JP5498230B2 - アノード支持型ハーフセルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アノード支持型ハーフセルの製造方法および該製造方法により得られたアノード支持ハーフセル、ならびにアノード支持型セル、固体電解質形燃料電池に関するものである。
燃料電池はクリーンエネルギー源として注目されており、その用途は家庭用発電から業務用発電、さらには自動車用発電などを主体にして、急速に改良研究および実用化研究が進められている。
固体酸化物形燃料電池の代表的な構造は、平板状固体電解質膜の片面側にアノード電極、他方面側にカソード電極を設けたセルを縦方向に多数積層したスタックが基本となっている。ここで、固体酸化物形燃料電池の発電性能を高めるためには、固体電解質膜を緻密かつ薄肉化することが有効とされている。これは、固体電解質膜には発電源となる燃料ガスと空気の混合を確実に阻止する緻密性と、導電ロスを極力抑えることのできる優れたイオン導電性が求められるためである。しかしながら、固体電解質膜を薄肉化するほど、セルを多数積層した場合に積層荷重によって割れが生じやすくなる傾向がある。そこで固体電解質膜をより薄肉化するために、固体電解質のアノード電極側に、アノード電極および固体電解質膜を支持するアノード支持基板を設けたアノード支持型セルが提案されている。
このようなアノード支持型セルに用いられるアノード支持型ハーフセルを製造する場合、製造工程を簡略化するため、アノード支持基板グリーンシート、アノード層前駆体および電解質層前駆体の積層体を作製し、該積層体を同時に焼成する方法が採用されることがある。このように異なる材料からなる3層を共焼結する場合、各層の収縮率の違いから、焼成物に大きな反りを生じるという問題がある。
ここで、焼成物の反りを低減する方法として、アノード支持型ハーフセルの製造方法に関するものではないが、例えば、焼成物に重しを載せた状態で、焼成温度よりも低い温度で加熱処理する方法(特許文献1(請求項1)、特許文献2(請求項1)参照);焼成物に重しを載せた状態で焼成した後、アニールする方法(特許文献3(請求項1)参照);燃料極と電解質とを一体焼成した後に、空気極の上部に荷重をかけた状態で焼成する方法(特許文献4(請求項2)参照);複数の貫通孔が形成された板状の支持体成型体に荷重をかけて乾燥した後、内側電極成型体、固体電解質成型体を積層して、荷重をかけて焼成する方法(特許文献5(請求項1、請求項2)参照);が提案されている。
特開2006−324493号公報 特開2000−169265号公報 特開2006−312561号公報 特開2009−146745号公報 特開2004−296276号公報
上記のように焼成物の反りを低減する方法がいくつか提案されている。しかしながら、これらの方法をアノード支持型ハーフセルの製造、特に、アノード支持基板グリーンシート、アノード層前駆体および電解質層前駆体の積層体を作製し、該積層体を同時に焼成する場合に適用すると以下の問題がある。すなわち、未焼成の積層体に重しを載せてしまうと電解質層を傷つけてしまい、発電性能の低下を招く。また、焼成後の積層体に重しを載せた状態で焼成温度よりも低い温度での加熱処理を施すと、反り高さは低減されるが、焼成物の断面が波打った形状となる。このように、断面が波打った形状では、スタックを形成した際に割れを生じやすいという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、アノード支持型ハーフセルの反りを低減することができ、かつ、その断面形状が波打っていないアノード支持型ハーフセルが得られる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、アノード支持基板グリーンシート、アノード層前駆体および電解質層前駆体の積層体を作製し、該積層体を同時に焼成してアノード支持型セルを製造する場合に、反りを低減する方法についてさらに研究を進めた。その結果、焼成後の積層体に重しを載せた状態で焼成温度よりも低い温度での加熱処理を施した場合、積層体は重しによって反りが低減されるが、この時積層体がほとんど収縮しないために、断面形状が波打ってしまうことがわかった。そこで、重しにより反りを低減させる際の熱処理条件について検討を進めた結果、重しを載せて熱処理を施す際に、積層体をある程度収縮させれば、反りを低減させる際に、断面形状が波打たないことを見出して本発明を完成した。
上記課題を解決することができた本発明の製造方法は、アノード支持基板(A)と、前記アノード支持基板に積層されたアノード層(B)と、前記アノード層上(前記アノード支持基板が積層された面と反対の面)に積層された電解質層(C)とを有するアノード支持型ハーフセルを製造する方法であり、アノード支持基板グリーンシート(a)、アノード層前駆体(b)および電解質層前駆体(c)の積層体を形成する工程;前記積層体に重しを載せずに焼成する一次焼成工程;および、一次焼成後の積層体に重しを載せ、前記一次焼成時の温度以上で焼成する二次焼成工程を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法では、焼成工程を、重しを載せないで焼成する一次焼成工程と、重しを載せて焼成する二次焼成工程の2段階に分けて行う。これにより、一次焼成工程において電解質層前駆体がある程度焼成されるため、二次焼成工程で重しを載せても、電解質層へのキズ付きが抑制される。また、二次焼成時の焼成温度を、一次焼成の焼成温度以上とすることにより、積層体が二次焼成においても収縮することとなる。そのため、積層体は、重しによって反りが低減するように変形されるとともに、その湾曲した部分の長さ(弧の長さ)が収縮するため、断面形状が波打つことなく最大反り高さを低減することができる。
前記二次焼成工程における、前記積層体の収縮率は0.1%以上5%以下が好ましい。二次焼成時の収縮率が0.1%以上であれば、積層体の断面形状が波打つことがより抑制され、5%以下であれば、焼成後のアノード支持基板およびアノード層の空孔率が良好となる。
前記二次焼成工程の焼成温度(T2)と前記一次焼成の焼成温度(T1)との差(T2−T1)は10℃以上150℃以下が好ましい。前記焼成温度の差が10℃以上150℃以下であれば、二次焼成時の積層体の収縮率を好ましい範囲に制御しやすくなる。また、前記重しによる荷重は0.35kPa以上6kPa以下が好ましい。重しによる荷重が0.35kPa以上6kPa以下であれば、最大反り高さをより低減でき、かつ、二次焼成時の積層体の割れの発生をより抑制することができる。
本発明には、上記製造方法により得られるアノード支持型ハーフセル、該アノード支持型ハーフセルにカソード層を形成したアノード支持型セルおよび、該アノード支持型セルを有する固体電解質形燃料電池も含まれる。
本発明によれば、反りが低減され、かつ、断面形状が単峰性であるアノート支持型ハーフセルが得られる。
本発明の製造方法における焼成時の積層体の変形を説明する図であり、(a)は一次焼成前の積層体、(b)は一次焼成後の積層体、(c)は二次焼成前の積層体、(d)は二次焼成後の積層体を示す。 従来の製造方法における、焼成時の積層体の変形を説明する図であり、(a)は一次焼成前の積層体、(b)は一次焼成後の積層体、(c)は二次焼成前の積層体、(d)は二次焼成後の積層体を示す。 製造例1のアノード支持型ハーフセルにおけるレーザー光学式非接触三次元形状測定結果を示す図である。 製造例2のアノード支持型ハーフセルにおけるレーザー光学式非接触三次元形状測定結果を示す図である。 製造例1のアノード支持型ハーフセルの測定位置と反り高さの関係を示す折れ線グラフである。 製造例2のアノード支持型ハーフセルの測定位置と反り高さの関係を示す折れ線グラフである。
本発明の製造方法は、アノード支持基板(A)と、前記アノード支持基板に積層されたアノード層(B)と、前記アノード層上(前記アノード支持基板が積層された面と反対の面)に積層された電解質層(C)とを有するアノード支持型ハーフセルを製造する方法であり、アノード支持基板グリーンシート(a)、アノード層前駆体(b)および電解質層前駆体(c)の積層体を形成する工程;前記積層体に重しを載せずに焼成する一次焼成工程;および、一次焼成後の積層体に重しを載せ、前記一次焼成時の温度以上で焼成する二次焼成工程を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法により、断面形状が波打っていないアノード支持型ハーフセルが得られる理由は次のように考えられる。以下、図1、図2を参照して、本発明の製造方法と従来の製造方法との違いを説明する。図1は、本発明の製造方法における焼成時の積層体の変形を説明する図である。図2は、従来の製造方法における焼成時の積層体の変形を説明する図である。
従来の製造方法では、図2(a)に示すように、アノード支持基板グリーンシート、アノード層前駆体および電解質層前駆体の積層体1を焼成台2に置いて、一次焼成した後(図2(b))、一次焼成後の積層体に重し3を載せた状態で、一次焼成温度よりも低い温度で二次焼成を行い(図2(c))、反りを低減させている(図2(d))。つまり、従来の製造方法は、一次焼成で積層体の焼成を完結し、二次焼成はあくまで反りを修正するための熱処理としての位置付けである。
そのため、図2(b)に示すように、積層体は一次焼成後の時点で、大きく収縮して気孔が減少している。また、一次焼成の段階で、重しを載せない状態で焼成を完結しているため、その反り量も大きくなっている。次いで、図2(c)に示すように重しを載せて熱処理を行っているが、その熱処理温度は一次焼成時の焼成温度未満であるため、この熱処理時に積層体はほとんど収縮しない。従って、熱処理時の積層体の変形とは、出っ張った部分を凹ましただけに過ぎず、得られる積層体は図2(d)に示すように、断面形状が波打ったものとなってしまう。
これに対して本発明の製造方法では、図1(a)に示すように、アノード支持基板グリーンシート、アノード層前駆体および電解質層前駆体の積層体1を焼成台2に置いて、一次焼成した後(図1(b))、一次焼成後の積層体に重し3を載せた状態で、一次焼成温度以上の温度で二次焼成を行い(図1(c))、反りを低減させている(図1(d))。つまり、本発明の製造方法は、一次焼成では焼成を完結せず仮焼成とし、二次焼成にて焼成を完結させる。
そのため、図1(b)に示すように、積層体は一次焼成後の時点では、充分に収縮しておらず気孔が過度に存在している。つまり、未だ収縮する余地を残した状態にある。また、一次焼成の段階では、焼成が完結していないため、その反り量も小さくなっている。次いで、図1(c)に示すように重しを載せて二次焼成を行うが、その焼成温度が一次焼成時の焼成温度以上であるため、この二次焼成時においても積層体がさらに収縮する。従って、二次焼成時の積層体の変形は、出っ張った部分を押さえつけるとともに、その湾曲した部分の長さ(弧の長さ)が収縮するため、得られる積層体は図1(d)に示すように、断面形状が波打たないものとなる。
以下、本発明を工程ごとに説明する。
1.積層体形成工程
本発明の製造方法では、まず、アノード支持基板グリーンシート(a)、アノード層前駆体(b)および電解質層前駆体(c)の積層体を形成する。
前記積層体を形成する方法としては、例えば、アノード支持基板グリーンシートおよびアノード層グリーンシートをそれぞれ作製した後、これらを積層してアノード支持基板グリーンシートとアノード層グリーンシートの積層体を作製し、該積層体のアノード層グリーンシート上に電解質ペーストを成膜、乾燥して電解質層前駆体を形成する方法(態様1);アノード支持基板グリーンシート、アノード層グリーンシートおよび電解質層グリーンシートをそれぞれ別々に作製した後、これらを積層する方法(態様2);アノード支持基板グリーンシートを形成した後、その上にアノード層用ペーストを成膜、乾燥し、アノード層グリーンシートとアノード層前駆体の積層体を形成し、該積層体のアノード層前駆体上に電解質ペーストを成膜、乾燥して電解質層前駆体を形成する方法(態様3);などが挙げられる。
以下、前記積層体を形成する方法の一例として前記態様1を説明する。まず、前記アノード層グリーンシート(a)およびアノード支持基板グリーンシート(b)の積層体の製造方法について説明する。
前記アノード層グリーンシートおよびアノード支持基板グリーンシートは、導電成分、骨格成分および気孔形成剤を、バインダーと溶媒、および必要により分散剤や可塑剤などと共に均一に混合してスラリーを調製し、調製したスラリーを、ドクターブレード法、カレンダーロール法、押出し法など任意の方法で平滑なシート(例えばポリエステルシートなど)上に適当な厚みで敷き延べ、乾燥して溶剤を揮発除去することにより得られる。
前記導電成分は、アノード層およびアノード支持基板に導電性を与える上で必須の成分であり、その素材となる導電成分粉末とは、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルトのように燃料電池稼動時の還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物、あるいはこれらの酸化物を2種以上含有するニッケルフェライトやコバルトフェライトのような複合金属酸化物が挙げられる。これらは単独で使用し得るほか、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用できる。
前記導電成分粉末は、平均粒子径(D50)が0.2μm以上、5μm以下で90体積%径(D90)が15μm以下が好ましく、より好ましくは平均粒子径が0.3μm以上、3μm以下で90体積%径が10μm以下、さらに好ましくは平均粒子径が0.4μm以上、2μm以下で90体積%径が8μm以下が好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、粒度分布から求められるメジアン径、すなわち50体積%径(D50)をいうものとする。これら平均粒子径と90体積%径は、堀場製作所製のLA−920などのレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用い、0.2質量%メタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒として測定した粒度分布から求めることができる。
前記骨格成分は、アノード層およびアノード支持基板の耐積層荷重強度と耐レドックス性を確保する上で重要な成分である。前記骨格成分粉末は、アノード層およびアノード支持基板と電解質層との熱膨張を極力一致させるため、ジルコニア、アルミナ、チタニア、セリア、アルミニウムマグネシウムスピネル、アルミニウムニッケルスピネルなどが使用される。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記骨格成分粉末は、平均粒子径(D50)が0.1μm以上、3μm以下で90体積%径(D90)が6μm以下が好ましく、より好ましくは平均粒子径が0.1μm以上、1.5μm以下で90体積%径が3μm以下、さらに好ましくは平均粒子径が0.2μm以上、1μm以下で90体積%径が2μm以下が好ましい。
前記導電成分粉末と骨格成分粉末の使用量は、これらの合計を100質量%としたとき、導電成分粉末と骨格成分粉末との比(導電成分粉末/骨格成分粉末)を30質量%/70質量%以上、80質量%/20質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%/60質量%以上、70質量%/30質量%以下である。
前記気孔形成剤としては、グリーンシート焼成時に焼失するものであればその種類は問わず、アクリル系樹脂などからなる架橋微粒子集合体;小麦粉、トウモロコシ澱粉(コーンスターチ)、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉などの天然有機質粉体;メラミンシアヌレートなどの熱分解性もしくは昇華性の樹脂粉体;カーボンブラックや活性炭などの炭素質粉体などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記気孔形成剤の平均粒子径は0.5μm以上、100μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以上、50μm以下が好ましい。また。前記気孔形成剤の10体積%径は0.1μm、10μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上、5μm以下である。
前記気孔形成剤の使用量は、前記導電成分粉末と骨格成分粉末との合計100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、より好ましくは5質量部以上であり、40質量部以下が好ましく、より好ましくは30質量部以下である。気孔形成剤の使用量を上記範囲内とすることにより、焼成時の熱分解によって適度に気孔が形成され、アノード支持基板およびアノード層のガス透過性や物理的強度がより良好となる。
前記バインダーとしては、特に限定されず、従来公知の有機質のバインダーを適宜選択して使用することができる。有機質バインダーとしては、例えば、エチレン系共重合体、スチレン系共重合体、アクリレート系およびメタクリレート系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ビニルブチラール系樹脂、ビニルアセタール系樹脂、ビニルホルマール系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ワックス類、エチルセルロースなどのセルロース類などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒としては、特に限定されず、アルコール類、グリコールエーテル類、脂肪族炭化水素系、ケトン類、エステル類など多種の有機溶剤を使用することができる。前記有機溶剤としては、具体的には、α−テルピネオール、ジヒドロターピネオール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、グリセリン、ポリエチレングリコールなどのアルコール類;ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールなどのグリコールエーテル類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ケロシン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、ターピネオールアセテート、ジヒドロターピネオールアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレン、などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも塗工後の乾燥を早めるために、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、アセトン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどが好ましい。
前記分散剤はセラミックス粉末の解膠や分散を促進するものである。前記分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アンモニウムなどの高分子電解質;クエン酸、酒石酸などの有機酸;イソブチレンまたはスチレンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニウム塩あるいはアミン塩;ブタジエンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニウム塩などが挙げられる。
前記可塑剤は、電解質層に柔軟性を付与するものである。前記可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジトリデシルなどのフタル酸エステル類;プロピレングリコールなどのグリコール類やグリコールエーテル類;フタル酸系ポリエステル、アジピン酸系ポリエステル、セバチン酸系ポリエステルなどのポリエステル類が挙げられる。
なお、アノード層用スラリーおよびアノード支持基板用スラリーの各原料の配合量は、所望の物性に応じて適宜調製すればよい。またスラリーから得られたシートの乾燥条件は、溶媒を蒸発できる程度にすればよく、例えば70℃以上120℃以下程度で1時間以上10時間以下程度加熱すればよい。ここで、アノード層グリーンシートの厚さは5μm以上30μm以下が好ましく、アノード支持基板グリーンシートの厚さは100μm以上500μm以下が好ましい。
そして、得られたアノード層グリーンシートおよびアノード支持基板グリーンシートを積層し、加熱プレスすることにより積層体とする。この時、加熱プレスの条件は、特に限定されず、例えば30℃以上100℃以下程度で、0.2MPa以上2MPa以下、10秒間以上5分間以下プレスすればよい。また、アノード支持基板については、所望の強度を確保するために、複数枚のグリーンシートを積層して用いてもよい。
続いて、得られた積層体のアノード層グリーンシート上に前記電解質ペーストをスクリーン印刷する。前記電解質ペーストは、少なくともセラミックス粉末および溶媒を混合して電解質ペーストを調製する。
前記セラミックス粉末は、常法により製造してもよいし、あるいは市販のものを使用してもよい。前記セラミックス粉末は、通常電解質層の材料として用いられるものであればとくに限定されず、例えば、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテルビウムなどで安定化されたジルコニア;イットリア、サマリア、ガドリニアなどでドープされたセリア;ランタンガレート、およびランタンガレートのランタンまたはガリウムの一部がストロンチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、コバルト、鉄、ニッケル、銅などで置換されたランタンガレート型ペロブスカイト構造酸化物などを使用することができる。
特に、セラミックス粉末として、3モル%以上10モル%以下の酸化イットリウムで安定化されたジルコニア、4モル%以上12モル%以下の酸化スカンジウムで安定化されたジルコニア、8モル%以上12モル%以下の酸化スカンジウムと4モル%以上15モル%以下の酸化イッテルビウムで安定化されたジルコニアを用いることが好ましい。また、これらの安定化ジルコニアに、アルミナ、シリカ、チタニアなどを焼結助剤や分散強化剤として添加した材料も好適に用いることができる。
前記セラミックス粉末は、平均粒子径が0.3μm以上、0.7μm以下と微細なものを用いることが好ましい。また、セラミックス粉末としては、粒径分布の小さいものが好適である。具体的には、平均粒子径が0.3μm以上、0.7μm以下であり、かつ、90体積%径(D90)が1.2μm以下であるものが好ましく、より好ましくは平均粒子径が0.4μm以上、0.6μm以下であり、90体積%径が1.0μm以下である。
前記溶媒としては、特に限定されず、前記アノード層用スラリーの材料として挙げたものから選択して使用することができる。溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、スクリーン印刷により電解質層前駆体を形成する場合、溶媒としては特に限定されず、アルコール類、グリコールエーテル類、脂肪族炭化水素系、ケトン類、エステル類など多種の有機溶剤を使用することができる。前記有機溶剤の具体例としては、α−テルピネオール、ジヒドロターピネオール、ターピネオールアセテート、ジヒドロターピネオールアセテート、ケロシン、1−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ブタノン、イソプロピルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、トルエン、シクロヘキサン、メチルエチルケトンなどが好ましい。溶媒の使用量は、特に限定されず、スクリーン印刷を行う際の電解質ペーストの粘度を考慮して適宜調節すればよい。
前記電解質ペーストには、セラミックス粒子および溶媒に加えて、バインダー、分散剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤などを添加してもよい。前記バインダー、分散剤や可塑剤は、成膜する電解質前駆体の材料に合わせて、前記アノード層用スラリーの材料として挙げたものから選択して使用することができる。電解質ペーストは、上記成分を適量混合することにより調製する。その際、各粒子を細かくしたり粒子径を均一化するために、ボールミルなどを用いて粉砕しつつ混合してもよい。また、各成分の添加の順番は特に制限されず、従来方法に従えばよい。
アノード層グリーンシート上に電解質ペーストを成膜する際のスクリーン印刷は、従来行われている方法と同様に行えばよい。アノード層グリーンシート上に塗工される電解質ペーストの厚さは5μm以上が好ましく、より好ましくは7μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、30μm以下が好ましく、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
アノード層グリーンシート上に塗工された電解質ペーストは、乾燥して溶剤を揮発除去する。電解質ペーストの乾燥条件は、溶媒を蒸発できる程度にすればよく、例えば70℃以上120℃以下程度で15分間以上10時間以下程度加熱すればよい。乾燥後の電解質前駆体の厚さは5μm以上25μm以下程度が好ましい。
2.一次焼成工程
一次焼成工程では、前記積層体に重しを載せずに焼成を行う。重しを載せずに焼成することにより、電解質層へのキズ付きが防止される。また、一次焼成工程において電解質層前駆体がある程度焼成されるため、二次焼成工程で重しを載せても、電解質層へのキズ付きが抑制される。
一次焼成時の焼成温度は、900℃以上が好ましく、より好ましくは1100℃以上、さらに好ましくは1250℃以上であり、1400℃以下が好ましく、より好ましくは1350℃以下、さらに好ましくは1280℃以下である。また、一次焼成時の焼成時間は、0.1時間以上が好ましく、より好ましくは0.5時間以上、さらに好ましくは1時間以上であり、10時間以下が好ましく、より好ましくは7時間以下、さらに好ましくは5時間以下である。
また、本発明の製造方法においては、一次焼成時の焼成温度を本来の焼成温度よりも低く設定することが好ましい。そのため、一次焼成時の積層体の収縮率を7%以上とすることが好ましく、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは12%以上であり、40%以下とすることが好ましく、より好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下である。一次焼成時の積層体の収縮率が7%以上であれば、一次焼成後の積層体が充分な強度を有し、二次焼成を施す際のハンドリング性がより良好となり、40%以下であれば最終的に得られるアノード支持基板およびアノード層の空孔率が良好となる。
3.二次焼成工程
二次焼成では、一次焼成後の積層体に重しを載せ、前記一次焼成時の温度以上で焼成する。二次焼成時の焼成温度を、一次焼成の焼成温度以上とすることにより、積層体が二次焼成により収縮することとなる。そのため、積層体は、収縮を伴って、重しにより変形させられるため、断面形状が波打つことなく最大反り高さを低減することができる。
二次焼成時の積層体の収縮率は0.1%以上が好ましく、より好ましくは0.12%以上、さらに好ましくは0.14%以上であり、5%以下が好ましく、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。二次焼成時の収縮率が0.1%以上であれば、積層体の断面形状が波打つことがより抑制され、5%以下であれば、焼成後のアノード支持基板およびアノード層の空孔率が良好となる。
二次焼成時の焼成温度は、1100℃以上が好ましく、より好ましくは1200℃以上、さらに好ましくは1290℃以上であり、1500℃以下が好ましく、より好ましくは1400℃以下、さらに好ましくは1330℃以下である。また、二次焼成時の焼成時間は、0.1時間以上が好ましく、より好ましくは0.5時間以上、さらに好ましくは1時間以上であり、10時間以下が好ましく、より好ましくは7時間以下、さらに好ましくは5時間以下である。
二次焼成工程の焼成温度(T2)は前記一次焼成の焼成温度(T1)超とすることが好ましい。こうすることにより、二次焼成時の積層体の収縮率を好ましい範囲に制御しやすくなる。なお、二次焼成工程の焼成温度(T2)を、一次焼成工程の焼成温度(T1)と同じ温度とする場合には、焼成時間を調節することにより、積層体の収縮率を制御すればよい。また、二次焼成工程の焼成温度(T2)と前記一次焼成の焼成温度(T1)との差(T2−T1)は10℃以上が好ましく、より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上であり、150℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは70℃以下である。
前記重しによる荷重は0.35kPa以上が好ましく、より好ましくは0.5kPa以上、さらに好ましくは0.7kPa以上であり、6kPa以下が好ましく、より好ましくは4kPa以下、さらに好ましくは2kPa以下である。前記荷重が0.5kPa以上であれば、積層体の反りをより低減することができ、6kPa以下であれば、二次焼成時の積層体の割れの発生をより抑制することができる。なお、重しは、下面が平坦であれば特に限定されないが、アルミナ、ジルコニア、ムライトおよびコージェライトなどからなるセラミックが好ましい。
4.アノード支持型ハーフセル
本発明のアノード支持型ハーフセルは、上記製造方法により得られたものである。本発明の製造方法により得られたアノード支持型ハーフセルは、反りが低減されており、またその断面形状が波打っていないため、スタック時に割れを生じにくい。
前記アノード支持型ハーフセルの最大反り高さは1000μm以下が好ましく、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは300μm以下である。また、最大反り高さのシート最大径長さに対する比率(反り率)(最大反り高さ/シート最大径長さ)は1%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下である。最大反り高さおよび反り率が上記範囲内であれば、スクリーン印刷などによるカソード層形成をより均一且つ精度よく行ない得ると共に、多数枚の積層による積層荷重や熱ストレスを受けた時の応力集中によって生じるクラックや割れを可及的に抑えることができる。
上記最大反り高さとは、レーザー光学式三次元形状測定装置のワーク台にアノード支持型ハーフセルを載置し、該ハーフセルの電解質層にレーザー光を照射しながら最大外径線(円形の場合は直径、正方形や長方形の場合は対角線、五角形以上の多角形の場合はその中心点を通る直線の周端縁までの最大長さを表わす)上をスキャンさせて得られる最大高さ位置と最低高さ位置との差を意味する。また、前記反り率とは、レーザー光学式三次元形状測定装置のワーク台にアノード支持型ハーフセルを載置し、レーザー光を照射しながら最大外径線上をスキャンさせて得られる前記最大外径長さに対する最大反り高さの割合(百分率)を意味する。
また、前記アノード支持型ハーフセルの断面形状は波打っていないことが好ましい。すなわち、アノード支持型ハーフセルの断面形状が単峰性であることが好ましい。アノード支持型ハーフセルの断面形状が単峰性であれば、スタック時における割れの発生をより抑制することができる。なお、「アノード支持型ハーフセルの断面形状が単峰性である」とは、その最大外径線上における反り高さを10mmごとに測定して、各測定位置において得られた反り高さを縦軸とし、最大外径線上における測定位置を横軸とする測定位置と反り高さの関係を示す折れ線グラフを作成したとき、該折れ線グラフが単峰性を示す場合をいう。
例えば、実施例における製造例1のアノード支持型ハーフセルの場合、レーザー光学式三次元形状測定装置により測定される最大外径線の断面形状は、図3に示すようになる。よって、最大外径線上における反り高さを10mmごとに測定して、測定位置と反り高さの関係を示す折れ線グラフは図5のようになる。この図5より、実施例における製造例1のアノード支持型ハーフセルの断面形状は単峰性であることがわかる。
5.アノード支持型セル
本発明のアノード支持型セルは、前記アノード支持型ハーフセルにおいて、前記電解質の前記アノード層が積層された面と反対の面に、カソード層が形成されている。前記カソード層は、カソード層材料を、バインダーと溶媒、および必要により分散剤や可塑剤などと共に均一に混合してペーストを調製し、調製したペーストを電解質層上にスクリーン印刷などにより塗工し、乾燥、焼成することで形成できる。
前記カソード層材料としては、電子導電性に優れ、酸化雰囲気下でも安定なペロブスカイト形酸化物からなるものが一般的に用いられる。具体的には、La0.8Sr0.2MnO3、La0.6Sr0.4CoO3、La0.6Sr0.4FeO3、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83など、ランタンの一部をストロンチウムで置換したランタンマンガナイト、ランタンフェライトやランタンコバルタイトなどがカソード層材料として好ましい。また、カソード層に酸素イオン導電性を付与するために、希土類元素などをドープしたセリアを適宜混合してもよい。
カソード層用のペーストに用いられるバインダー、溶媒、分散剤、可塑剤などは、電解質ペーストと同様のものを使用すればよい。なお、各原料の配合量は、所望の物性に応じて適宜調製すればよい。得られたペーストを電解質層上に塗工する方法は、特に限定されないが、スクリーン印刷が好適である。スクリーン印刷は、従来行われている方法と同様に行えばよい。
電解質層上に塗工されたカソード層用ペーストを、乾燥、焼成してカソード層を形成する。カソード用ペーストの乾燥条件は、溶媒を蒸発できる程度にすればよく、例えば70℃以上120℃以下程度で15分間以上10時間以下程度加熱すればよい。またカソード層前駆体の焼成条件は、その原料および厚さに応じて適宜調節すればよいが、例えば、700℃以上1300℃以下程度で2時間以上10時間以下程度焼成すればよい。電解質上に形成されるカソード層の厚さは10μm以上80μm以下が好ましい。
6.固体電解質形燃料電池
本発明の固体電解質形燃料電池は、上記アノード支持型セルを有することを特徴とする。上記アノード支持型セルは、その反りが低減されており、また断面形状が単峰性である。そのため、上記アノード支持型セルを有する固体電解質燃料電池は、アノード支持型セルの割れによる劣化が抑制され、長寿命である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
評価方法
〈最大反り高さ、断面形状〉
レーザー光学式非接触三次元形状測定装置(UBM社製、商品名「UBM1−14型」マイクロフォーカス エキスパート)を使用し、電解質層にレーザー光を照射してその反射光を三次元解析することにより、アノード支持型ハーフセルの最大反り高さと反り率を求めた。なお、測定装置の仕様は、光源;半導体レーザー(780nm)、スポット径;1μm、垂直分離能;0.01μmであり、スキャンピッチは0.2mmとした。
〈荷重割れ試験〉
表面が平滑で平行度を保った2枚のアルミナ板(ニッカトー社製、「SSA−S」)にハーフセルを挟んだ状態で設置した。上部アルミナ板の上から、材料試験機(インストロン社製、「4301型」)を用いて圧縮荷重をかけていき、ハーフセルが割れた際の圧縮荷重を測定した。圧縮荷重は、2.0kN(200kgf)を最大とし、圧縮荷重2.0kNでも割れない場合は、「割れなし」と評価した。なお、試験は各シート5枚行った。
製造例1
1−1.アノード支持基板グリーンシートの作製
導電成分としての酸化ニッケル(正同化学社製、平均粒子径0.7μm、90体積%径1.2μm)60質量部、骨格成分としての8モル%イットリウム安定化ジルコニア粉末(第一希元素社製、商品名「HSY−8.0」、平均粒子径0.6μm、90体積%径1.0μm)40質量部、空孔形成剤としてのカーボンブラック(SECカーボン社製、SGP−3、平均粒子径3.3μm、10体積%径1.5μm)10質量部、溶媒としてのトルエン60質量部とエタノール40質量部の混合溶剤、バインダーとしてのブチラール樹脂(積水化学社製、品名「BM−S」)10質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート(和光純薬工業社製)3質量部、分散剤としてのソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤2質量部を、ボールミルにより混合し、スラリーを調製した。
得られたスラリーを使用し、ドクターブレード法によりシート成形し、70℃で5時間乾燥させて、厚さ300μmのアノード支持基板グリーンシートを作製した。
1−2.アノード層グリーンシートの作製
導電成分としての酸化ニッケル(キシダ化学社製、平均粒子径0.75μm、90体積%径1.4μm)60質量部、骨格成分としての8モル%イットリウム安定化ジルコニア粉末(第一希元素社製、商品名「HSY−8.0」、平均粒子径0.6μm、90体積%径1.0μm)40質量部、空孔形成剤としてのカーボンブラック(SECカーボン社製、SGP−3、平均粒子径3.3μm、10体積%径1.5μm)6質量部、溶媒としてのトルエン60質量部とエタノール40質量部の混合溶剤、バインダーとしてのブチラール樹脂(積水化学社製、品名「BM−S」)10質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート(和光純薬工業社製)3質量部、分散剤としてのソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤2質量部を、ボールミルにより混合し、スラリーを調製した。
得られたスラリーを使用し、ドクターブレード法によりシート成形し、100℃で1時間乾燥させて、厚さ20μmのアノード層グリーンシートを作製した。
1−3.アノード層グリーンシートとアノード支持基板グリーンシートの積層体の作製
上記で得たアノード支持基板グリーンシートを4枚積層し、さらにその最上部に上記で得たアノード層グリーンシートを積層した。アノード支持基板グリーンシートとアノード層グリーンシートを積層したものを、ホットプレス機を用いて、60℃、0.5MPa、30秒間熱プレスし、積層体を作製した。
1−4.電解質膜の形成
セラミックス粉末として8モル%イットリウム安定化ジルコニア粉末(第一希元素社製、商品名「HSY−8.0」、平均粒子径(D50)0.5μm、90体積%径(D90)0.9μm)60質量部、バインダーとしてエチルセルロース(和光純薬工業社製)を5質量部、溶媒としてα−テルピネオール(和光純薬工業社製)を40質量部、可塑剤としてジブチルフタレート(和光純薬工業社製)を6質量部、分散剤としてソルビタン酸エステル系界面活性剤(三洋化成社製、商品名「イオネットS−80」)5質量部を乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質;アルミナ)を用いて解砕した。
解砕後の電解質ペーストをスクリーン印刷により、上記で得た積層体のアノード層グリーンシート上に、厚さ15μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させた。乾燥後、直径122mmの円形状に打抜き、アノード支持基板グリーンシート、アノード層前駆体および電解質層前駆体の積層体を作製した。
2.一次焼成
上記で得た積層体を、重しを載せないで1280℃で2時間焼成した。一次焼成時の積層体の収縮率は17.6%であった。また、一次焼成後の最大反り高さは2570μmであった。
3.二次焼成
一次焼成後の積層体に重しを載せた状態で、1310℃で3時間焼成し、直径100mmの円形状アノード支持型ハーフセルを作製した。なお、重しの材質にはアルミナを用いて、重しによる荷重は1.1kPaとした。二次焼成時の収縮率は0.5%であった。
二次焼成後のアノード支持型ハーフセルについて、最大反り量などを評価し、結果を表1に示した。荷重割れ試験では、1枚は1.8kN(187kgf)で割れたが、他の4枚は2.0kN(200kgf)でも割れを生じなかった。
製造例2
一次焼成の焼成温度を1310℃、焼成時間を2時間に変更し、二次焼成の焼成温度を1280℃、焼成温度を3時間に変更したこと以外は、製造例1と同様にしてアノード支持型ハーフセルを作製した。なお、一次焼成時の収縮率は18.0%、二次焼成時の収縮率は0.0%であった。また、一次焼成後の最大反り高さは2850μmであった。二次焼成後のアノード支持型ハーフセルについて、最大反り量などを評価し、結果を表1に示した。荷重割れ試験では、それぞれ0.7kN(75kgf)、0.8kN(81kgf)、0.8kN(78kgf)、0.8kN(84kgf)、0.8kN(82kgf)で割れを生じた。
Figure 0005498230
表1に示すように、製造例1では、一次焼成時の温度を本来の焼成温度よりも低く設定しているため、一次焼成後の最大反り高さが小さくなっている。そして、二次焼成時の焼成温度を一次焼成温度よりも高く設定しているため、最大反り高さ、反り率が小さくなっており、かつ、図5に示すように断面形状が単峰性であった。この製造例1のアノード支持型ハーフセルは荷重割れ試験についても良好な結果となった。
これに対して、製造例2では、積層体の焼成が完結する条件で一次焼成を行っているため、一次焼成後の最大反り高さが大きい。また、反りを修正するための二次焼成時の焼成温度が一次焼成温度よりも低く、二次焼成時の収縮率が0.0%であった。そのため、最大反り高さは一次焼成後よりも小さくなっているものの、図6に示すように断面形状が二峰性であり、波打っていた。この製造例2のアノード支持型ハーフセルは、荷重割れ試験においても非常に割れやすいものであった。
1:積層体、2:焼成台、3:重し

Claims (4)

  1. アノード支持基板(A)と、前記アノード支持基板に積層されたアノード層(B)と、前記アノード層上に積層された電解質層(C)とを有するアノード支持型ハーフセルを製造する方法であり、
    アノード支持基板グリーンシート(a)、アノード層前駆体(b)および電解質層前駆体(c)の積層体を形成する工程;
    前記積層体に重しを載せずに焼成する一次焼成工程;および、
    一次焼成後の積層体に重しを載せ、前記一次焼成時の温度以上で焼成する二次焼成工程を含み、
    前記一次焼成工程における、前記積層体の収縮率が7%以上、
    前記二次焼成工程における、前記積層体の収縮率が0.1%以上であることを特徴とする製造方法。
  2. 前記二次焼成工程における、前記積層体の収縮率が5%以下である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記二次焼成工程の焼成温度(T2)と前記一次焼成の焼成温度(T1)との差(T2−T1)が10℃以上150℃以下である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記重しによる荷重が0.35kPa以上6kPa以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
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