JP5485718B2 - クリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ - Google Patents

クリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、クリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
自動車の駆動時、制動時、及びコーナリング走行時にリムと擦れ合う部分(クリンチエイペックス、チェーファー)には、リムとの摩擦による損傷(リムチェーフィング)が発生する可能性がある。したがって、クリンチエイペックスやチェーファーに使用するゴム組成物には、優れた耐熱性及び耐リムチェーフィング性能が要求される。
上記ゴム組成物には、天然ゴムやブタジエンゴムなどのジエン系ゴムに対して、カーボンブラックやシリカなどの充填剤が配合されることが一般的である。近年では、車の低燃費化への要求がますます強くなっていることから、上記ゴム組成物に対して、耐熱性及び耐リムチェーフィング性能だけでなく、優れた転がり抵抗特性が要求されている。
しかし、転がり抵抗特性を改善するために充填剤を減量すると、ゴム硬度が低下して耐リムチェーフィング性能が損なわれる場合がある。また、耐リムチェーフィング性能を改善するために充填剤を増量すると、転がり抵抗が大きくなって転がり抵抗特性が損なわれる場合がある。したがって、耐熱性、耐リムチェーフィング性能及び転がり抵抗特性をバランス良く改善する方法が望まれていた。
特許文献1〜3には、変性ブタジエンゴム、変性スチレンブタジエンゴムなどの変性ゴムを用いて転がり抵抗を低減することが提案されている。しかし、これらのゴム組成物では、耐熱性、耐リムチェーフィング性能及び転がり抵抗特性をバランス良く改善する点について、未だ改善する余地がある。
特開2001−114939号公報 特開2005−126604号公報 特開2005−325206号公報
本発明は、前記課題を解決し、耐熱性、耐リムチェーフィング性能及び転がり抵抗特性をバランス良く改善できるクリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物、及びそれを用いて作製したクリンチエイペックス及び/又はチェーファーを有する空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分100質量%中、下記式(1)で表される化合物により変性されたブタジエンゴムの含有量が68〜95質量%であるクリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物に関する。
Figure 0005485718
(式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基又は環状エーテル基を表す。nは整数を表す。)
上記ゴム組成物は、充填剤及び石油樹脂を含有し、上記充填剤100質量%中のカーボンブラックの含有量が90質量%以上であることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したクリンチエイペックス及び/又はチェーファーを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、特定化合物により変性されたブタジエンゴムを所定量含有するゴム組成物であるので、耐熱性、耐リムチェーフィング性能及び転がり抵抗特性がバランス良く得られる。したがって、該ゴム組成物をクリンチエイペックス及び/又はチェーファーに使用することにより、耐熱性、耐リムチェーフィング性能及び転がり抵抗特性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供できる。
本発明のゴム組成物は、上記式(1)で表される化合物により変性されたブタジエンゴム(以下、「変性BR」ともいう)を所定量含有する。これにより、耐熱性、耐リムチェーフィング性能及び転がり抵抗特性がバランス良く得られる。
上記式(1)で表される化合物において、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)又はこれらの誘導体を表す。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基などが挙げられる。
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基などの炭素数1〜8のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)などが挙げられる。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基などの炭素数5〜8のシクロアルコキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基などの炭素数6〜8のアリールオキシ基など)も含まれる。
上記シリルオキシ基としては、例えば、炭素数1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基(トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、ジエチルイソプロピルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基など)などが挙げられる。
上記アセタール基としては、例えば、−C(RR′)−OR″、−O−C(RR′)−OR″で表される基を挙げることができる。前者としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、t−ブトキシメチル基、ネオペンチルオキシメチル基などが挙げられ、後者としては、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、i−プロポキシメトキシ基、n−ブトキシメトキシ基、t−ブトキシメトキシ基、n−ペンチルオキシメトキシ基、n−ヘキシルオキシメトキシ基、シクロペンチルオキシメトキシ基、シクロヘキシルオキシメトキシ基などを挙げることができる。
、R及びRとしては、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。これにより、耐熱性、耐リムチェーフィング性能及び転がり抵抗特性をバランス良く改善できる。
上記式(1)で表される化合物において、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基又は環状エーテル基を表す。
及びRのアルキル基としては、例えば、上記アルキル基と同様の基を挙げることができる。
及びRの環状エーテル基としては、例えば、オキシラン基、オキセタン基、オキソラン基、オキサン基、オキセパン基、オキソカン基、オキソナン基、オキセカン基、オキセト基、オキソール基などのエーテル結合を1つ有する環状エーテル基、ジオキソラン基、ジオキサン基、ジオキセパン基、ジオキセカン基などのエーテル結合を2つ有する環状エーテル基、トリオキサン基などのエーテル結合を3つ有する環状エーテル基などが挙げられる。なかでも、エーテル結合を1つ有する炭素数2〜7の環状エーテル基が好ましく、エーテル結合を1つ有する炭素数3〜5の環状エーテル基がより好ましい。また、環状エーテル基は環骨格内に不飽和結合を有していないことが好ましい。
及びRとしては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜3、より好ましくは炭素数1〜2)が好ましく、エチル基がより好ましい。これにより、耐熱性、耐リムチェーフィング性能及び転がり抵抗特性をバランス良く改善できる。
n(整数)としては、2〜5が好ましい。これにより、耐熱性、耐リムチェーフィング性能及び転がり抵抗特性をバランス良く改善できる。更には、nは2〜4がより好ましく、3が最も好ましい。nが1以下であると変性反応が阻害される場合があり、nが6以上であると変性剤としての効果が薄れる。
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルブトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジブトキシシラン、ジメチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノブチルトリメトキシシラン、ジメチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、2−ジメチルアミノエチルジメトキシメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−ジメチルアミノブチルジメトキシメチルシラン、ジメチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、4−ジメチルアミノブチルトリエトキシシラン、ジメチルアミノメチルジエトキシメチルシラン、2−ジメチルアミノエチルジエトキシメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、4−ジメチルアミノブチルジエトキシメチルシラン、ジエチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、4−ジエチルアミノブチルトリメトキシシラン、ジエチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、2−ジエチルアミノエチルジメトキシメチルシラン、3−ジエチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−ジエチルアミノブチルジメトキシメチルシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、4−ジエチルアミノブチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルジエトキシメチルシラン、2−ジエチルアミノエチルジエトキシメチルシラン、3−ジエチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、4−ジエチルアミノブチルジエトキシメチルシラン、下記式(2)〜(9)で表される化合物などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐熱性、耐リムチェーフィング性能及び転がり抵抗特性の改善効果が高いという点から、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、下記式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005485718
上記式(1)で表される化合物(変性剤)によるブタジエンゴムの変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報、特表2003−514078号公報などに記載されている方法など、従来公知の手法を用いることができる。例えば、ブタジエンゴムと変性剤とを接触させればよく、ブタジエンゴムを重合し、該重合体ゴム溶液中に変性剤を所定量添加する方法、ブタジエンゴム溶液中に変性剤を添加して反応させる方法などが挙げられる。
変性されるブタジエンゴム(BR)としては特に限定されず、高シス含有量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBRなどを使用できる。また、特表2003−514078号公報などに記載されているランタン系列希土類含有化合物を含む触媒を用いて重合して得られたBRも使用できる。
変性BRのビニル含量は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。ビニル含量が35質量%を超えると、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。ビニル含量の下限は特に限定されない。
なお、本発明において、ビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
ゴム成分100質量%中の変性BRの含有量は、68質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。68質量%未満であると、充分な耐熱性及び耐リムチェーフィング性能が得られないおそれがある。該変性BRの含有量は、95質量%以下、好ましくは93質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。95質量%を超えると、タイヤ成形時に必要な粘着性が得られないおそれがある。
本発明のゴム組成物に使用される変性BR以外のゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、非変性BR、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルニトリル(NBR)、イソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物などを使用できる。なかでも、未加硫ゴムの強度や、ゴム生地の平滑性及び粘着性が良好であるという点から、変性BRとともに、NRを使用することが好ましい。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20など、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。10質量%未満であると、未加硫ゴム組成物の強度や、ゴム生地の平滑性及び粘着性が充分に得られないおそれがある。該NRの含有量は、好ましくは32質量%以下、より好ましくは31質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。32質量%を超えると、充分な耐熱性及び耐リムチェーフィング性能が得られないおそれがある。
本発明のゴム組成物は、充填剤を含有することが好ましい。充填剤としては、カーボンブラック、シリカなどを用いることができ、なかでも、カーボンブラックを用いることが好ましい。カーボンブラックの配合により、補強性が付与され、耐リムチェーフィング性能をより改善することができる。カーボンブラックとしては特に限定されず、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなどが挙げられる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは64m/g以上、より好ましくは66m/g以上、更に好ましくは69m/g以上である。64m/g未満であると、充分な補強性が得られない傾向がある。また、カーボンブラックのNSAは、74m/g以下が好ましく、69m/g以下がより好ましい。74m/gを超えると、未加硫ゴム組成物の粘度が高くなり、加工性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K6217のA法によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して、好ましくは38質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは42質量部以上である。38質量部未満であると、充分な補強性及び耐熱性が得られないおそれがある。該カーボンブラックの含有量は、好ましくは60質量部以下、好ましくは57質量部以下、より好ましくは55質量部以下である。60質量部を超えると、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
充填剤100質量%中のカーボンブラックの含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、特に好ましくは100質量%である。90質量%未満であると、充分なゴム硬度が得られないおそれがある。
本発明のゴム組成物は、石油樹脂を配合することが好ましい。これにより、未加硫ゴム組成物の粘着性を改善できる。石油樹脂としては、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂などを用いることができ、なかでも、C9系石油樹脂を用いることが好ましい。
C9系石油樹脂は、ナフサの熱分解によって得られるC9留分の樹脂である。C9留分としては、例えば、ジオレフィン系炭化水素などが挙げられる。ジオレフィン系炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、α−メチルスチレン、1、2−ペンタジエンなどが挙げられる。C9系石油樹脂としては、例えば、ネオポリマー(新日本石油(株)製)、ペトコール(東ソー(株)製)、ペトロタック(東ソー(株)製)、トーホーハイレジン(東邦化学(株)製)などを用いることができる。
石油樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.5質量部以上、より好ましくは2.5質量部以上、更に好ましくは3.0質量部以上である。1.5質量部未満の場合、充分な粘着性を確保できないおそれがある。また、石油樹脂の含有量は、好ましくは4.5質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.5質量部以下である。4.5質量部を超えると、耐熱性が悪化し、熱老化後の破壊特性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、硫黄、ステアリン酸、酸化防止剤、老化防止剤、加硫促進剤、ワックス、などを必要に応じて配合してもよい。
本発明のゴム組成物は、サイドウォールの内方端に配されるクリンチエイペックスに使用される。クリンチエイペックスの具体例は、特開2008−75066号公報の図1、特開2004−106796号公報の図1などに示されている。
本発明のゴム組成物は、ビード部の少なくともリムと接触する部分に配されるチェーファーに使用される。チェーファーの具体例は、特開2006−151329号公報の図1及び8、特開平6−219111号公報の図4などに示されている。
本発明のゴム組成物を用い、通常の方法で空気入りタイヤを製造することができる。すなわち、前記ゴム組成物を用いてクリンチエイペックス及び/又はチェーファーを作製し、他の部材とともに貼り合わせ、タイヤ成型機上にて加熱加圧することにより製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車、トラック、バス、モーターサイクル、自転車などに使用でき、なかでも、乗用車、トラック、バスに好適に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:SIR20
変性BR::住友化学(株)製の変性ブタジエンゴム(ビニル含量:15質量%、R、R及びR=−OCH、R及びR=−CHCH、n=3)
非変性BR:宇部興産(株)製のBR150B
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN351H(NSA:69m/g)
粘着レジン:東ソー(株)製のペトコールLX(C9系石油樹脂)
ワックス:日本精鑞(株)製のオゾエース0355
老化防止剤:バイエル社製ブルカノックス4020
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
粉末:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:三新化学工業(株)製のサンセラーCM
実施例1〜4及び比較例1〜7
表1に示す配合内容に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物をクリンチエイペックス及びチェーファーの形状に成形して、他のタイヤ部材と貼り合わせ、150℃で30分間加硫することにより、試験用タイヤ(サイズ:215/45R17)を作製した。
得られた試験用タイヤを使用して、下記評価を行った。結果を表1に示す。
(耐リムチェーフィング性能)
正規内圧を充填した上記試験用タイヤを車両に装着し、50000km走行した後、上記試験用タイヤのクリンチエイペックス及びチェーファーにおける損傷(リムチェーフィング)の発生数を目視で観察し、下記基準で耐リムチェーフィング性能を評価した。
◎:損傷の発生数が非常に少ない
○:損傷の発生数が少ない
△:損傷の発生数が多い
×:損傷の発生数が非常に多い
(転がり抵抗特性)
上記試験用タイヤのクリンチエイペックス及びチェーファーから試験片を切り出し、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて、周波数10Hz、初期歪み10%及び動歪み2%の条件下で、70℃における上記試験片の損失正接tanδを測定し、下記基準で転がり抵抗特性を評価した。tanδは、クリンチエイペックス及びチェーファーの平均値とした。
◎:tanδが0.125以上0.135未満
○:tanδが0.135以上0.140未満
△:tanδが0.140以上0.145未満
×:tanδが0.145以上
(耐熱性)
上記試験用タイヤを新品サンプルとし、該新品サンプルを100℃のオーブンで7日間熱劣化させて得られたものを劣化サンプルとした。次に、新品サンプル及び劣化サンプルのそれぞれについて、上述の条件で耐リムチェーフィング性能を評価した。そして、各配合毎に、新品サンプルの評価結果を100とし、劣化サンプルの評価結果を指数表示した。数値が100に近いほど、劣化が少なく、耐熱性に優れることを示す。
Figure 0005485718
表1より、所定量の変性BRを含有する実施例は、耐熱性、耐リムチェーフィング性能及び転がり抵抗特性がバランス良く得られた。一方、変性BRの含有量が少ない比較例1〜2及び7と、変性BRを含有しない比較例3〜5とは、いずれかの性能が実施例よりも劣っていた。また、ゴム成分として変性BRのみを使用した比較例6も、その他の比較例と同様の傾向であった。

Claims (4)

  1. ゴム成分100質量%中、下記式(1)で表される化合物により変性されたブタジエンゴムの含有量が68〜95質量%であるクリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物。
    Figure 0005485718
    (式中、R はアルコキシ基、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、エチル基を表す。nは整数を表す。)
  2. 充填剤及び石油樹脂を含有し、
    前記充填剤100質量%中のカーボンブラックの含有量が90質量%以上である請求項1記載のクリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分100質量%中、天然ゴムの含有量が10〜32質量%である請求項1又は2記載のクリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したクリンチエイペックス及び/又はチェーファーを有する空気入りタイヤ。
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