以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る建方方法により構築された架構10を示す分解斜視図である。また、図2は、架構10を示す立面断面図である。なお、説明の便宜上、これらの図及び他の図に示すように、互いに直交する3方向をそれぞれ、上下方向、左右方向及び前後方向と定義する。
架構10は、PC柱20、30、50とPC梁40とを備える。PC柱20とPC柱30とは、PC梁40を左右から挟み込むように建て込まれている。PC柱20とPC柱30とは縦方向に交互に建て込まれている。ここで、PC柱20とPC柱30とは、1段毎に、左右が入れ替わるように配置されている。即ち、PC柱20とPC柱30とは、千鳥状に配置されている。
PC梁40は、左右に並んだPC柱20とPC柱30又はPC柱50との間に建て込まれた梁である。PC梁40には、梁主筋44が埋設されている。PC梁40における梁主筋44の左右一方側にはスリーブ式の機械式継手48Aとシース管46Aとが埋設され、PC梁40における梁主筋44の左右他方側にはスリーブ式の機械式継手48Bとシース管46Bとが埋設されている。梁主筋44の左右両端は、機械式継手48A、48Bの中間部まで挿入されている。
また、PC柱50は、基礎柱55上に建て込まれており、PC柱50の左側には、基礎柱25上に建て込まれたPC柱20が配されている。基礎柱25、55の上端部にはそれぞれ、スリーブ式の機械式継手27、57が埋設されている。また、PC柱50には、梁主筋54が埋設されている。梁主筋54は、左右方向中央側へ突出して、PC梁40内でシース管46Aを貫通しており、その先端は、機械式継手48Aに挿入されている。
PC柱20には、上下方向に貫通するシース管26が埋設されている。また、PC柱20には、梁主筋24が埋設されている。梁主筋24は、左右方向中央側へ突出して、PC梁40内でシース管46Bを貫通しており、その先端は、機械式継手48Bに挿入されている。
PC柱30の上端には、スリーブ式の機械式継手36が埋設されている。また、PC柱30には、柱主筋32が埋設されている。柱主筋32の上端は、機械式継手36の中間部まで挿入されている。また、柱主筋32は、PC柱30から下方へ突出して、下側のPC柱20内でシース管26を貫通しており、その下端は、下側のPC柱30の機械式継手36又は基礎柱25の機械式継手27に挿入されている。
また、PC柱30には、梁主筋34が埋設されている。梁主筋34は、左右方向中央側へ突出して、PC梁40内でシース管46Bを貫通しており、その先端は、機械式継手48Aに挿入されている。
シース管46A、46B及び機械式継手48A、48Bにはグラウトが充填されている。これにより、梁主筋24は、シース管46B及び機械式継手48Bに定着されると共に、機械式継手48Bにより梁主筋44と継手されている。また、梁主筋34は、シース管46A及び機械式継手48Aに定着されると共に、機械式継手48Aにより梁主筋44と継手されている。また、PC梁40とPC柱20、30との間の目地にもグラウトが充填されている。
PC柱50の上端部には、スリーブ式の機械式継手56が埋設されている。また、PC柱50には、柱主筋52が埋設されている。柱主筋52の上端は、機械式継手56の中間部まで挿入されている。また、柱主筋52は、PC柱50から下方へ突出しており、その下端は、基礎柱55の機械式継手57に挿入されている。
シース管26及び機械式継手27、57、56、36にはグラウトが充填されている。これにより、図中左下側の梁主筋32は、シース管26及び機械式継手27に定着されると共に、機械式継手27により基礎柱25の柱主筋22と継手されている。また、図中右下側の柱主筋52は、機械式継手57に定着されると共に、機械式継手57により基礎柱55の柱主筋53と継手されている。また、図中右上側の柱主筋32は、シース管26及び機械式継手56に定着されると共に、機械式継手57によりPC柱50の柱主筋52と継手されている。また、図中左上側の柱主筋32は、シース管26及び機械式継手36に定着されると共に、機械式継手36により図中左下側の柱主筋32と継手されている。また、上下に建て込まれたPC柱20とPC柱30との間の目地にもグラウトが充填されている。
図3から図5までは、架構10の建方方法を説明するための立面断面図である。まず、図3に示すように、基礎柱25、55上にPC柱20、50を建て込み、PC柱20とPC柱50との間にPC梁40を建て込む工程を実施する。この工程では、まず、PC柱50を基礎柱55上に建て込む。この際、PC柱50から下方に突出した柱主筋52の下端を、基礎柱55の機械式継手57に挿入する。
次に、PC梁40を水平に右側へ移動させ、PC柱50から左側に突出した梁主筋54を、PC梁40右側においてシース管46Aに貫通させて、その先端を機械式継手48Aに挿入する。次に、PC柱20を水平に右側へ移動させ、PC柱20から右側へ突出した梁主筋24を、PC梁40の左側においてシース管46Bに貫通させて、その先端を機械式継手48Bに挿入する。
次に、図4に示すように、建て込んだPC柱20、50の上にPC柱30、20を建て込み、そのPC柱30とPC柱20との間にPC梁40を建て込む工程を実施する。この工程では、まず、PC柱30をPC柱20上に建て込む。この際、PC柱30から下方に突出した柱主筋32を、PC柱20内でシース管24に貫通させて、その下端を基礎柱25の機械式継手27に挿入する。
次に、PC梁40を水平に左側へ移動させ、PC柱30から右側に突出した梁主筋34を、PC梁40の左側においてシース管46Aに貫通させて、その先端を機械式継手48Aに挿入する。次に、PC柱20を水平に左側へ移動させ、PC柱20から左側に突出した梁主筋24を、PC梁40の右側においてシース管46Bに貫通させて、その先端を機械式継手48Bに挿入する。
次に、図5に示すように、建て込んだPC柱20、30の上にPC柱30、20を建て込み、そのPC柱30とPC柱20との間にPC梁40を建て込む工程を実施する。この工程では、まず、PC柱30をPC柱20上に建て込む。この際、PC柱30から下方に突出した柱主筋32を、PC柱20内でシース管24に貫通させて、その下端を、その下のPC柱50の機械式継手56に挿入する。
次に、PC梁40を水平に右側へ移動させ、PC柱30から左側に突出した梁主筋34を、PC梁40の右側においてシース管46Aに貫通させて、その先端を機械式継手48Aに挿入する。次に、PC柱20を水平に右側へ移動させ、PC柱20から右側へ突出した梁主筋24を、PC梁40の左側においてシース管46Bに貫通させて、その先端を機械式継手48Bに挿入する。
以降は、PC柱30の下側のPC柱20上への建て込み、PC梁40とPC柱30との接合、PC柱20とPC梁40との接合、及び、PC柱20の下側のPC柱30上への建て込みを、繰り返し実施する。
以上のようにして、PC柱20とPC柱30とが千鳥状に配され、PC柱20とPC柱30との間にPC梁が挟み込まれた架構10が建方される。
ここで、本実施形態に係る架構10の建方方法では、PC梁40を梁主筋44の軸方向に挟み込むPC柱20、30を、それぞれ、上下方向に貫通するシース管26が埋設された柱と、柱主筋32が下方に突出し、上端に機械式継手36が埋設された柱とした。また、柱主筋32を、下階のPC柱20のシース管26に貫通させて、その下端を機械式継手36に挿入することにより、下階のPC柱20上にPC柱30を建て込み、そして、梁主筋34を、PC梁40の一端側のシース管46Aに貫通させて、その先端を機械式継手48Aに挿入することにより、PC柱30にPC梁40の一端を接合した。さらに、梁主筋24を、PC梁40の他端側のシース管46Bに貫通させて、その先端を機械式継手48Bに挿入することにより、PC梁40の他端にPC柱20を接合すると共に、PC柱20を下階のPC柱30上に建て込んだ。
これにより、PC梁40と、このPC梁40の左右両側に接合されるPC柱20、30とを備える架構10を、現場でのコンクリート打設を伴うことなく、また、PC柱20、30を建て込んだ後に建物外側から接続鉄筋を挿入する工程を伴うこともなく、建方することができる。
また、本実施形態に係る架構10では、上下の柱主筋32を継手する機械式継手36が、PC柱30の上端に埋設されており、柱主筋32の上端がPC柱30の上端から突出していない。このため、PC柱30とPC梁40とを正規位置に建て込んだ後に、PC柱20を、柱主筋32と干渉させることなく水平に移動させて、PC梁40に接合すると共に、下階のPC柱30上に建て込むことができる。これにより、PC柱30とPC梁40とを正規位置よりも上側に持ち上げた状態でPC柱20を建て込むような複雑な建て込み作業を不要にできる。従って、架構10の建方の作業性をより一層向上できる。
図6は、他の実施形態に係る建方方法により構築された架構100を示す分解斜視図である。また、図7は、架構100を示す立面断面図である。これらの図に示すように、架構100は、PC柱20、30、60とPC梁40、70とを備える。上述の実施形態に係る架構10と同様、PC柱20とPC柱30とは、千鳥状に配置されている。
また、左右のPC柱20とPC柱30との間には、柱梁構造体101が建て込まれている。柱梁構造体101は、左右一対のPC柱60と、PC柱30とPC柱60との間に建て込まれたPC梁40と、左右のPC柱60の間、PC柱60とPC柱70との間に建て込まれたPC梁70とを備えている。
PC梁70には、梁主筋74が埋設されている。梁主筋74は、PC梁70の左右方向の一端から突出している。また、PC梁70の左右方向他端側にはシース管76とスリーブ式の機械式継手78とが埋設されている。梁主筋74の基端は、機械式継手78の中間部まで挿入されている。
PC柱60には、左右方向に貫通するシース管66が埋設されている。また、PC柱60には、柱主筋62が埋設されている。柱主筋62は、PC柱60の上端から上方へ突出している。また、PC柱60の下端にはスリーブ式の機械式継手68が埋設されている。柱主筋62の下端は、機械式継手68の中間部まで挿入されている。
PC柱30の梁主筋34は、PC梁40内でシース管46Aを貫通しており、その先端は機械式継手48Aに挿入されている。また、左右一対のPC柱60の間に建て込まれたPC梁70の梁主筋74は、PC柱30側のPC柱60内でシース管66を貫通し、PC梁40内でシース管46Bを貫通しており、その先端は機械式継手48Bに挿入されている。
また、PC柱20とPC柱60との間に建て込まれたPC梁70の梁主筋74は、建物内側のPC柱60内でシース管66を貫通し、建物中央のPC梁70内でシース管76を貫通しており、その先端は機械式継手78に挿入されている。また、PC柱20から突出する梁主筋24は、PC柱20側のPC梁70内でシース管76を貫通しており、その先端は機械式継手78に挿入されている。
また、PC柱30の柱主筋32は、下側のPC柱20内でシース管26を貫通しており、その下端は、その下側のPC柱30の機械式継手36に挿入されている。また、PC柱60の柱主筋62の上端は、上側のPC柱60の機械式継手68に挿入されている。
シース管46A、46B、66、76及び機械式継手48A、48B、78にはグラウトが充填されている。これにより、梁主筋34は、シース管46A及び機械式継手48Aに定着されると共に、機械式継手48Aにより梁主筋44と継手されている。また、梁主筋74は、シース管66、46B及び機械式継手48Bに定着されると共に、機械式継手48Bにより梁主筋44と継手されている。また、梁主筋24は、シース管76及び機械式継手78に定着されると共に、機械式継手78により梁主筋74と継手されている。また、PC梁40とPC柱30、60との間の目地、PC梁70とPC柱60、20との間の目地にもグラウトが充填されている。
PC柱30の上端部には、機械式継手36が埋設されている。また、PC柱30には、柱主筋32が埋設されている。柱主筋32の上端は、機械式継手36の中間部まで挿入されている。また、柱主筋32は、PC柱30から下方へ突出して、PC柱20内でシース管26を貫通しており、その下端は、その下側のPC柱30の機械式継手36又は基礎柱25の機械式継手27に挿入されている。
PC柱50の上端には、スリーブ式の機械式継手56が埋設されている。また、PC柱50には、柱主筋52が埋設されている。柱主筋52の上端は、機械式継手56の中間部まで挿入されている。また、柱主筋52は、PC柱50から下方へ突出しており、その下端は基礎柱55の機械式継手57に挿入されている。
シース管26及び機械式継手36、68にはグラウトが充填されている。これにより、柱主筋32の下側は、シース管26及び機械式継手36に定着されると共に、機械式継手36により下側の柱主筋32の上端と継手されている。また、柱主筋62の上端は、機械式継手68に定着されると共に、機械式継手68により上側の柱主筋62の下端と継手されている。
また、上下に建て込まれたPC柱20とPC柱30との間の目地、及び、上下に建て込まれたPC柱60の間の目地にグラウトが充填されている。
図8から図10までは、架構100の建方方法を説明するための立面断面図である。まず、図8に示すように、下階の柱や基礎柱上にPC柱30を建て込み、PC梁40、一対のPC柱60、一対のPC梁70、及びPC柱20を左側に水平に移動させて下階の上に建て込む工程を実施する。
この工程では、PC柱30から左側に突出した梁主筋34を、PC梁40の左側においてシース管46Aに貫通させて、その先端を機械式継手48Aに挿入する。また、一対のPC梁70から右側へ突出した梁主筋74を、一対のPC柱60内でシース管66に貫通させ、PC梁40、70内でシース管46B、76に貫通させて、その先端を機械式継手48B、78に挿入する。また、PC柱20から右側へ突出した梁主筋24を、PC梁70内でシース管76に貫通させて、その先端を機械式継手78に挿入する。
次に、図9に示すように、下階のPC柱20上にPC柱30を建て込む。この工程では、PC柱30から下方に突出した柱主筋32を、下階のPC柱20内でシース管26に貫通させ、その下端を、さらに下階の不図示の機械式継手に挿入する。
次に、PC梁40を水平に左側に移動させる。この工程では、PC柱30から右側へ突出した梁主筋34を、PC梁40の左側においてシース管46Aに貫通させて、その先端を機械式継手48Aに挿入する。次に、左側のPC柱60を、下階の左側のPC柱60上に建て込む。この工程では、下階のPC柱60の上端から上方に突出した柱主筋62の上端を、上階のPC柱60の下端の機械式継手68に挿入する。
次に、建物中央のPC梁70を水平に左側に移動させる。この工程では、当該PC梁70から左側に突出した梁主筋74を、左側のPC柱60内でシース管66に貫通させ、PC梁40の左側においてシース管46Bに貫通させて、その先端を機械式継手48Bに挿入する。次に、右側のPC柱60を下階の右側のPC柱60上に建て込む。この工程では、下階のPC柱60の上端から上方に突出した柱主筋62の上端を、上階のPC柱60の下端の機械式継手68に挿入する。
次に、右側のPC梁70を水平に左側に移動させる。この工程では、当該PC梁70から左側に突出した梁主筋74を、右側のPC柱60内でシース管66も貫通させ、建物中央のPC梁70内でシース管76に貫通させて、その先端を機械式継手78に挿入する。次に、PC柱20を水平に左側に移動させる。この工程では、PC柱20から左側に突出した梁主筋24を、右側のPC梁70内でシース管74に貫通させて、その先端を機械式継手78に挿入する。
次に、図10に示すように、下階のPC柱20上にPC柱30を建て込む。この工程では、PC柱30の下端から下方に突出した柱主筋32を、下階のPC柱20内でシース管26を貫通させ、その先端を、下階のPC柱30の機械式継手36に挿入する。
次に、PC梁40を水平に右側に移動させる。この工程では、PC柱30から左側へ突出した梁主筋34を、PC梁40の左側においてシース管46Aに貫通させて、その先端を機械式継手48Aに挿入する。次に、右側のPC柱60を、下階の右側のPC柱60上に建て込む。この工程では、下階のPC柱60の上端から上方に突出した柱主筋62の上端を、上階のPC柱60の下端の機械式継手68に挿入する。
次に、建物中央のPC梁70を水平に右側に移動させる。この工程では、当該PC梁70から右側に突出した梁主筋74を、右側のPC柱60内でシース管66に貫通させ、PC梁40の左側においてシース管46Bに貫通させて、その先端を機械式継手48Bに挿入する。次に、左側のPC柱60を下階の左側のPC柱60上に建て込む。この工程では、下階のPC柱60の上端から上方に突出した柱主筋62の上端を、上階のPC柱60の下端の機械式継手68に挿入する。
次に、左側のPC梁70を水平に右側に移動させる。この工程では、当該PC梁70から右側に突出した梁主筋74を、左側のPC柱60内でシース管66に貫通させ、建物中央のPC梁70内でシース管76に貫通させて、その先端を機械式継手78に挿入する。次に、PC柱20を水平に右側に移動させる。この工程では、PC柱20から右側に突出した梁主筋24を、左側のPC梁70内でシース管74に貫通させて、その先端を機械式継手78に挿入する。
以降は、PC柱30の下階のPC柱20上への建て込み、PC梁40とPC柱30との接合、一方のPC柱60の下階のPC柱60上への建て込み、一方のPC梁70と一方のPC柱60との接合、他方のPC柱60の下階のPC柱60上への建て込み、他方のPC梁70と他方のPC柱60との接合、PC柱20の他方のPC梁70との接合、及びPC柱20の下階のPC柱30上への建て込みを繰り返し実施する。
以上のようにして、PC柱20とPC柱30とが上下方向に千鳥状に配され、各階のPC柱20とPC柱30との間に、一対のPC柱60、PC梁40、及び、一対のPC梁70を備える柱梁構造体101が建て込まれた架構10が建方される。
ここで、本実施形態に係る架構100の建方方法では、柱梁構造体101を梁主筋44、74の軸方向に挟み込むPC柱20、30を、それぞれ、上下方向に貫通するシース管26が埋設された柱と、柱主筋32が下方に突出し、上端に機械式継手36が埋設された柱とした。また、柱主筋32を、下階のPC柱20のシース管26に貫通させて、その下端を機械式継手36に挿入することにより、下階のPC柱20上にPC柱30を建て込み、そして、梁主筋34を、柱梁構造体101の一端側のシース管46Bに貫通させて、その先端を機械式継手48Bに挿入することにより、PC柱30に柱梁構造体101の一端を接合した。さらに、梁主筋24を、柱梁構造体101の他端側のシース管76に貫通させて、その先端を機械式継手78に挿入することにより、柱梁構造体101の他端にPC柱20を接合すると共に、PC柱20を下階のPC柱30上に建て込んだ。
これにより、柱梁構造体101と、この柱梁構造体101の左右両側に接合されるPC柱20、30とを備える架構100を、現場でのコンクリート打設を伴うことなく、また、PC柱20、30を建て込んだ後に建物外側から接続鉄筋を挿入する工程を伴うこともなく、建方することができる。
また、本実施形態に係る架構100の建方方法では、左右に並んだPC梁40とPC梁70とを、一方のPC柱60を介して連結し、また、左右に並んだPC梁70とPC梁70とを、他方のPC柱60を介して連結する。ここで、一方のPC柱60とその左右のPC梁40、70との接合は、PC梁40と当該PC柱60とを建て込んだ後に、PC柱70から突出した梁主筋74を、PC柱60内でシース管66を貫通させ、PC梁40内でシース管46Bに貫通させて機械式継手48Bに挿入することにより行われる。また、他方のPC柱60とその左右のPC梁70、70との接合は、一方のPC梁70と当該PC柱60とを建て込んだ後に、他方のPC柱70から突出した梁主筋74を、PC柱60内でシース管66を貫通させ、一方のPC梁70内でシース管76に貫通させて機械式継手78に挿入することにより行われる。
このため、PC柱60を下階のPC柱60の上に建て込む際、PC柱60及び建て込み済のPC梁40、70から梁主筋が突出しないことから、PC柱60を垂直に降下させて下階のPC柱60の上に建て込むことができる。ここで、本実施形態に係る架構100のように、下階のPC柱60の上端から突出した柱主筋62の上端を、上階のPC柱60の下端に埋設された機械式継手68に接続する。このような場合でも、PC柱30とPC梁40とを正規位置に建て込んだ後に、このPC梁40の隣のPC柱60を、下階の柱主筋62の上端と干渉させることなく垂直に下降させて、下階のPC柱60の上に建て込むことができる。また、建物中央のPC梁70を正規位置に建て込んだ後に、このPC梁70の隣のPC柱60を、下階の柱主筋62の上端と干渉させることなく垂直に下降させて、下階のPC柱60上に建て込むことができる。
従って、PC柱30とPC梁40等を正規位置よりも上側に持ち上げた状態でPC柱60やPC梁70等を建て込むような複雑な建て込み作業を不要にでき、以って、架構100の建方の作業性をより一層向上できる。
なお、上記実施形態では、梁主筋24、34をPC柱20、30から突出させ、PC梁40、70に、梁主筋24、34が接続される機械式継手48A、48B、78を埋設した。しかし、梁主筋44、74をPC梁40、70から突出させ、PC柱20、30に、梁主筋44、74が接続される継手を埋設してもよい。
また、上記実施形態では、PC柱30の上端に機械式継手36を埋設し、上側のPC柱20の下端から突出する柱主筋32を、該機械式継手36に挿入して接続した。しかし、図11に示すように、PC柱20の下端にスリーブ式の機械式継手28を埋設し、下側のPC柱20の上端から柱主筋32の上端を突出させ、該上端を上記機械式継手28に挿入して接続してもよい。この場合、下階のPC柱20の上に建て込まれたPC柱30と、それに接合されたPC梁40とを上側に持ち上げた状態で、上階のPC柱20をPC梁40に接合させればよい。これにより、上階のPC柱20を、下階の柱主筋32の上端と干渉させることなく、PC梁40に接合させることができる。
また、上記実施形態では、PC柱20とPC柱30とを上下に建て込む実施例について説明したが、PC柱とPC仕口部とを上下に建て込む実施例や、PC壁とPC壁とを上下に建て込む実施例等にも本発明に係る架構の建方方法を適用可能である。また、左右のPC柱の間に挟み込まれる構造体を構成するPC部材は、PC梁やPC柱には限られず、PC床等の他のPC部材も適用可能である。
また、PC柱20、30の長さは、1階分の長さとしてもよく、複数階分の長さとしてもよい。さらには、1階分に満たない長さのPC柱20、30を積み上げることにより、1階分の長さの柱を構築してもよい。