JP5497809B2 - 美白剤 - Google Patents

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Description

本発明は、美白剤に関し、詳細には、皮膚のシミ、ソバカス等の発生原因ともされている黒色(メラニン)色素の生成沈着を予防乃至は治療すること及び沈着した当該色素の減少を促すことに有効なリオニレシノール類を美白有効成分とする美白剤に関するものである。加えて、当該美白有効成分を含有することによってチロシナーゼの働きを阻害し、及び/または紫外線により皮膚で産生されるメラニン細胞刺激ホルモンによるメラノサイトの活性を阻害し、黒色(メラニン)色素の生成を抑制し、また、沈着した当該色素の減少を促すことができる性能を備えた、飲食品、香粧品、医薬品に関する。
皮膚のシミ・ソバカスは、重大な肌の悩みとされている。特に、シミ・ソバカス及び日焼け後の肌への黒色色素沈着は、加齢に伴って発生、増加すると共に、消失しにくくなってくるので、中高年齢層にとっては避けられない悩みとなっている。皮膚へ沈着する黒色色素は、殆どがメラニン色素であるとされ、これは、表皮と真皮との間にあるメラニン細胞(メラノサイト)内のメラニン生成顆粒(メラノソーム)において生産され、生成したメラニンが、浸透作用により隣接細胞へと拡散するとされている。
従来、メラノサイト内で営まれている生化学反応は、次のように説明されている。即ち、必須アミノ酸であるチロシンがチロシナーゼの作用を受けて、ドーパキノンとなり、これが酵素的又は非酵素的酸化作用を受けて赤色色素及び無色色素を経て黒色のメラニンへと変化する。この過程がメラニン色素の主な生成原因である。従って、この反応の第一段階でおこるチロシナーゼの作用を阻害乃至は抑制することがメラニン生成を抑制することにつなげることができるので、チロシナーゼの作用を阻害乃至は抑制する作用を持った薬物の探索は、チロシナーゼの働きを原因とするメラニンの生成を阻止乃至は抑制する上で、極めて重要な事項である。
斯かる観点から、多くの化合物について研究、開発がなされ、美白効果が期待できるとして、美白剤の名の下に、市場に出されている薬物がある。
これらの中には、例えば、エラグ酸に関するもの(特許文献1参照)、アスコルビン酸やアスコルビン酸誘導体(特許文献2参照)のように主として黒くなったメラニンを還元することにより色黒をうすくするもの、コウジ酸(特許文献3参照)、ハイドロキノン(非特許文献1参照)及びアルブチンのようにメラニン生成細胞に直接働きかけてチロシナーゼ活性を阻害してメラニンの生成を阻害して色黒を抑制するもの、胎盤抽出液(プラセンタエキス)のように新陳代謝を促進して黒いメラニン色素を体外へ排出するもの等が知られている(特許文献4参照)。
近年、紫外線により皮膚で産生されるメラニン細胞刺激ホルモン(α−melanocyte stimulating hormone、以下「α−MSH」という)が、シミ・ソバカスの原因となることが報告されている。このα−MSHは、メラノサイト活性化因子の一つであり、メラノサイト上のレセプターMC1R(melanocortin−1 receptor)を介してメラニン合成を促進する(非特許文献2〜5参照)。また、α−MSHの産生及びMC1Rの発現は紫外線照射により増加することが確認されている(非特許文献6〜7参照)。これらの知見から、α−MSHによるメラノサイト活性化を阻害する作用を有するものは、細胞外から効率的に働きかけることができ、高い美白効果を発揮すると考えられている。そして、このタイプの美白剤として、カントンニンジン等が知られている(特許文献5参照)。
一方、(+)−リオニレシノール及び/または(−)−リオニレシノールは、抗菌作用、抗酸化作用、香気増強作用を有する化合物として知られ(特許文献6参照)、抗菌性化粧料として利用されている(特許文献7参照)。更に、リオニレシノール配糖体には表皮細胞増殖促進作用があることから、抗酸化作用と共に、その性能を利用した老化(シワ、肌荒れ)防止用化粧料としても利用されている(特許文献8参照)。更に、過酸化脂質生成抑制、ラジカル補足活性、酸素ラジカル消去活性等様々な抗酸化活性を有していることが知られている。しかしながら、リオニレシノールの美白作用(メラニン生成を抑制又は阻害する作用)については何ら知られていなかった。
特開昭64−79103号公報 特開平2−45408号公報 特開昭53−3538号公報 特開平8−104616号公報 再公表WO2004/017980 特開2003−128568号公報 特開平10−139601号公報 特開平10−236940号公報 特開平11−255639号公報
JAMA.、第194巻、p.965−967、1965年 J.Cell Sci.、第105巻、p.1079−1084,1993年 J.Cell Sci.、第107巻、p.205−211,1994年 Anal.Biochem.、第159巻、p.191−197,1986年 Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第92巻、p.1792−1793、1995年 Biochem.Biophys.Acta.、第1313巻、p.130−138,1996年 British J.Darmatol、第139巻、p.216−224、1998年
上記のように、美白剤として種々の薬物が提案されているが、これら美白剤を配合しただけの美白化粧料の多くは期待できる効果が弱く、製剤の安定性や皮膚刺激といった安全性の面においても不十分な点があり、満足のいくものではなかった。例えば、アスコルビン酸は安定性が悪く皮膚炎を誘発することが知られ、コウジ酸及びその誘導体は、美白作用は強いものの光や熱によって分解されやすいことが知られている。また、ハイドロキノンも美白作用は強いが不安定でミセル及びエマルジョンといった化粧品の製法において脱色しやすいという問題を有し、さらに、低濃度であってもアレルギー性の接触性皮膚炎を誘発する(J. Ind.Med.、第45(6)巻、p.376−80、1988年)という問題がある。また、カンントンニンジン等の生薬については、原生薬自体が高価であり、廉価な美白剤として生活者に提供することは難しいといった問題もある。
本発明は、低配合量でも優れた美白効果を有する美白剤で、皮膚刺激等の安全性に優れ、且つ安定性に優れた化合物を提供するものであり、併せて、当該化合物の摂取乃至は投与を容易にするための飲食品、香粧品、医薬品を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、オーク類などのブナ科コナラ属植物を特にエタノール等の低級アルコールの水溶液で抽出した抽出物を含有させることによって、美白用組成物が得られることを発見し、特許出願している(国際公開WO2005/28126)。この組成物についてさらに鋭意検討した結果、奇しくも、美白の有効成分がリオニレシノール及びその異性体であることを見出した。そして、さらに検討を重ねた結果、(+)−リオニレシノールがα−MSHによるメラノサイト活性化に対し高い阻害作用を有すること、(−)−リオニレシノールがチロシナーゼ活性阻害作用を有する性質を持つこと、これら作用機序の異なる美白素材である(+)−リオニレシノールと(−)−リオニレシノールの混合物がメラニン生成を抑制又は予防し、美白剤として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)次の式(A)〜(H)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表されるリオニレシノール類の少なくとも1種を美白有効成分として含有することを特徴とする美白剤、
(2)美白有効成分が式(A)
(式中、Meはメチル基を示す。)
及び/又は式(E)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表されるリオニレシノールであることを特徴とする前記(1)に記載の美白剤、
(3)美白有効成分がチロシナーゼ活性阻害作用を有することを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の美白剤、
(4)チロシナーゼ活性阻害作用の有効成分が式(E)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表される(−)−リオニレシノールであることを特徴とする前記(3)に記載の美白剤、
(5)美白有効成分がメラニン生成阻害作用を有することを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の美白剤、
(6)メラニン生成阻害作用の有効成分が式(A)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表される(+)−リオニレシノールであることを特徴とする前記(5)に記載の美白剤、
(7)前記(1)または(2)に記載されている少なくとも1種の化合物を美白有効成分として含んでいることを特徴とする香粧品、飲食品又は医薬品、
(8)外用である前記(7)記載の香粧品又は医薬品、
(9)経口用である前記(7)記載の香粧品又は医薬品、
(10)美白作用、チロシナーゼ活性阻害作用および/またはメラニン生成阻害作用のために用いられるものである旨の表示を付した前記(7)記載の飲食品、
(11)次の式(A)〜(H)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表されるリオニレシノール類の少なくとも1種を美白有効成分として含有する美白剤を哺乳動物に投与することを特徴とする皮膚の美白方法、
(12)美白有効成分が式(A)
(式中、Meはメチル基を示す。)
及び/又は式(E)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表されるリオニレシノールであることを特徴とする前記(11)に記載の美白方法、
(13)美白有効成分がチロシナーゼ活性阻害作用を有することを特徴とする、前記(11)または(12)に記載の美白方法、
(14)チロシナーゼ活性阻害作用の有効成分が式(E)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表される(−)−リオニレシノールであることを特徴とする前記(13)に記載の美白方法、
(15)美白有効成分がメラニン生成阻害作用を有することを特徴とする、前記(11)または(12)に記載の美白方法、
(16)メラニン生成阻害作用の有効成分が式(A)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表される(+)−リオニレシノールであることを特徴とする前記(15)に記載の美白方法、
(17)美白剤が香粧品、飲食品又は医薬品であることを特徴とする前記(11)または(12)に記載の美白方法、
(18)美白剤が外用であることを特徴とする前記(11)または(12)に記載の美白方法、
(19)美白剤が経口用であることを特徴とする前記(11)または(12)に記載の美白方法、
(20)美白剤を製造するための、次の式(A)〜(H)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表されるリオニレシノール類の少なくとも1種の使用、
(21)リオニレシノール類が式(A)
(式中、Meはメチル基を示す。)
及び/又は式(E)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表されるリオニレシノールであることを特徴とする前記(20)に記載の使用、
(22)美白剤がチロシナーゼ活性阻害作用を有することを特徴とする前記(20)または(21)に記載の使用、
(23)リオニレシノール類が、式(E)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表される(−)−リオニレシノールであることを特徴とする前記(22)に記載の使用、
(24)美白剤がメラニン生成阻害作用を有することを特徴とする、前記(20)または(21)に記載の使用、
(25)リオニレシノール類が式(A)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表される(+)−リオニレシノールであることを特徴とする前記(24)に記載の使用、
(26)美白剤が香粧品、飲食品又は医薬品であることを特徴とする前記(20)または(21)に記載の使用、
(27)美白剤が外用であることを特徴とする前記(20)または(21)に記載の使用、および
(28)美白剤が経口用であることを特徴とする前記(20)または(21)に記載の使用、
に関する。
本発明により提供される美白剤は、上記したメラニン生成原因における第一段階に当たるチロシナーゼの作用を阻害乃至は抑制する、及び/または紫外線により皮膚で産生されるメラニン細胞刺激ホルモン(α−MSH)によるメラノサイトの活性を阻害することによって、メラニン色素それ自体の生成を抑えると共に、生成沈着した色素の量の減量化に功を奏するものである。特に、作用機序の異なる美白素材、すなわちチロシナーゼ活性阻害作用を有する(−)−リオニレシノールとメラノサイト活性阻害作用を有する(+)−リオニレシノールとの混合物は、低濃度で配合しても優れた美白効果を得ることができる。また、本発明により提供される美白剤は、従来から飲食用として摂取されているウイスキーや梅酢等に含有されるリオニレシノール及びその異性体を美白有効成分として含有するものであり、皮膚刺激ばかりか、経口摂取した場合にも安全である。さらに、本発明により提供される美白剤は、安定性にも優れているという特徴をも有している。さらにまた、本発明により提供される美白剤は、化学合成により製造することもできるため、廉価な美白剤として生活者に提供できるという利点をも有している。
図1は、アメリカンホワイトオーク及びスパニッシュオーク(新材、古材)を種々の濃度のエタノール水溶液で抽出した抽出液のリオニレシノール含量を示す図である。図中、△印は40容量%エタノール、▽印は60容量%エタノール、□印は70容量%エタノール、○印は96容量%エタノールを示す。 図2は、ブナ科コナラ属植物のエタノール抽出物(ウイスキー)から、チロシナーゼ活性阻害の有効成分を同定する工程を示す。 図3は、(+)−リオニレシノール及び(−)−リオニレシノールのチロシナーゼ阻害活性を示すものである。縦軸は阻害率(%)を示す。 図4は、リオニレシノール(ラセミ体)、(+)−リオニレシノール及び(−)−リオニレシノールのマウス細胞内のメラノーマ細胞におけるメラニン産生量を示す図である。 図5は、被験サンプル塗布と紫外線照射に対するモルモット皮膚の明度の推移状況を示すものである。縦軸には被験サンプル塗布直前のL値を0としたとき、紫外線照射前から被験サンプル塗布開始後におけるL値の差(ΔL)が、横軸には、日数が示されている。
次の式(A)〜(H)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表される化合物の少なくとも1種のリオニレシノール類を美白有効成分として含有することを特徴とする美白剤である。上記式(A)〜(H)は立体異性体であり、上記式中、(A)で表される化合物は(+)−リオニレシノール((+)−Lyoniresinol)として、(E)で表される化合物は(−)−リオニレシノール((−)−Lyoniresinol)として知られている。従って、リオニレシノールとは式(A)及び(E)で表される化合物である。
なお、チロシナーゼ活性阻害剤として、リグナン類又はノルリグナン類の炭素骨格を有し、置換基を有する2個のベンゼン環の少なくとも一方を4位置換レゾシノール骨格とし、これに続くベンジル位の炭素原子が置換基を持っていないリグナン類誘導体及び/又はノルリグナン誘導体を美白有効成分として含有するチロシナーゼ活性阻害剤(特許文献9参照)が提案されているが、上記の式(A)〜(H)で表される本発明に係る化合物は、アリールテトラリン骨格を持つリグナン類であるから、上記のレゾシノ−ル骨格を有するリグナン類とは異なるものである。
本発明において使用されるリオニレシノール類、即ちリオニレシノール及びその異性体は、天然に存在するものであるが、化学合成によっても得ることができ、いずれによって得られたものであっても、本発明に支障なく使用することができる。天然物を用いる場合、精製されたリオニレシノールに限定されず、リオニレシノールを含有する原料の抽出物、粗精製品も本発明の美白剤として用いることができ、例えば、ブナ科(Fagaceae)コナラ属(Quercus)植物、これら植物の低級アルコール水溶液抽出物、またはその精製品を用いることができる。また、梅酒や梅干の製造に際し大量に副生する梅酢、その抽出物、または梅酢抽出物からの精製品を用いることができる。
上記コナラ属植物としては、例えば、ミズナラ(Q.mongolica Fisch.)、カシワ(Quercus dentate Thunb)、コナラ(Quercus serrata Thunb)、クヌギ(Quercus acutissima Carruth)、シラカシ(Quercus myrsinaefolia Bl.)、ホワイトオーク(Quercus alba L.)、コモンオーク(Quercus robur L.;リムーザンオーク、フレンチオークまたはスパニッシュオークとも呼ばれる)、セシルオーク(Quercus oetraea L.)、コルクオーク(Quercus suber L.)等を挙げることができる。植物の産地や収穫時期、抽出条件等によっても異なるが、上記コナラ属植物のなかでも、ウイスキーやブランデー等の製造、貯蔵用の樽の原料として用いられる植物群(オーク類と呼ばれる植物)は、リオニレシノールを高濃度で含有することから好ましく、特に、コモンオークやミズナラはリオニレシノールを高濃度で含有することから好適に用いることができる。
上記コナラ属植物の低級アルコール水溶液抽出物の製造に用いる抽出溶媒としては、例えば、炭素数が1〜4の低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)水溶液等を挙げることができる。水溶液中の低級アルコールの濃度は、リオニレシノールが効率的に抽出できる濃度とすることが肝要であり、具体的には、低級アルコール水溶液中の低級アルコール濃度が、約10〜100容量%、好ましくは約30〜70容量%、さらに好ましくは約40〜60容量%である。上記低級アルコールのなかでも、最終的に飲食品等にも配合できることを考慮すると、抽出溶媒としては、安全性の観点からエタノール水溶液を用いることが好ましい。またここでいう抽出溶媒には、低級アルコールのほか、抽出効率を大きく損わない範囲で他の成分、例えば糖類、塩類、酸類、アルカリ類またはアミノ酸などの水溶性成分や、酢酸エチル、アセトン等の各種他の溶媒が含まれていてもよい。なお、抽出時間は適宜設定すればよいが、一般には抽出時間が長いほどリオニレシノールが多く抽出できる。
上記のコナラ属植物抽出物や梅酢抽出物からリオニレシノールを精製する方法については特に限定はないが、カラムクロマトグラフィーにより精製するのが好ましく、特にゲル濾過クロマトグラフィーにより精製するのが効率的で好ましい。精製に用いる樹脂担体としては、Pharmacia社製のセファデックス(登録商標)やポリアクリルアミドゲル(Bio−Gel)など汎用されている樹脂を目的の純度に応じて選択し利用することができる。これらの樹脂を用い精製を行う場合、展開液としては、アセトニトリル、エタノール、メタノール、アセトン又はベンゼンなどの溶媒及びそれらの水溶液を用いることが好ましい。
さらに、本発明に係るリオニレシノール類は、化学的合成により製造することもでき、その合成は概ね次のようにして、行うことができる。即ち、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニルプロピン酸を原料として、インデアン ジャーナル ケミストリ、1976年、第14巻B、第128ページ(INDIAN J.CHEM.,VOL.14B,FEBRUARY,1976年,第128ページ)などに記載の方法に倣って造ることができる。
なお、上記天然物抽出物または化学合成によるリオニレシノールから、式(A)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表される(+)−リオニレシノール及び式(E)
(式中、Meはメチル基を示す。)
で表される(−)−リオニレシノールの単離精製は、キラルカラムを用いて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行うことができる。上記の(+)−リオニレシノール及び(−)−リオニレシノールは、いずれも美白剤として有用な素材であるが、その作用機序は異なる。具体的には、(+)−リオニレシノールはメラニン細胞刺激ホルモン(α−MSH)によるメラノサイト活性化に対し高い阻害作用を有し細胞外から効率的に美白作用を働きかけるのに対し、(−)−リオニレシノールはメラニン生成細胞に直接働きかけてチロシナーゼ活性を阻害してメラニンの生成を阻害するものである。本発明の美白剤では、これら精製された(+)−リオニレシノール及び(−)−リオニレシノールを目的に応じた任意の割合[約1:99乃至約99:1(W/W)]で混合することにより、用いることもできる。
本発明の美白剤は、美白有効成分としてリオニレシノール類を配合することによって、製造され、例えば優れた美白効果を有する飲食品、香粧品及び医薬品が得られる。当該本発明の飲食品、香粧品及び医薬品へのリオニレシノール類の配合量は、その形態や用途によって異なるが、通常約0.0001〜10重量%が好ましく、約0.05〜5重量%が特に好ましい。
本発明における美白有効成分を含有する飲食品としては、例えば、スポーツドリンク、炭酸飲料、果汁を含む各種ジュース又は紅茶飲料等の清涼飲料水類、ケーキ、ビスケット、パン、飴又はアイスクリーム等の菓子類、うどん、そば、ラーメン、パスタ、そうめん等のめん類、みそ、醤油、酢、サラダ油、ごま油、バター、チーズ、豆乳又は牛乳等々種類や形態を問わずおよそ食品として摂取できるものが挙げられる。これらは、本発明の美白有効成分を食品に溶解、混合等して製造することができる。
次に,香粧品としては、例えば、化粧水、ジェル、ローション、クリーム、パック剤、乳液、乳液状又はクリーム状ファンデーション、口紅、パウダー、洗顔料、ヘアートニック等液状であるもの、固形状であるもの、ゾル状であるもの、ペースト状であるものを問わず外用に適したもの、口中破壊する軟カプセル又は口中にスプレーするもの等が本発明の香粧品として挙げられる。これらは、本発明に係る美白有効成分の他に通常使用されている他の材料を使用して、自体公知の方法により製造することができる。通常使用されている他の材料としては、例えば、油脂類(例えば、ミツロウ及びカルナバロウ等のロウ、ホホバ油、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等)、界面活性剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル等)、低級又は高級アルコール類(例えば、セタノール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール等)、脂肪酸類(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等)、水溶性高分子、(例えば、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、セルロース、アルギン酸カルシウム等)、多糖類(例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等)、ペプチド類(例えば、コラーゲン等)、防腐剤(例えば、安息香酸及びその塩類、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、オルトフェニルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、クロルクレゾール、クロルフェネシン、クロロブタノール、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸及びその塩類、パラオキシエチレン安息香酸エステル、ハロカルバン等)、増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸カルシウム、多糖類等)、保湿剤(例えばグリセリン、キシリトール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール200〜600、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、マルチトール、マンニトール等)、色素、香料、水又はpH調整剤等が挙げられる。
更に医薬品としては、例えば、リニメント、貼付剤、軟膏剤、ゾル状塗布剤等の外用のもののほか、経口的に摂取する顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤又は液剤等が挙げられる。これらは、本発明に係る美白有効成分の他に通常使用されている他の材料を使用して、自体公知の方法により製造することができる。通常使用されている他の材料としては、各種の添加剤、例えば、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、結晶セルロース等)、結合剤(例えば、デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、カルメロース液、アラビアゴム液、ゼラチン液、アルギン酸ナトリウム液等)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルメロースナトリウム、炭酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)又は増粘剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。又、口中用医薬品、香粧品の剤形としては、例えば、チュアブル錠又はトローチなどが挙げられる。
以下に実施例を記述して、本発明を更に詳しく説明するが、これによって本発明が限定的に解釈されるものではない。
リオニレシノール含有抽出物の製造(1)
原料植物として、オーク材(アメリカンホワイトオーク及びスパニッシュオークの新材、古材)を用いた。工業用エタノールを水と混合して40、60、70、96容量%エタノール水溶液を調製し、このエタノール水溶液に上記オーク材のチップ(1×1×2cm)240gを添加し、85℃で5分間加熱した後、24時間室温で放置し、再度85℃で5分間加熱した。得られた抽出液のリオニレシノール含量を測定した。測定条件は、以下のとおりである。
カラム:Cosmosil 5C18AR−II
カラムサイズ:3×250mm
移動相:アセトニトリル/水/ギ酸=20/80/0.1(v/v/v)
流速:0.5mL/分
測定波長:280nm
結果を図1に示す。リオニレシノールは、40〜60容量%エタノール、特に60容量%エタノールで最も多く抽出されることがわかった。
リオニレシノール含有抽出物の製造(2)
ウイスキーの貯蔵用原酒として用いられるニューポットを調製した。すなわち、発芽した大麦(麦芽)を粉砕し、温水と混合し、糖化させ、濾過した糖液に酵母を加え発酵させ、アルコール度数が7.0〜7.5容量%の醪(もろみ)を得た。醪を銅製のポットスチル(単式蒸留器)に入れて二度蒸留し、アルコール濃度60容量%の組成物(ニューポット)を得た。次に、ウイスキー製造用の樽(ホワイトオーク、スパニッシュオーク、ミズナラの新樽)を用い、これらの樽に上記ニューポットを入れて栓をし、貯蔵庫にて5年間保存し樽材抽出液を得た。5年後、得られた樽材抽出液のリオニレシノール含量を測定した。
種々の樽材抽出液のリオニレシノール含量は、ホワイトオーク:4.9mg/L、スパニッシュオーク:11.39mg/L、ミズナラ:10.7mg/Lであった。
リオニレシノール含有抽出物の製造(3)
ウイスキー製造用のアメリカンホワイトオークの樽(古材)を用い、実施例2と同様にして製造したニューポットを入れて樽材抽出液を製造した。経時的(0、4、8、12年)に樽材抽出液を採取し、該抽出液のリオニレシノール含量を測定した。
経時的に採取した樽材抽出液のリオニレシノール含量は、貯蔵0年:0mg/L、4年:0.68mg/L、8年:1.13mg/L、12年:2.15mg/Lであった。
リオニレシノール及びその異性体の精製
ブナ科コナラ属植物からの低級アルコール水溶液抽出物として市販のウイスキー(サントリー株式会社製『山崎18年』、アルコール濃度60%)(樽材:シェリーヴァット、リオニレシノール含量:7.7mg/L)を用いた。ウイスキー400mLをエバポレーションした後、凍結乾燥し、乾燥物(ウイスキーコンジェナー)1.0mgを得た。この乾燥物に純水を加え、得られた純水画分をn−ヘキサン、酢酸エチルまたはn−ブタノールで抽出し、以下の方法により、チロシナーゼ阻害活性を測定した(図2−1)。活性の高かった酢酸エチル画分に純水を加え、ゲル濾過クロマトグラフィーに供した。ゲル濾過クロマトグラフィーにはPharmacia社製のセファデックス(登録商標)LH−20のカラム(Φ1.3×90cm)を用い、1mL/10minの流速のメタノールで展開して分別した。1〜3の画分[分配係数(Kd)=0−0.5、0.5−1.0、1.0−1.5]を分画した。それら画分のうち、最も活性の高かった画分について、さらに1〜5の画分(Kd=0.4−0.5、0.5−0.6、0.6−0.7、0.7−0.8、0.8−0.9)を分画し、チロシナーゼ阻害活性を測定した(図2−2)。測定した結果、チロシナーゼ阻害活性は、Kd=0.6−0.7で最も高かった。
上記のKd=0.6−0.7における活性画分を、HPLCにより分取した。カラムには、YMC−Pack ODS−AM(10×300mm)を用い、移動層:38%(v/v)メタノール水溶液、流速:2.0mL/min、検出波長:280nmで分画した。その結果、チロシナーゼ阻害活性は、ピークNo.2で最も高かった(図2−3)。この画分は、HPLC上の単一ピークに精製されていた。該画分の上記HPLC条件におけるリテンションタイムは約17.5分であった。
(チロシナーゼ阻害活性の測定方法)
B16マウスメラノーマ細胞は、10%(W/W)ウシ胎児血清を含むDMEM(ダルベッコー変法イーグル)培地を用い、5%(v/v)CO、37℃の条件下で培養した。測定サンプルとB16マウスメラノーマ細胞より調製したチロシナーゼ粗酵素液を混和し、基質としてL−ドーパを濃度0.05%(W/W)になるように添加した。37℃で20分間反応させ、492nmにおける吸光度A(ドーパクローム量に比例する)を測定した。コントロールとして、同じ反応系に被験サンプルを添加しないで、同様の操作を行い、492nmにおける吸光度Bを測定し、下記の式からチロシナーゼ阻害率を算出した。
阻害率(%)=(1−吸光度A/吸光度B)×100
活性物質の構造決定
実施例4で単離精製した活性物質(画分)について、定法に従い質量分析(FAB−MASS)及び核磁気共鳴(H−NMR、13C−NMR)を実施し、スペクトル解析を行った。活性物質をDMSO−Dに溶解してFAB−MASSを実施した結果、分子イオンとして、質量/電荷(m/z)が443(M+Na)となり、分子量は420を有するものであることが判明した。次に、核磁気共鳴(H−NMR、13C−NMR)を実施し、スペクトル解析を行った。測定には、Bruker Biospin社 DMX−750(H−NMR)またはDMX−500(13C−NMR)を用いた。その測定の結果、上記単離精製した活性物質の炭素原子のChemical shift(ppm)ならびに分子量はMagn.Reson.Chem.,1985年、第23巻、p.369に記載のものと完全に一致した。
従って、質量分析スペクトル(FAB−MASS)及び核磁気共鳴スペクトル(H−NMR、13C−NMR)解析の結果、チロシナーゼ活性阻害を示す活性物質の化学構造は、下記式(A)〜(H)の一種又は二種以上の混合物であることが判明した。
(式中、Meはメチル基を示す。)
リオニレシノールの合成
リオニレシノールは、INDIAN J.CHEM.,VOL.14B,FEBRUARY、1976年、第128ページ(以下、文献Aと略記する)に記載された自体公知の方法に従って製造した。より詳しくは、下記反応式により下記実施例7〜13で使用されたリオニレシノールを製造した。即ち、
(式中、Acはアセチル基を、Meはメチル基を示す。)
文献Aにおける式(I)、(II)、(III)、(IV)の代わりに、それぞれ上記式(1)、(2)、(3)、(4)が使用された以外は、文献Aと全く同様にして、式(5)の化合物を得た。
このリオニレシノールの核磁気共鳴及び質量分析は実施例5のものと完全に一致した。また、円偏光二色性(CD)スペクトル解析を行った結果、合成品が(+)−リオニレシノール及び(−)−リオニレシノールの混合物(ラセミ体)であることが判明した。
(+)−リオニレシノール及び(−)−リオニレシノールの精製
キラルカラムを用いて、実施例6で合成されたリオニレシノール(ラセミ体)の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分離を実施した。HPLCの分析条件は、以下のとおりである。
カラム:CHIRALCEL AD−H
カラムサイズ:0.46I.D×25cm
移動相:メタノール/エタノール/酢酸=50/50/0.1(v/v/v)、
流速:1.0mL/分
測定波長:254nm
得られた分取物(+)−リオニレシノール及び(−)−リオニレシノールの光学純度は、それぞれ98%ee以上であった。また、得られた(+)−リオニレシノール及び(−)−リオニレシノールの割合は、約1:1(w/w)であった。
チロシナーゼ阻害活性(IC50)の測定
被験物質として、実施例7で分取された(+)−リオニレシノール及び(−)−リオニレシノールを用いた。被験物質5mgをそれぞれDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解し、実施例4と同様にチロシナーゼ阻害活性の測定を行った。また、陽性対照として、チロシナーゼ活性阻害を有するものとして市場で広く使用されているアルブチンを用い、上記と同様にしてサンプルを調製し、チロシナーゼ阻害活性の測定を行った。
結果を図3に示す。(+)−リオニレシノール及び(−)−リオニレシノールともにチロシナーゼ阻害活性を有することがわかった。
また、被験物質のチロシナーゼ阻害活性のIC50を算出した。結果を表1に示す。(−)−リオニレシノールのIC50は、アルブチンのIC50より低く、(−)−リオニレシノールがアルブチンよりもチロシナーゼ阻害活性が高いことを示した。
メラニン産生量の測定
披験物質として、実施例7で分取された(+)−リオニレシノール及び(−)−リオニレシノールおよびおよび実施例4で調製したリオニレシノール類含有のウイスキーコンジェナーを用い、DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解して、それぞれ最終濃度が100μg/mLとなるよう調製した。
4×10個のマウスB16メラノーマ細胞を60mmプラスティックシャーレに播種し、前培養を行った。24時間の前培養後、上記披験物質を添加して混和し、さらに37℃で3日間培養した。この細胞をPBS洗浄し、1×10個の遠心残査につき1mLの1M NaOHを添加して溶解し、470nmにおける吸光度を測定した。また、前培養後に、0.1mMのNled−Phe−α−melanocyte stimulating hormone(NDP−α−MSH)及び被験物質を添加して混和し、さらに37℃で3日間培養したものについても、同様に470nmにおける吸光度を測定した。披験物質及びNDP−α−MSHのいずれも添加していないサンプルの470nmにおける吸光度を細胞内メラニン量100%とし、これに対する各サンプルの比を算出した。また、陽性対照としてアルブチンを用い、上記と同様にしてサンプルを調製し、細胞内メラニン量を測定した。
結果を図4に示す。(+)−リオニレシノールおよびリオニレシノール類含有のウイスキーコンジェナーでは、NDP−α−MSHの添加有無に関わらず、メラニン産生が著しく抑制された。この効果は、アルブチンの効果よりも高かった。
モルモットを使ったメラニン生成抑制の測定
(1)被検動物及び飼育方法
ヴァイサーメイプル(weiser maples)系雄性褐色モルモット4週齢を購入し、室温23.5℃、相対湿度50±10%、換気回数10−15回/時、照明時間7:00から19:00に設定された飼育室にて、ポリカーボネート製ゲージ(幅29.2cm、高さ20cm、奥行44cm)で個別に1週間予備飼育をした。市販の固形飼料と水(公共水道水)は自由に摂取させた。試験期間中、体重は週1回測定した。
(2)被験サンプル
実施例6に記載したとおりの化学的に合成されたリオニレシノール(ラセミ体)を60%(W/W)エタノール水溶液に1%(W/W)濃度で溶解し、リオニレシノールを含む被験サンプルとして試験に供した。また、陽性対照としてアルブチンを用い、60%(W/W)エタノール水溶液に7%(W/W)濃度に溶解したものを使用し、上に得た本発明のリオニレシノール(ラセミ体)を含む被験サンプルと比較した。コントロールには、60%(W/W)エタノール水溶液を被験サンプルとして使用した。
(3)紫外線照射による色素沈着
上記予備飼育したモルモットを一群12尾使用し、それぞれの背部を電気バリカン及び電気シェバーで除毛し、正中を挟んで上下2カ所、計4カ所を測定部位とした。モルモットは背部に型紙を置き、スミペック010(UV透過性アクリル)製の補定器に固定して、紫外線照射を行った。紫外線照射にはUV照射器(CS&TOREX DERMARAY 医療用紫外線照射装置 M−DMR 80型)及びUV−Bランプ(TOREX FL20S・E−30/DMR 20WAT TOSHIBA MEDICAL SUPPLY)を用い、UV−Bを1.46mW/cm2の強度で6分間照射した(0.526J/cm2)。紫外線強度は紫外線強度計(DERMARAY UVR−3036/S2)を用いて測定した。試験1日目から、一日1回、3日間連続で紫外線照射を行い、色素を沈着させた。
(4)被験サンプルの塗布
試験3日目の紫外線照射を終えた直後から、被験サンプルの塗布を開始した。1日1回、40μLを各部位に塗布した。
(5)メラニン色素沈着抑制効果の評価
測定部位を色差計(コニカミノルタ COLOR READER CR−10)を用いて、5回測定し、皮膚色についてLab表色系で表示し、L値(明度)を評価に用いた。L値の平均値(ΔL値)を算出し、指標とした。
(6)L値の評価結果
被験モルモットの紫外線(UV−B)照射時の皮膚色(ΔL値)の推移を図5に示した。紫外線照射開始後、色素沈着によるL値の低下が認められた。紫外線照射量の変動による測定を避けるため、被験サンプル塗布開始直前のL値の値を0として、解析を行った。
本発明に係るリオニレシノールを含む被験サンプルを塗布した群は、アルブチンを含む被験サンプルと同等のメラニン色素沈着抑制の効果を示した。本発明に係るリオニレシノールを含む被験サンプルの濃度が、アルブチンを含む被験サンプルの濃度の7分の1であることを考慮すると、本発明に係るリオニレシノールのメラミン色素沈着抑制効果の優秀さが判った。
なお、本発明に係るリオニレシノールを含む被験サンプルは、外見上、皮膚炎等の症状は観察されなかった。
皮膚用ゲルの調製
精製水80gに、ポリアクリル酸ソーダ0.5gを溶かし、これに、実施例6で得たリオニレシノール(ラセミ体)1gをエチルアルコール18.5gと共に加え、柑橘系のエッセンスを少量加えて、ゲルを調製した。
ゼリー状ピールオフパックの調製
精製水65gに、カルボキシメチルセルロース5g及びポリビニルアルコール10gを加えて、加温しながら溶解し、これに、実施例4で得たウイスキーから精製したリオニレシノール(ラセミ体)1gをエチルアルコール19gと共に加え、柑橘系のエッセンスを少量加えて、ゼリー状ピールオフパックを調製した。
本発明は、メラニン色素の生成に関与するチロシナーゼ活性を阻害する、及び/またはα−MSHによるメラノサイトの活性を阻害ことによって、メラニン生成を阻害するリオニレシノール類を含有する美白剤を提供するものである。従って、本発明は、美白を目的に提供される飲食品、香粧品、医薬品等種々の製品に利用される。

Claims (15)

  1. 次の式(A)〜(H)
    (式中、Meはメチル基を示す。)
    で表されるリオニレシノール類の少なくとも1種を美白有効成分とすることを特徴とする美白剤。
  2. 美白有効成分が式(A)
    (式中、Meはメチル基を示す。)
    及び/又は式(E)
    (式中、Meはメチル基を示す。)
    で表されるリオニレシノールであることを特徴とする請求項1に記載の美白剤。
  3. 美白有効成分がチロシナーゼ活性阻害作用を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の美白剤。
  4. チロシナーゼ活性阻害作用の有効成分が式(E)
    (式中、Meはメチル基を示す。)
    で表される(−)−リオニレシノールであることを特徴とする請求項3に記載の美白剤。
  5. 美白有効成分がメラニン生成阻害作用を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の美白剤。
  6. メラニン生成阻害作用の有効成分が式(A)
    (式中、Meはメチル基を示す。)
    で表される(+)−リオニレシノールであることを特徴とする請求項5に記載の美白剤。
  7. 美白剤を製造するための、次の式(A)〜(H)
    (式中、Meはメチル基を示す。)
    で表されるリオニレシノール類の少なくとも1種の使用。
  8. リオニレシノール類が式(A)
    (式中、Meはメチル基を示す。)
    及び/又は式(E)
    (式中、Meはメチル基を示す。)
    で表されるリオニレシノールであることを特徴とする請求項7に記載の使用。
  9. 美白剤がチロシナーゼ活性阻害作用を有することを特徴とする請求項7または8に記載の使用。
  10. リオニレシノール類が、式(E)
    (式中、Meはメチル基を示す。)
    で表される(−)−リオニレシノールであることを特徴とする請求項9に記載の使用。
  11. 美白剤がメラニン生成阻害作用を有することを特徴とする、請求項7または8に記載の使用。
  12. リオニレシノール類が式(A)
    (式中、Meはメチル基を示す。)
    で表される(+)−リオニレシノールであることを特徴とする請求項11に記載の使用。
  13. 美白剤が香粧品、飲食品又は医薬品であることを特徴とする請求項7または8に記載の使用。
  14. 美白剤が外用であることを特徴とする請求項7または8に記載の使用。
  15. 美白剤が経口用であることを特徴とする請求項7または8に記載の使用。
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