおける損失も含んで算出することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項記載のインバータ装置。 - 回生動作による運転が可能であり、
入力電力を算出するとき、前記回生動作時におけるエネルギーの移動、及び当該エネルギーの移動に伴う損失も含んで算出することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項記載のインバータ装置。 - 前記整流回路の後段側に制動抵抗器を有する制動回路を接続可能であり、
入力電力を算出するとき、前記制動抵抗器における消費エネルギーも含んで算出することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項記載のインバータ装置。
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