以下、実施形態を図面を用いて説明する。以下の説明では、信号または電圧が伝達される信号線には、信号名と同じ符号を使用する。図中の二重の四角印は、電源端子を示す。ゲートに丸印を付いているトランジスタは、pMOSトランジスタを示し、ゲートに丸印の付いていないトランジスタは、nMOSトランジスタを示す。pMOSトランジスタおよびnMOSトランジスタに付けた矢印は、基板ノードを示す。
図1は、一実施形態における半導体集積回路SEMの例を示している。半導体集積回路SEMは、電源スイッチPSW、基板電圧制御回路SUBCONTおよび内部回路INCを有している。電源スイッチPSWは、内部回路INCを動作させるための電源オン信号PONの活性化中にオンし、外部電源線VDDを内部電源線VDDVに接続する。基板電圧制御回路SUBCONTは、電源スイッチPSWのオンにより上昇する内部電源電圧VDDVが目標電圧VTGを超えたときに、基板電圧VBNを第1電圧V1から第2電圧V2に変更する。内部回路INCは、基板電圧VBNが供給されるトランジスタPTを含み、電源スイッチPSWを介して内部電源線VDDVに供給される内部電源電圧VDDVを受けて動作する。
なお、内部電源電圧VDDVが目標電圧VTGを超えたか否かは、電源オン信号PONの活性化からの時間で判断してもよい。電源オン信号PONの活性化から内部電源電圧VDDVが目標電圧VTGを超えるまでの時間は、内部電源電圧VDDVの上昇特性を予め評価することで求めることができる。
この例では、トランジスタPTは、pMOSトランジスタであり、基板電圧VBNは、pMOSトランジスタの基板(例えば、n形ウエル領域)に供給される。第1電圧V1は第2電圧V2より高い。例えば、第1電圧V1は外部電源電圧VDDより高い電圧であり、第2電圧V2は外部電源電圧VDDである。トランジスタPTは、第1電圧V1を基板電圧VBNとして受けている間、閾値電圧が相対的に高くなる。トランジスタPTは、第2電圧V2を基板電圧VBNとして受けている間、閾値電圧が相対的に低くなる。すなわち、第1電圧V1を基板電圧VBNとして受けているトランジスタPTのソース・ドレイン間電流は、第2電圧V2を基板電圧VBNとして受けているトランジスタPTのソース・ドレイン間電流より少ない。
なお、トランジスタPTは、nMOSトランジスタでもよい。このとき、基板電圧VBNは、nMOSトランジスタの基板(例えば、p形ウエル領域)に供給され、第1電圧V1は第2電圧V2より低い。例えば、第1電圧V1は負電圧であり、第2電圧V2は接地電圧である。
この実施形態では、内部電源電圧VDDVが電源オン信号PONの活性化に応答して上昇を開始するとき、基板電圧VBNは第1電圧V1であり、トランジスタPTの閾値電圧は高い。電源オン信号PONの活性化後、内部電源電圧VDDVが低い間、トランジスタPTのゲート電圧は、論理1および論理0のどちらにも定まらず、貫通電流がトランジスタPTのソース・ドレイン間に流れる。貫通電流が流れる期間に、トランジスタPTの閾値電圧を高くすることで、内部回路INCが動作を開始するときの電源電流のピーク値を下げることができる。この結果、外部電源電圧VDDの電圧降下を少なくでき、外部電源線VDDに発生する電源ノイズを緩和できる。
さらに、内部電源電圧VDDVが目標電圧VTGより高くなったとき、基板電圧VBNは第1電圧V1より低い第2電圧V2に設定され、トランジスタPTの閾値電圧は低くなる。これにより、トランジスタPTのソース・ドレイン間電流は増加し、内部回路INCの初期化動作が高速に実施される。ここで、初期化動作は、内部回路INCのトランジスタPTを含む素子の各ノードが初期電圧に設定されるまでの動作である。内部回路INCの通常動作は、初期化動作後に開始される。ここで、通常動作は、内部回路INCの本来の機能を実現するための動作である。
以上より、この実施形態では、内部回路INCへの内部電源電圧VDDVの供給が開始されるときの電源ノイズを緩和しながら、電源オン信号PONの活性化から内部回路INCが通常動作を開始するまでの時間(すなわち、復帰時間)を短縮できる。これにより、半導体集積回路SEMの消費電力を削減でき、半導体集積回路SEMの性能を向上できる。また、半導体集積回路SEMの信頼性を向上できる。
図2は、別の実施形態における半導体集積回路SEMの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明は省略する。
半導体集積回路SEMは、基板電圧生成回路SUBGEN1、電源管理部PMU、基板電圧制御回路SUBCONT1、電源スイッチPSW1および内部回路INC1を有している。基板電圧生成回路SUBGEN1、電源管理部PMUおよび基板電圧制御回路SUBCONT1は、外部電源電圧VDDおよび接地電圧VSSを受けて動作する。内部回路INC1は、電源スイッチPSW1を介して供給される内部電源電圧VDDVおよび接地電圧VSSを受けて動作する。
基板電圧生成回路SUBGEN1は、外部電源電圧VDDを用いて外部電源電圧VDDより高い基準電圧VREF1を生成する。電源管理部PMUは、内部回路INC1の動作を開始するときに、内部回路INC1を動作させるための電源オン信号PON1を活性化し、内部回路INC1の動作を停止するときに電源オン信号PON1を非活性化する。なお、内部回路INC1の動作の開始および停止は、例えば、CPUが実行するプログラムにより指示される。CPUは、半導体集積回路SEMの動作を制御するために、半導体集積回路SEMの内部または半導体集積回路SEMの外部に形成される。
なお、基板電圧生成回路SUBGEN1および電源管理部PMUの少なくともいずれかは、半導体集積回路SEMの外部に形成されてもよい。また、図2では、最小限の数の電源端子VDD、VSS、VDDV、VBNが記載されているが、一般的には、多くの電源端子VDD、VSS、VDDV、VBNが形成される。
基板電圧制御回路SUBCONT1は、電源オン信号PON1が非活性化されているとき、または内部電源電圧VDDVが目標電圧VTG(図2)以下のときに、基準電圧VREF1を基板電圧VBNとして出力する。基板電圧制御回路SUBCONT1は、電源オン信号PON1が活性化され、かつ内部電源電圧VDDVが目標電圧VTGを超えているときに、外部電源電圧VDDを基板電圧VBNとして出力する。さらに、基板電圧制御回路SUBCONT1は、電源オン信号PONと同じ論理のスイッチ制御信号PSWG1を出力する。
電源スイッチPSW1は、ソースを外部電源線VDDに接続し、ドレインを内部電源線VDDVに接続し、ゲートでスイッチ制御信号PSWG1を受けるpMOSトランジスタを有している。例えば、電源スイッチPSW1のpMOSトランジスタの基板は、外部電源線VDDに接続されている。電源スイッチPSW1は、電源オン信号PON1とともに論理0に活性化されるスイッチ制御信号PSWG1を受けてオンし、外部電源線VDDを内部電源線VDDVに接続する。これにより、外部電源線VDDから内部電源線VDDVに電源電流IONが流れ、内部電源電圧VDDVが上昇する。例えば、電源電流IONは、内部回路INC1を流れる貫通電流と、内部回路INC1内の負荷容量の充電電流を含む。
電源スイッチPSW1は、電源オン信号PON1とともに論理1に非活性化されるスイッチ制御信号PSWG1を受けてオフし、外部電源線VDDと内部電源線VDDVとの接続を遮断する。電源スイッチPSW1のオフ中、内部電源電圧VDDVは内部回路INC1に供給されないため、消費電力はゼロになる。内部回路INC1の動作が必要ない期間に、電源スイッチPSW1をオフすることで、いわゆる電源遮断機能(Power Gating)を実現でき、半導体集積回路SEMの消費電力を削減できる。
内部回路INC1は、NANDゲート、NORゲート、CMOSインバータIV、フリップフロップFF等の論理回路を有している。論理回路は、pMOSトランジスタおよびnMOSトランジスタを有している。特に限定されないが、pMOSトランジスタおよびnMOSトランジスタの閾値電圧(絶対値)は、ほぼ等しく設計されており、例えば0.35Vである。pMOSトランジスタの基板は、基板電圧VBNが供給されるn形ウエル領域NWに接続されている。nMOSトランジスタの基板は、接地電圧VSSが供給されるp形ウエル領域に接続されている。
図3は、図2に示した基板電圧制御回路SUBCONT1の例を示している。基板電圧制御回路SUBCONT1は、レベルセンサLVLS1、セレクタSELおよびバッファBUF1を有している。
レベルセンサLVLS1は、目標電圧VTGを生成する電圧生成部VTGGEN1および比較器CMPを有している。電圧生成部VTGGEN1は、外部電源線VDDと接地線VSSとの間に直列に配置された抵抗R1、R2を有し、抵抗R1、R2を互いに接続する接続ノードから目標電圧VTGを生成する。例えば、目標電圧VTGは、内部回路INC1に形成されるpMOSトランジスタの閾値電圧(絶対値)と同じ値に設定される。あるいは、目標電圧VTGは、内部回路INC1に形成されるpMOSトランジスタの閾値電圧(絶対値)より大きく内部電源電圧VDDVより低い値に設定される。
なお、電圧生成部VTGGEN1は、レベルセンサLVLS1の外部に形成されてもよい。また、内部回路INC1に形成されるpMOSトランジスタPT1の閾値電圧が様々な値に設計されているとき、目標電圧VTGは、最も高い閾値電圧以上、かつ内部電源電圧VDDVより低い値に設定される。
比較器CMPは、内部電源電圧VDDVが目標電圧VTG以下のときに切り替え信号OUT1を論理1に非活性化し、内部電源電圧VDDVが目標電圧VTGより高いときに切り替え信号OUT1を論理0に活性化する。
セレクタSELは、ORゲート、レベルシフタLSFT、nMOSトランジスタNT1およびpMOSトランジスタPT1を有している。例えば、nMOSトランジスタNT1の基板は接地線VSSに接続され、pMOSトランジスタPT1の基板は外部電源線VDDに接続されている。ORゲートは、切り替え信号OUT1および電源オン信号PON1がともに論理0に活性化されているときに、論理0の基板制御信号VBCNTを出力する。また、ORゲートは、切り替え信号OUT1または電源オン信号PON1の少なくと一方が論理1に非活性化されているときに、論理1の基板制御信号VBCNTを出力する。
レベルシフタLSFTは、論理1の基板制御信号VBCNTの電圧レベルを外部電源電圧VDDより高い高電圧VDDPに変換し、論理0の基板制御信号VBCNTの電圧レベルを接地電圧VSSに変換する。nMOSトランジスタNT1は、基板制御信号VBCNTが論理1に非活性化されているときにオンし、基準電圧VREF1を基板電圧線VBNに供給する。pMOSトランジスタPT1は、基板制御信号VBCNTが論理0に活性化されているときにオンし、外部電源電圧VDDを基板電圧線VBNに供給する。
特に限定されないが、外部電源電圧は1.2V、基準電圧VREF1は1.8V、高電圧VDDPは3.3Vである。基板制御信号VBCNTの論理1が、高電圧VDDPに変換されるため、外部電源電圧VDDより高い基準電圧VREF1をnMOSトランジスタNT1を介して基板電圧線VBNに確実に供給できる。
バッファBUF1は、電源オン信号PON1と同じ論理を有するスイッチ制御信号PSWG1を出力する。すなわち、スイッチ制御信号PSWG1は、電源オン信号PON1として機能する。なお、バッファBUF1は、基板電圧制御回路SUBCONT1の外部(例えば、電源管理部MPU内)に形成されてもよい。また、電源オン信号PON1を出力する電源管理部MPUが十分な駆動能力を有するとき、バッファBUF1は形成しなくてもよい。
図4は、図2に示した半導体集積回路SEMの動作の例を示している。破線および一点鎖線で示す波形は、図2と異なる半導体集積回路の動作を示している。この例では、内部回路INC1の動作が停止しているOFF期間に、内部回路INC1の動作を開始するために電源オン信号PON1が論理0に活性化される。この後、内部回路INC1が動作しているON期間に、内部回路INC1の動作を停止するために電源オン信号PON1が論理1に非活性化され、再びOFF期間になる。
まず、電源管理部MPUは、内部回路INC1の通常動作を開始する前に、電源オン信号PON1を論理0に活性化する(図4(a))。電源オン信号PON1の活性化に応答して、スイッチ制御信号PSWG1が論理0に活性化される(図4(b))。図2に示した電源スイッチPSW1は、スイッチ制御信号PSWG1の活性化によりオンし、外部電源電圧VDDを内部電源線VDDVに供給する。
このとき、内部回路INC1に供給される基板電圧VBNは、基準電圧VREF1に設定されており、内部回路INC1内のpMOSトランジスタPTの閾値電圧は相対的に高い(図4(c))。このため、電源スイッチPSW1がオンした直後に内部回路INC1に流れる貫通電流は最小限になる。ここで、内部回路INC1に流れる貫通電流は、内部電源線VDDVから接地線VSSに流れる電源電流IONによって間接的に現される(図4(d))。
貫通電流が流れると、電源電流IONが増えるため、外部電源電圧VDDの電圧降下量ΔVも増える(図4(e))。外部電源電圧VDDの電圧降下は、電源ノイズとして、基板電圧生成回路SUBGEN1や電源管理部MPU等の外部電源電圧VDDを受ける回路の動作に影響する。半導体集積回路SEMが別の電源スイッチを介して外部電源線VDDに接続されている別の内部回路を有するとき、この別の内部回路も電源ノイズの影響を受ける。
但し、この実施形態では、内部電源電圧VDDVの供給が開始されてから所定の期間、pMOSトランジスタの閾値電圧(絶対値)を高くするため、貫通電流が少なくでき、電源ノイズを小さくできる。なお、貫通電流は、内部回路INC1内のトランジスタのゲート電圧が論理1または論理0に確定するまでの間に流れる。このため、貫通電流が流れている期間、内部電源電圧VDDVは比較的ゆっくり上昇する(図4(f))。
図3に示したレベルセンサLVLS1は、内部電源電圧VDDVが目標電圧VTGを超えたとき、切り替え信号OUT1を論理0に活性化する(図4(g))。図3に示したセレクタSELは、電源オン信号PON1の活性化中に、論理0の切り替え信号OUT1を受けたときに、基板制御信号VBCNTを論理0に活性化する(図4(h))。これにより、図3に示したnMOSトランジスタNT1がオフし、pMOSトランジスタPT1がオンする。基板電圧VBNは、基準電圧VREF1から外部電源電圧VDDに切り替えられ、低下する(図4(i))。
内部回路INC1内のpMOSトランジスタの閾値電圧(絶対値)は、基板電圧VBNが下がることにより低くなる。これにより、pMOSトランジスタのソース・ドレイン間抵抗は下がり、ハイレベルに初期設定されるべきpMOSトランジスタのドレイン電圧は、急速に内部電源電圧VDDVまで上昇する。すなわち、内部回路INCの初期化動作が迅速に実施される。さらに、内部電源電圧VDDVが内部回路INC1内のpMOSトランジスタまたはnMOSトランジスタの閾値電圧(絶対値)を超えると貫通電流は流れなくなる。貫通電流がなくなるため、内部電源電圧VDDVは、急速に上昇する(図4(j))。
以上により、貫通電流および電源ノイズを減らすことができ、電源オン信号PON1が活性化されてから内部回路INCが通常動作を開始するタイミングSTARTまでの時間(すなわち復帰時間)を短縮できる。この結果、半導体集積回路SEMの消費電力を削減でき、半導体集積回路SEMの性能を向上できる。
電源管理部MPUは、内部回路INC1の動作を停止するときに、電源オン信号PON1を非活性化する(図4(k))。電源オン信号PON1の論理1への非活性化に応答して、スイッチ制御信号PSWG1が論理1に非活性化される(図4(l))。これにより、電源スイッチPSW1はオフし、外部電源電圧VDDの内部電源線VDDVへの供給は停止する。内部電源電圧VDDVは徐々に低下し、電源電流IONはゼロになる(図4(m、n))。
図3に示したセレクタSELは、電源オン信号PON1の非活性化に応答して基板制御信号VBCNTを論理1に非活性化し、nMOSトランジスタNT1をオンする(図4(o))。これにより、基板電圧VBNは、外部電源電圧VDDから基準電圧VREF1に切り替えられ、上昇する(図4(p))。そして、内部回路INC1内のpMOSトランジスタの閾値電圧(絶対値)は、再び上昇する。
内部電源電圧VDDVが内部回路INC1内のpMOSトランジスタの閾値電圧(絶対値)以下になると、貫通電流が流れ、外部電源電圧VDDの電圧降下量ΔVが一時的に増加する(図4(q))。また、内部電源電圧VDDVが目標電圧VTG以下になると、図3に示した比較器CMPは、切り替え信号OUT1を論理1に非活性化する(図4(r))。この後、内部回路INC1の消費電流はゼロになる。
一方、図2に示した基板電圧制御回路SUBCONT1を持たない半導体集積回路では、図4に破線で示すように、電源電流ION(貫通電流)のピーク値が高くなり、電圧降下量ΔV(電源ノイズ)も大きくなる(図4(s、t))。貫通電流が大きいため、内部電源電圧VDDVは、上昇し難く、pMOSトランジスタの閾値電圧VT(絶対値)を超えるまでの時間は長い(図4(u))。
さらに、基板電圧制御回路SUBCONT1を持たない半導体集積回路では、基板電圧VBNがON期間に低く設定されないため、内部回路INC1内のpMOSトランジスタの閾値電圧(絶対値)は下がらない。この結果、内部回路INC1の寄生容量が充電されるまでに時間がかかり、内部回路INCが通常動作を開始するタイミングSTARTまでの時間(すなわち復帰時間)が長くなる(図4(v))。
また、順にオンするpMOSトランジスタを含む複数の電源スイッチが電源線VDD、VDDV間に配置される半導体集積回路では、図4に一点鎖線で示すように、スイッチ制御信号PSWG1は緩やかに下降する(図4(w))。これにより、電源電流ION(貫通電流)が流れる期間は長くなり、電源ノイズ(電圧降下量ΔV)が発生する期間も長くなる(図4(x、y))。この結果、基板電圧制御回路SUBCONT1を持たない半導体集積回路と同様に、内部回路INCが通常動作を開始するタイミングSTARTまでの時間(すなわち復帰時間)が長くなる。
図5は、図2に示した内部回路INC1内のCMOSインバータIVを流れる貫通電流の例を示している。この例では、CMOSインバータIVの入力電圧VINは、ハイレベル”H”に設定され、内部電源線VDDVの上昇とともに上昇する。例えば、目標電圧VTGは、基板電圧VBNが基準電圧VREF1に設定されているときのCMOSインバータIV内のpMOSトランジスタの閾値電圧VTP(絶対値)に等しい。
入力電圧VINが閾値電圧VTPより低いときに流れる貫通電流は、pMOSトランジスタの基板電圧VBNが低いときに多く(=VDD)、基板電圧VBNが高いとき(=VREF)に少ない。入力電圧VINが閾値電圧VTPより高くなると、貫通電流はほとんど流れない。以上より、目標電圧VTGを閾値電圧VTPに設定することで、貫通電流が大きい期間に閾値電圧VTGを上げることができる。この結果、貫通電流および電源ノイズを抑えながら、内部電源電圧VDDVを効率的に上昇できる。
NANDゲート、NORゲート、フリップフロップFF等の他の論理回路も、図5に示す特性と同様の特性を有する。なお、目標電圧VTGは、基板電圧VBNが外部電源電圧VDDのときのpMOSトランジスタの閾値電圧VTP(絶対値)に合わせて設定されてもよい。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、内部回路INC1の動作を開始するときに外部電源線VDDに発生する電源ノイズを小さくできるため、外部電源電圧VDDを受ける回路が電源ノイズにより誤動作することを防止できる。
図6は、別の実施形態における半導体集積回路SEMの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明は省略する。この実施形態では、内部回路INC1だけでなく、電源スイッチPSW1のpMOSトランジスタの基板にも基板電圧VBNが供給される。その他の構成は、図2と同様である。
この実施形態では、電源スイッチPSW1のpMOSトランジスタの閾値電圧(絶対値)は、図4(d)に示した電源電流ION(貫通電流)が増加する期間に相対的に高くなる。これにより、内部回路INC1が動作を開始するときの電源電流IONをさらに削減できる。以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図7は、別の実施形態における半導体集積回路SEMの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明は省略する。この実施形態の半導体集積回路SEMは、図2に示した基板電圧生成回路SUBGEN1および基板電圧制御回路SUBCONT1の代わりに基板電圧生成回路SUBGEN2および基板電圧制御回路SUBCONT2を有している。
基板電圧生成回路SUBGEN2は、接地電圧VSSより低い基準電圧VREF2を生成する。基板電圧制御回路SUBCONT2は、内部回路INC1内のnMOSトランジスタの基板(例えば、p形ウエル領域PW)に供給する基板電圧VBPを生成する。基板電圧VBPは、接地電圧VSSまたは基準電圧VREF2に設定される。その他の構成は、図2と同様である。
図8は、図7に示した基板電圧制御回路SUBCONT2の例を示している。基板電圧制御回路SUBCONT2は、セレクタSELに供給される電圧が図3に示した基板電圧制御回路SUBCONT1と相違している。基板電圧制御回路SUBCONT2のその他の構成は、基板電圧制御回路SUBCONT1と同様である。
レベルシフタLSFTは、論理1の基板制御信号VBCNTのレベルを外部電源電圧VDDに変換し、論理0の基板制御信号VBCNTのレベルを接地電圧VSSより低い負電圧VSSNに変換する。また、nMOSトランジスタNT1は、基板制御信号VBCNTが論理1に非活性化されているときにオンし、接地電圧VSSより低い基準電圧VREF2を基板電圧線VBPに供給する。pMOSトランジスタPT1は、基板制御信号VBCNTが論理0に活性化されているときにオンし、接地電圧VSSを基板電圧線VBPに供給する。
特に限定されないが、例えば、負電圧VSSNは−1.5Vであり、基準電圧VREF2は−0.5Vである。なお、負電圧VSSNは、基準電圧VREF2と同じ値に設定されてもよい。基板制御信号VBCNTの論理0が負電圧VSSNに変換されるため、接地電圧VSSをpMOSトランジスタPT1を介して基板電圧線VBNに確実に供給できる。また、負電圧VSSNが基準電圧VREF2以下に設定されるため、基板制御信号VBCNTが論理0のときにnMOSトランジスタNT1を確実にオフできる。負電圧VSSNは、半導体集積回路SEM内で生成されてもよく、半導体集積回路SEMの外部で生成されてもよい。
図9は、図7に示した半導体集積回路SEMの動作の例を示している。図9では、図4の基板電圧VBNの波形の代わりに基板電圧VBPの波形が示されている。基板電圧VBPの波形を除く波形は、図4と同様である。
図4と同様に、電源オン信号PON1の活性化中に切り替え信号OUT1が論理0に活性化されたとき、基板制御信号VBCNTは論理0に活性化される(図9(a、b))。これにより、図9に示したnMOSトランジスタNT1がオフし、pMOSトランジスタPT1がオンする。基板電圧VBPは、基準電圧VREF2(負電圧)から接地電圧VSSに上昇する(図9(c))。
内部回路INC1内のnMOSトランジスタの閾値電圧は、基板電圧VBPが上昇することにより低くなる。これにより、nMOSトランジスタのソース・ドレイン間抵抗は下がり、ロウレベルに初期設定されるべきnMOSトランジスタのドレインの電圧は、急速に接地電圧VSSまで低下する。すなわち、内部回路INC1の初期化動作が迅速に実施される。また、内部電源電圧VDDVが内部回路INC1内のpMOSトランジスタまたはnMOSトランジスタの閾値電圧(絶対値)を超えると貫通電流は流れなくなる。貫通電流がなくなるため、内部電源電圧VDDVは、急速に上昇する(図9(d))。なお、この例では、nMOSトランジスタの閾値電圧は、目標電圧VTGに等しい。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、nMOSトランジスタの基板電圧VBPを制御することによって、内部回路INC1の動作が開始されるときの電源ノイズを緩和しながら、内部回路INC1が通常動作を開始するまでの時間(すなわち、復帰時間)を短縮できる。
なお、図7の半導体集積回路SEMに、図2に示した基板電圧生成回路SUBGEN1および基板電圧制御回路SUBCONT1が追加され、内部回路INC1内のnMOSトランジスタおよびpMOSトランジスタの基板電圧がともに制御されることで、電源ノイズをさらに緩和しながら、復帰時間を短縮できる。この際、図6に示したように、電源スイッチPSW1のpMOSトランジスタの基板電圧が同時に制御されてもよい。
図10は、別の実施形態における半導体集積回路SEMの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明は省略する。この実施形態の半導体集積回路SEMは、図7に示した基板電圧制御回路SUBCONT2および電源スイッチPSW1の代わりに基板電圧制御回路SUBCONT3および電源スイッチPSW2を有している。内部回路INC1は、内部電源線VDDVではなく、外部電源線VDDに直接接続されている。内部回路INC1の内部接地線VSSVは、電源スイッチPSW2を介して接地線VSSに接続されている。その他の構成は、図7と同様である。
基板電圧制御回路SUBCONT3は、図7に示したスイッチ制御信号PSWG1と論理レベルが逆のスイッチ制御信号PSWG2を生成する。電源スイッチPSW2は、ソースを接地線VSSに接続し、ドレインを内部接地線VSSVに接続し、ゲートでスイッチ制御信号PSWG2を受けるnMOSトランジスタを有している。例えば、電源スイッチPSW2のpMOSトランジスタの基板は、接地線VSSに接続されている。電源スイッチPSW2は、電源オン信号PON1の活性化中に論理1に活性化されるスイッチ制御信号PSWG2を受けてオンし、接地線VSSを内部接地線VSSVに接続する。これにより、内部接地線VSSVから接地線VSSに電源電流IONが流れる。例えば、電源電流IONは、内部回路INC1を流れる貫通電流を含む。
電源スイッチPSW2は、電源オン信号PON1の非活性化中に論理0に非活性化されるスイッチ制御信号PSWG2を受けてオフし、接地線VSSと内部接地線VSSVとの接続を遮断する。電源スイッチPSW2のオフ中、内部回路INC1から接地線VSSへの電流パスはないため、消費電力はゼロになる。内部回路INC1の動作が必要ない期間に、電源スイッチPSW2をオフすることで、電源遮断機能を実現でき、半導体集積回路SEMの消費電力を削減できる。
図11は、図10に示した基板電圧制御回路SUBCONT3の例を示している。基板電圧制御回路SUBCONT3は、図8に示したバッファBUF1の代わりに、インバータの機能を有するバッファBUF2を有している。このため、電源オン信号PON1が論理0に活性化されている間、スイッチ制御信号PSWG2は論理1に活性化される。基板電圧制御回路SUBCONT3のその他の構成は、図8と同様である。
図12は、図10に示した半導体集積回路SEMの動作の例を示している。図12では、スイッチ制御信号PSWG2の論理レベルは、図9に示したスイッチ制御信号PSWG1の論理レベルと逆になる。その他の波形は、図9と同じである。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、外部電源線VDDと内部電源線VDDVとの接続を制御する電源スイッチPSW1の代わりに、接地線VSSと内部接地線VSSVとの接続を制御する電源スイッチPSW2を配置しても、電源ノイズを緩和しながら、復帰時間を短縮できる。
なお、図10の電源スイッチPSW2に形成されるnMOSトランジスタの基板は、基板電圧線VBPに接続されてもよい。これに加えて、図10に示した半導体集積回路SEMに、図2に示した基板電圧生成回路SUBGEN1および基板電圧制御回路SUBCONT1が追加され、内部回路INC1内のpMOSトランジスタの基板電圧が制御されてもよい。この際、外部電源線VDDと内部回路INC1の間に電源スイッチPSW1が配置されてもよい。さらに、図6に示したように、電源スイッチPSW1のpMOSトランジスタの基板電圧は、電圧制御回路SUBCONT1により制御されてもよい。これらの回路変更により、電源ノイズをさらに緩和しながら、復帰時間を短縮できる。
図13は、別の実施形態における半導体集積回路SEMの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明は省略する。図13では、各回路に接続される電源線の記載は省略されている。
この実施形態の半導体集積回路SEMは、複数の内部回路INC1A、INC1B、INC1Cを有している。基板電圧制御回路SUBCONT4および電源スイッチPSW1は、各内部回路INC1A、INC1B、INC1Cに対応して配置され、各内部回路INC1A、INC1B、INC1Cとともに回路ブロックCBA、CBB、CBCが形成されている。また、半導体集積回路SEMは、内部回路INC1A、INC1B、INC1Cに共通の電源管理部PMU、基板電圧生成回路SUBGEN1および目標電圧テーブルVTGTBLを有している。
電源管理部PMUは、内部回路INC1A、INC1B、INC1Cにそれぞれ対応する電源オン信号PON1A、PON1B、PON1Cを生成する。上述した実施形態と同様に、電源管理部PMUは、内部回路INC1Aを動作させるときに電源オン信号PON1Aを活性化し、内部回路INC1Aの動作を停止るときに電源オン信号PON1Aを非活性化する。電源管理部PMUは、内部回路INC1Bを動作させるときに電源オン信号PON1Bを活性化し、内部回路INC1Bの動作を停止するときに電源オン信号PON1Bを非活性化する。電源管理部PMUは、内部回路INC1Cを動作させるときに電源オン信号PON1Cを活性化し、内部回路INC1Cの動作を停止するときに電源オン信号PON1Cを非活性化する。
基板電圧生成回路SUBGEN1は、図2と同様に、内部回路INC1A、INC1B、INC1C内のpMOSトランジスタの基板に供給する基準電圧VREF1を生成する。目標電圧テーブルVTGTBLは、回路ブロックCBA、CBB、CBC毎に目標電圧VTG(図14)を設定するための設定値を保持している。目標電圧テーブルVTGTBLは、保持している設定値を設定信号VTGSELA、VTGSELB、VTGSELCとして回路ブロックCBA、CBB、CBCの基板電圧制御回路SUBCONT4にそれぞれ出力する。設定信号VTGSELA、VTGSELB、VTGSELCのハイレベルは高電圧VDDPであり、ロウレベルは接地電圧VSSである。
目標電圧テーブルVTGTBLの設定値は、半導体集積回路SEMに外部電源電圧VDDが供給されなくても保持される。これを実現するために、目標電圧テーブルVTGTBLは、例えば、ヒューズ回路または不揮発性メモリセルを用いて形成される。あるいは、目標電圧テーブルVTGTBLの設定値は、半導体集積回路SEMに外部電源電圧VDDが供給されている間に保持されてもよい。このとき、目標電圧テーブルVTGTBLは、半導体集積回路SEMのパワーオン時のリセットシーケンス中に設定値が書き込まれるラッチ回路を用いて形成される。
各内部回路INC1A、INC1B、INC1Cは、図2に示した内部回路INC1と同様の回路である。但し、内部回路INC1A、INC1B、INC1C内に形成されるpMOSトランジスタの閾値電圧は互いに相違してもよく、内部回路INC1A、INC1B、INC1C内に形成されるnMOSトランジスタの閾値電圧は互いに相違してもよい。
図14は、図13に示した基板電圧制御回路SUBCONT4の例を示している。基板電圧制御回路SUBCONT4は、レベルセンサLVLS2が図3のレベルセンサLVLS1と相違している。基板電圧制御回路SUBCONT4のその他の構成は、図3と同様である。
レベルセンサLVLS2は、目標電圧VTGを生成する電圧生成部VTGGEN2および図3と同じ比較器CMPを有している。電圧生成部VTGGEN2は、外部電源線VDDと接地線VSSとの間に直列に配置された抵抗R3、R4、R5、pMOSトランジスタPT2およびnMOSトランジスタNT2を有している。電圧生成部VTGGEN2は、抵抗R3、R4を互いに接続する接続ノードから電圧V1を生成し、抵抗R4、R5を互いに接続する接続ノードから電圧V2を生成する。特に限定されないが、例えば、外部電源電圧VDDが1.2Vのとき、内部回路INC1Aに対応する電圧生成部VTGGEN2により生成される電圧V1、V2はそれぞれ0.8V、0.4Vである。
pMOSトランジスタPT2は、設定信号VTGSELA(またはVTGSELB、VTGSELC)が論理0のときにオンし、電圧V1を目標電圧VTGとして比較器CMPに供給する。nMOSトランジスタNT2は、設定信号VTGSELA(またはVTGSELB、VTGSELC)が論理1のときにオンし、電圧V2を目標電圧VTGとして比較器CMPに供給する。これにより、設定信号VTGSELA(またはVTGSELB、VTGSELC)の論理に応じて、基板電圧VBNA(またはVBNB、VBNC)を基準電圧VREF1から外部電源電圧VDDに切り替える内部電源電圧VDDVの値を、内部回路INC1A、INC1B、INC1C毎に調整できる。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、内部回路INC1A、INC1B、INC1C毎に目標電圧VTGを生成することで、各内部回路INC1A、INC1B、INC1Cにおいて、電源ノイズ量を最小限にでき、復帰時間を短縮できる。この結果、例えば、内部回路INC1Aが動作を開始するときに、既に動作中の内部回路INC1B、INC1Cが受ける電源ノイズの影響を最小限にでき、半導体集積回路SEMの信頼性を向上できる。
図15は、別の実施形態における基板電圧制御回路SUBCONT5の例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明は省略する。基板電圧制御回路SUBCONT5を搭載する半導体集積回路SEMは、基板電圧制御回路SUBCONT1の代わりに基板電圧制御回路SUBCONT5を有している。半導体集積回路SEMのその他の構成は、図2と同様である。
基板電圧制御回路SUBCONT5は、図3に示したレベルセンサLVLS1の代わりにタイマTIMR1を有している。セレクタSELおよびバッファBUF1は図3と同じである。タイマTIMR1は、直列に接続されたフリップフロップFF0、FF1、FF2、FF3、3入力のNANDゲートおよび4入力のNANDゲートを有している。初段のフリップフロップFF0の入力端子Dは、外部電源線VDD(論理1)に接続されている。
フリップフロップFF0−FF3は、高レベルの電源オン信号PON1をリセット端子RSTで受けたときに出力端子Qを論理0にリセットする。フリップフロップFF0−FF3は、切り替え信号OUT1が論理1に非活性化中に、電源オン信号PON1の活性化(論理0)に応答してイネーブル信号ENが論理1に活性化されたとき、クロックCLKに同期して前段から順に論理1を出力する。そして、フリップフロップFF0−FF3の出力信号Q0、Q1、Q2、Q3が全て論理1になったときに、切り替え信号OUT1は論理0に活性化される。クロックCLKは、半導体集積回路SEM内で使用されているものを利用してもよく、専用のクロックCLKを生成してもよい。切り替え信号OUT1は、図3と同様に、セレクタSELのnMOSトランジスタNT1およびpMOSトランジスタPT1を排他的にオンするために生成される。
図16は、基板電圧制御回路SUBCONT5の別の例を示している。この例では、セレクタSELは、図15のセレクタSELからORゲートを削除しており、タイマTIMR2から基板制御信号VBCNTを直接受ける。タイマTIMR2は、図15に示したタイマTIMR1の4入力NANDゲートの代わりに5入力NANDゲートを有している。5入力NANDゲートは、フリップフロップFF0−FF3の出力信号Q0−Q3に加えて、電源オン信号PON1の論理を反転した電源オン信号/PON1を受け、基板制御信号VBCNTを出力する。基板制御信号VBCNTは、セレクタSELのnMOSトランジスタNT1およびpMOSトランジスタPT1を排他的にオンするための切り替え信号として機能する。タイマTIMR2のその他の構成は、図15に示したタイマTIMR1と同じである。
図17は、図15および図16に示した基板電圧制御回路SUBCONT5を有する半導体集積回路SEMの動作の例を示している。図4と同じ動作については、詳細な説明は省略する。
まず、内部回路INC1の動作が停止しているOFF期間に、内部回路INC1の動作を開始するために、電源オン信号PON1が論理0に活性化される(図17(a))。これにより、フリップフロップFF0−FF3のリセットが解除される。電源オン信号PON1の活性化に伴い、イネーブル信号ENが論理1に活性化される(図17(b))。このとき、基板制御信号VBCNTは論理1に非活性化されているため、フリップフロップFF0−FF3は、クロックCLKの立ち上がりエッジに同期して出力信号Q0−Q3を順に論理1に変化する(図17(c))。
そして、基板制御信号VBCNTは、出力信号Q0−Q3が全て論理1になったときに、論理0に活性化される(図17(d))。なお、基板制御信号VBCNTが論理0に活性化されるタイミングは、内部電源電圧VDDVが目標電圧VTGに到達するタイミングに一致するように設計される。基板制御信号VBCNTの活性化タイミングは、クロックCLKの周波数およびフリップフロップFF0−FF3の段数のいずれか、または両方を変更することで調整可能である。
このように、タイマTIMR1、TIMR2は、電源オン信号PON1の活性化に応答して時間を計測し、計測時間が、電源オン信号PON1の活性化から内部電源電圧VDDDVが目標電圧VTGを超えるまでの時間を超えたときに基板制御信号VBCNTを活性化する。
以降の動作は、電源オン信号PON1の論理1への非活性化に応答して、イネーブル信号ENが論理0に非活性化され、出力信号Q0−Q3が論理0にリセットされることを除き、図4と同様である。出力信号Q0−Q3のリセットにより、基板制御信号VBCNTは論理1に非活性化される。このように、タイマTIMR1、TIMR2は、基板制御信号VBCNTを論理1に非活性化するために、電源オン信号PON1の非活性化に応答してリセットされる。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、電源オン信号PON1の活性化から所定時間を計測するタイマTIMR1またはTIMR2を用いても、内部電源電圧VDDVが目標電圧VTGを超えたときに、基板電圧VBNを基準電圧VREF1から外部電源線VDDに切り替えできる。
以上の実施形態において説明した発明を整理して、付記として開示する。
(付記1)
基板電圧が供給されるトランジスタを含み、内部電源電圧を受けて動作する内部回路と、
前記内部回路を動作させるための電源オン信号の活性化中に外部電源線を前記内部電源電圧が供給される内部電源線に接続する電源スイッチと、
前記電源オン信号の活性化により上昇する前記内部電源電圧が目標電圧を超えたときに、基板電圧を第1電圧から第2電圧に変更する基板電圧制御回路と
を備え、
前記第1電圧を前記基板電圧として受けている前記トランジスタのソース・ドレイン間電流は、前記第2電圧を前記基板電圧として受けている前記トランジスタのソース・ドレイン間電流より少ないこと
を特徴とする半導体集積回路。
(付記2)
前記電源スイッチは、ソースを前記外部電源線に接続し、ドレインを前記内部電源線に接続し、ゲートで前記電源オン信号を受け、基板で前記基板電圧を受けるトランジスタを含むこと
を特徴とする付記1記載の半導体集積回路。
(付記3)
前記基板電圧制御回路は、
前記内部電源電圧が前記目標電圧より高いときに切り替え信号を活性化し、前記内部電源電圧が前記目標電圧以下のときに前記切り替え信号を非活性化するレベルセンサと、
前記切り替え信号または前記電源オン信号のいずれかが非活性化されているときに前記第1電圧を前記基板電圧として出力し、前記切り替え信号および前記電源オン信号がともに活性化されているときに前記第2電圧を前記基板電圧として出力するセレクタと
を備えていることを特徴とする付記1または付記2記載の半導体集積回路。
(付記4)
前記電源スイッチ、前記内部回路および前記基板電圧制御回路をそれぞれ含み、前記電源オン信号を各々受ける複数の回路ブロックと、
前記回路ブロックに対応して前記目標電圧を設定する設定値を保持し、保持している設定値を設定信号として出力する目標電圧テーブルと
を備え、
前記基板電圧制御回路は、前記設定信号に応じて前記目標電圧を生成する電圧生成部を備えていること
を特徴とする付記1ないし付記3のいずれか1項記載の半導体集積回路。
(付記5)
前記基板電圧制御回路は、
前記電源オン信号の活性化に応答して時間を計測し、計測時間が、前記電源オン信号の活性化から前記内部電源電圧が目標電圧を超えるまでの時間を超えたときに切り替え信号を活性化し、前記電源オン信号の非活性化に応答して前記切り替え信号を非活性化するタイマと、
前記切り替え信号が非活性化されているときに前記第1電圧を前記基板電圧として出力し、前記切り替え信号が活性化されているときに前記第2電圧を前記基板電圧として出力するセレクタと
を備えていることを特徴とする付記1または付記2記載の半導体集積回路。
(付記6)
前記目標電圧は、前記内部回路に形成される前記トランジスタの閾値電圧(絶対値)のうち、最も高い閾値電圧以上であり、前記内部電源電圧より低いこと
を特徴とする付記1ないし付記5のいずれか1項記載の半導体集積回路。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。