JP5478840B2 - 光断層撮像装置および光断層撮像装置の制御方法 - Google Patents
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Description
例えば、眼を観察する光学機器として、前眼部撮影機、眼底カメラ、共焦点レーザー走査検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)、等様々な機器が使用されている。
中でも、多波長光波干渉を利用した光コヒーレンストモグラフィ(OCT:Optical Coherence Tomography)による光断層画像撮像装置は、試料の断層像を高解像度に得ることができる装置である。特に、眼科用機器として網膜の専門外来では必要不可欠な装置になりつつある。
以下、これをOCT装置と記す。
また、OCT装置は該低コヒーレント光を、該サンプル上にスキャンすることで、断層像を高解像度に得ることができる。
そのため、被検眼の眼底における網膜の断層像を高解像度に撮像することも可能であることから、網膜の眼科診断等において広く利用されている。
そのため、従来から様々な装置が開発されてきているが、例えば、特許文献1ではOCTとOCM(Optical Coherence Microscopy)とを使い分けるようにした生体試料の内部を観察する光学装置が提案されている。
この装置では、生体試料内の大きな構造の確認等にはOCTを用い、その中の注目領域を更に細かい分解能で観察する際にはOCMに切り換え可能に構成されている。
その際、OCTとOCMとでは焦点深度が大きく異なることから、光束径変換光学系を用いて、小さい開口数を有するOCTと、大きい開口数を有するOCMとに対し、それぞれに応じた光束径が設定できるようにして、高S/N比での観察が可能に構成されている。
測定光が虹彩にけられる場合、OCT装置での測定光の網膜の所望の位置に到達する割合が減少し、網膜からの反射光もそれに従って減少することとなり、断層像の信頼性は比較的低くなるため、これらの点にどのように対処するか等を考慮する必要が出てくる。
しかしながら、上記した従来例の特許文献1のものにおいては、OCT装置での測定光が虹彩にけられる場合に生じる上記のような課題等については考慮されていない。
すなわち、特許文献1では、焦点深度が大きく異なるOCTとOCMとを、光束径変換光学系を用いて切り換え可能に構成し、広範囲観察の可能なOCTによるモードと高解像度観察の可能なOCMによるモードとの使い分けが可能とされている。しかし、上記した課題については全く考慮されていない。
しかし、視力低下等の被検眼の要因により、該測定光を網膜の所望の位置に結像することが、難しい場合がある。
すなわち、OCT装置では、各該測定光が虹彩にけられることにより、測定光の網膜の所望の位置に到達する割合が減少し、網膜からの反射光もそれに従って減少することがある。
その場合、測定光のパワーには安全性の確保のために上限があるため、結果的に得られる断層像のコントラストが低くなることになる。
また、このような場合、断層像の信頼性は比較的低くなるため、断層像を用いた診断においては、これらの点を考慮する必要が出てくる。
特に、光軸に垂直な方向に高解像度なOCT装置を目的として、該測定光のビーム径を大きく構成している場合、その傾向はより顕著である。
ここで、レイリーの理論を用いれば、OCT装置の光軸に垂直な方向の分解能δは、
δ=(0.61×λ)/NA
で表される。
ここで、NAは対物レンズの開口数、λは測定光の波長をそれぞれ表している。例えば、測定光のビーム径を4mm、眼球の直径を23mm、眼球の屈折率を1.33、測定光の波長を830nmとすると、分解能δは4.4μmとなる。
以上の説明から明らかなように、OCT装置によって網膜の眼科診断をする際、測定光が虹彩にけられた場合にどのように対処するか等が問題となるが、上記した従来例等においてはこのような課題について考慮されていなかった。
測定光が虹彩にけられた場合の影響を抑制し、取得される断層像の信頼性を確保することが可能となる光断層撮像装置および光断層撮像装置の制御方法を提供することを目的とする。
本発明の光断層撮像装置は、測定光を照射した被検眼からの戻り光と、該測定光に対応する参照光とを合成した合成光に基づいて該被検眼の断層画像を撮る光断層撮像装置であって、
前記測定光による前記被検眼の前眼部の照射領域における観察画像を、前記断層画像に関連付けて取得する観察画像取得手段と、
前記観察画像に基づいて、前記測定光による前記前眼部の照射領域と前記前眼部の虹彩領域とが重複する領域の情報を取得する情報取得手段と、
前記情報に基づいて、前記観察画像に関連付けられた前記断層画像の評価を行う評価手段と、
を有することを特徴とする。
また、測定光を照射した被検眼からの戻り光と、該測定光に対応する参照光とを合成した合成光に基づいて該被検眼の断層画像を撮る光断層撮像装置であって、
前記測定光による前記被検眼の前眼部の照射領域における観察画像を、前記断層画像に関連付けて取得する観察画像取得手段と、
前記観察画像から得た前記前眼部の照射領域の情報に基づいて、該観察画像に関連付けられた前記断層画像を表示手段に表示させるか否かを判断する手段と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の光断層撮像装置は、測定光を照射した被検眼からの戻り光と、該測定光に対応する参照光とを合成した合成光に基づいて該被検眼の断層画像を撮る光断層撮像装置であって、
前記測定光による前記被検眼の前眼部の照射領域における観察画像を、前記断層画像に関連付けて取得する観察画像取得手段と、
前記観察画像に基づいて、前記測定光による前記前眼部の照射領域と前記前眼部の虹彩領域とが重複する領域の情報を取得する情報取得手段と、
前記情報に基づいて、前記観察画像に関連付けられた前記断層画像を記録手段に記録するか否かを判断する手段と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の光断層撮像装置の制御方法は、測定光を照射した被検眼からの戻り光と、該測定光に対応する参照光とを合成した合成光に基づいて該被検眼の断層画像を撮る光断層撮像装置の制御方法であって、
前記測定光による前記被検眼の前眼部の照射領域における観察画像を、前記断層画像に関連付けて取得する工程と、
前記観察画像に基づいて、前記測定光による前記前眼部の照射領域と前記前眼部の虹彩領域とが重複する領域の情報を取得する工程と、
前記情報に基づいて、前記観察画像に関連付けられた前記断層画像の評価を行う工程と、
を含むことを特徴とする。
また、本発明の光断層撮像装置の制御方法は、測定光を照射した被検眼からの戻り光と、該測定光に対応する参照光とを合成した合成光に基づいて該被検眼の断層画像を撮る光断層撮像装置の制御方法であって、
前記測定光による前記被検眼の前眼部の照射領域における観察画像を、前記断層画像に関連付けて取得する工程と、
前記観察画像に基づいて、前記測定光による前記前眼部の照射領域と前記前眼部の虹彩領域とが重複する領域の情報を取得する工程と、
前記情報に基づいて、前記観察画像に関連付けられた前記断層画像を記録手段に記録するか否かを判断する工程と、
を含むことを特徴とする。
測定光が虹彩にけられた場合の影響を抑制し、取得される断層像の信頼性を確保することが可能となる光断層撮像装置および光断層撮像装置の制御方法を実現することができる。
本実施形態のOCT装置において、測定光を照射した被検眼からの戻り光と、該測定光に対応する参照光とを合成した合成光に基づいて該被検眼の断層画像を撮像する光断層画像撮像装置が、次のような観察画像の取得手段を備える。
この観察手段は、前記被検眼の眼底の断層画像を取得する間に、前記測定光による被検眼の前眼部の照射領域における観察画像を取得するように構成されている。
また、上記OCT装置は、前記観察画像から得た前記前眼部の照射領域の情報に基づいて、該観察画像に関連付けられた、光断層画像撮像装置により撮像される断層画像の評価を行う評価手段と、を備える。
これにより、上記観察手段によって測定光の被検査物に対する入射状態を把握し、前記観察画像と関連付けられた断層画像の信頼性を検討することが可能となる。
その際、前記評価手段の評価に基づいて、前記断層画像の撮像を中止し、または再撮像の開始を行うことができるように構成することで、断層画像の信頼性を確保することが可能になる。
また、上記OCT装置は、前記評価手段として、つぎのうちの少なくとも1つの手段を有する構成とすることができる。
すなわち、前記被検眼の瞳孔以外への前記測定光の照射面積の大きさに基づいて前記評価を行う手段、
あるいは、前記被検眼の瞳孔と前記測定光の照射位置との距離に基づいて前記評価を行う手段、
あるいは、前記被検眼の瞳孔以外への前記測定光の照射形状に基づいて前記評価を行う手段、
のうちの少なくとも1つの手段を有する構成とすることができる。
これらにより、測定光が瞳孔以外の部分に照射されている程度を定量的に把握することが可能になる。
また、上記OCT装置は、前記評価手段の評価結果を通知する通知手段を有する構成とすることができる。
前記評価を行う手段を用いて取得したランクが、所望のランクであった場合に、このような通知する手段を有することで、撮像終了或いは再撮像等の次の作業に迅速に移ることが可能となる。
また、上記OCT装置は、前記観察手段をカメラ、エリアセンサ、共焦点顕微鏡のうちの少なくとも1つで構成することができる。
これらにより、測定光が瞳孔に入射する様子を容易に観察することができる。
また、本実施形態においては、上記OCT装置を用いて光断層画像の撮像方法を実施するに際し、つぎのような工程により、光断層画像を撮像することができる。
まず、観察画像を取得する工程において、前記被検眼の眼底の断層画像を取得する間に、前記測定光による被検眼の前眼部の照射領域における観察画像を取得する。
次に、断層画像の評価を行う工程において、前記観察画像から得た前記前眼部の照射領域の情報に基づいて、該観察画像に関連付けられた前記光断層画像撮像装置により撮像される断層画像の評価を行う。
更に、前記評価を行う工程の評価結果に基づいて、撮像を中止しあるいは再撮像を開始する
これにより、断層画像の信頼性を確保することが可能になる。
その際、前記第1の工程から前記第3の工程のうち、少なくとも一つの工程について、制御ソフトウェアとしてコンピュータで実行するプログラム等を用いて自動的に行うように構成することで、断層画像の信頼性の確保が可能となる効率的な断層画像の撮像システムを実現することができる。
[実施例1]
実施例1においては、本発明を適用したOCT装置について説明する。
本実施例においては、特に眼の網膜の断層像を取得するTD−OCT(Time Domain OCT)について説明する。
但し、本発明はこのようなTD−OCTだけでなく、FD−OCT(Fourier Domain OCT)にも適用することができる。
まず、最初本実施例におけるOCT装置の光学系の全体の概略構成について説明する
図1に、本実施例におけるOCT装置の光学系全体の概略構成について説明する図を示す。
図1において、100はOCT装置、101は光源、103はビームスプリッタ、105は参照光、106は測定光、107は眼、108は戻り光、110はシングルモードファイバー、111、120はレンズ、114はミラーである。
115は分散補償用ガラス、116は音響光学変調素子、117は電動ステージ、119はXYスキャナ、122はバランスドディテクタ、123はアンプ、124はフィルタ、125はパソコンである。
126は角膜、127は網膜、136は可変ビームエキスパンダー、138はディテクタ、139は観察カメラである。
図中、光源101から出射した光がビームスプリッタ103−1によって参照光105と測定光106とに分割される。
測定光106は、観察対象である眼107によって反射あるいは散乱された戻り光108となって戻され、ビームスプリッタ103−3によって戻り光(第1の戻り光)108−1と戻り光108−2(第2の戻り光)に分割される。そして、これらの戻り光のうち戻り光108−2はビームスプリッタ103−2によって、参照光105と合波される。
参照光105と戻り光108−2とは合波により合成した合成光とされた後、ビームスプリッタ103−2によって分割され、バランスドディテクタ122に入射される。
バランスドディテクタ122は光強度を電圧に変換し、その信号を用いて、眼107の断層像が構成される。
光源101は代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)である。
波長は830nm、バンド幅50nmである。ここで、バンド幅は、得られる断層像の光軸方向の分解能に影響するため、重要なパラメーターである。
また、光源の種類は、ここではSLDを選択したが、低コヒーレント光が出射できればよく、ASE(Amplified Spontaneous Emission)等も用いることができる。
また、波長は眼を測定することを鑑みると、近赤外光が適する。さらに波長は、得られる断層像の横方向の分解能に影響するため、なるべく短波長であることが望ましく、ここでは830nmとする。
観察対象の測定部位によっては、他の波長を選んでも良い。
光源101から出射された光はシングルモードファイバー110−1を通して、レンズ111−1に導かれ、ビーム径4mmの平行光になるよう、調整される。
ビームスプリッタ103−1によって分割された参照光105は参照ミラー114−1〜114−5に連続して入射され、方向を変えることで、ビームスプリッタ103−2により、バランスドディテクタ122に入射される。
ここで、115−1〜115−2は分散補償用ガラスである。分散補償用ガラス115−1の長さはL1であり、一般的な眼の奥行きの2倍と等しいことが望ましい。
分散補償用ガラス115−1は眼107に測定光106が往復した時の分散を、参照光105に対して補償するものである。
ここでは、日本人の平均的な眼球の直径とされる23mmの2倍のL1=46mmとする。さらに、117−1は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、参照光105の光路長を、調整・制御することができる。
ここで、116−1、116−2は音響光学変調素子、116−3は音響光学変調素子のコントローラである。
また、2つの音響光学変調素子116−1、116−2を光の周波数のシフターとして用いている。
音響光学変調素子116−1、116−2のシフト周波数はそれぞれ+41MHz、−40MHzであり、結果として、参照光105の周波数は1MHzシフトされる。
また、分散補償用ガラス115−2は、眼107のスキャンに用いられるレンズ120−1、120−2の分散補償を行うためのものである。
ビームスプリッタ103−1によって分割された測定光106は、分散補償ガラス115−3を通り、ビームスプリッタ103−3で反射され、可変ビームエキスパンダー136に入射される。
ここで、分散補償ガラス115−3は音響光学変調素子116−1、116−2の分散を補償するものである。
また、可変ビームエキスパンダー136は、測定光106の光束径を変化させる役割がある。例えば、4mmの光束径を1mm〜4mmの間で変化できる。
次に、XYスキャナ119のミラーに入射される。
ここでは、簡単のため、XYスキャナ119は一つのミラーとして記したが、実際にはXスキャン用ミラーとYスキャン用ミラーとの2枚のミラーが近接して配置され、網膜127上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。また、測定光106の中心はXYスキャナ119のミラーの回転中心と一致するように調整されている。
レンズ120−1、120−2は網膜127を走査するための光学系であり、測定光106を角膜126の付近を支点として、網膜127をスキャンする役割がある。
ここでは、レンズ120−1、120−2の焦点距離はそれぞれ50mm、50mmである。
測定光106は眼107に入射すると、網膜127からの反射や散乱により戻り光108となる。
さらに、戻り光108はビームスプリッタ103−3によって戻り光(第1の戻り光)108−1と戻り光(第2の戻り光)108−2とに分割され、その一方である戻り光108−1は、ビームスプリッタ103−1で透過され、ディテクタ138に導かれる。
ここで、ディテクター138は、例えば高速・高感度な光センサであるAPD(Avalanche Photo Diode)が用いられる。
また、もう一方の戻り光108−2はバランスドディテクタ122に導かれる。また、117−2は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、付随するレンズ120−2の位置を、調整・制御することができる。ここで、レンズ120−2は、電動ステージ117−2を用いて、位置を調整することで、各被険者の眼107が屈折異常を有していても、測定光106を網膜127に集光し、OCT装置100がOCT像を取得することが可能になる。
OCT装置100において、測定光106は上記説明したように、角膜126を通して、網膜127に照射される。
観察カメラ139は測定光106が角膜126を通して、網膜127に入射する様子を観察する目的で設置されている。
ここでは、眼107の右側前方に設置されているが、角膜126付近を観察出来れば、観察カメラ139の位置は何処であってもよい。
観察カメラ139とパソコン125とは電気的に接続され、観察カメラ139で取得した観察像をパソコン125に取り込み、観察像とOCT像とを関連づけて、表示や保存等を行うことができる。
観察カメラ139は測定光106の波長830nmに対応して、ここでは近赤外カメラを用いる。また、近赤外カメラを近赤外のエリアセンサとレンズを組み合わせて構成してもよい。
図2には、図1に示した構成と同一または対応する構成には同一の符号が付されているから、重複する構成についての説明は省略する。
図2において、140は瞳孔、141は虹彩である。
図2(a)、図2(b)は共に、左側が観察カメラ139を用いて取得された観察像142、右側が観察対象である眼107の断面を模式的に表す模式図143である。
また、図2(a)、(b)それぞれの、測定光106は同一径、同一エネルギーである。
また、測定光106が複数描かれているのは、XYスキャナ119によって、測定光106が網膜127を走査している様子を示している。
ここで、一般に測定光106は瞳孔140を透過しやすいが、それに対して虹彩141を透過しにくい。
図2(a)は測定光106が虹彩141に照射されることなく、瞳孔140を透過し、網膜127に照射されている。
この状態は、測定光106が網膜127に結像し、撮像に適した状態である。
これに対して、図2(b)は測定光106の一部が虹彩141に照射され、測定光106が適切には網膜127に照射されてない状態が示されている。
図2(b)の状態は図2(a)の状態に比べて、網膜127に照射される測定光106のエネルギーが小さくなる。
そのため、図2(b)の状態は図2(a)の状態に比べて、戻り光108が小さくなり、結果として断層像を構成するための後述する干渉信号のS/N比が低くなる。
そのため、診断に適する断層像を取得するには、測定光106を瞳孔140に適切に入射することが重要になる。
また、被険者の静止が難しい等の理由から、測定光106がやむを得ず虹彩141に照射された場合であっても、観察カメラ139を用いて取得された観察像142は、つぎのような手段として用いることができる。
すなわち、この観察像142は、取得した断層像の信頼性の評価を行う手段として、又は、断層像の撮像の中止あるいは再測定を行うか否かの判断の手段として用いることができる。
OCT装置100は、マッハツェンダー干渉系による干渉信号の強度から構成される断層像(OCT像)を取得することができる。
その測定系について説明すると、網膜127にて反射や散乱された光である戻り光108は、ビームスプリッタ103−3で戻り光108−1と戻り光108−2に、分割される。
この分割された戻り光のうちの戻り光108−2は、さらにビームスプリッタ103−2によって分割される。一方、参照光105もビームスプリッタ103−2によって分割される。
ここで、参照光105と戻り光108−2とはビームスプリッタ103−2の後方で合波されるように調整される。
そして、レンズ111−2〜111−3で集光され、光ファイバー110−2と110−3とを介して、バランスドディテクタ122に導かれ、参照光105と戻り光108−2とが合波された光の強度が電圧に変換される。
得られた電圧信号はアンプ123にて増幅され、フィルタ124にて必要な周波数成分を取り出し、パソコン125にて復調及びデータ処理を行い断層像を形成する。
ここでは、上記説明したように参照光105は周波数1MHzのシフトを受けている。
そのため、上記得られる電圧信号は1MHzのビート信号となり、戻り光108−2は通常微弱であるが、参照光105は大きいので、検出感度を増大させることができる。
上記フィルタ124は、ここでは1MHzのバンドパスフィルタを用い、余計な周波数成分をカットすることで、ビート信号の高感度検出を図っている。
また、上記説明したビームスプリッタ103−3で分割されたもう一方の戻り光108−1は、ビームスプリッタ103−1を通り、レンズ111−4で集光され、光ファイバー110−4を通って、ディテクタ138に導かれる。
さらにディテクタ138はパソコン125に上記干渉信号と同様に、電気的に接続され、戻り光108−1の強度を記録及び表示を行うことができる。
また、ディテクタ138で得られる信号は、網膜127での反射や散乱による戻り光108−1の強度信号であり、上記干渉信号と異なり、深さ分解能を持たない。
図3に、本実施例におけるOCT装置の断層像の取得方法を説明する模式図を示す。
また、図4に本実施例におけるOCT装置の観察像の評価方法を説明する図を示す。
図3及び図4には、図1と図2に示した構成と同一または対応する構成には同一の符号が付されているから、重複する構成についての説明は省略する。
OCT装置100は電動ステージ117−1とXYスキャナ119とを制御することで、網膜127の所望の部位の断層像を取得することができる(図1)。
ここでは、網膜127の断層像(光軸に平行な面)の取得を例にして説明する。図3(a)は眼107の模式図143であり、OCT装置100によって観察されている様子を示している。また、観察カメラ139によって、測定光106が瞳孔140に向かって入射される様子も示している。
図3(a)に示すように、測定光106は角膜126を通して、網膜127に入射すると様々な位置における反射や散乱により戻り光108となり、それぞれの位置での時間遅延を伴って、バランスドディテクタ122(図1)に到達する。ここでは、光源101のバンド幅が広く、コヒーレンス長が短いために、参照光路の光路長と測定光路の光路長とが等しい場合のみに、バランスドディテクタ122にて、干渉信号が検出できる。
上述のように、参照光105の周波数は測定光106に対して、1MHzシフトされているので、干渉信号は1MHzのビート信号となる。
さらに、図3(b)に示すように、XYスキャナ119のX軸を駆動しながら、該干渉信号を検知すれば、該干渉信号はX軸の位置情報を持った信号となる。
この信号の振幅を2乗し、復調することで、戻り光108の任意のXY平面におけるX軸方向の強度分布が得られる。
さらに、電動ステージ117−1を用いて、参照光路の光路長を動かしながら、同様の動作を繰り返せば、XZ面での戻り光108の強度の2次元分布が得られ、図3(c)に示すような断層像132が得られる。
本来は、断層像132は上記説明したように、網膜127からの戻り光108の強度をアレイ状に並べたものであり、例えば、戻り光108の強度をグレースケールに当てはめて、表示されるものであるが、ここでは、その境界のみを表示している。
上記説明した断層像を取得すると同時に、観察カメラ139は、測定光106が角膜126に対して入射する様子を示す観察像を取得している。
上記で説明した断層像の取得には、1枚当たり、0.01〜1秒程度の時間が必要になるが、その間、観察カメラ139は1枚或いは複数の観察像取得し、上記した断層像と関連付けて表示或いは保存される。
図4(a)は、測定光106が瞳孔140を透過して網膜(不図示)を観察する様子を示している。
一般に、眼底の網膜を観察する場合には、該測定光を角膜を支点として、該網膜上に走査して行う(図3(b))。
そのため、断層像取得中は測定光106は角膜126上では動いていないように観察される。しかし、被険者の静止が十分でない場合にはこの限りではない。
或いは、適宜工程を戻って行うこともでき、また制御ソフトウェアとしてコンピュータで実行するプログラム等を用いて、以下の工程を自動的に行うように構成してもよい。
また、以下の工程はパソコンを用いた画像処理を行うことを前提に記載したが、作業者が観察像142を目視して、同様の作業を手動で行ってもよい。
次に、第2の工程において、取得した観察像142をパソコン125に取り込み、表示や保存を行う。
そして、以下の各工程により、上記観察画像から得られた前眼部の照射領域における情報に基づいて該観察画像に関連付けられた、光断層画像撮像装置により撮像される断層画像の評価を行う。
すなわち、まず第3の工程において、パソコン125を用いて観察像142のセグメンテーションを行い、瞳孔140と虹彩141と測定光106とを画像認識する(図4(c))。
次に、第4の工程において、画像認識された測定光106と虹彩141との論理積をとり、その面積Sを計算する(図4(d))。
次に、第5の工程において、その面積Sの値の大小によって評価し、ランク付けを行い、該断層像と観察像142とランクとを関連付けて、表示或いは保存する。ランク付けは、例えば、以下のように設定する。
A:S=0mm2、B:0<S≦1mm2、C:1<S≦2mm2、D:S>2mm2
次に、第6の工程において、上記第5の工程において得られたランクがCあるいはDであった場合には、断層像の撮像の中止あるいは再撮像(再測定)を行う。上記第4〜5の工程において、評価の指標として、上記説明した面積Sとしたが、他の指標を用いてもよい。
例えば、測定光106と虹彩141との中心間距離や、測定光106と虹彩141との論理積の形状を用いることができる。
また、同様に、測定光106と瞳孔140との論理積の面積、形状や中心間距離を用いることもできる。その場合には、適宜ランク付けを設定する。
実施例2においては、実施例1で示した光路のいずれかを光ファイバーによって構成した構成例について説明する。
図5に、本実施例におけるOCT装置の光学系全体の概略構成について説明する図を示す。
図5には、図1に示した実施例1の構成と同一または対応する構成には同一の符号が付されているから、重複する構成についての説明は省略する。
図5において、200はOCT装置、130はシングルモードファイバー、131は光カプラーである。
また、本実施例においては、光学系の一部に光ファイバーを用いて、構成することにより、装置の小型化が図られている。
光ファイバーを用いていることを除けば、実施例1と基本的構成において差異のない構成を備えている。
図5において、測定光106は観察対象である眼107によって反射や散乱により戻り光108となって戻された後、光カプラー131−2によって、参照光105と合波される。
参照光105と戻り光108とは合波された後、分割され、バランスドディテクタ122に入射される。バランスドディテクタ122にて得られた光強度を用いて、眼107の断層像が構成される。
光源101自体は実施例1と同様である。光源101から出射された光はシングルモードファイバー130−1を通して、光カプラー131−1に導かれ、強度比90:10で分割され、それぞれ測定光106、参照光105となる。
参照光105は光カプラー131−1にて分割された後、シングルモードファイバー130−2を通して、レンズ135−1に導かれ、ビーム径4mmの平行光になるよう、調整される。
電動ステージ117−1及びそれに付帯するミラー114−1、114−2、分散補償用ガラス115−1は実施例1と同様なので説明は省略する。
参照光105は分散補償用ガラス115−2を通った後、レンズ135−2を用いてシングルモードファイバー130−6に導かれる。
さらに、音響光学変調素子133−1、シングルモードファイバー130−7を通って、光カプラー131−2に入射される。
ここで、音響光学変調素子133−1は光ファイバー用のものであり、コントローラ133−2を用いて、1MHzの周波数シフトを行うことができる。従って、ここで得られる参照光105は実施例1と同様である。
光カプラー131−1によって分割された測定光106はシングルモードファイバー130−3を通って光カプラー131−3に入射される。
その後、シングルモードファイバー130−4を通って、レンズ135−3に導かれ、ビーム径4mmの平行光になるよう、調整される。
さらに、分散補償ガラス115−3を通ったあと、XYスキャナ119のミラーに入射される。XYスキャナ119から眼107までの間の光学系は実施例1と同様であるため、説明は省略する。
ここで、分散補償ガラス115−3は音響光学変調素子133−1の分散を補償するものである。
ここでは、測定光106が分散補償ガラス115−3を往復するため、分散補償ガラス115−3の厚さは音響光学変調素子133−1のガラス部分の半分の厚みになっている。
測定光106が眼107に入射すると、網膜127からの反射や散乱により戻り光108となる。
さらに、戻り光108は光カプラー131−3を通って、光カプラー131−2に導かれる。
OCT装置200において、測定光106は上記説明したように、角膜126を通して、網膜127に照射される。
観察カメラ139は測定光106が角膜126を通して、網膜127に入射する様子を観察する目的で設置されている。測定光観察系の構成やその観察像、等の詳細は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
OCT装置200はマッハツェンダー干渉系による干渉信号の強度から構成される断層像(OCT像)を取得することができる。
その測定系について説明する。網膜127にて反射や散乱された光である戻り光108の一方である戻り光108−2は、光カプラー131−2によって、参照光105と合波され、さらに50:50に分割される。
次に、シングルモードファイバー130−8、130−9を通って、バランスドディテクタ122に導かれる。
参照光105と戻り光108とが合波された光の強度が電圧に変換される。
得られた電圧信号はアンプ123にて増幅され、フィルタ124にて必要な周波数成分を取り出し、パソコン125にて復調及びデータ処理を行い断層像を形成する。
また、上記説明した戻り光108のもう一方の戻り光108ー1は、光カプラー131−1を通り、光ファイバー130−10を通って、ディテクター138に導かれる。
さらに、ディテクタ138はパソコン125に上記干渉信号と同様に、電気的に接続され、戻り光108−1の強度を記録及び表示を行うことができる。
また、ディテクタ138で得られる信号は、網膜127での反射や散乱による戻り光108−1の強度信号であり、上記干渉信号と異なり、深さ分解能を持たない。
断層像と観察像の取得方法やその評価方法等の詳細は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
101:光源
103:ビームスプリッタ
105:参照光
106:測定光
107:眼
108:戻り光
110、130:シングルモードファイバー
111、120、135:レンズ
114:ミラー
115:分散補償用ガラス
116、133:音響光学変調素子
117:電動ステージ
119:XYスキャナ
122:バランスドディテクタ
123:アンプ
124:フィルタ
125:パソコン
126:角膜
127:網膜
131:光カプラー
132:断層像
136:可変ビームエキスパンダー
138:ディテクタ
139:観察カメラ
140:瞳孔
141:虹彩
142:観察像
143:模式図
Claims (22)
- 測定光を照射した被検眼からの戻り光と、該測定光に対応する参照光とを合成した合成光に基づいて該被検眼の断層画像を撮る光断層撮像装置であって、
前記測定光による前記被検眼の前眼部の照射領域における観察画像を、前記断層画像に関連付けて取得する観察画像取得手段と、
前記観察画像に基づいて、前記測定光による前記前眼部の照射領域と前記前眼部の虹彩領域とが重複する領域の情報を取得する情報取得手段と、
前記情報に基づいて、前記観察画像に関連付けられた前記断層画像の評価を行う評価手段と、
を有することを特徴とする光断層撮像装置。 - 前記情報取得手段が、前記重複に関する値を前記情報として取得し、
前記評価手段が、前記重複に関する値に基づいて前記断層画像の評価を行うことを特徴とする請求項1に記載の光断層撮像装置。 - 前記情報取得手段が、前記虹彩領域における前記測定光の照射面積の大きさを前記情報として取得し、
前記評価手段が、前記照射面積の大きさに基づいて前記断層画像の評価を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光断層撮像装置。 - 前記情報取得手段が、前記虹彩領域における前記測定光の照射形状を前記情報として取得し、
前記評価手段が、前記照射形状に基づいて前記断層画像の評価を行うことを特徴とする請求項1に記載の光断層撮像装置。 - 前記評価手段の評価結果に基づいて前記被検眼を再撮像するか否かを判断する手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光断層撮像装置。
- 前記評価手段の評価結果を通知する通知手段を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光断層撮像装置。
- 測定光を照射した被検眼からの戻り光と、該測定光に対応する参照光とを合成した合成光に基づいて該被検眼の断層画像を撮る光断層撮像装置であって、
前記測定光による前記被検眼の前眼部の照射領域における観察画像を、前記断層画像に関連付けて取得する観察画像取得手段と、
前記観察画像から得た前記前眼部の照射領域の情報に基づいて、該観察画像に関連付けられた前記断層画像を表示手段に表示させるか否かを判断する手段と、
を有することを特徴とする光断層撮像装置。 - 前記観察画像に基づいて、前記測定光による前記前眼部の照射領域と前記前眼部の虹彩領域とが重複する領域の情報を取得する情報取得手段を有し、
前記判断する手段が、前記重複する領域の情報に基づいて、前記観察画像に関連付けられた前記断層画像を前記表示手段に表示させるか否かを判断することを特徴とする請求項7に記載の光断層撮像装置。 - 前記判断する手段が、前記情報に基づいて該観察画像に関連付けられた前記断層画像の評価を行う評価手段を有し、該評価手段の評価結果に基づいて前記被検眼を再撮像するか否かを判断し、該再撮像が否の場合には前記評価手段で評価した断層画像を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の光断層撮像装置。
- 測定光を照射した被検眼からの戻り光と、該測定光に対応する参照光とを合成した合成光に基づいて該被検眼の断層画像を撮る光断層撮像装置であって、
前記測定光による前記被検眼の前眼部の照射領域における観察画像を、前記断層画像に関連付けて取得する観察画像取得手段と、
前記観察画像に基づいて、前記測定光による前記前眼部の照射領域と前記前眼部の虹彩領域とが重複する領域の情報を取得する情報取得手段と、
前記情報に基づいて、前記観察画像に関連付けられた前記断層画像を記録手段に記録するか否かを判断する手段と、
を有することを特徴とする光断層撮像装置。 - 前記判断する手段が、前記情報に基づいて該観察画像に関連付けられた前記断層画像の評価を行う評価手段を有し、該評価手段の評価結果に基づいて前記被検眼を再撮像するか否かを判断し、該再撮像が否の場合には前記評価手段で評価した断層画像を前記記録手段に記録することを特徴とする請求項10に記載の光断層撮像装置。
- 前記観察画像取得手段が、前記被検眼の眼底の複数の断層画像ごとに該断層画像に関連付けて前記観察画像を取得することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の光断層撮像装置。
- 前記観察画像取得手段が、カメラ、エリアセンサ、共焦点顕微鏡のうちの少なくとも1つで構成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の光断層撮像装置。
- 測定光を照射した被検眼からの戻り光と、該測定光に対応する参照光とを合成した合成光に基づいて該被検眼の断層画像を撮る光断層撮像装置の制御方法であって、
前記測定光による前記被検眼の前眼部の照射領域における観察画像を、前記断層画像に関連付けて取得する工程と、
前記観察画像に基づいて、前記測定光による前記前眼部の照射領域と前記前眼部の虹彩領域とが重複する領域の情報を取得する工程と、
前記情報に基づいて、前記観察画像に関連付けられた前記断層画像の評価を行う工程と、
を含むことを特徴とする光断層撮像装置の制御方法。 - 測定光を照射した被検眼からの戻り光と、該測定光に対応する参照光とを合成した合成光に基づいて該被検眼の断層画像を撮る光断層撮像装置の制御方法であって、
前記測定光による前記被検眼の前眼部の照射領域における観察画像を、前記断層画像に関連付けて取得する工程と、
前記観察画像に基づいて、前記測定光による前記前眼部の照射領域と前記前眼部の虹彩領域とが重複する領域の情報を取得する工程と、
前記情報に基づいて、前記観察画像に関連付けられた前記断層画像を記録手段に記録するか否かを判断する工程と、
を含むことを特徴とする光断層撮像装置の制御方法。 - 前記情報を取得する工程では、前記重複に関する値を前記情報として取得し、
前記評価を行う工程では、前記重複に関する値に基づいて前記断層画像の評価を行うことを特徴とする請求項14または請求項15に記載の光断層撮像装置の制御方法。 - 前記情報を取得する工程では、前記虹彩領域における前記測定光の照射面積の大きさを前記情報として取得し、
前記評価を行う工程では、前記照射面積の大きさに基づいて前記断層画像の評価を行うことを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の光断層撮像装置の制御方法。 - 前記情報を取得する工程では、前記虹彩領域における前記測定光の照射形状を前記情報として取得し、
前記評価を行う工程では、前記照射形状に基づいて前記断層画像の評価を行うことを特徴とする請求項14または請求項15に記載の光断層撮像装置の制御方法。 - 前記評価を行う工程の評価結果に基づいて、前記被検眼を再撮像するか否かを判断する工程を含むことを特徴とする請求項14から18のいずれか1項に記載の光断層撮像装置の制御方法。
- 測定光を照射した被検眼からの戻り光と、該測定光に対応する参照光とを合成した合成光に基づいて該被検眼の断層画像を撮る光断層撮像装置の制御方法であって、
前記測定光による前記被検眼の前眼部の照射領域における観察画像を、前記断層画像に関連付けて取得する工程と、
前記観察画像から得た前記前眼部の照射領域の情報に基づいて、該観察画像に関連付けられた前記断層画像を表示手段に表示させるか否かを判断する工程と、
を有することを特徴とする光断層撮像装置の制御方法。 - 前記観察画像に基づいて、前記測定光による前記前眼部の照射領域と前記前眼部の虹彩領域とが重複する領域の情報を取得する工程を有し、
前記判断する工程では、前記重複する領域の情報に基づいて、前記観察画像に関連付けられた前記断層画像を前記表示手段に表示させるか否かを判断することを特徴とする請求項20に記載の光断層撮像装置の制御方法。 - 請求項14から21のいずれか1項に記載の光断層撮像装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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