JP5482002B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、特定のアクリレート化合物、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂を含有する樹脂組成物に関する。
従来多層プリント配線板の絶縁層に使用する樹脂組成物としては、シアネートエステル樹脂を含有する樹脂組成物が耐熱性、誘電特性に優れた絶縁層を形成できることが知られていた(特許文献1、2)が、必ずしもその難燃性は満足いくものではなかった。
そのため樹脂組成物の難燃性を向上させる取組みは種々行われてきた。たとえば、非特許文献1には、りん系難燃剤の添加により難燃性向上を図る方法が開示されている。しかしながら、耐熱性の低下、比誘電率、誘電正接低下及び熱膨張率が上昇してしまう、高温高湿下での環境試験を行うと、回路導体層との絶縁層間の剥離強度が著しく低下する等、添加前に有していた特性を著しく低下させるという問題があった。
一方、特許文献3には、ラジカル重合性難燃樹脂組成物用の難燃剤としてリン含有(メタ)アクリル化合物が開示されている。しかしながら、樹脂組成物の大半ががラジカル重合性を有するものであるため、その適用範囲は限定的であると考えられていた。
国際公開2003/099952号パンフレット 国際公開2008/044766号パンフレット 特開2007−238738号
日立化成テクニカルレポートNo.45(2005−7)
本発明が解決しようとする課題は、絶縁層の誘電正接及び熱膨張率が低く、導体層と絶縁樹脂の密着性をより安定的に保ちながら、難燃性が向上した樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定のアクリレート化合物、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂を含有させることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の態様を含む。
(1)(A)ホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、(B)エポキシ樹脂、(C)シアネートエステル樹脂をを含有することを特徴とする樹脂組成物。
(2)更に、(D)有機過酸化物を含有することを特徴とする上記(1)に記載の樹脂組成物。
(3)更に、(E)金属系硬化促進剤を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4)樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合、成分(B)の含有量が5〜60質量%、成分(C)の含有量が5〜50質量%、成分(A)の含有量が2〜20質量%、成分(E)の含有量が25〜500ppm、及び成分(D)の含有量が0.05〜3質量%であり、シアネートエステル基とエポキシ基との比率が1:0.4〜1:2である、上記(3)に記載の樹脂組成物。
(5)(E)金属系硬化促進剤が、コバルト 、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、及びスズから選択される1種または2種以上の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩である上記(3)又は(4)に記載の樹脂組成物。
(6)更に、(F) ビニルベンジル化合物を含有することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(7)更に、(G)高分子化合物を含有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(8)更に、(H)無機充填材を含有することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(9)更に、(I)ゴム粒子を含有することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(10)更に、(J)難燃剤(ホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を除く)を含有することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(11)更に、(K)硬化促進剤(金属系硬化促進剤、有機過酸化物を除く)を含有することを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(12)誘電正接特性が0.001〜0.018であり、環境試験前後の密着強度低下率が0.1%〜70%であることを特徴とする、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(13)上記(1)〜(12)のいずれかに記載の樹脂組成物を含有することを特徴とするシート状材料。
(14)上記(13)に記載のシート状材料を含有することを特徴とする多層プリント配線板。
特定のアクリレート化合物、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂を含有させることにより、形成される絶縁層の誘電正接及び熱膨張率が低く、導体層と絶縁樹脂の密着をより安定的に保ちながら、難燃性が向上した樹脂組成物が提供できるようになった。
本発明は、(A)ホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、(B)エポキシ樹脂、(C)シアネートエステル樹脂を含有することを特徴とする樹脂組成物である。
〔(A)ホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物〕
本発明において使用される(A)ホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物は、樹脂組成物の難燃性を向上させながら、他の諸物性を安定的に保つことができる。(A)成分としては、特に限定されるものではなく、ホスファフェナントレン骨格を有する化合物と(メタ)アクリレート化合物をマイケル付加反応することによって得ることができ、(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性基を有し、リン原子がラジカル重合で硬化中に取り込まれるものをいう。特に、9、10−ジヒドロ−9オキサ−10−ホスファフェナントレン−10オキサイド化合物と1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート化合物からなるリン含有(メタ)アクリレート化合物が好ましい。このようなホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物は、9、10−ジヒドロ−9オキサ−10−ホスファフェナントレン−10オキサイド、HCA(三光(株)製)とトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクルロイルオキシエチル)イソシアヌレートをマイケル付加する方法により製造することができる。具体的には、特開2007−238738号公報に記載のホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
市販されているホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物としては、HFA−6007M(昭和高分子(株)製、リン含有量8.6%)、HFA−6065P(昭和高分子(株)製、リン含有量4.9%)、HFM−9B(昭和高分子(株)製、リン含有量7.2%)等が挙げられる。なかでも、HFA−6007M(昭和高分子(株)製、リン含有量8.6%)、HFM−9B(昭和高分子(株)製、リン含有量7.2%)が好ましい。
樹脂組成物中のホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、特に制限はない。樹脂組成物中のホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量の上限値は、熱膨張率の上昇を防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、20質量%が好ましく、15質量%がより好ましく、10質量%が更に好ましい。一方、樹脂組成物中のホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量の下限値は、十分な難燃性を得るという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、1質量%が好ましく、2質量%がより好ましく、3質量%が更に好ましい。
〔(B)エポキシ樹脂〕
(B)成分としては、特に限定されるものではなく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。エポキシ樹脂は2種以上を組み合わせて使用してもよい。エポキシ樹脂としては、耐熱性、絶縁信頼性、金属膜との密着性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、特に下記一般式(1)で表されるナフトール型エポキシ樹脂が好ましい。
Figure 0005482002
(式(1)中、nは平均値として1〜6の数を示し、Xはグリシジル基又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、炭化水素基/グリシジル基の比率は0.05〜2.0である。)
エポキシ樹脂中の平均値としての炭化水素基とグリシジル基の比率は、炭化水素基/グリシジル基=0.05〜2.0の範囲であり、好ましくは0.1〜1.0の範囲である。Xが炭素数1〜8の炭化水素基を示す場合の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、プロパルギル基、ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。式(1)で表されるナフトールエポキシ樹脂は特開2006−160868記載の公知の樹脂であり、該公報記載の製法に従って製造することができる。
市販されているエポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、DIC(株)製「HP4032」、「HP4032D](ナフタレン型2官能エポキシ樹脂)、DIC(株)製「HP4700」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、東都化成(株)製「ESN−475V」「ESN−185V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、ダイセル化学工業(株)製「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、日本化薬(株)製「NC3000H」、「NC3000L」、「NC3100」、「NC3000」、「NC3000FH−75M」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX4000」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX8800」(アントラセン骨格含有型エポキシ樹脂)などが挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、特に制限はない。樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量の上限値は、相対的にシアネートエステル樹脂の含有量が減少することで熱膨張率及び誘電正接が増大するのを防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、60質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、40質量%が更に好ましい。一方、樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量の下限値は、導体層との密着性低下を防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、15質量%が更に好ましい。
〔(C)シアネートエステル樹脂〕
本発明において使用される(C)シアネートエステル樹脂は、樹脂組成物の高耐熱性、低誘電正接、低熱膨張率等を付与させることができる。(C)成分としては、特に限定されるものではなく、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型など)シアネートエステル樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型など)シアネートエステル樹脂、及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。シアネートエステル樹脂の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、好ましくは500〜4500であり、より好ましくは600〜3000である。
シアネートエステル樹脂の具体例としては、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン構造含有フェノール樹脂等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
市販されているシアネートエステル樹脂としては、下式(2)で表されるフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製、PT30、シアネート当量124)、下式(3)で表されるビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー(ロンザジャパン(株)製、BA230、シアネート当量232)、下式(4)で表されるジシクロペンタジエン構造含有シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製、DT−4000、DT−7000)等が挙げられる。
Figure 0005482002
[式(2)中、nは平均値として任意の数(好ましくは0〜20)を示す。]
Figure 0005482002
Figure 0005482002
(式(4)中、nは平均値として0〜5の数を表す。)
樹脂組成物中のシアネートエステル樹脂の含有量は、特に制限はない。樹脂組成物中のシアネートエステル樹脂の含有量の上限値は、導体層との密着性低下を防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、30質量%が更に好ましい。一方、樹脂組成物中のシアネートエステル樹脂の含有量の下限値は、耐熱性低下、熱膨張率増加、誘電正接増加を防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、5質量%が好ましく、8質量%がより好ましく、10質量%が更に好ましい。
シアネートエステル樹脂のシアネート当量と、エポキシ樹脂のエポキシ当量との比は、1:0.4〜1:2が好ましく、1:0.5〜1:1.5がより好ましい。当量比が1:0.4よりも少ない場合は、下地導体層と絶縁層の密着が低化する傾向があり、当量比が1:2よりも多い場合は、熱膨張率及び誘電正接が上昇する傾向にある。
本発明の樹脂組成物は(A)成分、(B)成分、(C)成分を含み、絶縁層の誘電正接及び熱膨張率が低く、導体層と絶縁樹脂の密着性をより安定的に保ちながら、難燃性を付与することができる。
本発明の(A)成分、(B)成分、(C)成分を含有する樹脂組成物の誘電正接特性は、後述する<誘電正接の測定>に記載の測定方法により把握することができる。
本発明の樹脂組成物の誘電正接特性の上限値は、0.018が好ましく、0.017がより好ましく、0.016が更に好ましく、0.015が更に一層好ましい。本発明の樹脂組成物の誘電正接特性の下限値は、0.004が好ましく、0.003がより好ましく、0.002が更に好ましく、0.001が更に一層好ましい。
本発明の(A)成分、(B)成分、(C)成分を含有する樹脂組成物の難燃特性は、後述する<難燃性の評価>に記載の評価方法により把握することができる。
本発明の樹脂組成物の難燃特性は、いずれもV−0を示した。
本発明の(A)成分、(B)成分、(C)成分を含有する樹脂組成物の環境試験前後の密着強度は、後述する<CZ処理銅箔と樹脂組成物間の密着強度の測定>に記載の測定方法により把握することができる。
本発明の樹脂組成物の環境試験前後の密着強度低下率の上限値は、70%が好ましく、65%がより好ましく、60%が更に好ましく、55%が更に一層好ましい。本発明の樹脂組成物の密着性低下率特性の下限値は、15%が好ましく、10%がより好ましく、8%が更に好ましく、5%が更に一層好ましく、1%が殊更好ましく、0.1%が特に好ましい。
〔(D)有機過酸化物〕
本発明の樹脂組成物には、更に(D)有機過酸化物を含有させる事により、効率的にアクリレートの硬化を行うことができる。有機過酸化物の種類は、特に制限はないが、シクロヘキサノンパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
有機過酸化物の含有量は、効率的にアクリレートの硬化が行えさえすれば特に制限はない。樹脂組成物中の有機過酸化物の含有量の上限値は、誘電正接、熱膨張率の上昇を防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、3質量%が好ましく、2質量%がより好ましい。一方、樹脂組成物中の有機過酸化物の含有量の下限値は、下地導体層との密着性低下の防止という観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、0.05質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましい。
〔(E)金属系硬化促進剤〕
本発明の樹脂組成物は、更に(E)金属系硬化促進剤を含有させる事によりシアネートエステル樹脂を効率的に硬化させることができる。金属系硬化促進剤の種類は、特に制限はないが、コバルト 、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体などが挙げられる。有機金属塩としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。なかでも、硬化性、溶剤溶解性の観点から、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、亜鉛(II)アセチルアセトナート、ナフテン酸亜鉛、鉄(III)アセチルアセトナートが好ましく、コバルト(II)アセチルアセトナート、ナフテン酸亜鉛がより好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
樹脂組成物中の金属系硬化促進剤の添加量は、特に制限はない。樹脂組成物中の金属系硬化促進剤の添加量の上限値は、保存安定性、絶縁性の低下を防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、金属系硬化促進剤に基づく金属の含有量が500ppmが好ましく、200ppmがより好ましい。一方、樹脂組成物中の金属系硬化促進剤の添加量の下限値は、下地導体層との密着性低下の防止という観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、25ppmが好ましく、40ppmがより好ましい。
〔(F)ビニルベンジル化合物〕
本発明の樹脂組成物には、更に(F)ビニルベンジル化合物を含有させる事により、誘電特性を向上させることができる。本発明において使用されるビニルベンジル化合物は、特に限定はされないが、分子内に2以上のビニルベンジル基を有する化合物であり、インデン化合物を、(i)ビニルベンジルハライドとアルカリ存在下に反応させる方法、(ii)ビニルベンジルハライド及び炭素数2〜20のジハロメチル化合物とアルカリ存在下に反応させる方法、もしくは(iii)フルオレン化合物、ビニルベンジルハライド及び炭素数2〜20のジハロメチル化合物とアルカリ存在下に反応させる方法(特開2003−277440号公報参照)、又は(iv)フルオレン化合物及びビニルベンジルハライドをアルカリ存在下に反応させる方法(国際公開02/083610号パンフレット)等により製造することができる。ビニルベンジル化合物は、低誘電正接という観点から分子内にヘテロ原子を含まないものが好ましい。
樹脂組成物中のビニルベンジル化合物の含有量は、特に制限はない。樹脂組成物中のビニルベンジル化合物の含有量の上限値は、密着性低下を防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、25質量%が更に好ましい。一方、樹脂組成物中のビニルベンジル化合物の含有量の下限値は、誘電正接の増加を防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、2質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、8質量%が更に好ましい。
インデン化合物としては、以下の式(5)で表されるインデン化合物が挙げられる。
Figure 0005482002
式(5)中、Rは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基)及びチオアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のチオアルコキシ基)からなる群より選択される1つの基を示し(または2以上のRが一体となって環を形成していてもよい)、pは0〜4の整数を示す。環を形成する場合としては、5〜8員のシクロアルキル環、ベンゼン環等の環が縮環した構造を挙げることができる。
フルオレン化合物としては、以下の式(6)で表されるフルオレン化合物が挙げられる。
Figure 0005482002
式(6)中、Rは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基)及びチオアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のチオアルコキシ基)からなる群より選択される1つの基を示し(または2以上のRが一体となって環を形成していてもよい)、mは0〜4の整数を示す。環を形成する場合としては、5〜8員のシクロアルキル環、ベンゼン環等の環が縮環した構造を挙げることができる。
ビニルベンジルハライドとしては、上記で記載したものが挙げられる。また炭素数2〜20のジハロメチル化合物としては、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,4−ジブロモブタン等のアルキレンジハライド、o−キシリレンジクロライド、o−キシリレンジブロマイド、m−キシリレンジクロライド、m−キシリレンジブロマイド、p−キシリレンジクロライド、p−キシリレンジブロマイド、4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス(クロロメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(クロロメチル)ジフェニルスルフィド、2,6−ビス(ブロモメチル)ナフタレン、1,8−ビス(ブロモメチル)ナフタレン、1,4−ビス(クロロメチル)ナフタレン等が挙げられる。
アルカリとしては、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
このようなビニルベンジル化合物は、特開2003−277440号公報、国際公開02/083610号パンフレットの記載に従って容易に製造することができる。
ビニルベンジル化合物の種類は、特に制限はないが、以下の式(7)で表されるものが好ましい。
Figure 0005482002
式(7)中、Rは炭素数2〜20の2価の有機基を示し、Rは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基)及びチオアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のチオアルコキシ基)からなる群より選択される1つの基を示し(または2以上のRが一体となって環を形成していてもよい)、mは0〜4の整数を示し、nは平均値として0〜20の数を示す。環を形成する場合としては、5〜8員のシクロアルキル環、ベンゼン環等の環が縮環した構造を挙げることができる。
ビニルベンジル化合物としては、以下の式(8)で表されるものがより好ましい。
Figure 0005482002
(式(8)中、Rは炭素数2〜20の2価の有機基(好ましくはアルキル基)、nは平均値として0〜20の数を示す)
市場で入手可能なものとしては昭和高分子(株)製のポリビニルベンジル樹脂V−5000X(硬化物のTg154℃、比誘電率2.63、誘電正接0.0016)、V−6000X(硬化物のTg136℃、比誘電率2.59、誘電正接0.0013)などが挙げられる。
本発明におけるビニルベンジル化合物は、ビニルベンジルエーテル化合物であっても良い。1分子中に2個以上のヒドロキシベンジル基を有する化合物(ポリフェノール化合物)をビニルベンジルハライドとアルカリ存在下に反応させることによって得ることが出来る(特開平9−31006号公報、特開2001−181383号公報参照)。
ポリフェノール化合物としては、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、フェノールノボラック樹脂、フェノールとベンズアルデヒドの縮合物、ザイロック(Xylok)型フェノール樹脂等が挙げられる。これら化合物の芳香環はアルキル基、ハロゲンなどで置換されているものが好ましい。
ビニルベンジルハライドとしては、p−ビニルベンジルクロライド、m−ビニルベンジルクロライド及びこれらの任意の混合物等が挙げられる。
ビニルベンジルエーテル化合物の種類は、特に制限はないが、以下の式(9)で表されるものを挙げることができる(特開平9−31006号公報、特開2001−181383号公報等参照)。
Figure 0005482002
式(9)中、Rはメチル基又はエチル基、Rは水素原子又は1〜10の炭化水素基、Rは水素原子又はビニルベンジル基(但し、水素原子とビニルベンジル基のモル比は60:40〜0:100の範囲である)、nは平均値として2〜4の数を表す。
これらポリビニルベンジルエーテル化合物は特開平9−31006号公報、特開2001−181383号公報の記載に従って容易に製造することができる。
市場で入手可能なものとしては昭和高分子(株)製V−1000X(硬化物のTg160℃、比誘電率2.7、誘電正接0.0045)、V−1100X(硬化物のTg171℃、比誘電率2.56、誘電正接0.0038)などが挙げられる。
これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
〔(G)高分子化合物〕
本発明の樹脂組成物には、更に(G)高分子化合物を含有させる事により硬化物の機械強度を向上させることができる。更に、接着フィルムの形態で使用する場合のフィルム成型能を向上させることもできる。このような(G)高分子化合物としては、特に限定はされないが、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂を挙げることができる。なかでも、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製、電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製エスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。フェノキシ樹脂の具体例としては東都化成(株)製FX280、FX293、ジャパンエポキシレジン(株)製YX8100、YX6954、YL6974、YL7482、YL7553、YL6794、YL7213、YL7290等が挙げられる。ポリビニルアセタール樹脂はガラス転移温度が80℃以上のものが特に好ましい。ここでいう「ガラス転移温度」はJIS K 7197に記載の方法に従って決定される。なお、ガラス転移温度が分解温度よりも高く、実際にはガラス転移温度が観測されない場合には、分解温度を本発明におけるガラス転移温度とみなすことができる。なお、分解温度とは、JIS K 7120に記載の方法に従って測定したときの質量減少率が5%となる温度で定義される。
高分子化合物の重量平均分子量は5000〜200000の範囲であるのが好ましい。この範囲よりも小さいとフィルム成型能や機械強度向上の効果が十分発揮されない傾向にあり、この範囲よりも大きいとシアネートエステル樹脂及びエポキシ樹脂との相溶性が低下し、絶縁層表面の粗化処理後の粗度が増大する傾向にある。
なお本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定される。GPC法による重量平均分子量は、具体的には、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)社製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
高分子化合物の含有量は、特に制限はない。樹脂組成物中の高分子化合物の含有量の上限値は、粗化後の絶縁層表面の粗度上昇を防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、20質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。一方、樹脂組成物中の高分子化合物の含有量の下限値は、フィルム成型能向上や機械強度向上の効果を得るという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、1質量%が好ましく、2質量%がより好ましい。
〔(H)無機充填材〕
本発明の樹脂組成物は、更に(H)無機充填材を配合含有させる事により、絶縁層の熱膨張率をさらに低下させることができる。無機充填材としては、特に限定はされないが、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどが挙げられる。なかでもシリカが好ましく、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカがより好ましい。シリカの形状としては球状のものが好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
無機充填材の平均粒径は、特に限定されるものではない。無機充填材の平均粒径の上限値は、絶縁層への微細配線形成を可能にするという観点から、5μmが好ましく1μmがより好ましく、0.7μmが更に好ましい。一方無機充填材の平均粒径の下限値は、樹脂組成物を樹脂ワニスとした場合に、ワニスの粘度が上昇し、取り扱い性が低下するのを防止するという観点から、0.05μmが好ましく、0.1μmがより好ましい。上記無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製 LA−500等を使用することができる。
無機充填材は、表面処理剤で表面処理してその耐湿性を向上させたものが好ましい。表面処理剤としては、アミノプロピルメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)アミノプロビルトリメトキシシラン等のアミノシラン系カップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジルブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤、メルカトプロピルトリメトキシシラン、メルカトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン系カップリング剤、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等のシラン系カップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメテルシクロトリシラザン等のオルガノシラザン化合物、ブチルチタネートダイマー、チタンオクチレングリコレート、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジヒドロキシチタンビスラクテート、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等のチタネート系カップリング剤等が挙げられる。
無機充填材の添加量は、特に限定されるものではない。無機充填材の添加量の上限値は、硬化物が脆くなることや、ピール強度が低下することを防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、80質量%が好ましく、75質量%がより好ましく、70質量%が更に好ましい。一方、無機充填材の添加量の下限値は、無機充填材を配合することの効果を十分得るという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましく、30質量%が更に好ましい。
〔(I)ゴム粒子〕
本発明の樹脂組成物は、更に(I)ゴム粒子を含有させる事により、メッキ密着性を向上させることができる。ゴム粒子としては、特に限定はされないが、当該樹脂組成物のワニスを調製する際に使用する有機溶剤にも溶解せず、必須成分であるシアネートエステル樹脂やエポキシ樹脂などとも相溶しないものを用いることができる。従って、該ゴム粒子は、本発明の樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在する。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。
本発明で使用され得るゴム粒子としては、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが好ましい。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、又は外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス層は、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。ゴム粒子は2種以上を組み合わせて使用してもよい。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N(商品名、ガンツ化成(株)製)、メタブレンKW−4426(商品名、三菱レイヨン(株)製)が挙げられる。架橋アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER−91(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。架橋スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK−500(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、W450A(平均粒径0.2μm)(三菱レイヨン(株)製)などが挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
配合するゴム粒子の平均粒径は、0.005〜1μmが好ましく、0.2〜0.6μmがより好ましい。本発明で使用されるゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000;大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
ゴム粒子の含有量は、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。
〔(J)難燃剤(ホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を除く)〕
本発明の樹脂組成物は、更に(J)難燃剤(ホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を除く)を含有させる事により、更なる難燃性を付与することができる。難燃剤(ホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を除く)としては、特に限定はされないが、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のフェナントレン型リン化合物、昭和高分子(株)製のHFB−2006M等のリン含有ベンゾオキサジン化合物、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス30、50、65、90、110、TPP、RPD、BAPP、CPD、TCP、TXP、TBP、TOP、KP140、TIBP、北興化学工業(株)製のPPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、東都化成(株)製のFX289、FX305等のリン含有エポキシ樹脂、東都化成(株)製のERF001等のリン含有フェノキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製のYL7613等のリン含有エポキシ樹脂等が挙げられる。有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルミド化合物、大塚化学(株)社製のSPB100、SPE100、(株)伏見製作所製FP−series等のホスファゼン化合物等が挙げられる。金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD65、UD650、UD653等の水酸化マグネシウム、巴工業(株)社製のB−30、B−325、B−315、B−308、B−303、UFH−20等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
〔(K)硬化促進剤(金属系硬化促進剤、有機過酸化物を除く)〕
本発明の樹脂組成物は、更に、(K)硬化促進剤(金属系硬化促進剤、有機過酸化物を除く)を含有させる事により、樹脂組成物の硬化性能を向上させることができる。硬化促進剤(金属系硬化促進剤、有機過酸化物を除く)としては、特に限定はされないが、イミダゾール系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、アゾ系化合物などが挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
イミダゾール系硬化促進剤の種類は、特に制限はないが、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、 1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。
アミン系硬化促進剤の種類は、特に制限はないが、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン(以下、DBUと略記する。)などのアミン化合物などが挙げられる。
アゾ系化合物の種類は、特に制限はないが、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジエチルバレロニトリルなどのアゾ系化合物などが挙げられる。
硬化促進剤(金属系硬化促進剤、有機過酸化物を除く)の含有量は、特に制限はない。樹脂組成物中の硬化促進剤(金属系硬化促進剤、有機過酸化物を除く)の含有量の上限値は、誘電正接、熱膨張率の上昇を防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、3質量%が好ましく、2質量%がより好ましい。一方、樹脂組成物中の硬化促進剤(金属系硬化促進剤、有機過酸化物を除く)の含有量の下限値は、下地導体層との密着性低下の防止という観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、0.05質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない程度に、樹脂組成物に配合しうる各種添加剤を使用することができる。具体的には、シリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の有機充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シラン系カップリング剤等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤等を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、配合成分を、必要により溶媒等を添加し、回転ミキサーなどを用いて混合する方法などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、接着フィルム、プリプレグ等のシート状材料として使用することができる。
〔接着フィルム〕
本発明の接着フィルムは、当業者に公知の方法にて作製することができる。有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて、支持体に塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することが挙げられる。
有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。有機溶剤は2種以上を組みわせて用いてもよい。
乾燥条件は特に限定されないが、乾燥後の樹脂組成物層への有機溶剤の含有量は10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。ワニス中の有機溶剤量、有機溶剤の沸点によっても異なるが、30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスを50〜150℃で3〜10分乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。当業者であれば、簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することができる。
接着フィルムにおいて形成される樹脂組成物層の厚さは、導体層の厚さ以上とすることが好ましい。回路基板が有する導体層の厚さが5〜70μmである場合には、樹脂組成物層は10〜100μmの厚さを有するのが好ましい。
支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィンのフィルム、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルのフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルムなどの各種プラスチックフィルムが挙げられる。また離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを使用してもよい。支持体及び後述する保護フィルムには、マッド処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤で離型処理が施してあってもよい。
支持体の厚さは特に限定されないが、10〜150μmが好ましく、25〜50μmがより好ましい。
樹脂組成物層の支持体が密着していない面には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、1〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着フィルムは、ロール状に巻きとって貯蔵することもできる。
〔プリプレグ〕
本発明のプリプレグは、本発明の樹脂組成物を繊維からなるシート状補強基材にホットメルト法又はソルベント法により含浸させ、加熱して半硬化させることにより製造することができる。すなわち、本発明の樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材に含浸した状態となるプリプレグとすることができる。繊維からなるシート状補強基材としては、ガラスクロスやアラミド繊維等のプリプレグ用繊維として常用されている繊維からなるものを用いることができる。
ホットメルト法は、本発明の樹脂組成物を、有機溶剤に溶解することなく、該樹脂との剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状補強基材にラミネートする、あるいは樹脂を、有機溶剤に溶解することなく、ダイコーターによりシート状補強基材に直接塗工するなどして、プリプレグを製造する方法である。またソルベント法は、接着フィルムと同様にして樹脂を有機溶剤に溶解して樹脂ワニスを調製し、このワニスにシート状補強基材を浸漬し、樹脂ワニスをシート状補強基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。
〔多層プリント配線板〕
本発明の樹脂組成物は、多層プリント配線板の製造において絶縁層を形成するために好適に使用することができる。本発明の樹脂組成物は、ワニス状態で回路基板に塗布して絶縁層を形成することもできるが、工業的には、接着フィルム、プリプレグ等のシート状材料の形態で用いるのが好ましい。樹脂組成物の軟化点は、シート状積層材料のラミネート性の観点から40〜150℃が好ましい。
まずは、上記のようにして製造した接着フィルムを用いて多層プリント配線板を製造する方法の一例を説明する。
まず、接着フィルムを、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面又は両面にラミネートする。回路基板に用いられる基板としては、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっているものも、ここでいう回路基板に含まれる。なお導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。
上記ラミネートにおいて、接着フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、必要に応じて接着フィルム及び回路基板をプレヒートし、接着フィルムを加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。本発明の接着フィルムにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの条件は、特に限定されるものではないが、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネートの方法は、バッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。
真空ラミネートは、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、ニチゴー・モートン(株)製バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製真空加圧式ラミネーター、(株)日立インダストリイズ製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。
接着フィルムを回路基板にラミネートした後、室温付近に冷却してから、支持体を剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に絶縁層を形成することができる。熱硬化の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよく、硬化温度は150℃〜220℃が好ましく、160℃〜200℃がより好ましい。硬化時間は20分〜180分が好ましく、30〜120分がより好ましい。
絶縁層を形成した後、硬化前に支持体を剥離しなかった場合は、ここで剥離する。次いで必要により、回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行ってビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができる。なかでも、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけが好ましい。
次いで、乾式メッキ又は湿式メッキにより絶縁層上に導体層を形成する。乾式メッキとしては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法を使用することができる。湿式メッキの場合は、まず、硬化した絶縁層の表面を、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤で粗化処理し、凸凹のアンカーを形成する。酸化剤としては、特に過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等の水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性過マンガン酸水溶液)が好ましく用いられる。次いで、無電解メッキと電解メッキとを組み合わせた方法で導体層を形成する。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。その後のパターン形成の方法として、当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。
次に、上記のようにして製造したプリプレグを用いて多層プリント配線板を製造する方法の一例を説明する。
まず、回路基板に本発明のプリプレグを1枚あるいは必要により数枚重ね、離型フィルムを介して金属プレートで挟み、加圧・加熱条件下でプレス積層する。加圧・加熱条件は、圧力が5〜40kgf/cm(49×10〜392×10N/m)、温度が120〜200℃、時間が20〜100分であることが好ましい。また接着フィルムと同様に、プリプレグを真空ラミネート法により回路基板にラミネートした後、加熱硬化することも可能である。その後、上記で記載した方法と同様にして、硬化したプリプレグ表面を粗化した後、導体層をメッキにより形成して多層プリント配線板を製造することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」は「質量部」を意味する。
〔測定方法・評価方法〕
まずは各種測定方法・評価方法について説明する。
<線熱膨張率及びガラス転移温度の測定>
支持体にフッ素樹脂系離型剤(ETFE)処理したPET(三菱樹脂(株)製「フルオロージュRL50KSE」を用いて、実施例及び比較例における樹脂組成物層の接着フィルムを得た。得られた接着フィルムを190℃で90分熱硬化させてシート状の硬化物を得た。その硬化物を、幅約5mm、長さ約15mmの試験片に切断し、エスアイアイ・ナノテクノロジー製熱・応力・歪測定装置(EXSTAR TMA/SS6100)を使用して、引張加重法で熱機械分析を行った。試験片を前記装置に装着後、荷重1g、昇温速度5℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における25℃から150℃までの平均線熱膨張率(ppm)を算出した。また2回目の測定における寸法変化シグナルの傾きが変化する点からガラス転移温度(℃)を算出した。
<誘電正接の測定>
支持体にフッ素樹脂系離型剤(ETFE)処理したPET(三菱樹脂(株)製「フルオロージュRL50KSE」を用いて、実施例及び比較例における樹脂組成物層の接着フィルムを得た。得られた接着フィルムを190℃で90分間加熱することで熱硬化させ、支持体を剥離することによりシート状の硬化物を得た。その硬化物を長さ80mm、幅2mmに切り出し評価サンプルとした。この評価サンプルについてアジレントテクノロジーズ(Agilent Technologies)社製HP8362B装置を用い空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて誘電正接を測定した。
<難燃性の評価>
実施例及び比較例で作成した接着フィルム80μmを、基板厚み0.2mmの銅張積層板(日立化成(株)製「679−FG」)の銅箔をエッチング除去した基材の両面に、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP-500(名機(株)製商品名)を用いて、積層板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。支持体のPETフィルム剥離後、190℃で90分熱硬化させ、難燃試験用サンプルを得た。幅12.7mm、長さ127mmに切り出し、切り出した面を研磨機(Struers製、RotoPol−22)で研磨した。以上5個のサンプルを一組とし、UL94垂直難燃試験に従って、難燃試験を実施した。10秒間接炎後の燃え残りサンプルがない場合は×とした。
<CZ処理銅箔と樹脂組成物間の密着強度の測定>
(1)積層板の下地処理
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、松下電工(株)製R5715ES)の両面をメック(株)製メックエッチボンドCZ8100に浸漬して銅表面の粗化処理を行った(Ra値1μm)。
(2)接着フィルムのラミネート
実施例及び比較例で作成される接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP-500(名機(株)製商品名)を用いて、積層板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。
(3)銅箔の下地処理
三井金属鉱山(株)製3EC−III(電界銅箔、35μm)の光沢面をメック(株)製メックエッチボンドCZ−8100に浸漬して銅表面に粗化処理(Ra値1μm)を行った。
(4)銅箔のラミネートと絶縁層形成
上記(2)においてラミネートされた接着フィルムからPETフィルムを剥離し、上記(3)で処理した銅箔の処理面を樹脂組成物層側にし、上記(2)と同様の条件で、銅箔を、回路基板両面に形成された樹脂組成物層上にラミネートを行った。190℃、90分の硬化条件で樹脂組成物を硬化して絶縁層を形成することで、サンプルを作製した。
(5)密着強度の測定
上記(4)のサンプル510×340mmを150×30mmの小片に切断した。、小片の銅箔部分に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、銅箔の一端を剥がしてつかみ具で掴み、インストロン万能試験機を用いて、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重をJIS C6481に準拠して測定し、密着強度(kgf/cm)とした。
(6)高温高湿下での密着強度の測定
上記(4)のサンプルに対して、130℃で85%RHの環境下で、100時間放置するHAST試験(highly accelerated temperature and humidity Stress Test)を実施した。その後室温に戻し、上記(5)と同様にして密着強度を測定した。
〔実施例1〕
ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のメチルエチルケトン(以下MEKと略す)溶液)13質量部、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「PT30」、シアネート当量約124)9質量部をシクロヘキサノン20部と共に加熱溶解させた後、ナフトール型エポキシ樹脂として東都化成(株)製「ESN−475V」(前記一般式(1)で表されるエポキシ当量約340の不揮発分65質量%のトルエン溶液)15質量部、さらに液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」、エポキシ当量約185)3質量部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約328の不揮発分75質量%のMEK溶液、日本化薬(株)製「NC3000FH−75M」)27部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製「FX289EK75」、エポキシ当量約306の不揮発分75質量%のMEK溶液)7質量部、ホスファフェナントレン骨格含有アクリレート(昭和高分子(株)製「HFA−6007M」不揮発分65質量%の2−メトキシプロパノール、リン含有量8.6%)7質量部、フェノキシ樹脂溶液(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX−6954」、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンとの混合溶液)11質量部、有機過酸化物としてジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製「パークミルD」0.5質量部、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体(ジャパンエポキシレジン(株)製「jERcure P200H50」、不揮発分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)0.5質量部、コバルト(II)アセチルアセトナート(東京化成(株)製)の3質量%のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液4質量部、及び球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」をアミノシランで表面処理したもの、平均粒子径0.5μm、3um上限カット品)85質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
樹脂組成物の不揮発分中、エポキシ樹脂26質量%、シアネートエステル樹脂12質量%、ホスファフェナントレン骨格含有アクリレート3質量%、有機過酸化物0.3%、硬化促進剤0.2質量%、有機金属系触媒として添加した金属(コバルト)48ppm、高分子樹脂2質量%、無機充填材56質量%となる。
次に、かかる樹脂組成物ワニスをポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm、以下PETフィルムと略す)上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが40μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥した(樹脂組成物層中の残留溶媒量:約1.5質量%)。次いで、樹脂組成物層の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリットし、507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。
〔実施例2〕
ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「DT−4000」、シアネート当量約140、不揮発分85質量%のトルエン溶液)13.8質量部、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のメチルエチルケトン(以下MEKと略す)溶液)21質量部、およびビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)15部をシクロヘキサノン20部と共に加熱溶解させた後、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032SS」エポキシ当量約145)3質量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製「FX289EK75」、エポキシ当量約306の不揮発分75質量%のMEK溶液)21質量部、ビニルベンジル化合物(昭和高分子(株)製「V5000X」、不揮発分65質量%のトルエン溶液)7質量部、ホスファフェナントレン骨格含有アクリレート(昭和高分子(株)製「HFA−6007M」不揮発分65質量%の2−メトキシプロパノール、リン含有量8.6%)6質量部を添加した。そこへ、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のシクロヘキサノンとMEKの1:1溶液)50部を混合し、さらに有機過酸化物としてジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製「パークミルD」0.5質量部、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体(ジャパンエポキシレジン(株)製「jERcure P200H50」)0.4質量部、ナフテン酸亜鉛(II)(東京化成(株)製、亜鉛含有量8%のミネラルスピリット溶液)の3質量%のシクロヘキサノン溶液3質量部、及び球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」をアミノシランで表面処理したもの、平均粒子径0.5μm、3um上限カット品)105質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
樹脂組成物の不揮発分中、エポキシ樹脂19質量%、シアネートエステル樹脂15質量%、ビニルベンジル化合物3質量%、ホスファフェナントレン骨格含有アクリレート2質量%、有機過酸化物0.3質量%、硬化促進剤0.1質量%、有機金属系触媒として添加した金属(亜鉛)39ppm、高分子樹脂4質量%、無機充填材57質量%となる。
次に、かかる樹脂組成物ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
〔実施例3〕
ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「DT−4000」、シアネート当量約140、不揮発分85質量%のトルエン溶液)13.8質量部、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のメチルエチルケトン(以下MEKと略す)溶液)21質量部、およびビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)15部をシクロヘキサノン20部と共に加熱溶解させた後、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032SS」エポキシ当量約145)3質量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製「FX289EK75」、エポキシ当量約306の不揮発分75質量%のMEK溶液)21質量部、ビニルベンジル化合物(昭和高分子(株)製「V5000X」、不揮発分65質量%のトルエン溶液)7質量部、ホスファフェナントレン骨格含有アクリレート(昭和高分子(株)製「HFA−6007M」不揮発分65質量%の2−メトキシプロパノール、リン含有量8.6%)12質量部を添加した。そこへ、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」)を固形分15%のシクロヘキサノンとMEKの1:1溶液)50部を混合し、さらに有機過酸化物としてジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製「パークミルD」0.5質量部、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体(ジャパンエポキシレジン(株)製「jERcure P200H50」)0.4質量部、ナフテン酸亜鉛(II)(東京化成(株)製、亜鉛含有量8%のミネラルスピリット溶液)の3質量%のシクロヘキサノン溶液3質量部、及び球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」をアミノシランで表面処理したもの、平均粒子径0.5μm、3um上限カット品)105質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
樹脂組成物の不揮発分中、エポキシ樹脂18質量%、シアネートエステル樹脂15質量%、ビニルベンジル化合物2質量%、ホスファフェナントレン骨格含有アクリレート4質量%、有機過酸化物0.3質量%、硬化促進剤0.1質量%、有機金属系触媒として添加した金属(亜鉛)39ppm、高分子樹脂4質量%、無機充填材56質量%となる。
次に、かかる樹脂組成物ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
〔実施例4〕
ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のメチルエチルケトン(以下MEKと略す)溶液)13質量部、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「PT30」、シアネート当量約124)9質量部をシクロヘキサノン20部と共に加熱溶解させた後、ナフトール型エポキシ樹脂として東都化成(株)製「ESN−475V」(前記一般式(1)で表されるエポキシ当量約340の不揮発分65質量%のトルエン溶液)15質量部、さらに液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」、エポキシ当量約185)3質量部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約328の不揮発分75質量%のMEK溶液、日本化薬(株)製「NC3000FH−75M」)27部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製「FX289EK75」、エポキシ当量約306の不揮発分75質量%のMEK溶液)7質量部、ホスファフェナントレン骨格含有メタアクリレート(昭和高分子(株)製「HFM−9B」不揮発分80質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液、リン含有量7.2%)7質量部、フェノキシ樹脂溶液(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX−6954」、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンとの混合溶液)11質量部、有機過酸化物としてジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製「パークミルD」0.5質量部、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体(ジャパンエポキシレジン(株)製「jERcure P200H50」、不揮発分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)0.5質量部、コバルト(II)アセチルアセトナート(東京化成(株)製)の3質量%のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液4質量部、及び球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」をアミノシランで表面処理したもの、平均粒子径0.5μm、3um上限カット品)85質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
樹脂組成物の不揮発分中、エポキシ樹脂25質量%、シアネートエステル樹脂12質量%、ホスファフェナントレン骨格含有アクリレート4質量%、有機過酸化物0.3質量%、硬化促進剤0.2質量%、有機金属系触媒として添加した金属(コバルト)47ppm、高分子樹脂2質量%、無機充填材56質量%となる。次に、かかる樹脂組成物ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
<比較例1>
実施例1において、ホスファフェナントレン含有アクリレート(昭和高分子(株)製「HFA−6007M」不揮発分65質量%の2−メトキシプロパノール、リン含有量8.6%)を添加しない硬化性樹脂組成物のワニスを使用する以外は、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
<比較例2>
実施例2において、ホスファフェナントレン含有アクリレート(昭和高分子(株)製「HFA−6007M」不揮発分65質量%の2−メトキシプロパノール、リン含有量8.6%)を添加しない硬化性樹脂組成物のワニスを使用する以外は、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
<比較例3>
実施例1において、ホスファフェナントレン含有アクリレート(昭和高分子(株)製「HFA−6007M」不揮発分65質量%の2−メトキシプロパノール、リン含有量8.6%)7質量部の代わりに2−ヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステル(城北化学工業(株)製「JPA−514」)5質量部を添加した硬化性樹脂組成物のワニスを使用する以外は、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
結果を表1に示す。
Figure 0005482002
表1の結果から、実施例1〜4で得られた接着フィルムにより形成された絶縁層は、難燃性が向上し、かつ熱膨張率及び誘電正接を悪化させることなく、HAST試験後のCZ銅箔との密着性の低下率が抑制されていることが分かる。
一方、ホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を含まない比較例1、2は、実施例1〜4と比較して難燃性が不十分であり、HAST試験後のCZ銅箔との密着性も大きく低下している。また、メタクリレートリン酸エステルを含む比較例3は難燃性は向上したものの、硬化フィルムが脆く、各種物性(線熱膨張率、ガラス転移温度、誘電正接)の測定ができなかった。さらにHAST試験後のCZ銅箔との密着は大きく低下した。
特定のアクリレート化合物、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂を含有させることにより、形成される絶縁層の誘電正接及び熱膨張率が低く、導体層と絶縁樹脂の密着性をより安定的に保ちながら難燃性が向上した樹脂組成物、さらには、接着フィルム、プリプレグ、回路基板を提供できるようになったことは意義深い。

Claims (17)

  1. (A)ホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、(B)エポキシ樹脂、(C)シアネートエステル樹脂を含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合、成分(A)の含有量が1〜20質量%であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. (A)9、10−ジヒドロ−9オキサ−10−ホスファフェナントレン−10オキサイド化合物と、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート化合物とを反応することによって得られるホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、(B)エポキシ樹脂、(C)シアネートエステル樹脂を含有することを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (A)9、10−ジヒドロ−9オキサ−10−ホスファフェナントレン−10オキサイドと、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート及びトリス(2−アクルロイルオキシエチル)イソシアヌレートから選択される1種以上とを反応することによって得られるホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、(B)エポキシ樹脂、(C)シアネートエステル樹脂を含有することを特徴とする、請求項1又は2記載の樹脂組成物。
  4. 樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合、成分(A)の含有量が1〜20質量%、成分(B)の含有量が5〜60質量%、成分(C)の含有量が5〜50質量%であり、シアネートエステル基とエポキシ基との比率が1:0.4〜1:2であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 更に、(D)有機過酸化物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 更に、(E)金属系硬化促進剤を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. (E)金属系硬化促進剤が、コバルト 、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、及びスズから選択される1種または2種以上の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩である請求項に記載の樹脂組成物。
  8. 更に、(F) ビニルベンジル化合物を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 更に、(G)高分子化合物としてポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 更に、(H)無機充填材を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 更に、(I)ゴム粒子を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 更に、(J)難燃剤(ホスファフェナントレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を除く)を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. 更に、(K)硬化促進剤(金属系硬化促進剤、有機過酸化物を除く)を含有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  14. 誘電正接特性が0.001〜0.018であり、環境試験前後の密着強度低下率が0.1%〜70%であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  15. 回路基板の絶縁層形成用である請求項1〜14のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とするシート状材料。
  17. 請求項16に記載のシート状材料を含有することを特徴とする多層プリント配線板。
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