JP2018090440A - 鋭角部を有する光学部品の製造方法 - Google Patents

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弘明 小林
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優 横山
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ラメッシュ ヴァレプ
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昌子 植松
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Abstract

【課題】シリカ材料を用いて、安価でかつ精度良く、紫外・可視透過性に優れた鋭角部を有する光学部品を製造する方法であって、特定のシリカ粉原料を用いてスラリーを調製し、該スラリーを所望の形状の溝を有する成形型に流し込んで成形し、脱型後、焼結することにより、シリカ焼結体からなる光学部品を得る方法を提供する。【解決手段】真球度が0.9以上1以下のシリカ粉で、かつ、平均粒径が8μm以下のシリカ粉原料を用いてスラリーを調製し、該スラリーを鋭角部が形成された表面粗さ(Ra)が0.1μm以下、鋭角部によって生じる溝高さ(段差)が700μm以下の成形型に流し込んでゲルキャスト法により成形し、その後、得られた成形体を焼結することを特徴とする鋭角部を有する光学部品の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、紫外・可視域の光透過性に優れた光学部品の製造方法、詳しくは、鋭角部を有するシリカ焼結体の製造方法に関する。
液晶用バックライトの輝度向上に用いられる光拡散フィルム、ビデオプロジェクションテレビのスクリーンに用いられるレンズ、または、投射型プロジェクションテレビレンチキュラーレンズシート等の光学部品はいずれも、小型でありながら精密な微細構造を有することで所望の幾何光学的な性能を発揮している。
これらのうち、例えば、プリズムやレンズ等は、樹脂を熱プレス成型して作製される(特許文献1)。この熱プレス成型方法を用いれば、プレス工程における加圧力を小さくでき、かつ、金型の表面形状をプリズムやレンズ等に精密に転写することができるという利点がある。しかしながら、このような樹脂は紫外域での透過性が悪く、波長280nmでの透過率が80%を下回る。また、樹脂製のレンズは、太陽光を集光したり、紫外線を透過させたりすると、樹脂が劣化し、透過率が低下するおそれがある。
一方、ホウ珪酸ガラス、ソーダライムガラスまたはアルミノシリケートガラス等のガラスを熔融し、熱プレス成型してプリズムやレンズ等を作製する方法も行われている(特許文献2)。この方法によれば、薄型で大口径のガラス製プリズムやレンズ等を製造することが可能であるが、熔融状態でガラスを成形するのに、成形型に耐熱性を必要とし、また、周辺装置の大型化も必要となる。さらに、ガラスは溶融しても粘性が大きいため鋭角部の先端までガラスを充填することは困難で、加えて、熔融時と冷却時とで温度差が大きいため、鋭角部があると脱型時にガラスのかみ込みが生じる。また、前記ガラス製プリズムやレンズ等は、樹脂製と同様、紫外域での透過性が悪く、波長280nmでの透過率が80%を下回る。
ところで、露光装置等の光学部品には、深紫外から近赤外域(200nm〜1μm)において透明であること、熱膨張係数が極めて小さく、寸法安定性に優れていること、金属不純物の含有量が非常に少なく、高純度であることなどの理由から、シリカガラスが用いられている。シリカガラスでは紫外から可視域(280〜780nm)に渡って透過率が高く、波長280nmでの透過率を80%以上にすることができる。シリカガラスを用いたプリズムやレンズ等は、切削加工により、ガラスにシャープなエッジを加工して作製することができる(特許文献3)。しかしながら、このような切削加工により鋭角部を形成する方法では、表面の精密な研削をしなければならないため、作製に時間もコストも要する。また、砥石が磨耗すると、高精度な鋭角形状を得ることが難しい。さらに、砥石で研削する場合、例えば被加工物を回転させずに同心円状の溝の傾斜を形成することは難しく、理想的な曲率を得ることが難しい。そのため、シリカガラス、その他のシリカ材料を用いた光学部品の改良が検討されていた。
特開2001−47453号公報 特開2012−106884号公報 特開2000−237942号公報
本発明は、シリカ材料を用いて、安価でかつ精度良く、紫外・可視透過性に優れた光学部品、なかでも鋭角部を有する光学部品を製造する方法であって、特定のシリカ粉原料を用いてスラリーを調製し、該スラリーを所望の形状の溝や段差を有する成形型に流し込んで成形し、脱型後、焼結することにより、シリカ焼結体からなる光学部品を得る方法を提供することを課題とする。
本発明の光学部品の製造方法は、真球度が0.9以上1以下のシリカ粉がシリカ原料粉全体の90%以上を占め、かつ、平均粒径が8μm以下のシリカ粉原料を用いてスラリーを調製し、該スラリーを鋭角部が形成された表面粗さ(Ra)が0.1μm以下、鋭角部によって生じる溝高さ(段差)が700μm以下の成形型に流し込んでゲルキャスト法により成形し、その後、得られた成形体を焼結して焼結体を得ることを特徴とする。
前記光学部品は、プリズムまたは異形レンズであることが好ましい。
前記シリカ粉原料の平均粒径が3μm以下であり、前記焼結体中に、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素が合計2ppm以下の量で含まれることが好ましい。
前記スラリーの粘度は、型への流し込み時600mPa・s以下であることが好ましく、400mPa・s以下であれば特に好ましい。
前記ゲルキャスト法で用いる成形型は樹脂製であることが好ましい。
前記成形型は、前記光学部品に対応する形状の凹部が複数配置された成形面を有し、各形状の溝高さ(段差)が20μm以上500μm以下であることがより好ましい。
前記光学部品に形成される鋭角部の少なくともひとつが、30°以上60°以下の鋭角であることが好ましい。
本発明によれば、小型で鋭角部、即ち90°未満の凹凸部を有する光学部品、具体的には、プリズムやレンズ等を効率良く製造することができる。
本発明の製造方法では、シリカ粉原料のスラリーを成形型に流し込んだ後、室温で成形するため、樹脂製の型を使用することができる。樹脂製の成形型には、所望する光学部品の形状に応じて、自在に形状を加工することができる。よって、光学部品に後加工により、例えば、突起、溝、屈曲部、曲線部を研削加工する必要がないため、製造が容易で経済的である。また、光学部品に凹凸や細かな形状を精密に転写することができる。
本発明に係る光学部品はシリカ焼結体からなる。よって、従来の樹脂製の光学部品に比べて、透過率が高く、劣化のおそれが小さい。
本発明の光学部品の製造方法は、真球度が0.9以上1以下のシリカ粉で、かつ、平均粒径が8μm以下のシリカ粉原料を用いてスラリーを調製し、該スラリーを鋭角部が形成された表面粗さ(Ra)が0.1μm以下、鋭角部によって生じる溝高さ(段差)が700μm以下の成形型に流し込んでゲルキャスト法により成形し、その後、得られた成形体を焼結することを特徴とする。上記製造方法を構成する各要件について以下、詳細に説明する。
本発明で用いるシリカ粉原料は、例えば、市販の多孔質シリカやフュームドシリカ等が用いられるが、真球度が0.9以上1以下のシリカ粉で、かつ、平均粒径が8μm以下であることが必要である。シリカ粉原料の平均粒径は3μm以下であれば、なお好ましい。一方、平均粒径が8μmより大きいと、鋭角部の先端を形成することが難しくなる。本発明において、真球度とは、ひとつのシリカ粉における最大直径に対する最小直径の比によって表され、真球度の値は、シリカ粉の電子顕微鏡写真において、ランダムに20個の紛を選んで、それぞれの最大直径と最小直径を測定して算定したものである。また、平均粒径は、BET法により測定する。
このように、真球度が0.9以上1以下のシリカ粉は、シリカ原料粉全体の90%以上、好ましくは100%を占める。
上記シリカ粉原料は、紫外線等の透過率の観点から、不純物の含有量はできるだけ少ないほうが好ましい。そのシリカ粉原料を用いて製造された焼結体、即ち光学部品には、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素がシリカの重量に対して合計2ppm以下の量で含まれていてもよい。2ppm以下であれば、紫外線透過率を大きく低下させることもなく、焼結体の強度向上効果も期待できる。
上記シリカ粉原料にイオン交換水、分散剤、架橋剤、およびゲル化剤等を混合してスラリーを調製する。例えば、エポキシモノマーとアミン系架橋剤の重合反応、アクリルモノマーと架橋剤アクリルアミドの重合反応によるゲル化等により成形することができる。
スラリーの粘度は600mPa・s以下とすることが、鋭角部の先端までスラリーを行き渡らせることができることから好ましく、400mPa・s以下であれば、より扱いやすくなり好ましい。
上記スラリーには必要に応じて、反応促進剤を添加してもよい。
本発明の製造方法では、成形型に上記スラリーを流し込み、室温で硬化させる。硬化時間はおよそ0.5時間以上3時間以下である。
成形型には、シリカ粉原料を含むスラリーを流し込むことができるものであればよく、種々の材質の成形型を使用することができる。
成形型は、被加工物の微細な形状を精密に転写するために、脱型時に欠けや傷を防止するために、そして、後加工なしで光学用部材として使用するために、表面粗さ(Ra)を0.1μm以下とすることが好ましい。
本発明の製造方法では、スラリーを室温で硬化させるため、金属製に比べて耐熱性の低い樹脂製の成形型を用いることができる。樹脂製の成形型は、所望する光学部品の形状に合わせて溝など複雑形状を成形しやすいという利点がある。樹脂製の成形型には、例えば、ポリプロピレン(PP)製、ポリエチレン(PE)製、テフロン(登録商標)製、またはシリコーン製の成形型が挙げられる。
ここで、本発明に係る鋭角部を有する光学部品の具体例には、プリズムや異形レンズ等がある。成形型には、光学部品に必要な形状、例えば、プリズム状、凸レンズ状、または凹レンズ状の溝または段差を形成する。この溝または段差は、鋭角部を形成するために生じるものである。従来は、高温でシリカ粉を熔融し、冷却後加工して光学部品を削り出していたため、加工に多くの時間と手間を要したが、本発明の製造方法では、成形型に、光学部品に転写する溝を予め精密に加工し、スラリーを成形型に流し込んだ後、室温で硬化させるため、成形体の製造が簡単である。なお、これらの成形型の溝は、通常の機械研削等のほか、電子ビームリソグラフィー処理、ブラスト処理、所定の粒径を有する微粒子を含む組成物を吹き付ける吹付塗装処理、またはケミカルエッチング処理等を成形型に予め施すことにより形成する。
本発明では、鋭角部によって生じる溝高さ(段差)が700μm以下の成形型を使用する。複数の三角柱を倒して並べたように波状に鋭角の凹凸を繰り返すような形状では、前記光学部品に対応する波の形状の頂部と底部の溝高さ(段差)は、20μm以上500μm以下が好ましく、特に好ましくは20μm以上200μm以下にするのが良い。溝の段差が20μmに満たないと、焼結時の熱変形により、高精度な形状が得られ難いことがある。一方、溝の段差が500μmを超えると、成形体と成形型の溝部での接触面積が大きく、脱型時にクラックが発生する可能性が出てくる。700μmを超えると、この傾向は顕著となる。
上記処理方法を用いて、所望する光学部品に対応する形状の凹部が複数配置された成形型を準備すれば一度に複数の成形体を得ることができる。鋭角部を形成する角度は30°以上60°以下の鋭角な凹凸であることが好ましい。
例えば、複数の三角柱を倒して並べた形状(以下、「微細プリズムの連続体」という。)を製造する場合、成形型に、断面が鋸歯型の溝形状を20μm以上500μm以下の段差となるように形成することが好ましい。
また、成形型がシリコーン樹脂からなる場合、転写性が良いため、成形型に刻んだ凹凸を正確に反転して、得られる光学部品にナノメートルオーダーの凹凸を形成することも可能である。
このように、成形型に種々の形状の溝を設けることで、光学部品にそれに対応する形状を転写することができる。よって、本発明の製造方法は、種々の形状を有する光学部品の製造に適用可能である。また、スラリーを成形型の隅々まで行き渡らせることができるため、複雑形状を持つ光学部品を製造した場合でも、後加工せずに使用することができる。
本発明の製造方法では、ゲルキャスト成形が用いられる。セラミックスの成形に一般的に用いられるプレス成形やCIP成形のように、シリカ粉原料を加圧して成形する方法は、成形型にシリカ粉原料が食い込み、脱型時にクラックが発生するため適用することができない。本発明の製造方法は、ゲルキャストであるがゆえに、微細な構造を成形型からの転写により製造でき、焼結体を後加工なしで使用することが可能である。
例えば、微細プリズムの連続体を製造する場合、スラリーを微細プリズムの連続体構造に加工した成形型に流し込み、脱型することで微細プリズムの連続体の形状に成形することができる。成形体や焼結体の溝を研削加工する必要がないことから、労力などを大幅に削減することができる。
脱型後、成形体の焼結は、大気雰囲気下、またはヘリウム等の希ガス雰囲気下、窒素等の不活性ガス雰囲気下、または真空雰囲気下に、1300℃以上1500℃以下で0.5時間以上3時間以下の範囲で行う。焼結には、一般的なセラミックで用いられる電気炉を使用することができる。
シリカ焼結体の表面には、成形型の形状が転写される。よって、得られるシリカ焼結体は、その表面が平坦で滑らかである必要がある。具体的には、シリカ焼結体の表面粗さ(算術平均粗さRa)は0.1μm以下であることが好ましい。Raが0.1μm超であると、光が反射して透過率が低下することがある。シリカ焼結体のRaを0.1μm以下にするには、脱型後、焼結前の成形体のRaを0.1μm以下に、即ち成形型のRaを0.1μm以下にする必要がある。
本発明に係る光学部品は、紫外線の透過率を低下させないという観点から、不純物の混入を極力抑える必要がある。具体的には、上記光学部品には、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素がシリカの重量に対して合計2ppm以下の量で含まれていてもよい。本発明の光学部品はこれらの不純物を少量含むことで、強度が向上し、微細な溝を作製することができる。しかし、不純物の含有量が2ppmを超えると、成形体を焼結したときに、クリストバライト化してクラックが多数発生し、強度が著しく低下することがある。これらの元素は、光学部品を製造するに際して、シリカ粉原料にゲル化剤、分散剤および反応促進剤等を添加することで、光学部品に混入される。これらの不純物の種類および含有量はICP発光分光分析により測定する。
本発明に係る光学部品は、波長280nmでの透過率が80%以上であり、従来の樹脂製の光学部品よりも透過性に優れている。また、シリカ焼結体からなるため、従来の樹脂製の光学部品に比べて、太陽光を集光したり、紫外線を透過させても、劣化し難い。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
真球度0.97の球状シリカ粉(平均粒径2μm)100gを原料として、分散剤とゲル化剤の硬化剤としてポリエチレンイミン((株)日本触媒製)を1g添加し、イオン交換水を加えてスラリーを得た。このスラリーをボールミルで50rpmで24時間攪拌した。攪拌後、さらにゲル化剤のモノマーとしてエポキシ(ナガセケムテックス(株)製)を1g添加し、真空脱泡しながら混合し、粘度を測定したところ400mPa・sであった。このスラリーを、縦横各5mm、深さ1mmの窪みの底面に鋭角部50°、溝高さ100μmの微細プリズムの連続体の形状が形成されたポリエチレン製成形型(型の表面粗さRaは0.08μm)に流し込んだ。乾燥後、成形型から脱型し、成形体を得た。得られた成形体を真空雰囲気中1400℃で焼結させることでシリカ焼結体製の微細プリズムの連続体を得た。
シリカ焼結体製微細プリズムの連続体の透過率を(株)島津製作所製の紫外・可視分光計で測定したところ、波長280nmで89%であった。
シリカ焼結体製微細プリズムの連続体をフッ酸で溶解し、ICP発光分光分析法で化学分析を実施した結果、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素含有量の合計は1ppmであった。
シリカ焼結体製微細プリズムの連続体の表面粗さを(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡で評価したところ、Raは0.08μmであった。
[実施例2]
真球度0.97の球状シリカ粉(平均粒径2μm)100gを原料として、分散剤としてポリエチレンイミン((株)日本触媒製)を1g添加し、ゲル化剤のモノマーとしてメタクリルアミドを4g添加し、イオン交換水を加えて、スラリーを得た。このスラリーをボールミルで50rpmで24時間攪拌した。攪拌後、さらにゲル化剤の硬化剤としてN−Nメチレンビスアクリルアミドを1g、反応促進剤として過硫酸アンモニウムを1g添加し、真空脱泡しながら混合し、粘度を測定したところ200mPa・sであった。このスラリーを実施例1と同じ形状の成形型(ただし、Raは0.08μm;ポリエチレン製)の微細プリズムの連続体用成形型に流し込んだ。乾燥後、成形型から脱型し、成形体を得た。得られた成形体を真空雰囲気中1400℃で焼結させることでシリカ焼結体製の微細プリズムの連続体を得た。
シリカ焼結体製微細プリズムの連続体の透過率を(株)島津製作所製の紫外・可視分光計で測定したところ、波長280nmで82%であった。
シリカ焼結体製微細プリズムの連続体をフッ酸で溶解し、化学分析を実施した結果、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素含有量の合計は1.5ppmであった。
シリカ焼結体製微細プリズムの連続体の表面粗さを(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡で評価したところ、Raは0.08μmであった。
[比較例1]
市販のアクリル樹脂製のフレネルレンズの透過率を(株)島津製作所製の紫外・可視分光計で測定したところ、波長280nmで0%であった。
[比較例2]
ホウ珪酸ガラス(コーニング社製)のガラス板をホットプレス装置で窒素雰囲気中、800℃、5kNで鋭角部50°、溝高さ500μmのステンレス製の微細プリズムの連続体用成形型(Raは0.07μm)に2分間加圧し、微細プリズムの連続体を得た。
得られた微細プリズムの連続体の透過率を(株)島津製作所製の紫外・可視分光計で測定したところ、波長300nmで60%であった。
[比較例3]
真球度0.97の球状シリカ粉(平均粒径2μm)100gを原料として、結合剤(ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製)を5g添加し、イオン交換水を加えてスラリー化し、ボールミルで50rpmで24時間攪拌した。攪拌後はスプレードライヤー(ディスク回転数10000rpm)で平均粒径10μmに造粒後、一軸プレス装置を用いて10MPaで、鋭角部50°、溝高さ500μmの微細プリズムの連続体用のステンレス鋼製成形型(Raは0.07μm)に10分間加圧した。成形型から取り出す時に、溝にクラックが生じ、鋭角部の先端が欠けた。その後、窒素雰囲気中1300℃で焼結させることでシリカ焼結体製微細プリズムの連続体を得た。
得られたシリカ焼結体製微細プリズムの連続体には亀裂が多数みられ、内部には白濁箇所があり、XRDではクリストバライトを検出し、失透していた。
前記微細プリズムの連続体の透過率を(株)島津製作所製の紫外・可視分光計で測定したところ、波長300nmで63%であった。
前記微細プリズムの連続体をフッ酸で溶解し、化学分析を実施した結果、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素含有量の合計は3ppmであった。
前記微細プリズムの連続体の表面粗さを(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡で評価したところ、Raは0.08μmであった。
[比較例4]
実施例1において、成形型として、溝高さが、1500μmのポリエチレン製のものを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、シリカ焼結体製微細プリズムの連続体を得た。成形型のRaも同じである。
得られた微細プリズムの連続体の透過率を(株)島津製作所製の紫外・可視分光計で測定したところ、280nmで89%であった。
前記微細プリズムの連続体をフッ酸で溶解し、化学分析を実施した結果、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素含有量の合計は1ppmであった。
前記微細プリズムの連続体の表面粗さを(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡で評価したところ、Raは0.08μmであった。
しかしながら、この微細プリズムの連続体には、9割にクラックが発生していた。
[比較例5]
実施例1において、微細プリズムの連続体用成形型の表面粗さをRa0.15にして、実施例1と同様にして、シリカ焼結体製微細プリズムの連続体を得た。
得られた微細プリズムの連続体の透過率を(株)島津製作所製の紫外・可視分光計で測定したところ、280nmで77%であり、実施例1の微細プリズムの連続体の透過率に比べて低かった。
前記微細プリズムの連続体をフッ酸で溶解し、化学分析を実施した結果、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素含有量の合計は1ppmであった。
前記微細プリズムの連続体の表面粗さを(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡で評価したところ、Raは0.15μmであり、実施例1の微細プリズムの連続体に比べて表面が粗いことがわかった。
[比較例6]
実施例2において、シリカ粉原料として、真球度が0.97のシリカ粉80重量%に20重量%の破砕粉を混ぜたものを使用したことと、微細プリズムの連続体用成形型として、ポリエチレン製ではなく、シリコーン製のもの(Raは0.08μm)を使用したこと以外は、実施例2と同様にして、シリカ焼結体製微細プリズムの連続体を得た。
得られた微細プリズムの連続体の透過率を(株)島津製作所製の紫外・可視分光計で測定したところ、波長280nmで75%であり、実施例1の微細プリズムの連続体の透過率に比べて低かった。
前記微細プリズムの連続体をフッ酸で溶解し、化学分析を実施した結果、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素含有量の合計は1ppmであった。
前記微細プリズムの連続体の表面粗さを(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡で評価したところ、Raは0.08μmであった。
この微細プリズムの連続体は、その内部に気泡が多数発生し、透明であるが少し白味がかっていた。
[比較例7]
実施例1において、シリカ粉原料として、平均粒径が2μmではなく、15μmの球状シリカ粉を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、シリカ焼結体製微細プリズムの連続体を得た。
前記微細プリズムの連続体の透過率を(株)島津製作所製の紫外・可視分光計で測定したところ、波長280nmで50%であり、実施例2の微細プリズムの連続体の透過率に比べて低かった。
前記微細プリズムの連続体をフッ酸で溶解し、化学分析を実施した結果、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素含有量の合計は1.5ppmであった。
前記微細プリズムの連続体の表面粗さを(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡で評価したところ、Raが0.08μmであった。
しかしながら、この微細プリズムの連続体は、その内部に気泡が多数発生し、白濁していた。
[実施例3]
実施例1と同じスラリーを用いて、鋭角部頂部が20°、30°、40°、50°の成形体を成形する型(溝高さ500μm)で成形体を作製したところ、20°では、鋭角部頂部が欠けるものが見られた。また、頂部と頂部の間に形成される凹部については、いずれもかけることなく成形できた。
[比較例8]
実施例1と同じスラリーを用いて、鋭角部50°で溝高さ750μm、1000μm、1500μmの3種類のポリエチレン製の型で成形した。750μmでは約10%、1000μmでは70%、1500μmでは90%に脱型時に亀裂や欠けが生じた。
本発明により得られる鋭角部を有するシリカ焼結は、紫外から可視域での光透過性に優れ、小型の光学部品、具体的には、拡大鏡や殺菌用および分析機器用のレンズ、並びに、集光、LED、照明、および画像形成の用途等に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 真球度が0.9以上1以下のシリカ粉がシリカ粉原料全体の90%以上を占め、かつ、平均粒径が8μm以下のシリカ粉原料を用いてスラリーを調製し、
    該スラリーを鋭角部が形成された表面粗さ(Ra)が0.1μm以下、鋭角部によって生じる溝高さ(段差)が700μm以下の成形型に流し込んでゲルキャスト法により成形し、
    その後、得られた成形体を焼結して焼結体を得ることを特徴とする、鋭角部を有する光学部品の製造方法。
  2. 前記光学部品が、プリズムまたは異形レンズである、請求項1に記載の光学部品の製造方法。
  3. 前記シリカ粉原料の平均粒径が3μm以下であり、
    前記焼結体中に、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素が合計2ppm以下の量で含まれる、請求項1または2に記載の光学部品の製造方法。
  4. 前記スラリーの粘度が、型への流し込み時600mPa・s以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学部品の製造方法。
  5. 前記ゲルキャスト法で用いる成形型が樹脂製である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学部品の製造方法。
  6. 前記成形型が、前記光学部品に対応する形状の凹部が複数配置された成形面を有し、各形状の溝高さ(段差)が20μm以上500μm以下である、請求項5に記載の光学部品の製造方法。
  7. 前記光学部品に形成される鋭角部の少なくともひとつが、30°以上60°以下の鋭角である請求項6に記載の光学部品の製造方法。
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