JP5480064B2 - 投写用レンズおよび投写型表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は投写用レンズおよび投写型表示装置に関し、詳しくは、7枚のレンズで構成した投写用レンズおよびこの投写用レンズを用いた投写型表示装置に関するものである。
近年、パソコン等から出力される画像データの表す画像をスクリーン上へ投写する投写型表示装置(プロジェクタともいう)が急速に普及している。このようなプロジェクタには、光源から発せられライトバルブで変調された光を投写用レンズに通してスクリーン上へ投写するものが知られている。また、ライトバルブとしては、透過型や反射型の液晶表示装置、または角度可変の微小ミラーを配列してなるDMD(Digital Micromirror Device)等が知られている。
また、このようなプロジェクタでは、光源から発せられた光をライトバルブへ導く光学系やライトバルブで変調された光を投写用レンズへ導く光学系を構成するためのスペースが必要となる。そのため、プロジェクタに搭載される投写用レンズは、この投写用レンズとライトバルブとの間にそのようなスペースを設けられるように、大きなバックフォーカスを有している。
例えば、赤色光、緑色光、青色光それぞれを変調する各ライトバルブを有しカラー画像を投写するプロジェクタは、各色の光をライトバルブへ導く光学系、および、ライトバルブで変調された各色の光を1つの投写用レンズへ導く光学系を配置するスペースを、投写用レンズとライトバルブとの間に確保する必要がある。
そのようなスペースを確保するためのバックフォーカスが定められている投写用レンズとして、F値(Fナンバー)が2.4〜6.4に定められた7枚のレンズからなる投写用レンズが知られている(特許文献1から6参照)。
また、バックフォーカスは小さいが、7枚のレンズで構成されたF値の小さい(明るい)投写用レンズとしては、F値が1.7の投写用レンズ(特許文献7参照)が知られている。
なお、接合レンズを含む場合のレンズ枚数については、n枚のレンズを接合してなる接合レンズはn枚のレンズからなるものとしてレンズ枚数を数えるものとする。
特開2003−287676号公報 特開2005−164839号公報 特開2005−173494号公報 特許第3466002号公報 特許第4076334号公報 米国特許第5731676号明細書 米国特許第7057830号明細書
ところで、プロジェクタを通して画像が投写されるスクリーンの設置場所は暗くするのが一般的であるが、その設置場所をさほど暗くすることなく投写された画像を見られるようにしたいという強い要請がある。これに対して、特許文献1から6に記載されている比較的F値(Fナンバー)の大きい投写用レンズを搭載したプロジェクタは、そのような要請に応えられるものではない。一方、特許文献7に記載されているようなF値の小さい(明るい)投写用レンズを搭載したプロジェクタは、上記要請に応えることができるものではあるがバックフォーカスが短いという問題がある。
より詳しくは、特許文献1から6に記載されている投写用レンズは、各レンズのパワーバランスの配分(正負レンズの配置)をそのまま維持した状態でF値を小さく(明るく)しようとすると、装置サイズが大型化したり、解像力を低下させる諸収差の発生を抑えることが難しくなったりするという問題が生じる。
また、特許文献7の投写用レンズ(F値:1.7)は、各レンズのパワーバランスの配分(正負レンズの配置)をそのまま維持した状態でバックフォーカスを大きくしようとすると、装置サイズが大型化したり、解像力を低下させる諸収差の発生を抑えることが難しくなったりするという問題が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、収差の発生や装置サイズの大型化を抑制しつつ、F値を小さく(明るく)することができる投写用レンズおよびこの投写用レンズを用いた投写型表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明の投写用レンズは、拡大側から順に、第1レンズ群、第2レンズ群を配置してなる、7枚のレンズで構成された縮小側にテレセントリックな投写用レンズであって、第1レンズ群が、少なくとも1枚の負レンズを含む2枚のレンズで構成されたものであり、第2レンズ群が、拡大側から順に、拡大側に凸面を向けた正の第2群第1レンズ、拡大側に凹面を向けた負の第2群第2レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第2群第3レンズ、正の第2群第4レンズ、正の第2群第5レンズを配して構成されたものであり、第2群第2レンズの縮小側面と第2群第3レンズの拡大側面との間に隙間が設けられたものであり、レンズ全系の空気換算バックフォーカスをBf、レンズ全系の焦点距離をf、第2群第2レンズの縮小側面と第2群第3レンズの拡大側面との間の隙間に形成された空気レンズの焦点距離をf23、第2群第2レンズの拡大側面の焦点距離をf2F、第2群第1レンズの拡大側面の焦点距離をf1F、第1レンズ群と第2レンズ群との間の空気間隔をd12としたときに、条件式(A):1.2≦Bf/f≦2.5条件式(B):f23/f≦−1.5、条件式(C):−0.8≦f2F/f1F≦−0.2、条件式(F):0.8≦d12/f≦2.2を満足することを特徴とするものである。以後、レンズ全系の空気換算バックフォーカスBfを省略して、単にバックフォーカスBfとも言う。なお、第1レンズ群と第2レンズ群との間の空気間隔は、第1レンズ群中の最も縮小側のレンズ面から第2レンズ群中の最も拡大側のレンズ面までの光軸上における空気間隔である。
前記投写用レンズは、条件式(B′):f23/f≦−2.0を満足するものとすることがさらに望ましい。
前記投写用レンズは、第2群第1レンズの焦点距離をf1、第2群第2レンズの焦点距離をf2としたときに、条件式(D):1.5≦f1/f≦3.0、および条件式(E)−2.5≦f2/f≦−0.5を満足することが望ましい。
前記投写用レンズは、条件式(E′):−2.0≦f2/f≦−0.7を満足するものとすることがさらに望ましい。
前記投写用レンズは、条件式(F′):1.0≦d12/f≦1.8を満足するものとすることがさらに望ましい。
前記投写用レンズは、レンズ全系のF値(Fナンバー)をFnoとしたときに、条件式(G):Fno≦1.7を満足することが望ましい。
前記投写用レンズは、第1レンズ群を構成するレンズ面のうちの少なくとも1面が非球面であることが望ましい。
前記投写用レンズは、第2群第4レンズおよび第2群第5レンズを構成するレンズ面のうちの少なくとも1面が非球面であることが望ましい。さらに、第1レンズ群中の少なくとも1枚の非球面レンズおよび第2群第5レンズが、いずれも樹脂材料で形成されたものとすることが望ましい。さらに加えて、第1レンズ群中の樹脂材料で形成された非球面レンズの焦点距離をfF、樹脂材料で形成された第2群第5レンズの焦点距離をf5としたときに、条件式(H):−1.1≦fF/f5≦−0.2を満足することが望ましい。
本発明の投写型表示装置は、投写用レンズを備えた投写型表示装置であって、光源と、この光源から発せられた光束を変調するライトバルブとを備え、ライトバルブで変調された光束を投写用レンズに通してスクリーンへ投写することを特徴とするものである。
なお、空気レンズの焦点距離は、この空気レンズの拡大側面と縮小側面での空気換算合成焦点距離のことである。より具体的には、1/空気レンズ焦点距離=(1−拡大側レンズ屈折率)/拡大側曲率半径+(縮小側レンズ屈折率)/縮小側曲率半径+(1−拡大側レンズ屈折率)×(1−縮小側レンズ屈折率)×空気間隔/(拡大側曲率半径×縮小側曲率半径)である。
前記投写用レンズは、単レンズのみで構成したり、接合レンズを含むように構成することができる。
縮小側にテレセントリックとは、図8(実施例5)の断面図で示されるような縮小側の任意の点に集光する光束断面において上側の最大光線と下側の最大光線との二等分角線が光軸と平行に近い状態を指すものであり、完全にテレセントリックな場合、すなわち前記2等分角線が光軸に対して完全に平行な場合に限るものではなく、多少の誤差がある場合をも含むものを意味する。ここで多少の誤差がある場合とは、光軸に対する前記2等分角線の傾きが±3°の範囲内の場合である。
接合レンズを含む場合のレンズ枚数については、n枚のレンズを接合してなる接合レンズはn枚のレンズからなるものとしてそのレンズ枚数をカウントする。なお、空気レンズはレンズ枚数としてはカウントしない。
バックフォーカスは、投写用レンズを構成するレンズ面のうち最も縮小側のレンズ面からこの投写用レンズの縮小側の焦点までの光軸上における距離(空気換算距離)である。
各レンズの焦点距離、および組み合わされた複数のレンズの焦点距離(合成焦点距離)は、正負を区別しており、レンズに光線を通したときの焦点が、このレンズの射出側にある場合を正とし、このレンズの入射側にある場合を負とする。
レンズ面の焦点距離Fsurfは、式:Fsurf=r/(n2−n1)によって求められるものである。ここで、n1はレンズ面の拡大側の媒質の屈折率、n2はレンズ面の縮小側の媒質の屈折率、rはレンズ面の曲率半径である。なお、曲率半径は拡大側に凸の場合を正、縮小側に凸の場合を負としている。
また、レンズの縮小側面は、このレンズの縮小側に形成されたレンズ面を意味し、レンズの拡大側面は、このレンズの拡大側に形成されたレンズ面を意味する。
なお、非球面レンズの正負は、この非球面レンズの近軸領域での正負を示すものとする。また、非球面の正負や凹凸は、この非球面の近軸領域での正負や凹凸を示すものとする。
本発明の投写用レンズおよび投写型表示装置によれば、第1レンズ群と第2レンズ群とからなり、7枚のレンズで構成された縮小側にテレセントリックな投写用レンズであって、拡大側から順に、1枚の負レンズを含む2枚のレンズからなる第1レンズ群、拡大側に凸面を向けた正の第2群第1レンズ、拡大側に凹面を向けた負の第2群第2レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第2群第3レンズ、正の第2群第4レンズ、正の第2群第5レンズを配して構成されたものであり、第2群第2レンズの縮小側面と第2群第3レンズの拡大側面との間に隙間を有するものであり、条件式(A):1.2≦Bf/f≦2.5、および(B):f23/f≦−1.5を満足するようにしたので、収差の発生や装置サイズの大型化を抑制しつつ、よりF値を小さく(明るく)することができる。
すなわち、上記のようにレンズの正負の配列(パワーバランス)を適切に定めることにより、少ないレンズ枚数(7枚)でありながら収差のバランスを良好に保つことができ、装置サイズを大型化することなくF値の小さい(明るい)投写用レンズを形成することができる。これにより、小型、軽量、高性能な投写用レンズを得ることができる。
なお、バックフォーカスをBfとレンズ全系の焦点距離fとの比の値の範囲を表す条件式(A)の下限を下回るように投写用レンズを構成すると、光源から発せられた光をライトバルブへ導く照明用の光学系やライトバルブで変調された光を投写用レンズへ導く導光用の光学系等を配置するためのスペースが狭くなってしまい、照明用や導光用の各光学系を配置することが困難になるという問題が生じる。
一方、条件式(A)の上限を上回るように投写用レンズを構成すると、この投写用レンズの大きさ、すなわち装置サイズが大きくなってしまうという問題が生じる。
また、空気レンズの焦点距離f23とレンズ全系の焦点距離fとの比の値の範囲を示す条件式(B)の上限を上回るように投写用レンズを構成すると、像面の補正が困難になるという問題が生じる。
本発明の実施の形態による投写用レンズを備えた投写型表示装置の概略構成を示す断面図 投写型表示装置の備える光変調部を拡大して示す断面図 投写型表示装置の備える他の光変調部を拡大して示す断面図 実施例1の投写用レンズの概略構成を示す断面図 実施例2の投写用レンズの概略構成を示す断面図 実施例3の投写用レンズの概略構成を示す断面図 実施例4の投写用レンズの概略構成を示す断面図 実施例5の投写用レンズの概略構成を示す断面図 実施例6の投写用レンズの概略構成を示す断面図 実施例7の投写用レンズの概略構成を示す断面図 実施例8の投写用レンズの概略構成を示す断面図 実施例1の投写用レンズの諸収差を示す図 実施例2の投写用レンズの諸収差を示す図 実施例3の投写用レンズの諸収差を示す図 実施例4の投写用レンズの諸収差を示す図 実施例5の投写用レンズの諸収差を示す図 実施例6の投写用レンズの諸収差を示す図 実施例7の投写用レンズの諸収差を示す図 実施例8の投写用レンズの諸収差を示す図
以下、本発明の投写用レンズおよびこの投写用レンズを備えた投写型表示装置について図面を参照して説明する。
図1は本発明の投写用レンズを備えた投写型表示装置の概略構成を示す断面図である。
図示の投写型表示装置400は、投写用レンズ100と、光源から発せられた光束をライトバルブで変調する光変調部200とを備え、光変調部200を通して変調された光束を投写用レンズ100に通してスクリ−ン1へ投写するものである。
<投写用レンズの基本構成について>
以下、投写用レンズ100の基本構成について説明する。
投写用レンズ100は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とからなり、7枚のレンズで構成されたものである。
この投写用レンズ100は、拡大側(図中矢印−Zで示す側)から順に、2枚のレンズ(第1群第1レンズL1および第1群第2レンズL2)からなる第1レンズ群G1、拡大側に凸面を向けた正の第2群第1レンズL3、拡大側に凹面を向けた負の第2群第2レンズL4、縮小側(図中矢印+Zで示す側)に凸面を向けた正の第2群第3レンズL5、正の第2群第4レンズL6、正の第2群第5レンズL7を配して構成されたものであり、縮小側にテレセントリックな光学系である。
なお、第1レンズ群G1を構成する2枚のレンズのうちいずれかは負レンズである。
この投写用レンズ100は第2群第2レンズL4の縮小側面S9と第2群第3レンズL5の拡大側面S10との間に隙間を有するものであり、バックフォーカスをBf、レンズ全系の焦点距離をf、第2群第2レンズL4の縮小側面S9と第2群第3レンズL5の拡大側面S10との間に形成された空気レンズL45の焦点距離をf23としたときに、条件式(A):1.2≦Bf/f≦2.5、および(B):f23/f≦−1.5を同時に満足するものである。
また、投写用レンズ100は、マスクMkを有するもとしてもよい。
このマスクMkは、投写用レンズ100を通る光線を遮断する部材で形成されたものであり、例えば、投写用レンズ100を通る周辺光束を遮断してテレセントリック性を確保したり、F値(Fナンバー)を定めたりするためのものである。なお、各図中に示すマスクMkは、マスクの大きさや形状を示すものではなく、光軸方向の位置を示すものである。
なお、バックフォーカスBfは、投写用レンズ100を構成するレンズの最終レンズ面(最も光変調部200の側に配されるレンズ面)から後側焦点(光変調部200の側に定められる投写用レンズ100の焦点)までの光軸上の距離(空気換算距離)である。
ここでは、バックフォーカスBfは、投写用レンズ100を構成する最も縮小側に配されたレンズ面S15からライトバルブ(後述するDMD210や液晶パネル260R、260G、260B)までの光軸上における距離(空気換算距離)に対応する。
次に、光変調部200について説明する。
<ライトバルブとしてDMDを用いた光変調部について>
図2は、ライトバルブとしてDMD(デジタルマイクロミラーディバイス)を採用した光変調部を示す図である。
図2に示す光変調部200Aは、DMD210と、光源220と、光源220から発せられた光束LkをDMD210へ導く内部全反射プリズム(以後、TIRプリズム230という)とを有している。
光源220から発せられた光束Lkは、TIRプリズム230へ入射しTIRプリズム230を構成する2つのプリズム231、232の境界面230Kで全反射されDMD210に入射する。DMD210に入射した光束Lkは、このDMD210を構成する多数の微小ミラー211で反射され変調される。すなわち、微小ミラー211は、DMD210に入力された画像データGに応じてON方向(投写用レンズ100の方向)あるいはOFF方向(投写用レンズ100以外の方向)に偏向され、これにより、DMD210に入射した光束Lkが変調される。
DMD210で変調された光束Lkは、TIRプリズム230を透過した後、投写用レンズ100の縮小側(図中矢印+Z側)へ入射し拡大側(図中矢印−Z側)から射出されてスクリ−ン1上に投写される。これにより、DMD210で変調され投写用レンズ100を通して拡大された光束がスクリ−ン1上に投写され、DMD210に入力された画像データの表す画像がスクリ−ン1上に形成される。
ここで、例えば、光源220から発せられた赤色光束Lkr、緑色光束Lkg、青色光束Lkbを時分割して順番にDMD210へ入射させるとともに、各光束のDMD210への入射に同期させて赤色画像を表す画像データGr、緑色画像を表す画像データGg、青色画像を表す画像データGbをDMD210へ入力して各光束を変調させる面順次画像表示方式を採用することにより、カラー画像をスクリーン1上に表示させることができる。
<ライトバルブとして液晶パネルを用いた光変調部について>
図3は、ライトバルブとして透過型の液晶パネルを用いた光変調部を示す図である。
図3に示す光変調部200Bは、白色光を発する光源270と、光源270から発せられた白色の光束Lkを赤色、緑色、青色の各色に色分離するためのダイクロイックミラー281、282と、各色に色分離された光束Lk(赤色光束Lkr、緑色光束Lkg、青色光束Lkb)それぞれを変調させる液晶パネル260R、260G、260Bと、各液晶パネル260R、260G、260Bを透過し変調された各光束Lk(赤色光束Lkr、緑色光束Lkg、青色光束Lkb)を1つの光束Lkに合成する色合成用ダイクロイックプリズム290とを有している。
光源270から発せられた白色光は、ダイクロイックミラー281、282により、赤色、緑色、青色の各色の光束Lk(赤色光束Lkr、緑色光束Lkg、青色光束Lkb)に色分離され、全反射ミラー283、284、285等を介して各液晶パネル260R、260G、260Bに入射する。
各液晶パネル260R、260G、260Bを通して変調された赤色光束Lkr、緑色光束Lkg、青色光束Lkbそれぞれは、色合成用ダイクロイックプリズム290を通して1つの光束Lkに合成される。
なお、各液晶パネル260R、260G、260Bを通して変調された赤色光束Lkr、緑色光束Lkg、青色光束Lkbそれぞれは、各液晶パネル260R、260G、260Bに入力された各画像データGr、Gg、Gbに応じて変調されたものである。
色合成用ダイクロイックプリズム290を通して合成された光束Lkは、投写用レンズ100の縮小側(図中矢印+Z側)へ入射し拡大側(図中矢印−Z側)から射出されてスクリ−ン1上に投写される。これにより、各液晶パネル260R、260G、260Bに入力された画像データの表すカラー画像がスクリ−ン1上に形成される。
<投写用レンズの基本構成をさらに限定する構成について>
次に、図示の投写用レンズ100および投写型表示装置400の備える上記基本構成をさらに限定する構成要素およびその作用、効果について説明する。なお、基本構成をさらに限定するこれらの構成要素は本発明の投写用レンズ100および投写型表示装置400にとって必須の構成ではない。
さらに、本願発明の投写用レンズおよび投写型表示装置は、上記基本構成をさらに限定する構成要素の全てを満足するものとしてもよいし、それらのうち、1つのみを満足するものとしたり2つ以上を組合わせたものを満足するものとしてもよい。
はじめに、各条件式において記号で示す各パラメータの意味をまとめて以下に示す。
Bf:バックフォーカス
f:レンズ全系の焦点距離
f23:第2群第2レンズの縮小側面と第2群第3レンズの拡大側面との間に形成された空気レンズの焦点距離
f2F:第2群第2レンズの拡大側面の焦点距離
f1F:第2群第1レンズの拡大側面の焦点距離
f1:第2群第1レンズの焦点距離
f2:第2群第2レンズの焦点距離
d12:第1レンズ群と第2レンズ群との間の空気間隔
Fno:投写用レンズのF値
fF:第1レンズ群中の樹脂材料で形成された非球面レンズの焦点距離
f5:樹脂材料で形成された第2群第5レンズの焦点距離
◇条件式(B)による構成の限定
条件式(B):f23/f≦−1.5、およびより望ましい条件式(B′):f23/f≦−2.0は、第2群第2レンズL4の縮小側面と第2群第3レンズL5の拡大側面との間に形成された空気レンズの焦点距離f23とレンズ全系(投写用レンズ100)の焦点距離fとの比の値の範囲を規定するものである。
条件式(B)の上限を上回るように投写用レンズを構成すると、像面の補正が困難になるという問題が生じる。
なお、条件式(B)または条件式(B′)を満足するように投写用レンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。また、条件式(B′)を満足するように投写用レンズ100を構成すれば、条件式(B)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
◇条件式(C)による構成の限定
条件式(C):−0.8≦f2F/f1F≦−0.2は、第2群第2レンズL4の拡大側面の焦点距離f2Fと、第2群第1レンズL3の拡大側面の焦点距離f1Fとの比の値の範囲を規定するものである。
条件式(C)の下限を下回るように投写用レンズ100を構成すると、球面収差の補正が困難になるという問題が生じる。
また、これとは逆に、条件式(C)の上限を上回るように投写用レンズ100を構成すると、拡大側のレンズの大型化を抑制し、かつ、所定のバックフォーカスを確保しつつ、像面を補正することが困難になるという問題が生じる。
なお、条件式(C)を満足するように投写用レンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。
◇条件式(D)による構成の限定
条件式(D):1.5≦f1/f≦3.0は、第2群第1レンズL3の焦点距離f1、レンズ全系(投写用レンズ100)の焦点距離fとの比の値の範囲を規定するものである。
条件式(D)の下限を下回るように投写用レンズ100を構成すると、球面収差の補正が困難になるという問題が生じる。
また、これとは逆に、条件式(D)の上限を上回るように投写用レンズ100を構成すると、拡大側に配置されるレンズが大型化するという問題が生じる。
なお、条件式(D)を満足するように投写用レンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。
◇条件式(E)による構成の限定
条件式(E):−2.5≦f2/f≦−0.5、およびより望ましい条件式(E′):−2.0≦f2/f≦−0.7は、第2群第2レンズの焦点距離f2と、レンズ全系(投写用レンズ100)の焦点距離fとの比の値の範囲を規定するものである。
条件式(E)の下限を下回るように投写用レンズ100を構成すると、球面収差の補正が困難になるという問題が生じる。
また、これとは逆に、条件式(E)の上限を上回るように投写用レンズ100を構成すると、所定のバックフォーカスを確保しつつ、像面を補正することが困難になるという問題が生じる。
なお、条件式(E)または条件式(E′)を満足するように投写用レンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。また、条件式(E′)を満足するように投写用レンズ100を構成すれば、条件式(E)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
◇条件式(F)による構成の限定
条件式(F):0.8≦d12/f≦2.2、およびより望ましい条件式(F′):1.0≦d12/f≦1.8は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間の空気間隔d12とレンズ全系(投写用レンズ100)の焦点距離fとの比の値の範囲を規定するものである。
条件式(F)の下限を下回るように投写用レンズを構成すると、球面収差の補正や像面の補正が困難になるという問題が生じる。
また、これとは逆に、条件式(F)の上限を上回るように投写用レンズ100を構成すると、レンズの大型化を抑制し、かつ、所定のバックフォーカスを確保することが困難になるという問題が生じる。
なお、条件式(F)または条件式(F′)を満足するように投写用レンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。また、条件式(F′)を満足するように投写用レンズ100を構成すれば、条件式(F)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
◇条件式(G)による構成の限定
条件式(G):Fno≦1.7は、投写用レンズのF値の範囲を規定するものである。
この投写用レンズ100は、Fnoが1.7以下となるように構成することが望ましい。
第1レンズ群G1を構成するレンズ面S1,S2,S3,S4のうちの少なくとも1面を非球面とすることが望ましい。さらに、第2群第4レンズL6および第2群第5レンズL7を構成するレンズ面S12、S13、S14、S15のうちの少なくとも1面を非球面とすることがより望ましい。
さらに、第1レンズ群G1中の少なくとも1枚の非球面レンズおよび第2群第5レンズL7は、いずれも樹脂材料で形成されたものとすることができる。
さらに加えて、第1レンズ群G1中の樹脂材料で形成された非球面レンズの焦点距離fFと、樹脂材料で形成された第2群第5レンズL7の焦点距離f5との比の値の範囲を規定する条件式(H):−1.1≦fF/f5≦−0.2を満足することが望ましい。
条件式(H)を満足するように投写用レンズ100を構成すれば、第1レンズ群G1中の樹脂材料で形成された非球面レンズの温度による焦点距離fFの変化を、その温度変化による第2群第5レンズL7の焦点距離f5の変化によって相殺し、投写用レンズ100のピント移動を抑制する効果を得ることができる。
これに対して、条件式(H)上限を上回るように、あるは下限を下回るように投写用レンズ100を構成すると、第1レンズ群G1中の樹脂材料で形成された非球面レンズの温度変化による焦点距離fFの変化を、その温度変化による第2群第5レンズL7の焦点距離f5の変化によって相殺する効果を得ることが難しくなり、温度による投写用レンズ100のピント移動を抑制することが困難になる。
なお、投写用レンズは、単レンズのみで構成したり、接合レンズを含むように構成することができる。
<具体的な実施例>
以下、図4〜19、表1〜9を参照し、本発明の投写用レンズの実施例1〜8それぞれの数値データ等についてまとめて説明する。
図4〜11は、実施例1〜8の投写用レンズそれぞれの概略構成を示す断面図である。実施例5の投写用レンズの断面を示す図8は、この投写用レンズを通る光の光路をも示すものであり、この図によれば、実施例5の投写用レンズが縮小側にテレセントリックな光学系であることがわかる。なお、他の実施例1〜4、6〜8の投写用レンズについても縮小側にテレセントリックな光学系とすることができる。
また、図4〜11の各図中に示すL1、L2、・・・の符号は、投写用レンズを構成する各レンズを指す符号であり、拡大側(図中矢印−Zで示す側)から順に並ぶレンズの順番に対応している。
なお、符号LLは、光変調部を構成するTIRプリズムや色合成用ダイクロイックプリズム等の光学部材を示している。この光学部材LLは、投写用レンズを構成するものではない。
表1〜8は、実施例1〜8の投写用レンズそれぞれの基本的なデータを示す図である。表1〜8の各表中の上部(図中符号(a)で示す)にレンズデータを、下部(図中符号(b)で示す)に非球面係数を示す。なお、レンズデータの面番号に付加した*印は、その面が非球面であることを示している。
ここで用いられる非球面式を以下に示す。
Figure 0005480064
また、表9は、実施例1〜8の投写用レンズに関し、条件式(A)〜(H)それぞれの不等式によって範囲が定められる各値(不等式中に記載された計算式によって算出される値、あるいは不等式中の記号で示される投写用レンズに係る光学系の定数を示すものである。
実施例1〜8の各投写用レンズは、条件式(A)〜(F)の全てを同時に満足している。また、実施例2〜8の各投写用レンズは、条件式(A)〜(H)の全てを同時に満足している。
表1〜8の上部の各レンズデータにおいて、面番号Siは、最も拡大側から縮小側(図中矢印+Zで示す側)に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、・・・)のレンズ面等の番号を示す。なお、これらのレンズデータにはマスクMkや光学部材LLも含めて記載している。
光学部材LLは、レンズデータ上では平行平面板とみなしてデータ化している。また、実施例1〜7の投写レンズにはマスクが配置されており、実施例8の投写レンズにはマスクが配置されていない。
曲率半径Riはi番目(i=1、2、3、・・・)の面の曲率半径を示し、面間隔Di(i=1、2、3、・・・)はi番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上における面間隔を示す。レンズデータの符号Riおよび符号Diは、レンズ面等を示す符号Si(i=1、2、3、・・・)と対応している。
Ndjは拡大側から縮小側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、・・・)の光学要素について波長587.6nm(d線)をに対する屈折率を示し、νdjはj番目の光学要素のd線を基準としたアッベ数を示す。
なお、d線を基準とした光学要素のアッベ数νは、ν=(Nd−1)/(NF−NC)の式で求められる値である。ただし、NF:F線(486.1nm)に対する光学部材の屈折率、Nd:d線(587.6nm)に対する光学部材の屈折率、NC:C線(656.3nm)に対する光学部材の屈折率である。
実施例2〜3のL1,実施例4〜8のL2、実施例2〜8のL7は樹脂材料で形成されたものである。
表1〜8のレンズデータにおいて、曲率半径および面間隔の単位は全系の焦点距離を1として規格化したものであり、曲率半径は拡大側に凸の場合を正、縮小側に凸の場合を負としている。
なお、表1〜9は「発明を実施するための形態」における説明の最後にまとめて示す。
また、図12〜19は、実施例1〜実施例8の各投写用レンズの諸収差を示す図である。図中には、d線、F線、C線の各光に関する収差が示されている。
上記図12〜19の各図中に示す符号(A)〜(D)は、球面収差(A)、非点収差(B)、ディストーション(歪曲収差)(C)、倍率色収差(倍率の色収差)(D)それぞれを示している。
なお、ディストーションの図は、レンズ全系の焦点距離f、半画角θ(変数扱い、0≦θ≦ω)を用いて、理想像高をf×tanθとし、それからのずれ量を示す。
実施例1〜8に関する数値データおよび収差図等からわかるように、これらの投写用レンズは、収差の発生や装置サイズの大型化を抑制しつつ、F値の小さいレンズ、すなわち明るいレンズを実現したものである。
なお、本発明は、上記各実施例に限定されず、発明の要旨を変更しない限りにおいて種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔および屈折率の値などは、上記各表中に示した数値に限定されず、他の値を取り得る。
Figure 0005480064
Figure 0005480064
Figure 0005480064
Figure 0005480064
Figure 0005480064
Figure 0005480064
Figure 0005480064
Figure 0005480064
Figure 0005480064
G1 第1レンズ群
L1 第1群第1レンズ
L2 第1群第2レンズ
G2 第2レンズ群
L3 第2群第1レンズ
L4 第2群第2レンズ
L5 第2群第3レンズ
L6 第2群第4レンズ
L7 第2群第5レンズ
Bf レンズ全系の空気換算バックフォーカス
f レンズ全系の焦点距離
L45 空気レンズ
f23 空気レンズL45の焦点距離

Claims (8)

  1. 拡大側から順に、第1レンズ群、第2レンズ群を配置してなる、7枚のレンズで構成された縮小側にテレセントリックな投写用レンズであって、
    前記第1レンズ群が、少なくとも1枚の負レンズを含む2枚のレンズで構成されたものであり、
    前記第2レンズ群が、拡大側から順に、凸面を拡大側に向けた正の第2群第1レンズ、凹面を拡大側に向けた負の第2群第2レンズ、凸面を縮小側に向けた正の第2群第3レンズ、正の第2群第4レンズ、正の第2群第5レンズを配置してなるものであり、
    前記第2群第2レンズの縮小側面と前記第2群第3レンズの拡大側面との間に隙間が設けられたものであり、
    以下の条件式(A)(B)、(C)、および(F)を満足するものであることを特徴とする投写用レンズ。
    1.2≦Bf/f≦2.5・・・(A)
    f23/f≦−1.5・・・(B)
    −0.8≦f2F/f1F≦−0.2・・・(C)
    0.8≦d12/f≦2.2・・・(F)
    ただし、
    Bf:レンズ全系の空気換算バックフォーカス
    f:レンズ全系の焦点距離
    f23:第2群第2レンズの縮小側面と第2群第3レンズの拡大側面との間に形成された空気レンズの焦点距離
    f2F:第2群第2レンズの拡大側面の焦点距離
    f1F:第2群第1レンズの拡大側面の焦点距離
    d12:第1レンズ群と第2レンズ群との間の空気間隔
  2. 以下の条件式(D)および(E)を満足することを特徴とする請求項1記載の投写用レンズ。
    1.5≦f1/f≦3.0・・・(D)
    −2.5≦f2/f≦−0.5・・・(E)
    ただし、
    f1:第2群第1レンズの焦点距離
    f2:第2群第2レンズの焦点距離
  3. 以下の条件式(G)を満足することを特徴とする請求項1または2記載の投写用レンズ。
    Fno≦1.7・・・(G)
    ただし、
    Fno:レンズ全系のF値
  4. 前記第1レンズ群を構成するレンズ面のうちの少なくとも1面が非球面であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の投写用レンズ。
  5. 前記第2群第4レンズおよび前記第2群第5レンズを構成するレンズ面のうちの少なくとも1面が非球面であることを特徴とする請求項記載の投写用レンズ。
  6. 前記第1レンズ群中の少なくとも1枚の非球面レンズおよび前記第2群第5レンズが、いずれも樹脂材料で形成されたものであることを特徴とする請求項記載の投写用レンズ。
  7. 以下の条件式(H)を満足することを特徴とする請求項記載の投写用レンズ。
    −1.1≦fF/f5≦−0.2・・・(H)
    ただし、
    fF:第1レンズ群中の樹脂材料で形成された非球面レンズの焦点距離
    f5:樹脂材料で形成された第2群第5レンズの焦点距離
  8. 請求項1からのいずれか1項記載の投写用レンズを備えた投写型表示装置であって、
    光源と、該光源から発せられた光束を変調するライトバルブとを備え、
    前記ライトバルブで変調された光束を前記投写用レンズに通して投写するものであることを特徴とする投写型表示装置。
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