JP5486829B2 - ダイシングテープ及びその製造方法、並びに半導体チップの製造方法 - Google Patents

ダイシングテープ及びその製造方法、並びに半導体チップの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体ウェーハをダイシングし、半導体チップを得るのに用いられるダイシングテープ及びその製造方法、並びに該ダイシングテープを用いた半導体チップの製造方法に関する。
従来、半導体ウェーハから半導体チップを切り出して、半導体チップを得るために、ダイシングテープが用いられている。また、半導体チップを基板等にダイボンディングするために、ダイボンディング層としての粘接着剤層を有するダイシングテープが用いられている。この粘接着剤層を有するダイシングテープは、ダイシング−ダイボンディングテープと呼ばれることもある。
下記の特許文献1には、上記ダイシング−ダイボンディングテープの一例が開示されている。図17に示すように、特許文献1に記載のダイシング−ダイボンディングテープ101は、基材シート102と、ダイアタッチフィルム103と、軽剥離フィルム104と、ダイシングフィルム105とがこの順で積層されて構成されている。ダイシングフィルム105は、基材層105aと粘着剤層105bとを有する。
基材シート102及びダイシングフィルム105は、ダイアタッチフィルム103及び軽剥離フィルム104の外周側面よりも側方に張り出している領域を有する。ダイアタッチフィルム103及び軽剥離フィルム104の外周側面よりも側方に張り出している領域において、ダイシングフィルム105が粘着剤層105b側から、基材シート102上に貼り付けられている。
ダイシング−ダイボンディングテープ101を用いて半導体チップをダイシングする際には、基材シート102を剥離して、ダイシングフィルム105の上記張り出している領域の粘着剤層105bと、ダイアタッチフィルム103とを露出させる。
特開2007−149748号公報
従来のダイシング−ダイボンディングテープ101を用いて半導体チップをダイシングする際に、基材シート102をダイシングフィルム105から無理なく剥離できないことがあった。
例えば、図17に示すように、剥離の際に、ダイシングフィルム105の外周縁105cが基材シート102により引き寄せられることがあった。このため、剥離の際の作業性が低下することがあった。また、ダイシングフィルム105の外周縁105cに皺が形成されて、ダイシングフィルム105をダイシングリングに確実に貼り付けることができないことがあった。さらに、ダイシングフィルム105の外周縁105cが、折れ曲がってダイシングフィルム105の内側部分又はダイアタッチフィルム103に貼り付いて、ダイシング−ダイボンディングテープ101が使用できなくなることがあった。
また、図18に示すように、ダイシング−ダイボンディングテープ101の作製の際には、基材シート102上に予め大きなダイシングフィルム105を積層しておき、切断刃106により、ダイシングフィルム105の外周縁を所望の大きさに切断し、除去することがある。切断の際に、切断刃106が粘着剤層105bに接触するため、切断性が低いことがあった。さらに、ダイシングフィルム105の切断の後に、離型層102に僅かな切り込み102aが形成され、切り込み102aに粘接着剤層105bが入り込むことがあった。切り込み102aに入り込んだ粘接着剤層105bにより、基材シート102をダイシングフィルム105から無理なく剥離できないことがあった。
本発明の目的は、離型層を中間層から無理なく剥離でき、従って剥離の際の作業性を高めることができるダイシングテープ及びその製造方法、並びに該ダイシングテープを用いた半導体チップの製造方法を提供することである。
本発明の広い局面によれば、半導体ウェーハをダイシングし、半導体チップを得るのに用いられるダイシングテープであって、中間層と、前記中間層の一方の面側に配置された離型層と、前記中間層の他方の面に積層されたダイシング層とを備え、前記中間層が、前記中間層の少なくとも一部の領域に、粘着性を有する第1の粘着部と、前記第1の粘着部を取り囲む前記中間層の外周縁の領域に、前記第1の粘着部よりも低い粘着性を有する第2の粘着部又は非粘着性を有する第1の非粘着部とを有し、前記離型層と前記中間層の前記第1の粘着部とが貼り付けられており、かつ前記離型層と前記中間層の前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部とが積層されている、ダイシングテープが提供される。
本発明に係るダイシングテープのある特定の局面では、前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部の23℃での貯蔵弾性率は、前記第1の粘着部の23℃での貯蔵弾性率よりも大きい。前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部の23℃での貯蔵弾性率は、3×10Pa以上であることが好ましい。また、前記第1の粘着部の23℃での貯蔵弾性率は、3×10Pa未満であることが好ましい。
本発明に係るダイシングテープの別の特定の局面では、前記中間層は、活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型の組成物に活性エネルギー線を照射又は熱を付与することにより形成されており、前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部の架橋密度は、前記第1の粘着部の架橋密度よりも高い。前記組成物は、活性エネルギー線硬化型の組成物であることが好ましい。
本発明に係るダイシングテープの他の特定の局面では、前記中間層は、前記中間層の中央の領域に、非粘着性を有する第2の非粘着部と、前記第2の非粘着部を取り囲む前記中間層の外側部分の領域に、前記第1の粘着部と、前記第1の粘着部を取り囲む前記中間層の外周縁の領域に、前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部とを有する。
本発明に係るダイシングテープのさらに他の特定の局面では、前記中間層は、前記中間層の中央の領域に、前記第1の粘着部と、前記第1の粘着部を取り囲む外周縁の領域に、前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部とを有する。
本発明に係るダイシングテープのさらに他の特定の局面では、前記離型層と前記中間層との間に配置された粘接着剤層をさらに備え、前記離型層、前記中間層及び前記ダイシング層が、前記粘接着剤層の外周側面よりも側方に張り出している領域を有し、前記中間層が、前記張り出している領域に前記第1の粘着部を有し、前記粘接着剤層の外周側面よりも側方に張り出している領域において、前記離型層と前記中間層の前記第1の粘着部とが貼り付けられており、前記離型層と前記中間層とにより前記粘接着剤層が覆われている。
上記粘接着剤層は、ダイボンディング層として用いられる部分である。すなわち、粘接着剤層は、半導体チップのピックアップの際に、半導体チップとともに取り出される部分である。
本発明に係るダイシングテープの別の特定の局面では、前記離型層と前記中間層との間に配置された基材層と粘接着剤層とをさらに備え、前記基材層が非粘着性を有し、前記基材層が前記中間層側に、かつ前記粘接着剤層が前記離型層側に配置されており、前記離型層、前記中間層及び前記ダイシング層が、前記基材層及び前記粘接着剤層の外周側面よりも側方に張り出している領域を有し、前記中間層が、前記張り出している領域に前記第1の粘着部を有し、前記基材層及び前記粘接着剤層の外周側面よりも側方に張り出している領域において、前記離型層と前記中間層の前記第1の粘着部とが貼り付けられており、前記離型層と前記中間層とにより前記基材層及び前記粘接着剤層が覆われている。
本発明に係るダイシングテープのさらに別の特定の局面では、前記離型層と前記中間層との間に配置されており、かつ非粘着性を有する基材層をさらに備え、前記離型層、前記中間層及び前記ダイシング層が、前記基材層の外周側面よりも側方に張り出している領域を有し、前記中間層が、前記張り出している領域に前記第1の粘着部を有し、前記基材層の外周側面よりも側方に張り出している領域において、前記離型層と前記中間層の前記第1の粘着部とが貼り付けられており、前記離型層と前記中間層とにより前記基材層が覆われている。
本発明に係る半導体チップの製造方法は、本発明に従って構成されたダイシングテープの前記離型層を剥離して、前記中間層を露出させる工程と、前記離型層を剥離しながら、又は前記離型層を剥離した後に、露出した前記中間層に半導体ウェーハを積層し、かつ前記中間層の前記第1の粘着部にダイシングリングを貼り付ける工程と、前記半導体ウェーハをダイシングし、個々の半導体チップに分割する工程と、ダイシングの後に、前記半導体チップを剥離して、取り出す工程とを備える。
また、本発明に係る他の半導体チップの製造方法は、本発明に従って構成されたダイシングテープの前記離型層を剥離して、前記中間層の前記張り出している領域と、前記粘接着剤層とを露出させる工程と、前記離型層を剥離しながら、又は前記離型層を剥離した後に、露出した前記粘接着剤層に半導体ウェーハを積層し、かつ前記中間層の前記第1の粘着部にダイシングリングを貼り付ける工程と、前記半導体ウェーハを前記粘接着剤層ごとダイシングし、個々の半導体チップに分割する工程と、ダイシングの後に、前記半導体チップが貼り付けられた前記粘接着剤層を剥離して、半導体チップを前記粘接着剤層ごと取り出す工程とを備える。
さらに、本発明に係る別の半導体チップの製造方法は、本発明に従って構成されたダイシングテープの前記離型層を剥離して、前記中間層の前記張り出している領域と、前記基材層とを露出させる工程と、前記離型層を剥離しながら、又は前記離型層を剥離した後に、露出した前記基材層に半導体ウェーハを積層し、かつ前記中間層の前記第1の粘着部にダイシングリングを貼り付ける工程と、前記半導体ウェーハをダイシングし、個々の半導体チップに分割する工程と、ダイシングの後に、分割された前記半導体チップを剥離して、取り出す工程とを備える。
また、本発明によれば、前記中間層を形成するための粘着性を有する活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型の組成物層の、前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部を形成する部分に、活性エネルギー線を照射又は熱を付与することにより、少なくとも一部の領域に粘着性を有する第1の粘着部を有し、かつ、前記第1の粘着部を取り囲む外周縁の領域に前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部を有する前記中間層を得る工程と、前記中間層を得る工程の前又は後に、前記組成物層又は前記中間層の一方の面側に前記離型層を配置し、かつ前記組成物層又は前記中間層の他方の面に前記ダイシング層を積層する工程とを備える、ダイシングテープの製造方法が提供される。
本発明に係るダイシングテープの製造方法のある特定の局面では、前記第1の粘着部を形成する部分の前記組成物層に、活性エネルギー線を照射及び熱を付与しないか、又は前記第1の粘着部を形成する部分の前記組成物層に、活性エネルギー線を照射又は熱を付与し、かつ、前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部を形成する部分の前記組成物層に、前記第1の粘着部を形成する部分の前記組成物層よりも活性エネルギー線の照射量又は熱量が多くなるように、活性エネルギー線を照射又は熱を付与する。
本発明に係るダイシングテープの製造方法の他の特定の局面では、前記離型層を配置する際に、前記離型層と前記中間層との間に、基材層及び粘接着剤層の内の少なくとも一方を配置する。
本発明に係るダイシングテープは、離型層と中間層とダイシング層とを備え、離型層と中間層の第1の粘着部とが貼り付けられており、第1の粘着部を取り囲む中間層の外周縁の領域に、中間層が、第1の粘着部よりも低い粘着性を有する第2の粘着部又は非粘着性を有する第1の非粘着部を有するので、離型層を中間層から無理なく剥離できる。特に、中間層の外周縁から離型層を剥離しやすい。従って、半導体チップの製造の際の作業性を高めることができる。
さらに、離型層を中間層から剥離した後に、中間層に皺が生じ難い。また、中間層の外周縁が、折れ曲がって中間層の内側部分に貼り付き難い。
本発明に係る半導体チップの製造方法では、離型層を中間層から容易に剥離できるので、半導体チップを得る際の作業性を高めることができる。
また、本発明に係るダイシングテープの製造方法では、第2の粘着部又は第1の非粘着部を形成する部分に、活性エネルギー線を照射又は熱を付与するので、第1の粘着部を取り囲む中間層の外周縁の領域に、第1の粘着部よりも低い粘着性を有する第2の粘着部又は非粘着性を有する第1の非粘着部を有する中間層を形成できる。従って、ダイシングテープの使用の際に、離型層を中間層から無理なく剥離できる。
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係るダイシングテープを示す部分切欠正面断面図及び部分切欠平面図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係るダイシングテープの作製の際に、中間層及びダイシング層を切断するときの状態を示す部分切欠正面断面図である。 図3は、半導体チップの製造に用いられる半導体ウェーハを示す平面図である。 図4は、本発明の第1の実施形態に係るダイシングテープを用いて半導体チップを製造する方法の一例を説明するための図であり、半導体ウェーハがステージ上に置かれた状態を示す正面断面図である。 図5は、本発明の第1の実施形態に係るダイシングテープの離型層を中間層の粘着部から剥離するときの状態を示す正面断面図である。 図6は、本発明の第1の実施形態に係るダイシングテープの離型層が中間層及び粘接着剤層から剥離された後の状態を示す正面断面図である。 図7は、本発明の第1の実施形態に係るダイシングテープを用いて、粘接着剤層に半導体ウェーハを貼り付けた状態を示す正面断面図である。 図8は、本発明の第1の実施形態に係るダイシングテープを用いて、粘接着剤層に貼り付けられた半導体ウェーハをダイシングし、個々の半導体チップに分割した状態を示す正面断面図である。 図9は、本発明の第2の実施形態に係るダイシングテープを示す部分切欠正面断面図である。 図10は、本発明の第3の実施形態に係るダイシングテープを示す部分切欠正面断面図である。 図11は、本発明の第4の実施形態に係るダイシングテープを示す部分切欠正面断面図である。 図12は、本発明の第4の実施形態に係るダイシングテープを用いて、半導体ウェーハを半導体チップに分割した状態を示す正面断面図である。 図13は、本発明の第5の実施形態に係るダイシングテープを示す部分切欠正面断面図である。 図14は、本発明の第5の実施形態に係るダイシングテープを用いて、半導体ウェーハを半導体チップに分割した状態を示す正面断面図である。 図15は、本発明の第6の実施形態に係るダイシングテープを示す部分切欠正面断面図である。 図16は、本発明の第6の実施形態に係るダイシングテープを用いて、半導体ウェーハを半導体チップに分割した状態を示す正面断面図である。 図17は、従来のダイシング−ダイボンディングテープの離型層を剥離するときの状態を示す部分切欠正面断面図である。 図18は、従来のダイシング−ダイボンディングテープの作製の際に、ダイシングフィルムを切断するときの状態を示す部分切欠正面断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
(第1の実施形態)
図1(a)及び(b)に、本発明の第1の実施形態に係るダイシングテープを部分切欠正面断面図及び部分切欠平面図で示す。
図1(a)及び(b)に示すように、ダイシングテープ1は、離型層2と、粘接着剤層3と、中間層4と、ダイシング層5とを備える。中間層4の一方の面4aに、粘接着剤層3が積層されており、中間層4の一方の面4aとは反対側の他方の面4bに、ダイシング層5が積層されている。離型層2は、中間層4の一方の面4a側に配置されている。
粘接着剤層3の中間層4が貼り付けられた面とは反対側の表面3aに、離型層2が積層され、貼り付けられている。粘接着剤層3は、半導体チップのダイボンディングに用いられる層である。粘接着剤層3の離型層2が貼り付けられた表面3aは、半導体ウェーハが貼り付けられる面である。ダイシングテープ1は、粘接着剤層3を備えるので、ダイシング−ダイボンディングテープである。本明細書では、粘接着剤層を備えていないダイシングテープだけでなく、粘接着剤層を備えているダイシング−ダイボンディングテープも、ダイシングテープと呼ぶ。
粘接着剤層3、中間層4及びダイシング層5の平面形状は、円形である。中間層4の外周側面は、粘接着剤層3により覆われていない。平面視において、粘接着剤層3は、離型層2、中間層4及びダイシング層5よりも小さい。平面視において、ダイシング層5の大きさは、中間層4の大きさとほぼ等しい。
離型層2の形状は長尺状である。平面視において、離型層2は、中間層4及びダイシング層5よりも大きい。離型層2は、中間層4及びダイシング層5の外周側面よりも側方に張り出している領域を有する。
粘接着剤層3は離型層2及び中間層4よりも小さいので、粘接着剤層3は、離型層2と中間層4との間の一部の領域に配置されている。従って、離型層2は、中間層4に間接に積層された部分を有する。中間層4は、中間層4の中央の領域に、非粘着性を有する第2の非粘着部4Aを有する。中間層4の非粘着部4Aに、粘接着剤層3が積層されている。中間層4の第2の非粘着部4Aは、粘接着剤層3の半導体ウェーハが貼り付けられる位置に対応する部分である。
「非粘着性」には、表面が粘着性を有しない場合だけでなく、表面を指で触ったときにくっつかない程度の粘着性を有する場合も含まれる。具体的には、「非粘着」とは、中間層4の非粘着部4Aをステンレス板に貼り付けて、23℃及び300mm/分の剥離速度で、非粘着部4Aをステンレス板から剥離したときに、粘着力が5g/25mm幅以下であることを意味する。
離型層2、中間層4及びダイシング層5は、粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域を有する。該張り出している領域は、中間層4の中央領域を取り囲む中間層4の外側部分の領域である。中間層4の外側部分の領域に、中間層4は、粘着性を有する第1の粘着部4Bを有する。粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域において、離型層2と中間層4の粘着部4Bとが貼り付けられている。従って、離型層2は、中間層4に直接に積層された部分を有する。離型層2と中間層4とにより、粘接着剤層3が覆われている。
このように、中間層4が粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域の少なくとも一部の領域に、中間層4が粘着性を有する粘着部4Bを有することにより、ダイシングの際に、中間層4の粘着部4Bに、ダイシングリングを容易に貼り付けることができる。
また、粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域に、中間層4は第1の非粘着部4Cを有する。すなわち、第1の粘着部4Bを取り囲む中間層4の外周縁の領域に、中間層4は非粘着部4Cを有する。従って、平面視において、中間層4は、中心部から端部にかけて、第2の非粘着部4Aと、第1の粘着部4Bと、第1の非粘着部4Cとを有する。中間層4の外周側面は第1の非粘着部4Cである。このため、中間層の外周側面は非粘着性を有する。
なお、第1の非粘着部4C又は第2の粘着部は、第1の粘着部4Bを取り囲む中間層4の外周縁の領域の一部に設けられていればよく、中間膜4の外周縁の領域の全体に設けられていなくてもよい。すなわち、中間層の外周縁から離型層を剥離する際に、剥離起点となる部分に、第1の非粘着部4C又は第2の粘着部が設けられていればよい。
第1の粘着部4Bは粘着性を有し、かつ第1の非粘着部4Cは非粘着性を有するので、非粘着部4Cの粘着力は、粘着部4Bの粘着力よりも低い。
中間層にダイシングリングを貼り付けるためには、中間層はある程度の粘着力を有する必要がある。しかし、中間層の粘着力が高いと、離型層2の剥離性が低下する。
本願発明者らは、特に、中間層4の外周縁の領域の粘着力を低くすることにより、離型層2の中間層4からの剥離性を高めることができることを見出した。すなわち、本実施形態の主な特徴は、中間層が、中間層の少なくとも一部の領域に、粘着性を有する第1の粘着部と、第1の粘着部を取り囲む中間層の外周縁の領域に、第1の粘着部よりも低い粘着性を有する第2の粘着部又は非粘着性を有する第1の非粘着部とを有することにある。例えば、離型層2の剥離の際には、中間層4及びダイシング層5の外周縁を突き出させる。このとき、中間層4の外周縁の領域が非粘着性を有する非粘着部4Cであるため、離型層2を中間層4から無理なく剥離できる。従って、離型層2の剥離の際の作業性を高めることができ、従って半導体チップの製造効率を高めることができる。さらに、離型層2を中間層4から剥離した後に、中間層4に皺が生じ難い。また、中間層4の外周縁が、折れ曲がって中間層4の内側部分又は粘接着剤層3に貼り付き難い。
ところで、図2に示すように、ダイシングテープ1の作製の際には、離型層2の上面2aに予め大きな中間層4及びダイシング層5を積層しておき、切断刃11により、中間層4及びダイシング層5の外周縁を所望の大きさに切断し、除去することがある。また、中間層4及びダイシング層5の切断の後に、離型層2に僅かな切り込み2bが形成されることがある。このとき、中間層の外周縁の領域が比較的高い粘着性を有する粘着部であると、切断刃11に粘着部が付着して切断性が低下したり、離型層2の切り込み2aに中間層の粘着部が入り込んで、離型層2の中間層からの剥離性が低下したりすることがある。これに対し、図2に示すように、切断部分に第2の粘着部又は第1の非粘着部を設けることにより、切断刃11による切断性を高めることができる。さらに、切り込み2aに中間層の第2の粘着部又は第1の非粘着部が入り込みにくく、また切り込み2aに中間層の第2の粘着部又は第1の非粘着部が入り込んだとしても、離型層2の剥離性が悪影響を受け難い。このため、離型層2を中間層4から無理なく剥離でき、半導体チップの製造効率を高めることができる。
中間層の第2の粘着部又は第1の非粘着部の23℃での貯蔵弾性率は、第1の粘着部の貯蔵弾性率よりも大きいことが好ましい。この場合には、離型層2を中間層4からより一層無理なく剥離できる。
中間層の第2の粘着部又は第1の非粘着部の23℃での貯蔵弾性率は、3×10Pa以上であることが好ましい。第2の粘着部又は第1の非粘着部の上記貯蔵弾性率のより好ましい下限は4×10Paであり、好ましい上限は6×10Paである。第2の粘着部又は第1の非粘着部の上記貯蔵弾性率が3×10Pa以上である場合には、離型層2を中間層からさらに一層無理なく剥離できる。
中間層の第1の粘着部の23℃での貯蔵弾性率は、3×10Pa未満であることが好ましい。第1の粘着部の上記貯蔵弾性率のより好ましい下限は8×10Paであり、さらに好ましい下限は1×10Paであり、より好ましい上限は2×10Paであり、さらに好ましい上限は8×10Paである。ただし第1の粘着部の上記貯蔵弾性率は、8×10Pa未満であってもよい。
上記貯蔵弾性率は、例えば、アイティ計測社製「DVA−200」を用いて、10Hz及び歪み0.1%の条件で測定できる。
中間層4の非粘着部4Aと粘着部4Bと非粘着部4Cとは一体的に形成されている。中間層4は、例えば、活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型の粘着性を有する組成物を用いて形成できる。活性エネルギー線硬化型の組成物の場合には、組成物に対する活性エネルギー線の照射量を部分的に調整することにより、中間層4の粘着性を部分的に異ならせることができる。なお、組成物は後述する。
中間層4の中央の領域すなわち非粘着部4Aは、粘着性を有する粘着部であってもよい。この場合に、中間層の中央の領域の粘着力は、粘着部4Bの粘着力と同一であってもよく、異なっていてもよい。ただし、粘接着剤層3付き半導体チップを中間層4からより一層容易に剥離できるので、中間層4は、中間層4の中央の領域に、非粘着性を有する非粘着部4Aを有することが好ましい。
図1(b)に示すように、長尺状の離型層2の上面2aに、粘接着剤層3、中間層4及びダイシング層5を有する複数の積層体が等間隔に配置されている。また、離型層2の上面2aに保護シート6,7が設けられている。なお、保護シート6,7は設けられていなくてもよい。また、離型層2、粘接着剤層3、中間層4及びダイシング層5の厚み及び形状は特に限定されない。
(第1の実施形態に係るダイシングテープを用いた半導体チップの製造方法)
次に、図3〜図8を用いて、上述した本発明の第1の実施形態に係るダイシングテープ1を用いた場合の半導体チップの製造方法の一例を、以下説明する。
先ず、ダイシングテープ1と、半導体ウェーハ21とを用意する。
図3に示すように、半導体ウェーハ21の平面形状は円形である。半導体ウェーハ21の表面21aには、ストリートによってマトリックス状に区画された各領域に、個々の半導体チップを構成するための回路が形成されている。
半導体ウェーハ21の厚みは、30μm以上であることが好ましい。半導体ウェーハ21の厚みが薄いと、研削時又はハンドリング時に、クラック等が発生し、半導体チップが破損することがある。
図4に示すように、半導体ウェーハ21を裏返して、裏返された半導体ウェーハ21をステージ22上に載せる。すなわち、半導体ウェーハ21を表面21a側からステージ22上に載せる。ステージ22上には、半導体ウェーハ21の外周側面21cから一定間隔を隔てられた位置に、円環状のダイシングリング23が設けられている。
また、図5に示すように、ダイシングテープ1の離型層2を剥離する。離型層2の剥離の際には、一般的には、中間層4の外周縁すなわち非粘着部4C部分から、離型層2を剥離する。例えば、中間層4の外周縁近傍の離型層2を折り曲げたり、離型層2の中間層4が積層された面とは反対側の面側から、ピンにより中間層4の非粘着部4Cを突き上げたりすることにより、離型層2を剥離できる。図6に示すように、離型層2を剥離すると、粘接着剤層3の表面3aと、中間層4の張り出している外側部分の領域すなわち粘着部4B及び非粘着部4Cとが露出される。
次に、図7に示すように、ダイシングテープ1の離型層2を剥離しながら、又は離型層2を剥離した後に、露出した粘接着剤層3の表面3aを、半導体ウェーハ21の裏面21bに貼り付ける。粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域に、中間層4は粘着性を有する粘着部4Bを有する。ダイシングテープ1の離型層2を剥離しながら、又は離型層2を剥離した後に、露出した中間層4の粘着部4Bを、ダイシングリング23に貼り付ける。
平面視において、半導体ウェーハ21は、粘接着剤層3よりも小さいことが好ましい。半導体ウェーハ21と粘接着剤層3との大きさが上記好ましい関係を満たすと、半導体ウェーハ21の貼り合わせが容易となり、作業性をより一層高めることができる。
平面視において、粘接着剤層3は非粘着部4Aよりも小さいことが好ましい。粘接着剤層3と非粘着部4Aとの大きさが上記好ましい関係を満たすと、ダイシングに使用される切断刃が粘着部4Bに触れることがない。このため、粘着部4Bがダイシングブレードに付着し、ダイシングブレードが汚染されることがない。従って、ダイシングとピックアップとの作業効率をより一層高めることができる。
次に、粘接着剤層3が貼り付けられた半導体ウェーハ21をステージ22から取り出して、裏返す。このとき、ダイシングリング23が中間層4の粘着部4Bに貼り付けられた状態で取り出される。
図8に示すように、取り出した半導体ウェーハ21を表面21aが上方になるように裏返して、別のステージ24上に載せる。次に、図8に矢印Xを付して示すように、半導体ウェーハ21を粘接着剤層3ごとダイシングし、個々の半導体チップに分割する。半導体ウェーハ21及び粘接着剤層3をそれぞれ、両面を貫通するように切断する。切断の後に、粘接着剤層3及び中間層4に切断面31が形成される。
ダイシングは、半導体ウェーハ21及び粘接着剤層3を貫通するように行われれば特に限定されない。例えば、粘接着剤層3と中間層4との界面よりも深い位置に至るようにダイシングブレードを挿入し、中間層4に切り込みを形成してもよい。
半導体ウェーハ21をダイシングする方法としては、ダイシングブレードを用いる方法、又はレーザーダイシングする方法等が挙げられる。
中間層4の非粘着部4Aが、例えば硬化されている場合には、非粘着部4Aがレーザー光の照射により反応し難い。このため、中間層4が粘接着剤層3に融着し難い。従って、レーザー光を用いたダイシングを行った場合でも、半導体チップのピックアップを無理なく行うことができる。
半導体ウェーハをダイシングし、個々の半導体チップに分割した後、ダイシング層5を引き延ばして、分割された個々の半導体チップ間の間隔を拡張する。その後、半導体チップが貼り付けられた粘接着剤層3を中間層4から剥離して、取り出す。このようにして、粘接着剤層3付き半導体チップを得ることができる。
(中間層4の詳細)
中間層4は、アクリル系ポリマーを含む組成物により形成されていることが好ましい。組成物は、粘着性を有することが好ましい。組成物は、粘着剤組成物であることが好ましい。組成物としては、熱硬化型又は活性エネルギー線硬化型の組成物が挙げられる。中間層4の粘着力をより一層容易に制御できるので、組成物は、活性エネルギー線硬化型の組成物であることが好ましい。
中間層4は、アクリル系ポリマーを含む組成物を架橋させた架橋体により形成されていることが好ましい。この場合には、ダイシングの際の切削性をより一層高くすることができる。
上記組成物中の樹脂分の合計100重量%中、上記アクリル系ポリマーの含有量は50重量%以上であることが好ましい。アクリル系ポリマーを含む組成物により形成された中間層は、ポリオレフィン系樹脂により形成された層等と比べて、柔らかい。このため、ダイシングの際の切削性をより一層高くすることができる。
上記アクリル系ポリマーは特に限定されない。上記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーであることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーとして、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーが好適に用いられる。炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーの使用により、中間層4の極性を充分に低くすることができ、中間層4の表面エネルギーを低くすることができ、かつ粘接着剤層3の中間層4からの剥離性を高くすることができる。上記アルキル基の炭素数が18を超えると、中間層4の製造が困難になることがある。上記アルキル基の炭素数は、6以上であることが好ましい。この場合には、中間層4の極性をより一層低くすることができる。上記「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸又はアクリル酸を意味する。
上記アクリル系ポリマーは、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを主モノマーとして用いて得られたポリマーであることが好ましい。上記アクリル系ポリマーは、上記主モノマーと、官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法により共重合させて得られた(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーであることがより好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーのアルキル基の炭素数は2以上であることが好ましく、6以上であることが特に好ましい。上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は20万〜200万程度である。
上記他の改質用モノマーは特に限定されない。上記他の改質用モノマーは、カルボキシル基を有するモノマーではないことが好ましい。カルボキシル基を有するモノマーが用いられた場合、中間層4の極性が高くなる。この結果、ピックアップ性が低下することがある。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは特に限定されない。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、炭素数1〜18のアルキル基を有する一級又は二級のアルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得られた(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル又は(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記官能基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル又は(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー等が挙げられる。
上記アクリル系ポリマーは、反応性二重結合を有する硬化型アクリル系ポリマーであることが好ましい。この場合には、該硬化型アクリル系ポリマーを含む組成物を架橋させた架橋体の架橋密度を高くすることができる。上記硬化型アクリル系ポリマーとして、反応性二重結合を側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有する硬化型アクリル系ポリマー等が挙げられる。
上記アクリル系ポリマーに反応性二重結合を導入する方法は、特に制限されない。分子設計が容易であるため、上記反応性二重結合は、側鎖に導入されていることが好ましい。例えば、アクリル系ポリマーに官能基含有モノマーが共重合された官能基含有アクリル系ポリマーを用意した後に、この官能基(以下、官能基Aともいう)と反応し得る官能基(以下、官能基Bともいう)、及び反応性二重結合の両方を有する化合物(以下、化合物Cともいう)を、反応性二重結合が残存するように、上記官能基含有アクリル系ポリマーに縮合反応又は付加反応によって導入する方法が挙げられる。
上記官能基Aと官能基Bとの組合せの例としては、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジル基、又は水酸基とイソシアネート基等の組合せが挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも、反応を容易に制御できるため、水酸基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせでは、どの官能基を上記官能基含有アクリル系ポリマーが含有していてもよく、またどの官能基を上記化合物Cが含有していてもよい。水酸基を有する官能基含有アクリル系ポリマーと、イソシアネート基を有する上記化合物の組合せが好ましい。
上記イソシアネート基及び反応性二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、又はm−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
上記組成物は、アクリル基と反応可能な二重結合を有し、かつ重量平均分子量が500〜50,000の範囲内にあるオリゴマーをさらに含んでいてもよい。
上記組成物は、紫外線吸収材を含んでいてもよい。また、組成物は、活性エネルギー線反応開始剤及び熱反応開始剤の内の少なくとも一方を含むことが好ましく、活性エネルギー線反応開始剤を含むことがより好ましい。活性エネルギー線反応開始剤は、光反応開始剤であることが好ましい。
上記活性エネルギー線には、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、X線、赤外線及び可視光線が含まれる。これらの活性エネルギー線のなかでも、硬化性に優れ、かつ硬化物が劣化し難いため、紫外線又は電子線が好ましい。
上記光反応開始剤は特に限定されない。上記光反応開始剤として、例えば、光ラジカル発生剤又は光カチオン発生剤等を使用できる。また、上記熱反応開始剤は特に限定されない。上記熱反応開始剤としては、熱ラジカル発生剤等が挙げられる。
上記光ラジカル発生剤は特に限定されない。上記光ラジカル発生剤の市販品としては、例えば、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア819、イルガキュア651、イルガキュア369及びイルガキュア379(以上、いずれもチバ・スペシャリティーケミカルズ社製)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、並びにルシリンTPO(BASF Japan社製)等が挙げられる。
上記光カチオン発生剤として、オニウム塩類又は有機金属錯体類を使用できる。上記オニウム塩類としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩又は芳香族スルホニウム塩等が挙げられる。上記有機金属錯体類としては、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体又はアリールシラノール−アルミニウム錯体等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤としては、有機過酸化物又はアゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート又はt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)又はジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。
上記組成物には、粘着力を制御するためにイソシアネート系架橋剤を添加してもよい。イソシアネート系架橋剤は特に限定されない。イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンイソシアネート、イソプロピリデンビスシクロヘキシルジイソシアネート又はトリジンジイソシアネート等のイソシアネートモノマー等が挙げられる。これらイソシアネートモノマーの二量体、三量体及び付加体を用いてもよい。上記付加体の市販品としては、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030及びミリオネートMR(以上、いずれも日本ポリウレタン工業社製)等が挙げられる。
中間層4の厚みは特に限定されない。中間層4の厚みは、1〜100μmの範囲内にあることが好ましい。中間層4の厚みのより好ましい下限は5μmであり、より好ましい上限は60μmである。中間層4の厚みが薄すぎると、エクスパンド性が不足することがある。中間層4の厚みが厚すぎると、厚みが不均一になり、ダイシングを適切に行えないことがある。
中間層4は、例えば上記組成物を用いて、以下のようにして得られる。
中間層4を形成するための粘着性を有する組成物層を、例えば離型層上に形成する。次に、部分的に、活性エネルギー線の照射及び熱の付与の内の少なくとも一つの処理を行う。または、部分的に、活性エネルギー線の照射量又は熱量を異ならせる。活性エネルギー線硬化もしくは熱硬化により、又は活性エネルギー線硬化及び熱硬化により、組成物層を部分的に硬化(架橋)させる。
例えば、第2の粘着部又は第1の非粘着部を形成する部分に、活性エネルギー線を照射又は熱を付与する。また、第2の非粘着部を形成する部分に、活性エネルギー線を照射又は熱を付与する。
活性エネルギー線の照射又は熱の付与により、中間層4の中心部から端部にかけて、第2の非粘着部4Aと第1の粘着部4Bと第1の非粘着部4Cとを有する中間層4を得ることができる。
中間層4を得る前又は後に、組成物層又は中間層4の一方の面側に離型層2を配置し、かつ組成物層又は中間層4の他方の面4bにダイシング層5を積層することにより、ダイシングテープを得ることができる。なお、離型層2を配置する際に、離型層2と中間層4との間に、基材層及び粘接着剤層の内の少なくとも一方をさらに配置してもよい。
なお、第1の粘着部4Bを形成する部分の組成物層に、活性エネルギー線を照射及び熱を付与しないか、又は第1の粘着部4Bを形成する部分の組成物層に、活性エネルギー線を照射又は熱を付与し、かつ、第2の粘着部又は第1の非粘着部4Cを形成する部分の組成物層に、第1の粘着部4Bを形成する部分の組成物層よりも活性エネルギー線の照射量又は熱量が多くなるように、活性エネルギー線を照射又は熱を付与することが好ましい。このように活性エネルギー線の照射量又は熱量を部分的に異ならせることにより、第1の粘着部と第2の粘着部又は第1の非粘着部とを有する中間層をより一層容易に得ることができる。
活性エネルギー線硬化を用いることが好ましく、光硬化を用いることが特に好ましい。従って、活性エネルギー線硬化型の組成物が好ましく、光硬化型の組成物がより好ましい。活性エネルギー線硬化又は光硬化の場合には、第2の非粘着部4A及び第1の非粘着部4Cを所望の位置により一層容易に形成できる。
第2の非粘着部4Aの架橋密度は、第1の粘着部4Bの架橋密度よりも高いことが好ましい。また、第1の非粘着部4C又は第2の粘着部の架橋密度は、第1の粘着部4Bの架橋密度よりも高いことが好ましい。中間層4の形成の際に、例えば、活性エネルギー線硬化型の組成物に対する活性エネルギー線の照射量を大きくすることにより、架橋密度を高くすることができる。
(ダイシング層5の詳細)
ダイシング層5は特に限定されない。ダイシング層5を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂などのプラスチック樹脂等が挙げられる。
ダイシング層5の厚みは特に限定されない。ダイシング層5の厚みは、10〜200μmの範囲内にあることが好ましい。ダイシング層5の厚みのより好ましい下限は60μmであり、より好ましい上限は150μmである。ダイシング層5の厚みが上記範囲内にあると、離型層2の剥離性及びダイシング層5のエクスパンド性をより一層高くすることができる。
(離型層2の詳細)
離型層2を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂などのプラスチック樹脂等が挙げられる。
離型層2の厚みは特に限定されない。離型層2の厚みは、10〜100μmの範囲内にあることが好ましい。離型層2の厚みのより好ましい下限は25μmであり、より好ましい上限は50μmである。離型層2の厚みが上記範囲内にあると、離型層2の取扱い性又は剥離性をより一層高くすることができる。
(粘接着剤層3の詳細)
粘接着剤層3は、半導体チップを基板又は他の半導体チップ等に接合するために用いられる。粘接着剤層3は、ダイシングの際に、半導体ウェーハごと切断される。
粘接着剤層3は、例えば適宜の硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物、又は熱可塑性樹脂等により形成される。硬化前の上記硬化性樹脂組成物は柔らかいので、外力により容易に変形する。粘接着剤層3付き半導体チップを得た後に、得られた粘接着剤層3付き半導体チップを粘接着剤層3側から基板等の被着体に積層する。その後、熱又は光のエネルギーを与えて、粘接着剤層3を硬化させることにより、粘接着剤層3を介して、被着体に半導体チップを強固に接合させることができる。上記硬化性樹脂にかえて、熱可塑性樹脂を用いてもよい。
上記硬化性樹脂は特に限定されない。上記硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂は特に限定されない。上記熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂又はポリウレタン樹脂等が挙げられる。上記光硬化性樹脂は特に限定されない。上記光硬化性樹脂としては、例えば感光性オニウム塩等の光カチオン触媒により重合するエポキシ樹脂、又は感光性ビニル基を有するアクリル樹脂等が挙げられる。また、上記硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル酸メチル又はホットメルト型接着樹脂が好適に用いられる。上記ホットメルト型接着樹脂としては、アクリル酸ブチル等を主なモノマー単位とするポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ樹脂は特に限定されない。上記エポキシ樹脂は、多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂であることが好ましい。上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂は特に限定されない。上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエンジオキシド、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、又は3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボネート等が挙げられる。
上記硬化性樹脂とともに、上記エポキシ基と反応する官能基を有する高分子ポリマーを用いてもよい。上記エポキシ基を有する高分子ポリマーとしては、例えば、エポキシ基含有アクリルゴム、エポキシ基含有ブタジエンゴム、ビスフェノール型高分子量エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有ウレタン樹脂又はエポキシ基含有ポリエステル樹脂等が挙げられる。上記エポキシ基を有する高分子ポリマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化性樹脂組成物を硬化させるために、硬化剤が用いられる。硬化剤は特に限定されない。上記硬化剤としては、例えば、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等の加熱硬化型酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤もしくはジシアンジアミド等の潜在性硬化剤、又はカチオン系触媒型硬化剤等が挙げられる。上記硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、硬化速度又は硬化物の物性等を調整するために、上記硬化剤と、硬化促進剤とを併用してもよい。
粘接着剤層3の厚みは特に限定されない。粘接着剤層3の厚みは、1〜100μmの範囲内にあることが好ましい。粘接着剤層3の厚みのより好ましい下限は3μmであり、より好ましい上限は60μmである。粘接着剤層3の厚み上記範囲内にあると、粘接着剤層3を介して半導体チップを基板上により一層容易に貼り付けることができ、又は半導体装置の薄型化に対応できる。
(第2の実施形態)
図9に、本発明の第2の実施形態に係るダイシングテープを部分切欠正面断面図で示す。図9に示すダイシングテープ51は、中間層が異なること以外は、ダイシングテープ1と同様に構成されている。ダイシングテープ51は、ダイシング−ダイボンディングテープである。ダイシングテープ1と同様に構成されているところは同一の符号を付してその説明を省略する。
ダイシングテープ51は、中間層52を備える。粘接着剤層3に貼り付けられている中間層52の中央の領域に、中間層52は、非粘着性を有する第2の非粘着部52Aを有する。中間層52は、粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域を有する。粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域であって、かつ非粘着部52Aを取り囲む中間層52の外側部分の領域に、中間層52は、粘着性を有する第1の粘着部52Bを有する。粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域であって、かつ第1の粘着部52Bを取り囲む中間層52の外周縁の領域に、中間層52は、第1の粘着部52Bよりも低い粘着性を有する第2の粘着部52Cを有する。粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域において、離型層2と中間層52の粘着部52Bとが貼り付けられている。離型層2と中間層52とにより粘接着剤層3が覆われている。平面視において中間層52は、中心部から端部にかけて、第2の非粘着部52Aと、第1の粘着部52Bと、第2の粘着部52Cとを有する。
第2の粘着部52Cの23℃での貯蔵弾性率は、第1の粘着部52Bの23℃での貯蔵弾性率よりも大きいことが好ましい。また、第2の粘着部52Cの架橋密度は、第1の粘着部52Bの架橋密度よりも高いことが好ましい。これらの場合には、離型層2を中間層52からより一層無理なく剥離できる。
中間層52は、中間層4を構成する材料により形成できる。例えば、活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型の組成物を用いて、粘着部52Aと粘着部52B,52Cとを形成するために、組成物に付与する活性エネルギー線の照射量又は熱量を部分的に異ならせればよい。
(第3の実施形態)
図10に、本発明の第3の実施形態に係るダイシングテープを部分切欠正面断面図で示す。図10に示すダイシングテープ61は、中間層が異なること以外は、ダイシングテープ1と同様に構成されている。ダイシングテープ61は、ダイシング−ダイボンディングテープである。
ダイシングテープ61は、中間層62を備える。中央の領域に中間層62は、粘着性を有する第1の粘着部62Aを有する。中間層62は、粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域を有する。第1の粘着部62Aは、粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域に至っている。また、第1の粘着部62Aを取り囲む中間層62の外周縁の領域に、中間層62は第1の非粘着部62Bを有する。
第1の非粘着部62にかえて、第1の粘着部62Aよりも低い粘着性を有する第2の粘着部が設けられていてもよい。すなわち、中間層は、中間層の中央の領域に、第1の粘着部と、中間層は、第1の粘着部を取り囲む中間層の外周縁の領域に、第1の粘着部よりも低い粘着性を有する第2の粘着部とを有していてもよい。
粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域において、離型層2と粘着部62Aとが貼り付けられている。離型層2と中間層62とにより粘接着剤層3が覆われている。
中間層62は、中間層4を構成する材料により形成できる。例えば、活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型の組成物を用いて、粘着部62Aと非粘着部62Bとを形成するために、組成物に付与する活性エネルギー線の照射量又は熱量を部分的に異ならせればよい。
(第4の実施形態)
図11に、本発明の第4の実施形態に係るダイシングテープを部分切欠正面断面図で示す。図11に示すダイシングテープ71は、基材層をさらに備えること以外は、ダイシングテープ61と同様に構成されている。ダイシングテープ71は、ダイシング−ダイボンディングテープである。
ダイシングテープ71は、基材層72を備える。基材層72が中間層62側に、粘接着剤層3が離型層2側に配置されている。基材層72の平面形状は円形である。平面視において、粘接着剤層3は、基材層72よりも小さい。平面視において、基材層72は、中間層62、ダイシング層5及び離型層2よりも小さい。平面視において、粘接着剤層3は基材層72よりも小さいことが好ましい。
基材層72は、非粘着性を有する。粘接着剤層3及び基材層72は離型層2及び中間層62よりも小さいので、粘接着剤層3及び基材層72は、離型層2と中間層62との間の一部の領域に配置されている。
離型層2、中間層62及びダイシング層5は、基材層72及び粘接着剤層3の外周側面72a,3bよりも側方に張り出している領域を有する。中間層62の第1の粘着部62Aは、基材層72及び粘接着剤層3の外周側面72a,3bよりも側方に張り出している。すなわち、中間層62は上記張り出している領域に粘着部62Aを有する。基材層72及び粘接着剤層3の外周側面72a,3bよりも側方に張り出している領域において、離型層2と中間層62の第1の粘着部62Aとが貼り付けられている。離型層2と中間層62とにより基材層72及び粘接着剤層3が覆われている。
基材層72は、上述した中間層4を構成する材料により形成できる。例えば、活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型の組成物を用いて、活性エネルギー線の照射量又は熱量を多くし、組成物を充分に硬化(架橋)させることにより、基材層72を形成できる。
基材層72を備える場合の中間層62の厚みの好ましい範囲は、中間層4の厚みと同様である。また、基材層72の厚み特に限定されない。基材層72の厚みは、1〜100μmの範囲内にあることが好ましい。基材層72の厚みのより好ましい下限は5μmであり、より好ましい上限は60μmである。基材層72の厚みが薄すぎると、エクスパンド性が不足することがある。基材層72の厚みが厚すぎると、厚みが不均一になることがある。厚みが不均一であると、ダイシングを適切に行えないことがある。
ダイシングテープ71を用いて半導体チップを製造する際には、先ずダイシングテープ71の離型層2を剥離して、中間層62の張り出している領域と、粘接着剤層3とを露出させる。図12に示すように、離型層2を剥離しながら、又は離型層2を剥離した後に、露出した粘接着剤層3に半導体ウェーハを積層し、かつ中間層62の第1の粘着部62Aにダイシングリング23を貼り付ける。
次に、半導体ウェーハをダイシングし、個々の半導体チップに分割する。ダイシングの後に、分割された半導体チップを剥離して、取り出す。このようにして、半導体チップを得ることができる。
ダイシングの後に、半導体チップが貼り付けられた粘接着剤層3は、非粘着性を有する基材層72に積層されている。このため、粘接着剤層3付き半導体チップを基材層72から容易に剥離して、取り出すことができる。
(第5の実施形態)
図13に、本発明の第5の実施形態に係るダイシングテープを部分切欠正面断面図で示す。図13に示すダイシングテープ81は、粘接着剤層を備えていないこと以外は、ダイシングテープ71と同様に構成されている。
ダイシングテープ81は、粘接着剤層3を備えていない。平面視において、基材層72は離型層2及び中間層62よりも小さいので、基材層72は、離型層2と中間層62との間の一部の領域に配置されている。
離型層2、中間層62及びダイシング層5は、基材層72の外周側面72aよりも側方に張り出している領域を有する。中間層62は上記張り出している領域に粘着部62Aを有する。基材層72の外周側面72aよりも側方に張り出している領域において、離型層2と中間層62の第1の粘着部62Aとが貼り付けられている。離型層2と中間層62とにより基材層72が覆われている。
ダイシングテープ81を用いて半導体チップを製造する際には、先ずダイシングテープ81の離型層2を剥離して、中間層62の張り出している領域と、基材層72とを露出させる。図14に示すように、離型層2を剥離しながら、又は離型層2を剥離した後に、露出した基材層72に半導体ウェーハを積層し、かつ粘着部である中間層62にダイシングリング23を貼り付ける。次に、半導体ウェーハをダイシングし、個々の半導体チップに分割する。ダイシングの後に、分割された半導体チップを剥離して、取り出す。
(第6の実施形態)
図15に、本発明の第6の実施形態に係るダイシングテープを部分切欠正面断面図で示す。
図15に示すダイシングテープ91は、粘接着剤層を備えていないこと以外は、ダイシングテープ1と同様に構成されている。
ダイシングテープ91は、粘接着剤層3を備えていない。離型層2と、粘着性を有する中間層4の粘着部4Bとが貼り付けられている。中間層4にかえて、中間層52又は中間層62を用いてもよい。
ダイシングテープ91を用いて半導体チップを製造する際には、先ずダイシングテープ91の離型層2を剥離して、中間層4を露出させる。図16に示すように、離型層2を剥離しながら、又は離型層2を剥離した後に、露出した中間層4に半導体ウェーハを積層し、かつ中間層4の粘着部4Bにダイシングリング23を貼り付ける。次に、半導体ウェーハをダイシングし、個々の半導体チップに分割する。ダイシングの後に、分割された半導体チップを剥離して、取り出す。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
先ず、以下のポリマーを合成した。
(ポリマー1)
2−エチルヘキシルアクリレート95重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部、光ラジカル発生剤としてのイルガキュア651(チバガイギー社製、50%酢酸エチル溶液)0.2重量部、及びラウリルメルカプタン0.01重量部を酢酸エチルに溶解させ、溶液を得た。この溶液に紫外線を照射して重合を行い、ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。さらに、この溶液の固形分100重量部に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)を3.5重量部反応させて(メタ)アクリル樹脂架橋体であるアクリル共重合体を得た。
(ポリマー2)
2−エチルヘキシルアクリレートの配合量を99重量部、及び2−ヒドロキシエチルアクリレートの配合量を1重量部に変更したこと以外はポリマー1と同様にして、アクリル共重合体を得た。
(実施例1)
ポリマー1を100重量部、U−324A(新中村化学工業社製、ウレタンアクリルオリゴマー)2重量部、光ラジカル発生剤としてのイルガキュア651(チバガイギー社製)1重量部、コロネートL(日本ポリウレタン工業社製、イソシアネート系架橋剤)0.1重量部を配合し、酢酸エチルに溶解し、中間層形成用の組成物を得た。この組成物を離型PETフィルム上にアプリケーターを用いて塗工し、110℃で3分間加熱乾燥し、厚み20μmのフィルム状の組成物層を形成した。この組成物層にダイシング層を貼り合わせて、40℃で24時間放置し、積層体を得た。なお、上記ダイシング層は、LDPE(プライムポリマー社製、M12)を原料として用いて、Tダイ法により、厚み100μmに製造した。上記ダイシング層の上記組成物層が貼り合わされた面にはコロナ処理を施した。
また、G−2050M(日本油脂社製、エポキシ基含有アクリル系高分子ポリマー、重量平均分子量Mw20万)15重量部と、EXA−7200HH(大日本インキ社製、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)80重量部と、HP−4032D(大日本インキ社製、ナフタレン型エポキシ樹脂)5重量部と、YH−309(ジャパンエポキシレジン社製、酸無水物系硬化剤)35重量部と、2MAOK−PW(四国化成社製、イミダゾール)8重量部と、S320(チッソ社製、アミノシラン)2重量部とを配合し、配合物を得た。この配合物をアプリケーターにて厚さ40μmになるようにリンテック社製PET38CS上に塗布し、110℃で3分間加熱乾燥して、粘接着剤層を得た。
得られた積層体の離型PETフィルムを剥がし、露出した組成物層を、PET38CS上の粘接着剤層と貼り合わせた。次に、組成物層の中央の領域に紫外線を照射せずに、かつ組成物層の外周縁の領域に高圧水銀灯下で365nmの紫外線を2000mJで照射し、中間層を形成した。紫外線照射部が中間層の外周縁になるように、かつ中間層が粘接着剤層よりも大きくなるように、中間層を円形に加工した。粘接着剤層の外周側面よりも側方に張り出している領域において、第1の粘着部としての紫外線未照射部をPET38CS上に貼り合わせ、かつ紫外線照射部をPET38CS上に積層した。このようにしてダイシングテープを得た。
(実施例2)
ポリマー1をポリマー2に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてダイシングテープを得た。
(実施例3)
コロネートLの配合量を5重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてダイシングテープを得た。
(比較例1)
紫外線を照射しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてダイシングテープを得た。
(比較例2)
紫外線を照射しなかったこと以外は、実施例2と同様にしてダイシングテープを得た。
(貯蔵弾性率の評価)
実施例1〜3の中間層の紫外線照射部及び紫外線未照射部の23℃での貯蔵弾性率と、比較例1,2の中間層の23℃での貯蔵弾性率とを、アイティ計測社製「DVA−200」を用いて、10Hz及び歪み0.1%の条件で測定した。
(突出し性の評価)
タカトリ社製ダイシート貼り機DAM−812MSにて、送り速度45mm/秒の条件で、離型PETフィルム(PET38CS)から中間層を剥離した。
[突出し性評価基準]
○:離型PETフィルムに中間層が引き寄せられることなく、離型PETフィルムから中間層を剥離できる
×:離型PETフィルムに中間層が引き寄せられて、離型PETフィルムから中間層を容易に剥離できない
結果を下記の表1に示す。
Figure 0005486829
1…ダイシングテープ
2…離型層
2a…上面
2b…切り込み
3…粘接着剤層
3a…表面
3b…外周側面
4…中間層
4a…一方の面
4b…他方の面
4A…第2の非粘着部
4B…第1の粘着部
4C…第1の非粘着部
5…ダイシング層
6,7…保護シート
11…切断刃
21…半導体ウェーハ
21a…表面
21b…裏面
21c…外周側面
22…ステージ
23…ダイシングリング
24…ステージ
31…切断面
51…ダイシングテープ
52…中間層
52A…第2の非粘着部
52B…第1の粘着部
52C…第2の粘着部
61…ダイシングテープ
62…中間層
62A…第1の粘着部
62B…第1の非粘着部
71…ダイシングテープ
72…基材層
72a…外周側面
81…ダイシングテープ
91…ダイシングテープ

Claims (10)

  1. 半導体ウェーハをダイシングし、半導体チップを得るのに用いられるダイシングテープであって、
    中間層と、
    前記中間層の一方の面側に配置された離型層と、
    前記中間層の他方の面に積層されたダイシング層と
    前記離型層と前記中間層との間に配置された粘接着剤層とを備え、
    前記中間層が、前記中間層の中央の領域に、非粘着性を有する第2の非粘着部と、前記第2の非粘着部を取り囲む前記中間層の外側部分の領域に、粘着性を有する第1の粘着部と、前記第1の粘着部を取り囲む前記中間層の外周縁の領域に、前記第1の粘着部よりも低い粘着性を有する第2の粘着部又は非粘着性を有する第1の非粘着部とを有し、
    前記離型層、前記中間層及び前記ダイシング層が、前記粘接着剤層の外周側面よりも側方に張り出している領域を有し、
    前記中間層が、前記張り出している領域に前記第1の粘着部を有し、
    前記粘接着剤層の外周側面よりも側方に張り出している領域において、前記離型層と前記中間層の前記第1の粘着部とが貼り付けられており、前記離型層と前記中間層の前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部とが積層されており、かつ前記離型層と前記中間層とにより前記粘接着剤層が覆われており、
    前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部の23℃での貯蔵弾性率が、前記第1の粘着部の23℃での貯蔵弾性率よりも大きい、ダイシングテープ。
  2. 前記中間層が、前記第1の粘着部を取り囲む前記中間層の外周縁の領域の全周に、前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部を有する、請求項1に記載のダイシングテープ。
  3. 前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部の23℃での貯蔵弾性率が、3×10Pa以上である、請求項1又は2に記載のダイシングテープ。
  4. 前記第1の粘着部の23℃での貯蔵弾性率が、3×10Pa未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイシングテープ。
  5. 前記中間層が、活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型の組成物に活性エネルギー線を照射又は熱を付与することにより形成されており、
    前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部の架橋密度が、前記第1の粘着部の架橋密度よりも高い、請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイシングテープ。
  6. 前記組成物が、活性エネルギー線硬化型の組成物である、請求項5に記載のダイシングテープ。
  7. 前記離型層と前記中間層との間に配置された基材層をさらに備え、
    前記基材層が非粘着性を有し、
    前記基材層が前記中間層側に、かつ前記粘接着剤層が前記離型層側に配置されており、
    前記離型層、前記中間層及び前記ダイシング層が、前記基材層及び前記粘接着剤層の外周側面よりも側方に張り出している領域を有し、
    前記中間層が、前記張り出している領域に前記第1の粘着部を有し、
    前記基材層及び前記粘接着剤層の外周側面よりも側方に張り出している領域において、前記離型層と前記中間層の前記第1の粘着部とが貼り付けられており、前記離型層と前記中間層とにより前記基材層及び前記粘接着剤層が覆われている、請求項1〜のいずれか1項に記載のダイシングテープ。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のダイシングテープの前記離型層を剥離して、前記中間層の前記張り出している領域と、前記粘接着剤層とを露出させる工程と、
    前記離型層を剥離しながら、又は前記離型層を剥離した後に、露出した前記粘接着剤層に半導体ウェーハを積層し、かつ前記中間層の前記第1の粘着部にダイシングリングを貼り付ける工程と、
    前記半導体ウェーハを前記粘接着剤層ごとダイシングし、個々の半導体チップに分割する工程と、
    ダイシングの後に、前記半導体チップが貼り付けられた前記粘接着剤層を剥離して、半導体チップを前記粘接着剤層ごと取り出す工程とを備える、半導体チップの製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載のダイシングテープの製造方法であって、
    前記中間層を形成するための粘着性を有する活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型の組成物層の、前記第2の非粘着部を形成する部分と、前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部を形成する部分に、活性エネルギー線を照射又は熱を付与することにより、中央の領域に非粘着性を有する第2の非粘着部を有し、前記第2の非粘着部を取り囲む外側部分の領域に粘着性を有する第1の粘着部を有し、かつ、前記第1の粘着部を取り囲む外周縁の領域に前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部を有する前記中間層を得る工程と、
    前記中間層を得る工程の前又は後に、前記組成物層又は前記中間層の一方の面側に前記離型層を配置し、かつ前記組成物層又は前記中間層の他方の面に前記ダイシング層を積層する工程とを備え
    前記離型層を配置する際に、前記離型層と前記中間層との間に、粘接着剤層を配置する、ダイシングテープの製造方法。
  10. 前記第1の粘着部を形成する部分の前記組成物層に、活性エネルギー線を照射及び熱を付与しないか、又は前記第1の粘着部を形成する部分の前記組成物層に、活性エネルギー線を照射又は熱を付与し、かつ、
    前記第2の非粘着部を形成する部分と、前記第2の粘着部又は前記第1の非粘着部を形成する部分の前記組成物層に、前記第1の粘着部を形成する部分の前記組成物層よりも活性エネルギー線の照射量又は熱量が多くなるように、活性エネルギー線を照射又は熱を付与する、請求項に記載のダイシングテープの製造方法。
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