JP5478048B2 - フェノール樹脂 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳造用鋳型、成型材料、エポキシ硬化剤、各種バインダ等に用いられるフェノール樹脂に関する。
植物は、繰り返し同じ土地で生産でき、石油や鉱物よりも短時間で再生される資源である。そのため、植物由来の原料を使用したプラスチックは、いわゆるカーボンニュートラルの材料であり、石油等の鉱物資源から製造したプラスチックよりも二酸化炭素排出量を削減できる。
植物由来の原料を使用したプラスチックとしては、熱可塑性であるポリ乳酸が広く知られている。しかしながら、植物由来の熱可塑性プラスチックは耐熱性が低く利用分野が限られるという問題を有していた。
そこで、耐熱性の向上を目的として、植物由来材料を用いた熱硬化性のプラスチックの開発が進められている。例えば、特許文献1には、フェノール類と砂糖類及び澱粉類の混合物とを、酸性触媒の存在下で反応させて得たフェノール樹脂が開示されている。
特開平6−248040号公報
ところが、特許文献1に記載のフェノール樹脂は高軟化点で成型時の流動性が低く、硬化物を得るための成型の際の成型加工性が不充分であった。
また、従来のフェノール樹脂では、硬化時におけるホルムアルデヒドおよびアミン等の有害な分解ガスの発生の問題から、フェノール樹脂の硬化物を得る際に使用するヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤量が少なくて済むものが求められる。しかしながら、特許文献1に記載のフェノール樹脂では、硬化剤の使用量を少なくすることはできなかった。
本発明は、低軟化点で成型時の流動性が高くて成型加工性に優れ、しかも硬化物を得る際の硬化剤の使用量を低減できるフェノール樹脂を提供することを目的とする。
本発明のフェノール樹脂は、糖質類の固形分全体を100質量%とした際にフルクトースを55質量%以上含有する糖質類とフェノール類との反応によって得られた、下記式(1)で表わされる化合物を含有することを特徴とする。
(式(1)におけるR,Rは、各々独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、クミル基、ヒドロキシクミル基のいずれかである。)
Figure 0005478048
本発明のフェノール樹脂は、低軟化点で成型時の流動性が高くて成型加工性に優れ、しかも硬化物を得る際の硬化剤の使用量を低減できる。
本発明のフェノール樹脂は、上記式(1)で表わされる化合物(以下、化合物Aという。)を含有する。
式(1)におけるR,Rは、各々独立して、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基等)、ハロゲン基(例えば、ブロモ基等)、フェニル基、クミル基、ヒドロキシクミル基のいずれかである。これらの中でも、水素原子、アルキル基、ヒドロキシクミル基が好ましい。
Rがアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、クミル基のいずれかである場合、Rの位置は、ヒドロキシ基に対してオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよい。
化合物Aを含む本発明のフェノール樹脂は、酸性触媒存在下、糖質類と、フェノール類および必要に応じてホルムアルデヒドとの反応によって製造される。
化合物Aは、フェノール類とヒドロキシメチルフルフラールとの反応物であるが、ヒドロキシメチルフルフラールは糖質類に含まれていない。ヒドロキシメチルフルフラールは、フェノール類と糖質類との反応時に酸性触媒が存在することによって、糖質類から生成する。
化合物Aが糖質類とフェノール類との反応物からなる場合には、化合物Aの含有量は、フェノール樹脂全体を100質量%とした際の1.0〜25質量%であることが好ましく、1.5〜17質量%であることがより好ましく、2.0〜15質量%であることが特に好ましい。化合物Aの含有量が1質量%以上であれば、流動性を充分に向上させることができ、25質量%以下であれば、実用的な機械的物性を有する。
化合物Aの含有量を前記範囲にするためには、例えば、フェノール類と糖質類との反応の際に、糖質類を1とした際にフェノール類を2〜20倍にする方法、糖質類としてフルクトース、フルクトース含有糖類を選択する方法などを適用すればよい。
フェノール樹脂における化合物A以外の成分としては、化合物Aにさらにフェノール類および/または糖質類が反応した化合物が挙げられる。例えば、化合物Aに1分子のフェノールが反応したもの、化合物Aに1分子のヒドロキシメチルフルフラールが反応したもの、化合物Aに1分子のフェノールと1分子のヒドロキシメチルフルフラールが反応したもの、化合物Aに2分子以上のフェノールが反応したもの、化合物Aに2分子以上のヒドロキシメチルフルフラールが反応したもの、化合物Aに2分子以上のフェノールと2分子以上のヒドロキシメチルフルフラールが反応したものなどが挙げられる。
反応の際に、ホルムアルデヒドを共存させる場合には、一部のフェノールはホルムアルデヒドを介して化合物Aに反応する。また、フェノール同士がアルデヒドを介して結合したものも生成する。
なお、フェノール樹脂における化合物A以外の成分として、硬化剤は含まれない。
また、フェノール樹脂には、例えば、顔料、離型剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤などの添加剤が含まれてもよい。
フェノール樹脂を得るために用いるフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、ブチルクレゾール、フェニルフェノール、クミルフェノール、メトキシフェノール、ブロモフェノール、ビスフェノールAなどが挙げられる。
これらの中でも、反応性が高く、しかも入手容易な点で、フェノール、クレゾール、キシレノール、ビスフェノールAが好ましい。
糖質類としては、単糖類、2糖類、3糖類、少糖類、多糖類が挙げられる。具体的には、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、マルトース、イソマルソース、ラクトース、スクロース、トレハロース、ラフィノース、異性化糖、デキストリン、オリゴ糖、フラクタン、フラクオリゴ糖、澱粉、粗澱粉、アミロース、アミロペクチン、廃棄糖蜜(澱粉かす)などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、ヒドロキシメチルフルフラールを生成しやすく、化合物Aが得られやすいことから、フルクトース、フルクトースを含有する糖類が好ましい。フルクトース含有糖類としては、具体的には、異性化糖、ショ糖が挙げられる。
また、糖質類は、ヒドロキシメチルフルフラールを生成しやすく、化合物Aが得られやすいことから、澱粉液化処理液であることも好ましい。澱粉を液化処理する方法としては、例えば、水溶液化した澱粉を酸または酵素によって糖化する方法などが挙げられる。糖化に使用できる酸としては、例えば、硫酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸などが挙げられ、酵素としては、例えば、アミラーゼ、グルコシダーゼ、イソメラーゼなどが挙げられる。
糖質類は、フルクトースを、糖質類の固形分全体を100質量%とした際に5質量%以上含有することが好ましく、30質量%以上含有することがより好ましく、55質量%以上含有することが特に好ましい。さらには、糖質類の100質量%がフルクトースであることが最も好ましい。糖質類がフルクトースを5質量%以上含有すれば、化合物Aを充分量形成できるため、フェノール樹脂の流動性をより高くでき、成型加工性をより向上させることができる。
フェノール樹脂を得る際の糖質類とフェノール類との質量比率は、糖質類を1とした際にフェノール類が2〜20倍であることが好ましく、3〜6倍であることがより好ましい。フェノール類が糖質類の2倍以上であれば、反応率を高くして収率を高くできる上に分子量を高くでき、20倍以下であれば、得られるフェノール樹脂について充分な天然由来率を確保できる。
また、糖質類を1とした際にフェノール類が2〜20倍であれば、フェノール樹脂中の化合物Aを、フェノール樹脂全体を100質量%とした際の1〜25質量%にすることが容易になる。
糖質類とフェノール類とを反応させる際には、酸性触媒が用いられる。酸性触媒としては、例えば、鉱酸類(例えば、塩酸、硫酸等)、有機酸類(例えば、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等)などが使用される。
酸性触媒の使用量は、糖質類の固形分とフェノール類との合計を100質量%とした際に0.1〜50質量%であることが好ましく、0.2〜10質量%であることがより好ましい。酸性触媒の使用量が0.1質量%以上であれば、充分な量の化合物Aを生成でき、50質量%以下であれば、酸分解やゲル化を抑制できる。
反応温度は20〜160℃であることが好ましく、120〜160℃であることがより好ましい。反応温度が20℃以上であれば、充分に反応させることができ、160℃以下であれば、分解を抑制できる。
反応時間は0.5〜20時間であることが好ましく、1〜3時間であることがより好ましい。反応時間が0.5時間以上であれば、高い収率でフェノール樹脂を得ることができ、20時間以下であれば、生産性の低下を抑制できる。
上記化合物Aを含有するフェノール樹脂は、低軟化点で流動性が高く、成型加工性に優れている。また、天然成分の糖質類を用いているから、二酸化炭素排出量を削減できる。
また、化合物Aはアルデヒド基を有するため、本発明のフェノール樹脂は、硬化剤が共存しなくても、酸性触媒の存在下で硬化して、硬化物を形成できる。したがって、本発明のフェノール樹脂を硬化する際に、ホルムアルデヒド発生の原因になる硬化剤(例えば、ヘキサメチレンテトラミン、ベンジルアミン、ベンゾオキサジン、アゾメチン等)の使用量を減らすことができる。
本発明のフェノール樹脂は、例えば、鋳造用鋳型、成型材料、エポキシ硬化剤、布紙強化用バインダ、塗料、砥石用樹脂等に用いることができる。
以下の実施例および比較例では、得られたフェノール樹脂について、化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を以下の方法で調べた。
[化合物Aの含有量]
得られたフェノール樹脂をテトラヒドロフランに溶解した溶液を測定試料とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を下記条件により測定し、数平均分子量202のピーク面積率を化合物Aの含有量とした。
・GPC測定条件
GPC測定装置:東ソー社製 HLC8120GPC
カラム:TSKgel G3000H+G2000H+G2000H
ピークの物質の同定:日本電子社製 質量分析計SX−102A、及び日本電子社製 核磁気共鳴装置 LA−400
[軟化点]
JIS K 2207に準じて軟化点を測定した。
[流動性]
JIS K 6910に準じて流動性を測定した。この流動性は、単位時間当たりの流動長さ[mm]を示しており、値が大きい程、流動性に優れる。
[天然由来率]
天然由来率 =100−{100×[(フェノール仕込み質量)−(留去した未反応フェノール質量)]/(樹脂収量)}
なお、この天然由来率が高い程、二酸化炭素排出量が少なくなる。
参考例1)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、グルコース376g、パラトルエンスルホン酸7.5gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類との質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.5質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した後、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム1.6gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール333gを留去し、1060gの樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂中の化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を表1に示す。
得られたフェノール樹脂はテトラヒドロフランに完全溶解した。また、フェノール樹脂100質量%に対してパラトルエンスルホン酸1質量%を添加して、180℃で30分間加熱したところ、部分的に硬化して、テトラヒドロフランに一部不溶となった。
参考例2)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、フルクトース226g、パラトルエンスルホン酸6.8gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類との質量比率は5:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.5質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した後、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム1.5gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール686gを留去し、391gの樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂中の化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を表1に示す。
得られたフェノール樹脂はテトラヒドロフランに完全溶解した。また、得られたフェノール樹脂を、180℃で30分間加熱したところ、硬化してテトラヒドロフランに完全に不溶となった。
(実施例3)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、群栄化学工業製異性化糖HF55(フルクトース含有率55質量%、固形分濃度75質量%)376g(固形分282g)、シュウ酸70.5gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類との質量比率は4:1、シュウ酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.5質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール600gを留去し、812gの樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂中の化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を表1に示す。
得られたフェノール樹脂はテトラヒドロフランに完全溶解した。また、得られたフェノール樹脂を、180℃で30分間加熱したところ、硬化して、テトラヒドロフランに完全に不溶となった。
(実施例4)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、群栄化学工業製異性化糖HF95(フルクトース含有率95質量%、固形分濃度75質量%)501g(固形分376g)、パラトルエンスルホン酸7.5gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類との質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.5質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した後、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム1.7gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール686gを留去し、713gの樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂中の化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を表1に示す。
得られたフェノール樹脂はテトラヒドロフランに完全溶解した。また、得られたフェノール樹脂を、180℃で30分間加熱したところ、硬化して、テトラヒドロフランに完全に不溶となった。
参考例5)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、群栄化学工業製デキストリン GLD(フルクトース含有率0質量%、固形分濃度70質量%)537g(固形分376g)、パラトルエンスルホン酸4.5gを仕込んだ。
なお、フェノールと糖質類との質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.5質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した後、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム1.0gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール409gを留去し、985gの樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂中の化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を表1に示す。
得られたフェノール樹脂はテトラヒドロフランに完全溶解した。また、得られたフェノール樹脂100質量%に対して1質量%のパラトルエンスルホン酸を添加し、180℃で30分間加熱したところ、部分的に硬化して、テトラヒドロフランに一部不溶となった。
参考例6)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、タピオカ澱粉(フルクトース含有率0質量%、固形分濃度88質量%)427g(固形分376g)、硫酸1.5gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類との質量比率は3:1、硫酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.1質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した後、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム0.3gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール337gを留去し、1055gの樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂中の化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を表2に示す。
得られたフェノール樹脂はテトラヒドロフランに完全溶解した。また、得られたフェノール樹脂100質量%に対して1質量%のパラトルエンスルホン酸を添加し、180℃で30分間加熱したところ、部分的に硬化して、テトラヒドロフランに一部不溶となった。
参考例7)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、水道水1128g、タピオカ澱粉(フルクトース含有率0質量%、固形分濃度88質量%)427g(固形分376g)、パラトルエンスルホン酸7.5を仕込み、100℃にて1時間攪拌した。80℃以下に冷却した後、フェノール1128gを添加し、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱した。なお、フェノールと糖質類との質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.5質量%であった。
150℃に保ったまま、1時間攪拌した後、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム1.6gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール505gを留去し、890gの樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂中の化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を表2に示す。
得られたフェノール樹脂はテトラヒドロフランに完全溶解した。また、得られたフェノール樹脂100質量%に対して1質量%のパラトルエンスルホン酸を添加し、180℃で30分間加熱したところ、部分的に硬化して、テトラヒドロフランに一部不溶となった。
参考例8)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、砂糖を精製する際に発生する廃棄糖蜜(フルクトース含有率50質量%、固形分濃度80質量%)470g(固形分376g)、35質量%塩酸8.6gを仕込み、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱した。なお、フェノールと糖質類との質量比率は3:1、塩酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.2質量%であった。
150℃に保ったまま、1時間攪拌した後、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム3.3gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール335gを留去し、1057gの樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂中の化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を表2に示す。
得られたフェノール樹脂はテトラヒドロフランに完全溶解した。また、得られたフェノール樹脂100質量%に対して1質量%のパラトルエンスルホン酸を添加し、180℃で30分間加熱したところ、部分的に硬化して、テトラヒドロフランに一部不溶となった。
参考例9)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、群栄化学工業製デキストリン GLD(フルクトース含有率0質量%、固形分濃度70質量%)503g(固形分352g)、群栄化学工業製異性化糖HF95(フルクトース含有率95質量%、固形分濃度75質量%)32g(固形分24g)、パラトルエンスルホン酸4.5gを仕込み、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱した。
なお、フェノールと糖質類との質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.3質量%であった。また、糖質類中のフルクトース含有量は6質量%であった。
150℃に保ったまま、1時間攪拌した後、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム1.0gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール468gを留去し、930gの樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂中の化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を表2に示す。
得られたフェノール樹脂はテトラヒドロフランに完全溶解した。また、得られたフェノール樹脂100質量%に対して1質量%のパラトルエンスルホン酸を添加し、180℃で30分間加熱したところ、部分的に硬化して、テトラヒドロフランに一部不溶となった。
参考例10)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、群栄化学工業製デキストリン GLD(フルクトース含有率0質量%、固形分濃度70質量%)269g(固形分188g)、群栄化学工業製異性化糖HF95(フルクトース含有率95質量%、固形分濃度75質量%)250g(固形分188g)、パラトルエンスルホン酸4.5gを仕込み、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱した。なお、フェノールと糖質類との質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.3質量%であった。
また、糖質類中のフルクトース含有量は35.6質量%であった。
150℃に保ったまま、1時間攪拌した後、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム1.0gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール528gを留去し、869gの樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂中の化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を表2に示す。
得られたフェノール樹脂はテトラヒドロフランに完全溶解した。また、得られたフェノール樹脂100質量%に対して1質量%のパラトルエンスルホン酸を添加し、180℃で30分間加熱したところ、部分的に硬化して、テトラヒドロフランに一部不溶となった。
(比較例1)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量3Lの三口フラスコに、フェノール1128g、グルコース1128g、硫酸11.3gを仕込み、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱した。なお、フェノールと糖質類との質量比率は1:1、硫酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.5質量%であった。
150℃に保ったまま、1時間攪拌した後、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム9.2gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール226gを留去し、1172gの樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂中の化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を表3に示す。
得られたフェノール樹脂はテトラヒドロフランに完全溶解した。また、得られたフェノール樹脂100質量%に対して1質量%のパラトルエンスルホン酸を添加し、180℃で30分間加熱したところ、全く硬化せず、テトラヒドロフランに完全溶解した。
(比較例2)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量3Lの三口フラスコに、フェノール1128g、グルコース1128g、パラトルエンスルホン酸67.8gを仕込み、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱した。なお、フェノールと糖質類との質量比率は1:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して3.0質量%であった。
150℃に保ったまま、1時間攪拌した後、少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム14.5gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール119gを留去し、1294gの樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂中の化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を表3に示す。
得られたフェノール樹脂はテトラヒドロフランに完全溶解した。また、得られたフェノール樹脂100質量%に対して1質量%のパラトルエンスルホン酸を添加し、180℃で30分間加熱したところ、全く硬化せず、テトラヒドロフランに完全溶解した。
(比較例3)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量3Lの三口フラスコに、フェノール1128g、グルコース282g、パラトルエンスルホン酸0.14gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類との質量比率は4:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.01質量%であった。粘稠で有機溶剤に不溶であり、樹脂化反応はしていないことがわかった。
そのため、化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を求めなかった。
(比較例4)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量3Lの三口フラスコに、フェノール1000g、ショ糖(フルクトース含有率0質量%、フラクトース構造ユニット50質量%)を300g、澱粉(フルクトース含有率0質量%)23g(固形分20g)、パラトルエンスルホン酸50gを仕込み、徐々に昇温した。なお、フェノールと糖質類との質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は、糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して3.8質量%であった。
次いで、130℃で3時間、生成する水を除きながら反応させた後に、内温を180℃まで昇温し、反応を終了した。その後、フラスコ内に、メチルイソブチルケトン2000gを添加し、希釈した後に、パラトルエンスルホン酸を除去した。
次いで、常圧で130℃にて脱水反応を行い、180℃にて脱水反応を行って、樹脂880gを得た。その際に留去したフェノールは331gであった。
得られたフェノール樹脂中の化合物Aの含有量、軟化点、流動性、天然由来率を表3に示す。
得られたフェノール樹脂はテトラヒドロフランに完全溶解した。また、得られたフェノール樹脂100質量%に対して1質量%のパラトルエンスルホン酸を添加し、180℃で30分間加熱したところ、全く硬化せず、テトラヒドロフランに完全溶解した。
Figure 0005478048
Figure 0005478048
Figure 0005478048
化合物Aを含有する実施例2〜4及び参考例1,5〜10のフェノール樹脂は軟化点が低く、流動性に優れ、しかも天然由来率が高かった。また、実施例2〜4及び参考例1,5〜10のフェノール樹脂は、ヘキサメチレンテトラミンが共存しなくても、酸性触媒の存在下で完全硬化または部分硬化した。
これに対し、化合物Aを含有していない比較例1,2,4のフェノール樹脂は軟化点が高く、流動性が低かった。さらに、酸性触媒の存在下では、完全硬化も部分硬化も確認されなかった。
なお、比較例3はフェノール樹脂が得られなかった。酸性触媒量が少なかったため、と思われる。

Claims (1)

  1. 糖質類の固形分全体を100質量%とした際にフルクトースを55質量%以上含有する糖質類とフェノール類との反応によって得られた、下記式(1)で表わされる化合物を含有することを特徴とするフェノール樹脂。
    Figure 0005478048
    (式(1)におけるR,Rは、各々独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、クミル基、ヒドロキシクミル基のいずれかである。)
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