JP5481143B2 - 釣り用リールのクラッチ装置 - Google Patents

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本発明は、クラッチ装置、特に、リール本体に装着されたハンドルとスプールとが連結されたクラッチオン状態及び連結解除されたクラッチオフ状態とを取り得る釣り用リールのクラッチ装置に関する。
両軸受リールや片軸受リール等の釣り用リールには、スプールとハンドルとを連結及び連結解除するクラッチ装置が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。従来のクラッチ装置は、ピニオンギアに設けられた第1クラッチ係合部と、スプールに設けられた第2クラッチ係合部と、ハンドル軸を貫通して配置されたクラッチ操作部材と、を有している。ピニオンギアは、第1クラッチ係合部が第2クラッチ係合部に係合するクラッチオン位置と、係合解除するクラッチオン位置とに移動可能である。また、クラッチ装置は、クラッチ操作部材の移動に応じて第1クラッチ係合部を第2クラッチ係合部から離反させるクラッチ制御機構と、ハンドルの糸巻取方向の回転に連動して第1クラッチ係合部を第2クラッチ係合部に係合させるリターン機構と、を有している。クラッチ操作部材は、ハンドル軸を貫通して配置されている。クラッチリターン機構は、ピニオンギアをクラッチオン位置側に付勢する付勢部材と、ハンドル軸に装着されたバネ部材を有している。バネ部材は、クラッチ操作部材に係合してクラッチオフ位置で保持するとともに、ハンドル軸の回転によりクラッチ操作部材の保持を解除する。
このような構成のクラッチ装置では、クラッチ操作部材を押し込むと、クラッチ装置がクラッチオフ状態になる。また、ハンドルを回転させると、バネ部材が係合解除されクラッチオン状態に戻る
実公昭61−5099号公報
前記従来の構成では、リターン機構がハンドル軸に設けられているため、ハンドル1回転当たりクラッチ装置を1度しかクラッチオン状態に戻すことができない。このため、ハンドル軸の回転位相によっては、ハンドルの回転によりクラッチオンに瞬時に戻しにくい。また、ハンドル軸の内部にリターン機構が配置されるため、ハンドル軸の長さが長くなる。このため、ハンドルとスプールとの距離が長くなる。
本発明の課題は、ハンドルとスプールとの距離を長くすることなく、ハンドルの回転によりクラッチオン状態に迅速に戻すことができるようにすることにある。
発明1に係る釣り用リールのクラッチ装置は、リール本体に装着されたハンドルとスプールとが連結されたクラッチオン状態から連結解除されたクラッチオフ状態に、第1位置と第2位置とに移動自在に配置されたクラッチ操作部材により切り換えできる装置である。クラッチ装置は、第1クラッチ係合部と、第2クラッチ係合部と、クラッチ制御機構と、リターン機構と、を備えている。第1クラッチ係合部は、ハンドルの回転軸に設けられたメインギアに噛み合いかつスプールが装着されたスプール軸に軸方向移動自在に装着された筒状のピニオンギアに設けられている。第2クラッチ係合部は、スプールに設けられ、第1クラッチ係合部に一体回転可能に係合する。クラッチ制御機構は、移動機構と、保持部材と、を有している。移動機構は、クラッチ操作部材の第1位置から第2位置の移動に応じて、第1クラッチ係合部が第2クラッチ係合部に係合するクラッチオン位置から第1クラッチ係合部が第2クラッチ係合部から離反するクラッチオフ位置にピニオンギアを移動させる。保持部材は、クラッチオフ位置でピニオンギアをスプール軸に保持するための部材である。リターン機構は、スプール軸に一部が設けられ、ピニオンギアがクラッチオフ位置にあるとき、ハンドルの回転に連動して保持部材による保持を解除してクラッチオン位置にピニオンギアを戻す。
このクラッチ装置では、クラッチ操作部材を第1位置から第2位置に操作すると、クラッチ制御機構の移動機構により、第1クラッチ係合部が第2クラッチ係合部から離反してクラッチオフ状態になり、保持部材によりピニオンギアがクラッチオフ位置でスプール軸に保持される。この状態でハンドルを回すと、ピニオンギアがハンドル軸より増速して回転し、スプール軸に一部が設けられたリターン機構により保持部材による保持が解除される。これにより、ピニオンギアがクラッチオフ位置からクラッチオン位置に戻る。
ここでは、リターン機構の一部をハンドル軸ではなくスプール軸に設けたので、ハンドルとスプールとの距離が長くならない。また、釣り用リールでは、ピニオンギアは、ハンドルの回転軸に設けられたメインギアより歯数が少なく増速されるので、回転数がハンドル軸よりピニオンギアの方が多くなる。このため、ピニオンギアがスプール軸に対してどのような位相から回転を始めても、ハンドルの回転によりクラッチオン状態に迅速に戻すことができる。
発明2に係る釣り用リールのクラッチ装置は、発明1に記載の装置において、保持部材は、非円形部と、非円形部の少なくとも一端から折り曲げられて円弧状に湾曲する湾曲部とを有し、ピニオンギアに一体回転可能に装着された線材製のバネ部材である。リターン機構は、付勢部材と、バネ係合部と、を有している。付勢部材は、ピニオンギアをクラッチオン位置に向けて付勢する。バネ係合部は、スプール軸に設けられ、クラッチオフ位置で非円形部に係合してピニオンギアをクラッチオフ位置で保持し、かつピニオンギアの回転により非円形部との係合を解除可能である。
この場合には、クラッチ操作部材を操作し、移動機構がピニオンギアをクラッチオン位置からクラッチオフ位置に移動させると、保持部材の非円形部がバネ係合部に係合してクラッチオフ位置にピニオンギアが保持される。また、ハンドルの回転によりメインギアを介してピニオンギアが回転すると、バネ係合部と非円形部との係合が解除され、付勢部材により付勢されてピニオンギアがクラッチオン位置に戻る。このため、ピニオンギアを付勢する保持部材及びスプール軸に設けたバネ係合部による係合及び係合解除により、簡単な構成でリターン機構を実現できる。
発明3に係る釣り用リールのクラッチ装置は、発明2に記載の装置において、バネ係合部は、スプール軸の外周面にクラッチオフ位置に向かって拡径する用に形成されたコーン面と、コーン面の大径側に形成された第1円周面と、第1円周面の軸方向の少なくとも一部に凹んで形成され、非円形部を係止及び係止解除可能な係止部と、を有する。
この場合には、ピニオンギアとともに移動する保持部材がコーン面でスムーズに案内され、かつ凹んだ係止部と第1円形部との段差で非円形部が確実に係止され、ピニオンギアをクラッチオフ位置に保持できる。
発明4に係る釣り用リールのクラッチ装置は、発明3に記載の装置において、バネ係合部は、第1円周面と同芯に配置され第1円周面より小径に形成され係止部に滑らかに連結可能な第2円周面をさらに有する。
この場合には、保持部材を第2円周面まで移動させると、第1円周面と第2円周面との間の段差及び第1円周面と係止部との段差の2箇所で保持部材の非円形部を係止可能であるので、スプール軸とピニオンギアの周方向の位相がどのような状態であってもピニオンギアを確実に保持できる。また、第1円周面と第2円周面との間の段差で非円形部が係止されている場合は、ピニオンギアが回転したときに係止部との滑らかな連結部分の位相で非円形部の係合が解除される。そして、第1円周面にある係止部に保持部材が移動し係止部で非円形部がいったん係止される。さらにピニオンギアが回転すると、保持部材が第1円周面により拡径されてバネ係合部での非円形部の係合が解除される。これにより付勢部材によって押圧されたピニオンギアがクラッチオン位置に戻る。ここでは、ピニオンギアがどのような回転位相にあってもピニオンギアを確実にクラッチオフ位置でスプール軸に保持できる。また、ハンドルの回転によるクラッチオン時には、二段階でピニオンギアが移動するので、クラッチオン時の衝撃が少なくなりやすい。
発明5に係る釣り用リールのクラッチ装置は、発明4に記載の装置において、係止部は、第1円周面及び第2円周面に連続して形成された平坦面である。この場合には、係止部が第1円周面に加えて第2円周面にも連続して形成された平坦面である。このため、第1円周面と第2円周面との段差で保持部材が保持されていても、保持部材がさらにスムーズに第1円周面に案内される。
発明6に係る釣り用リールのクラッチ装置は、発明2から5のいずれかに記載の装置において、ピニオンギアの外周面には、保持部材を装着可能なバネ装着溝が形成され、バネ装着溝は、スプール軸が露出するように切り欠かれ非円形部が配置される弦部分と、湾曲部が配置される円弧部分とを有し、断面がD字形状である。
この場合には、スプール軸が露出するように弦部分が切り欠かれているので、非円形部がバネ係合部に確実に係止される。
発明7に係る釣り用リールのクラッチ装置は、発明6に記載の装置において、保持部材の非円形部は直線状に形成され、湾曲部は、非円形部の両端に形成されている。
この場合には、湾曲部が非円形部の両端に形成されているので、湾曲部でバネ装着溝を挟持できる。このため、非円形部がバネ係合部に沿って弦部分から離反しても、湾曲部の弾性により弦部分に戻ることができ、保持部材がバネ装着溝から外れにくくなる。
発明8に係る釣り用リールのクラッチ装置は、発明2から7のいずれかに記載の装置において、クラッチ操作部材は、スプール軸及びハンドルの回転軸と異なる位置でリール本体に揺動自在に支持されたレバー部材である。移動機構は、クラッチカムと、クラッチヨークと、を有する。クラッチカムは、クラッチ操作部材の揺動に連動して回動し、周方向に間隔を隔てて配置された複数の傾斜カム面を有する。クラッチヨークは、傾斜カム面に係合するカム受け部を有し、クラッチ操作部材の第1位置から第2位置の揺動に応じて、クラッチオン位置からクラッチオフ位置にピニオンギアを移動させる。付勢部材は、クラッチヨークを付勢する。
この場合には、クラッチ操作部材を第1位置から第2位置に揺動させると、クラッチカムが回動しその傾斜カム面に係合するカム受け部を有するクラッチヨークが移動してピニオンギアをクラッチオン位置からクラッチオフ位置に移動させる。ここでは、スプール軸及びハンドルの回転軸と異なる位置に配置されたクラッチ操作部材とともに回動する傾斜カムによりピニオンギアを移動させることができるので、コンパクトな構成でピニオンギアを移動させることができる。また、ピニオンギアを直接付勢するのではなく、クラッチヨークを介してピニオンギアを付勢しているので、スプール軸周りの構成が簡素化する。
本発明によれば、リターン機構の一部をハンドル軸ではなくスプール軸に設けたので、ハンドルとスプールとの距離が長くならない。また、釣り用リールでは、ピニオンギアは、ハンドルの回転軸に設けられたメインギアより歯数が少なく増速されるので、回転数がハンドル軸よりピニオンギアの方が多くなる。このため、ピニオンギアがスプール軸に対してどのような位相から回転を始めても、ハンドルの回転によりクラッチオン状態に迅速に戻すことができる。
本発明の一実施形態を採用した片軸受リールの正面図。 その側面図。 図2のIII−III断面図。 図2のIV−IV断面図。 ドラグ機構を示す分解斜視図。 クラッチ装置の主要部の構成を示す分解斜視図。 クラッチレバーの揺動範囲を示す正面部分図。 クラッチカムの構成及び作用を示す模式図。 クラッチ制御機構のクラッチオフ動作を説明する断面部分図。 リターン機構のリターン動作を説明する断面部分図。 リターン機構のリターン動作を説明する図9のXIA−XIA、及び図10のXIB−XIB、XIC−XIC断面図。 他の実施形態のクラッチヨークを示す正面図。
図1、図2、図3及び図4において、本発明の一実施形態が採用された釣り用リールは、釣り糸を前方に放出可能な片軸受リール10である。片軸受リール10は、釣り竿RDに装着可能なリール本体11と、リール本体11に回転自在に装着されたハンドル12と、ハンドル12により回転するスプール13と、を備えている。スプール13は、リール本体11に片持ち支持されたスプール軸14に回転自在に支持されている。また、片軸受リール10は、クラッチレバー20と、クラッチ装置25と、を備えている。なお、図2は、左手巻きの場合の側面図であり、釣り糸は図2左方に繰り出される。
<リール本体及びハンドルの構成>
リール本体11は、フレーム21と、フレーム21に固定された側カバー23と、を有している。フレーム21と側カバー23との間には、ハンドル12の回転をスプール13に伝達する回転伝達機構24と、クラッチ装置25と、スプール13の糸繰り出し方向の回転を制動するドラグ機構26と、が配置されている。クラッチ装置25は、ハンドル12とスプール13とを連結(クラッチオン状態)及び連結遮断(クラッチオフ状態)するクラッチレバー20は、クラッチ装置25をクラッチオン状態からクラッチオフ状態に操作するための部材である。クラッチレバー20は、側カバー23の外側面に揺動自在に装着されている。
フレーム21は、中心にスプール13の後述するボス部15が通過可能な開口21aを有する第1円板部21bと、第1円板部21bの外周側に突出して形成された外筒部21cと、開口21aに外筒部21cと逆側に突出して形成された内筒部21dと、有している。第1円板部21bの外周側外側面には、スプール13の後述する内側フランジ部17bを収容可能な砂噛み防止凹部21eが形成されている。外筒部21cの開口端は、側カバー23により塞がれている。内筒部21dは、スプール13内に入り込んだ釣り糸がボス部15に巻き付くのを防止するための糸噛み防止部として機能する。外筒部21cの外周面には、スプール13の外周側を覆うように側カバー23と逆側に延びる上保護部22a及び下保護部22bが、例えばネジ止め等の固定手段により固定されている。上保護部22aには、片軸受リール10を釣り竿RDに装着するための前後に長い竿取付脚22cが、例えばネジ止め等の固定手段により固定されている。
側カバー23は、フレーム21に2本の連結ボルト19a(図4)により連結されている。連結ボルト19aは、スプール軸14を挟んで対称の位置に配置されている。連結ボルト19aの外周側にはそれぞれスリーブ19bが配置されている。スリーブ19bは、連結部分の補強のために設けられている。連結ボルト19aは、取り外し時の脱落を防止するために中間部に小径部19cが形成されている。小径部19cは、スリーブ19bに装着されたバネ部材19dにより係止されている。
側カバー23は、外筒部21cに嵌合固定される第2円板部23aと、第2円板部23aから膨出する有底筒状の膨出部23bと、を有している。第2円板部23aは、第1円板部21bの中心を通る第1軸X1を中心としている。したがって、第1円板部21bと第2円板部23aとは同芯に配置されている。第1軸X1は、竿取付脚22cの長手方向(前後方向)と食い違う方向に沿って配置されている。膨出部23bは、回転伝達機構24と、クラッチ装置25と、ドラグ機構26とを収納するために設けられている。膨出部23bは、第1軸X1(図2)から偏芯した位置を中心X4(図2)として円形に軸方向外方(図2の紙面直交方向手前側)に膨出している。膨出部23bには、ドラグ機構26を収納するドラグ収納筒部23cがカシメ等の適宜の固定手段により固定されている。ドラグ収納筒部23cの中心を通る第2軸X2(図2)は、第1軸X1と平行に配置され、膨出部23bの中心X4と第1軸X1をつなぐ直線L上で中心X4より径方向外方に配置されている。
ハンドル12は、図3及び図5に示すように、例えば両端にハンドル把手30が装着されたハンドルアーム31を有するダブルハンドル型である。ハンドルアーム31は、ハンドル軸32の先端に固定ボルト27により一体回転可能に固定されている。
<回転伝達機構の構成>
回転伝達機構24は、図3に示すように、ハンドル軸32と、ハンドル軸32に一体回転可能に連結されたメインギア34と、メインギア34に噛み合うピニオンギア36と、を有している。ハンドル軸32は、第2軸X2に沿って配置され、第1円板部21bに装着された軸受38及び側カバー23に装着されたローラクラッチ40によりリール本体11に第2軸X2回りに回転自在に支持されている。ローラクラッチ40は、ドラグ機構26を作動させるとともに、ハンドル軸32を支持している。ローラクラッチ40は、外輪40aと、内輪40bと、外輪40a及び内輪40bに接触可能な複数の転動体40cと、を有している。外輪40aは、膨出部23b内に形成された支持筒部23dに回転不能に装着されている。内輪40bは、ハンドル軸32に回転自在に装着されている。内輪40bは、図5に示すように、軸方向の両端部に軸方向に延びる1対の係止突起40dを有している。
ハンドル軸32は、図5に示すように、ドラグ機構26を装着するための雄ネジ部32aを先端外周面に有している。また、先端面には、ハンドルアーム31固定用の固定ボルト27がねじ込まれる雌ネジ部32bが形成されている。先端外周面には、平行面を有しハンドルアーム31が一体回転可能に連結される第1回転係止部32cが形成されている。中間部分の外周面には、平行面を有しドラグ機構26が装着される第2回転係止部32dが形成されている。さらに基端には、軸受38が装着される小径部32eが形成されている。基端側には、小径部32eに隣接して大径の鍔部32fが形成されている。鍔部32fには、平行面を有しメインギア34を連結するための第3回転係止部32gが形成されている。
メインギア34は、例えば、黄銅製の円板形状の部材である。メインギア34は、ハンドル軸32に回転自在に装着されている。メインギア34は、ハンドル軸32の第3回転係止部32gに一体回転可能に装着された連結部材41を介してハンドル軸32に一体回転可能に連結されている。メインギア34は、直歯ギアであり、たとえば歯数が43である。メインギア34には、連結部材41が係合する1対の係合孔34aが形成されている。連結部材41は、中心に第3回転係止部32gに一体回転可能に装着される長孔41aが形成され、外周面に係合孔34aに係合する1対の係合耳部41bが軸方向に折り曲げて形成されている。
ピニオンギア36は、図3に示すように、スプール軸14に回転自在かつ軸方向移動自在に装着されている。ピニオンギア36は、図3及び図6に示すように、例えばしんちゅう製の筒状のギア本体42と、ギア本体42に一体回転可能に連結されたしんちゅう製の筒状のギアガード43と、を有している。なお、図6では、クラッチ装置25等の構成部品のうち主要なものを図示している。ギア本体42は、例えば直歯ギアであり、歯数が12である。このため、回転伝達機構24の増速比は、43/12となる。ギア本体42は、先端にクラッチ装置25を構成する第1クラッチ係合部44を有している。ギアガード43は、クラッチ装置25を構成するためにギア本体42に、例えばカシメ固定、接着等の適宜の固定手段により一体回転可能に固定されている。ギアガード43の外周面には、環状の係止溝43aと、環状のバネ装着溝43bとが軸方向に並べて配置されている。係止溝43aはバネ装着溝43bよりギア本体42側に形成されている。
<スプールの構成>
スプール13は、図3及び図4に示すように、スプール軸14に回転自在に支持されている。スプール軸14は、第1軸X1に沿って配置され、側カバー23に固定ボルト28により基端が固定されている。スプール軸14は、基端側外周面にクラッチ装置25を構成するバネ係合部74を有している。また先端側には、テーパ部14aと環状のスプール係止溝14bとが間隔を隔てて形成されている。
スプール13は、ボス部15と、ボス部15が外周側に間隔を隔てて配置された糸巻胴部16と、糸巻胴部16の両端部に一体形成された外側フランジ部17a及び内側フランジ部17bと、を有している。ボス部15は、スプール軸14に回転自在に支持される。ボス部15と糸巻胴部16とは、円板状の連結部18により連結されている。糸巻胴部16及び連結部18には、軽量化のための多数の貫通孔が形成されている。ボス部15には、スプール13をワンタッチでスプール軸14に着脱するためのワンタッチ着脱機構52と、クラッチ装置25を構成する第2クラッチ係合部48と、が設けられている。
図6に示すように、ボス部15の第1端(図6の左端)の外周面には、キャップ部材49(図3)を装着するための雄ネジ部15aが形成されている。また第1端には、装着スリット15bが径方向に沿って形成されている。ボス部15の第2端(図6の右端)には、第2クラッチ係合部48をスプール13と一体回転可能に連結するための連結スリット15cが径方向に沿って形成されている。
ボス部15の内周面には、図3及び図4に示すように、例えば玉軸受の形態の外側軸受50及び内側軸受51が間隔を隔てて配置されている。外側軸受50の第1面(図3左側面)は、キャップ部材49により位置決めされる。外側軸受50の第2面(図3右側面)は、抜け止めバネ53(図4)により抜け止めされている。内側軸受51の第1面(図3左側面)は、ボス部15の内周面に位置決めされる。内側軸受51の第2面(図3右側面)は、スペーサリング54及び第2クラッチ係合部48とともに抜け止めバネ55(図4)により抜け止めされている。
ワンタッチ着脱機構52は、図3及び図6に示すように、スプール軸14のスプール係止溝14bと、スプール係止溝14bに係合する着脱操作部材56と、着脱操作部材56を径方向外方(図3の上方)に付勢する捩りコイルバネ57(図3)と、を有している。
着脱操作部材56は、例えばステンレス合金製の板材を折り曲げて形成されている。着脱操作部材56は、第1端(図6の上端)に90度折り曲げられて形成された着脱操作部56aを有している。着脱操作部材56の中間部には、係止孔56bが形成されている。係止孔56bは、スプール軸14が通過可能な通過部分56cと、スプール係止溝14bに係合可能な小径の係合部分56dと、捩りコイルバネ57の先端57aが係止される係止部分56eと、を有している。
着脱操作部材56によりスプール13をスプール軸14から取り外す場合は、着脱操作部56aをスプール軸14に接近する方向に向けて押圧する。すると、係止部分56eがスプール係止溝14bからはずれる。これにより、通過部分56cがスプール軸14に対向して配置され、スプール13を取り外すことができる。また、スプール13を装着するすると、テーパ部14aにより係止孔56bが案内される。そして、スプール係止溝14bに着脱操作部材56が配置されると、捩りコイルバネ57の付勢力により係合部分56dがスプール係止溝14bに係止され、スプール13が抜け止めされる。
ここで、捩りコイルバネ57で着脱操作部材56を付勢するようにしたのは、着脱を頻繁に行ってもバネの破損が生じににくくなるからである。例えば、抜け止めバネ53を利用して着脱操作部材を付勢することが可能であるが、たわむ部分の距離が短いため、着脱動作による金属疲労によりバネが破損するおそれがある。一方、捩りコイルバネ57は、捩り方向(概ね円周方向)にバネがたわむため、たわむ部分の距離が長くなり、着脱動作による破損が生じにくくなる。
また、ワンタッチ着脱機構52の着脱操作部材56の先端側に外側軸受50を配置しているので、内側軸受51と外側軸受50との距離を長くすることができる。このため、スプール13をスプール軸14に取り付けたときのガタツキを減少させることができる。
<クラッチレバーの構成>
クラッチレバー20は、図2及び図6に示すように、側カバー23の膨出部23bの外側面の第1軸X1の上方に平行に配置された第3軸X3回りに揺動自在に装着されている。なお、第2軸X2及び第3軸X3は、第1円板部21bの中心に配置された第1軸X1を通る直線L上に上下に並べて配置されている。また、直線Lは、竿取付脚22cの前後方向(図2左右方向)の中心位置で竿取付脚22cと直角に交わっている。言い換えれば、第3軸X3は、第2軸X2と第1軸X1を挟んで逆側に配置されている。従って、リール本体11を含めて片軸受リール10は、前後方向において直線Lに対して概ね線対称に形成されている。
クラッチレバー20は、後述するリターンバネ73(図3)の作用により、通常は、図2に示す第1位置に保持されている。クラッチレバー20は、側カバー23に固定ボルト29により固定されたレバー軸65と、レバー軸65に一体回動可能に装着されたレバー本体66と、レバー本体の先端にネジ止めされたレバーつまみ67と、を備えている。レバー軸65は、先端外周面に後述するクラッチカム70を一体回動可能に連結する平行な2つの平面で構成された第1連結部65aを有している。また、レバー軸65は、基端外周面にレバー本体66を連結する平行な2つの平面で構成された第2連結部65bを有している。第2連結部65bに近接して外周面には、鍔部65cが形成されている。鍔部65cは、固定ボルト29によりレバー軸65を固定する際の当たりとなっている。基端面には、固定ボルト29がねじ込まれる雌ネジ部65dが形成されている。
レバー本体66は、固定ボルト29によりレバー軸65に固定されている。したがって固定ボルト29は、レバー軸65の側カバー23への固定及びレバー本体66のレバー軸65への固定の2つの機能を果たしている。レバー本体66と膨出部23bの外側面との間には、例えば、ポリアセタール等の摺動性が高い合成樹脂製のワッシャ部材63が装着されている。レバー本体66は、レバー軸65に装着される円形装着部66aを有し、円形装着部66aには、第2連結部65bに係合する長孔66bが形成されている。レバー本体66は、円形装着部66aから径方向の延びるレバー部66cと、レバー部66cと、略110度程度間隔を隔てて配置されて係止アーム66dと、をさらに有している。レバー部66cの先端にレバーつまみ67がネジ部材61(図3)により固定されている。
図7に示すように、クラッチレバー20は、実線で示す第1位置から二点鎖線で示す第2位置及び第1位置から第2位置と逆方向の一点鎖線で示す第3位置に揺動自在に配置されている。ここで、第2位置への揺動操作は、キャスティング時等に仕掛けを繰り出す時に使用され、第3位置への揺動操作は、キャスティング後に仕掛けを少し繰り出したいときに使用される。第3位置への揺動操作では、ピニオンギア36はクラッチオフ位置で保持されず、揺動操作が終わると、ピニオンギア36は、リターンバネ73の作用により、クラッチオン位置に戻る。
係止アーム66dは、クラッチレバー20を第3位置に位置決めするために設けられている。係止アーム66dが、スプール軸14の固定ボルト28の頭部に接触することにより、第3位置にクラッチレバー20が位置決めされる。ここで、第2位置の揺動角度αは、第3位置の揺動角度βより大きい。この揺動角度αは、後述するクラッチカムのカムの数に応じて定められている。なお、第2位置の位置決めは、レバーつまみ67の背面に形成された破線で示すV字形の位置決め切欠き67aによって行われる。この位置決め切欠き67aが、膨出部23bの外周面に接触することによりクラッチレバー20が第2位置に位置決めされる。
なお、この実施形態の片軸受リール10は、ハンドル12を右側に配置する右手巻きと左側に配置する左手巻きのいずれにも対応できる。この場合、クラッチレバー20において、係止アーム66dを設けているため、レバー本体66の表裏を反転させると共にレバーつまみ67を付け替える。また、右手巻き及び左手巻きに対応するため、位置決め切欠き67aは、左右対称のV字形に形成され、いずれの切欠き面でも第2位置でクラッチレバー20を位置決めできるようになっている。この場合、後述するようにローラクラッチ40も反転させる。
<クラッチ装置の構成>
クラッチ装置25は、クラッチレバー20によりクラッチオン状態からクラッチオフ状態に切り換えられる。クラッチ装置25は、図3に示すように、ピニオンギア36のギア本体42に設けられた第1クラッチ係合部44と、スプール13に設けられた第2クラッチ係合部48と、を有している。また、クラッチ装置25は、クラッチ制御機構62と、リターン機構64と、を有している。
<第1クラッチ係合部及び第2クラッチ係合部の構成>
第1クラッチ係合部44は、ギア本体42の先端に切り欠いて形成された平行な2つの係合面44aを有している。従って、第1クラッチ係合部44の断面は、2つの円弧と円弧の両端を連結する平行な直線とで構成されている。
第2クラッチ係合部48は、図6に示すように、たとえば、ステンレス合金製の板状の円板部材である。第2クラッチ係合部48は、スプール13のボス部15に形成された連結スリット15cに装着されてスプール13の一体回転する。第2クラッチ係合部48は、外周に連結スリット15cに係合する1対の係合耳部48aを有し、内周に第1クラッチ係合部44に係合する係合孔48bを有している。係合孔48bは、2つの円弧48cと円弧48cの両端を連結する2つの平行な直線48dとで構成されている。
<クラッチ制御機構の構成>
クラッチ制御機構62は、図6に示すように、クラッチレバー20の揺動に連動してピニオンギア36をクラッチオン位置からクラッチオフ位置に移動させる移動機構68と、クラッチオフ位置でピニオンギア36をスプール軸14に保持する保持部材69と、を有している。クラッチオン位置では、ピニオンギア36がスプール13側に配置されて、図10(A)に示すように、第1クラッチ係合部44が第2クラッチ係合部48に係合している。クラッチオフ位置では、図9(A)に示すように、第1クラッチ係合部44が第2クラッチ係合部48から離反している。
移動機構68は、クラッチレバー20の揺動に連動して回動するクラッチカム70と、クラッチカムに係合するクラッチヨーク71と、を有している。
クラッチカム70は、例えば、ポリアセタール樹脂及びポリアミド樹脂等の摺動性が高く硬質の合成樹脂製の筒状の部材である。クラッチカム70は、クラッチレバー20のレバー軸65の第1連結部65aに一体回動可能に連結される連結部70aを中心に有している。したがって、クラッチカム70は、クラッチレバー20の第1位置から第2位置又は第1位置から第3位置の揺動に連動して回動する。クラッチカム70は、図8(A)に模式的に示すように、周方向に間隔を隔てて配置された3つ以上(例えば3つ)の二等辺三角形形状に凹んだ第1傾斜カム面70bを有している。クラッチカム70は、図6に示すように、フレーム21の第1円板部21bの外側面に回動自在に装着される装着軸70cを有している。図8(A)に示すように、第1傾斜カム面70bの谷部分70dにはクラッチカム製作用の金型の都合により僅かの幅の平坦面が形成されている。なお、図8(A)は、第1位置にクラッチレバー20が配置されたときを示している。図8(A)では、周方向に配置された2つの第1傾斜カム面70bの作用をわかりやすく説明するために平面に展開している。また、谷部分70dは厚みが薄くなるため、谷部分70dには、図6に示すように、補強のための厚肉部70eが形成されている。隣り合う第1傾斜カム面70bの境界部分の頂上部70fは、この実施形態では尖って形成されている。
クラッチヨーク71は、クラッチレバー20の第1位置から第2位置又は第1位置から第3位置への揺動に応じて、ピニオンギア36をクラッチオン位置からクラッチオフ位置に移動させる。クラッチヨーク71は、例えば、ポリアセタール樹脂及びポリアミド樹脂等の摺動性が高く硬質の合成樹脂製の部材である。クラッチヨーク71は、表面(図6左側の面)に第1傾斜カム面70bに係合するカム受け部71aを有している。カム受け部71aは、図8に示すように、第1傾斜カム面70bと実質的に同じ形状に形成された凹んだ第2傾斜カム面71bを有している。クラッチヨーク71には、図6に示すように、中心にレバー軸65が貫通するガイド孔71cが形成されている。クラッチヨーク71は、レバー軸65に支持されて軸方向に移動自在である。クラッチヨーク71は、ピニオンギア36のギアガード43の係止溝43aに係合してピニオンギア36を移動させるための係止アーム71dを有している。係止アーム71dは、径方向に延び、係止溝43aに半円形に係合するように中間部が半円形に凹んで形成されている。クラッチヨーク71の背面(図6右側の面)には、後述するリターンバネ73を装着するための環状のバネ係止溝71eが形成されている。クラッチヨーク71は、ギアガード43に係合することにより回り止めされている。
保持部材69は、図6及び図11に示すように、ピニオンギア36のギアガード43のバネ装着溝43bにピニオンギア36と一体回転可能に装着されている。保持部材69は、例えばステンレス合金製の弾性を有する線材製のバネ部材ある。保持部材69は、非円形部69aと、非円形部69aの両端から折り曲げられて円弧状に湾曲する湾曲部69bとを有する。非円形部69aは、この実施形態では、直線状に形成されている。
バネ装着溝43bは、図10及び図11に示すように、スプール軸14が露出するように切り欠かれ保持部材69の非円形部69aが配置される弦部分43cと、湾曲部69bが配置される円弧部分43dとを有し、断面がD字形状である。バネ装着溝43bは、保持部材69が弾性により保持されるように、保持部材69よりわずかに大きく形成されている。保持部材69の湾曲部69bは、円弧部分43dに沿って互いに接近するような位置まで形成されている。これにより、リターン動作時に保持部材69が径方向にずれてもバネ装着溝43bから外れにくくなっている。
ここでは、クラッチカム70が二等辺三角形状の第1傾斜カム面70bを有しているので、クラッチレバー20がいずれの方向に回動しても、クラッチカム70を作用は変化せず、クラッチ制御機構62は同じ動作を行える。
また、クラッチカム70が3以上の第1傾斜カム面70bを有しているので、クラッチヨーク71と3点以上で接触する。このため、ピニオンギア36と偏芯した位置を中心としてクラッチヨーク71が移動しても倒れにくくなり、クラッチヨーク71が安定してピニオンギア36を移動させることができる。
<リターン機構の構成>
リターン機構64は、ピニオンギア36をクラッチオン位置に向けて図3左方に付勢するリターンバネ73と、スプール軸14に形成されたバネ係合部74と、を有している。リターンバネ73は、レバー軸65の外周側でクラッチヨーク71のバネ係止溝71eと膨出部23bの内側面との間に圧縮された状態で配置されている。この実施形態では、リターンばね73は、ピニオンギア36を直接付勢するのではなく、クラッチヨーク71を介してピニオンギア36を付勢している。この理由は、ピニオンギア36と膨出部23bの隙間よりクラッチヨーク71と膨出部23bとの隙間の方が大きいため、リターンバネ73を装着やすいからである。
バネ係合部74は、図6、図10及び図11に示すように、クラッチオフ位置にピニオンギア36が移動したとき、非円形部69aに係合してピニオンギア36のクラッチオン位置に向かう方向の移動を阻止する。また、バネ係合部74は、ピニオンギア36の回転により非円形部69aとの係合を解除可能である。バネ係合部74は、スプール軸14の基端側外周面に形成されたコーン面74aと、コーン面74aに連なる第1円周面74bと、第1円周面74bに形成された係止部74cと、を有している。コーン面74aは、スプール軸14の基端側外周面に基端(クラッチオフ位置側)に向かって徐々に拡径するように形成されている。第1円周面74bは、コーン面74aの大径側に形成されている。係止部74cは、第1円周面74bにコーン面74aと隙間をあけて平坦に凹んで形成されている。したがって、係止部74cは、第1円周面74bと係止部74cとの間に形成された第1段差74dを有している。係止部74cは、保持部材69の非円形部69aを係止及び係止解除可能である。バネ係合部74は、第1円周面74bと同芯に配置され第1円周面74bより小径に形成され係止部74cと滑らかに連結可能な第2円周面74eをさらに有している。したがって、第1円周面74bと第2円周面74eとの間には、非円形部69aを係止かつ係止解除可能な第2段差74fが形成される。この実施形態では、平坦面で構成される係止部74cは、第2円周面74eにも第1円周面74bから連続して形成されている。
<ドラグ機構の構成>
ドラグ機構26は、ハンドル軸32の雄ネジ部32aに螺合するドラグ操作用のスタードラグ80と、ローラクラッチ40と、第1ドラグ座金81と、第2ドラグ座金82a,82bと、3枚の皿バネ83と、第1ドラグ座金81と第2ドラグ座金82aの間及び第2ドラグ座金82bの両側に回転自在に配置されたドラグディスク84a及びドラグディスク84b,84cと、を有している。
第1ドラグ座金81は、ローラクラッチ40の外側に2枚設けられており、ハンドル軸32の外周面に一体回転可能に装着されている。第1ドラグ座金81の内周面には、ハンドル軸32の第2回転係止部32dに係合する非円形孔81aが形成されている。
第2ドラグ座金82aは、2枚であり、ローラクラッチ40の外側に第1ドラグ座金81と交互に設けられている。第2ドラグ座金82bは、ローラクラッチ40の内側に1枚設けられている。第2ドラグ座金82a,82bは、ローラクラッチ40の内輪40bと一体回転可能である。ここで、外側の2枚の第2ドラグ座金82aは、外周側に配置された連結筒部85により一体回転可能に連結されている。第2ドラグ座金82aは、連結筒部85に係合する1対の係合耳部82cを外周部に有し、内輪40bの係止突起40dに係合する係止凹部82dを内周面に有している。なお最も外側の第2ドラグ座金82aの係止凹部82dは機能していない。第2ドラグ座金82bは、係止突起40dに係合する係止凹部82eを有している。連結筒部85は、1対の係合耳部82cに係合する係合溝85aを両端面に有している。
ドラグディスク84aは、第1ドラグ座金81と第2ドラグ座金82aとの間に配置されている。ドラグディスク84bは、支持筒部23dと第2ドラグ座金82bとの間に配置されている。ドラグディスク84cは、第2ドラグ座金82bとメインギア34との間に配置されている。
ドラグ機構26では、スタードラグ80をネジ締め込み方向に回すと皿バネ83が圧縮して皿バネ83のバネ力に応じてドラグ力が強くなる。皿バネ83が密着するとドラグ力が急激に強くなる。
ドラグ作動時には、スプール13が糸繰り出し方向に回転すると、メインギア34を介してハンドル軸32が糸繰り出し方向に回転する。これによりハンドル軸32に係合する第1ドラグ座金81が回転する。しかし、ローラクラッチ40の内輪40bは、糸繰り出し方向には回転しない。このため、内輪40bに連結可能な第2ドラグ座金82a,82bは回転せず、回転する第1ドラグ座金81との間で摩擦力が発生し、スプール13の糸繰り出し方向の回転が制動される。
このような構成のドラグ機構26では、連結筒部85を設けて第1ドラグ座金81及び第2ドラグ座金82aの枚数を増やしている。これにより、ドラグ力を強くすることができる。また、第1ドラグ座金81及び第2ドラグ座金82aの枚数を増やしたので、ドラグ発生時にスプール13の回転むらが生じにくくなり、釣り糸をスムーズに繰り出すことができる。
<クラッチ装置の動作>
クラッチ装置25がクラッチオン状態のときに、クラッチレバー20を第1位置から第2位置に操作すると、クラッチカム70が同方向に回動する。クラッチカム70が回動すると、クラッチヨーク71が図3右方のクラッチオフ位置に向けて移動する。クラッチヨーク71が移動するとクラッチヨーク71に係合するピニオンギア36が図10(B)に示すクラッチオン位置からクラッチヨーク71とともに図9(A)に示すクラッチオフ位置に移動する。ピニオンギア36がクラッチオフ位置に到達すると、その途中で保持部材69がコーン面74a及び第1円周面74bを乗り越えて第2円周面74eに配置され、非円形部69aが第2段差74fで係止される。これにより、ピニオンギア36がクラッチオフ位置に保持され、クラッチ装置25がクラッチオフ状態になる。ただし、非円形部69aが係止部74cに係合する回転位相にある場合は、図10(A)に示すように、第1段差74dに係止される。ここでは、ピニオンギア36と共に回転する保持部材69の非円形部69aがどのような回転位相にあってもピニオンギア36をクラッチオフ位置に保持できる。
第2位置にクラッチレバー20が揺動したとき、すなわち、クラッチオフ状態のとき、移動機構68において、図8(B)に示すように、クラッチヨーク71のクラッチカム70への係合部分は、クラッチカム70の隣り合う第1傾斜カム面70bの境界部分にある頂上部70fの手前側に配置される。言い換えれば、第2位置は、クラッチカム70の頂上部70fがクラッチヨーク71の頂上部71fを超えないような揺動角度(例えば、傾斜カム面が3つの時は60度未満)に設定されている。このため、クラッチレバー20から手を離すと、リターンバネ73によって付勢されたクラッチヨーク71により、クラッチカム70が図8(A)の状態に戻るように押圧される。この結果、クラッチヨーク71がクラッチオン位置に向けて移動し、第1傾斜カム面70bの作用によりクラッチカム70が逆方向に回動してクラッチレバー20が第1位置に戻る。
クラッチ装置25がクラッチオン状態のときに、クラッチレバー20を第1位置から第3位置に操作すると、クラッチカム70が同方向に回動する。しかし、第2位置への操作と異なり、第3位置の揺動角度βは第2位置の揺動角度αより小さい。クラッチカム70が回動すると、クラッチヨーク71が図3右方のクラッチオフ位置に向けて移動する。クラッチヨーク71が移動するとクラッチヨーク71に係合するピニオンギア36が図10(B)に示すクラッチオン位置からクラッチヨーク71とともに図9(B)に示すクラッチオフ位置に移動する。このときの非円形部69aの位置は、バネ係合部74の係止部74cまで行かずにコーン面74aの途中に配置される。このため、保持部材69は、バネ係合部74に係止されず、ピニオンギア36は、バネ係合部74によりクラッチオフ位置に保持されない。第3位置は、第2位置より揺動角度が小さいため、第2位置への揺動と同様に、クラッチレバー20から手を離すと、クラッチレバー20が第1位置に戻る。
具体的には、クラッチレバー20の操作をやめると、リターンバネ73の作用によりクラッチヨーク71が押圧される。この結果、クラッチヨーク71がクラッチオン位置に向けて移動し、第1傾斜カム面70bの作用によりクラッチカム70が逆方向に回動してクラッチレバー20が第1位置に戻る。これにより、糸繰り出し時に当たりがあったときに瞬時にクラッチオン状態に切り換えて合わせることができる。
第2位置への操作によるクラッチオフ状態のときにハンドル12を操作すると、リターン機構64が動作する。例えば、図9(A)及び図11(A)に示すような回転位相(非円形部69aが係止部74cに係合しない回転位相)でクラッチオフ状態になっている場合は、ハンドル12に連動してピニオンギア36が回転すると、非円形部69aが係止部74cに係合する回転位相になる。この回転位相では、非円形部69aが第2段差74fによる係止を解除されリターンばね73によりピニオンギア36はクラッチオン位置側に移動する。しかし、非円形部69aは、第1段差74dに係止されてその移動がいったん停止される。この状態を図10(A)及び図11(B)に示す。
さらにピニオンギア36が回転すると、係止部74cと第1円周面74bとの境界に形成されたエッジ部分74gにより非円形部69aが径方向外方に押圧される。そして、エッジ部分74gにおける第1円周面74bの接線となる位置まで非円形部69aが押圧されると、第1円周面74bの外周面に到達するため第1段差74dにより係止が解除される。この状態を図10(B)及び図11(C)示す。これにより、係止部74cにより保持部材69の係止が解除され、ピニオンギア36は、リターンバネ73によりクラッチヨーク71を介してクラッチオン位置側に付勢されてクラッチオン位置に戻る。
また、例えば、図10(A)及び図11(B)に示すような回転位相(非円形部69aが係止部74cに係合する回転位相)でクラッチオフ状態になっている場合は、ハンドル12が回転すると、前述した2回目の移動と同様な動作でクラッチオン位置に戻る。具体的には、図10(B)及び図11(C)の回転位相になると、非円形部69aの係止が解除されてクラッチオン位置にピニオンギア36が戻る。したがって、ピニオンギア36がスプール軸14に対してどのような回転位相になっていても、ピニオンギア36をクラッチオフ位置に保持できる。
ここでは、リターン機構64の一部をハンドル軸32ではなくスプール軸14に設けたので、ハンドル12とスプール13との距離が長くならない。また、釣り用リールでは、ピニオンギア36は、ハンドル12のハンドル軸32に設けられたメインギア34より歯数が少なく増速されるので、回転数がハンドル軸32よりピニオンギア36の方が多くなる。このため、ピニオンギア36がどのような位相から回転を始めても、ハンドル12の回転によりクラッチオン状態に迅速に戻すことができる。
このように、本実施形態のクラッチ装置25では、クラッチレバー20は、専らクラッチオフ状態にするために使用され、クラッチオン状態に戻すためにはハンドル12を回転させなければならない。ただし、ハンドル12を糸繰り出し方向に回転させてもクラッチオン状態に戻すことができる。
<糸巻方向の組み替え作業>
この片軸受リール10は、ハンドル12をリール本体11の左側に配置して巻き取る図2に示す左手巻きと右側に配置する右手巻きとに糸巻方向を組み替えることができる。組み替え作業を行う場合、クラッチレバー20及びローラクラッチ40を組み替える。クラッチレバー20の組み替えは、クラッチレバー20の操作方向を右手巻きと左手巻きとで揃えるためである。すなわち、どちらの糸巻方向でも、釣り竿を握る手の指で押す方向に操作すると押している間だけクラッチオフになり、指を離せばクラッチオン状態に復帰する。釣り竿を握る手の指で引く方向に操作するとクラッチオフ状態に保持される。
ローラクラッチ40を組み替えるには、ハンドルアーム31及びスタードラグ80をハンドル軸32から外す。そして、ハンドル軸32からローラクラッチ40の軸方向外側にあるドラグ機構26の構成部品(例えば、第1ドラグ座金81及び第2ドラグ座金82a等)を外す。次に、ローラクラッチ40の外輪40aを支持筒部23dからいったん外して内外を反転させて支持筒部23dに再度装着する。この後、外したドラグ機構26の構成部品及びハンドルアーム31をハンドル軸32に装着する。
一方、クラッチレバー20を組み替えるには、クラッチレバー20を外す。そして、レバー本体66からレバーつまみ67を外し、レバー本体66の逆側の面に再度固定する。この状態で右手巻きの時と逆側の面を膨出部23bに向けて配置し、レバー軸65に固定ボルト29によりレバー本体66を固定する。すると、図2に示した左手巻きの状態と線対称にクラッチレバー20が配置される。これにより、右手巻きの片軸受リール10を実現できる。したがって、右手巻きの場合、クラッチレバー20の第2位置と第3位置とが図2に示した左手巻きの場合と逆になる。
ここでは、クラッチカム70が二等辺三角形形状であるので、クラッチレバー20をいずれの方向に揺動させてもクラッチオフ位置にピニオンギア36を移動させることができる。このため、上記のような糸巻方向の組み替えを行える。
<特徴>
(A)クラッチ装置25は、リール本体11に装着されたハンドル12とスプール13とが連結されたクラッチオン状態から連結解除されたクラッチオフ状態に、第1位置と第2位置とに移動自在に配置されたクラッチ操作部材の一例であるクラッチレバー20により切り換えできる装置である。クラッチ装置25は、第1クラッチ係合部44と、第2クラッチ係合部48と、クラッチ制御機構62と、リターン機構64と、を備えている。第1クラッチ係合部44は、ハンドル12の回転軸の一例であるハンドル軸32に設けられたメインギア34に噛み合いかつスプール13が装着されたスプール軸14に軸方向移動自在に装着された筒状のピニオンギア36に設けられている。第2クラッチ係合部48は、スプール13に設けられ、第1クラッチ係合部44に一体回転可能に係合する。クラッチ制御機構62は、移動機構68と保持部材69とを有している。移動機構68は、クラッチレバー20の第1位置から第2位置の移動に応じて、第1クラッチ係合部44が第2クラッチ係合部48に係合するクラッチオン位置から第1クラッチ係合部44が第2クラッチ係合部48から離反するクラッチオフ位置にピニオンギア36を移動させる。保持部材69は、クラッチオフ位置でピニオンギア36をスプール軸14に保持するための部材である。リターン機構64は、スプール軸14に一部が設けられ、ピニオンギア36がクラッチオフ位置にあるとき、ハンドル12の回転に連動して保持部材69による保持を解除してクラッチオン位置にピニオンギア36を戻す。
このクラッチ装置25では、クラッチレバー20を第1位置から第2位置に操作すると、クラッチ制御機構62の移動機構68により、第1クラッチ係合部44が第2クラッチ係合部48から離反してクラッチオフ状態になり、保持部材69によりピニオンギア36がクラッチオフ位置でスプール軸14に保持される。この状態でハンドル12を回すと、ピニオンギア36がハンドル軸32より増速して回転し、スプール軸14に一部が設けられたリターン機構64により保持部材69による保持が解除される。これにより、ピニオンギア36がクラッチオフ位置からクラッチオン位置に戻る。
ここでは、リターン機構64の一部をハンドル軸32ではなくスプール軸14に設けたので、ハンドル12とスプール13との距離が長くならない。また、釣り用リールでは、ピニオンギア36は、ハンドル12のハンドル軸32に設けられたメインギア34より歯数が少なく増速されるので、回転数がハンドル軸32よりピニオンギア36の方が多くなる。このため、ピニオンギア36がスプール軸14に対してどのような位相から回転を始めても、ハンドル12の回転によりクラッチオン状態に迅速に戻すことができる。
(B)クラッチ装置25において、保持部材69は、非円形部69aと、非円形部69aの少なくとも一端から折り曲げられて円弧状に湾曲する湾曲部69bとを有し、ピニオンギア36に一体回転可能に装着された線材製のバネ部材である。リターン機構64は、付勢部材の一例であるリターンバネ73と、バネ係合部74と、を有している。リターンバネ73は、ピニオンギア36をクラッチオン位置に向けて付勢する。バネ係合部74は、スプール軸14に設けられ、クラッチオフ位置で非円形部69aに係合してピニオンギア36をクラッチオフ位置で保持し、かつピニオンギア36の回転により非円形部69aとの係合を解除可能である。
この場合には、クラッチレバー20を操作し、移動機構68がピニオンギア36をクラッチオン位置からクラッチオフ位置に移動させると、保持部材69の非円形部69aがバネ係合部74に係合してクラッチオフ位置にピニオンギア36が保持される。また、ハンドル12の回転によりメインギア34を介してピニオンギア36が回転すると、バネ係合部74と非円形部69aとの係合が解除され、リターンバネ73により付勢されてピニオンギア36がクラッチオン位置に戻る。このため、ピニオンギア36を付勢するリターンバネ73及びスプール軸14に設けたバネ係合部74による係合及び係合解除により、簡単な構成でリターン機構64を実現できる。
(C)クラッチ装置25において、バネ係合部74は、スプール軸14の外周面にクラッチオフ位置に向かって拡径する用に形成されたコーン面74aと、コーン面74aの大径側に形成された第1円周面74bと、第1円周面74bの軸方向の少なくとも一部に凹んで形成され、非円形部69aを係止及び係止解除可能な係止部74cと、を有する。
この場合には、ピニオンギア36とともに移動する保持部材69がコーン面74aでスムーズに案内され、かつ凹んだ係止部74cで非円形部69aが確実に係止され、ピニオンギア36をクラッチオフ位置に保持できる。
(D)クラッチ装置25において、バネ係合部74は、第1円周面74bと同芯に配置され第1円周面74bより小径に形成され係止部74cに滑らかに連結可能な第2円周面74eをさらに有する。
この場合には、保持部材69を第2円周面74eまで移動させると、第1円周面74bと第2円周面74eとの間の第2段差74f及び第1円周面74bと係止部74cとの第1段差74dの2箇所で保持部材69の非円形部69aを係止可能であるので、スプール軸14とピニオンギア36の周方向の位相がどのような状態であってもピニオンギア36を確実に保持できる。また、第1円周面74bと第2円周面74eとの間の第2段差74fで非円形部69aが係止されている場合は、ピニオンギア36が回転したときに係止部74cとの滑らかな連結部分の位相で非円形部69aの係合が解除される。そして、第1円周面74bにある係止部74cに保持部材が移動し係止部で非円形部がいったん係止される。さらにピニオンギア36が回転すると、保持部材69が第1円周面74bにより拡径されてバネ係合部74での非円形部69aの係合が解除される。これによりリターンバネ73によって押圧されたピニオンギア36がクラッチオン位置に戻る。ここでは、ピニオンギア36がどのような回転位相にあってもピニオンギア36を確実にクラッチオフ位置でスプール軸14に保持できる。また、ハンドル12の回転によるクラッチオン時には、二段階でピニオンギア36が移動するので、クラッチオン時の衝撃が少なくなりやすい。
(E)クラッチ装置25において、係止部74cは、第1円周面74b及び第2円周面74eに連続して形成された平坦面である。この場合には、係止部74cが第1円周面74bに加えて第2円周面74eにも連続して形成された平坦面である。このため、第1円周面74bと第2円周面との第2段差74fで保持部材69が保持されていても、保持部材69がさらにスムーズに第1円周面74bに案内される。
(F)クラッチ装置25において、ピニオンギア36の外周面には、保持部材69を装着可能なバネ装着溝43bが形成され、バネ装着溝43bは、スプール軸14が露出するように切り欠かれ非円形部69aが配置される弦部分43cと、湾曲部69bが配置される円弧部分43dとを有し、断面がD字形状である。
この場合には、スプール軸14が露出するように弦部分43cが切り欠かれているので、非円形部69aがバネ係合部74に確実に係止される。
(G)クラッチ装置25において、保持部材69の非円形部69aは直線状に形成され、湾曲部69bは、非円形部69aの両端に形成されている。
この場合には、湾曲部69bが非円形部69aの両端に形成されているので、湾曲部69bでバネ装着溝を挟持できる。このため、非円形部69aがバネ係合部74に沿って弦部分43cから離反しても、湾曲部69bの弾性により弦部分43cに戻ることができ、保持部材69がバネ装着溝43bから外れにくくなる。
(H)クラッチ装置25において、クラッチレバー20は、スプール軸14及びハンドル軸32と異なる位置でリール本体11に揺動自在に支持されたレバー部材である。移動機構68は、クラッチカム70と、クラッチヨーク71と、を有する。クラッチカム70は、クラッチレバー20の揺動に連動して回動し、周方向に間隔を隔てて配置された複数の第1傾斜カム面70bを有する。クラッチヨーク71は、第1傾斜カム面70bに係合するカム受け部71aを有し、クラッチレバー20の第1位置から第2位置の揺動に応じて、クラッチオン位置からクラッチオフ位置にピニオンギア36を移動させる。リターンバネ73は、クラッチヨーク71を付勢する。
この場合には、クラッチレバー20を第1位置から第2位置に揺動させると、クラッチカム70が回動しその第1傾斜カム面70bに係合するカム受け部71aを有するクラッチヨーク71が移動してピニオンギア36をクラッチオン位置からクラッチオフ位置に移動させる。ここでは、スプール軸14及びハンドル軸32と異なる位置に配置されたクラッチレバー20とともに回動する第1傾斜カム面70bによりピニオンギア36を移動させることができるので、コンパクトな構成でピニオンギア36を移動させることができる。また、ピニオンギア36を直接付勢するのではなく、クラッチヨーク71を介してピニオンギア36を付勢しているので、スプール軸14周りの構成が簡素化する。
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(a)前記実施形態では、釣り用リールとして片軸受リール10を用いて本発明を説明した。しかし、本発明に係るクラッチ装置が適用される釣り用リールは、片軸受リールに限定されず、両軸受リールであっても良い。
(b)前記実施形態では、クラッチ操作部材としてのクラッチレバー20をリール本体11に揺動自在に装着した。しかし、本発明のクラッチ操作部材は、揺動するクラッチレバーに限定されず、例えば、リール本体に直線的に移動可能に装着されたクラッチ操作部材でも良い。この場合、クラッチ操作部材にクラッチカムを設け、クラッチカムによりピニオンギアに係合するクラッチヨークを移動させても良い。
また、中空のスプール軸内を軸方向移動自在に装着された軸部材によりクラッチ操作部材を構成してもよい。この場合は、スプール軸に軸方向に沿って形成されたスリットを設け、スリットに嵌合するキー部材により軸部材でピニオンギアを直接移動させるように構成してもよい。
(c)前記実施形態では、クラッチレバー20の揺動軸回りに回動するクラッチカム70により移動機構68を構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、スプール軸回りに回動するクラッチカム及びそれに係合するクラッチヨークにより移動機構を構成してもよい。
(d)前記実施形態では、係止部74cを第1円周面74bと第2円周面74eとに設けたが、係止部を第1円周面だけに設けても良い。この場合、第2円周面を係止面と滑らかに連結するように形成すればよい。また、第2円周面を設けずに、係止部と第1円周面との段差だけで保持部材を係止するようにしても良い。さらに、係止部を第1円周面の軸方向の全長にコーン面との接続部分まで形成してもよい。
(e)前記実施形態では、クラッチヨークのカム受け部71aに、クラッチカム70の第1傾斜カム面70bと同形状の第2傾斜カム面71bを形成した。しかし、本発明のカム受け部は、第2傾斜カム面に限定されず、軸部材を傾斜カム面の数に応じて角度間隔に配置したものでもよい。例えば、図12に示すように、傾斜カム面の数が3つの場合は、クラッチヨーク171に120度間隔に軸部材171cを配置すればよい。
(f)前記実施形態では、第1傾斜カム面70bを二等辺三角形形状にして、クラッチレバー20の異なる揺動方向の二種の操作でクラッチオフ動作を行えるようにした。しかし、本発明はこれに限定されず、第1傾斜カム面は傾斜面と平坦面とを有していても良い。
10 片軸受リール
11 リール本体
12 ハンドル
13 スプール
14 スプール軸
25 クラッチ装置
32 ハンドル軸
34 メインギア
36 ピニオンギア
43b バネ装着溝
43c 弦部分
43d 円弧部分
44 第1クラッチ係合部
48 第2クラッチ係合部
48c 円弧
48d 直線
60 クラッチレバー
62 クラッチ制御機構
64 リターン機構
68 移動機構
69 保持部材
69a 非円形部
69b 湾曲部
70 クラッチカム
70b 傾斜カム面
71 クラッチヨーク
71a カム受け部
71b 傾斜カム面
73 リターンバネ
74 バネ係合部
74a コーン面
74b 第1円周面
74c 係止部
74e 第2円周面
171 クラッチヨーク

Claims (8)

  1. リール本体に装着されたハンドルとスプールとが連結されたクラッチオン状態から連結解除されたクラッチオフ状態に、第1位置と第2位置とに移動自在に配置されたクラッチ操作部材により切り換えできる釣り用リールのクラッチ装置であって、
    前記ハンドルの回転軸に設けられたメインギアに噛み合いかつ前記スプールが装着されたスプール軸に軸方向移動自在に装着された筒状のピニオンギアに設けられた第1クラッチ係合部と、
    前記スプールに設けられ、前記第1クラッチ係合部に一体回転可能に係合する第2クラッチ係合部と、
    前記クラッチ操作部材の第1位置から第2位置の移動に応じて、前記第1クラッチ係合部が前記第2クラッチ係合部に係合するクラッチオン位置から前記第1クラッチ係合部が前記第2クラッチ係合部から離反するクラッチオフ位置に前記ピニオンギアを移動させる移動機構と、前記クラッチオフ位置で前記ピニオンギアを前記スプール軸に保持するための保持部材と、を有するクラッチ制御機構と、
    前記スプール軸に一部が設けられ、前記ピニオンギアが前記クラッチオフ位置にあるとき、前記ハンドルの回転に連動して前記保持部材による保持を解除して前記クラッチオン位置に前記ピニオンギアを戻すリターン機構と、
    を備えた釣り用リールのクラッチ装置。
  2. 前記保持部材は、非円形部と、前記非円形部の少なくとも一端から折り曲げられて円弧状に湾曲する湾曲部とを有し、前記ピニオンギアに一体回転可能に装着された線材製のバネ部材であり、
    前記リターン機構は、
    前記ピニオンギアを前記クラッチオン位置に向けて付勢する付勢部材と、
    前記スプール軸に設けられ、前記クラッチオフ位置で前記非円形部に係合して前記ピニオンギアを前記クラッチオフ位置で保持し、かつ前記ピニオンギアの回転により前記非円形部との係合を解除可能なバネ係合部と、
    を有する、請求項1に記載の釣り用リールのクラッチ装置。
  3. 前記バネ係合部は、
    前記スプール軸の外周面にクラッチオフ位置に向かって拡径するように形成されたコーン面と、
    前記コーン面の大径側に形成された第1円周面と、
    前記第1円周面の軸方向の少なくとも一部に凹んで形成され、前記非円形部を係止及び係止解除可能な係止部と、を有する、請求項2に記載の釣り用リールのクラッチ装置。
  4. 前記バネ係合部は、
    前記第1円周面と同芯に配置され前記第1円周面より小径に形成され前記係止部に滑らかに連結可能な第2円周面をさらに有する、請求項3に記載の釣り用リールのクラッチ装置。
  5. 前記係止部は、前記第1円周面及び前記第2円周面に連続して形成されかつ前記コーン面と隙間をあけて形成された平坦面である、請求項4に記載の釣り用リールのクラッチ装置。
  6. 前記ピニオンギアの外周面には、前記バネ部材を装着可能なバネ装着溝が形成され、前記バネ装着溝は、前記スプール軸が露出するように切り欠かれ前記非円形部が配置される弦部分と、前記湾曲部が配置される円弧部分とを有し、断面がD字形状である、請求項2から5のいずれか1項に記載の釣り用リールのクラッチ装置。
  7. 前記バネ部材の前記非円形部は直線状に形成され、前記湾曲部は前記非円形部の両端に形成されている、請求項6に記載の釣り用リールのクラッチ装置。
  8. 前記クラッチ操作部材は、前記スプール軸及び前記ハンドルの回転軸と異なる位置で前記リール本体に揺動自在に支持されたレバー部材であり、
    前記移動機構は、前記クラッチ操作部材の揺動に連動して回動し、周方向に間隔を隔てて配置された複数の傾斜カム面を有するクラッチカムと、前記傾斜カム面に係合するカム受け部を有し、前記クラッチ操作部材の第1位置から第2位置の揺動に応じて、前記クラッチオン位置から前記クラッチオフ位置に前記ピニオンギアを移動させるクラッチヨークと、を有し、
    前記付勢部材は、前記クラッチヨークを付勢する、請求項2から7のいずれか1項に記載の釣り用リールのクラッチ装置。
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