JPH0666475A - セラミックス焼成炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 平板状のセラミックス焼成効率を向上させ
る。 【構成】 テーブル９上に被焼成物を載せ、荷重用錘板
６を下降させる。テーブル９と錘板６との間でグリーン
体を挟んで焼成する。 【効果】 平板状のグリーン体を仮焼から本焼成まで一
貫して焼成することができ、消費熱エネルギーが少な
く、きわめて経済的である。また、焼成時間も短縮され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はセラミックスを焼成する
セラミックス焼成炉に係り、特に平板状のグリーン体を
一貫焼成して平坦な焼結板とすることができるセラミッ
クス焼成炉に関する。

【０００２】

【従来の技術】セラミックス焼成体を製造する場合、通
常は、まずセラミックス原料粉末に有機バインダーを添
加して混練し、所要形状に成形してグリーン体となす。
次いで、このグリーン体を仮焼してバインダーを酸化消
失させ、その後、本焼成を行なう。

【０００３】このように２段階にわたって焼成するの
は、平板状グリーン体の仮焼中に該平板が「するめ」の
ようにカールするため、本焼成では仮焼物の上に荷重用
錘板を載せたり、仮焼物を裏返しにして焼成して、カー
ル歪みを除去し平坦化する必要があるからである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】平板状セラミックスを
焼成する場合、上記の如く、グリーン体を仮焼した後、
一旦温度を下げ、その後仮焼物を本焼成するようにして
いるから、仮焼から本焼成に移行させる間に多大な熱エ
ネルギーロス及び時間のロスが生じていた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明のセラミックス焼
成炉は、被焼成物を収容する炉体を有したセラミックス
焼成炉において、該炉体の内部に上下動可能に設けられ
た、被焼成物に対し上方から載荷される荷重用錘板と、
該荷重用錘板を昇降させる昇降機構と、を備えなり、該
昇降機構は該荷重用錘板の下方に配置されていることを
特徴とするものである。

【０００６】

【作用】本発明のセラミックス焼成炉においては、炉内
の被焼成物に対し荷重用錘板を載荷させて焼成を行な
う。この結果、被焼成物に反りがあってもこの反りが除
去され、平坦度の高い平板状焼成物が得られる。

【０００７】

【実施例】以下図面を参照して実施例について説明す
る。

【０００８】第１図は本発明の実施例に係るセラミック
ス焼成炉の縦断面図である。第１図において架台１の上
側に炉体２が設置されている。この炉体２は、アウター
ケーシングの内面に断熱材よりなる断熱壁３が設けら
れ、この断熱壁３によって焼成室４を形成しているもの
である。炉体２の床面を貫通してシャフト５が設けられ
ている。このシャフト５の上端に荷重用錘板６が載置さ
れている。該シャフト５は例えばラックアンドピニオン
機構７を介してモータ８により昇降される。

【０００９】焼成室４内にテーブル９を配置しその上に
被焼成物Ａを載せるようになっている。前記荷重用錘板
６は、テーブル９の上面に対峙するように水平に設けら
れている。Ｈは焼成室４内に差し込まれたヒーターであ
る。

【００１０】このように構成されたセラミックス焼成炉
により平板状のセラミックスグリーン体Ａを焼成する場
合、まず荷重用錘板６を上昇させ、テーブル９の上にグ
リーン体Ａを載せる。次いで、荷重用錘板６を所定の位
置まで降下させる。なお、この場合はグリーン体Ａと荷
重用錘板６との間には適当な隙間を開けておき、仮焼時
に発生するガス成分が放散し易くし、また焼成の時に収
縮が自由に行えるようにする。この状態において、焼成
室４内の温度を徐々に上げグリーン体の仮焼を行う。

【００１１】仮焼及び収縮がある程度終了した後、焼成
室４内の温度を上げながら荷重用錘板６を徐々に降下さ
せ、荷重用錘板６を被焼成物（仮焼物）の上に重ねる。
この状態で焼成室４内の温度を所定値まで上昇させ本焼
成を行う。本焼成が終了したら、焼成室４内の温度を徐
々に降下させる。炉内温度が所定の温度にまで降下した
後に、荷重用錘板６を上昇させ荷重用錘板６と被焼成物
とが離反するように荷重用錘板６を十分に上昇させる。
焼成室４の温度が十分降下した後、焼成物をテーブル９
上から取り出す。

【００１２】このように、本実施例のセラミックス焼成
炉によると、平板状のグリーン体Ａを炉内に挿入したま
ま仮焼及び本焼成を一貫して行うことができる。このた
め従来のように、仮焼と本焼成とを別々にするタイプに
比べて著しく消費エネルギーが少なくなり、また、焼成
時間も短いものとなる。

【００１３】なお、上記実施例に係るセラミックス焼成
炉においては、テーブル９、荷重用錘板６、シャフト５
等は、最高焼成温度にも十分に耐える高耐熱性材料で構
成されている。

【００１４】上記実施例では、テーブル９は炉床板上に
水平に置かれている。そして、その上側からテーブル９
の上面に平行な面を持つ荷重用錘板６が降下してきてテ
ーブル９上の被焼成物に対し全面的に水平状態にて密着
する。この結果、反りが全く無く、しかも焼成ムラもな
い高品質のセラミックス平板を焼成することができる。

【００１５】上記実施例では、炉体２内に１個のテーブ
ル９と１枚の荷重用錘板６が配置されているが、本発明
では第２〜４図に示すように、一個の炉体内で多数段と
なるように平板上のテーブルを配置し一度に多数枚のグ
リーン体を一個の炉で焼成するように構成することもで
きる。第２図において、７４はテーブル搭載用架台であ
り、多数枚の搭載用テーブル７５が水平に多段に設けら
れている。各テーブル７５の上にグリーン体７３が載せ
られている。このテーブル搭載用架台７４は炉床上に置
かれている。

【００１６】各テーブル７５の上面に対峙するように荷
重用錘板７１（第３図）が配置される。第３図に示す実
施例では、各荷重用錘板７１は錘板支持台７６に支持さ
れている。この錘板支持台７６の下側にシャフト７７が
設けられており、昇降機構（図示略）により錘板支持台
７６を昇降させるようにしている。

【００１７】シャフト７７を降下させると、第４図のよ
うに各テーブル７５上のグリーン体７３に錘板７１がそ
れぞれ上方から押し付けられ、錘板７１とテーブル７５
との間でグリーン体７３が挟まれる。搭載台７５上で各
グリーン体７３を仮焼し、その後各仮焼体を第４図のよ
うに、各錘板７１が上から押さえた状態で本焼成を行
い、その後炉内温度が所定の温度まで降下したのちに、
シャフト７７を上昇させ、各錘板７１を被焼成体から離
反させる。炉内温度が十分下がったのち被焼成物（焼成
済みセラミックス平板）を取り出す。

【００１８】なお、本発明では、錘板の昇降制御と、炉
内温度ともプログラム制御にするのが好適である。

【００１９】第５図は本発明の実施例に係るトンネル炉
の台車送り方向と直交方向の縦断面図、第６図は第５図
のVI−VI線に沿う縦断面図、第７図はトンネル炉の全体
配置図、第８図はトンネル炉内部での焼成機構を示す側
面図、第９図は台車駆動機構の説明図、第１０図はトン
ネル炉入口付近の平面図である。

【００２０】第５、６図において、フロア１０の上に炉
支持架台１２を介してトンネル状の炉体１４が設置され
ている。１４ａはヒータである。また、フロア１０上に
は１対のレール１６が敷設されている。台車１８はこの
レール１６上を転動する車輪２０により該レール１６に
沿って移動可能とされている。

【００２１】台車１８には上下方向に貫通する貫通孔２
２が穿設されており、該貫通孔２２内にステム２４が上
下方向移動自在に挿設されている。

【００２２】該ステム２４の上端には荷重用錘板３４が
載置されている。ステム２４を支えるステム２５下端に
はキャスタ３０が枢着されている。

【００２３】台車１８の上面にはグリーン体を搭載する
ためのテーブル２８が設置されている。

【００２４】レール１６、１６間のフロア１０において
は、溝３５がレール１６に沿って掘設されている。

【００２５】トンネル状炉体１４の入口側は予熱帯とな
っており、中央付近は焼成帯、出口付近は冷却帯となっ
ている。そして、この予熱帯から焼成帯にかけては前記
溝３５の溝底面は下り勾配のスロープ３６となってお
り、焼成帯から冷却帯にかけての溝３５の溝底面は上り
勾配のスロープ３８となっている。この下り勾配及び上
り勾配のスロープ３６、３８の間の部分がその他の部分
よりも低レベルの低位面４０となっている。

【００２６】なお、台車１８の側面部分は凹部４２とな
っており、炉体１４の内面から側方に突出した凸部４４
が該凹部４２に入り込むことにより台車１８の上方の焼
成室４６からの熱の逃げを防止している。

【００２７】また、第６図に示す如く、台車１８の進行
方向前方部にも凹部４２が設けられ、進行方向後部に設
けられた隣接台車の凸部４６が該凹部４２に入り込むこ
とにより隣接する台車１８、１８間の断熱を行なうよう
構成されている。

【００２８】第７図に示す如く、本実施例ではレール１
６はサーキット状に設置されており、トンネル状炉体１
４は２基設置されている。各炉体１４の入口側の部分に
台車駆動装置５０が設置されている。本実施例では、第
９図に示す如く、この台車駆動装置は駆動プーリ５２と
従動プーリ５４との間に爪付ベルト５６を架けわたした
構造のものであり、該爪付ベルト５６の爪５８が台車１
８の底面に係合して該台車１８を前進させるよう構成さ
れている。

【００２９】第７図の通り、トンネル炉１４の入口側に
は被焼成物を台車１４上に載せるためのグリーン体ハン
ドリング部６０が設けられ、炉体１４の出口側には焼成
物を取り出す焼成物ハンドリング部６２が設けられてい
る。

【００３０】第１０図の如く、炉体１４の入口側には遮
熱ゲート６４が設けられている。

【００３１】このように構成されたトンネル炉におい
て、平板状のグリーン体は台車１８のテーブル２８上に
載せられ、炉体１４内に導入される。そして、予熱帯に
おいて予熱され、このときグリーン体に含まれる有機バ
インダー成分の酸化消失が行なわれる。予熱帯を通った
台車は、焼成帯にさしかかると、下りスロープ３６に沿
ってキャスタ３０が転動することによりステム２４が下
降し、テーブル２８も徐々に下降される。キャスタ３０
が低位部４０にさしかかると、被焼成物は荷重用錘板３
４の下面に押し当てられる。そして、ステム２４が下降
限まで下降した状態にあっては、荷重用錘板３４はステ
ム２４から浮き上った状態となり、該荷重用錘板３４の
重量がテーブル２８上の平板状被焼成物に全てのしかか
った状態となる。このため、被焼成物は、荷重用錘板３
４とテーブル２８とに挟まれて圧迫された状態で焼成さ
れ、それまでに反りが生じていたとしてもこの反りが伸
ばされ、平坦度の高い焼成体となる。

【００３２】このようにして平板状に焼成された焼成物
は、冷却帯において冷却された後、炉体１４外に運び出
され、台車１８から取り出される。

【００３３】このように、本実施例のトンネル炉による
と、平板状のグリーン体をそのままトンネル炉内に導入
して仮焼及び本焼成を一貫して行なうことができる。こ
のため、従来の如く仮焼と本焼成とを別々に行なうタイ
プの焼成装置に比べ著しく消費熱エネルギーが少ない。
もちろん、焼成時間もきわめて短いものとなる。

【００３４】なお、上記実施例に係るトンネル炉におい
て、テーブル２８、荷重用錘板３４等は焼成帯の最高焼
成温度においても十分に耐える高耐熱性材料にて構成さ
れている。

【００３５】上記実施例では、前後が下り勾配及び上り
勾配のスロープ３６、３８となっている低位部４０上を
キャスタ３０が転動することにより荷重用錘板３４が昇
降されるよう構成しているが、かかるカム機構類似の構
造によると、荷重用錘板３４を水平にしたまま確実に上
下動させることができる。また、荷重用錘板３４が被焼
成物上に載置される構成となっているから、被焼成物に
対しては荷重用錘板３４の重量分だけの圧迫力が加えら
れる。このため、各焼成物について均等な圧迫力を確実
に加えることができる。もちろん、かかる荷重用錘板３
４の昇降機構はその構成が簡単であり、しかも耐久性に
も優れている。

【００３６】上記実施例では１台の台車に１個のテーブ
ル２８が設けられているが、複数個のテーブルを１台の
台車に設けても良い。

【００３７】

【発明の効果】以上の通り本発明のセラミックス焼成炉
によると、平板状のグリーン体を仮焼から本焼成まで一
貫して焼成することができ、消費熱エネルギーが少な
く、極めて経済的である。また、焼成時間も短縮され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係るセラミックス焼成炉の縦
断面図である。

【図２】別の実施例に用いられるグリーン体搭載台の斜
視図である。

【図３】錘板支持台及び錘板の係合状態を示す斜視図で
ある。

【図４】別の実施例における焼成状態を示す縦断面図で
あり、第３図の−線断面図である。

【図５】本発明の実施例に係るトンネル炉の縦断面図で
ある。

【図６】第５図のVI−VI線に沿う断面図である。

【図７】トンネル炉配置図である。

【図８】炉内部での平板焼成機構を示す側面図である。

【図９】台車駆動機構を示す側面図である。

【図１０】トンネル炉入口付近の平面図である。

【符号の説明】

１ 架台 ２ 炉体 ６ 荷重用錘板 ９ テーブル １４ 炉体 １４ａ ヒータ １６ レール １８ 台車 ２４ ステム ２８ テーブル ３０ キャスタ ３４ 荷重用錘板 ３６，３８ スロープ ４０ 低位部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被焼成物を収容する炉体を有したセラミ
   ックス焼成炉において、 該炉体の内部に上下動可能に設けられた、被焼成物に対
   し上方から載荷される荷重用錘板と、 該荷重用錘板を昇降させる昇降機構と、を備えてなり、
   該昇降機構は該荷重用錘板の下方に配置されていること
   を特徴とするセラミックス焼成炉。