JP5485713B2 - 光架橋性樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、光架橋性樹脂組成物に関する。
プリント配線板やリードフレームの製造方法として、表面に導電層を設けた絶縁性基板あるいは導電性基板の回路部にエッチングレジスト層を設け、露出している非回路部の導電層をエッチング除去して導電パターンを形成するサブトラクティブ法がある。また、絶縁性基板の回路部にメッキ法で導電層を設けていくアディティブ法やセミアディティブ法がある。
近年の電子機器の小型、多機能化に伴い、機器内部に使用されるプリント配線板やリードフレームも高密度化や導電パターンの微細化が進められており、サブトラクティブ法により、現在では導体幅が50〜80μm未満、導体間隙が50〜80μmの導電パターンが製造されている。また、さらなる高密度化、微細配線化が進み、導体幅あるいは導体間隙50μm未満の超微細な導電パターンが求められるようになってきている。それに伴って、導電パターンの精度やインピーダンスの要求も高くなっている。このような微細な導電パターンを形成するため、従来から、サブトラクティブ法に代わり、セミアディティブ法が検討されているが、製造工程が大幅に増加するという問題や電解メッキ銅の接着強度不足等の問題があった。そのため、サブトラクティブ法でプリント配線板やリードフレームを製造するのが主流となっている。
サブトラクティブ法において、エッチングレジスト層は、感光性材料を用いた露光現像工程を有するフォトファブリケーション法、スクリーン印刷法、インクジェット法等によって形成される。この中でも、フォトファブリケーション法におけるネガ型のドライフィルムレジストと呼ばれるシート状の光架橋性樹脂層を用いた方法は、取り扱い性に優れ、テンティングによるスルーホールの保護が可能なことから好適に用いられている。
光架橋性樹脂層を用いた方法では、基板上に光架橋性樹脂組成物を含有してなる光架橋性樹脂層を形成し、露光現像工程を経てエッチングレジスト層が形成される。微細な導電パターンを形成するためには、微細なエッチングレジスト層を形成させることが必要不可欠である。このために、できる限りエッチングレジスト層の膜厚を薄くする必要がある。光架橋性樹脂層として一般的なドライフィルムレジストでは、例えば、10μm以下の膜厚にすると、ゴミを核とした気泡の混入や凹凸追従性の低下が原因となり、エッチングレジスト層の剥がれや断線が発生するという問題があり、微細なエッチングレジスト層を形成させることは困難であった。
このような問題を解決すべく、あらかじめ基板上に厚い光架橋性樹脂層を形成し、次に、アルカリ水溶液を用いて光架橋性樹脂層を薄膜化した後、回路パターンの露光、現像を行うレジストパターンの作製方法によって、エッチングレジスト層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図1及び図2を用いて、特許文献1に記載されているレジストパターンの作製方法を説明する。図1では、基板2としては、片表面に導電層4を設けた絶縁性基板5を使用している。工程(a)では、基板2の導電層4上に光架橋性樹脂層1を形成する。工程(b)では、アルカリ水溶液によって、未硬化の光架橋性樹脂層1の薄膜化処理を行う。工程(c)では、回路パターンに相当する部分の光架橋性樹脂層1を露光し、架橋部3を形成する。工程(d)では、未硬化の光架橋性樹脂層1を現像により除去し、レジストパターンを得る。
図2では、基板2としては、孔6を有し、表面及び孔内部に導電層4が設けられている絶縁性基板5を使用している。工程(a)では、孔6を塞ぐような状態で、基板2の表面の導電層4上に光架橋性樹脂層1を形成する。工程(e)では、一部の光架橋性樹脂層1を露光して架橋させ、架橋部3を形成する。図2では、孔2上及びその周囲部を露光している。工程(b)では、未硬化の光架橋性樹脂層1の薄膜化処理を行う。工程(c)では、回路パターンに相当する部分の光架橋性樹脂層1を露光し、架橋部3を形成する。工程(d)では、未硬化の光架橋性樹脂層1を現像により除去し、レジストパターンを得る。図2の方法によれば、孔上及びその周囲部にテンティング強度を有する厚いエッチングレジスト層を形成することができる。
しかしながら、特許文献1の方法にはいくつかの問題があった。第1の問題は、酸素による重合阻害である。光架橋性樹脂層は、ラミネータ装置によって、支持層フィルムに積層された状態で基板上に形成されるが、工程(b)において、光架橋性樹脂層を薄膜化する前に、支持層フィルムを剥離する必要がある。そのため、薄膜化後の光架橋性樹脂層表面は空気中の酸素にさらされ、工程(c)における露光において、酸素による重合阻害が発生しやすい。フォトツールを用いた密着露光では、空気中の酸素を除去できるため、重合阻害はほとんど起こらないが、光架橋性樹脂層表面のタック性、異物による欠陥が問題になる場合がある。そこで、薄膜化後に支持層フィルムを再積層すれば、酸素阻害の問題がなく、光架橋性樹脂層表面はタックフリーとなり作業性が向上するが、支持層フィルムを再積層するための装置が必要になって工程数が増える。さらに、支持層フィルムの回折光により解像度が低下するため、高精細な画線の再現性が劣る場合があった。よって、工程(b)で薄膜化された光架橋性樹脂層には、酸素による重合阻害を受けにくくするために、光架橋性樹脂層の表面における硬化性(以下、「表面硬化性」という)が高いことが求められている。
第2の問題は、図2のレジストパターンの作製方法で形成される段差に関連するものである。図2の工程(c)において、密着露光で回路パターンを露光しようとしても、孔上及びその周囲部に段差があるため、密着が不十分となるだけでなく、光漏れによるショート欠陥が発生しやすくなることである。非接触露光であれば、段差が原因の問題は起こりにくくなるが、酸素による重合阻害は発生する。そこで、酸素阻害を回避するため、光架橋性樹脂層薄膜化後に支持層フィルムを再積層しようとしても、段差でフィルムが追従できず、段差の周囲で回折光による解像度の低下が起こる場合があった。さらに、ラミネータ装置等を使って支持層フィルムを再積層しようとすると、段差で未硬化の光架橋性樹脂層に凹みが発生し、エッチングレジスト層の耐久性が低下する場合があった。
第3の問題は、図2の工程(e)で露光した部分(以下、「厚膜部分」という)における問題である。厚膜部分では、表面硬化性だけでなく、内部または深部における硬化性(以下、「内部硬化性」、「深部硬化性」という)が重要になり、内部硬化性または深部硬化性が不足すると、密着不良によるエッチングレジスト層の剥がれが発生しやすくなる傾向があった。
国際公開第2009/096438号パンフレット
本発明の課題は、(a)表面に導電層が設けられている基板上に光架橋性樹脂組成物を含有してなる光架橋性樹脂層を形成する工程、(b)アルカリ水溶液によって未硬化の光架橋性樹脂層の薄膜化処理を行う工程、(c)回路パターンの露光工程、(d)現像工程を含んでなるレジストパターンの作製方法で使用される光架橋性樹脂組成物において、光架橋性樹脂層を薄膜化した後、樹脂層表面が剥き出しの状態でも酸素による重合阻害の影響をほとんど受けない高い表面硬化性を有する光架橋性樹脂組成物を提供することである。
また、工程(a)と工程(b)との間に、(e)一部の光架橋性樹脂層を露光して硬化させる工程を含む場合に、表面硬化性だけでなく、厚膜部分の内部硬化性または深部硬化性をも得られる光架橋性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、
(a)表面に導電層が設けられている基板上に光架橋性樹脂組成物を含有してなる光架橋性樹脂層を形成する工程、(b)アルカリ水溶液によって未硬化の光架橋性樹脂層の薄膜化処理を行う工程、(c)回路パターンの露光工程、(d)現像工程を含んでなるレジストパターンの作製方法で使用される光架橋性樹脂組成物において、
(A)カルボキシル基を含有するポリマー、(B)分子内に少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)重合禁止剤を含有してなり、(C)成分として、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が(C)成分全体に対して4.0〜15質量%、かつ、光架橋性樹脂組成物に対して0.20〜0.60質量%含有されてなることを特徴とする光架橋性樹脂組成物を見出した。
また、(a)表面に導電層が設けられている基板上に光架橋性樹脂組成物を含有してなる光架橋性樹脂層を形成する工程、(e)一部の光架橋性樹脂層を露光して硬化させる工程、(b)アルカリ水溶液によって未硬化の光架橋性樹脂層の薄膜化処理を行う工程、(c)回路パターンの露光工程、(d)現像工程を含んでなるレジストパターンの作製方法で使用される光架橋性樹脂組成物において、
(A)カルボキシル基を含有するポリマー、(B)分子内に少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)重合禁止剤を含有してなり、(C)成分として、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が(C)成分全体に対して4.0〜15質量%、かつ、光架橋性樹脂組成物に対して0.20〜0.60質量%含有されてなり、さらに、アシルフォスフィンオキサイド化合物が(C)成分全体に対して20〜75質量%、かつ、光架橋性樹脂層に対して1.00〜3.00質量%含有されてなる光架橋性樹脂組成物を見出した。
本発明の光架橋性組成物において、(C)成分として、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が(C)成分全体に対して4.0〜15質量%、かつ、光架橋性樹脂組成物に対して0.20〜0.60質量%含有されていることで、薄膜化した後の光架橋性樹脂層表面が剥き出しの状態で露光されても、酸素による重合阻害の影響をほとんど受けない高い表面硬化性が得られる。
酸素による重合阻害とは、光重合開始剤から生成する開始ラジカルや光重合性化合物の重合過程で生成する重合末端ラジカルが酸素にトラップされてできるパーオキシラジカルの重合能力が低いために、重合反応が停止することである。特に、光架橋性樹脂層が薄い場合には、硬化不良を生じやすい。具体的には、薄膜化後の光架橋性樹脂層の厚みが15μm未満になると、重合開始までの誘導期間の出現、重合速度の低下、光重合性化合物の反応率の低下といった現象が現れ、重合阻害が目立つようになって解像度が低下する。そこに、高い電子供与性と連鎖移動能を有するジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物を添加することにより、水素引き抜き能のあるパーオキシラジカルがアルキルアミンから水素を引き抜いて、アミノアルキルラジカルとなり、重合が開始される。また、生成したアミノアルキルラジカルは酸素を捕捉することもできるため、系内の酸素濃度を低減させる効果もある。
また、本発明の光架橋性樹脂組成物において、(C)成分として、さらにアシルフォスフィンオキサイド化合物を(C)成分全体に対して20〜75質量%、かつ、光架橋性樹脂組成物に対して1.00〜3.00質量%含有されていることで、工程(a)と工程(b)との間に、(e)一部の光架橋性樹脂層を露光して硬化させる工程を含んでいる場合に、表面硬化性だけでなく、厚膜部分の内部硬化性または深部硬化性が向上する。
表面硬化性、内部硬化性及び深部硬化性は、光架橋性樹脂層の吸光度の影響を受ける。一般的には、吸光度が低くなると表面硬化性が低下し、吸光度が高くなると内部硬化性または深部硬化性が低下する。そこで、これを改良するために、複数の光重合開始剤を組み合わせる。すなわち、開始剤効率の高い表面硬化性に優れた光重合開始剤とフォトブリーチング効果を有する内部硬化性または深部硬化性に優れた光重合開始剤を組み合わせる。フォトブリーチング効果とは、光反応によってアシルフォスフィンオキサイド化合物中のP−O結合が開裂し共役系が切れることで、分解後には紫外線を吸収しなくなり、内部に紫外線が透過しやすくなることである。つまり、光照射によって、開始剤自身の紫外線透過を妨害するフィルター効果を徐々になくすことで、厚膜の内部または深部の硬化性を高めることができる。
光架橋性樹脂層を薄膜化する工程を含むレジストパターンの作製方法の一例を示す断面工程図である。 光架橋性樹脂層を薄膜化する工程を含むレジストパターンの作製方法の一例を示す断面工程図である。 レジストパターンの断面形状を示す断面図である。 レジストパターンの断面形状を示す断面図である。
以下、本発明の光架橋性樹脂組成物について詳細に説明する。
<工程(a)>
工程(a)では、表面に導電層が設けられている基板上の少なくとも片面に、光架橋性樹脂組成物を含有してなる光架橋性樹脂層を形成する。光架橋性樹脂層の形成には、例えば、加熱したゴムロールを加圧して押し当てる熱圧着方式のラミネータ装置を用いることができる。加熱温度は100℃以上であることが好ましい。基板には、アルカリ脱脂、酸洗等の前処理を施してもよい。
表面に導電層が設けられている基板としては、プリント配線板またはリードフレーム用基板が挙げられる。プリント配線板としては、例えば、フレキシブル基板、リジッド基板が挙げられる。フレキシブル基板の絶縁性基板の厚さは5〜125μmで、その両面もしくは片面に1〜35μmの金属箔層が導電層として設けられており、可撓性が大きい。絶縁性基板の材料には、通常、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー等が用いられる。絶縁性基板上に金属箔層を有する材料は、接着剤で貼り合わせる接着法、金属箔上に絶縁性基板材料である樹脂の液を塗布するキャスト法、スパッタリングや蒸着法で絶縁性基板である樹脂フィルム上に形成した厚さ数nmの薄い導電層(シード層)の上に電解メッキで金属箔層を形成するスパッタ/メッキ法、熱プレスで貼り付けるラミネート法等のいかなる方法で製造したものを用いてもよい。金属箔層の金属としては、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、あるいはそれらの合金等のいかなる金属を用いることができるが、銅が一般的である。
リジッド基板としては、エポキシ樹脂またはフェノール樹脂等を浸漬させた紙基材またはガラス基材を重ねて絶縁性基板とし、その片面もしくは両面に金属箔を導電層として載置し、加熱及び加圧により積層して、金属箔層が設けられたものが挙げられる。また、内層配線パターン加工後、プリプレグ、金属箔等を積層して作製する多層用のシールド板、貫通孔や非貫通孔を有する多層板も挙げられる。厚みは60μm〜3.2mmであり、プリント基板としての最終使用形態により、その材質と厚みが選定される。金属箔層の材料としては、銅、アルミニウム、銀、金等が挙げられるが、銅が最も一般的である。これらプリント基板の例は、「プリント回路技術便覧」((社)日本プリント回路工業会編、1987年刊行、(株)日刊工業新聞社刊)や「多層プリント回路ハンドブック」(J.A.スカーレット編、1992年刊行、(株)近代化学社刊)に記載されている。リードフレーム用基板としては、鉄ニッケル合金、銅系合金等の基板が挙げられる。
表面に導電層が設けられている基板として、孔を有し、表面及び孔内部に導電層が設けられている基板を用いることができ、例えば、絶縁性基板表面に金属箔層を有する基板に対して、ドリルやレーザーによって孔を形成し、次に、無電解めっき、電解めっき等のめっき処理を施して、孔内部を含む表面にめっき金属層を形成することによって作製される。
光架橋性樹脂層とは露光部が架橋して現像液に不溶化する樹脂層である。光架橋性樹脂層の厚みは15〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。この厚みが15μm未満では、ゴミを核とした気泡の混入や凹凸追従性不良によって、レジスト剥がれや断線が発生する場合がある。一方、100μmを超えると、光架橋性樹脂層の製造コストが高くなるだけでなく、光架橋性樹脂層のエッジフュージョンが顕著で保存性が悪くなる場合がある。光架橋性樹脂層は、ポリエステル等の支持層フィルムとポリエチレン等の保護フィルムとで挟まれた構造であってもよく、この場合、保護フィルムを剥がし、光架橋性樹脂層と支持層フィルムが積層された状態で、ラミネートされる。
<工程(e)>
工程(e)は、工程(a)と工程(b)の間に設けられ、一部の光架橋性樹脂層を露光して硬化させる。例えば、孔を有し、表面及び孔内部に導電層が設けられている基板を用いて、テンティングが可能なように、孔上及びその周囲部(以下、「ランド部」という)の光架橋性樹脂層を露光して硬化させる。露光方式としては、キセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、UV蛍光灯を光源とした反射画像露光、フォトツールを用いた片面あるいは両面密着露光、プロキシミティ方式、プロジェクション方式、レーザー(ガスレーザー、レーザーダイオード、固体レーザー)またはUVを光源に用いた直接描画方式(ダイレクトイメージング)等が挙げられる。この中でも、ダイレクトイメージングは、フォトツールを必要とせず、多品種小ロット、短納期に適した露光方式であり、近年、環境を配慮したフォトリソグラフィー法として注目されている。
<工程(b)>
工程(b)では、アルカリ水溶液によって未硬化の光架橋性樹脂層の薄膜化処理を行う。より詳しくは、高濃度のアルカリ水溶液によって未硬化の光架橋性樹脂層上に不溶化ミセル層を形成させ、その後、それを低濃度化することで一挙に再分散させ溶解除去することによって薄膜化処理を行う。光架橋性樹脂層上に支持層フィルムが設けられている場合には、剥がしてから薄膜化処理を実施する。薄膜化処理とは、光架橋性樹脂層の厚みを略均一に薄くする処理のことであり、詳しくは、薄膜化処理を施す前の厚みの0.05〜0.9倍の厚みまで薄くすることを言う。
アルカリ水溶液は、無機アルカリ性化合物を5〜20質量%含有する。5質量%未満では、ミセルが不溶化し難く溶解除去途中で可溶化されたミセルが溶解拡散して、薄膜化処理で面内ムラが発生する。また、20質量%を超えると、無機アルカリ性化合物の析出が起こりやすく、液の経時安定性、作業性に劣る。溶液のpHは9〜12の範囲とすることが好ましい。また、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜少量添加することもできる。
無機アルカリ性化合物としては、リチウム、ナトリウムまたはカリウムの炭酸塩または重炭酸塩等のアルカリ金属炭酸塩、カリウム、ナトリウムのリン酸塩等のアルカリ金属リン酸塩、リチウム、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物等のアルカリ金属水酸化物、カリウム、ナトリウムのケイ酸塩等のアルカリ金属ケイ酸塩、カリウム、ナトリウムの亜硫酸塩等のアルカリ金属亜硫酸塩を使用することができる。このうち、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含むことが好ましい。さらに、光架橋性樹脂層の溶解能力、処理液のpHを維持する緩衝能力、装置のメンテナンス性等の点から、アルカリ金属炭酸塩が特に好ましい。
光架橋樹脂層の薄膜化処理である工程(b)は、少なくとも2つの工程に分離して処理されることが好ましい。まず、高濃度のアルカリ水溶液を過剰に供給することにより、溶解途中でミセル化された光架橋性樹脂層成分を一旦不溶化し、処理液中への溶解拡散を抑制する。次いで、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含むpH5〜10、より好ましくはpH6〜8の水溶液または水を供給し、不溶化された光架橋性樹脂層成分を再分散させて溶解除去する。水溶液のpHが5未満では、再分散により溶け込んだ光架橋性樹脂成分が凝集し、不溶性のスラッジとなって薄膜化した光架橋性樹脂層表面に付着する。一方、水溶液のpHが10を超えると、光架橋性樹脂層の溶解拡散が促進され、面内で膜厚ムラが発生するため好ましくない。水溶液のpHは、硫酸、リン酸、塩酸等を用いて適宜調整される。また、水溶液の供給流量は多い方が好ましく、供給流量が不足すると、不溶化された光架橋性樹脂層成分の再分散性が悪くなり、溶解不良が起こりやすくなる。その結果、薄膜化後の光架橋性樹脂層表面に不溶解成分の析出が見られ、タック性が問題になる場合がある。
薄膜化処理の方法として、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スクレーピング等があり、スプレー方式が光架橋性樹脂層の溶解速度の点からは最も適している。スプレー方式の場合、処理条件(温度、時間、スプレー圧)は、使用する光架橋性樹脂層の溶解速度に合わせて適宜調整される。具体的には、処理温度は10〜50℃が好ましく、より好ましくは15〜40℃、さらに好ましくは15〜35℃である。また、スプレー圧は0.01〜0.5MPaとするのが好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.3MPaである。
<工程(c)>
工程(c)では、回路パターンの露光を行う。回路パターンの露光方法としては、キセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、UV蛍光灯を光源とした反射画像露光、フォトツールを用いた片面あるいは両面密着露光、プロキシミティ方式、プロジェクション方式、直接描画方式(ダイレクトイメージング)等が挙げられる。本発明に係わるレジストパターンの作製方法においては、光架橋性樹脂層を薄膜化処理した後、樹脂層表面が剥き出しの状態であるため、密着露光方式では、異物や傷による欠陥が発生する場合がある。また、薄膜化処理後の光架橋性樹脂層はタック性を有する場合があり、フォトツールの汚染を引き起こす。そこで、上記の密着露光以外の非接触露光では、異物や傷、タック性の問題がなく有効であると考えられ、特に、フォトツールを必要としないダイレクトイメージングは最も適した露光方式であると言える。
さらに、工程(a)と工程(b)との間に工程(e)として、あらかじめランド部を露光した場合、露光した厚膜部分と薄膜化された光架橋性樹脂層に段差ができるため、密着露光では回折光による影響が大きく、解像度の低下が起こる場合がある。さらに、露光工程が2回あるため、フォトツールを必要とする露光方式ではコスト的に不利になる。そこで、非接触方式のダイレクトイメージング露光を行えば、ランド部と薄膜化樹脂層の段差で起こる回折光による解像度の低下は発生せず、フォトツールも必要としないため、最も好適な露光方式であると言える。
<光架橋性樹脂組成物>
本発明の光架橋性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基を含有するポリマー、(B)分子内に少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)重合禁止剤を含有してなる。
(A)カルボキシル基を含有するポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂の有機高分子が挙げられる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。アルカリ水溶液への溶解性が高いことから、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリレートを主成分とし、これにエチレン性不飽和カルボン酸及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和基を有する単量体(以下、重合性単量体という)を共重合させてなるアクリル系重合体であればよい。
上記(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸が好適に用いられ、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸や、それらの無水物やハーフエステルを用いることもできる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
上記その他の重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルトルエン、酢酸ビニル、ビニル−n−ブチルエーテル等が挙げられる。
(A)カルボキシル基を含有するポリマーにおいて、2種類以上を組み合わせて用いる場合のポリマーの組み合わせとしては、例えば、異なる共重合成分を有する2種類以上のポリマーの組み合わせ、異なる質量平均分子量を有する2種類以上のポリマーの組み合わせ、異なる分散度(質量平均分子量/数平均分子量)を有する2種類以上のポリマーの組み合わせが挙げられる。
(A)カルボキシル基を含有するポリマーの酸価は、50〜350mgKOH/gであることが好ましく、100〜300mgKOH/gであることがさらに好ましい。薄膜化処理においてアルカリ水溶液を用いる場合、この酸価が、50mgKOH/g未満では溶解までの時間が長くなるだけでなく、溶解不良が発生しやすい傾向があり、一方、350mgKOH/gを超えると、アルカリ溶液に対する溶解拡散が速すぎて、薄膜化処理における膜厚制御が困難になる傾向がある。また、光架橋した部分の現像液に対する耐久性が低下する場合があり、工程(c)で光架橋させた部分が工程(d)で溶解してしまうことがある。
(A)カルボキシル基を含有するポリマーの質量平均分子量は、10,000〜150,000であることが好ましく、10,000〜100,000であることがより好ましい。質量平均分子量が、10,000未満ではアルカリ水溶液に対する耐久性が低下する傾向があり、一方、150,000を超えると溶解までの時間が長くなりすぎる傾向がある。
(A)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量に対して40〜65質量%であることが好ましく、45〜55質量%であることがより好ましい。(A)成分の配合量が、40質量%未満では光架橋した部分の化学的強度、機械的強度が低くなる傾向がある。また、被膜性が悪くなるという問題がある。(A)成分の配合量が、65質量%を超えると光架橋性が低下することがある。
(B)分子内に少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー;ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β′−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO、PO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、EO及びPOは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを示し、EO変性された化合物は、エチレンオキサイド基のブロック構造を有するものであり、PO変性された化合物は、プロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。これらの光重合性化合物は単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(B)成分の配合量は、光架橋性樹脂層に対して35〜55質量%であることが好ましく、40〜50質量%であることがより好ましい。(B)成分の配合量が、35質量%未満では、薄膜化時に基材表面のハレーションによる影響で、未露光部において半架橋領域が発生しやすくなって、解像度が悪化することがあり、一方、55質量%を超えると、膜表面のタック性が顕著になることがあるだけでなく、硬化後の光架橋性樹脂層が脆くなることがある。
(D)重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、tert−ブチル−カテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、β−ナフトール、フェノチアジン等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用される。
(D)成分の配合量は、光架橋性樹脂層に対して、0.01〜0.3質量%が好ましく、0.03〜0.2質量%がより好ましい。0.01質量%未満では、重合反応の抑制効果が小さく、薄膜化後の光架橋性樹脂層において、未露光部の半架橋部が発生しやすくなることがある。一方、0.3質量%を超えると、光架橋性樹脂層の感度低下が著しくなり、露光部においても架橋が不十分になることがある。
さらに、光架橋性樹脂層に(E)ハレーション防止剤を添加してもよい。(E)成分を含有させると、基材表面の反射による散乱光を吸収し、未露光部の半架橋領域の発生を抑制することができる。(E)ハレーション防止剤としては、280〜430nm領域に吸収波長領域を持つものであればよく、アクリジン染料、アニリン黒、アントラキノン染料、アジン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、インジゴイド染料、インドフェノール、インドアニリン、インダミン、ナフトールイミド染料、ニグロシン及びインジュリン、ニトロ及びニトロソ染料、オキサジン及びオキサジン染料、酸化染料、フタロシアニン染料、ポリメチン染料、キノフタロン染料、硫化染料、トリアリールメタン及びジアリールメタン染料、チアジン染料、チアゾール染料、キサンテン染料等のハレーション防止用染料や無機及び有機顔料、サリチル酸フェニル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系及びアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
(E)成分の配合量は、光架橋性樹脂層に対して0.05〜0.5質量%であればよい。0.05質量%未満では、基材表面のハレーションの防止効果が不十分な場合があり、一方、0.5質量%を超えると、光架橋性樹脂層の感度低下が著しくなり、露光部においても架橋が不十分になることがある。
光架橋性樹脂層を薄膜化した後、樹脂層表面が剥き出しの状態でも酸素による重合阻害を抑制するため、本発明の光架橋性樹脂組成物は、(C)光重合開始剤のうち、光重合促進剤としてジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物を含有してなる。ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物としては、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ジアルキルアミノベンゾエート化合物が好ましく、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート(商品名:DAROCUR EDB、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート(商品名:DAROCUR EHA、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等がある。
ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物の含有量は、(C)成分全体に対して4.0〜15質量%であり、より好ましくは5.0〜12質量%であり、さらに好ましくは6.0〜9.0質量%である。光架橋性樹脂組成物に対する含有量は0.20〜0.60質量%であり、より好ましくは0.25〜0.50質量%であり、さらに好ましくは0.30〜0.40質量%である。ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が、(C)成分全体に対して4.0質量%未満、または、光架橋性樹脂組成物に対して0.20質量%未満では、酸素による重合阻害を十分に抑制できない。一方、(C)成分全体に対して15質量%を超える、または、光架橋性樹脂組成物に対して0.60質量%を超えると、光架橋性樹脂層表面での光吸収が増大しすぎて、硬化後の光架橋性樹脂層が極端な逆台形型になり、基板との密着性が不足してレジスト剥離が起こりやすくなる。
さらに、工程(e)を含むレジストパターンの作製方法において、薄膜化前の厚膜部分と薄膜化後の薄膜部分の両方において、所望の表面硬化性、内部硬化性及び深部硬化性を得るために、(C)光重合開始剤として、さらに、アシルフォスフィンオキサイド化合物を含有させる。アシルフォスフィンオキサイド化合物の含有量は、(C)成分全体に対して20〜75質量%であり、好ましくは25〜70質量%であり、さらに好ましくは30〜60質量%である。光架橋性樹脂組成物に対する含有量は1.00〜3.00質量%であり、好ましくは1.20〜2.80質量%であり、さらに好ましくは1.50〜2.50質量%である。アシルフォスフィンオキサイド化合物は、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:DAROCUR TPO、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:IRGACURE 819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等がある。アシルフォスフィンオキサイド化合物が、(C)成分全体に対して20質量%未満、または、光架橋性樹脂組成物に対して1.0質量%未満では、フォトブリーチングによる効果が十分に得られない場合がある。一方、(C)成分全体に対して75質量%を超える、または、光架橋性樹脂組成物に対して3.0質量%を超えると、内部硬化性または深部硬化性が顕著になって、ハレーションによる裾引きが大きくなることがあり、好ましくない場合がある。
ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物及びアシルフォスフィンオキサイド化合物以外の(C)光重合開始剤としては、ベンゾフェノン化合物(ベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド)、ベンゾイン化合物(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル)、アセトフェノン化合物(アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、アントラキノン化合物(2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン)、ベンジルケタール化合物(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール)、チオキサントン化合物(2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン)、ビスイミダゾール類(2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体)等がある。
ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物及びアシルフォスフィンオキサイド化合物以外の(C)成分は、光架橋性樹脂組成物に対して1〜10質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましい。1質量%未満では光架橋性が不十分となる傾向があり、一方、10質量%を超えると、光架橋性樹脂層表面での光吸収が増大しすぎて、光架橋性樹脂層内部の光架橋が不十分となる傾向がある。
<工程(d)>
工程(d)では、光架橋していない光架橋性樹脂層を現像液で除去して、エッチングレジスト層を形成する。現像方法としては、使用する光架橋性樹脂層に見合った現像液を用い、基板の上下方向から基板表面に向かってスプレーを噴射する。一般的には、0.3〜2質量%の炭酸ナトリウム水溶液が使用される。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜34、比較例1〜29
(光架橋性樹脂組成物溶液の調液)
表1〜6に示す各成分を混合し、光架橋性樹脂組成物溶液を得た。表1〜6における各成分配合量の単位は質量部である。なお、(A)成分については溶液の質量部を表す。また、表7〜12は、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物及びアシルフォスフィンオキサイド化合物の(C)成分及び光架橋性樹脂組成物に対する含有量(質量%)である。
表1〜表6において、(A)成分は以下の通りである。
(A−1)成分;メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸を質量比64/15/21で共重合させた共重合樹脂(1−メトキシ−2−プロパノールを溶剤とした40質量%溶液)
表1〜表6において、(B)成分は以下の通りである。
(B−1)成分;2,2′−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン(商品名:BPE−500、新中村化学工業社製)
(B−2)成分;トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:TMP−A、共栄社化学社製)
表1〜表6において、(C)成分は以下の通りである。
(C−1)成分;2−(2′−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体
(C−2)成分;4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン
(C−3)成分;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート(商品名:DAROCUR EDB、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
(C−4)成分;2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート(商品名:DAROCUR EHA、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
(C−5)成分;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:DAROCUR TPO、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
(C−6)成分;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:IRGACURE 819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
表1〜表6において、(D)成分は以下の通りである。
(D−1)成分;p−メトキシフェノール
Figure 0005485713
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(ドライフィルムレジストの作製)
ポリエステルフィルムからなる支持層フィルム(膜厚25μm)上に、スリットダイコーターを用いて上記光架橋性樹脂組成物溶液を塗布し、乾燥させた後、ポリエチレンフィルムからなる保護フィルム(膜厚30μm)をラミネートして、膜厚40μmの光架橋性樹脂層を有する実施例1〜34、比較例1〜29のドライフィルムレジストを作製した。
(エッチングレジスト層の作製1)
<工程(a)>
ガラス基材エポキシ樹脂銅張積層板(面積170mm×255mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.1mm、商品名:CCL−E170、三菱ガス化学社製)上に、耐熱シリコンゴムライニング表面処理されたラミネートロールを備えたドライフィルム用ラミネータを用いて、保護フィルムを剥がしながら、ロール温度100℃、エアー圧力0.30MPa、ラミネート速度0.50m/minにて、実施例1〜15、比較例1〜11のドライフィルムレジストをそれぞれラミネートした。
<工程(b)>
支持層フィルムを剥離した後、10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃、スプレー圧0.05MPa)で処理した後、pH8に調整された0.1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温25℃、スプレー圧0.15MPa)を光架橋性樹脂層1cm当たり0.2L/minの供給流量で十分に洗浄処理を行い、その後、冷風乾燥させ、薄膜化された光架橋性樹脂層を得た。
<工程(c)>
ダイレクトイメージング露光機(装置名:LI−8500、大日本スクリーン製造社製)を用い、ライン/スペース=15/15、20/20、25/25μmのパターンを露光した。
<工程(d)>
1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度30℃、スプレー圧0.15MPa)を用いて現像処理を行い、レジストパターンを作製した。
(膜減り評価)
レーザー顕微鏡(装置名:VK−8500、キーエンス社製)を用いて得られたレジストパターンの膜厚を測定し、酸素阻害による膜減りを表面硬化性として評価した。評価結果を表13及び表14に示す。
○・・・膜減り量が0.5μm未満
△・・・膜減り量が0.5μm以上1.5μm未満
×・・・膜減り量が1.5μm以上
(解像性評価)
走査型電子顕微鏡(装置名:JSM−6510、日本電子社製)を用いてレジストパターンの解像性を観察した。結果を表13及び表14に示す。
○・・・アンダーカットあるいは裾引きがほとんどなく、レジスト剥離やショート欠陥もない
△・・・アンダーカットあるいは裾引きによる線太りはあるが、実用上問題ないレベル
×・・・アンダーカットあるいは裾引きが大きく、実用上問題となるショート欠陥がある
(断面形状評価)
走査型電子顕微鏡(装置名:JSM−6510、日本電子社製)を用いてレジストの断面形状を観察した。結果を表13及び表14に示す。図3は、絶縁性基板5に導電層4を載置した基板2上に作製された光架橋性樹脂層の架橋部3によるレジストパターンの断面形状を示す断面図であり、この(A)〜(E)で評価した。
(A)・・・膜減りなく、レジスト形状も良好
(B)・・・膜減りはないが、アンダーカットが発生
(C)・・・膜減りはないが、顕著なアンダーカットがあり、レジスト剥離が発生
(D)・・・膜減りとハレーションによる裾引きが発生
(E)・・・膜減りとハレーションによる裾引きが顕著に発生し、レジストのショート欠陥が発生
Figure 0005485713
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実施例1〜15において、光重合開始剤成分に対するジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物の配合量によって、表面硬化性が変化し、レジストの断面形状の改善や膜減りの抑制に効果的であることが分かった。また、一般的には、薄膜化後の光架橋性樹脂層の厚みが薄くなるにつれ、酸素阻害による膜減り及びハレーション起因の裾引きが発生しやすくなる傾向があるが、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物を適量添加することによって良好なレジストパターンを形成させることができた。
比較例1〜11において、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物の配合量が、本発明の範囲よりも少ない場合、表面硬化性が不十分で、膜減り及びハレーションによる裾引きがあり、レジストのショート欠陥が発生していた。また、本発明の範囲よりも多い場合、表面硬化性が高くなりすぎて光架橋性樹脂層の内部または深部の硬化が不十分となり、レジストの断面形状が逆台形化することによりレジスト剥離が発生していた。
(エッチングレジスト層の作製2)
<工程(a)>
ガラス基材エポキシ樹脂銅張積層板に、ドリルを用いて直径500μmの貫通孔を100穴ずつ形成した後、貫通孔内部と銅箔上に10μm厚のめっき銅層を形成した孔あり銅張積層板上に、耐熱シリコンゴムライニング表面処理されたラミネートロールを備えたドライフィルム用ラミネータを用いて、保護フィルムを剥がしながら、ロール温度100℃、エアー圧力0.30MPa、ラミネート速度0.50m/minにて、実施例16〜34、比較例12〜29のドライフィルムレジストをラミネートした。
<工程(e)>
光架橋性樹脂層を薄膜化する前に、ダイレクトイメージング露光機(装置名:LI−8500、大日本スクリーン製造社製)を用い、孔に対して片側100μmのランドを設けたランド部のみを露光した。
<工程(b)>
ランド部の光架橋性樹脂層を硬化させた後、支持層フィルムを剥離した後、ランド部以外の未硬化の光架橋性樹脂層の厚みが20、15、10、5μmになるように、10質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度25℃、スプレー圧0.05MPa)で処理した後、pH8に調整された0.1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温25℃、スプレー圧0.15MPa)を光架橋性樹脂層1cm当たり0.2L/minの供給流量で十分に洗浄処理を行い、その後、冷風乾燥させ、薄膜化された光架橋性樹脂層を得た。
<工程(c)、工程(d)>
薄膜化処理後、実施例1と同様に、工程(c)、工程(d)処理を行い、レジストパターンを作製した。1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度30℃、スプレー圧0.15MPa)を用いて現像処理を行い、レジストパターンを作製した。
(膜減り評価)
レーザー顕微鏡(装置名:VK−8500、キーエンス社製)を用いて得られたレジストパターンの膜厚を測定し、酸素阻害による膜減りを表面硬化性として評価した。評価結果を表15〜表18に示す。
○・・・膜減り量が0.5μm未満
△・・・膜減り量が0.5μm以上1.5μm未満
×・・・膜減り量が1.5μm以上
(解像性評価)
走査型電子顕微鏡(装置名:JSM−6510、日本電子社製)を用いてレジストパターンの解像性を観察した。結果を表15〜表18に示す。
○・・・アンダーカットあるいは裾引きがほとんどなく、レジスト剥離やショート欠陥もない
△・・・アンダーカットあるいは裾引きによる線太りはあるが、実用上問題ないレベル
×・・・アンダーカットあるいは裾引きが大きく、実用上問題となるショート欠陥がある
(断面形状評価)
走査型電子顕微鏡(装置名:JSM−6510、日本電子社製)を用いてレジストの断面形状を観察した。結果を表15〜表18に示す。図4は、孔6を有し、孔内部と絶縁性基板5表面に導電層4が設けられている基板2上に作製された光架橋性樹脂層の架橋部3によるレジストパターンの断面形状を示す断面図であり、この(A)〜(E)で評価した。
(A)・・・厚膜部分(ランド部)、薄膜部分(薄膜化された光架橋性樹脂層)ともに膜減りなく、レジスト形状も良好。
(B)・・・厚膜部分、薄膜部分ともに膜減りはないが、厚膜部分でアンダーカットが発生
(C)・・・厚膜部分、薄膜部分ともに膜減りはないが、厚膜部分で顕著なアンダーカットがあり、レジスト剥離が発生
(D)・・・厚膜部分、薄膜部分ともに膜減りはないが、薄膜部分でアンダーカットが発生
(E)・・・厚膜部分は膜減りなく、レジスト形状も良好であるが、薄膜部分で膜減りとハレーションによる裾引きが発生
(F)・・・厚膜部分だけでなく薄膜部分でも膜減りとハレーションによる裾引きがあり、薄膜部分でレジストのショート欠陥が発生
Figure 0005485713
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(断面形状評価)
実施例16〜34において、厚膜部分と薄膜部分でともに良好なレジストパターンを作製するため、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物及びアシルフォスフィンオキサイド化合物を添加した。前者は、表面硬化性に起因し、特に薄膜部分での膜減り及びハレーションによる裾引きを抑制に効果的だった。その際、厚膜部分で内部硬化性または深部硬化性が不十分となるのを避けるため、アシルフォスフィンオキサイド化合物の添加が非常に有効であることが分かった。この2つの光重合開始剤を組み合わせて適量配合することにより、厚膜部分と薄膜部分の両方で良好なレジストパターンを形成させることができた。
比較例12〜29において、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物の配合量が、本発明の範囲よりも少ない場合、表面硬化性が不十分で、薄膜部分だけでなく、厚膜部分でも膜減り及びハレーションによる裾引きがあり、特に、薄膜部分でレジストのショート欠陥が発生していた。また、本発明の範囲よりも多い場合、表面硬化性が高くなりすぎて厚膜部分で十分な硬化深度が得られず、ランド部のレジストが剥離していた。一方、厚膜部分の内部または深部硬化性を向上させる目的で添加したアシルフォスフィンオキサイド化合物の配合量が、本発明の範囲よりも少ないと、厚膜部分の硬化深度が不十分で、アンダーカットによるレジスト剥離が発生した。また、本発明の範囲よりも多くなると、薄膜部分での深部硬化性が顕著になり、ハレーション起因の裾引きが増大した。
本発明は、サブトラクティブ法を用いた微細な金属パターンの作製に広く利用される。例えば、プリント配線板やリードフレームの製造方法として利用することができる。
1 光架橋性樹脂層(未架橋部)
2 基板
3 光架橋性樹脂層の架橋部
4 導電層
5 絶縁性基板
6 孔

Claims (2)

  1. (a)表面に導電層が設けられている基板上に光架橋性樹脂組成物を含有してなる光架橋性樹脂層を形成する工程、(b)アルカリ水溶液によって未硬化の光架橋性樹脂層の薄膜化処理を行う工程、(c)回路パターンの露光工程、(d)現像工程を含んでなるレジストパターンの作製方法で使用される光架橋性樹脂組成物において、
    (A)カルボキシル基を含有するポリマー、(B)分子内に少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)重合禁止剤を含有してなり、(C)成分として、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が(C)成分全体に対して4.0〜15質量%、かつ、光架橋性樹脂組成物に対して0.20〜0.60質量%含有されてなることを特徴とする光架橋性樹脂組成物。
  2. (a)表面に導電層が設けられている基板上に光架橋性樹脂組成物を含有してなる光架橋性樹脂層を形成する工程、(e)一部の光架橋性樹脂層を露光して硬化させる工程、(b)アルカリ水溶液によって未硬化の光架橋性樹脂層の薄膜化処理を行う工程、(c)回路パターンの露光工程、(d)現像工程を含んでなるレジストパターンの作製方法で使用される光架橋性樹脂組成物において、
    (A)カルボキシル基を含有するポリマー、(B)分子内に少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)重合禁止剤を含有してなり、(C)成分として、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が(C)成分全体に対して4.0〜15質量%、かつ、光架橋性樹脂組成物に対して0.20〜0.60質量%含有されてなり、さらに、アシルフォスフィンオキサイド化合物が(C)成分全体に対して20〜75質量%、かつ、光架橋性樹脂層に対して1.00〜3.00質量%含有されてなる光架橋性樹脂組成物。
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