JP5481322B2 - ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備、及び、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法 - Google Patents
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Description
このポリスチレン系樹脂発泡シートは、通常、ポリスチレン系樹脂組成物の連続的な押出発泡によって製造されており、一旦、長尺帯状のものがロール状に巻き取られた原反ロールなどと呼ばれる状態にされた後で成形加工に利用されている。
そのために、前記切込みを設けた後には、ポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向両端におけるエッジ部が鋭く角張った状態になっており、場合によっては、“バリ”などと呼ばれる凸部がエッジ部に形成されたりしている。
このようなエッジ部をそのままにしておくと、ポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形に供するのに際して原反ロールの外側から繰り出したポリスチレン系樹脂発泡シートのエッジ部が、その内側に巻かれているポリスチレン系樹脂発泡シートの表面に接触して傷をつけてしまうおそれを有するとともに場合によっては原反ロールを扱う作業者が指先などに怪我をするおそれを有する。
このようなことから、従来のポリスチレン系樹脂発泡シートは、その取扱いに際して慎重な作業を必要としている。
具体的には、特許文献1には、2つの円錐体を対向させて頂部で連結させたような形状を有し、一方の円錐体側の斜面と他方の円錐体側の斜面とで断面が広角なV字状となる溝を形成させた部材をポリスチレン系樹脂発泡シートのエッジ部を押し潰して矯正するための部材(矯正部材)として用いることが記載されている(特許文献1の図1、2等参照)。
しかし、このような矯正部材を用いたのでは十分な矯正効果を期待することが難しく、部分的に角張ったエッジ部をポリスチレン系樹脂発泡シートに残存させてしまうおそれを有する。
図1は、本実施形態に係るポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備の構成を示す図であり、図2は、矯正装置の設置状況を上方から見た様子を示す平面図である。
また、図3(a)は、図2におけるX−X’線矢視断面の様子を示す概略断面図であり、図3(b)は、図3(a)の破線領域Yを拡大した図である。
該タンデム押出機1の先端部には、前記ポリスチレン系樹脂組成物を発泡状態で押出して円筒状の発泡体FBを形成させるためのサーキュラーダイ2が装着されている。
また、前記製造設備には、サーキュラーダイ2の前面において開口している円環状のダイスリットから円筒状に吐出される前記発泡体FBを内面側から冷却するとともに発泡体を拡径して所定の大きさの円筒状に形成させるための冷却マンドレル3が備えられている。
そして、下流側押出機1bには、円環状のダイスリット(樹脂吐出口)が形成された前記サーキュラーダイ2が装着されている。
なお、本実施形態においては、前記サーキュラーダイ2と前記冷却マンドレル3とは、該冷却マンドレル3の円柱形状の中心軸を延長した延長線上に前記ダイスリットの略中心が位置するようにして備えられている。
したがって、サーキュラーダイ2から冷却マンドレル3までの間の発泡体FB’はサーキュラーダイ2から冷却マンドレル3に向けて略均等に拡径されることになる。
該巻取りローラ92は、前記サーキュラーダイ2のダイスリットから連続的に発泡体FBが押し出されている間、一定の引取速度で発泡シートSを巻取り得るように速度調整機構を有している。
そして、円筒状の発泡体FBは、この巻取りローラ92によって発泡シートSが巻き取られることによって下流側に引き寄せられることになり、自動的に切断装置4に供給されて前記切断刃CTによって連続的に切込みが入れられることになる。
この切り口となる発泡シート側端面が発泡シートの両表面との間になす角度は、通常、略直角になっており、発泡シートの両端における角部(エッジ部SE)は、角張った状態になる。
したがって、このエッジ部SEを、丸みを帯びた状態に矯正すべく前記矯正装置5が備えられている。
本実施形態においては、ローラ91によって平坦なシート状に展開された後、巻取りローラ92によって巻き取られる前においてエッジ部の矯正をし得るように前記矯正装置5が備えられている。
本実施形態においては、図2にも示しているように、発泡シートSの幅方向両端においてエッジ部SEを矯正すべく、一つの発泡シートSに対して矯正装置5が2台一組となって配置されており、間に発泡シートSを挟んで略対称となる状態で発泡シートSの両端部に矯正装置5が配置されている。
しかも、本実施形態においては、上ロールURに巻き取られる発泡シートと、下ロールLRに巻き取られる発泡シートとの両方においてエッジ部SEの矯正をし得るように、2組(計4台)の矯正装置5が備えられている。
また、前記矯正装置5には、該溝付きプーリ50を支持するための部材として、垂直方向に立設された板状体からなる支持基板51と、該支持基板51に一端部が固定され該支持基板51の一面側において水平方向に延びる4本のピン部材52とを有している。
これらのピン部材52は、等しい長さを有する4本の丸棒で構成されており、支持基板51に横長の長方形を描いた際の各頂点に位置するように支持基板51に取り付けられている。
すなわち、4本のピン部材52は、上下2本ずつに分かれて配置され、且つ、各2本が水平方向に略等しい距離を設けた状態で支持基板51に取り付けられている。
該支持部材53は、ピン部材52が水平方向に離間している距離よりも長さが長く、且つ、この水平方向に離間している2本のピン部材52をそれぞれ挿通可能な2つの貫通孔を有する角棒状に形成されている。
該2本の支持部材53の内の一方は、前記貫通孔に上側の2本のピン部材52をそれぞれ挿通させて当該2本のピン部材52の間に掛け渡されており、他方も同様にして下側のピン部材52に掛け渡されている。
なお、該支持部材53は、前記貫通孔に挿通されているピン部材52の先端部に装着されたストッパー54によって前記ピン部材52からの抜け落ちが防止されており、前記支持基板51からストッパー54との間を移動可能な状態で矯正装置5に備えられている。
したがって、本実施形態における矯正装置5は、発泡シートSとの相対位置を調整することによってコイルスプリングSPの反発力を調整することができ、エッジ部SEを押し潰す程度の調整を図ることができる。
したがって、本実施形態においては、この矯正装置間の距離を調整することによって矯正装置5と発泡シートSとの相対位置が調整されエッジ部SEの矯正の程度が調整されることになる。
すなわち、溝付きプーリ50に設けられている前記溝55は、前記回転軸5x周りに環状をなす環状溝となっている。
より詳しくは、前記溝55は、プーリ本体50’の外周における開口部から回転軸5xに向けての溝深さ方向において、前記開口部に近い部分では略平行状態で内壁面を対面させて溝幅一定となっている一方で回転軸5xに近い溝底部においては、U字状の前記断面における形状が円弧状となる曲面部5aが形成されている。
また、本実施形態の矯正装置5は、該溝55の内部で発泡シートSが傾いた状態になっても、溝内壁とエッジ部との接点が前記円弧上を移動するだけで、これらの接触状態が大きく変化しないように構成されている。
なお、この溝幅に対して、発泡シートSの厚みが薄い場合には、溝内部において発泡シートが傾いた状態になるおそれを有する。
しかし、溝55が断面形状がU字状となるように形成されており、底部が丸く形成されているために、ある程度発泡シートSが傾いてもエッジ部SEと溝55の底部との接触状態が大きく変化するわけではない。
また、発泡シートSは、ある程度のクッション性を有していることから、自然状態における発泡シートSの厚みが、溝幅をある程度超えている場合でも、発泡シートの端部を溝55に収容させることは可能であるが、発泡シートSが溝幅よりも厚くなると、前記エッジ部SEを溝底部の曲面部aに強く当接させることが難しくなり、該エッジ部SEに丸みを持たせることが難しくなる。
このような観点から、溝の幅に対する発泡シートSの厚みは、50%〜95%であることが好ましく、65%〜85%であることがより好ましい。
なお、固定配置するような場合であれば、断面U字状の溝を有する矯正部材は、該溝が溝付きプーリのように環状溝になっている必要は無く、例えば、側面に断面U字状の溝を形成させた板状体を矯正部材として用いることも可能である。
本実施形態においては、以下の工程を実施することによってポリスチレン系樹脂発泡シートが作製される。
すなわち、本実施形態においては、
(1)本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートの作製に必要な材料を調整すべく、ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とし、これに必要な配合剤を加えてポリスチレン系樹脂組発泡シートの原材料を調整する配合工程、
(2)前記調整された原材料を押出機の先端に取り付けたサーキュラーダイの円環状のダイスリットから押出発泡させて円筒状の発泡体を連続的に形成させる押出工程、
(3)前記円筒状の発泡体を展開して帯状の発泡シートを形成させるべく前記発泡体に押出方向に沿った連続的な切込みを設ける切断工程、
(4)前記切り込みが設けられた筒状の発泡体を平坦なシート状に展開させる展開工程、
(5)前記切込みの設けられた発泡シートの幅方向両端のエッジ部を押し潰して該エッジ部を矯正する矯正工程
(6)前記エッジ部が矯正されたポリスチレン系樹脂発泡シートをロール状に巻き取る巻取り工程
が実施されてポリスチレン系樹脂発泡シートが作製される。
以下に、個々の工程についてより詳しく説明する。
この配合工程は、発泡シートの原材料となるポリスチレン系樹脂組成物の配合を調整する工程であり、一般的なポリスチレン系樹脂発泡シートの作製における場合と同様に、計量器や混練機といった装置を用いて実施可能である。
一例を挙げると、ポリスチレン系樹脂と各種の配合剤を含んだマスターバッチとをドライブレンドする方法が挙げられる。
また、ポリスチレン系樹脂とその他の配合剤とを全て含むペレットを、例えば、ニーダーや二軸混練機などといった一般的な混練装置を用いて作製する方法が挙げられる。
この高分子型帯電防止剤としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミドなどのアイオノマーやその第四級アンモニウム塩、ポリエーテル−ポリスチレンブロック共重合体(ポリエーテル系ブロックとポリスチレン系ブロックのブロック共重合体)等が挙げられる。
なお、気泡核剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
これらの配合剤をポリスチレン系樹脂組成物にどのような配合割合で含有させるかについては、ポリスチレン系樹脂発泡シートの最終的な用途などに応じて適宜調整すればよい。
前記押出工程は、先の配合工程によって調整されたポリスチレン系樹脂組成物を前記押出機1の内部で溶融混練し、該溶融混練物を押出機1の先端に取り付けたサーキュラーダイ2の円環状のダイスリットから押出発泡させて円筒状の発泡体FBを連続的に形成させることによって実施することができる。
例えば、この溶融混練を実施する方法としては、上流側押出機1aにおいて、前記ガス導入部12から発泡剤を導入させるとともに、該発泡剤の分散に適した温度に前記ポリスチレン系樹脂組成物を加熱して、これらを樹脂成分の融点以上の温度で溶融混練し、続く、下流側押出機1bで押出発泡に適した溶融粘度とすべく上流側押出機1aよりも温度を低下させて混練を行う方法などが挙げられる。
このとき冷却マンドレル3によって拡径された円筒状の発泡体FBを冷却マンドレル3の外周面に摺接させて冷却マンドレル上を通過中に十分冷却させる。
この切断工程は、冷却マンドレル3によって拡径された円筒状の発泡体FBに対して、後段の展開工程を可能にさせるための切込みを設けるものである。
なお、本実施形態においては、冷却マンドレル3の下流側左右においてそれぞれ切断刃CTを設けて互いに周方向に180度離れた位置となる2条の切込みを円筒状の発泡体FBに連続的に形成させて、該円筒状の発泡体FBを上下二分割させる方法などにより実施が可能である。
この展開工程は、前記切断工程において切込みが形成された円筒状の発泡体FBを幅方向に押し広げて平坦なシート状とする工程である。
この工程は、前記巻取りローラ92での巻取りによって生じるテンションを利用して冷却マンドレル3の上端と略同じ高さと、下端と略同じ高さとに設けられた2本のローラ91の外周面に沿わせてポリスチレン系樹脂発泡シートを押し広げる方法などによって実施可能である。
なお、この展開工程においては、前記ローラ91の外周面に巻き掛けて平坦なシート状に展開された発泡シートSを、さらにもう一本のローラ91に巻き掛け発泡シートを平坦化させている。
前記切断工程においては、確実に切込みが設けられない場合には、展開工程などにおいてトラブルを生じることになるため、通常、刃先の鋭い切断刃が用いられる。
したがって、切り口の角部(エッジ部)は鋭利な状態になってしまうことになる。
本実施形態においては、このエッジ部を潰して発泡シートの取り扱いを容易にすべく矯正工程を実施する。
すなわち、発泡シートSの幅方向端部を収容可能な溝幅を有する断面U字状の溝55を備えた溝付きプーリ50(矯正部材)を備えた矯正装置5によって実施可能である。
具体的には、左右2台の矯正装置5の溝付きプーリ50の溝55に、それぞれ発泡シートの幅方向端部を収容させ、さらに、矯正装置5のコイルスプリングSPにある程度の反発力が発生するように位置を調整してこれらの矯正装置5をセットする。
その後は、発泡シートSが引き取られて移動するのに伴って溝付きプーリ50が回転し、その溝底部の曲面部5aで発泡シートSの角張ったエッジ部SEが自動的に潰され、長尺帯状の発泡シートSの幅方向両端且つ両面においてエッジ部の潰された領域SAが連続的に形成されることとなる。
このことに関して図を参照して具体的に説明すると、図4(a)に示すように、発泡シートSxがこのV字溝を有する溝付きプーリ50xの回転軸5yに対して略垂直となるようにして溝内壁面に当接されていれば、発泡シートの一面側S1のエッジ部と他面側S2のエッジ部とで溝内壁面との接触状態に大きな相違は生じないものの溝幅が外向きに大きく広がるV字溝に発泡シートを収容させたのでは、該発泡シートSxは、該発泡シートSxが溝内で自由に動くことになる。
したがって、この矯正工程におけるエッジ部の矯正がより確実に、且つ、仕上がり良く実施されることになる。
このようにしてエッジ部が矯正されたポリスチレン系樹脂発泡シートSは、前記巻取りローラ92によってロール状に巻き取り、食品用トレーなどの熱成形品を作製するための原反ロールとすることができる。
この巻取り工程は、一般に用いられているテンションコントローラ付の巻取り装置などを利用して実施可能である。
この時の引取速度は、製造する発泡シートの厚みや幅、さらには、押出機の能力などにもよるが、通常、1m/min〜70m/minとされる。
また、原反ロールから発泡シートを繰り出して熱成形を行う場合においても、切粉の発生が抑制されるために、発泡シートに切粉が付着した状態で熱成形がなされて製品が不良となってしまうことを抑制させ得る。
言い換えれば、切粉除去の手間を簡略化させることができ作業効率を向上させ得る。
2 サーキュラーダイ
3 冷却マンドレル
4 切断装置
5 矯正装置
5a 曲面部
5x 回転軸
50 溝付きプーリ(矯正部材)
55 溝(断面U字状の溝)
CT 切断刃
FB 発泡体
S ポリスチレン系樹脂発泡シート
Claims (4)
- 押出機と円環状のダイスリットを有するサーキュラーダイとが備えられており、ポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡させて円筒状の発泡体を連続的に形成させるべく前記押出機の先端に前記サーキュラーダイが取り付けられており、前記円筒状の発泡体を展開して帯状のポリスチレン系樹脂発泡シートを形成させ得るように前記発泡体に押出方向に沿った連続的な切込みを設けるための切断装置と、前記切込みが設けられた後のポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向両端のエッジ部を押し潰して矯正するための矯正装置とがさらに備えられているポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備であって、
前記矯正装置には、前記ポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向端部を収容可能な断面U字状の溝を有する矯正部材が備えられており、該矯正部材が、前記溝の底部に形成されている曲面部を前記エッジ部に当接させて前記矯正を実施し得るように前記矯正装置に備えられていることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備。 - 前記矯正装置には、前記溝に幅方向端部が収容されているポリスチレン系樹脂発泡シートの移動に伴って前記矯正部材を回転させ得るように、前記矯正部材が軸心周りに回転可能な状態で備えられており、且つ、該矯正部材の回転中に前記矯正を連続的に実施し得るように、前記溝が前記矯正部材の前記軸心周りに環状をなす環状溝である請求項1記載のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備。
- 前記曲面部は、U字状の前記断面における形状が半径0.5mm〜1.0mmの円弧状となるように形成されている請求項1又は2記載のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造設備。
- 押出機の先端に取り付けたサーキュラーダイの円環状のダイスリットからポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡させて円筒状の発泡体を連続的に形成させる押出工程と、前記円筒状の発泡体を展開して帯状のポリスチレン系樹脂発泡シートを形成させるべく前記発泡体に押出方向に沿った連続的な切込みを設ける切断工程と、該切断工程後のポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向両端のエッジ部を押し潰して該エッジ部を矯正する矯正工程とを実施するポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法であって、
前記矯正工程にはポリスチレン系樹脂発泡シートの幅方向端部を収容可能な溝幅を有する断面U字状の溝を備えた矯正部材を用い、該矯正部材の前記溝底部に形成されている曲面部にポリスチレン系樹脂発泡シートの前記エッジ部を当接させて前記矯正を実施することを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
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