JP5493857B2 - 二核ルテニウム錯体色素、二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液及びその製造方法 - Google Patents

二核ルテニウム錯体色素、二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光電変換効率及び耐久性に優れた二核ルテニウム錯体色素、及び当該錯体によって光増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子、並びにそれを用いた光化学電池に関する。
太陽電池はクリーンな再生型エネルギー源として大きく期待されており、例えば、単結晶シリコン系、多結晶シリコン系、アモルファスシリコン系の太陽電池や、テルル化カドミウム、セレン化インジウム銅等の化合物からなる太陽電池の実用化をめざした研究がなされている。しかしながら、家庭用電源として普及させるためには、いずれの電池も製造コストが高いことや、原材料の確保が困難なことやリサイクルの問題、又、大面積化が困難であるなど克服しなければならない多くの問題を抱えている。そこで、大面積化や低価格化を目指し、有機材料を用いた太陽電池が提案されてきたが、いずれも変換効率が1%程度と実用化にはほど遠いものであった。
こうした状況の中、グレッツェルらにより、色素によって増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子及び太陽電池、並びにこの太陽電池の作製に必要な材料及び製造技術が開示された(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。当該電池は、ルテニウム色素によって増感された多孔質チタニア薄膜を作用電極とする湿式太陽電池である。この太陽電池の利点は、安価な材料を高純度に精製する必要がなく用いられるため、安価な光電変換素子として提供できること、更に用いられる色素の吸収がブロードであり、広い可視光の波長域にわたって太陽光を電気に変換できることである。しかしながら、実用化のためには更なる変換効率の向上が必要であり、より高い吸光係数を有し、より高波長域まで光を吸収する色素の開発が依然として望まれている。
特許文献2には、光電変換素子として有用な金属錯体色素であるジピリジル配位子含有金属単核錯体が開示されており、非特許文献2には、多核β−ジケトナート錯体色素が開示されている。
特許文献3には、光等の活性光線のエネルギーを受けて電子を取り出す光電変換機能の優れた新規な複核錯体として、複数の金属と複数の配位子を有し、その複数の金属に配位する橋かけ配位子(BL)が複素共役環を有する配位構造と複素共役環を有しない配位構造を有する複核錯体が開示されている。
又、特許文献4には、高い光電変換効率を有する光電変換素子が得られる金属錯体色素として、複素共役環を有する配位構造を有する二核金属錯体が開示されており、実施例では、合成後、反応液に酸を加えてpHを2.5として二核金属錯体を単離している。
しかしながら、光電変換素子に用いる色素として、さらに高い光電変換効率を有し、且つ優れた耐久性を有する光電変換素子を実現できる金属錯体色素が望まれている。
また、通常、色素増感された半導体微粒子を得るためには、色素の有機溶媒溶液に半導体微粒子を浸漬して、色素を半導体微粒子に吸着させるが、有機溶媒の使用は環境の面から好ましくない。そのため、有機溶媒溶液に代えて、色素の水溶液を用いることが望まれている。
特開平1−220380号公報 特開2003−261536号公報 特開2004−359677号公報 国際公開第2006/038587号パンフレット Nature,737,353(1991) 色素増感太陽電池の最新技術,株式会社シーエムシー発行、117頁(2001年)
本発明の目的は、上記問題点を解決し、光電変換効率が高く、耐久性にも優れた光電変換素子及び光化学電池を実現できる二核ルテニウム錯体色素、及び当該色素によって光増感された半導体微粒子を提供することである。
さらには、色素を半導体微粒子に吸着させるのに用いられ、得られる色素によって増感された半導体微粒子を用いて光電変換効率が高い光電変換素子及び光化学電池が得られる二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液を提供することである。
本発明は以下の事項に関する。
1. 一般式(1)
Figure 0005493857
(式中、Yは、ハロゲン原子を示す。)
で示されるルテニウム錯体(1)と、一般式(2−A)
Figure 0005493857
(式中、R111、R112、R113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、
121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134、R135及びR136は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示すか、または、R121〜R136の隣接する二つ、もしくはR124とR125、R132とR133が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成している。
ただし、NH基は脱プロトン化されて、Nとなっていてもよい。)
または、一般式(2−B)
Figure 0005493857
(式中、R211、R212、R213及びR214は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、
221、R222、R223、R224、R225、R226、R227、R228、R229、R230、R231、R232、R233、R234、R235及びR236は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示すか、または、R221〜R236の隣接する二つ、もしくはR224とR225、R232とR233が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成している。
ただし、NH基は脱プロトン化されて、Nとなっていてもよい。)
または、一般式(2−C)
Figure 0005493857
(式中、R311、R312、R313、R314、R315及びR316は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、
321、R322、R323、R324、R325、R326、R327、R328、R329、R330、R331、R332、R333、R334、R335及びR336は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示すか、または、R321〜R336の隣接する二つ、もしくはR324とR325、R332とR333が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成している。)
で示されるルテニウム錯体(2)とを反応させた後、酸を加えて反応液のpHを2.5より大きく5以下となるように調整して単離させることによって得られる二核ルテニウム錯体色素。
2. ルテニウム錯体(1)とルテニウム錯体(2)とを水と有機溶媒の混合溶媒中で反応させる上記1記載の二核ルテニウム錯体色素。
3. 反応液に加える酸が、ヘキサフルオロリン酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、テトラフェニルホウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸または酢酸のいずれか1種以上である上記1または2記載の二核ルテニウム錯体色素。
4. 前記ルテニウム錯体(2)が、下記式(2−1)で示されるルテニウム錯体または下記式(2−2)で示されるルテニウム錯体である上記1〜3のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素。
Figure 0005493857
Figure 0005493857
5. 前記一般式(1)で示されるルテニウム錯体(1)と、前記一般式(2−A)、一般式(2−B)または一般式(2−C)で示されるルテニウム錯体(2)とを水と有機溶媒の混合溶媒中で反応させた後、酸を加えて反応液のpHを2.5より大きく5以下となるように調整して、析出した固体を取得することを特徴とする、上記1〜4のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素の製造方法。
6. ルテニウム錯体(1)とルテニウム錯体(2)との反応を塩基の存在下で行う上記5記載の二核ルテニウム錯体色素の製造方法。
7. 前記一般式(1)で示されるルテニウム錯体(1)と、前記一般式(2−A)、一般式(2−B)または一般式(2−C)で示されるルテニウム錯体(2)とを反応させた後、酸を加えて反応液のpHを2.5〜5となるように調整することによって二核ルテニウム錯体を単離した後、当該錯体、水及び塩基(塩基性水溶液を含む)を混合して二核ルテニウム錯体色素水溶液とし、次いで、これに酸を加えることによって得られる二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液。
8. 二核ルテニウム錯体色素の濃度が0.1〜1mmol/lである上記7記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液。
9. 酸を加える前の二核ルテニウム錯体色素水溶液の二核ルテニウム錯体色素の濃度が0.1〜1mmol/lである上記7または8記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液。
10. pHが4.0〜5.0である上記7〜9のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液。
11. 加える酸が、ヘキサフルオロリン酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、テトラフェニルホウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸または酢酸のいずれか1種以上である上記7〜10のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液。
12. 前記ルテニウム錯体(2)が、前記式(2−1)で示されるルテニウム錯体または前記式(2−2)で示されるルテニウム錯体である上記7〜11のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液。
13. 前記一般式(1)で示されるルテニウム錯体(1)と、前記一般式(2−A)、一般式(2−B)または一般式(2−C)で示されるルテニウム錯体(2)とを反応させた後、酸を加えて反応液のpHを2.5〜5となるように調整することによって二核ルテニウム錯体を単離した後、当該錯体、水及び塩基(塩基性水溶液を含む)を混合して二核ルテニウム錯体色素水溶液とし、次いで、これに酸を加えることを特徴とする、上記7〜12のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液の製造方法。
14. ルテニウム錯体(1)とルテニウム錯体(2)との反応を塩基の存在下で行う上記13記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液の製造方法。
15. 前記一般式(1)で示されるルテニウム錯体(1)と、前記一般式(2−A)、一般式(2−B)または一般式(2−C)で示されるルテニウム錯体(2)とを反応させた後、酸を加えて二核ルテニウム錯体を単離した後、当該錯体、水及び塩基(塩基性水溶液を含む)を混合して二核ルテニウム錯体色素水溶液とし、次いで、これに酸を加えることによって得られる二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液であって、
pHが4.0〜5.0であることを特徴とする二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液。
16. 加える酸が、ヘキサフルオロリン酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、テトラフェニルホウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸または酢酸のいずれか1種以上である上記15記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液。
17. 上記1〜4のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素によって増感された半導体微粒子。
18. 上記7〜12、15または16のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液を用いて色素を吸着させた、二核ルテニウム錯体色素によって増感された半導体微粒子。
19. 半導体微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、又はそれらの混合物である上記17または18記載の二核ルテニウム錯体色素によって増感された半導体微粒子。
20. 上記17または18記載の二核ルテニウム錯体色素によって増感された半導体微粒子を含む光電変換素子。
21. 上記20記載の光電変換素子と電解質溶液を備える光化学電池。
合成後、反応液のpHを2.5より大きく5以下となるように調整して単離した本発明の二核ルテニウム錯体色素を吸着させた半導体微粒子(本発明の二核ルテニウム錯体色素によって増感された半導体微粒子)を用いることにより、pH2.5で単離した二核ルテニウム錯体色素を用いたものと比べて、光電変換効率が高い光電変換素子及び光化学電池を得ることができる。なお、当該光化学電池は、光電変換効率が高いことに加えて、安定性が極めて高く、高耐久性を有しており、そのために、実用化に適したものであると考えられる。
さらに、本発明によれば、有機溶媒の代わりに、環境適応性が優れた水を用いて、光電変換効率が高い光電変換素子及び光化学電池を製造することができる。具体的には、本発明の二核ルテニウム錯体色素の酸性水溶液、好ましくは二核ルテニウム錯体色素の濃度が0.1〜1mmol/l、pHが4.0〜5.0である水溶液に半導体微粒子を浸漬して、色素を半導体微粒子に吸着させて得られる色素増感半導体微粒子を用いることにより、光電変換効率が高い光電変換素子及び光化学電池を得ることができる。
水溶液を用いて本発明の二核ルテニウム錯体色素を半導体微粒子に吸着させる場合、合成後に反応液のpHを2.5となるように調整して単離したものを用いても、光電変換効率が高い光電変換素子及び光化学電池を得ることができる。
さらに、pHが4〜5の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液にする場合は、二核ルテニウム錯体を単離する際の反応液のpHは特に限定されず、反応液のpHを2.5未満となるように調整して二核ルテニウム錯体色素を単離しても、光電変換効率が高い光電変換素子及び光化学電池を得ることができる。
本発明の二核ルテニウム錯体色素は、一般式(1)
Figure 0005493857
(式中、Yは、ハロゲン原子を示す。)
で示されるルテニウム錯体(1)と、一般式(2−A)
Figure 0005493857
(式中、R111、R112、R113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134、R135及びR136は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示すか、または、R121〜R136の隣接する二つ、もしくはR124とR125、R132とR133が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成している。)
または、一般式(2−B)
Figure 0005493857
(式中、R211、R212、R213及びR214は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、R221、R222、R223、R224、R225、R226、R227、R228、R229、R230、R231、R232、R233、R234、R235及びR236は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示すか、または、R221〜R236の隣接する二つ、もしくはR224とR225、R232とR233が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成している。)
または、一般式(2−C)
Figure 0005493857
(式中、R311、R312、R313、R314、R315及びR316は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、R321、R322、R323、R324、R325、R326、R327、R328、R329、R330、R331、R332、R333、R334、R335及びR336は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示すか、または、R321〜R336の隣接する二つ、もしくはR324とR325、R332とR333が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成している。)
で示されるルテニウム錯体(2)とを反応させた後、酸を加えて反応液のpHを2.5より大きく5以下となるように調整することによって得られるものである。ただし、前述の通り、本発明の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液として色素を半導体微粒子に吸着させるのに用いる場合は、反応液のpHを2.5〜5となるように調整する。また、pHが4〜5の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液にする場合は、このときの反応液のpHは特に限定されないが、好ましくは2.5〜5である。
一般式(1)において、Yは、ハロゲン原子を示すが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子、臭素原子である。なお、ふたつのYは同一でも異なっていても良い。
一般式(2−A)において、R111、R112、R113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示すが、R111、R112、R113及びR114は全て水素原子であることが好ましい。
121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134、R135及びR136は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示すか、または、R121〜R136の隣接する二つ、もしくはR124とR125、R132とR133が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成している。
123、R126、R131及びR134は、水素原子、メチル基またはエチル基であることが好ましく、全て水素原子であることが特に好ましい。
121、R122、R124、R125、R127、R128、R129、R130、R132、R133、R135及びR136は、水素原子であるか、または、隣接する二つ(R121とR122、R127とR128、R129とR130、R135とR136)もしくはR124とR125、R132とR133が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成していることが好ましく、全て水素原子であることが特に好ましい。また、R121、R122、R127、R128、R129、R130、R135及びR136が全て水素原子であり、R124とR125、R132とR133が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成していることも特に好ましい。
一般式(2−B)において、R211、R212、R213及びR214は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示すが、R211、R212、R213及びR214は全て水素原子であることが好ましい。
221、R222、R223、R224、R225、R226、R227、R228、R229、R230、R231、R232、R233、R234、R235及びR236は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示すか、または、R221〜R236の隣接する二つ、もしくはR224とR225、R232とR233が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成している。
223、R226、R231及びR234は、水素原子、メチル基またはエチル基であることが好ましく、全て水素原子であることが特に好ましい。
221、R222、R224、R225、R227、R228、R229、R230、R232、R233、R235及びR236は、水素原子であるか、または、隣接する二つ(R221とR222、R227とR228、R229とR230、R235とR236)もしくはR224とR225、R232とR233が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成していることが好ましく、全て水素原子であることが特に好ましい。また、R221、R222、R227、R228、R229、R230、R235及びR236が全て水素原子であり、R224とR225、R232とR233が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成していることも特に好ましい。
一般式(2−C)において、R311、R312、R313、R314、R315及びR316は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示すが、R311、R312、R313、R314、R315及びR316は全て水素原子であることが好ましい。
321、R322、R323、R324、R325、R326、R327、R328、R329、R330、R331、R332、R333、R334、R335及びR336は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を示すか、または、R321〜R336の隣接する二つ、もしくはR324とR325、R332とR333が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成している。
323、R326、R331及びR334は、水素原子、メチル基またはエチル基であることが好ましく、全て水素原子であることが特に好ましい。
321、R322、R324、R325、R327、R328、R329、R330、R332、R333、R335及びR336は、水素原子であるか、または、隣接する二つ(R321とR322、R327とR328、R329とR330、R335とR336)もしくはR324とR325、R332とR333が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成していることが好ましく、全て水素原子であることが特に好ましい。また、R321、R322、R327、R328、R329、R330、R335及びR336が全て水素原子であり、R324とR325、R332とR333が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環を形成していることも特に好ましい。
一般式(2−A)、一般式(2−B)または一般式(2−C)で示されるルテニウム錯体(2)としては、一般式(2−A)で示されるもの、一般式(2−B)で示されるものが好ましく、下記式(2−1)で示されるもの、下記式(2−2)で示されるものが特に好ましい。
Figure 0005493857
Figure 0005493857
本発明の二核ルテニウム錯体色素は、以下のふたつの工程によって得られる。
(A)ルテニウム錯体(1)とルテニウム錯体(2)とを反応させる第1工程。
(B)次いで、酸を加えて反応液のpHを2.5より大きく5以下(二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液にする場合は特に限定されないが、好ましくは2.5〜5)となるように調整する第2工程。
(A)第1工程
本発明の第1工程は、ルテニウム錯体(1)とルテニウム錯体(2)とを反応させる工程であり、好ましくは水と有機溶媒の混合溶媒中で反応を行う。
ルテニウム錯体(2)が一般式(2−A)で示されるもの、または一般式(2−B)で示されるものである場合、ルテニウム錯体(1)とルテニウム錯体(2)との反応は、更に好ましくは、例えば式(3−1)、(3−2)で示されるように、予めルテニウム錯体(2)を脱プロトン化させた後に、脱プロトン化されたルテニウム錯体(2)とルテニウム錯体(1)を反応させる方法によって行われる。この場合、ルテニウム錯体(2)の脱プロトン化は有機溶媒中で行い、ルテニウム錯体(1)と脱プロトン化後のルテニウム錯体(2)との反応は水と有機溶媒の混合溶媒中で行うことが好ましい。
なお、式(3−1)において、ルテニウム錯体(2)は式(2−1)で示されるものであり、式(3−2)において、ルテニウム錯体(2)は式(2−2)で示されるものである。また、式(3−1)及び式(3−2)において、二核ルテニウム錯体中の四つの−COOHのHの一つ以上が脱離し、COOとなっていてもよい。二核ルテニウム錯体を単離する際の反応液のpHを高くすると、四つのカルボキシル基の水素が一つ、二つ、三つ、四つと多く脱離したものが得られる傾向がある。
Figure 0005493857
Figure 0005493857
ルテニウム錯体(2)の脱プロトン化の反応、およびルテニウム錯体(1)と脱プロトン化後のルテニウム錯体(2)との反応(あるいは、ルテニウム錯体(1)と脱プロトン化されていないルテニウム錯体(2)との反応)において使用する有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン等の尿素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類が挙げられるが、ルテニウム錯体(2)の脱プロトン化の反応においては、好ましくはアルコール類であり、更に好ましくはメタノール、エタノールが使用される。ルテニウム錯体(1)と脱プロトン化後のルテニウム錯体(2)との反応(あるいは、ルテニウム錯体(1)と脱プロトン化されていないルテニウム錯体(2)との反応)においては、好ましくはエタノール、N,N−ジメチルホルムアミドであり、更に好ましくはエタノールが使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
ルテニウム錯体(2)の脱プロトン化における有機溶媒の使用量は、ルテニウム錯体(2)1ミリモルに対して、好ましくは10〜100ml、更に好ましくは20〜40mlである。
ルテニウム錯体(1)と脱プロトン化後のルテニウム錯体(2)との反応(あるいは、ルテニウム錯体(1)と脱プロトン化されていないルテニウム錯体(2)との反応)における水と有機溶媒の混合溶媒の使用量は、ルテニウム錯体(1)1ミリモルに対して、好ましくは60〜360ml、更に好ましくは120〜180mlであり、その混合比(容量比)は、水1に対して、有機溶媒が好ましくは1〜5倍、更に好ましくは1〜2倍である。
ルテニウム錯体(2)の使用量は、ルテニウム錯体(1)1モルに対して、好ましくは0.9〜1.5モル、更に好ましくは1.0〜1.2モル、特に好ましくは1.0〜1.1モルである。
本発明の第1工程は、塩基の存在下で行うことが望ましい。使用される塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化アンモニウム;水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化四級アンモニウム塩;ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等のアルカリ金属水素化物またはアルカリ土類金属水素化物;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;ピリジン、キノリン等の複素環式アミン類が挙げられるが、ルテニウム錯体(2)を脱プロトン化する際には、好ましくはアルカリ金属アルコキシド、更に好ましくはナトリウムメトキシド、リチウムメトキシドが使用され、ルテニウム錯体(1)と脱プロトン化後のルテニウム錯体(2)との反応(あるいは、ルテニウム錯体(1)と脱プロトン化されていないルテニウム錯体(2)との反応)においては、好ましくはアルカリ金属水酸化物、水酸化四級アンモニウム塩、更に好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラブチルアンモニウムが使用される。ルテニウム錯体(2)の脱プロトン化において使用する塩基と、ルテニウム錯体(1)と脱プロトン化後のルテニウム錯体(2)との反応において使用する塩基とは同一であっても、異なっていても良い。なお、これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良く、水や各種有機溶媒に溶解しているものを使用しても良い。
塩基の使用量は、ルテニウム錯体(2)の脱プロトン化においては、ルテニウム錯体(2)1モルに対して、好ましくは2〜20モル、更に好ましくは4〜10モルであり、ルテニウム錯体(1)と脱プロトン化後のルテニウム錯体(2)との反応(あるいは、ルテニウム錯体(1)と脱プロトン化されていないルテニウム錯体(2)との反応)においては、ルテニウム錯体(1)1モルに対して、好ましくは3〜5モル、更に好ましくは3.7〜4.5モルである。
本発明の第1工程では、例えば、まず、ルテニウム錯体(2)、塩基及び有機溶媒を混合して、攪拌しながら、好ましくは20〜200℃、更に好ましくは50〜90℃で反応させてルテニウム錯体(2)を脱プロトン化させる。脱プロトン化されたルテニウム錯体(2)は、例えば、反応液を濾過することにより単離することができる。次いで、ルテニウム錯体(1)、脱プロトン化されたルテニウム錯体(2)、塩基、水及び有機溶媒を混合して、攪拌しながら、好ましくは50〜200℃、更に好ましくは80〜100℃で反応させることが好ましい。ルテニウム錯体(2)を脱プロトン化させずにルテニウム錯体(1)と反応させる場合も、同様に、ルテニウム錯体(1)、ルテニウム錯体(2)、塩基、水及び有機溶媒を混合して、攪拌しながら、好ましくは50〜200℃、更に好ましくは80〜100℃で反応させることが好ましい。なお、反応圧力は特に制限されない。
ルテニウム錯体(1)及びルテニウム錯体(2)は、公知の方法によって合成することができる(例えば、国際公開第2006/038587号参照)。
(B)第2工程
本発明の第2工程は、第1工程で得られた反応液に酸を加えて、反応液のpHを2.5より大きく5以下となるように調整し、二核ルテニウム錯体色素を単離する工程である。ただし、二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液にして用いる場合は、反応液のpHを好ましくは2.5〜5となるように調整して二核ルテニウム錯体色素を単離させればよい。
使用される酸としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸、過塩素酸、テトラフェニルホウ酸、テトラフルオロホウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸、チオシアン酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、酢酸等が挙げられるが、好ましくはヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硝酸、ヨウ化水素酸であり、更に好ましくはヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、硝酸、ヨウ化水素酸が使用される。なお、これらの酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
酸の使用量(加える酸の量)は、反応液のpHを2.5より大きく5以下(二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液にする場合は2.5〜5)となるように調整することができる量であれば特に制限されない。反応液のpHは、二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液にする場合は2.5〜5の範囲内であれば特に制限されないが、有機溶媒溶液にする場合は、3より大きく5以下となるように調整することが更に好ましい。さらに、pHが4〜5の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液にする場合は、反応液のpHは2.5〜5の範囲内でなくてもよく、例えば反応液のpHを2.5未満となるように調整してもよい。
本発明の第2工程では、第1工程で得られた反応液に酸を加えて、反応液のpHを2.5より大きく5以下(二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液にする場合は5以下、好ましくは2.5〜5)となるように調整する。反応液のpHをこの範囲内に調整することによって、二核ルテニウム錯体色素が析出してくる。この析出した固体を濾過等によって取得することにより、二核ルテニウム錯体色素を単離することができる。
本発明の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液は、第2工程で得られた二核ルテニウム錯体色素から以下の工程によって得られる。
(B−2)第2工程で得られた二核ルテニウム錯体色素、水及び塩基(塩基性水溶液を含む)を混合して二核ルテニウム錯体色素水溶液とし、次いで酸を加えて二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液を得る工程。
(B−2)工程
本発明の(B−2)工程においては、まず、当該二核ルテニウム錯体色素(第2工程で取得された二核ルテニウム錯体色素)、水及び塩基(塩基性水溶液を含む)を混合して二核ルテニウム錯体色素水溶液を調製する。次いで、これに酸を加えることによって、二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液を製造する。
本発明の(B−2)工程において使用される塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化アンモニウム;水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化四級アンモニウム塩;ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;ピリジン、キノリン等の複素環式アミン類が挙げられるが、好ましくはアルカリ金属水酸化物、水酸化四級アンモニウム塩、アミン類、複素環式アミン類であり、更に好ましくは水酸化リチウム、トリエチルアミン、水酸化テトラブチルアンモニウムが使用される。なお、これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良く、水や各種有機溶媒に溶解しているもの(例えば、アルカリ金属アルコキシドのアルコール溶液等)を使用しても良い。
塩基の使用量(加える塩基の量)は、二核ルテニウム錯体色素を完全に溶解させることができる量であれば特に制限されないが、その際の溶液のpHとしては、5〜12とすることが好ましく、7〜11とすることが更に好ましい。
当該操作によって二核ルテニウム錯体色素水溶液が得られるが、その二核ルテニウム錯体色素の濃度は、好ましくは0.001〜100mmol/l、更に好ましくは0.01〜10mmol/l、特に好ましくは0.1〜1mmol/lである。この濃度の二核ルテニウム錯体色素水溶液が得られるように、加える水の量は適宜調節する。
本発明の(B−2)工程では、次いで、得られた二核ルテニウム錯体色素水溶液に酸を加えて二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液を得る。
本発明の(B−2)工程において使用される酸としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸、過塩素酸、テトラフェニルホウ酸、テトラフルオロホウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸、チオシアン酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、酢酸等が挙げられるが、好ましくはヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硝酸、ヨウ化水素酸であり、更に好ましくはヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、硝酸、ヨウ化水素酸が使用される。なお、これらの酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
酸の使用量(加える酸の量)は、二核ルテニウム錯体色素の水溶液のpHが、好ましくは3.5〜7、更に好ましくは4〜5となるような量であれば特に制限されない。
このようにして本発明の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液が得られるが、その二核ルテニウム錯体色素の濃度は、好ましくは0.001〜100mmol/l、更に好ましくは0.01〜10mmol/l、特に好ましくは0.1〜1mmol/lである。この濃度の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液が得られるように、加える水の量を適宜調節する。
本発明の二核ルテニウム錯体色素によって増感された半導体微粒子は、前記の第2工程によって得られた二核ルテニウム錯体色素を含む溶液と半導体微粒子とを公知の方法で接触させ、色素を半導体微粒子に吸着させることによって得られる。
半導体微粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化バナジウム等の金属酸化物類;チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等の複合酸化物類;硫化カドミウム、硫化ビスマス等の金属硫化物;セレン化カドミウム等の金属セレン化物;テルル化カドミウム等の金属テルル化物;リン化ガリウム等の金属リン化物;ヒ素化ガリウム等の金属ヒ素化物が挙げられるが、好ましくは金属酸化物、更に好ましくは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズが使用される。なお、半導体微粒子の一次粒子径は特に制限されないが、好ましくは1〜5000nm、更に好ましくは2〜500nm、特に好ましくは3〜300nmのものが使用される。これらの半導体微粒子は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記二核ルテニウム錯体色素により増感された半導体微粒子は、例えば、二核ルテニウム錯体色素を溶媒に溶解した溶液を半導体微粒子に接触(例えば、塗布、浸漬等)させることによって製造される(例えば、国際公開第2006/038587号パンフレット参照)。本発明においては、半導体微粒子に接触させる溶液として、二核ルテニウム錯体色素を通常使用される有機溶媒に溶解した溶液を使用することができ、また、上記のような(B−2)工程によって得られる二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液を使用することもできる。なお、接触させた後に、各種溶媒で洗浄して乾燥させることが望ましい。
本発明の光電変換素子は、先述した二核ルテニウム錯体色素により増感された半導体微粒子を含むものであり、具体的には、例えば、当該ルテニウム錯体色素により増感された半導体微粒子を電極上に固定したものである。
前記電極は、導電性電極であり、好ましくは透明基板上に形成された透明電極である。導電剤としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム等の金属、スズをドープした酸化インジウム(ITO)に代表される酸化インジウム系化合物、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)に代表される酸化スズ系化合物、酸化亜鉛系化合物などが挙げられる。
本発明の光化学電池は、上記の二核ルテニウム錯体色素により増感された半導体微粒子を用いて製造することができる。
本発明の光化学電池は、具体的には、電極として上記の本発明の光電変換素子と対極とを有し、その間に電解質溶液層を有するものである。なお、本発明の光電変換素子に用いた電極と対極の少なくとも片方は透明電極である。
対極は、光電変換素子と組み合わせて光化学電池としたときに正極として作用するものである。対極としては、上記導電性電極と同様に導電層を有する基板を用いることもできるが、金属板そのものを使用すれば、基板は必ずしも必要ではない。対極に用いる導電剤としては、例えば、白金等の金属、炭素、フッ素をドープした酸化スズ等の導電性金属酸化物が好適に使用される。
電解質溶液は、レドックス対(酸化還元対)を含んでいることが望ましい。使用するレドックス対は特に限定されないが、例えば、
(1)ヨウ素とヨウ化物(例えば、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ化物;ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウム、ヨウ化イミダゾリウム等の4級アンモニウム化合物のヨウ化物)の組み合わせ、
(2)臭素と臭化物(例えば、臭化リチウム、臭化カリウム等の金属臭化物;臭化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、臭化ピリジニウム、臭化イミダゾリウム等の4級アンモニウム化合物の臭化物)の組み合わせ、
(3)塩素と塩化物(例えば、塩化リチウム、塩化カリウム等の金属塩化物;塩化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化ピリジニウム、塩化イミダゾリウム等の4級アンモニウム化合物の塩化物)の組み合わせ、
(4)アルキルビオローゲンとその還元体の組み合わせ、
(5)キノン/ハイドロキノン、鉄(II)イオン/鉄(III)イオン、銅(I)イオン/銅(II)イオン、マンガン(II)イオン/マンガン(III)イオン、コバルトイオン(II)/コバルトイオン(III))等の遷移金属イオン対、
(6)フェロシアン/フェリシアン、四塩化コバルト(II)/四塩化コバルト(III)、四臭化コバルト(II)/四臭化コバルト(III)、六塩化イリジウム(II)/六塩化イリジウム(III)、六シアノ化ルテニウム(II)/六シアノ化ルテニウム(III)、六塩化ロジウム(II)/六塩化ロジウム(III)、六塩化レニウム(III)/六塩化レニウム(IV)、六塩化レニウム(IV)/六塩化レニウム(V)、六塩化オスミウム(III)/六塩化オスミウム(IV)、六塩化オスミウム(IV)/六塩化オスミウム(V)等の錯イオンの組み合わせ、
(7)コバルト、鉄、ルテニウム、マンガン、ニッケル、レニウム等の遷移金属と、ビピリジンやその誘導体、ターピリジンやその誘導体、フェナントロリンやその誘導体等の複素共役環及びその誘導体で形成されている錯体類、
(8)フェロセン/フェロセニウムイオン、コバルトセン/コバルトセニウムイオン、ルテノセン/ルテノセウムイオン等のシクロペンタジエン及びその誘導体と金属の錯体類、(9)ポルフィリン系化合物類
が挙げられるが、好ましくは前記(1)で挙げたレドックス対が使用される。なお、これらのレドックス対は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
本発明の光化学電池は、従来から適用されている方法によって製造することができ、例えば、
(1)透明電極上に酸化物等の半導体微粒子のペーストを塗布し、加熱焼成して半導体微粒子の薄膜を作製する。
(2)次いで、半導体微粒子の薄膜がチタニアの場合、温度400〜550℃で0.5〜1時間焼成する。
(3)得られた薄膜の付いた透明電極を色素溶液に浸漬し、二核ルテニウム錯体色素を担持して光電変換素子を作製する。
(4)得られた光電変換素子と対極として白金又は炭素を蒸着した透明電極を合わせ、その間に電解質溶液を入れる。
という操作を行うことにより、本発明の光化学電池を製造することが出来る。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、光化学電池の光電変換効率は、ソーラーシュミレーター(英弘精機株式会社製)の擬似太陽光を照射して測定した。
参考例A1(ルテニウム錯体(1)(Y=塩素原子)の合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積500mlの三口フラスコに、市販の三塩化ルテニウム・三水和物3.22g(12.3mmol)、4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン5.72g(23.4mmol)及びN,N’−ジメチルホルムアミド300mlを加え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて、窒素雰囲気下、攪拌しながら158〜162℃で45分間反応させた。反応終了後、反応液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた濃縮物をアセトン/ジエチルエーテル(=1/4(容量比))の混合液で洗浄し、次いで、2mol/l塩酸300mlを加え、超音波攪拌を30分間、通常の攪拌を2時間行った。攪拌終了後、得られた溶液を濾過し、濾物を2mol/l塩酸、アセトン/ジエチルエーテル(=1/4(容量比))の混合液、ジエチルエーテルの順で洗浄した後、固体を乾燥させ、暗紫色固体として、ルテニウム錯体(1)7.23gを得た(単離収率;88.6%)。
参考例A2(ルテニウム錯体(2−2)の合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積100mlの三口フラスコに、ジクロロビス(1,10−フェナントロリン)ルテニウム(II)1.00g(1.76mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール0.495g(2.11mmol)及びエチレングリコール40mlを加え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて、窒素雰囲気下、攪拌しながら200〜204℃で5分間反応させた。反応終了後、水80mlを加えて1時間攪拌した後、得られた溶液を濾過し、濾液に3.52mol/lヘキサフルオロリン酸アンモニウム水溶液2mlを加え、更に1時間攪拌した。攪拌終了後、析出した固体を濾過し、濾物を水、アセトン/ジエチルエーテル(=1/4(容量比))の混合液、ジエチルエーテルの順で洗浄した後、固体を乾燥させ、橙色固体として、ルテニウム錯体(2−2)1.40gを得た(単離収率;80.6%)。
参考例A3(脱プロトン化されたルテニウム錯体(2−2)の合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積100mlの三口フラスコに、参考例A2で得られたルテニウム錯体(2−2)1.39g(1.41mmol)及びメタノール28mlを加えた後、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液2.81ml(14.1mmol)を加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら82〜86℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液を濾過し、濾物を冷却したメタノール、水、ジエチルエーテルの順で洗浄した後、固体を乾燥させ、暗赤紫色固体として、脱プロトン化されたルテニウム錯体(2−2)0.881gを得た(単離収率;83.7%)。
実施例A1(二核ルテニウム錯体色素(pH2.8)の合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積500mlの三口フラスコに、ルテニウム錯体(1)1.08g(1.55mmol)、水100ml、エタノール100ml及び1mol/l水酸化ナトリウム水溶液6.05ml(6.05mmol)を加えた。次いで、脱プロトン化されたルテニウム錯体(2−2)1.22g(1.63mmol)を加え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて、窒素雰囲気下、攪拌しながら86〜90℃で90分間反応させた。反応終了後、反応液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。濃縮後、得られた溶液を濾過し、濾液に0.5mol/lヘキサフルオロリン酸水溶液を反応液のpHが2.8になるまで加え、4℃に冷却して一晩放置した。析出した結晶を濾過し、pH2.8のヘキサフルオロリン酸水溶液、アセトン/ジエチルエーテル(=1/4(容量比))の混合液、ジエチルエーテルの順で洗浄した後、固体を乾燥させ、暗赤紫色固体として、二核ルテニウム錯体色素(pH2.8)2.11gを得た(単離収率;93.2%)。
実施例A2〜A3、比較例A1(反応液のpHを変えた二核ルテニウム錯体色素の合成)
実施例A1において、二核ルテニウム錯体色素を単離する際の反応液のpHを3.5、3.8に変えたこと以外は実施例A1と同様に反応を行い、それぞれ、二核ルテニウム錯体色素(pH3.5)、二核ルテニウム錯体色素(pH3.8)を得た。又、比較例として、反応液のpHを2.5としたこと以外は実施例A1と同様に反応を行い、二核ルテニウム錯体色素(pH2.5)も得た。
なお、pH5.0を超える条件下においては、二核ルテニウム錯体色素の単離が困難であった。
実施例A4(光電変換効率の評価)
(多孔質チタニア電極の作製)
チタニアペーストPST−18NR(触媒化成製)を透明層に、PST−400C(触媒化成製)を拡散層に用い、透明導電性ガラス電極(旭硝子株式会社製)の上に、スクリーン印刷機を用いて塗布した。得られた膜を25℃、相対湿度60%の雰囲気下で5分間エージングし、このエージングした膜を440〜460℃で30分間焼成した。この操作を繰り返すことで、16mmの多孔質チタニア電極を作製した。
(色素を吸着した多孔質チタニア電極の作製)
実施例A1〜A3、比較例A1で合成した各種二核ルテニウム錯体色素をイソプロピルアルコールに加えて、当該ルテニウム錯体色素の飽和色素溶液を調製した。次いで、調製した飽和色素溶液に多孔質チタニア電極を内温30℃の恒温器中で20時間浸漬した後、乾燥させ、色素を吸着した多孔質チタニア電極を作製した。
(光化学電池の作製)
3−メトキシプロピオニトリル、ヨウ化リチウム、ヨウ素、4−t−ブチルピリジン及び1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドから、ヨウ化物イオンの濃度が1.0mol/lの電解質溶液を調製した。そして、前記色素吸着多孔質チタニア電極と白金板(対極)を重ね合わせた後、調製した電解質溶液を両電極の隙間に毛細管現象を利用して染み込ませることによって光化学電池を作製した。各々の二核ルテニウム錯体色素を用いて作製した光化学電池の変換効率を表1に示す。
Figure 0005493857
この結果から、実施例A1〜A3の二核ルテニウム錯体色素(pH2.8)、二核ルテニウム錯体色素(pH3.5)、二核ルテニウム錯体色素(pH3.8)が、比較例A1のルテニウム錯体色素(pH2.5)よりも高い変換効率を示すことが分かる。
参考例B1(ルテニウム錯体(2−1)及び脱プロトン化されたルテニウム錯体(2−1)の合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積200mlの三口フラスコに、ジクロロビス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(II)0.505g(0.97mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール0.34g(1.46mmol)及びエチレングリコール20mlを加え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて、窒素雰囲気下、攪拌しながら200〜204℃で5分間反応させた。反応終了後、反応液に水20mlを加えて1時間攪拌した後に濾過し、濾液にヘキサフルオロリン酸アンモニウム水溶液を加え、更に1時間攪拌した。攪拌終了後、得られた溶液を濾過し、濾液にヘキサフルオロリン酸アンモニウム水溶液を加え、更に1時間攪拌した後、析出した固体を濾過し、濾物を水、アセトン/ジエチルエーテル(=1/4(容量比))の混合液、ジエチルエーテルの順で洗浄した。そして、得られた固体を乾燥させ、橙色固体として、ルテニウム錯体(2−1)0.905gを得た(単離収率;96%)。
次いで、得られたルテニウム錯体(2−1)0.877g(0.90mmol)、メタノール30ml及び28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.8ml(9.0mmol)を加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら85℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後に濾過し、濾物を冷却したメタノール、水、ジエチルエーテルの順で洗浄した後、乾燥させ、暗赤紫色固体として、脱プロトン化されたルテニウム錯体(2−1)0.587gを得た(単離収率;96%)。
実施例B1〜B5(二核ルテニウム錯体色素(pH2.5)の合成・pHの異なる二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液の調製)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積500mlの三口フラスコに、ルテニウム錯体(1)0.509g(0.73mmol)、水50ml、エタノール50ml及び1mol/l水酸化ナトリウム水溶液3.2ml(3.20mmol)を加えた。次いで、脱プロトン化されたルテニウム錯体(2−1)0.522g(0.77mmol)を加え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて、窒素雰囲気下、攪拌しながら85〜90℃で30分間反応させた。反応終了後、反応液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。濃縮後、得られた溶液を濾過し、濾液に0.5mol/lヘキサフルオロリン酸水溶液を反応液のpHが2.5になるまで加え、液温を4℃に冷却して一晩放置した。析出した結晶を濾過し、pH2.5のヘキサフルオロリン酸水溶液、アセトン/ジエチルエーテル(=1/4(容量比))の混合液、ジエチルエーテルの順で洗浄した後、固体を乾燥させ、暗赤紫色固体として、二核ルテニウム錯体色素(pH2.5)0.873gを得た(単離収率;85%)。
得られた二核ルテニウム錯体色素(pH2.5)と水とを混合した(懸濁状態となった)後、この懸濁液にトリエチルアミンをpHが10になるまで加え、0.2mmol/l二核ルテニウム錯体色素水溶液(pH10)を得た。次いで、得られた溶液に0.5mol/l及び0.02mol/lヨウ化水素酸水溶液を適当量加えて、pH4.0、pH4.3、pH4.5、pH5.0、pH7.0の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液をそれぞれ調製した。調製した二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液は全て、二核ルテニウム錯体色素の濃度を0.2mmol/lとした。
なお、pH4.0未満では二核ルテニウム錯体色素が析出してしまったために、当該酸性水溶液を調製することはできなかった。
実施例B6(光電変換効率の評価)
(多孔質チタニア電極の作製)
チタニアペーストPST−18NR(触媒化成製)を透明層に、PST−400C(触媒化成製)を拡散層に用い、透明導電性ガラス電極(旭硝子株式会社製)の上に、スクリーン印刷機を用いて塗布した。得られた膜を25℃、相対湿度60%の雰囲気下で5分間エージングし、このエージングした膜を440〜460℃で30分間焼成した。この操作を繰り返すことで、16mmの多孔質チタニア電極を作製した。
(色素を吸着した多孔質チタニア電極の作製)
実施例B1〜B5で調製した二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液に多孔質チタニア電極を内温30℃の恒温器中で20時間浸漬した後、乾燥させ、色素を吸着した多孔質チタニア電極を作製した。
(光化学電池の作製)
3−メトキシプロピオニトリル、ヨウ化リチウム、ヨウ素、4−t−ブチルピリジン及び1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドから、ヨウ化物イオンの濃度が0.65mol/lの電解質溶液を調製した。そして、前記色素吸着多孔質チタニア電極に25mmの孔を開けた30μm厚のスペーサーを乗せ、調製した電解質溶液を滴下した後、白金板(対極)を重ね合わせることによって光化学電池を作製した。pHの異なる各々の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液を用いて作製した光化学電池の変換効率を表2に示す。なお、色素を吸着させる時間(吸着時間)はいずれも20時間である。
Figure 0005493857
又、pHが4.0、4.3、4.5の0.2mmol/l二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液(実施例B1〜B3)を使用して、色素を吸着させる時間を変えて光化学電池を作製し、吸着時間に対する変換効率を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0005493857
これらの結果から、0.2mmol/l二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液のうち、特にpHが4.0〜4.5の範囲で高い変換効率を示すことが分かる。
本発明の二核ルテニウム錯体色素、または本発明の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液を用いることにより、光電変換効率が高い光電変換素子、及びそれを用いた光化学電池を得ることができる。

Claims (8)

  1. 般式(1)
    Figure 0005493857
    (式中、Yは、ハロゲン原子を示す。)
    で示されるルテニウム錯体(1)と、式(2−1)
    Figure 0005493857
    で示されるルテニウム錯体(2)とを反応させた後、酸を加えて反応液のpHを2.5〜5となるように調整することによって二核ルテニウム錯体を単離した後、当該錯体、水及び塩基(塩基性水溶液を含む)を混合して、pH5〜12の二核ルテニウム錯体色素水溶液とし、次いで、これに酸を加えることによって得られる二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液。
  2. 二核ルテニウム錯体色素の濃度が0.1〜1mmol/lである請求項記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液。
  3. 酸を加える前の二核ルテニウム錯体色素水溶液の二核ルテニウム錯体色素の濃度が0.1〜1mmol/lである請求項または記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液。
  4. pHが4.0〜5.0である請求項のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液。
  5. 加える酸が、ヘキサフルオロリン酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、テトラフェニルホウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸または酢酸のいずれか1種以上である請求項のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液。
  6. 前記一般式(1)で示されるルテニウム錯体(1)と、前記式(2−1)で示されるルテニウム錯体(2)とを反応させた後、酸を加えて反応液のpHを2.5〜5となるように調整することによって二核ルテニウム錯体を単離した後、当該錯体、水及び塩基(塩基性水溶液を含む)を混合して、pH5〜12の二核ルテニウム錯体色素水溶液とし、次いで、これに酸を加えることを特徴とする、請求項のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液の製造方法。
  7. ルテニウム錯体(1)とルテニウム錯体(2)との反応を塩基の存在下で行う請求項記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液の製造方法。
  8. 請求項のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素酸性水溶液を用いて色素を吸着させた、二核ルテニウム錯体色素によって増感された半導体微粒子。
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