JP5493419B2 - ZnS焼結体、ZnS焼結体群および光学部材、ならびにその製造方法 - Google Patents

ZnS焼結体、ZnS焼結体群および光学部材、ならびにその製造方法 Download PDF

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Description

本発明はZnS焼結体および光学部材、ならびにその製造方法に関し、より特定的には、透過率のばらつきが抑制されたZnS焼結体および光学部材、ならびにその製造方法に関する。
近年の赤外線を利用したセンサ技術の進展等に伴い、赤外線に対して用いられるレンズ、ウィンドウなどの光学部材の開発が進められている。また、赤外線に対して用いられる光学部材の素材として、硫化亜鉛(ZnS)からなる焼結体(ZnS焼結体)が注目されている。そして、このZnS焼結体および当該ZnS焼結体からなる光学部材の特性の向上や製造コストの低減を目的として、様々な検討がなされ、種々の方策が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
国際公開第2003/055826号パンフレット
しかしながら、上記特許文献1のようにZnSの原料粉末をプレス成形して成形体を得た後、当該成形体を焼結して製造されるZnS焼結体においては、光(赤外線)の透過率のばらつきが大きくなるという問題があった。
そこで、本発明の目的は、光の透過率のばらつきが抑制されたZnS焼結体および光学部材、ならびにその製造方法を提供することである。
本発明に従ったZnS焼結体は、ZnSの焼結体であって、焼結体を構成する結晶の10%径が0.8μm以上であり、焼結体を構成する結晶の50%径が1.7μm以上である。
本発明者は、ZnS焼結体における光の透過率、特に赤外線に対する透過率(以下、単に透過率ともいう)と、焼結体の構成との関係について詳細な検討を行なった。その結果、以下のように、焼結体を構成する結晶の10%径(D10)および50%径(D50)が焼結体の光の透過率のばらつきに大きな影響を与えていることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、ZnS焼結体においては、結晶体を構成する結晶の10%径が0.8μm未満、50%径が1.7μm未満となった場合、透過率のばらつきが著しく大きくなる。これに対し、本発明のZnS焼結体においては、焼結体を構成する結晶の10%径が0.8μm以上、かつ50%径が1.7μm以上であるため、透過率のばらつきが抑制されたZnS焼結体を提供することができる。
ここで、10%径とは、粒子(結晶)の粒径分布において、積算分布が0.1となる粒子径をいい、50%径とは、積算分布が0.5となる粒子径をいう(たとえば、椿淳一郎・外2名著、「入門 粒子・紛体工学」、日刊工業新聞社発行、参照)。
上記ZnS焼結体において好ましくは、焼結体を構成する結晶の10%径が3.0μm以下であり、焼結体を構成する結晶の50%径が3.6μm以下である。
上述のように、焼結体を構成する結晶の10%径および50%を所定値以上とすることにより、ZnS焼結体における透過率のばらつきを抑制することができる。しかし、10%径および50%が大きくなりすぎると、より具体的には、焼結体を構成する結晶の10%径が3.0μm、50%径が3.6μmを超えると、透過率が低下することが本発明者の検討により明らかとなった。したがって、ZnS焼結体において、高い透過率を確保するためには、焼結体を構成する結晶の10%径を3.0μm以下、50%径を3.6μm以下とすることが好ましい。
上記ZnS焼結体において好ましくは、波長8μm以上14μm以下の光に対する平均透過率のばらつき幅が±5%以下である。これにより、たとえば人間の体温に相当する波長を含む波長帯用の光学部材の素材として有用な、品質の安定したZnS焼結体を提供することができる。
ここで、平均透過率のばらつき幅とは、複数個のZnS焼結体の群における平均透過率の最大値と最小値との差であって、たとえば以下のように算出することができる。まず、8〜14μmの波長帯を含む波長帯の光に対するZnS焼結体の透過率を、FT−IR(Fourier Transform Infra Red;フーリエ変換赤外分光光度計)を用いて測定する。次に、8〜14μmの波長帯における透過率を0.2μmピッチで算出し、これを平均することにより平均透過率を算出する。これを30個のZnS焼結体について実施し、平均透過率の最大値と最小値との差をばらつき幅として算出する。
上記ZnS焼結体において好ましくは、波長8μm以上14μm以下の光に対する平均透過率の平均値が58%以上である。これにより、たとえば人間の体温に相当する波長を含む波長帯用の光学部材の素材として有用な、透過光の損失の小さいZnS焼結体を提供することができる。ここで、平均透過率の平均値は、複数個のZnS焼結体の群における平均透過率の平均値であって、たとえば以下のように算出することができる。まず、上記平均透過率のばらつき幅を算出する場合と同様に、ZnS焼結体の平均透過率の値を算出する。そして、これを30個のZnS焼結体について実施し、得られた平均透過率の値を平均することにより、算出する。
本発明に従った光学部材は、上記本発明のZnS焼結体からなっている。本発明の光学部材によれば、当該光学部材を構成するZnS焼結体の平均透過率のばらつき幅が小さいことにより、品質の安定した光学部材を提供することができる。
本発明に従ったZnS焼結体の製造方法は、50%径が3.5μm以上であるZnSの原料粉末を準備する工程と、原料粉末を成形することにより成形体を作製する工程と、成形体を焼結することにより焼結体を作製する工程とを備えている。ここで、原料粉末の50%径とは一次粒子の集合体である二次粒子の50%径を意味している。一方、焼結体の結晶粒子は一次粒子同士が焼結することにより形成される。ここでは、原料粉末の一次粒子径≦焼結体の結晶粒子径≦原料粉末の二次粒子径の関係が成立している。なお、原料粉末の50%径は、たとえばニッキソー社製マイクロトラックを用いて、レーザー回折散乱法により粒径分布を測定することで求めることができる。
本発明のZnS焼結体の製造方法においては、50%径が3.5μm以上であるZnSの原料粉末を用いて成形体を作製し、これを焼結することによりZnS焼結体を作製している。これにより、焼結体を構成する結晶の10%径が0.8μm以上、かつ50%径が1.7μm以上であるZnS焼結体を容易に製造することができる。その結果、本発明のZnS焼結体の製造方法によれば、透過率のばらつきが抑制されたZnS焼結体を製造することができる。なお、より確実に、透過率のばらつきが抑制されたZnS焼結体を製造するためには、準備される原料粉末の10%径が2.0μm以上であることが好ましい。
上記ZnS焼結体の製造方法において好ましくは、原料粉末の50%径は5.5μm以下である。これにより、焼結体を構成する結晶の10%径が3.0μm以下であり、かつ50%径が3.6μm以下であるZnS焼結体を容易に製造することが可能となり、高い透過率が確保されたZnS焼結体を製造することができる。なお、より確実に、高い透過率を確保するためには、準備される原料粉末の10%径が3.7μm以下であることが好ましい。
本発明に従った光学部材の製造方法は、上記本発明のZnS焼結体の製造方法を用いて実施される。本発明の光学部材の製造方法によれば、光学部材を構成するZnS焼結体の平均透過率のばらつき幅を抑制することが可能であるため、品質の安定した光学部材を製造することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明のZnS焼結体および光学部材、ならびにその製造方法によれば、光の透過率のばらつきが抑制されたZnS焼結体および光学部材、ならびにその製造方法を提供することができる。
実施の形態1におけるZnS焼結体からなる光学部材の構成を示す概略断面図である。 実施の形態1におけるZnS焼結体および光学部材の製造方法の概略を示すフローチャートである。 実施の形態2におけるZnS焼結体からなる光学部材の構成を示す概略断面図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
(実施の形態1)
まず、本発明の一実施の形態である実施の形態1について説明する。図1を参照して、本実施の形態における光学部材としての両凸レンズ1は、凸形状を有し、光、特に波長8μm以上14μm以下の赤外線が入射または出射するための光学機能面である第1の主面11と、凸形状を有し、第1の主面11とは反対側に形成され、上記光が出射または入射するための光学機能面である第2の主面12とを備えている。また、両凸レンズ1はZnS焼結体からなっている。そして、この焼結体を構成する結晶の10%径は0.8μm以上となっており、50%径は1.7μm以上となっている。その結果、両凸レンズ1は、透過率のばらつきが抑制されたZnS焼結体からなることにより、品質の安定した光学部材となっている。
ここで、両凸レンズ1においては、ZnS焼結体を構成する結晶の10%径が3.0μm以下であり、50%径が3.6μm以下であることが好ましい。これにより、ZnS焼結体からなる両凸レンズ1において高い透過率が確保される。
また、両凸レンズ1を構成するZnS焼結体においては、波長8μm以上14μm以下の光に対する平均透過率のばらつき幅が±5%以下であることが好ましい。これにより、両凸レンズ1を、たとえば人間の体温に相当する波長を含む波長帯用の光学部材として有利に適用することができる。
さらに、両凸レンズ1を構成するZnS焼結体においては、波長8μm以上14μm以下の光に対する平均透過率の平均値が58%以上であることが好ましい。これにより、両凸レンズ1を、たとえば人間の体温に相当する波長を含む波長帯用の光学部材として有利に適用することができる。
次に、本発明の実施の形態1におけるZnS焼結体および光学部材の製造方法について説明する。図2を参照して、本実施の形態におけるZnS焼結体および光学部材の製造方法においては、まず、工程(S10)として原料粉末準備工程が実施される。この工程(S10)では、50%径が3.5μm以上であるZnSの原料粉末が準備される。ここで、準備される原料粉末の10%径は、2.0μm以上であることが望ましい。
次に、工程(S20)として成形工程が実施される。この工程(S20)では、たとえば超硬合金、工具鋼などからなる硬質の金型を使用した一軸式金型プレスを用いた成形により、工程(S10)において準備された原料粉末がプレス成形されて、両凸レンズ1の概略形状を有する成形体が作製される。
次に、工程(S30)として予備焼結工程が実施される。この工程(S30)では、工程(S20)において作製された成形体に対して、たとえば30Pa以下の真空雰囲気下で500℃以上1000℃以下の温度に加熱され、0.5時間以上15時間以下保持される熱処理が実施されて、予備焼結体が作製される。これにより、たとえば相対密度55〜80体積%程度の予備焼結体が得られる。
次に、工程(S40)として加圧焼結工程が実施される。この工程(S40)では、工程(S30)において作製された予備焼結体が、型により拘束されつつ加圧され、かつ加熱されることにより変形されて、加圧焼結体が作製される。具体的には、まず、たとえばガラス状カーボンからなり、鏡面研磨された拘束面を有する1対の型(上型および下型)の間に工程(S30)において作製された予備焼結体を載置する。そして、当該1対の型を用いて予備焼結体を加圧しつつ加熱することにより、たとえば温度550℃以上1200℃以下、圧力10MPa以上300MPa以下の条件で1分以上60分以下保持する。これにより、上記予備焼結体が加圧されつつ焼結され、加圧焼結体(ZnS焼結体)が得られる。その後、必要に応じてZnS焼結体に対して仕上げ加工が実施され、両凸レンズ1が完成する。この仕上げ加工は、工程(S40)が完了した時点において、ZnS焼結体が目的の両凸レンズ1の形状となっている場合、省略することができる。
本実施の形態におけるZnS焼結体(両凸レンズ1)の製造方法においては、50%径が3.5μm以上であるZnSの原料粉末を用いて成形体を作製し、これを焼結することによりZnS焼結体を作製しているため、焼結体を構成する結晶の10%径が0.8μm以上、かつ50%径が1.7μm以上である本実施の形態のZnS焼結体を容易に製造することができる。その結果、本実施の形態における両凸レンズ1の製造方法によれば、透過率のばらつきが抑制された両凸レンズ1を製造することができる。
なお、上記両凸レンズ1の製造方法においては、原料粉末の50%径は5.5μm以下であることが好ましい。これにより、焼結体を構成する結晶の10%径が3.0μm以下であり、かつ50%径が3.6μm以下であるZnS焼結体(両凸レンズ1)を容易に製造することが可能となり、高い透過率が確保された両凸レンズ1を得ることができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図3を参照して、実施の形態2における光学部材である両凹レンズ2は、基本的には上記実施の形態1における両凸レンズ1と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2における両凹レンズ2は、その形状において実施の形態1における両凸レンズ1とは異なっている。
すなわち、図3を参照して、両凹レンズ2は、凹形状を有し、光、特に波長8μm以上14μm以下の赤外線が入射または出射するための光学機能面である第1の主面21と、凹形状を有し、第1の主面21とは反対側に形成され、上記光が出射または入射するための光学機能面である第2の主面22とを備えている。この両凹レンズ2は、工程(S20)および(S40)において用いる型の形状が異なる点を除き、実施の形態1の場合と同様の製造方法により製造することができる。
なお、上記実施の形態においては本発明の光学部材の一例として、両凸レンズおよび両凹レンズについて説明したが、本発明の光学部材はこれに限られず、たとえば平凸レンズ、メニスカスレンズ、平凹レンズ、ウィンドウ、プリズムなど各種光学部品にも適用することができる。
以下、本発明の実施例1について説明する。種々の粒径分布を有する原料粉末を用いてZnS焼結体を作製し、原料粉末の50%径ならびにZnS焼結体を構成する結晶の10%径および50%径と焼結体の透過率およびそのばらつき幅との関係を調査する実験を行なった。実験の手順は以下の通りである。
まず、原料粉末としてZnSからなり、50%径(D50)が2〜6μmの8水準、純度98%であるZnSの粉末を準備した。次に、当該原料粉末を一軸式金型プレス(冷間プレス)により成形し、直径φ20mm、厚み5mmの円盤状の予備成形体を、各50%径の水準の原料粉末について10個ずつ作製した。次に、得られた予備成形体を真空中で800℃に加熱し、5時間保持することにより、相対密度約60%の予備焼結体を得た。次に、ガラス状カーボンからなり、鏡面研磨された拘束面を有する1対の型(上型および下型)の間に予備焼結体を載置し、当該1対の型を用いて50MPaの圧力で予備焼結体を加圧しつつ、1000℃に加熱して300秒間保持した。以上のプロセスにより、直径φ20mm、厚み3mmのZnS焼結体からなる試料を得た。
次に、得られた試料を真空雰囲気中、800℃で10分間サーマルエッチングし、成形面の結晶組織を中心から同心円上にSEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)を用いて観察することにより、焼結体を構成する結晶粒の10%径(D10)および50%径(D50)および粒径のばらつきσ(標準偏差)を算出した。より具体的には、倍率5000倍、視野サイズ縦20μm横25μmの画像データを10箇所において取得し、取得した画像データを紙に出力した後、出力された画像データの結晶粒界を透明シートに転写した。さらに、これを電子化した上で、画像処理ソフト(たとえば、Scion Corporation製「Scion Image」)を用いて各結晶粒の面積を算出した後、球近似することにより結晶粒の直径(結晶粒径)を求めた。そして、得られた結晶粒径に関して累積体積率を計算することによりD10およびD50を求めるとともに、結晶粒径の標準偏差を計算することにより結晶粒径のばらつきσを求めた。
一方、得られた試料について、日本分光製FT−IRを用いて波長2.5〜25μmの赤外線の透過率を測定した。さらに、得られた測定値のうち波長8〜14μmの赤外線に対する透過率を0.2μmピッチで平均して平均透過率を算出した。そして、これを30個の試料について実施し、最大値と最小値との差(ばらつき幅)および平均値を算出した。実験の結果を表1に示す。
Figure 0005493419
表1を参照して、原料粉末のD50が3.5μm未満である試料1においては、焼結体の結晶粒径のD10が0.8μm未満の0.26μm、D50が1.7μm未満の0.95μmとなり、その結果、平均透過率のばらつき幅が著しく大きくなっている。これは以下のような理由によるものと考えられる。すなわち、原料粉末のD50が3.5μm未満である試料1では、成形工程(図2参照)において粉末が嵩高くなり、得られる予備成形体の密度のばらつきが大きくなる。そのため、ZnS焼結体の結晶粒径のD10およびD50がそれぞれ0.8未満および1.7未満となるとともに、ばらつきσが0.65μmよりも大きくなる。そして、その結果として、透過率のばらつき幅が著しく大きくなったものと考えられる。この結果より、ZnS焼結体においては、焼結体の結晶粒径のD10およびD50がそれぞれ0.8μm以上および1.7μm以上であることが好ましく、そのためには原料粉末のD50を3.5μm以上とすることが好ましいことが確認された。また、結晶粒径のばらつきσは、0.65μm以下とすることがより好ましいといえる。
さらに、平均透過率のばらつき幅を一層抑制するためには、焼結体の結晶粒径のD10およびD50がそれぞれ1.04μm以上および1.88μm以上であることがより好ましく、そのためには原料粉末のD50を3.8μm以上とすることが好ましいといえる。また、結晶粒径のばらつきσは、0.62μm以下とすることがより好ましいといえる。
また、一般に、赤外線に対して用いられる光学部材においては、透過率が58%以上必要である場合が多い。これに対し、原料粉末のD50が3.5μm未満である試料1では、透過率が58%未満となっている。これは、結晶粒径が小さくなることで結晶粒界が増加し、粒界による赤外線の散乱が増加するためであると考えられる。そのため、透過率の観点からも、焼結体の結晶粒径のD10およびD50はそれぞれ0.8μm以上および1.7μm以上であることが好ましく、そのためには原料粉末のD50を3.5μm以上とすることが好ましい。さらに、実際の量産工程における十分な歩留まりを確保する観点から、焼結体の結晶粒径のD10およびD50はそれぞれ1.04μm以上および1.88μm以上であることが好ましく、そのためには原料粉末のD50を3.8μm以上とすることが好ましい。
一方、表1を参照して、原料粉末のD50が5.5μmを超える試料6においては、焼結体の結晶粒径のD10が3.0μmを超える3.9μm、D50が3.6μmを超える4.31μmとなり、その結果、透過率が55%にまで低下している。これは、原料粉末の粒径が大きくなることにより焼結性が低下し、ZnS焼結体の焼結が不十分となっているためであると考えられる。このことから、ZnS焼結体においては、焼結体の結晶粒径のD10およびD50がそれぞれ3.0μm以下および3.6μm以下であることが好ましく、そのためには原料粉末のD50を5.5μm以下とすることが好ましいといえる。さらに、実際の量産工程における十分な歩留まりを確保する観点から、焼結体の結晶粒径のD10およびD50はそれぞれ2.33μm以下および2.95μm以下であることが好ましく、そのためには原料粉末のD50を5.0μm以下とすることが好ましい。
特に、平均透過率が60%以上と高く、かつばらつき幅が±2%となっている試料3〜6に対応する構成を採用することが好ましい。具体的には焼結体の結晶粒径のD10およびD50はそれぞれ1.04μm以上2.33μm以下および1.88μm以上2.95μm以下とすることが好ましく、そのためには原料粉末のD50を3.8μm以上5.0μm以下とすることが好ましい。
なお、上記試料1〜8と同じ原料粉末を用い、同様のプロセスで外径20mm、最大厚み6mm、曲率半径18mmの平凸レンズを作製し、同様の手順で波長8〜14μmの光の透過率を測定する実験も行なった。その結果、上記実験と同様の傾向を示す結果が得られた。このことから、本発明は、ZnS焼結体(光学部材)の形状や大きさにかかわらず適用可能であることが確認された。
また、上記平凸レンズを赤外カメラに組み込んで感度を評価したところ、試料2〜6に対応する平凸レンズを用いた場合、他の平凸レンズを用いた場合に比べて、感度の平均値が11〜19%向上した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のZnS焼結体および光学部材、ならびにその製造方法は、透過率のばらつきの抑制が求められるZnS焼結体および光学部材、ならびにその製造方法に、特に有利に適用され得る。
1 両凸レンズ、2 両凹レンズ、11,21 第1の主面、12,22 第2の主面。

Claims (5)

  1. ZnSの焼結体であって、
    前記焼結体を構成する結晶の10%径が0.8μm以上1.78μm以下であり、
    前記焼結体を構成する結晶の50%径が1.7μm以上2.44μm以下であり、
    波長8μm以上14μm以下の光に対する平均透過率の平均値が58%以上である、ZnS焼結体。
  2. 請求項1に記載のZnS焼結体を複数個含むZnS焼結体群であって、
    波長8μm以上14μm以下の光に対する平均透過率のばらつき幅が±5%以下である、ZnS焼結体群。
  3. 請求項1に記載のZnS焼結体からなる、光学部材。
  4. 二次粒子の10%径が2μm以上2.9μm以下であり、二次粒子の50%径が3.5μm以上4.5μm以下であるZnSの原料粉末を準備する工程と、
    前記原料粉末を成形することにより、成形体を作製する工程と、
    前記成形体を焼結することにより、焼結体を作製する工程とを備え、
    前記焼結体を作製する工程では、請求項1に記載のZnS焼結体が作製される、ZnS焼結体の製造方法。
  5. 請求項に記載のZnS焼結体の製造方法を用いて実施される、光学部材の製造方法。
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