JP5489960B2 - 合わせガラス - Google Patents

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Description

本発明は、ポリビニルアセタール系樹脂と可塑剤を含有する中間膜を介して複数枚のガラスが積層された合わせガラスに関し、さらに詳しくは常温での遮音性とガラス同士の接着性に優れた合わせガラスに関する。
透明で柔軟性に富む中間膜でガラス板を接着して得られる合わせガラスは、破損時に破片が飛散せず安全性に優れており、例えば交通車両や建築物の窓ガラス等に広く用いられている。
このような中間膜の中でも、可塑剤が添加されたポリビニルブチラール樹脂からなる中間膜は、ガラスとの適正な接着力、優れた機械的強度と透明性を兼備しているので、特に交通車両用の窓ガラスに好適に用いられている。
しかし、近年、車両用ガラスの中間膜には、新たな機能として遮音性が求められており、従来のポリビニルブチラール樹脂には、常温での遮音性が充分でないという問題点がある。
ポリビニルアセタール系樹脂のような高分子材料の遮音性能は、動的粘弾性によって評価することが可能である。高分子材料の動的粘弾性測定を行うと、貯蔵弾性率と損失弾性率、およびそれらの比として損失正接(tanδ)が得られる。この損失正接は、材料がひずむことによって吸収(熱に変換)できるエネルギーの指標となるもので、この値が大きいほど遮音性は良好となる。また、損失正接は通常、ガラス転移温度で最大値を示すので、常温での優れた遮音性を得るためには、ガラス転移温度が常温域にある材料を用いる必要がある。
ポリビニルアセタール系樹脂と可塑剤を含有する中間膜の場合、可塑剤の配合量によって、ガラス転移点を制御することが可能であり、通常の配合量(例えば、ポリビニルアセタール系樹脂100重量部に対して、40重量部程度)よりも増量することでガラス転移温度を常温域とすることが可能である。
しかしながら、従来のポリビニルアセタール系樹脂では可塑剤との相溶性の点から、所望のガラス転移温度となるまで可塑剤を増量することは困難であった。
そこで、かかる問題を解消するために、アセタール化度が60〜85モル%、アセチル基量が8〜30モル%、かつアセタール化度とアセチル基量の合計が75モル%以上であるポリビニルアセタール系樹脂と可塑剤を含有する層を中間膜として有する合わせガラスが提案された。(例えば、特許文献1,2参照。)
これは、ポリビニルアセタール系樹脂としてアセチル基の含有量が多いものを用いることによって可塑剤との相溶性を改善し、その結果、常温域のガラス転移温度をもつ中間膜を得ることが可能となったものである。
しかしながら、かかる中間膜は、常温での遮音性には優れるものの、ガラスとの粘着力や接着力が不充分であり、単層で用いるとガラスとの積層時に板ずれが起きたり、合わせガラスの機械的強度が不足するという問題があった。そのため、かかる中間膜を使用するには、通常のアセチル基量であるポリビニルアセタール系樹脂を用いた中間膜でサンドイッチした構造にせざるをえず、合わせガラスが厚くなったり、全体の厚さを優先すると遮音性中間膜を薄くせざるをえず、充分な特性が得られないおそれがある。また、製造工程も複雑になるため、非効率的である。
一方、側鎖に1,2ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂から得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いた合わせガラス用中間膜提案されている。(例えば、特許文献3及び4参照。)
かかるポリビニルアセタール系樹脂は柔軟性が高く、溶液にした時の粘度が低く、粘度安定性に優れており、アルコール系溶剤の溶解性に優れるものである。
しかしながら、かかる特許文献3及び4の実施例に開示されているポリビニルアセタール系樹脂を用い、常温での遮音性を高める目的で可塑剤の配合量を増やして中間膜としたところ、ガラス転移温度は充分に低下せず、さらにガラスとの接着力も大きく低下することが判明した。
特開2001−48601号公報 特開2001−316140号公報 特開2006−104309号公報 特開2007−297613号公報
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、常温での遮音性に優れ、かつガラスと中間膜の接着力に優れる合わせガラスを提供することにある。
本発明者らは上記問題を解決するために鋭意検討した結果、一般式(1)で表される側鎖に1,2−ジオール成分を有するポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化してなるポリビニルアセタール系樹脂であり、かつアセタール化度が70〜85モル%のポリビニルアセタール系樹脂を主成分とする中間膜を有する合わせガラスにより、本発明の目的が達成され、本発明を完成させるに至った。
[式中、R,RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R,RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
本発明の合わせガラスの中間膜に用いられるポリビニルアセタール系樹脂は、アセタール化度が高いため、可塑剤との相溶性が良く、可塑剤を増量することで中間膜のガラス転移温度を常温域とすることが可能となったものである。
なお、通常、ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度を高くすると、水酸基量が少なくなるため、ガラスとの親和性が低くなり、ガラスの表面接着力が低下する傾向があるが、本発明に用いられるポリビニルアセタール系樹脂は、側鎖の1,2−ジオール構造中の水酸基により、ガラスと優れた接着力が得られたものと推測される。
本発明の合わせガラスは、常温での遮音性及びガラスと中間膜との接着性に優れるため、交通車両や建築物用の窓ガラス等に好適である。
以下、本発明につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施形態の一例を示すものであり、この内容に特定されるものではない。
[ポリビニルアセタール系樹脂]
本発明の合わせガラスの中間膜に使用するポリビニルアセタール系樹脂の原料である1,2−ジオール成分を有するポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と略記する。)について、以下に詳しく説明する。
本発明で用いられるPVA系樹脂は、例えば下記一般式(1)で表される構造単位を有するものであり、一般式(1)におけるR,RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R,RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示すものである。
特に、かかる一般式(1)で表される構造単位中のR〜RおよびR〜Rは、すべて水素であり、Xは単結合であることが望ましく、下記一般式(1’)で表されるような構造単位を有するPVA系樹脂が好適に用いられる。かかる一般式(1’)で表される構造単位を有するPVA系樹脂は、1,2−ジオール成分の構造単位中に嵩高い有機基や長鎖アルキル基がないため、かかるPVA系樹脂から得られたポリビニルアセタール系樹脂の粘度が必要以上に高くならず、中間膜形成に好適なものとなる。
なお、かかる一般式(1)で表される構造単位中のR〜R及びR〜Rは、樹脂特性を大幅に損なわない程度の量であれば、有機基であってもよく、その有機基としては特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、必要に応じて、これらのアルキル基がハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していても良い。
また、一般式(1)で表わされる構造単位中のXは、熱安定性の点や高温下/酸性条件下での構造安定性の点で、単結合であることが最も好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよい。かかる結合鎖としては特に限定されないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素基(これらの炭化水素基はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等を有していても良い)の他、−O−、−(CHO)−、−(OCH−、−(CHO)CH−、−CO−、−COCO−、−CO(CHCO−、−CO(C)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NCS−、−NRNR−、−HPO−、−Si(OR)−、−OSi(OR)−、−OSi(OR)O−、−Ti(OR)−、−OTi(OR)−、−OTi(OR)O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である。)が挙げられる。中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で炭素数6以下のアルキレン基が好ましく、また、中間膜を形成する際、粘度による作業性の点で、Xの結合鎖は、嵩高さが小さいものが良いため、特にメチレン基、あるいは−CHOCH−が好ましい。
本発明で用いられるPVA系樹脂の製造法は、特に限定されないが、(i)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(2)で示される化合物との共重合体をケン化する方法や、(ii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(3)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱炭酸する方法や、(iii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(4)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法が好ましく用いられる。
上記一般式(2)、(3)、(4)中のR1、R2、R3、X、R4、R5、R6は、いずれも一般式(1)の場合と同様である。また、R7及びR8はそれぞれ独立して水素原子またはR9−CO−(式中、R9はアルキル基である。)である。R10及びR11はそれぞれ独立して水素原子または有機基である。
(i)、(ii)、及び(iii)の方法については、例えば、特開2006−95825に説明されている方法を用いることができる。
なかでも、共重合反応性および工業的な取り扱い性に優れるという点から、(i)の方法において、一般式(2)で表わされる化合物として3,4−ジアシロキシ−1−ブテンを用いることが好ましく、さらに3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましく用いられる。
なお、ビニルエステル系モノマーとして酢酸ビニルを用い、これと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを共重合させた際の各モノマーの反応性比は、r(酢酸ビニル)=0.710、r(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.701、であり、これは(ii)の方法で用いられる一般式(3)で表される化合物であるビニルエチレンカーボネートの場合の、r(酢酸ビニル)=0.85、r(ビニルエチレンカーボネート)=5.4、と比較して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが酢酸ビニルとの共重合反応性に優れることを示すものである。
また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの連鎖移動定数は、Cx(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.003(65℃)であり、これはビニルエチレンカーボネートの場合の、Cx(ビニルエチレンカーボネート)=0.005(65℃)や、(iii)の方法で用いられる一般式(4)で表される化合物である2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソランの場合のCx(2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン)=0.023(65℃)と比較して、重合度が上がりにくくなったり、重合速度低下の原因となることがないことを示すものである。
また、かかる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、その共重合体をケン化する際に発生する副生物が、ビニルエステル系モノマーとして多用される酢酸ビニルに由来する構造単位からケン化時に副生する化合物と同一であり、その後処理や溶剤回収系に敢えて特別な装置や工程を設ける必要がなく、従来からの設備を利用出来るという点も、工業的に大きな利点である。
なお、上記3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、例えば、WO00/24702に記載の1,3−ブタジエンを出発物質とした合成ルートで製造された製品や、USP5623086、USP6072079に記載の技術によるエポキシブテン誘導体を中間体として製造された製品を入手することができ、また試薬レベルではアクロス社の製品をそれぞれ市場から入手することができる。また、1,4−ブタンジオール製造工程中の副生成物として得られる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを精製して利用することもできる。
また、1,4−ブタンジオール製造工程の中間生成物である1,4−ジアセトキシ−1−ブテンを塩化パラジウムなどの金属触媒を用いた公知の異性化反応することによって3,4−ジアセトキシ−1−ブテンに変換して用いることもできる。また、再公表WO00−24702号公報に記載の有機ジエステルの製造方法に準じて製造することも可能である。
また、(ii)の方法によって得られたPVA系樹脂は、脱炭酸あるいは脱アセタール化が不充分な場合に、側鎖に微量のカーボネート環が残存する場合があり、その結果、可塑剤との溶融混練時に架橋反応がおこり、ゲル化物が発生する場合があるため、(i)又は(iii)の方法を用いるのが好ましい。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的にみて中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また上述のモノマー(ビニルエステル系モノマー、一般式(2)、(3)、(4)で示される化合物)の他に、樹脂物性に大幅な影響を及ぼさない範囲であれば、共重合成分として、エチレンやプロピレン等のα−オレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシル基含有α−オレフィン類、およびそのアシル化物などの誘導体;イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル;アクリロニトリル等のニトリル類、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、AMPS等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などの化合物、などが共重合されていてもよい。
本発明においては、かかるPVA系樹脂のケン化度(JIS K6726に準拠して測定。残存酢酸ビニルおよび残存する一般式(2),(3)又は(4)で表される化合物の加水分解に要するアルカリ消費量で分析される。)は、通常70モル%以上であり、さらには80モル%以上、特には90モル%以上であることが好ましく、かかるケン化度が低すぎると、PVA系樹脂の水溶性が低下し、水溶液としてから行うアセタール化の作業性が悪く、また、水酸基量も少ないため、アセタール化度を高めることが困難になる傾向がある。
本発明においては、かかるPVA系樹脂の平均重合度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常100〜4000であり、さらには500〜3000であることが好ましく、特には1000〜2000であることが好ましい。かかる平均重合度が大きすぎると、得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いて中間膜とする時、粘度が高すぎるため、中間膜の成形が困難になるおそれがあり好ましくない。また、重合度が小さすぎると、中間膜の耐貫通性や耐衝撃性が不充分になるおそれがあり好ましくない。
かかるPVA系樹脂に含まれる1,2−ジオール成分の含有量は、通常0.1〜20モル%であり、さらには1〜12モル%、特に2〜8モル%であることが好ましい。かかる1,2−ジオール成分の含有量が大きすぎると、PVA系樹脂を製造する際に、重合度を上げることが困難になり、その結果、ポリビニルアセタール系樹脂の機械的強度が不充分となるおそれがあり、また中間膜の耐貫通性や耐衝撃性が不充分になるおそれがあるため好ましくない。また、1,2−ジオール成分の含有量が小さすぎると、樹脂とガラスとの親和性が低下するため、本願の目的とするガラスとの接着力が不十分となるおそれがあり好ましくない。
かかる1,2−ジオール成分の含有率(モル分率)は、1,2−ジオール成分が一般式(i)で示される構造単位の場合を例に挙げると、PVA系樹脂を完全にケン化したものの1H−NMRスペクトル(溶媒:DMSO−d6、内部標準:テトラメチルシラン)から求めることができ、具体的には1,2−ジオール単位中の水酸基プロトン、メチンプロトン、およびメチレンプロトン、主鎖のメチレンプロトン、主鎖に連結する水酸基のプロトンなどに由来するピーク面積から算出すればよい。
また、本発明で用いられるPVA系樹脂は、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよいが、混合物を用いる場合には、重合度、ケン化度、1,2−ジオール構造単位の含有量の平均値が上述の範囲内であることが好ましい。
また、本発明においては、上述の側鎖に1,2−ジオール成分を有するPVA系樹脂と共に、目的を阻害しない範囲で他のPVA系樹脂を用いても良い。かかるPVA系樹脂としては、未変性の完全ケン化PVA系樹脂、未変性の部分ケン化PVA系樹脂、あるいはエチレンやプロピレン等のオレフィン類が共重合された変性PVA系樹脂、各種官能基を側鎖に有する変性PVA系樹脂が挙げられる。かかる変性PVA系樹脂の側鎖の官能基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、アミド基、オキシアルキレン基、4級アンモニウム塩基、アセトアセチル基、ジアセトンアクリルアミド基などが挙げられる。
本発明のポリビニルアセタール系樹脂は、上述のPVA系樹脂をアルデヒド化合物によってアセタール化して得られたもので、その構造は、ビニルアルコール構造単位、2つの連続するビニルアルコール構造単位がアセタール化されてなるビニルアセタール構造単位、化学式(1)で表される構造単位及びかかる構造がアセタール化された構造単位を有するものであり、さらに主鎖に未ケン化部分である酢酸ビニル構造単位を有していても良い。
本発明のポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度は、通常、70〜85モル%であり、より好ましくは75〜85モル%であり、さらに好ましくは80〜85モル%である。アセタール化度が小さすぎると、かかる樹脂と後述する可塑剤との相溶性が不充分となり、ガラス転移温度が充分に低下せず、かかる樹脂を用いた中間膜を有する合わせガラスの常温域における遮音性が不充分となる。逆に、アセタール化度が85モル%を超えるポリビニルアセタール系樹脂を得るのは立体障害等の点からきわめて困難である。
本発明のポリビニルアセタール系樹脂の製造法は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。中でも、溶剤中、酸触媒の存在下でPVA系樹脂をアルデヒド化合物によってアセタール化する方法が好ましく用いられる。その方法は、沈殿法と溶解法に大別され、前者(沈殿法)の場合にはPVA系樹脂を水溶液とし、水を主体とした溶剤中、低温でアセタール化反応を行い、ポリビニルアセタール系樹脂が析出した後、系の温度を上げて熟成反応(アセタール化反応の完結とアセタール化部分の再配列)させる方法が好ましく用いられる。また、後者(溶解法)の場合は、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、あるいはこれに水等を併用した混合溶剤を用い、高温でアセタール化反応を行った後、系に水等を加えてポリビニルアセタール系樹脂を沈殿析出させて行われる。
上記アセタール化反応において使用されるアルデヒド化合物としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド(三量体および多量体のパラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(三量体のパラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、イソペンチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド、グリオキザール、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒドなどの脂肪族ジアルデヒド、ベンズアルデヒド、o−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、m−トルアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、フルフラールなどの複素環式アルデヒドが挙げられる。なかでも、アセトアルデヒドおよびブチルアルデヒドが好適に用いられ、 特にブチルアルデヒドが好適に用いられる。また、これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上のアルデヒドを混合して用いてもよい。
アセタール化反応に用いる酸触媒としては特に限定されず、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸が挙げられるが、好適には塩酸、硫酸が用いられる。
また、アセタール化反応が終了した後、その反応停止剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ性化合物や、エチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド類、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類を添加することも可能である。
[可塑剤]
本発明の合わせガラスが有する中間膜に用いられる可塑剤としては、例えば、一塩基酸エステル系、多塩基酸エステル系等のエステル系可塑剤や、有機リン酸系、有機亜リン酸系等のリン酸系過疎剤等が挙げられる。
一塩基酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール等のグリコールと酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、2−エチルヘキシル酸等の有機酸との反応によって得られるグリコール系エステル等が挙げられる。
多塩基酸エステル系可塑剤としては、例えば、炭素数4〜8の直鎖状もしくは分岐状アルコールとアジピン酸、セバチン酸、アゼライン等の有機酸との反応によって得られるエステル等が挙げられる。
リン酸系可塑剤としては、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート等が挙げられる。
上記各種可塑剤のなかでも、例えば、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート(3G7)、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコール−ジ−n−オクトエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジベンジルフタレート等の一塩基酸エステル系可塑剤が本発明のポリビニルアセタール系樹脂との相溶性の点で優れており、好適に用いられる。なかでも特に好適に用いられるのは3GH、3GO、3G7等である。また、上記各種可塑剤は、単独で用されても良いし、2種類以上が併用されても良いものである。
前記ポリビニルアセタール系樹脂に対する上記可塑剤の配合量は、ポリビニルアセタール系樹脂100重量部に対し、通常、30〜80重量部であり、特に40〜75重量部であることが好ましく、さらに50〜70重量部であることが好ましい。
本発明で用いられるポリビニルアセタール系樹脂は、可塑剤との相溶性に優れるため、可塑剤の配合率比を従来のものよりも高めることが可能で、その結果、優れた遮音性を得ることが出来る。
かかる可塑剤の配合量が多すぎると、中間膜の柔軟性が高くなり、耐貫通性、耐衝撃性が低下し、また、ガラスと積層する際、ずれが生じ易くなる傾向がある。逆に、可塑剤の配合量が少なすぎると、遮音性が低下する傾向がある。また、樹脂組成物の粘度が高くなり、中間膜の形成が困難になる場合がある。
[中間膜]
本発明の中間膜は、本発明のポリビニルアセタール系樹脂と可塑剤を溶融混練し、膜形成したものを少なくとも一層有するものである。本発明の中間膜は、ガラスとの接着力に優れているため、単層で用いることが可能であるが、さらなる高機能化、多機能化のために他の中間膜との多層構造とすることも可能である。
本発明の中間膜は、常温域での優れた遮音性が得られるもので、そのガラス転移温度は、通常0〜40℃であり、特に5〜35℃、殊に10〜30℃であるものが好ましく用いられる。かかるガラス転移温度が低すぎたり、高すぎたりする場合、常温域での遮音性が不十分となる傾向がある。
本発明の中間膜全体の厚さは、通常0.1〜3mmであり、好ましくは0.3〜1.6mmである。中間膜の厚さが厚すぎると、中間膜の透明度が低下する傾向がある。逆に中間膜の厚さが薄すぎると、合わせガラスの常温での遮音性及び機械的強度が低下する傾向がある。
また、中間膜には、本発明の目的を阻害しない範囲で必要に応じて、ポリビニルアセタール系樹脂及び可塑剤の他に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、接着性調整剤、界面活性剤、着色剤等の各種添加剤を加えても良い。
ポリビニルアセタール系樹脂及び可塑剤を有する中間膜用樹脂組成物を調製するための混練方法は、特に限定されないが、例えば、押出機、ブラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー、カレンダーロール法を使用する方法が挙げられる。
また、かかる樹脂組成物を調製する際の温度は、通常100〜220℃、好ましくは130〜180℃である。調製温度が大きすぎると、ポリビニルアセタール系樹脂が分解して、異物や焦げ付きによる欠点ができるおそれがあり好ましくなく、逆に調整温度が小さすぎると、ポリビニルアセタール系樹脂がうまく溶融されず、添加剤と均一に混練されないおそれがあり好ましくない。
得られた樹脂組成物を用いて中間膜を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、押出法、カレンダー法、プレス法などが使用される。
中間膜を形成する際の温度は、通常100〜220℃、好ましくは130〜180℃である。調製温度が大きすぎると、ポリビニルアセタール系樹脂が分解して、発泡による気泡や異物、焦げ付きによる欠点ができるおそれがあり好ましくなく、逆に調整温度が小さすぎると、溶融粘度が高すぎるため、膜形成が困難となり、中間膜表面の平滑性が低下するおそれがある。
[合わせガラス]
本発明の合わせガラスは、少なくとも一対以上のガラス間に、上述した中間膜を少なくとも1層以上介在させ、積層させたものである。
上記ガラスには、通常の無機透明ガラスのみならず、例えばポリカーボネート板やポリメチルメタクリレート板等のような有機透明ガラスも包含される。
上記ガラスの種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、平板ガラス、曲板ガラス、並板ガラス、型板ガラス、金網入り型板ガラス、着色されたガラス等の各種無機ガラスや有機ガラスが挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が用いられる。
上記ガラスの厚みは、通常0.1〜10mm、特に0.5〜8mmが好ましい。ガラスの厚みが厚すぎると、合わせガラスが重くなり、また、窓ガラス等に使用する時に実用的でないため、好ましくない。
また、本発明の合わせガラスには、本願の目的を阻害しない範囲で中間膜及びガラス板以外にも、セーフティーシールドとしてポリエチレンテレフタレート、ポリシロキサン、ポリウレタンなど高分子フィルム、撥水性の膜としてシリカなどの無機微粒子にフッ素を添加したコーティング層などを有していても良い。
合わせガラスの製造方法は、特別なものではなく、従来公知である方法が用いることができ、少なくとも2枚以上のガラス板に、合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させる方法である。例えば、二枚の透明なガラス板の間に、本発明の中間膜を挟み、これをゴムバックに入れて減圧下で吸引脱気しながら温度70〜110℃程度で予備接着した後、オートクレーブもしくはプレスを用いて、温度120〜150℃程度、圧力10〜15kg/cm程度の条件で加熱加圧して本接着を行うことにより所望の合わせガラスを得ることが出来る。
本発明の合わせガラスは、特定のポリビニルアセタール系樹脂を含有する中間膜を有するため、中間膜とガラスとの接着力に優れている。また、中間膜のガラス転移温度が常温域にあるため、常温から高温までの広い範囲において優れた遮音性を持つものである。そのため、かかる合わせガラスは建築用の窓ガラスや交通車両用の窓ガラス等に好適なものである。
特に自動車用の窓ガラスに使用する場合は、フロントガラス、リアガラス、サイドガラス、ルーフガラス、パノラマガラスに本発明の合わせガラスを使用することが可能である。
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは断りのない限り重量基準を意味する。
[PVA系樹脂(A1)の製造]
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1500g、メタノール120g、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン90g(酢酸ビニルに対して3モル%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを酢酸ビニルに対して0.03モル%投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が62%となった時点でm−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈し、濃度30%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して8ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、濾別し、メタノールでよく洗浄して、さらに40℃のメタノール中に分散させた後、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を3ミリモル加えて2時間ケン化を行った。中和後、濾別し、メタノールでよく洗浄して、熱風乾燥機中で乾燥し、PVA系樹脂(A1)を得た。
得られたPVA系樹脂(A1)のケン化度は、98.5モル%、平均重合度は1800であった。また、1,2−ジオール構造単位の含有量は1H−NMRで測定して算出したところ、3.1モル%であった。なお、NMR測定には日本ブルカー社製「AVANCE DPX400」を用いた。
[ポリビニルアセタール(B1)の製造]
PVA系樹脂(A1)130gを水1970gの入ったビーカーに投入、攪拌、分散させた後、90℃に昇温し、1.5時間かけて溶解させ、濃度6重量%のPVA系樹脂(A1)の水溶液を調整した。
得られたPVA系樹脂(A1)水溶液2000gを3Lセパラブルフラスコに仕込み、これを10℃に冷却し、30分調温した。これに、濃度35%の濃塩酸12.48gを加え、n−ブチルアルテヒド81.2gを10分かけて添加、1時間撹拌し、さらに攪拌回転数を上げて、濃塩酸73.23gを10分かけて滴下した。25℃まで昇温し、30分撹拌し、さらに60℃に昇温し、5時間攪拌してアセタール化反応を行い、ポリビニルアセタール系樹脂を得た。反応液を炭酸ナトリウムで中和し、2Lの水で10回水洗後、真空乾燥した。
得られたポリビニルアセタール系樹脂(B1)のアセタール化度は、83.2モル%であった。
[中間膜の製造]
ポリビニルアセタール系樹脂(B1)30g、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート18gを混合し、溶融混合機PRASTI−CODER EC Plus型(BRABENDER社製)にて150℃、30rpmの回転数で15分間溶融混合させた。得られた樹脂組成物をポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)シートにはさみ、テストプレス機にて30Kgf/cm、150℃×30秒×2回、厚さ約0.5mmになるようにして中間膜を作成した。
[ガラス接着力評価]
得られた中間膜の片面にPETフィルムを貼り合わせ、もう一方の面に厚さ2.7mm、幅15mm、長さ12.5mmの青板ガラスを貼り合わせた(ガラス/樹脂組成物/PET)。この仮接着体をオートクレーブにて0.9MPa、100℃×25分の条件で接着させた。次に島津オートグラフAG−100にて、500mm/minの速度で90°剥離したときの強度を測定した。測定結果は表2に記載した。
[粘弾性評価]
得られた中間膜を、DVA−V4(UBM社製)にて、測定モード;固体せん断、温度範囲;−50〜150℃、測定モード:固体剪断、温度範囲:−50〜150℃、昇温速度: 3℃/min、周波数:10Hz、振幅:1μmの条件で測定し、tanδピーク温度(ガラス転移温度)を測定した。測定結果は表2に記載した。
実施例2
[PVA系樹脂(A2)の製造]
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1500g、メタノール75g、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン90g(酢酸ビニルに対して3モル%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを酢酸ビニルに対して0.03モル%投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が50%となった時点でm−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈し、濃度30%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して5ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、濾別し、メタノールでよく洗浄して、さらに40℃のメタノール中に分散させた後、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を3ミリモル加えて2時間ケン化を行った。中和後、濾別し、メタノールでよく洗浄して、熱風乾燥機中で乾燥し、PVA系樹脂(A2)を得た。
得られたPVA系樹脂(A2)のケン化度は、88.5モル%、平均重合度は2000、1,2−ジオール構造単位の含有量は3.0モル%であった。
[ポリビニルアセタール系樹脂(B2)の製造]
PVA系樹脂(A2)を使用し、n−ブチルアルテヒドの配合量を66.7gにした以外は、実施例1と同様にアセタール化反応を行った。
得られたポリビニルアセタール系樹脂(B2)のアセタール化度は、80.0モル%であった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂(B2)を用い、実施例1と同様に中間膜を作成し、ガラス接着力評価及び粘弾性評価を行った。評価結果は表2に記載した。
実施例3
[PVA系樹脂(A3)の製造]
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1500g、メタノール75g、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン180g(酢酸ビニルに対して6モル%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを酢酸ビニルに対し0.05モル%投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が78%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈し、濃度35%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して8ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、濾別し、メタノールでよく洗浄して、さらに40℃のメタノール中に分散させた後、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を8ミリモル加えて2時間ケン化を行った。中和後、濾別し、メタノールでよく洗浄して、熱風乾燥機中で乾燥し、PVA系樹脂(A3)を得た。
得られたPVA系樹脂(A3)のケン化度は99.8モル%であり、平均重合度は1200であった。また、1,2−ジオール構造単位の含有量は6.0モル%であった。
[ポリビニルアセタール系樹脂(B3)の製造]
PVA系樹脂(A3)を使用して、n−ブチルアルテヒドを83.3gにした以外は、実施例1と同様にアセタール化反応を行った。
得られたポリビニルアセタール系樹脂(B3)のアセタール化度は、84.5モル%であった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂(B3)を用いて実施例1と同様に中間膜を作成し、ガラス接着力評価及び粘弾性評価を行った。評価結果は表2に記載した。
実施例4
[ポリビニルアセタール系樹脂(B4)の製造]
実施例3で得られたPVA系樹脂(A3)を使用して、n−ブチルアルテヒドを73.5gにした以外は、実施例1と同様にアセタール化反応を行った。
得られたポリビニルアセタール系樹脂(B4)のアセタール化度は、74.6モル%であった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂(B4)を用いて実施例1と同様に中間膜を作成し、ガラス接着力評価及び粘弾性評価を行った。評価結果は表2に記載した。
比較例1
実施例3で得られたPVA系樹脂(A3)を使用して、n−ブチルアルテヒドを63.7gにした以外は、実施例1と同様にアセタール化反応を行った。
得られたポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度は、64.3モル%であった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いて実施例1と同様に中間膜を作成し、ガラス接着力評価及び粘弾性評価を行った。評価結果は表2に記載した。
比較例2
ケン化度87.9モル%、重合度1700のPVA系樹脂を使用し、n−ブチルアルテヒド66.0gにした以外は、実施例1と同様にアセタール化反応を行った。
得られたポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度は、84.7モル%であった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いて、実施例1と同様に中間膜を作成し、ガラス接着力評価及び粘弾性評価を行った。評価結果は表2に記載した。
参考例1
ケン化度99.1モル%、重合度1100のPVA系樹脂を使用し、n−ブチルアルテヒド62.8gにした以外は、実施例1と同様にアセタール化反応を行った。
得られたポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度は、67.1モル%であった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いて、実施例1と同様に中間膜を作成し、ガラス接着力評価及び粘弾性評価を行った。評価結果は表2に記載した。
参考例2
ケン化度98.8モル%、重合度1800のPVA系樹脂を使用し、n−ブチルアルテヒド81.6gにした以外は、実施例1と同様にアセタール化反応を行った。
得られたポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度は、82.5モル%であった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いて、実施例1と同様に中間膜を作成し、ガラス接着力評価及び粘弾性評価を行った。評価結果は表2に記載した。
実施例1〜4の中間膜はガラス転移温度が常温域にあることから、常温での遮音性に優れるものと予測される。一方、比較例1、参考例1の中間膜はガラス転移温度が常温よりも高温域であるため、常温での遮音性は不十分であることが予測される。
また、実施例1〜4の中間膜は、ガラスとの接着性に優れたものである。これに対し、比較例1,2、参考例1,2の中間膜は、ガラスとの接着性の点で不十分であった。
本発明の合わせガラスは、常温において優れた遮音性能を発揮し、かつガラスの接着性にも優れるものである。かかる合わせガラスは、特に高い遮音性能が要求される建築物の窓ガラスや交通車両の窓ガラス等に好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 複数枚のガラス板が中間膜を介して積層されてなる合わせガラスであって、かかる中間膜に、一般式(1)で表される構造単位を有するポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化してなるアセタール化度70〜85モル%のポリビニルアセタール系樹脂を主成分とする層を少なくとも一層有することを特徴とする合わせガラス。
    [式中、R,RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R,RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
  2. ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が90モル%以上であることを特徴とする請求項1記載の合わせガラス。
  3. ポリビニルアルコール系樹脂中の一般式(1)で表される構造単位の含有量が0.1〜20モル%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の合わせガラス。
  4. ポリビニルアセタール系樹脂が、ポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の合わせガラス。
  5. 自動車用であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の合わせガラス
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