JP5478481B2 - 鞍乗型車両のチェーンアジャスタ構造 - Google Patents
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本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、チェーンアジャスタをスイングアームの中で位置決めされた状態で前後に移動可能にしつつ、チェーンアジャスタに更なる機能を付与し、チェーンアジャスタの調整に伴う車体の姿勢の変化を抑制するとともに、クッションユニットを簡単な構造で取付けできるようにすることを目的とする。
この場合、クッションユニットの荷重を、チェーンアジャスタの下部に設けられる車軸の前後の足部によってスイングアームの内壁に分散できるため、クッションユニットを安定的に支持できる。
この場合、左右の板部を折り曲げて頭部及び足部を構成するとともに左右の板部にカラーを溶接し、左右の連結板部を折り曲げてその端部を溶接するため、チェーンアジャスタを板材で簡単に形成できる。
この場合、一般的にアルミ合金製のスイングアームでは、クッション取付け部を比較的大きなサイズの部品で設ける必要があるが、強度の高い鋼製のチェーンアジャスタ側にクッション取付け部を設けることで、スイングアーム側を簡単な構造にすることができる。
この場合、スイングアームの上壁の開口部から、チェーンアジャスタを収容できるため、チェーンアジャスタ及びクッション取付け部をスイングアームに簡単に取付けできる。
また、前記鞍乗型車両(1)は、前記チェーン(17)を覆うチェーンケース(18)を有し、前記チェーンアジャスタ(50)の前記クッション取付け部(52)には、該チェーンケース(18)の後部に挿通されるチェーンケース係止部(70)が設けられる構成としても良い。
この場合、チェーンアジャスタをチェーンケース係止部として使用でき、部品点数を削減できる。
また、左右の板部を折り曲げて頭部及び足部を構成するとともに、左右の連結板部を折り曲げて中間部にカラーを溶接し、その端部を溶接するため、チェーンアジャスタを板材で簡単に形成できる。
さらに、強度の高い鋼製のチェーンアジャスタ側にクッション取付け部を設けることで、スイングアーム側を簡単な構造にすることができる。
また、チェーンアジャスタをチェーンケース係止部として使用でき、部品点数を削減できる。
自動二輪車1(鞍乗型車両)は、車両前後方向の略中央にパワーユニットとしてのエンジン2が搭載され、エンジン2の前方に前輪(不図示)が配置され、エンジン2の後方に後輪4が配置される鞍乗型の車両である。
車体フレームFは、車体前部に設けられるヘッドパイプ(不図示)から後下がりに後方に延びるメインフレーム5、メインフレーム5の後部で下方に延びる左右一対のピボットプレート6、メインフレーム5の後部から後上がりに後方へ延びる左右一対のシートフレーム7、及び、ピボットプレート6の下部から後上がりに後方へ延びてシートフレーム7の後部に連結される左右一対のサブフレーム8を有している。
左右のピボットプレート6間には、車幅方向に延びるピボット軸10が貫通し、後方に延びるスイングアーム11は、ピボット軸10に揺動自在に軸支されている。後輪4は、スイングアーム11の後部において車幅方向に挿通される車軸12に軸支されている。
筒状のリアサスペンション13(クッションユニット)は、スイングアーム11の後部とサブフレーム8の後部との間に掛け渡されている。
エンジン2の排気管19は、エンジン2の下方を通って後方に延び、後輪4の右側面側に配置されるマフラー20に接続されている。
図2〜図4に示すように、スイングアーム11は、断面矩形の一本の角パイプをU字状に曲げて形成されたアーム本体30、アーム本体30の前端に溶接される円筒パイプ31、及び、上下に2分割で設けられる中空のクロスメンバ32を備えて構成されている。
図3に示すように、リアサスペンション13は左右一対で設けられ、左右のアーム部34L,34Rと左右のサブフレーム8(図1参照)との間にそれぞれ掛け渡される。
クロスメンバ32は、スイングアーム11を上方から覆う上半体32A、及び、スイングアーム11を下方から覆う下半体32Bを有して上下に分割されている。上半体32A及び下半体32Bは、板材を折り曲げて形成され、左右のアーム部34L,34Rに嵌合する嵌合凹部35を左右の端部にそれぞれ有している。また、上半体32A及び下半体32Bの前部及び後部には、上半体32Aの下縁と下半体32Bの上縁とが当接する合わせ面36が設けられている。
下半体32Bの下面において右のアーム部34Rの近傍には、下方に突出するブレーキ用ステー39が形成されており、ブレーキ用ステー39には、後輪4のブレーキ(不図示)を支持するロッド(不図示)が締結される。
左右のアーム部34L,34Rの後部には、アーム部34L,34Rの内部で前後に摺動可能なチェーンアジャスタ50,50がそれぞれ設けられている。
アジャスタ本体51には、車軸12(図1参照)が挿通される車軸支持孔53が形成され、クッション取付け部52には、リアサスペンション13の下端13Aが連結される。
側板部54,55は、下方に延びる左右の足板部61,61を下部に有し、足部57,57は、内側に折り曲げられた左右の足板部61,61の先端61A,61A(端部)が向かい合うようにして設けられる。
後部連結部59は、板材を折り曲げることで左右の側板部54,55の間に形成される。
すなわち、チェーンアジャスタ50は、左右の側板部54,55が対向するように板材が折り曲げられ、先端62A,62Aが溶接されることで、略箱型に形成される。このように、板材を折り曲げて先端62A,62Aを溶接することで、板材を加工する簡単な構造でチェーンアジャスタ50を設けることができる。また、チェーンアジャスタ50は板材を折り曲げて中空に構成されているため、軽量に構成されているとともに、先端62A,62Aが溶接されているため、強度及び剛性が高くなっている。
アジャスタ本体51は、アーム部34L内に収容され、頭部56が上壁40Aの内壁42A(内壁上部)に摺接するとともに、足部57,57が下壁40Bの内壁42B(内壁下部)に摺接することで、アーム部34L内で上下に位置決めされつつ、前後に摺動可能に設けられている。
また、アジャスタ本体51は、側板部55が側壁40Cの内壁42Cに摺接するとともに、側板部54が側壁40Dの内壁42Dに摺接することで、アーム部34L内で左右に位置決めされつつ、前後に摺動可能に設けられている。
クッション取付け部52は、アーム部34Lの内側から開口部41に挿通されて上方に延び、アーム部34Lの上方に突出している。
また、左側のクッション取付け板部66は、右側のクッション取付け板部67よりも大きく外側に屈曲しており、リアサスペンション13の下端13Aが設けられるクッション取付け板部66,67間の幅は、アジャスタ本体51の幅よりも大きくなっている。このため、幅が比較的大きい下端13Aをチェーンアジャスタ50で支持することができる。
また、一般的に、アルミ合金製のスイングアーム11にリアサスペンション13の取付け部を設ける場合、強度の観点から、比較的大きなサイズのブラケット等を溶接等によりスイングアーム11に設ける構成が採用される。しかし、本実施の形態では、強度が高い鋼製のチェーンアジャスタ50にクッション取付け部52を一体的に設けるため、クッション取付け部52を小さくできるとともに、上記のブラケットをスイングアーム11に設ける必要が無く、スイングアーム11側を簡単な構造にすることができる。
チェーンケース18の後部の左側面には下方に延出する延出板部18Aが設けられ、延出板部18Aには、延出板部18Aを前後に貫通するガイド孔18Bが形成されている。ガイド孔18Bには、クッション取付け板部67のチェーンケース支持板部70がスライド可能に挿通され、チェーンケース18の後部はチェーンケース支持板部70によって支持される。
まず、スタンド等により自動二輪車1の後輪4を浮かせた状態とし、車軸12の締結を緩めるとともに、ナット44A及びロックナット44Bを緩める。これにより、左右のアーム部34L,34R内の各チェーンアジャスタ50は、前後に移動可能になり、これに伴って、チェーンアジャスタ50に支持されている車軸12及び被動スプロケット16を含む後輪4は、チェーンアジャスタ50とともに前後方向に移動可能になる。
また、チェーンアジャスタ50が移動されると、クッション取付け部52に連結されているリアサスペンション13の下端13Aも、チェーンアジャスタ50と共に前後に移動される。
また、チェーンアジャスタ50を前方に移動する場合にも同様であり、チェーンアジャスタ50を前方に移動させると、後輪4は車高を下げるように移動するが、リアサスペンション13がクッション取付け部52を支点に後側に傾斜するように回動することでスイングアーム11が車高を上げるように揺動位置を変化させるため、車高の変化を抑制でき、チェーンアジャスタ50の調整に伴う車体姿勢の変化を低減することができる。
また、左右の側板部54,55を折り曲げて頭部56及び足部57,57を構成するとともに、左右の連結板部62,62を折り曲げてその先端62A,62Aを溶接するため、チェーンアジャスタ50を板材で簡単に形成できる。
また、スイングアーム11の上壁40Aの開口部41からチェーンアジャスタ50を収容できるため、チェーンアジャスタ50及びクッション取付け部52をスイングアーム11に簡単に取付けできる。
また、チェーンアジャスタ50にチェーンケース支持板部70を設けることで、チェーンアジャスタ50をチェーンケース18の係止部として使用でき、部品点数を削減できる。
上記の実施の形態では、自動二輪車1は、パワーユニットとしてエンジン2が搭載されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、パワーユニットとしてモータが搭載され、モータの出力軸と後輪4との間に設けられるチェーンのたるみを調整する電気自動二輪車のチェーンアジャスタに本発明を適用しても良い。
また、上記の実施の形態では、チェーンアジャスタ50は、板材を折り曲げて構成されるものとして説明したが、これに限らず、チェーンアジャスタは、鋳物によって一体に構成されても良い。
また、上記実施の形態では、本発明を適用した鞍乗型車両を自動二輪車1としたが、本発明は、三輪車両や四輪のバギー車等にも適用できる。
2 エンジン(パワーユニット)
2A 出力軸
4 後輪
11 スイングアーム
12 車軸
13 リアサスペンション(クッションユニット)
13A 下端
15 駆動スプロケット
16 被動スプロケット
17 チェーン
18 チェーンケース
40A 上壁
41 開口部
42A 内壁(内壁上部)
42B 内壁(内壁下部)
50 チェーンアジャスタ
52 クッション取付け部
53 車軸支持孔
54,55 側板部(板部)
56 頭部
57,57 足部
60,60 頭板部
60A,60A 先端(端部)
61,61 足板部
61A,61A 先端(端部)
62,62 連結板部
62A,62A 先端(端部)
65 カラー
66,67 クッション取付け板部
70 チェーンケース支持板部(チェーンケース係止部)
F 車体フレーム
Claims (6)
- 車体フレーム(F)と、該車体フレーム(F)に支持されるとともに出力軸(2A)を有するパワーユニット(2)と、後部に後輪(4)を軸支するとともに前部を車体側に揺動自在に枢支されるスイングアーム(11)と、該スイングアーム(11)と前記車体フレーム(F)とを連結するクッションユニット(13)と、前記出力軸(2A)に設けられる駆動スプロケット(15)と、前記後輪(4)に設けられる被動スプロケット(16)と、前記駆動スプロケット(15)と前記被動スプロケット(16)とを連結するチェーン(17)と、前記後輪(4)の車軸(12)が挿通されるとともに前後方向に摺動可能なチェーンアジャスタ(50)とを備え、前記スイングアーム(11)は中空状に形成され、前記チェーンアジャスタ(50)が、前記スイングアーム(11)内に挿通されるとともに前記スイングアーム(11)の内壁に摺接する鞍乗型車両のチェーンアジャスタ構造において、
前記スイングアーム(11)の上壁(40A)には開口部(41)が設けられ、前記チェーンアジャスタ(50)の上部には、前記開口部(41)に挿通されるとともに前記クッションユニット(13)の下端(13A)を枢支するクッション取付け部(52)が一体的に設けられることを特徴とする鞍乗型車両のチェーンアジャスタ構造。 - 前記チェーンアジャスタ(50)は、前記スイングアーム(11)の内壁上部(42A)に摺接する頭部(56)を有し、前記チェーンアジャスタ(50)の下部には、前記車軸(12)の前後に、前記スイングアーム(11)の内壁下部(42B)に摺接する足部(57,57)が設けられることを特徴とする請求項1記載の鞍乗型車両のチェーンアジャスタ構造。
- 前記チェーンアジャスタ(50)は、車両前後方向に延びる左右の板部(54,55)と、該左右の板部(54,55)に溶接されるとともに車軸(12)が挿通されるカラー(65)とを有し、該左右の板部(54,55)は、前部に左右の連結板部(62,62)、上部に左右の頭板部(60,60)及び左右のクッション取付け板部(66,67)、下部に左右の足板部(61,61)を有し、
左右の前記頭板部(60,60)及び左右の前記足板部(61,61)は、その端部(60A,61A)を互いに略接するように折り曲げられて前記頭部(56)及び前記足部(57,57)をそれぞれ構成し、左右の前記連結板部(62,62)は、その端部(62A)を互いに接するように折り曲げられるとともに、該端部(62A)が溶接されることを特徴とする請求項2記載の鞍乗型車両のチェーンアジャスタ構造。 - 前記スイングアーム(11)はアルミ合金製であり、前記チェーンアジャスタ(50)は鋼製であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗型車両のチェーンアジャスタ構造。
- 前記スイングアーム(11)の前記上壁(40A)の前記開口部(41)は、前記チェーンアジャスタ(50)を上方から挿通して収容可能な長さに設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗型車両のチェーンアジャスタ構造。
- 前記鞍乗型車両(1)は、前記チェーン(17)を覆うチェーンケース(18)を有し、前記チェーンアジャスタ(50)の前記クッション取付け部(52)には、該チェーンケース(18)の後部に挿通されるチェーンケース係止部(70)が設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の鞍乗型車両のチェーンアジャスタ構造。
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