JP5601859B2 - 高純度(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の製造方法 - Google Patents

高純度(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5601859B2
JP5601859B2 JP2010069924A JP2010069924A JP5601859B2 JP 5601859 B2 JP5601859 B2 JP 5601859B2 JP 2010069924 A JP2010069924 A JP 2010069924A JP 2010069924 A JP2010069924 A JP 2010069924A JP 5601859 B2 JP5601859 B2 JP 5601859B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
acryloyl group
imidazole compound
compound
imidazole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010069924A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010260850A (ja
Inventor
昌弘 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd filed Critical Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2010069924A priority Critical patent/JP5601859B2/ja
Publication of JP2010260850A publication Critical patent/JP2010260850A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5601859B2 publication Critical patent/JP5601859B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

本発明は、高純度(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の製造方法に関する。
(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物は、電子材料分野における各種のレジスト材料の原料や、表面コーティング用抗菌性高分子材料として有用な化合物である。かかるイミダゾール系化合物の製造方法としては、例えば特許文献1および2に記載の方法が挙げられる。
特許文献1には、N位にヒドロキシエチル基を有するイミダゾール系化合物と、塩化メタクリロイルとを反応させて得られた粗メタクリロイル基含有イミダゾール系化合物をエーテルに溶解させ、炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、エーテルを減圧下で留去する精製方法が記載されている。
また、特許文献2には、N位にヒドロキシエチル基を有するイミダゾール系化合物と、塩化メタクリロイルとを反応させて得られた粗メタクリロイル基含有イミダゾール系化合物の反応混合物をエチルアセテートと水で抽出した後、溶媒を減圧蒸留、乾燥する精製方法が記載されている。
しかし、(メタ)アクリロイル基は反応性が高く、熱により重合反応が起こり易いので、副生成物の生成を抑えて、純度を上げるのは困難であった。例えば、本明細書の参考例2で示すように、キャピラリーで空気を吹き込みながら減圧蒸留を行なうことにより、高純度の(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物を得ることは可能であるが、得率が低く、工業的精製方法には採用し難い。なお、上記の特許文献1および2には、それぞれ収率の記載はあるものの、純度に関する記載が無く、最終生成物の純度は不明である。
特開平4−308578号公報(特に実施例1) 特開2007−302651号公報(特に実施例15)
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物を高純度で、かつ収率良く製造することである。
そこで、本発明者が、上記の実情に鑑みて鋭意研究した結果、粗(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物に対して、(1)酸抽出、(2)塩基抽出、(3)溶媒留去の各工程を順次行ない、(1)酸抽出において酸として特にカルボン酸を用いることによって、高純度な(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物を収率良く得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、イミダゾール系化合物(A)と(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)とを有機溶媒中で反応させることにより得られた(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)を含む混合物に、(1)水及びカルボン酸を混合した後、疎水性有機溶媒を用いて分液し、(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の酸塩(D)が溶解した水相を回収する工程、(2)該水相に疎水性有機溶媒及び塩基を混合した後、該水相を分液して、遊離化された(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)が溶解する有機相を回収する工程、(3)該有機相から該疎水性有機溶媒を留去することにより、(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)を回収する工程を順次行なうことを特徴とする高純度(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の製造方法である。なお、本発明において(メタ)アクリロイルは、メタクリロイル又はアクリロイルを意味する。
本発明の製造方法によれば、複数回の抽出、濃縮操作を行なう従来技術に比して、(メタ)アクリロイル基を分子内に有するイミダゾール系化合物を高純度で、かつ収率良く製造することができる。
以下に、本発明を詳細に述べる。
本発明の製造方法では、粗(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物に対して、(1)酸抽出、(2)塩基抽出、(3)溶媒留去の各工程を順次行なう。まず、粗(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の製造方法について説明する。
粗(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物は、イミダゾール系化合物(A)と(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)とを有機溶媒中で反応させることによって製造することができる。
本発明におけるイミダゾール系化合物(A)は、反応させる(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)の化学構造に対応して、2種のイミダゾール系化合物に大別され、(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)が(メタ)アクリル酸ハライド(B1)である場合には、ヒドロキシアルキル基を有するイミダゾール系化合物(A1)を用いることが好ましく、(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)が(メタ)アクリロイル基含有アルキルハライド(B2)である場合には、N−無置換イミダゾール系化合物(A2)を用いることが好ましい。
上記ヒドロキシアルキル基含有イミダゾール系化合物(A1)としては、水酸基で置換された炭素数1〜20のアルキル基、更に好ましくは水酸基で置換された炭素数1〜15のアルキル基、特に好ましくは水酸基で置換された炭素数1〜10のアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基など)をイミダゾール骨格中の少なくとも1つの窒素原子(1,3位)上に有するイミダゾール系化合物が挙げられ、具体的には、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−エチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イソプロピルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ブチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ウンデシルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−ヒドロキシメチル−2−メチルイミダゾール、1−ヒドロキシメチル−2−エチルイミダゾール、1−ヒドロキシメチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ヒドロキシメチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−ヒドロキシメチル−2−ブチルイミダゾール、1−ヒドロキシメチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−ヒドロキシメチル−2−フェニルイミダゾール、1−(3−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(3−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(3−ヒドロキシプロピル)−2−エチルイミダゾール、1−(3−ヒドロキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(3−ヒドロキシプロピル)−2−イソプロピルイミダゾール、1−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ブチルイミダゾール、1−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ウンデシルイミダゾール、1−(3−ヒドロキシプロピル)−2−フェニルイミダゾール、1−(4−ヒドロキシブチル)イミダゾール、1−(4−ヒドロキシブチル)−2−メチルイミダゾール、1−(4−ヒドロキシブチル)−2−エチルイミダゾール、1−(4−ヒドロキシブチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(4−ヒドロキシブチル)−2−イソプロピルイミダゾール、1−(4−ヒドロキシブチル)−2−ブチルイミダゾール、1−(4−ヒドロキシブチル)−2−ウンデシルイミダゾール、1−(4−ヒドロキシブチル)−2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
上記N−無置換イミダゾール系化合物(A2)としては、置換基を持たないイミダゾール、或いは炭素数1〜20の脂肪族又は芳香族炭化水素基、更に好ましくは炭素数1〜15の脂肪族又は芳香族炭化水素基、特に好ましくは炭素数1〜10の脂肪族又は芳香族炭化水素基をイミダゾール骨格中の少なくとも1つの炭素原子(2,4,5位)上に有する置換イミダゾールが挙げられ、具体的には、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
これらイミダゾール系化合物(A)の中でも、ヒドロキシアルキル基含有イミダゾール系化合物(A1)が好ましく、特に原料の入手の容易さから、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1 −(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾールが好適なものとして挙げられる。
本発明における(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)としては、上述の通り、イミダゾール系化合物(A)がヒドロキシアルキル基含有イミダゾール系化合物(A1)である場合には、(メタ)アクリル酸ハライド(B1)であることが好ましく、イミダゾール系化合物(A)がN−無置換イミダゾール系化合物(A2)である場合には、(メタ)アクリロイル基含有アルキルハライド(B2)であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸ハライド(B1)としては、アクリル酸クロリド、アクリル酸ブロミド、メタクリル酸クロリド、メタクリル酸ブロミドなどが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有アルキルハライド(B2)は、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、具体的には、クロロメチルアクリレート、ブロモメチルアクリレート、(2−クロロエチル)アクリレート、(2−ブロモエチル)アクリレート、(3−クロロプロピル)アクリレート、(3−ブロモプロピル)アクリレート、(4−クロロブチル)アクリレート、(4−ブロモブチル)アクリレート、クロロメチルメタクリレート、ブロモメチルメタクリレート、(2−クロロエチル)メタクリレート、(2−ブロモエチル)メタクリレート、(3−クロロプロピル)メタクリレート、(3−ブロモプロピル)メタクリレート、(4−クロロブチル)メタクリレート、(4−ブロモブチル)メタクリレートなどが挙げられる。
これら(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)の中でも、(メタ)アクリル酸ハライド(B1)が好ましく、特に原料の入手の容易さから、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリドが好適である。
イミダゾール系化合物(A)と(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)とを反応させる際に用いる有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒が挙げられ、これら有機溶媒の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応に際しては、通常、イミダゾール系化合物(A)、塩基、重合禁止剤、溶媒を反応缶に仕込み、この混合物に(メタ) アクリロイル基含有化合物(B)を分割もしくは滴下にて配合する。なお、イミダゾール系化合物(A)、塩基、重合禁止剤、溶媒を反応缶に仕込むときの順序は特に制限は無い。
上記塩基は、副生するハロゲン化水素を捕捉する目的で用いられ、例えば、トリエチルアミン等の有機塩基、水酸化ナトリウムなどの水酸化物塩、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩などの無機塩基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)として、(メタ)アクリル酸ハライド(B1)を使用する場合には、トリエチルアミン等の有機塩基が好ましく用いられ、(メタ)アクリロイル基含有アルキルハライド(B2)を用いる場合には、トリエチルアミン等の有機塩基、水酸化ナトリウムなどの水酸化物塩、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩などの無機塩基が好ましく用いられる。
上記重合禁止剤は、反応中に重合するのを防止する目的で用いられ、例えば、3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシトルエン等の重合禁止剤が用いられる。
イミダゾール系化合物(A)と(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)との反応比率は、イミダゾール系化合物(A)1モルに対して(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)を、通常0.8〜2モル、好ましくは0.85〜1.8モル、更に好ましくは0.9〜1.5モル用いることができ、かかる(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)の量が多すぎると副反応が進行し生成率が低下する傾向があり、少なすぎると反応が十分に進行せず生成率が低下する傾向がある。
反応時の温度は、通常、−80℃〜100℃、好ましくは−50〜80℃、更に好ましくは−30〜60℃である。反応温度が低すぎると反応が進行し難くなり、収率が低下する傾向にあり、高すぎると重合反応が起こったり、その他の副反応により収率が低下する傾向がある。
反応時間は、用いる基質や反応温度などにより異なり一概には決定されないが、(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)の配合終了後、0.1〜100時間、好ましくは0.5〜80時間、更に好ましくは1〜60時間である。反応時間が短すぎると反応が十分に進行せず生成率が低下する傾向があり、長く反応させても意味は無く製造コストがかかるだけである。
反応時における圧力は、特に制限は無く、通常は常圧で反応を行なう。
反応終了後は、副生成物の除去を行なうのが望ましい。副生成物であるトリエチルアミン塩酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム等は、0〜40℃にてろ過(ヌッチェろ過、遠心分離ろ過など)により除去することができる。なお、(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)として(メタ)アクリル酸ハライド(B1)を使用した場合には、未反応の(メタ)アクリル酸ハライド(B1)を分解させる目的で、ろ過前に少量の水を配合するのが好ましい。
ろ過して得られた反応ろ液は、反応生成物である(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)の濃度が、通常、5〜20質量%であるので、70〜90質量%の濃度になるように濃縮が行なわれる。濃縮に際しては、温度が高いと重合するおそれがあるので、20〜60℃(好ましくは30〜50℃)、1〜200Torr(好ましくは5〜100Torr)の条件で濃縮するのが望ましい。
また、濃縮後の反応ろ液に含まれる副生成物を除去する目的で、水で洗浄をおこなっても良い。
例えば、70〜90質量%の濃度に濃縮された反応ろ液に、(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)の濃度が5〜20質量%(好ましくは7〜15質量%)になるように加水し、30分間程度、混合を行い、分液ロートに移液し、30分間静置した後に、水相を分液しても良い。
(1)酸抽出工程
上記の反応により得られた(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)を含む混合物〔以下、「粗(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)」と記すことがある。〕に、水及び酸を混合する。
酸としては、塩酸などの無機酸、カルボン酸などの有機酸を用いることができるが、本発明においてはシュウ酸などのカルボン酸が用いられる。酸の仕込み量は、用いる酸の種類などにより異なり一概には決定されないが、酸としてシュウ酸を用いる場合であれば、粗(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)1モルに対して、シュウ酸を0.8〜2モル、好ましくは0.85〜1.8モル、更に好ましくは0.9〜1.5モルである。
水の配合量としては、(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)の濃度が5〜20質量%(好ましくは7〜15質量%)になるように調整すればよい。
水及び酸を混合するに際しては、通常、粗(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)に加水し、酸を加えた後、常温で5〜120分間(好ましくは10〜60分間)撹拌を行なう。このように水及び酸を混合することによって、遊離型の(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)が酸塩(D)に変換される。
次に、疎水性有機溶媒を用いて分液を行なう。
疎水性有機溶媒としては、20℃における水への溶解度が10質量%以下のものであることが好ましく、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒を用いることができるが、これらの中でも、エステル系溶媒が好ましく、特には酢酸エチルが好ましい。
使用する疎水性有機溶媒の量は、粗(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)に対する容量比で、(C):疎水性有機溶媒=1:1〜1:20、好ましくは1:2〜1:5程度である。
疎水性有機溶媒による分液は、通常、疎水性有機溶媒を仕込んだ後、常温で5〜60分間、好ましくは5〜30分間、スターラー等を用いて撹拌を行い、分液ロートに移液し、常温で5〜60分間、好ましくは5〜30分間静置して行なう。この分液操作は、必要に応じて、複数回繰り返してもよい。
以上の酸抽出工程によって、(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の酸塩(D)が溶解した水相を回収することができる。
(2)塩基抽出工程
(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の酸塩(D)が溶解した水相に疎水性有機溶媒及び塩基を混合する。
疎水性有機溶媒としては、20℃における水への溶解度が10質量%以下のものであることが好ましく、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒を用いることができるが、これらの中でも、芳香族炭化水素系溶媒を用いることが好ましく、特にはトルエンが好ましい。
疎水性有機溶媒の仕込み量は、(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の酸塩(D)が溶解した水相に対する容量比で、1:0.1〜1:1、好ましくは水相:疎水性有機溶媒=1:0.2〜1:0.5程度である。
塩基としては、炭酸カリウム、重曹、炭酸ナトリウム、苛性ソーダなどの無機塩基、トリエチルアミンなどの有機塩基などが挙げられる。塩基の仕込み量は、用いる塩基の種類などにより異なり一概には決定されないが、塩基として炭酸カリウムを用いる場合であれば、粗(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の酸塩(D)1モルに対するモル比で、(D):炭酸カリウム=1:0.1〜1:1、好ましくは(D):炭酸カリウム=1:0.5〜1:0.9程度である。
水相に疎水性有機溶媒及び塩基を混合するに際しては、疎水性有機溶媒を仕込んだ後、常温で5〜60分間、好ましくは5〜30分間、スターラーなどで撹拌を行ない、さらに、塩基を分割にて仕込んだ後、分液ロートに移液し、常温で5〜60分間、好ましくは5〜30分間程度静置して、水相を分液する。
この水相には塩基により遊離化されなかった(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の酸塩(D)が含まれているので、この水相に再び疎水性有機溶媒及び塩基を混合して、上記と同様の塩基抽出を行なうのが好ましい。この場合、塩基の仕込み量は、塩基として炭酸カリウムを用いる場合であれば、粗(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の酸塩(D)1モルに対するモル比で、(D):炭酸カリウム=1:0.8〜1:3モル、好ましくは(D):炭酸カリウム=1:1〜1:2モル程度である。また、疎水性有機溶媒の仕込み量は、水相に対する容量比で1:0.3〜1:3、好ましくは水相:疎水性有機溶媒=1:0.5〜1:2程度である。
水相に疎水性有機溶媒及び塩基を混合した後、該水相を分液することによって、遊離化された(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)が溶解する有機相を回収することができる。この分液操作は、必要に応じて、複数回繰り返してもよい。
上記工程(1)及び(2)においては、抽出処理として分液ロート等を用いた分液操作を行なう場合について説明したが、工業的な生産を行なう場合においては、原料に水、疎水性有機溶媒等を添加し、攪拌、静置を行う回分式の単抽出を行なってもよいし、攪拌槽とは別に静置槽を設けて、原液と抽出溶剤を連続的に供給する設備を複数組み合わせて行なってもよい。その他、ミキサーセトラーユニット、トレイカラム、バブルカラム、パックカラム、ディスク分離器、回転ディスクカラム、振動プレートカラム等の装置を用いて、一段または複数段での抽出処理を行なうこともできる。
(3)溶媒留去工程
上記の塩基抽出工程を経て得られた有機相から疎水性有機溶媒を留去することにより、(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)を回収することができる。
疎水性有機溶媒の留去に際しては、重合による収率低下を避けるために、温度を20〜60℃(好ましくは30〜50℃)とし、減圧条件下、例えば100Torr以下(好ましくは50Torr以下)で溶媒の留去を行なうことが好ましい。また、留去中に重合するのを防止する目的で重合禁止剤を用いても良く、例えば、3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシトルエンを(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)に対して0.05質量%程度、有機相に配合することができる。
以上の(1)〜(3)の各工程を経ることによって、(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)を高純度で、かつ収率良く製造することができる。(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)の純度は、例えばガスクロマトグラフィーを用いて測定することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔粗(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の製造〕
攪拌機、滴下漏斗の付いた5000ml容の4つ口フラスコ(ガラス製)に、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール256.0g(2.28モル)、トリエチルアミン462.0g(4.57モル)、3, 5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシトルエン256.0mg(0.1質量%)、酢酸エチル2050mlを仕込み、メタクリル酸クロリド257.4g(2.46モル)を冷却攪拌しながら、0℃で滴下して6時間熟成後、ガスクロマトグラフィーで原料消失を確認した。なお、攪拌は、半月板の攪拌翼を取り付けたスリーワンモーターを用いて、攪拌速度300rpm程度で行なった。
反応終了後、ろ過により無機塩を除去し、減圧濃縮で残った溶媒を留去させ、褐色液体を得た。かかる反応物中には1−(2−メタクリロイルエチル)イミダゾールが濃度80質量%含まれており生成率60%であった。
〔(1)酸抽出工程〕
反応液300ml(1−(2−メタクリロイルエチル)イミダゾール:1.24モル)に水を2240ml仕込み、25℃で30分間攪拌後静置して分液した。このとき、水相の1−(2−メタクリロイルエチル)イミダゾールの濃度は9質量%であった。水相にシュウ酸二水和物156.5g(1.24モル)を仕込み、常温で1時間攪拌させ、酢酸エチル670mlを仕込み、常温で15分間攪拌し、分液ロートに移液して15分間静置後分液した。
〔(2)塩基抽出工程〕
分液後の水相2800ml(1−(2−メタクリロイルエチル)イミダゾールのシュウ酸塩:1.24モル)に、トルエン895mlを仕込み、炭酸カリウム102.9g(0.75モル)を分割で仕込み、常温で15分間攪拌し、分液ロートに移液し、常温で15分間静置を行い分液した。分液後の水相にトルエン2235mlを仕込み、炭酸カリウム274.4g(1.99モル)を分割で仕込み、常温で15分間攪拌し分液ロートに移液し、常温で15分間静置を行い分液して、目的物の1−(2−メタクリロイルエチル)イミダゾールが溶解する有機相を回収した。
〔(3)溶媒留去工程〕
回収した有機相に、3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.05質量%仕込み、40℃、40Torrで減圧濃縮を行い、有機溶剤を留去して、目的物の1−(2−メタクリロイルエチル)イミダゾール154.2g(0.84モル)を得た。得率70%、純度98.7%、97.9GC area%であった。なお、ガスクロマトグラフィーには、島津製作所製のGC−14Bを用いて、下記の条件にて測定した。
〔ガスクロマトグラフィー分析条件〕
Column:PEG20M 0.53mmID×25m×3.0μm、
Oven Temp:100℃(3min)−20℃/min−220℃(11min)、
Inj:220℃、
Det:220℃ FID、
Analysis Time:20min。
(参考例1)
上記の反応液を1〜2Torr、150℃で減圧蒸留したところ、目的物の1−(2−メタクリロイルエチル)イミダゾールは全く得られず、得率0%であった。
(参考例2)
上記の反応液を1〜2Torr、150℃、キャピラリーで空気を吹き込みながら減圧蒸留を行って、目的物の1−(2−メタクリロイルエチル)イミダゾールを得た。得率30%、純度99.5%、98.3GC area%であった。

Claims (1)

  1. イミダゾール系化合物(A)と(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)とを有機溶媒中で反応させることにより得られた(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)を含む混合物に、
    (1)水及びカルボン酸を混合した後、疎水性有機溶媒を用いて分液し、(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の酸塩(D)が溶解した水相を回収する工程、
    (2)該水相に疎水性有機溶媒及び塩基を混合した後、水相を分液して、遊離化された(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)が溶解する有機相を回収する工程、
    (3)該有機相から該疎水性有機溶媒を留去することにより、(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物(C)を回収する工程
    を順次行なうことを特徴とする高純度(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の製造方法。
JP2010069924A 2009-04-09 2010-03-25 高純度(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の製造方法 Expired - Fee Related JP5601859B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010069924A JP5601859B2 (ja) 2009-04-09 2010-03-25 高純度(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009095035 2009-04-09
JP2009095035 2009-04-09
JP2010069924A JP5601859B2 (ja) 2009-04-09 2010-03-25 高純度(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010260850A JP2010260850A (ja) 2010-11-18
JP5601859B2 true JP5601859B2 (ja) 2014-10-08

Family

ID=43359249

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010069924A Expired - Fee Related JP5601859B2 (ja) 2009-04-09 2010-03-25 高純度(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5601859B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3811574A1 (de) * 1988-03-31 1989-10-19 Schering Ag N-substituierte imidazole, verfahren zu ihrer herstellung sowie ihre verwendung in arzneimitteln
JPH04308578A (ja) * 1991-04-05 1992-10-30 Shikoku Chem Corp 1−〔2−(メタクリロイルオキシ)エチル〕−2−アルキルイミダゾール化合物
JPH06228106A (ja) * 1993-02-05 1994-08-16 Hokuriku Seiyaku Co Ltd 1−(3,3−ジフェニル−2−プロペニル)イミダゾール誘導体
KR100752150B1 (ko) * 2006-05-11 2007-08-29 한국과학기술연구원 이미다졸륨 염을 갖는 광경화성 단량체, 상기 이미다졸륨염을 함유하는 항균성 광경화형 조성물 및 상기조성물로부터 제조되는 항균성 고분자 재료

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010260850A (ja) 2010-11-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN113330006A (zh) 以离子液体为介质的艾氟康唑的新型制备方法
CN104487436A (zh) 使用新型中间产物制备利伐沙班的改良方法
CN111909088B (zh) 利用BTC/Ph3PO氯代体系制备异喹啉类盐酸盐中间体及Rho激酶抑制剂的方法
JP4846568B2 (ja) N,n’−カルボニルジイミダゾールの製造方法
JP5601859B2 (ja) 高純度(メタ)アクリロイル基含有イミダゾール系化合物の製造方法
CN107001238A (zh) 阳离子脂质的制造方法
CN106518758A (zh) 贝曲西班中间体n-(5-氯-2-吡啶基)-2-(4-氰基苯甲酰胺基)-5-甲氧基苯甲酰胺的制备方法
JP6260530B2 (ja) グリシジル(メタ)アクリレートの製造方法
TW201345902A (zh) 甲基丙烯酸縮水甘油酯或丙烯酸縮水甘油酯的製造方法
JP4862323B2 (ja) 高純度アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法
CN108026017A (zh) 酰卤溶液的制造方法、混合溶液及单酯化合物的制造方法
CN103965184A (zh) 一种利伐沙班中间体的合成方法
JP2006298922A (ja) 不飽和の環状オルトエステルの製造方法
CN105294416B (zh) 一种1,5‑二羰基衍生物及其制备方法
JP2009007301A (ja) α−メチレン−γ−ブチロラクトンの製造法
CN104583188A (zh) 脂环式环氧化合物及其制造方法
US20110218363A1 (en) Method for producing alkenyl mercaptan
JP6286755B2 (ja) 新規なジアミン化合物および金属錯体、並びに光学活性化合物の製造方法
CN102746358B (zh) 一种合成孕甾21位溴化物的工艺
CN101778815B (zh) 光学活性的n-(卤代丙基)氨基酸衍生物的制造方法
CN106748949A (zh) 一种合成α,β不饱和酰胺化合物的方法
JP5483978B2 (ja) N−置換イミダゾール系化合物の製造方法
JP2010037284A (ja) アミジニウムヘキサフルオロリン酸塩の製造方法
EP3255036B1 (en) Method for producing 2-aminoethylmethacrylate hydrochloride
EP4219443A1 (en) Method for preparing intermediate for synthesis of sphingosine-1-phosphate receptor agonist

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140527

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140725

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140819

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140819

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5601859

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees