JP5485115B2 - 覚醒装置及び軌道系車両 - Google Patents
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特許文献1には、運転士の居眠りを防止する技術が開示されている。特許文献1によれば、一定時間毎に運転士からの入力信号がない場合に圧縮エアを運転士に吹き付けることで運転士に注意を喚起する。
また、照明を変更する方法を用いる場合、昼夜で運転室の明るさが異なるため、例えば昼など周囲が明るい時間には、運転士が照明の変更に気づかない惧れがある。また、音声を出力する方法を用いる場合、運転室の窓や扉が開いているときに、音声がエンジン音や作業音にかき消されて運転士に気づかれない惧れがある。また、香りを放出する方法を用いる場合、運転室の窓や扉が開いているときに、窓からの空気の流れが発生するため、香りが流され、運転士に気づかれない惧れがある。
図1は、覚醒装置3を設置した軌道系車両の運転室の側面図である。
軌道系車両の運転室には、軌道系車両を操作する運転台1と、運転士が着座する座席2と、運転士を覚醒させる覚醒装置3とを備える。
運転台1には、軌道系車両の運転に用いるレバー・ボタン等の操作部11、及び軌道系車両の運転に供しないが覚醒装置3の挙動をリセットさせるリセットボタン12が設けられている。
座席2は、運転士が着座した場合に運転士が運転台1の操作部11に相対するように設けられる。
覚醒装置3は、座席2の前方(車両進行方向前方)かつ運転台1の後方(車両進行方向後方)の床に設けられる。また、覚醒装置3の上面には足置きパネル101が設けられており、運転士が座席2に着座したときに運転士の足によって足置きパネル101が踏下される。
覚醒装置3が設置される床には、凹部4が設けられており、覚醒装置3の足置きパネル101は、ヒンジ102によって凹部4の座席2側の部分に、足置きパネル101の幅方向の回転軸回りに回動可能に支持される。
また、覚醒装置3は、復元バネ103(付勢手段)を備え、復元バネ103は、足置きパネル101の運転台1側の端が上方向に移動するように、足置きパネル101を付勢する。具体的には、復元バネ103は、足置きパネル101の上面のうちヒンジ102より座席2側の部分と、床面の下面のうちヒンジ102より座席2側の部分との間に設けられ、足置きパネル101の座席2側の端を下方向に付勢することにより、足置きパネル101の運転台1側の端を上方向に付勢する。
なお、ロッド105cは、ヒンジ107によって、足置きパネル101の下面のうちヒンジ102より運転台1側の部分に、足置きパネル101の幅方向の回転軸回りに回動可能に支持される。また、エアシリンダ105のヘッドは、ヒンジ108によって凹部4の底部に、足置きパネル101の幅方向の回転軸回りに回動可能に支持される。
また、変位センサ104がONを出力している場合において操作部11から信号が所定時間の間に出力されないとき、制御部113は、ピストン105bの位置を所定の位置へ移動させるために電磁弁109の励磁・非励磁の切り替えを行う。なお、制御部113は、シリンダセンサ106の出力に基づいてピストン105bの位置を認識する。
図3は、覚醒装置3の作用を示す図である。
運転士による足置きパネル101の踏下がない状態では、復元バネ103が足置きパネル101の座席2側の端を下方向に付勢することで、足置きパネル101の運転台1側の端を上方向へ移動させる力が発生する。また、初期状態において電磁弁109は非励磁状態であるため、エアがロッド側シリンダ室105dに供給されることで、ロッド側シリンダ室105dに充填されたエアによってピストン105bは、ヘッド方向に押される。なお、このときロッド側シリンダ室105dの圧力は、エア源の圧力と等しい。ロッド105cの一端はピストン105bに固着され、他端はヒンジ107によって足置きパネル101に支持されるため、足置きパネル101の運転台1側の端を下方向へ移動させる力が発生する。復元バネ103は、長さが短くなるほど復元力が強くなるため、復元バネ103の復元力とロッド側シリンダ室105dに充填されたエアがピストン105bを押す力とが釣り合う位置で、足置きパネル101の姿勢が維持される。なお、このとき足置きパネル101の運転台1側の端の高さは、図3(A)に示すように、床面より高い位置となるため、変位センサ104の出力はOFFを示す。
なお、このとき足置きパネル101の踏下によりピストン105bがヘッド方向に移動するため、ロッド側シリンダ室105dに充填されるエアの量は、運転士による足置きパネル101の踏下がない状態より多くなる。この時点で、運転士が足置きパネル101から足を離すと、ロッド側シリンダ室105dの圧力とエア源の圧力とが一定になるように充填されたエアがエア源へ排出されることとなる。そのため、運転士が足置きパネル101から足を離すと、図3(A)に示すように復元バネ103の復元力とロッド側シリンダ室105dに充填されたエアがピストン105bを押す力とが釣り合う位置で、足置きパネル101の姿勢が維持される。
図4は、制御部113の構成を示す概略ブロック図である。
制御部113は、変位センサ入力部301、計時部302、操作信号入力部303、リセット信号入力部304、リセット部305、注意喚起判定部306、覚醒判定部307、励磁パターン記憶部308、シリンダセンサ入力部309、励磁制御部310、ブレーキ制御部311を備える。
計時部302は、変位センサ入力部301に足置きパネル101が踏下されたことを示す信号が入力された後に軌道系車両が運行を開始した時刻からの経過時間を計時する。
操作信号入力部303は、操作部11の操作によって発生する信号を入力する。
リセット信号入力部304は、リセットボタン12の押下によって発生する信号を入力する。
リセット部305は、操作部11の操作またはリセットボタン12の押下があった場合に、計時部302が計時する経過時間を0にリセットする。
覚醒判定部307は、計時部302が計時する経過時間が所定の覚醒時間(例えば、30秒)に達しているか否かを判定する。また、覚醒判定部307は、経過時間が覚醒時間に達した回数を計数し、覚醒制御回数として内部メモリに記憶する。
励磁制御部310は、注意喚起判定部306または覚醒判定部307によって経過時間が所定の時間を経過していると判定された場合に、励磁パターン記憶部308から注意喚起パターンを読み出し、シリンダセンサ入力部309が入力した信号に基づいて、電磁弁109の励磁・非励磁を制御する。
ブレーキ制御部311は、計時部302が計時する経過時間が所定の停止制御時間(例えば、35秒)を超えた場合に、軌道系車両を停止させる。
図5は、制御部113の動作を示すフローチャートである。
計時部302は、変位センサ入力部301からの入力を監視し、足置きパネル101が踏下されているか否かを判定する(ステップS1)。すなわち、計時部302は、変位センサ入力部301が入力した信号がONを示すか否かを判定する。変位センサ入力部301が入力した信号がOFFである場合(ステップS1:NO)、ステップS1の判定処理を繰り返す。
操作信号入力部303及びリセット信号入力部304の何れにも信号が入力されなかった場合(ステップS8:NO)、覚醒判定部307は、計時部302が計時する経過時間が、所定の覚醒時間(例えば、30秒)を超えたか否かを判定する(ステップS9)。経過時間が覚醒時間を超えていない場合(ステップS9:NO)、ステップS8に戻り、操作信号またはリセット信号の入力の有無の判定を行う。他方、経過時間が覚醒時間を超えた場合(ステップS9:YES)、覚醒判定部307は、内部メモリに記憶する覚醒制御回数に1を加算する。次に、励磁制御部310は、覚醒判定部307が計数する覚醒制御回数に応じた制御パターンを励磁パターン記憶部308から読み出し、当該制御パターンで電磁弁109の励磁・非励磁を制御する(ステップS10)。
操作信号入力部303及びリセット信号入力部304の何れにも信号が入力されなかった場合(ステップS11:NO)、ブレーキ制御部311は、計時部302が計時する経過時間が、所定の停止制御時間(例えば、35秒)を超えたか否かを判定する(ステップS12)。経過時間が停止制御時間を超えていない場合(ステップS12:NO)、ステップS11に戻り、操作信号またはリセット信号の入力の有無の判定を行う。他方、経過時間が停止制御時間を超えた場合(ステップS12:YES)、ブレーキ制御部311は、操作部11に非常ブレーキの作動命令を出力する(ステップS13)。
例えば、本実施形態では、足置きパネル101の幅方向に伸びる軸回りに足置きパネル101を回動させる場合を説明したが、これに限られない。例えば、足置きパネル101の奥行き方向に伸びる軸回りに足置きパネル101を回動させるなど、水平方向に沿った軸回りに回動させることで、運転士を覚醒させる効果を得ることができる。
本実施形態では、足置きパネル101の踏下を検知するセンサに変位センサ104を用いる場合を説明したが、これに限られない。例えば、図6に示す第1の変形例のように、変位センサ104の代わりに、凹部4の運転台1側の端の上方における障害物までの距離を検知する光学センサ114を備えることで、足置きパネル101の踏下を検知するようにしても良い。この場合、制御部113は、障害物までの距離が所定の距離未満であると判定した場合に、足置きパネル101が踏下されたと判定する。
本実施形態では、足置きパネル101を回動させる動力源としてエアシリンダ105のようにアクチュエータを用いる場合を説明したが、これに限られず、他の動力源(モータやエンジンなど)を用いても良い。具体的には、図7に示す第2の変形例のように、エアシリンダ105による駆動機構の代わりに、歯車115、歯車116、モータ117による駆動機構を備え、変位センサ104の代わりにモータ117の回転数を計測するエンコーダ118を備えるようにしても良い。
歯車116は、略円盤状をなす部材であって、モータ117の回転軸に固定され、その外周面には、歯車115と嵌合するギア歯が形成されている。
エンコーダ118は、モータ117の回転数を計測することで、足置きパネル101の高さを検知する。
また、モータ117の回転数が所定数以上を示す場合において操作部11から信号が所定時間の間に出力されないとき、制御部113は、モータ117への電力供給を行い、足置きパネル101の回動の制御を行う。
第3の変形例による覚醒装置3が設置される床には、凹部4が設けられている。凹部4の壁面には、LM(Linear Motion)ガイドレール119aを鉛直方向に案内するLMガイドブロック119bが設けられる。LMガイドレール119aの上端には足置きパネル101が固着される。また、覚醒装置3は、復元バネ103を備え、復元バネ103は、凹部4の底部に固着され、足置きパネル101を上方向に付勢する。また、覚醒装置3は、LMガイドレール119aの下方に、足置きパネル101の踏下を検知する変位センサ104を備える。変位センサ104は、リミットスイッチであり、足置きパネル101の高さが床面と同じ高さになったときに足置きパネル101に固着されたLMガイドレール119aにより押下され、ONを示す信号を出力する。また、覚醒装置3は、空気を作動流体としてその空圧で作動し、足置きパネル101を昇降させるエアシリンダ105を備える。エアシリンダ105のロッド105cは、足置きパネル101の下面に固着される。また、エアシリンダ105のヘッド側の端は、凹部4の底部に固着される。また、覚醒装置3は、エアシリンダ105へのエアの供給方向を切り替える電磁弁109、及び電磁弁109の励磁・非励磁を切り替える制御部113を備える。
第4の変形例による覚醒装置3は、床に埋設されたラムシリンダ120を備える。ラムシリンダ120は、シリンダ本体120aと、柱状に形成され、延在方向の一端がシリンダ本体120aの外側に突出し、シリンダ本体120aの内周壁に密接しながらその長手方向に摺動可能に収容されたラム120bとによって構成される。なお、シリンダ本体120aは、ラム120bが鉛直上方向に突出するように埋設される。ラム120bの上端には、足置きパネル101が固着される。他方、ラム120bの下端には、シリンダ室120cが区画形成される。
また、シリンダ本体120aとラム120bとの間には、ラム120bをシリンダ本体120aの外側に付勢する復元バネ103が設けられる。
上記構成を備えることで、ラムシリンダ120のラム120bの移動に伴い、ラム120bに固着される足置きパネル101が上下方向に昇降することとなる。
第5の変形例による覚醒装置3が設置される床面には、凹部4が設けられている。
覚醒装置3は、棒状に形成される第1リンク部材123a及び第2リンク部材123bによって構成されるリンク123を備える。第1リンク部材123aと第2リンク部材123bとは、その中心においてヒンジ123cを介して回動可能に結合されている。第1リンク部材123aの下端は、ヒンジ124によって凹部4の壁面に水平軸まわりに回動可能に支持される。第1リンク部材123aの上端は、スライダ125によって足置きパネル101の下面に水平方向に摺動可能かつ回動可能に係合される。また、第2リンク部材123bの上端は、ヒンジ126によって足置きパネル101の下面に水平軸回りに回動可能に支持される。また、第2リンク部材123bの下端は、第2リンク部材123bの下端を水平方向に案内するレール127に摺動可能に嵌合される。
また、覚醒装置3は、復元バネ103を備え、復元バネ103は、足置きパネル101の運転台1側の端が上方向に移動するように、足置きパネル101を付勢する。具体的には、復元バネ103は、凹部4の壁面のうち、第1リンク部材123aの下端を支持するヒンジ124に対向する壁面に固設され、第2リンク部材123bの下端を第1リンク部材123aの下端に近接させる方向に付勢する。第1リンク部材123aと第2リンク部材123bとは、ヒンジ123cによって支持されるため、第2リンク部材123bの下端が第1リンク部材123aの下端へ近接することで、第2リンク部材123bの上端及び第1リンク部材123aの上端は、互いに近接しながら上方向に移動する。
Claims (7)
- 座席に着座して操作部の操作を行う使用者を覚醒させる覚醒装置であって、
前記座席前方の床に設けられた足置きパネルと、
前記使用者による前記足置きパネルの踏下を検知するセンサと、
前記足置きパネルを移動させる動力源と、
前記センサによる前記足置きパネルの踏下が検知されている間、前記操作部の操作によって発生する信号を取得し、取得した信号に基づいて前記動力源の駆動を制御する制御部と
を備えることを特徴とする覚醒装置。 - 前記制御部は、前記センサによる前記足置きパネルの踏下が検知されていない場合、前記動力源を駆動させない
ことを特徴とする請求項1に記載の覚醒装置。 - 前記足置きパネルは、水平方向に沿った回転軸回りに回動可能に支持され、
前記動力源は、駆動によって前記足置きパネルを前記回転軸回りに回動させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の覚醒装置。 - 前記足置きパネルの少なくとも一部を所定の位置から上方向に移動させように前記足置きパネルを付勢する付勢手段を備え、
前記センサは、前記足置きパネルが所定の位置に存在する場合に前記足置きパネルの踏下を検知する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の覚醒装置。 - 前記動力源は、前記足置きパネルを座席方向に起伏させる
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の覚醒装置。 - 前記制御装置は、前記センサによって前記足置きパネルの踏下が検知されており、かつ前記操作部の操作によって発生する信号を一定期間取得していない場合に、前記動力源を動作させる
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の覚醒装置。 - 請求項1に記載の覚醒装置を搭載することを特徴とする軌道系車両。
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