JP5483978B2 - N−置換イミダゾール系化合物の製造方法 - Google Patents

N−置換イミダゾール系化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はN−置換イミダゾール系化合物の製造方法に関する。N−置換イミダゾール系化合物は、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の硬化剤や硬化助剤、各種農薬や医薬中間体、染色中間体として有用に用いられる化合物である。
N−置換イミダゾール系化合物を合成する方法としては、目的とするN−置換イミダゾール系化合物の種類にもよるが、例えば、イミダゾール系化合物とクロロエチルアミン塩酸塩を反応させて、1−(2−アミノエチル)イミダゾール類を合成する方法(非特許文献1)、イミダゾール系化合物とエチレンカーボネートを反応させて、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール類を合成する方法(特許文献1)、イミダゾールと、ハロゲン化物および水酸化物水溶液とをN−置換イミダゾールの存在下に反応させる方法(特許文献2)等が挙げられる。
上記先行技術文献の方法により得られた反応液には、目的のN−置換イミダゾール系化合物だけでなく、未反応原料や副生物であるN−無置換イミダゾール系化合物等も含まれているので、N−置換イミダゾール系化合物の分離・精製が必要となる。しかし、N−置換イミダゾール系化合物は融点が低いので、再結晶での精製は困難であり、また有機溶媒による抽出は、作業が煩雑となるので、製造効率上の課題がある。そのため、高純度で製造効率良くN−置換イミダゾール系化合物を得るためには、蒸留による精製が好適であると考えられる。
米国特許第3178446号明細書 特開平4−226961号公報
Synthetic Communication, 21(4), 535-544, 1991
しかしながら、反応液に含まれる未反応のN−無置換イミダゾール系化合物は、融点が最も低いイミダゾールでも90℃程度であり、これを蒸留により分離する際には、コンデンサーなどの留出ライン中で冷却され、固化、閉塞するおそれがある。そのため、特殊な蒸留装置が必要であったり、2段で蒸留する必要があるなど、非常に煩雑で、製造効率が悪いという課題があった。
そこで、本発明は、高純度のN−置換イミダゾール系化合物を効率良く製造することを目的とする。
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、N−無置換イミダゾール系化合物とアルキル化剤とを特定の溶媒の存在下で反応させた後、得られた反応混合物を蒸留することによって、未反応原料として反応混合物中に混在するN−無置換イミダゾール系化合物が留出時に固化し難くなり、高純度でN−置換イミダゾール系化合物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、下記式(2)に示すN−無置換イミダゾール系化合物とアルキル化剤とを、常圧での沸点が前記式(2)に示すN−無置換イミダゾール系化合物の常圧での沸点に対して±30℃の温度範囲内であるアルコール系溶媒の存在下で、反応させた後、得られた反応混合物を蒸留することにより下記式(1)に示すN−置換イミダゾール系化合物を分留することを特徴とするものである。
以下、式(1)に示すN−置換イミダゾール系化合物を単に「N−置換イミダゾール系化合物」と記し、式(2)に示すN−無置換イミダゾール系化合物を単に「N−無置換イミダゾール系化合物」と記すことがある。
Figure 0005483978
(式中、R1〜R3は、各々独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは、炭素数8〜20のアルキル基、または水酸基もしくはアミノ基で置換された炭素数1〜6のアルキル基である。)

Figure 0005483978
(式中、R1〜R3は、各々独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。)
本発明によれば、N−無置換イミダゾール系化合物とアルキル化剤とのアルキル化反応中に存在する溶媒がN−無置換イミダゾール系化合物の沸点に近似する沸点を有するので、得られた反応混合物を蒸留することによって、得られた反応混合物中に存在する未反応のN−無置換イミダゾール系化合物が溶媒と共に留出される。これにより、留出ライン中でN−無置換イミダゾール系化合物が固化して、ラインが閉塞するといった不具合が生じ難くなり、したがって、特殊な蒸留装置や煩雑な作業が不要となり、高純度のN−置換イミダゾール系化合物を効率良く製造することができる。
以下に、本発明を詳細に述べる。
なお、本発明における常圧とは1atmのことをさす。
本発明は、N−置換イミダゾール系化合物を製造する方法であって、N−無置換イミダゾール系化合物とアルキル化剤とを、所定の沸点を有する溶媒の存在下で、反応させた後、得られた反応混合物を蒸留することによりN−置換イミダゾールを分留するものである。まず、N−置換イミダゾール系化合物とアルキル化剤とのアルキル化反応について説明する。
〔N−置換イミダゾール系化合物とアルキル化剤との反応〕
本発明においてはN−無置換イミダゾール系化合物(A)とアルキル化剤(B)とを反応させて、N−アルキル置換イミダゾール系化合物を合成するものである。
以下、下記式(1)に示すN−アルキル置換イミダゾール系化合物を製造する方法を一例として説明する。
Figure 0005483978
式中、R1〜R3は、各々独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは、炭素数8〜20のアルキル基、または水酸基もしくはアミノ基で置換された炭素数1〜6のアルキル基である。好ましくは、R1が水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、R2およびR3が水素原子、Xが水酸基またはアミノ基を含む炭素数1〜3のアルキル基である。
(A)N−無置換イミダゾール系化合物
N−無置換イミダゾール系化合物は、典型的には、下記式(2)の構造を有するイミダゾール化合物である。
Figure 0005483978
式(2)中、R1〜R3は、各々独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
式(2)で示すN−無置換イミダゾール化合物としては、具体的には、イミダゾール;2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール等の2−アルキルイミダゾール、4−メチルイミダゾール等の4−アルキルイミダゾール等が挙げられ、中でも、イミダゾール、2−アルキルイミダゾール(とりわけ2−メチルイミダゾール)が好ましい。
(B)アルキル化剤
アルキル化剤としては、アルキルハライド、アルキレンオキサイド、末端に脱離基を有する1級アルキルアルコール、2位に脱離基を有するエチルアミン誘導体等が挙げられる。
アルキルハライドとしては、下記式(3)の構造を有するアルキルハライドが挙げられる。
Figure 0005483978
式(3)中、nは7〜19の自然数、Xは塩素、臭素、ヨウ等のハロゲン原子である。かかるアルキルハライドとしては、具体的には、1−クロロオクタン、1−ブロモオクタン、1−ヨードオクタン、1−クロロデカン、1−ブロモデカン、1−ヨードデカン、1−クロロドデカン、1−ブロモドデカン、1−ヨードドデカン、1−クロロヘキサデカン、1−ブロモヘキサデカン、1−ヨードヘキサデカン等が挙げられ、中でも、末端のハロゲン原子が塩素原子であることが、末端のハロゲン原子が臭素原子やヨウ素原子の場合と比較して、4級塩化反応が進行し難く、目的のN−置換イミダゾール系化合物が得られ易い傾向がある点で好ましい。
アルキレンオキサイドとしては、下記式(4)の構造を有するアルキレンオキサイドが挙げられる。
Figure 0005483978
式(4)中、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。アルキレンオキサイドとしては、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブテン、1,2−エポキシペンテン、1,2−エポキシヘキサン等が挙げられ、中でも、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好ましい。
末端に脱離基を有する1級アルキルアルコールとしては、下記式(5)の構造を有するアルキルアルコールが挙げられる。
Figure 0005483978
式(5)中、nは1〜6の自然数、Xは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子である。かかるアルキルアルコールとしては、具体的には、2−クロロエタノール、3−クロロ−1−プロパノール、4−クロロ−1−ブタノール、2−ブロモエタノール、3−ブロモ−1−プロパノール、2−ヨードエタノール、3−ヨード−1−プロパノール等が挙げられ、中でも、末端の脱離基が塩素原子である1級アルキルアルコールが、末端の脱離基が臭素原子やヨウ素原子の場合と比較し、4級塩化反応が進行し難く、目的のN−置換イミダゾール系化合物が得られ易い傾向がある点で好ましい。
2位に脱離基を有するエチルアミン誘導体としては、下記式(6)の構造を有するエチルアミン誘導体が挙げられる。
Figure 0005483978
式(6)中、Yは塩素、臭素、ヨウ素、フッ素等のハロゲン原子、置換基を有していても良いスルホニルオキシ基、スルホン酸基である。かかるエチルアミン誘導体としては、具体的には、2−クロロエチルアミン誘導体、2−ブロモエチルアミン誘導体、2−ヨードエチルアミン誘導体、2−フルオロエチルアミン誘導体、p−トルエンスルホン酸(2−アミノエチル)エステル誘導体、メタンスルホン酸(2−アミノエチル)エステル誘導体、トリフルオロメタンスルホン酸(2−アミノエチル)エステル誘導体、2−アミノエチル硫酸エステル誘導体等が挙げられ、中でも、Yがハロゲン原子、スルホン酸基のもの、さらにYが塩素原子、臭素原子、スルホン酸基のものが、工業的に原料を入手し易い点で特に好ましい。
かかるアルキル化剤(B)の使用量は、N−無置換イミダゾール系化合物(A)に対して、通常0.7〜3当量、好ましくは0.8〜2当量である。アルキル化剤(B)が多すぎると、副反応が起きるため不純物が増加する傾向があり、少なすぎると、未反応の原料が残存し、収率を低下させる傾向がある。なお、アルキル化剤(B)として、アルキルハライド、末端に脱離基を有する1級アルキルアルコールや2位に脱離基を有するエチルアミン誘導体を用いる場合、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カリウムと炭酸カリウムの混合物などといったアルカリ金属の水酸化物と炭酸塩の混合物等を、N−無置換イミダゾール系化合物(A)に対して、0.5〜5当量、特に0.6〜4当量配合することが好ましい。
本発明においては、N−無置換イミダゾール系化合物とアルキル化剤とのアルキル化反応を特定の溶媒の存在下で行なう。特定の溶媒とは、常圧(1atm)での沸点がN−無置換イミダゾール系化合物の常圧(1atm)での沸点に対して±30℃の温度範囲内の溶媒(以下、特定溶媒ともいう。)である。好ましい沸点の温度範囲は−27℃〜+20℃であり、特に好ましい沸点の温度範囲は−25℃〜+10℃である。かかる沸点の温度範囲が上記範囲を外れると、留出したN−無置換イミダゾール系化合物が固化して、ラインが閉塞する傾向がある。なお、常圧での沸点(以下、単に「沸点」ともいう。)は、エブリオメーターなどにより測定することができる。
特定溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、シス−2−ブテン−1,4−ジオール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2,2‘−チオジエタノールなどのアルコール系溶媒;シクロヘキシルベンゼン、o−ニトロアニソール、1−クロロナフタレン、1−ブロモナフタレン、ビシクロヘキシルなどの芳香族炭化水素系溶媒;1,1,2,2−テトラブロモエタンなどのハロゲン系溶媒;プロピルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、メチルサリチレート、桂皮酸エチルなどのエステル系溶媒;フェニルエーテル、ベンジルエーテルなどのエーテル系溶媒;α−トルニトリル、スクシノニトリルなどのニトリル系溶媒;2−ピロリジノン、1−エチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒;プロピレンカーボネートなどの炭酸エステル系溶媒;キノリン、イソキノリンなどのヘテロ芳香族系溶媒等が挙げられ、特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール系溶媒;o−ニトロアニソールなどの芳香族炭化水素系溶媒;フェニルエーテル、ベンジルエーテルなどのエーテル系溶媒;2−ピロリジノン、1−エチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒が、工業的に原料を入手し易い点で好ましい。これら特定溶媒の中から1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、特定溶媒として上記アルコール系溶媒が用いられる。
特定溶媒の使用量は、N−無置換イミダゾール系化合物(A)の含量に対して、通常0.3〜10倍(質量基準)、好ましくは0.5〜8倍(質量基準)である。
また、N−無置換イミダゾール系化合物とアルキル化剤とのアルキル化反応においては、上記特定溶媒以外の他の溶媒を併せて用いることができる。他の溶媒は、常圧での沸点が上記特定溶媒の常圧での沸点よりも低い沸点を有する溶媒(以下、低沸点溶媒ともいう。)である。低沸点溶媒の常圧での沸点は、常温(25℃)以上であり、かつN−無置換イミダゾール系化合物の常圧での沸点に対して40℃以上、好ましくは45℃以上、さらに好ましくは50℃以上低い沸点である。かかる低沸点溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;N, N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;トルエンなどの炭化水素系溶媒が挙げられ、これら溶媒の中から1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
特定溶媒と低沸点溶媒とを併用する場合には、特定溶媒/低沸点溶媒の質量比は通常、1/0.1〜1/10であり、好ましくは1/0.5〜1/8、特に好ましくは1/0.8〜1/6、殊に好ましくは1/1〜1/5である。特定溶媒の割合が相対的に多すぎるとN−無置換イミダゾールの溶解性が低下する傾向があり、少なすぎると生産性が悪く、非経済的となる傾向がある。
以下、アルキル化反応に用いられる特定溶媒や低沸点溶媒を総括して反応溶媒とも言う。
N−無置換イミダゾール系化合物(A)とアルキル化剤(B)を反応させる際に用いられる反応器としては、例えば、温度計、還流冷却器、撹拌装置、不活性ガス流入設備、及び仕込装置を備えたオートクレーブや通常の反応器を用いて行うことができる。撹拌方法は、内容物を十分に混合できるものであれば、特に限定されない。
N−無置換イミダゾール系化合物(A)とアルキル化剤(B)を反応させる際の仕込み方法は、アルキル化剤(B)の種類に応じて適宜決定される。例えば、アルキル化剤(B)としてアルキレンオキサイドを用いる場合、反応器にN−無置換イミダゾール系化合物(A)と反応溶媒を仕込み、液温を所定温度にした後、アルキレンオキサイドを分割供給する。また、アルキル化剤(B)としてアルキルハライド、末端に脱離基を有する1級アルキルアルコールまたは2位に脱離基を有するエチルアミン誘導体を用いる場合、反応器にN−無置換イミダゾール系化合物(A)、塩基、及び反応溶媒を仕込み、液温を所定温度にした後、1級アルキルアルコールまたはエチルアミン誘導体を分割供給する。
反応温度は、アルキル化剤(B)としてアルキルハライドを用いる場合では、20〜200℃であることが好ましく、更に好ましくは25〜190℃、特に好ましくは30〜180℃である。また、アルキル化剤(B)としてアルキレンオキサイドを用いる場合では、30〜200℃であることが好ましく、更に好ましくは35〜190℃、特に好ましくは40〜180℃である。また、アルキル化剤(B)として、末端に脱離基を有する1級アルキルアルコールを用いる場合では、10〜200℃であることが好ましく、更に好ましくは20〜180℃、特に好ましくは25〜150℃である。さらに、アルキル化剤(B)として、2位に脱離基を有するエチルアミン誘導体を用いる場合では、50〜200℃であることが好ましく、更に好ましくは55〜190℃、特に好ましくは60〜180℃である。かかる温度が低すぎると反応速度が遅くなり収率が低下する傾向があり、温度が高すぎると副生物が増加し、収率および品質が低下する傾向がある。反応時間は、通常0.1〜24時間、好ましくは0.5〜20時間である。反応は、通常、常圧で行なうことができるが、アルキル化剤(B)としてアルキレンオキサイドを用いる場合、必要に応じて、加圧下で反応させても良い。
反応終了後の反応液には、未反応のN−無置換イミダゾール系化合物(A)やアルキル化剤(B)、目的物としてのN−置換イミダゾール系化合物、副生成物としての無機塩等、反応溶媒が含まれることとなる。アルキル化剤(B)として、上記のアルキルハライド、1級アルキルアルコールやエチルアミン誘導体を用いた場合に副生する無機塩は、ろ過で除去し、未反応のアルキレンオキサイドや低沸点溶媒は、減圧下留去する。
〔N−置換イミダゾール系化合物を分留する工程〕
N−無置換イミダゾール系化合物(A)とアルキル化剤(B)との反応が終了し、反応溶媒などの低沸点成分や無機塩等を除去した後、目的物であるN−置換イミダゾール系化合物を蒸留により分留する。
蒸留条件は、反応原料、反応目的物、副生成物、反応溶媒の種類や組成等により異なるが、基本的には、以下の(1)〜(3)の順序で蒸留を行なうことができる。
(1)低沸点成分(除去し切れなかった低沸点溶媒等)を留出させる。
(2)N−無置換イミダゾール系化合物(A)と特定溶媒との混合物を留出させる。
(3)目的物(N−置換イミダゾール系化合物)を留出させる。
なお、上記(1)(2)の各段階では、全留出(留出した液を蒸留缶に戻さずに留出側に流すこと)で蒸留を実施し、上記(3)の段階では、精留効果を上げるために、後述する還流比で蒸留を実施することが好ましい。
以下、N−無置換イミダゾール系化合物(A)としての2−メチルイミダゾールと、アルキル化剤(B)としてのエチレンオキサイドとを、特定溶媒としてのジエチレングリコールの存在下で、反応させて得られた、N−置換イミダゾール系化合物としての1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾールを含む濃縮液(以下、「粗1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール」と記す。)を蒸留する場合について説明する。
まず、粗1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾールの温度を加熱し、塔頂温を20〜95℃の温度範囲で保持して、残存している低沸点溶媒などの沸点の比較的低い成分を留出させる。さらに、95〜125℃の温度範囲で2−メチルイミダゾールとジエチレングリコールの混合物を留出させる。次いで、150〜180℃の温度範囲で1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾールを留出させる。なお、2−メチルイミダゾールの沸点は267℃(常圧)、ジエチレングリコールの沸点は245℃(常圧)である。
蒸留の際の圧力は、まず、減圧度を0.1kPa〜5kPaの範囲で調整して、残存している低沸点溶媒などの沸点の比較的低い成分や、2−メチルイミダゾールとジエチレングリコールの混合物を留出させる。その後、0.1kPa〜1kPaの範囲で1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾールを留出させる。
なお、上記の温度範囲や減圧度は例示であって、反応液中の各成分の組み合わせや含有量等によって、適切な温度範囲や減圧度範囲は異なってくるが、前記方法の要領で蒸留操作を実施すれば、他の系でも蒸留精製は可能である。
蒸留開始から終了までの時間は、特に限定されないが、24時間以下が好ましい。時間が長すぎると新規に不純物が発生する傾向にある。
上述の通り、残存している低沸点溶媒などの沸点の比較的低い成分や2−メチルイミダゾールとジエチレングリコールの混合物を留出させる間(上記(1)(2)の段階)は、全留出で蒸留を行なうことが好ましい。還流比を上げると、精留効果により、2−メチルイミダゾールとジエチレングリコールが分離して留出するので、ジエチレングリコールの溶媒としての効果が低下して、2−メチルイミダゾールが留出ライン中で固化、閉塞するおそれがあるからである。
一方、目的物であるN−置換イミダゾール系化合物は、還流比をつけない(全留出)と精留効果が低下し、品質(純度)を低下させる傾向にあるので、還流比を上げて蒸留することが好ましい。具体的には、還流比を1:1〜1:5程度にするのが好ましい。還流比を上げすぎると蒸留時間が長引き、製造コスト上昇や不純物副生の原因となる傾向がある。還流比1:1とは、留出した液の1/2量を留出側(留出タンク)へ流し、残り1/2量を蒸留缶に戻すことを意味し、還流比1:5とは、留出した液の1/6量を留出側(留出タンク)へ流し、残り5/6量を蒸留缶に戻すことを意味する。なお、還流比の調整は、例えば、蒸留缶へ戻る液量と留出側へ流す液量を調整できる計器を精留(蒸留)塔上部に設置することによって行うことができる。
蒸留を行なうための装置としては、N−無置換イミダゾール系化合物(A)およびアルキル化剤(B)を反応させるための反応装置と別の装置を用いても良いが、反応に用いた装置と同じ装置を用いて蒸留を行なうことが製造効率の点で好ましい。実験室レベルの量を蒸留するのであれば、例えば、温度計、撹拌装置、仕込装置、及び蒸留塔などを備えた通常の反応器で、蒸留塔の塔頂に還流比を調整するための装置が備わった反応装置を用いて行うことができる。また、工業レベルの量を蒸留するのであれば、例えば、温度計、撹拌装置、仕込装置、及び蒸留塔などを備えた蒸留設備であって、精留(蒸留)塔の塔頂と留出タンクとを結ぶラインの途中に、還流比を調整するための計器が備わった反応装置を用いて行うことができる。なお、撹拌方法としては、内容物が十分に混合できるものであれば、特に限定されない。
以上の蒸留操作により、N−無置換イミダゾール系化合物とアルキル化剤とのアルキル化反応により得られた、N−置換イミダゾール系化合物を含む反応混合物からN−置換イミダゾール系化合物を分留することができる。本発明によれば、N−置換イミダゾール系化合物を収率80%以上(対蒸留前)、純度90GCarea%以上で得ることができる。分留されたN−置換イミダゾール系化合物の純度や収率は、ガスクロマトグラフィーを用いて測定することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、得られたN−置換イミダゾール系化合物の純度や収率は、下記の測定条件によりガスクロマトグラフィーを用いて測定したものである。
カラム:DB−WAX 30m×0.53mmI.D.×1μm
昇温条件:100℃(保持0min)〜20℃/min〜220℃(保持19min)
注入口温度:230℃、スプリットレス
検出器温度:230℃、FID(水素炎イオン検出器)
キャリアガス:ヘリウム、90kPa
注入量:1μL
分析サンプル調製法:N−置換イミダゾール系化合物200mgを10mLメスフラスコに量り取り、メタノールでメスアップし、分析サンプルとした。
実施例1
1Lの反応器に2−メチルイミダゾール(沸点267℃)250.0g(3.05mol)、メタノール(沸点65℃)63.5g、ジエチレングリコール(沸点245℃)46.9g(0.44mol)を仕込み、窒素置換した後、液温を120℃まで昇温し、エチレンオキシド161.0g(3.65mol)を反応液温が130℃を越えないように滴下仕込みした。滴下終了後、1時間反応させた後、反応液を50℃まで冷却し、減圧下濃縮することで粗1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール445.6g〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール含量:272.3g、2−メチルイミダゾール含量:23.5g〕を取得した。収率は70.8%であった。なお、ジエチレングリコールを配合せずに同様にしてアルキル化反応を行なった場合の収率は、71.0%であった。
1Lの反応器の上部にマクマホンパッキン10mmを充填した直径24×150mmの上昇管を取り付けた装置に、上記粗1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール445.6g〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール含量:272.3g、2−メチルイミダゾール含量:23.5g〕を仕込み、減圧下蒸留した。はじめに真空度0.4kPaで適宜温度を上げ、低沸点成分を留出させた後、真空度0.4kPa、蒸留缶内液温160℃、塔頂温103℃の条件下で2−メチルイミダゾールとジエチレングリコールを混合物として24.6g留出させた。この際、冷却ライン中で2−メチルイミダゾールが固化することはなかった。
次いで、さらに液温を上げ、真空度0.4kPa、蒸留缶内液温183℃、塔頂温172℃の条件下で1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾールを留出させた。このときの還流比は1:2に設定した。取得した留分は240.3gで、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾールの純度は95.2GCarea%であった。また、収率は59%(対2−メチルイミダゾール)であった。なお、対蒸留前1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール含量の収率は84%であった。
比較例1
ジエチレングリコールの仕込みをしなかったことを除いて、実施例1と同様に1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾールの合成及び留出を試みた。しかし、蒸留操作の途上において、冷却ライン中で2−メチルイミダゾールが固化し、留出ラインの閉塞が起きた。したがって、以降の検討を中止した。
本発明の製造方法により得られるN−置換イミダゾール系化合物は、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の硬化剤や硬化触媒、各種農薬や医薬中間体、染色中間体として有用に用いられる化合物である。

Claims (1)

  1. 下記式(2)に示すN−無置換イミダゾール系化合物とアルキル化剤とを、常圧での沸点が前記式(2)に示すN−無置換イミダゾール系化合物の常圧での沸点に対して±30℃の温度範囲内であるアルコール系溶媒の存在下で、反応させた後、得られた反応混合物を蒸留することにより下記式(1)に示すN−置換イミダゾール系化合物を分留することを特徴とするN−置換イミダゾール系化合物の製造方法。
    Figure 0005483978
    (式中、R1〜R3は、各々独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは、炭素数8〜20のアルキル基、または水酸基もしくはアミノ基で置換された炭素数1〜6のアルキル基である。)

    Figure 0005483978
    (式中、R1〜R3は、各々独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。)
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