JP5496153B2 - キャスタのブレーキシュー構造 - Google Patents
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Description
上記ブレーキライニングは金属プレートの下にゴムや樹脂等のライニング材を取り付けた構成からなっており、前記トレッド面に接するのは単一の素材となっていた。
そのため、ブレーキシューがゴムやエラストマーからなる場合には、制動時の衝撃を弾性力で緩衝することはできるが、車輪表面に水等の液体や汚れ等が付着した場合に制動力が低下する虞れがあり、常に最高の制動力を維持することが困難であった。
一方、ブレーキシューが金属の場合には、大きな制動力を常に与えることはできるが、車輪のトレッド面を傷つけたり、制動時に衝撃力が発生するなどの不具合が生じる虞れがあった。
そこで特開2003−25805号では、制動時にブレーキシューをブレーキアームの枢着点を支点にして枢動させてブレーキシューを回転する車輪のトレッド面に対して食い込む方向に変位させる構成としたが、ブレーキシューが枢動変位しない構造では適用することができない。
キャスタの車輪のトレッド面に押し付けられて車輪の制動を行うブレーキシューが、金属製からなる第1シュー構成部とゴム又はエラストマ製のブロックからなる第2シュー構成部とを有しており、第1シュー構成部の底面の第1制動部と第2シュー構成部の底面の第2制動部とが制動時に共にトレッド面に押圧されて制動が行われるキャスタのブレーキシュー構造において、
第1シュー構成部は、車輪のトレッド面の回転方向に対して断面が略ハ字状となるように配置されたブレード状の片からなる第1制動部が車輪の回転方向の前後に離間すると共に、該第1制動部は車輪の回転方向と交差する方向に延びており、該一対の第1制動部の間に第2制動部が配置されていることを特徴とする。
請求項2の発明では、
前記第1制動部が線状もしくは幅狭なエッジ状、又は複数の突部からなり、第2シュー構成部が幅広な底面を有するブロックからなっていることを特徴とする。
請求項3の発明では、
前記ブレーキシューが、制動時のペダル操作によって昇降し制動乃至制動解除方向に変位可能なブレーキアームの上部に設けられて、車輪のトレッド面の上方に対峙してなることを特徴とする。
第1シュー構成部の底面の第1制動部は、線状もしくは幅狭なエッジ状からなって車輪の回転方向と交差する方向に延びているので、第1制動部の車輪のトレッド面への押圧によって制動力の強化を図り、また第2制動部の車輪のトレッド面への押圧によって制動時の緩衝力を作用させて、制動力と緩衝力とのバランスが同時に図れるようにした。
キャスタ20は、図1に示すように、取付台盤5に旋回可能に取り付けられた支持ヨーク1と、該支持ヨーク1に軸支された車輪2と、前記支持ヨーク1の一側に枢着されるブレーキペダル4と、該ブレーキペダル4と支持ヨーク1の間に介設されてブレーキペダルの枢動で昇降するブレーキアーム3と、該ブレーキアーム3の上部に設けられたブレーキシュー8とを有している。
支持ヨーク1は、金属板を曲げて下方に延びる一対のアーム1A、1Bを形成しており、上部が取付台盤5に旋回可能に取り付けられている。
前記一対のアーム1A、1Bの下部にはそれぞれ車軸孔6を穿設しており、一方のアーム1Aの車軸孔6の上方には案内突部7を設けている。
一対のアーム1A、1Bには車輪2が軸支される。
車輪2は、ゴムや、ナイロン、ウレタンなどの無垢の素材からなっており、中心部に前記一対の車軸孔6に整合する車軸孔2Aを貫通した公知構成となっている。
ブレーキアーム3は、後述のブレーキペダル4の切換により、ブレーキシュー8をトレッド面Tと離間する位置と接する位置とに昇降する構造からなっている。
本実施例では、ブレーキアーム3は金属片からなっており、略垂直に延びるブレーキアーム本体3Aと、該ブレーキアーム本体3Aの上部前方で断面コ字状に折り曲がって一方の支持アーム1Aの端部を跨いで支持アーム1Aの内側に入り込む折曲片3Bと、該折曲片3Bの上部で車輪2のトレッド面に対峙するように折り曲げられたシューベース部3Cとが設けられている。
ブレーキシュー8は、トレッド面Tと衝合して、車輪2の回転を制動するものであり、本実施例では、前記シューベース部3Cにブレーキシュー8が形成される。
該ブレーキシュー8は、金属製の片からなってブレード状の第1制動部B1を設けた第1シュー構成部8Aと、ゴム又はエラストマ製のブロック状の第2制動部B2を設けた第2シュー構成部8Bとからなっている。
図示例の場合、前記金属製のシューベース部3Cは、車輪2の回転方向の前後に離間して一対の第1シュー構成部8Aを設けており、その両側の下端(本実施例ではエッジ部分)が第1制動部B1となっている。
各第1シュー構成部8Aは車輪2のトレッド面Tの幅方向(車輪2の回転方向と直交する方向)に延びており、その下端の幅方向の中央部分が上方に円弧状に窪んでいるので、第1シュー構成部8Aは左右の直線状に延びるエッジ部分だけが第1制動部B1となっている(図10(a)参照)。
従って、第1シュー構成部8Aの第1制動部B1は車輪2のトレッド面Tに強く押圧されて食い込んでおり、車輪2の正逆回転方向xの動きを制動することができる(図3参照)。
本実施例では、第1制動面B1は、トレッド面Tの最も外側に突出する中央部分には設けていないので、食い込んでもこの部分を傷めることはない。
また、第1制動面B1は、車輪2の回転方向と直交する方向に限らず、交差する方向に設ければよい。
一方、シューベース部3Cには、前記ベース片80の左右両側に突設された掛止片81を掛止めるための切欠部31と孔部32が形成されている。
これにより、一対の第1シュー構成部8Aの間に広い制動面を有する第2シュー構成部8Bを備えたブレーキシュー8が形成される。
この発明では、第1シュー構成部8Aと第2シュー構成部8Bの下端は同一面上(同一高さ)でなくてもよく、制動完了時までに、第1制動部B1と第2制動部B2とが共にトレッド面Tに押し付けられていればよい。
ブレーキペダル4は、前記ブレーキアーム3を介してブレーキシュー8をトレッド面Tから離間する待機(OFF)位置(図4及び図5)とトレッド面Tに押し付ける制動(ON)位置(図2及び図3)とに変位させる構造からなっている。
本実施例1でブレーキペダル4は、前後に延びる金属板を、その上縁に沿って補強のため外向きに曲げ加工しており、前後両端はより外方へ延びてON−OFFの操作部13a、13bが形成されたペダルであって、中央部に車軸孔14を穿設し、略中央の上部に前記ブレーキアーム3の案内突部7を嵌合しガイドする内周縁部(カム面)を有する長孔15aを設け、前記下部ガイド部11と衝合するカム面を略中央の下端縁に有する下部カム片15bとを形成している。
そこで、ブレーキペダル4の一端の操作部13aを足で踏み付けることにより、図2に示した状態にまでブレーキペダル4を枢動させる。
これにより、図10(a)に示すように、トレッド面Tの回転方向の前後で、これと直交する幅方向の両側には第1制動部B1が食い込み、これらに囲まれた内側には第2制動部B2が押圧している。
このようにして、キャスタ20の車輪2に対して最適な制動を行うことができる。
上記実施例1では、第2シュー構成部8Bがシューベース部3Cに交換可能に取り付けられる場合を例示したが、シューベース部3Cに一体に固着されるものでもよい。
この発明に含まれない参考例1として示すブレーキシュー8の制動部として、例えば、図10(b)で示すように、トレッド面Tの回転方向に延びる第1シュー構成部8Aを、トレッド面Tに対して幅方向に左右離間して一対に配し、その中間に第2シュー構成部8Bを設けている。
例えば、図11(a)に示すように、第1シュー構成部8Aの底面が幅広い面からなる場合に、該底面に多角形状や円形、楕円形状、星片状、任意の幾何学形状、その他の適宜形状の突部を複数設けておくことで、トレッド面Tへの押圧時に前記突部の先端や角部をトレッド面Tに食い込ませることができる。
この場合も、第1制動部B1は、車輪の回転方向に対して交差する方向に延びるように配置される。なお図11(b)は参考例1である。
その他の構成は前記実施例と同様であるので、その説明を省略する。
その他、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨に変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
1A、1B 一対のアーム
2 車輪
2A 車軸孔
3 ブレーキアーム
3A アーム本体
3B 折曲片
3C シューベース部
4 ブレーキペダル
5 取付台盤
6 車軸孔
7 案内突部
8 ブレーキシュー
8A 第1シュー構成部
8B 第2シュー構成部
9 案内孔
10 突軸部
11 下部ガイド部
12、14 車軸孔
13a、13b 操作部
15a カム用の長孔
15b 下部カム片
17 車軸
31 切欠部
32 孔部
80 ベース片
81 掛止片
B1 第1制動部
B2 第2制動部
Claims (3)
- キャスタの車輪のトレッド面に押し付けられて車輪の制動を行うブレーキシューが、金属製からなる第1シュー構成部とゴム又はエラストマ製のブロックからなる第2シュー構成部とを有しており、第1シュー構成部の底面の第1制動部と第2シュー構成部の底面の第2制動部とが制動時に共にトレッド面に押圧されて制動が行われるキャスタのブレーキシュー構造において、
第1シュー構成部は、車輪のトレッド面の回転方向に対して断面が略ハ字状となるように配置されたブレード状の片からなる第1制動部が車輪の回転方向の前後に離間すると共に、該第1制動部は車輪の回転方向と交差する方向に延びており、該一対の第1制動部の間に第2制動部が配置されていることを特徴とするブレーキシュー構造。 - 第1制動部が線状もしくは幅狭なエッジ状、又は複数の突部からなり、第2シュー構成部が幅広な底面を有するブロックからなっていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキシュー構造。
- ブレーキシューが、制動時のペダル操作によって昇降し制動乃至制動解除方向に変位可能なブレーキアームの上部に設けられて、車輪のトレッド面の上方に対峙してなることを特徴とする請求項1または2に記載のキャスタのブレーキシュー構造。
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