JP5495047B2 - 車速制御装置 - Google Patents
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Description
車両において、エンジンのパワーを食うものとして、乗用車におけるエアコンその他の補機がある。また、産業機械としての例えばフォークリフトにおけるフォークや、農業機械としての例えば耕うん機における耕うんツールがある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、負荷変動に対する応答性に優れた車速制御装置を提供することを目的とする。
また、上記車両モデルはレートリミッタを含む場合がある(請求項5)。この場合、車速変化量の大小に応じた時定数を持った応答を実現できるので、ドライバが違和感を持つことがない。
図1は本発明の一実施の形態の車速制御装置が適用されたドライブトレーン100の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、ドライブトレーン100は、エンジン1と、変速比無限大無段変速機2(以下、IVT2という)とで構成されている。IVT2は、エンジン1の出力軸3にトーショナルダンパ4を介して連結されたIVT入力軸5と、フルトロイダル型無段変速機からなるCVT6と、遊星ギヤ機構7と、IVT入力軸5と平行に設けられ駆動輪に連結されたIVT出力軸8とを備えている。上記のCVT6は、いわゆるトルク制御型のCVTである。
CVT6は、IVT入力軸5と同軸上に設けられたCVT入力軸9と、CVT入力軸9を挿通させる中空のCVT出力軸10とを備えている。CVT入力軸9には、一対の入力ディスク11,12が一体回転可能に設けられている。これらの入力ディスク11,12は、背中合わせに配置され、それぞれ、トロイダルレースを形成している。また、CVT出力軸10には、一対の入力ディスク11,12のトロイダルレースにそれぞれ対向するトロイダルレースをそれぞれ形成した一対の出力ディスク13,14が、一体回転可能に設けられている。
キャリッジ17に支持されたローラ15,16は、トルクを伝達することによりキャリッジ17に生ずるリアクション力と、出力ディスク13,14を駆動するのに必要なトルクとのアンバランスを解消するべく、キャリッジ17の軸線回りにローラ15,16の回転軸線が揺動角度を生ずるように傾斜させる。これにより、ローラ15,16の姿勢が変化し、両ディスク11,13;12,14間の速度比が連続的に変化するようになっている。
遊星ギヤ機構7は、CVT入力軸9とCVT出力軸10との間に介在している。具体的には、まず、リングギヤ25が、IVT出力軸8に一体回転可能に連結されている。
また、CVT入力軸9の回転が、ギヤ列26および連結状態の動力循環モードクラッチ27(ロークラッチともいう)を介して、キャリア23に伝達されるようになっている。ギヤ列26は、CVT入力軸9と一体回転可能に連結されたギヤ26aと、このギヤ26aに噛み合いIVT出力軸8に回転自在に支持されたギヤ26bとを有している。動力循環モードクラッチ27は、ギヤ26bとキャリア23とを連結/解放可能な、例えば多板クラッチからなる。動力循環モードクラッチ27は、連結されたときに、変速比無限大を含む変速比範囲で動力を伝達する動力循環モードを実現する。
このとき、リングギヤ25にかかる駆動負荷による反力がサンギヤ22にもトルクを及ぼす。このサンギヤ22に作用するトルクは、ギヤ列28およびCVT出力軸10を介してCVT6に戻り、CVT入力軸9側でエンジン1の出力トルクと合わさって、ギヤ列26および動力循環モードクラッチ27を介して再びキャリア23に伝達される。
一方、動力循環モードクラッチ27が解放され、直結モードクラッチ29が連結された状態では、エンジン1の動力は、CVT6を経てサンギヤ22に伝達され、直結モードクラッチ29を介して、IVT出力軸8から出力される、直結モードとなる。この直結モードは、中速走行時、高速走行での加速時等のさほど大きな駆動トルクが必要とされないときに選択される。
IVT2およびエンジン1の動作を制御する制御部は、ECU34(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)により構成されている。
ここで、車両走行抵抗TRLは、駆動輪回転速度ωW の関数TRL(ωW )として表される。すなわち、式TRL=TRL(ωW )が成立する。したがって、駆動輪回転速度ωW は、エンジン出力Peの関数として表すことが可能である。すなわち、式ωW =ωW (Pe)が成立する。したがって、上記の第2のエンジンマップM2と要求エンジン出力PeD を用いて、目標駆動輪回転速度、すなわち、目標車速VT を求めることができる。
車両モデルとしてのフィルタ54として、例えば一次応答モデル〔図4(a)を参照〕や、レートリミッタ〔図4(b)を参照〕を用いることができる。図4(a)に示すように、フィルタ54としての一次応答モデルは、0から上記目標車速VT までステップ状に変化する入力が与えられたときに理想的な応答となる要求車速VS を出力する。フィルタ54としての一次応答モデルは、例えば下記の式(2)で表される。ただし、k1は車両に応じた係数である。
図4(b)に示すように、フィルタ54としてのレートリミッタは、0から目標車速VT に達するステップ状の入力に対して、一制御周期での変化量が制限(レートリミット)された要求車速VS を出力する。
第2のフィードバック量演算部55は、要求車速VS および実車速VR の偏差(VS −VR )に基づく第2のフィードバック量FD2を演算する。具体的には、第2のフィードバック量演算部55は、例えば乗算器からなる処理部55aを備えており、要求車速VS および実車速VR の偏差(VS −VR )に第2の比例ゲインKaを乗じて比例制御を実行する第2の比例制御手段として構成されている。すなわち、第2のフィードバック量FD2は、下記の式(3)で表される。
上記の第1のフィードバック量FD1および第2のフィードバック量FD2は、加算器56によって加算され、第1のフィードバック量FD1および第2のフィードバック量FD2の加算値(FD1+FD2)が、目標駆動力(目標エンジン出力)演算部57へ出力される。
演算された目標エンジン出力PeT は、制御指令演算部58に出力される。制御指令演算部58は、目標エンジン出力PeT を入力し、第2のエンジンマップM2を用いて、目標エンジン回転速度ωeT と目標エンジントルクTeT を演算する。このとき、最大効率曲線(PEC)に則って、目標エンジン回転速度ωeT と目標エンジントルクTeT が演算されることにより、加速性を損なうことなく燃費を向上させる駆動制御が実効あるものとなる。
目標トランスミッション入力トルク演算部59は、下記の式(5)で示されるように、入力した目標エンジントルクTeT に相当する目標トランスミッション入力トルクTTRN,T (本実施の形態では、実CVT入力トルクに相当)を演算する。
演算された目標トランスミッション入力トルクTTRN,T は、第1の制御部としてのIVT制御部61に入力される。
図5を参照して、IVT制御部61は、要求差圧演算部63と、信号出力部64とを備えている。要求差圧演算部63は、目標トランスミッション入力トルクTTRN,T と、CVT入力軸回転速度センサ38により検出されたCVT入力軸回転速度ωi と、CVT出力軸回転速度センサ39により検出されたCVT出力軸回転速度ωo とを入力し、下記式(6)を用いて、油圧シリンダ19の第1および第2の油室20,21間に付与されるべき、要求差圧PD を演算する。
ただし、
kr :幾何学的定数
Rv:CVTの変速比(Rv=ωo /ωi )
ωi :CVT入力軸回転速度
ωo :CVT出力軸回転速度
信号出力部64は、要求差圧演算部63により演算された要求差圧PD を入力し、これを第1の圧力制御弁31および第2の圧力制御弁33の各ソレノイドに対する電圧指令信号に変換して出力することになる。これにより、ローラ15,16に所望のリアクション力を働かせ、CVT6に所望の伝達トルクを伝達させることができる。
実トランスミッション入力トルク演算部65は、CVT入力軸回転速度センサ38により検出されたCVT入力軸回転速度ωi 、CVT出力軸回転速度センサ39により検出されたCVT出力軸回転速度ωo 、および圧力センサ40により検出された第1および第2の油室20,21間の差圧Pを入力し、下記の式(7)に基づいて、実トランスミッション入力トルクTTRN,R を演算する。演算された実トランスミッション入力トルクTTRN,R は、要求エンジントルク設定部66に出力される。
要求エンジントルク設定部66は、上記の実トランスミッション入力トルクTTRN,R と、制御指令演算部58から入力した目標エンジン回転速度ωeT と、エンジン回転速度センサ37により検出された実際のエンジン回転速度ωeとを入力し、下記の式(8−1)、(8−2)を用いて演算されたエンジントルクTeを、要求エンジントルクTeD 〔TeD =Ie×k3 ×(ωeT −ωe)+TTRN,R 〕として設定する。
ω’eAT=k3 ×(ωeT −ωe) …(8−2)
ただし、
Ie:エンジンイナーシャ
k3 :制御ゲイン
式(8−1)の右辺の第1項は、エンジン1の実際の回転速度ωeと目標エンジン回転速度ωeT の偏差(ωeT −ωe)を解消するためのエンジントルク成分である。また、右辺の第2項は、IVT制御部61によるトルク制御された結果が反映された実トランスミッション入力トルクTTRN,R である。ω’eATは、目標エンジン回転加速度に相当する。
本実施の形態によれば、エンジン回転速度フィードバック制御ループL1の応答が、車速制御フィードバック制御ループL2の応答よりも速いので、カスケード制御を有効に働かせて、車速を精度良く制御することができる。
特に、本実施の形態の車速制御装置は、負荷変動の大きい車両に好適に利用できる。すなわち、商用車において積荷荷重が大幅に増大した場合や、産業機械であるフォークリフトにおいてフォークの積載荷重によって車重が大幅に増大した場合や、農業機械である耕うん機において耕うんツールが土中を掘り起こし始めてエンジパワーを食われた場合にも、車速を精度良く維持することができる。
Claims (6)
- トルク制御される無段変速機(CVTという)または変速比無限大無段変速機(IVT)を装備する車両のための車速制御装置であって、
エンジン回転速度フィードバック制御ループの外側に車速フィードバック制御ループを持つカスケード構造をなし、
目標車速を入力し要求車速を出力する車両モデルと、
上記目標車速および実車速の偏差に基づく第1のフィードバック量を演算する第1のフィードバック量演算手段と、
上記要求車速および実車速の偏差に基づく第2のフィードバック量を演算する第2のフィードバック量演算手段と、
上記第1のフィードバック量と第2のフィードバック量との加算値に基づいて、目標駆動力を演算する目標駆動力演算手段と、を備える車速制御装置。 - 請求項1に記載の車速制御装置において、上記第1のフィードバック量演算手段は、上記目標車速および上記実車速の偏差に第1の比例ゲインを乗じて比例制御を実行する第1の比例制御手段を含む、車速制御装置。
- 請求項1または2に記載の車速制御装置において、上記第2のフィードバック量演算手段は、上記要求車速および上記実車速の偏差に第2の比例ゲインを乗じて比例制御を実行する第2の比例制御手段を含む、車速制御装置。
- 請求項1から3の何れか1項において、上記車両モデルは一次応答モデルを含む、車速制御装置。
- 請求項1から3の何れか1項に記載の車速制御装置において、上記車両モデルはレートリミッタを含む、車速制御装置。
- 請求項1から5の何れか1項に記載の車速制御装置において、
エンジンの駆動力が入力されるトルク制御型の無段変速機と、
上記目標駆動力を達成するための目標エンジントルクおよび目標エンジン回転速度を演算する制御指令演算部と、
上記目標エンジントルクに相当する目標トランスミッション入力トルクに基づいてトランスミッション入力トルクを制御する第1の制御部と、
上記目標エンジン回転速度に基づいてエンジンのトルクを制御する第2の制御部と、をさらに備える、車速制御装置。
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