JP5488620B2 - 電波吸収体、及びパラボラアンテナ - Google Patents

電波吸収体、及びパラボラアンテナ Download PDF

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Description

本発明は、電波吸収体、及びパラボラアンテナに関する。特に本発明は、取り扱いが容易で、安価、軽量、且つ斜入射特性の良い電波吸収体、並びにパラボラアンテナに関する。
電波の干渉を回避するための手段としては、電波吸収体が用いられることがある。電波吸収体は、一般的に、カーボン等の炭素粒子を含んだポリウレタン等の樹脂のスポンジであり、導電性を有する。電波吸収体の設置例としては、POINT TO POINTの通信に用いられるパラボラアンテナが挙げられる。対向する相手局以外の方向には、電波を極力放射しないようにするため、アンテナのサイドローブを低く抑える必要がある。この対策として、パラボラレフレクタの周りに、シュラウドを設け、且つ、そのシュラウドの内側に電波吸収体を貼り付ける構成がよく用いられる。
図13は、従来のパラボラアンテナ900の構成を示す。このパラボラアンテナ900は、レフレクタ(パラボラレフレクタ)910、シュラウド920、一次放射器930、及び電波吸収体800から構成される。特許文献1には、電波吸収体として、電波反射膜、抵抗膜、及びスペーサから構成された電波吸収体が開示されている。
日本国特開2000−261241号公報
図13に示すような従来の電波吸収体は、スポンジ状又は毛状であるため、取り付け固定方法が難しい。また、この電波吸収体は、時間の経過とともに劣化し、粉状になって飛散したり、ばらばらになったりする。粉状の電波吸収体がレフレクタに付着すると、電波の反射性能が劣化してしまう。また、電波吸収体が減ることにより、電波吸収特性が劣化し、サイドローブ特性が劣化してしまう。
特許文献1に記載の電波吸収体によると、電波反射膜と抵抗膜とを支えるスペーサに誘電体を充填させている。しかしながら、このような構成を採る場合、電波吸収体が高価になってしまう。
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態よると、電波吸収体であって、導電粒子を含む誘電体からなる上板と、上板と平行に配置され、導電粒子を含む誘電体からなる下板と、上板及び下板の間に配置され、上板及び下板を支持する板状の誘電体から成る支持部とを備える。
本発明の第2の実施態様に係るパラボラアンテナは、電波を反射するパラボラレフレクタと、前記パラボラレフレクタの開口側端に、前記パラボラレフレクタの開口面を維持するように付加された円筒状のシュラウドと、電波を放射する一次放射器と、前記シュラウドの内側周囲上に配置される本発明の第1の実施態様に係る電波吸収体とを備える。
上記の記載は、本発明の実施態様に必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明の実施態様となり得る。
この発明によれば、軽量で安価な電波吸収体を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る電波吸収体の構成の一例を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体の構成の一例を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体の構成の別の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体の構成の別の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体の構成の別の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体の構成の更に別の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体の構成の更に別の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体のパラボラアンテナへの設置例を示す図である。 図6に示すパラボラアンテナをレドームを取り外した状態で、左側から観た構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体のパラボラアンテナへの別の設置例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体のパラボラアンテナへの更に別の設置例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体の抵抗値と支持部の高さの説明図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体の抵抗値と支持部の高さの説明図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体の無いパラボラアンテナの断面図を示している。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体の有るパラボラアンテナの断面図を示している。 本発明の一実施形態に係るパラボラアンテナの放射パターン特性を示す図である。 従来のパラボラアンテナの構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体の取り付け方法の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体のパラボラアンテナへの更に別の設置例を示す図である。 図15に示す電波吸収体の構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る電波吸収体の別のパラボラアンテナへの設置例を示す図である。 図17のA部の拡大図である。 図17のB部の拡大図である。
以下、本発明の実施の形態を説明するが、以下の実施形態は本発明を限定しない。また、以下で説明されている実施形態の特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1及び図2は、一実施形態に係る電波吸収体100の構成の一例を示す。電波吸収体100は、上板110と下板120、支持部130、および金属板140を有する。上板110と下板120とは、互いに平行に配置されている。支持部130は、板状であり、上板110と下板120の間に設けられ、上板110と下板120とを支持する。金属板140は、下板120の下に配置されている。
支持部130を板状の誘電体で構成し、内部を充填しないことで、誘電体の使用量を減らすことができ、軽量且つ安価な電波吸収体100を構成できる。上板110、下板120及び支持部130は、誘電体にカーボン、抵抗体、金属粉等の導電粒子を含有することで、導電損失を有し、有限の抵抗値を有する。上板110、下板120、及び支持部130の全てに導電損失を持たせた方が特性は良い。しかしながら、一般的に、上板110及び下板120のみに導電損失を持たせた方が安価である。誘電体に導電粒子を含ませる方法の例として、共押し、印刷、塗装等があげられる。電波吸収体100に用いられる誘電体としては、ポリプロピレン等のプラスチック材が用いられる。このため、電波吸収体100は、容易に取り扱え、粉状になって飛散しないため、経年劣化も少ない。より具体的に、一例として、上板110、下板120及び支持部130をプラスチックの薄板で形成し、それにカーボンなどの導電粒子を含んだ塗料を表面に塗布することで、電波吸収体100が形成できる。なお、プラスチックの薄板にポリプロピレンを用いた場合は、軽量で耐久性および柔軟性に優れ、取り扱いやすいという効果が得られる。
図3A〜図3Cは、一実施形態に係る電波吸収体100の構成の別の例を示す。この実施形態の電波吸収体100は、支持部130の構造が異なる。図3Aは、傾斜した板状の支持部130を有する電波吸収体100を示す。図3Bは波状の支持部130を有する電波吸収体100を示す。図3Cは半月形状の支持部130を有する電波吸収体100を示す。支持部130は、上板110及び下板120を支持可能な構造を有していれば、図3A〜図3Cに示す構造以外の構造でも問題ない。支持部130が導電損失を有している場合は、支持部130の構造により斜入射特性が異なる。
図4は、一実施形態に係る電波吸収体100の構成の更に別の例を示す。この電波吸収体100は、上板110と下板120との間に中板150が挟みこまれている多層構造を有している。図4に示す例では、板の枚数(すなわち、上板110と下板120と中板150と合計)は3枚だが、4枚以上にしてもよい。
図5は、一実施形態に係る電波吸収体100の構成の更に別の例を示す。この電波吸収体100は、その表面に複数の孔160が設けられている。この構成により、電波吸収体100の空間インピーダンス整合と電波の斜入射特性とが改善される。孔160の形状は、正方形、長方形、三角形、多角形等、任意の形状でよい。
図6は、電波吸収体100のパラボラアンテナ200への設置例を示す。パラボラアンテナ200は、レフレクタ(パラボラレフレクタ)210、シュラウド(覆い部)220、一次放射器230、レドーム240、及び電波吸収体100を有する。図6に示す電波吸収体100には、レドーム240が付加されている。しかしながら、電波吸収体100にレドーム240を付加しなくてもよい。図6及びこれ以降の図は、電波吸収体100がシュラウド220の内側円周(シュラウド220の円周方向Cdに沿った内周面)上の一部に配置されている場合を示している。しかしながら、電波吸収体100がシュラウド220の円周の一部及び円周の1周に渡って配置される場合もある。電波吸収体100の放射方向の長さは任意であるが、通常は、シュラウド220の幅(放射方向Rdの長さ)と同じ長さに設定するのが一般的である。
図7は、図6に示すパラボラアンテナ200のレドーム240を取り外した状態で、図6における左側から観たパラボラアンテナ200の構成を示す。電波吸収体100は、シュラウド220の内側円周(内側周囲)上に、円周方向(周囲方向)に沿って密着して配置されている。
図8は、電波吸収体100のパラボラアンテナ200への別の設置例を示す。電波吸収体100は、シュラウド220の内側円周上に、間隔D1を隔てて配置されている。
図9は、電波吸収体100のパラボラアンテナ200への更に別の設置例を示す。電波吸収体100は、導電損失を有する誘電体より構成されている。電波吸収体100は、スペーサ250を土台として、スペーサ250の高さT分だけ浮かせて、シュラウド220の内側円周上に配置されている。この場合、スペーサ250は、部分的、離散的に配置される場合もあれば、内側円周上に隙間なく、一様に配置される場合もある。スペーサ250の素材としては、電波吸収体100と同じ素材を使用してもよく、また、軽量なプラスチック材を使用してもよい。
図10Aおよび図10Bを参照して電波吸収体100の抵抗値Rと支持部130の高さdの設計方法について説明する。図10Aは、電波が電波吸収体100へ入射したときの反射の様子を示している。図10Bは、電波吸収体100を分布定数線路に置き換えた場合の等価回路を示している。ここで説明する電波吸収体100は、図1〜19に示すすべての電波吸収体100に対応する。図10Aは、電波が電波吸収体100へ垂直入射した場合の反射の様子を示す。電波吸収体100に入射した電波は、電波吸収体100の表面で反射される電波と、電波吸収体100の内部に入っていく電波とに分けられる。さらに、内部に入った電波は、金属板140で反射され、電波吸収体100から出て行く電波と、電波吸収体100と自由空間との界面で反射されて電波吸収体100の内部に戻る電波がある。このように、電波吸収体100の内部では多重反射が起こっている。そのため、図10Bに示すような分布定数線路を用いた等価回路に置き換えて考える方がわかりやすい。ここでは、本発明の実施形態の電波吸収体100の上板110及び下板120のみが導電損失を有する場合について説明する。まず、等価回路の説明を行う。図10Bにおいて、Xは電波吸収体、Yは電波吸収体とシュラウドとの間隔、Zはシュラウドを示している。Rは上板110及び下板120の抵抗値、Zは金属板140のインピーダンスであり、Z=0である。電波吸収体100は誘電体を用いて形成するため、誘電体の比誘電率εも考慮しなければならない。本実施形態では、支持部130の構造により誘電体の密度が非常に低いため、誘電体の密度を考慮した等価比誘電率ε´を用いたほうがより正確である。下板120と金属板140とが密着している場合は、抵抗値ZとRの並列接続になるため、インピーダンスは0Ωとなる。図10Bの等価回路を用いて、自由空間からみた電波吸収体100のインピーダンスZinは、式(1)によって求められる。ここでは、媒質の比透磁率μは1として計算している。
Figure 0005488620
このとき、支持部の特性インピーダンスZと伝搬定数γは、
Figure 0005488620
Figure 0005488620
である。
この式を用いて電波吸収体100のインピーダンスZinが、自由空間のインピーダンスZ=377Ωと等しくなるように、抵抗値Rと支持部130の高さdを設計する。自由空間と電波吸収体100のインピーダンス整合がとれていれば、反射が起こらず、電波はすべて電波吸収体100の中へ入って行き、導体損により減衰する。抵抗値と支持部130の高さを調整することで、周波数に応じた吸収特性を向上させることができる。
この説明では、下板120と金属板140とが密着している場合、下板120と金属板140の合成インピーダンスは0Ωになってしまう。このため、下板120が抵抗値を持つことに意味はないように思えるが、金属板140を伝わる表面波の放射を抑制するという重要な役割がある。
次に、支持部130に導体損失を持たせる理由について説明する。垂直入射においては、上板110及び下板120のみが導体損失を持つだけでも十分に吸収特性は良い。しかし、斜入射特性においては、支持部130も導体損失をもつ場合の方が良好な吸収特性を有する。支持部130の構造によって斜入射特性が異なるため、必要な角度に応じた支持部130の構造を選ぶと良い。波形状の支持部130は、広い角度において良好な吸収特性を有する。
次にスペーサ250を用いた場合について説明する。スペーサ250を用いる理由は、自由空間と電波吸収体100のインピーダンス整合をとるためである。つまり、電波吸収体100の自由空間と接する面と金属板140からの距離を変えることで、空間インピーダンス整合をとり、吸収性能を改善するためである。このとき、スペーサ250に用いる媒質の比誘電率を考慮し、設計する必要がある。スペーサ250に電波吸収体100と同様の素材を用いて単純に吸収体を厚くした場合は設計がより容易である。しかしながら、スペーサ250としてより低価格な誘電体を用いる場合は、より安価で製造できる。
次に、電波吸収体100を分割して隙間をあけて配置する場合について説明する。これは、斜入射特性の改善及び空間インピーンダンス整合をとるという2つの意味を有している。また、電波吸収体100に孔160を設けた場合についても同様に考えることができる。
まず、斜入射特性改善について説明する。一般的に、入射角が大きくなった場合、媒質が異なるほど反射は大きくなる。そのため、隙間をあけて電波吸収体100を配置したり、孔160を設けたりして、斜入射波を入れ込み、吸収させる方法がある。これは、吸収体の側面で多重反射を起こし、電波を減衰させる方法である。隙間や孔160の間隔及び厚みは、入射角度によって調節する必要がある。
次に、インピーダンス整合特性改善について説明する。電波吸収体100を分割して隔て配置する場合、および電波吸収体100に孔160を設けた場合、媒質の比誘電率を等価的に下げることができる。媒質の比誘電率が高いと、自由空間との整合がとれない周波数帯域が広くなってしまう。また、本発明の実施形態においては、電波吸収体100の表面に抵抗値を有しているので等価的にその抵抗値も下げることが可能である。隙間や孔160を設けることで、媒質の比誘電率を下げることができ、より自由空間に近い状態にすることができる。そのため、吸収性能を改善することができる場合がある。ただし、隙間や孔160は過剰に設けると、反射波が増えてしまい、吸収体での電波減衰が行われなくなるので逆効果となる。
以上のように、隙間及び孔160の設ける度合いは、電波吸収体100の吸収特性を確認して調整する必要がある。
次に、パラボラアンテナ200における電波吸収体100の役割について説明する。図11Aは、電波吸収体100の無いパラボラアンテナ400の断面図を示している。図11Bは、電波吸収体100と電波吸収体100が貼り付けられるシュラウド220とを有するパラボラアンテナ200の断面図を示している。一般的に、パラボラアンテナ200(400)では、一次放射器230(430)の先端部から、レフレクタ(パラボラレフレクタ)210(410)に向かって電波が放射される。レフレクタ210(410)の曲面を回転放物面(パラボラ曲面)に設計することで、電波a、b、cは、同じ位相で同じ方向に放射され、合成されて、高い利得を得ることができる。一次放射器230(430)から放射される電波は、なるべく、レフレクタ210(410)に照射されるように設計されるが、図11Aに示すように、わずかながら、電波d、eのように、外側に漏れていく電波がある。これが、サイドローブとなり、アンテナの特性を劣化させる原因となる。これを防ぐために、通常、図11Bに示すように、円筒状のシュラウド220を設け、この内側に、電波吸収体100を貼り付け、この電波吸収体100により電波d、eを吸収する。この円筒状のシュラウド220は、レフレクタ210の開口側端に、レフレクタ210の開口面を維持するように付加されている。本実施形態では、この電波吸収体100の構成、形状、配置の仕方について工夫されている。
図12は、電波吸収体100を用いたパラボラアンテナ200の放射パターン特性の一例を示す。この放射パターンは、有効開口直径が約30cmの15GHz帯のパラボラアンテナの放射パターンの測定値である。偏波は垂直偏波の方位方向を測定した。横軸は角度、縦軸は0度の値で規格化した相対レベルを示している。太い実線lは図6の構成で、図1の構造をもつ電波吸収体を配置した場合の測定値である。細い実線mは、電波吸収体を配置しない場合の測定値である。また、破線nは、この種のアンテナに適用される放射パターンの規格であり、欧州標準規格のETSI EN 302 217に基づく。電波吸収体100を設けない場合は、ETSI規格に対して、マージンが約1dB程度である。一方で、本実施形態の電波吸収体100を設けた場合は、規格とのマージンが約15dB程度となり、大きなサイドローブ低減効果が得られている。
図14を参照して、シュラウド220に電波吸収体100を取り付ける方法についての一例を示す。
図14は、電波吸収体100の取り付け方法の一例を示す説明図である。
図14に示すように、電波吸収体100には、ボルト(固定部材)201を挿通可能な孔101が形成されている。また、シュラウド220には、電波吸収体100の孔101に対応する箇所にボルト201を挿通可能な孔202が形成されている。これら孔101,202にシュラウド220の外側からボルト201を挿入する。ボルト201のネジ部がシュラウド220、および電波吸収体100を貫通し、このネジ部が電波吸収体100の内側から突出する。
電波吸収体100から突出したボルト201の先端には、ワッシャナット(固定部材)203が螺入されている。このような構成により、シュラウド220に電波吸収体100がボルト201、およびワッシャナット203によって締結固定される。
ボルト201、およびワッシャナット203は、それぞれ誘電体や金属により形成されている。しかしながら、電波の反射を抑制するという観点では、ボルト201、およびワッシャナット203を金属より誘電体で形成するのが好ましい。電波の反射をより効率よく抑制したい場合は、ボルト201、およびワッシャナット203を、導電粒子を含む誘電体で形成することが好ましい。シュラウド220に電波吸収体100を固定する固定部材として、ボルト201、およびワッシャナット203に代わって、ビスやナットを用いることも可能である。
図15は、電波吸収体100のパラボラアンテナ200への更に別の設置例を示す図である。図16は、図15における電波吸収体100の構成図である。
図15および図16に示すように、パラボラアンテナ200におけるシュラウド220の内側円周上に電波吸収体100を配置するにあたって、電波吸収体100の下板120に、複数のスリット121をシュラウド220の周方向に沿って(すなわち、下板120に沿った一方向に)等間隔に形成する。このようにスリット121が形成された電波吸収体100の下板120を、シュラウド220の内側円周に沿うように湾曲させるとスリット121の幅が広がるので、下板120に無理な応力がかかるのを防止できる。このため、シュラウド220の曲率半径が小さい場合であっても、電波吸収体100を確実にシュラウド220に密着させることができる。
複数のスリット121が形成される間隔は、シュラウド220の曲率半径に応じて変化する。例えば、シュラウド220の曲率半径が150mm〜300mmである場合、複数のスリット121の間隔は、30mm〜60mm程度が望ましい。シュラウド220の曲率半径が600mmを超える場合、電波吸収体100の下板120に無理な応力がかからないので、スリット121を形成することなく、電波吸収体100をそのままシュラウド220に取り付けることができる。
図17は、電波吸収体100の別のパラボラアンテナ500への設置例を示す図である。図18は、図17のA部の拡大図である。図19は、図17のB部の拡大図である。以下の説明において、前述したパラボラアンテナ200と同一態様については、同一符号を付して説明する。
図17および図18に示すように、パラボラアンテナ500は、シュラウドを有さず、レフレクタ(パラボラレフレクタ)510と、一次放射器230とからなる。レフレクタ510の開口部501にレドーム540が設けられている。レフレクタ510の開口部501には、外フランジ部502が一体成形されている。外フランジ部502には、外周縁から垂直に立ち上がる壁503が形成されている。この壁503の内側をレドーム540を取り付けるためのレドーム装着部504として構成している。
外フランジ部502には、電波吸収体100が全周に渡って配置されている。外フランジ部502に電波吸収体100を配置することにより、レドーム装着部504に流れる電流の再放射を抑制し、サイドローブが低減され、かつFB比(前方対後方比)が高いパラボラアンテナ500を提供できる。電波吸収体100は、外フランジ部502の一部に配置してもよい。
図17および図19に示すように、一次放射器230は、円筒状の導波管231と、この導波管231の先端に設けられ誘電体からなる支持体232と、支持体232を介して設けられているサブレフレクタ233とを有する。このサブレフレクタ233の背面233aに、電波吸収体100が配置されている。
サブレフレクタ233の背面233aに電波吸収体100を配置することにより、サブレフレクタ233上を流れる電流の再放射を抑制し、サイドローブが低減されたパラボラアンテナ500を提供できる。
さらに、導波管231の外側円周上には、電波吸収体100が配置されている。導波管231の外側円周上に配置されている電波吸収体100も図16に示すように、下板120にスリット121が形成されている。この下板120を導波管231に当接させるように配置する。このようにすることで、曲率半径の小さい導波管231にも電波吸収体100を配置することができる。
導波管231に電波吸収体100を配置することにより、導波管231上を流れる電流の再放射を抑制し、サイドローブが低減されたパラボラアンテナ500を提供できる。
本実施の形態では、パラボラアンテナ500の外フランジ部502、サブレフレクタ233、および導波管231に電波吸収体100を配置した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、外フランジ部502、サブレフレクタ233、および導波管231の少なくとも何れか1つのみに電波吸収体100を配置してもよい。また、前述のシュラウド220を有するパラボラアンテナ200の一次放射器230におけるサブレフレクタ233や導波管231に、電波吸収体100を配置してもよい。
以上、本発明の実施形態によれば、軽量、安価な電波吸収体を提供することができる。また、抵抗値と支持部の高さを調整することで、周波数に応じた吸収特性を向上させることができる。また、支持部の構造を調整することで、斜入射特性を改善する。また、本実施形態によれば、既存の吸収体のように、抵抗粉が飛散したりせず、経年劣化が少ない。また、電波吸収体に孔をあけることで、吸収特性と斜入射特性を向上させる。また、パラボラアンテナのシュラウドに付けることで、低サイドローブのアンテナとなる。
このように、本発明の実施形態は、安価で、サイドローブの低い、高性能なパラボラアンテナを構成するために有効な技術である。本技術は、サイドローブを抑えるために安価な電波吸収部位の構成に関する技術であるため、電波干渉回避のために、電波吸収体の設置を必要とする関連技術に利用可能である。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2010年2月15日に出願された日本出願特願2010−030712、2010年3月4日に出願された日本出願特願2010−048284、および2010年6月21日に出願された日本出願特願2010−140949を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
本発明は、電波吸収体、及びパラボラアンテナに適用することができる。本発明によれば、軽量で安価な電波吸収体を提供することができる。
(付記1)
電波吸収体において、前記支持部の構造が半月形状である。
(付記2)
電波吸収体は、前記上板と前記下板との間にこれら上板、および下板と平行に配置され、導電粒子を含む誘電体によって形成される少なくとも1枚の中板を備え、少なくとも前記上板と前記中板との間、および前記中板と前記下板との間に、前記支持部が設けられている。
(付記3)
電波吸収体において、前記上板もしくは前記下板、あるいはその両方に、複数の孔を形成している。
(付記4)
パラボラアンテナにおいて、前記電波吸収体が固定部材を介して固定されている。
(付記5)
パラボラアンテナにおいて、前記固定部材は、導電粒子を含む誘電体によって形成されている。
100 電波吸収体
101 孔
110 上板
120 下板
121 スリット
130 支持部
140 金属板
150 中板
160 孔
200 パラボラアンテナ
201 ボルト(固定部材)
202 孔
203 ワッシャナット(固定部材)
210 レフレクタ(パラボラレフレクタ)
220 シュラウド
230 一次放射器
231 導波管
232 支持体
233 サブレフレクタ
233a 背面
240 レドーム
250 スペーサ
400 パラボラアンテナ
410 レフレクタ(パラボラレフレクタ)
430 一次放射器
500 パラボラアンテナ
501 開口部
502 外フランジ部
503 壁
510 レフレクタ(パラボラレフレクタ)
540 レドーム
800 電波吸収体
900 パラボラアンテナ
910 レフレクタ(パラボラレフレクタ)
920 シュラウド
930 一次放射器

Claims (14)

  1. 導電粒子を含む誘電体からなる上板と、
    前記上板と平行に配置され、導電粒子を含む誘電体からなる下板と、
    前記上板及び前記下板の間に配置され、前記上板及び前記下板を支持する板状の誘電体から成る支持部と
    を備える電波吸収体。
  2. 前記下板の下に配置された金属板
    をさらに備える請求項1に記載の電波吸収体。
  3. 前記支持部の構造が、前記上板及び前記下板に対して垂直な板状である
    請求項1又は2に記載の電波吸収体。
  4. 前記支持部の構造が、前記上板及び前記下板に対して傾斜を有する板状である
    請求項1又は2に記載の電波吸収体。
  5. 前記支持部の構造が波形状である
    請求項1又は2に記載の電波吸収体。
  6. 前記支持部が導電粒子を含む誘電体からなる
    請求項1から5のいずれか一項に記載の電波吸収体。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の電波吸収体
    を備えるパラボラアンテナ。
  8. 電波を反射するパラボラレフレクタと、
    電波を放射する一次放射器と
    をさらに備え、
    前記電波吸収体は前記パラボラレフレクタの開口縁近傍に配置される
    請求項に記載のパラボラアンテナ。
  9. 電波を反射するパラボラレフレクタと、
    導波管と、前記導波管の先端に配置される前記誘電体からなる支持体と、前記支持体を介して設けられているサブレフレクタとを有し、電波を放射する一次放射器と
    をさらに備え、
    前記電波吸収体は前記サブレフレクタの背面に配置される
    請求項に記載のパラボラアンテナ。
  10. 電波を反射するパラボラレフレクタと、
    導波管と、前記導波管の先端に設けられた前記誘電体からなる支持体と、前記支持体を介して設けられているサブレフレクタとを有し、電波を放射する一次放射器と
    をさらに備え、
    前記電波吸収体は前記導波管の外側円周上に配置される
    請求項に記載のパラボラアンテナ。
  11. 電波を反射するパラボラレフレクタと、
    前記パラボラレフレクタの開口側端に、前記パラボラレフレクタの開口面を維持するように付加された円筒状のシュラウドと、
    電波を放射する一次放射器と
    をさらに備え、
    前記電波吸収体は前記シュラウドの内側周囲上に配置される
    請求項に記載のパラボラアンテナ。
  12. 前記電波吸収体が、前記シュラウドの周囲方向および放射方向の少なくとも一方に沿って、密着して配置されている
    請求項1に記載のパラボラアンテナ。
  13. 前記電波吸収体が、前記シュラウドの周囲方向および放射方向の少なくとも一方に沿って、適当な間隔を保持して周期的に配置されている
    請求項1に記載のパラボラアンテナ。
  14. 前記シュラウド内側周囲上に、スペーサが配置され、前記スペーサ上に、前記電波吸収体が配置されている
    請求項12から13のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
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