JP5301253B2 - エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物、およびエポキシ樹脂硬化方法 - Google Patents
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Description
通常、エポキシ樹脂を硬化する際には、硬化剤が用いられている。エポキシ樹脂用の硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂が用いられている(例えば特許文献1および非特許文献1)。
ところが、特許文献1および非特許文献1に記載のフェノール樹脂をエポキシ樹脂用の硬化剤として使用すると、得られるエポキシ樹脂硬化成形物の諸物性(強度、耐熱性、耐湿性等)を維持したまま弾性率を低くすることができないため、脆く、撓ませると割れてしまうことがあった。そのため、エポキシ樹脂硬化成形物の諸物性(強度、耐熱性、耐湿性等)を維持したまま弾性率を低くできる硬化剤が求められていた。
また、近年、植物由来の成分をプラスチックの原材料として使用することが求められている。植物は、繰り返し同じ土地で生産できる上に石油や鉱物よりも短時間で再生される資源である。そのため、植物由来の成分をプラスチックの原材料として使用することで、石油等の鉱物資源から製造した原材料を使用するよりも二酸化炭素排出量を削減できるようになる。
本発明は、原材料に植物由来成分を使用でき、また、得られるエポキシ樹脂硬化成形物の諸物性(強度、耐熱性、耐湿性等)をほぼ維持したまま弾性率を低くできるエポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂およびエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
[1] フェノール類と、フルクトースを固形分全体の50質量%以上含有する糖質類とを、酸性触媒下で反応させて得られた、下記式(1)で表わされる化合物を含有するフェノール樹脂からなることを特徴とするエポキシ樹脂硬化剤。
(式(1)におけるR1,R2は、各々独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、クミル基、ヒドロキシクミル基のいずれかである。)
[3] エポキシ樹脂が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂および/またはビスフェノールA型エポキシ樹脂である[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] [1]に記載のエポキシ樹脂硬化剤を用いてエポキシ樹脂を硬化させることを特徴とするエポキシ樹脂硬化方法。
本発明のエポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂は、上記式(1)で表わされる化合物(以下、化合物aという。)を含有するものである。
式(1)におけるフェノール部位のR1,R2は、各々独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基等)、ハロゲン基(例えば、ブロモ基等)、フェニル基、クミル基、ヒドロキシクミル基のいずれかである。フェノールノボラック樹脂においては、上記の置換基を有するフェノール部位は周知である。化合物aにおいても、フェノール部位として、フェノールノボラック樹脂と同じものが使用できる。
上記の中でも、化合物aが容易に得られる点では、水素原子、アルキル基、ヒドロキシクミル基が好ましく、R1,R2の一方が水素原子で、他方が水素原子、アルキル基、ヒドロキシクミル基のいずれかであることがより好ましい。
化合物aのうち、より好ましいものとしては、下記式(2)〜(6)で表されるものが挙げられる。
化合物aは、フェノール類とヒドロキシメチルフルフラールとの反応物であるが、ヒドロキシメチルフルフラールは糖質類に含まれていない。ヒドロキシメチルフルフラールは、フェノール類と糖質類との反応時に酸性触媒が存在することによって、糖質類から生成する。
これらの中でも、反応性が高く、しかも入手容易な点で、フェノール、クレゾール、キシレノール、ビスフェノールA、レゾルシノールが好ましい。
これらの中でも、ヒドロキシメチルフルフラールを生成しやすく、化合物aが得られやすいことから、フルクトース、フルクトースを含有する糖類が好ましい。フルクトース含有糖類としては、具体的には、異性化糖、ショ糖が挙げられる。
また、糖質類は、ヒドロキシメチルフルフラールを生成しやすく、化合物aが得られやすいことから、澱粉液化処理液であることも好ましい。澱粉を液化処理する方法としては、例えば、水溶液化した澱粉を酸または酵素によって糖化する方法などが挙げられる。糖化に使用できる酸としては、例えば、硫酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸などが挙げられ、酵素としては、例えば、アミラーゼ、グルコシダーゼ、イソメラーゼなどが挙げられる。
また、糖質類を1とした際にフェノール類が2〜20倍であれば、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂中の化合物aを、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂全体を100質量%とした際の1〜25質量%にすることが容易になる。
酸性触媒の使用量は、糖質類の固形分とフェノール類との合計を100質量%とした際に0.1〜50質量%であることが好ましく、0.2〜10質量%であることがより好ましい。酸性触媒の使用量が0.1質量%以上であれば、充分な量の化合物aを生成でき、50質量%以下であれば、酸分解やゲル化を抑制できる。
反応時間は0.5〜20時間であることが好ましく、1〜3時間であることがより好ましい。反応時間が0.5時間以上であれば、高い収率でエポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂を得ることができ、20時間以下であれば、生産性の低下を抑制できる。
反応の際に、ホルムアルデヒドを共存させる場合には、一部のフェノールはホルムアルデヒドを介して化合物aに反応する。また、フェノール同士がアルデヒドを介して結合したものも生成する。
エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂の軟化点は、化合物aの含有量によって調整することができる。エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂の軟化点を70〜150℃にするための化合物aの含有量は、化合物aのR1,R2の種類によって異なるため、一概には言えない。化合物aの含有量が多くなる程、軟化点が低くなる。軟化点を70℃以上にするためには、化合物aの含有量を、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂全体を100質量%とした際の25質量%以下にすることが好ましい。
また、本発明者らが調べた結果、上記エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂を用いて得たエポキシ樹脂の硬化成形物は充分に低い弾性率を有することが分かった。
なお、R1とR2が水素原子以外である場合に、R1とR2が水素原子である場合と同様に弾性率が低くなるのは、R1,R2の置換基による効果よりも、フラン環の構造に起因する弾性率低下の効果が大きいためである。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、上記エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂とを含有するものである。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、イソシアヌレートのエポキシ化物などが挙げられる。
これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂および/またはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂および/またはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂は容易に入手できる上に、実用上充分な硬化性を有し、しかも、該エポキシ樹脂組成物から得られるエポキシ樹脂硬化成形物の耐熱性、機械特性を向上させることができる。
硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、トリブチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルフォスフィンなどが挙げられる。
これらの中でも、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、トリフェニルフォスフィンが好ましい。硬化促進剤として2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、トリフェニルフォスフィンを用いれば、充分な硬化促進効果が得られる上に、耐水性、流動性が良好である。また、経済性も良好である。
無機充填剤の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体を100質量%とした際の50〜92質量%であることが好ましく、70〜92質量%であることがより好ましい。無機充填剤の含有量が50質量%以上であれば、充分に機械的強度を向上させることができ、92質量%以下であれば、耐湿性の低下を防止できる。
これらの中でも、エポキシ樹脂との反応性が高いことから、シラン系カップリング剤が好ましい。シラン系カップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂組成物には、例えば、顔料、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤が含まれてもよい。
このようなエポキシ樹脂組成物は、成形材料、塗料、フェルト用等の各種バインダーに好適に使用できる。
[軟化点]
JIS K 2207に従って軟化点を測定した。
[水酸基当量]
JIS K 0070に従って水酸基当量を測定した。
[化合物aの含有量]
得られたフェノール樹脂をテトラヒドロフランに溶解した溶液を測定試料とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を下記条件により測定し、下記式(7)で表される数平均分子量202のピーク面積率を化合物aの含有量とした。
・GPC測定条件
GPC測定装置:東ソー社製 HLC8120GPC
カラム:TSKgel G3000H+G2000H+G2000H
ピークの物質の同定:日本電子社製 質量分析計SX−102A、及び日本電子社製 核磁気共鳴装置 LA−400
[天然由来率]
天然由来率 =100−{100×[(フェノール仕込み質量)−(留去した未反応フェノール質量)]/(樹脂収量)}
なお、この天然由来率が高い程、二酸化炭素排出量が少なくなる。
(合成例1)
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、グルコース376g、パラトルエンスルホン酸15.0gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類の質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して1.0質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した。少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム3.2gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール490gを留去し、875gのフェノール樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点、水酸基当量、化合物aの含有量、天然由来率を表1に示す。
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、群栄化学工業製異性化糖HF95(フルクトース含有率95質量%、固形分75質量%)501g(固形分376g)、パラトルエンスルホン酸15.0gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類の質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して1.0質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した。少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム3.2gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール735gを留去し、639gのフェノール樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点、水酸基当量、化合物aの含有量、天然由来率を表1に示す。
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、群栄化学工業製異性化糖HF55(フルクトース含有率55質量%、固形分75質量%)501g(固形分376g)、パラトルエンスルホン酸15.0gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類の質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して1.0質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した。少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム3.2gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール622gを留去し、742gのフェノール樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点、水酸基当量、化合物aの含有量、天然由来率を表1に示す。
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、群栄化学工業製異性化糖HF55(フルクトース含有率55質量%、固形分75質量%)376g(固形分282g)、パラトルエンスルホン酸14.0gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類の質量比率は4:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して1.0質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した。少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム2.9gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール724gを留去し、598gのフェノール樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点、水酸基当量、化合物aの含有量、天然由来率を表1に示す。
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、ショ糖376g、パラトルエンスルホン酸15.0gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類の質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して1.0質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した。少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム3.2gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール580gを留去し、769gのフェノール樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点、水酸基当量、化合物aの含有量、天然由来率を表1に示す。
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、水道水1128g、タピオカ澱粉(固形分濃度88質量%)427g(固形分376g)、パラトルエンスルホン酸15.0gを仕込み、100℃にて1時間攪拌し、タピオカ澱粉の液化を行った。80℃以下に冷却した後、フェノール1128gを添加した。なお、フェノールと糖質類の質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して1.0質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した。少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム3.2gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール490gを留去し、820gのフェノール樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点、水酸基当量、化合物aの含有量、天然由来率を表1に示す。
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、群栄化学工業製異性化糖HF55(フルクトース含有率55質量%、固形分75質量%)501g(固形分376g)、パラトルエンスルホン酸11.3gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類の質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.75質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した。少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム2.4gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール724gを留去し、598gのフェノール樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点、水酸基当量、化合物aの含有量、天然由来率を表1に示す。
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、群栄化学工業製異性化糖HF95(フルクトース含有率95質量%、固形分75質量%)501g(固形分376g)、パラトルエンスルホン酸0.15gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類の質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.01質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した。少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム0.03gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール948gを留去し、460gのフェノール樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点、水酸基当量、化合物aの含有量、天然由来率を表2に示す。
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、グルコース1128g、硫酸11.3gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類の質量比率は1:1、硫酸の添加量は糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.5質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した。少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム9.2gを添加して中和した。その後、200℃、11kPaの減圧下で未反応のフェノール226gを留去し、1172gのフェノール樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点、水酸基当量、化合物aの含有量、天然由来率を表2に示す。
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、フェノール1128g、グルコース376g、パラトルエンスルホン酸0.75gを仕込んだ。なお、フェノールと糖質類の質量比率は3:1、パラトルエンスルホン酸の添加量は糖質類の固形分とフェノールの合計量100質量%に対して0.05質量%であった。
次いで、昇温途中で生成する水を除きながら150℃まで加熱し、150℃を保ったまま、1時間攪拌した。少量の水に溶解させた水酸化ナトリウム0.16gを添加して中和した。得られた反応物は不均一で一部沈殿が発生しており有機溶剤には不溶であったため、樹脂化反応は生じていないことが確認された。そのため、軟化点、水酸基当量、化合物aの含有量、天然由来率は求めなかった。
以下の実施例および比較例においては、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂の水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基との当量比が1:1になるように配合した。
無機充填剤として平均粒径80μmの球状溶融シリカ(商品名ES−30、瀬戸窯業原料社製)384.0質量部、エポキシ樹脂としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名EPICLON N−660、DIC社製、エポキシ当量206、軟化点65℃)100.0質量部、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂として合成例1で得たフェノール樹脂(水酸基当量134、軟化点134℃)65.0質量部、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール0.38質量部、滑剤としてカルナバワックス0.76質量部、カップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名 KBM−403 信越化学工業社製)16.5質量部をミキシングロールにて110℃で5分間溶融混練し、冷却後、粗砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。
無機充填剤として平均粒径80μmの球状溶融シリカ(商品名ES−30、瀬戸窯業原料社製)405.0質量部、エポキシ樹脂としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名 EPICLON N−670、DIC社製、エポキシ当量210、軟化点73℃)100.0質量部、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂として合成例2で得たフェノール樹脂(水酸基当量155、軟化点112℃)74.0質量部、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール0.41質量部、滑剤としてカルナバワックス0.82質量部、カップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名 KBM−403、信越化学工業社製)17.4質量部をミキシングロールにて110℃で5分間溶融混練し、冷却後、粗砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。
無機充填剤として平均粒径80μmの球状溶融シリカ(商品名 ES−30、瀬戸窯業原料社製)384.0質量部、エポキシ樹脂としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名 EPICLON N−690、DIC社製、エポキシ当量212、軟化点92℃)100.0質量部、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂として合成例3で得たフェノール樹脂(水酸基当量138、軟化点116℃)65.0質量部、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール0.38質量部、滑剤としてカルナバワックス0.76質量部、カップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名 KBM−403、信越化学工業社製)16.5質量部をミキシングロールにて110℃で5分間溶融混練し、冷却後、粗砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。
無機充填剤として平均粒径80μmの球状溶融シリカ(商品名 ES−30、瀬戸窯業原料社製)349.0質量部、エポキシ樹脂としてシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(商品名 EPICLON HP−7200H、DIC社製、エポキシ当量278、軟化点84℃)100.0質量部、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂として合成例4で得たフェノール樹脂(水酸基当量139、軟化点118℃)50.0質量部、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール0.35質量部、滑剤としてカルナバワックス0.70質量部、カップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名 KBM−403 信越化学工業社製)15.0質量部をミキシングロールにて110℃で5分間溶融混練し、冷却後、粗砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。
無機充填剤として平均粒径80μmの球状溶融シリカ(商品名 ES−30、瀬戸窯業原料社製)280.0質量部、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名 EPICLON 1050、DIC社製、エポキシ当量470、軟化点68℃)100.0質量部、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂として合成例5で得たフェノール樹脂(水酸基当量131、軟化点120℃)28.0質量部、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール0.30質量部、滑剤としてカルナバワックス0.60質量部、カップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名 KBM−403、信越化学工業社製)12.8質量部をミキシングロールにて110℃で5分間溶融混練し、冷却後、粗砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。
無機充填剤として平均粒径80μmの球状溶融シリカ(商品名 ES−30、瀬戸窯業原料社製)277.0質量部、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名 EPICLON 2050、DIC社製、エポキシ当量640、軟化点87℃)100.0質量部、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂として合成例6で得たフェノール樹脂(水酸基当量121、軟化点130℃)19.0質量部、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール0.27質量部、滑剤としてカルナバワックス0.54質量部、カップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名 KBM−403、信越化学工業社製)11.9質量部をミキシングロールにて110℃で5分間溶融混練し、冷却後、粗砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。
無機充填剤として平均粒径80μmの球状溶融シリカ(商品名 ES−30、瀬戸窯業原料社製)266.0質量部、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名 EPICLON 4050、DIC社製、エポキシ当量960、軟化点100℃)100.0質量部、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂として合成例7で得たフェノール樹脂(水酸基当量139、軟化点110℃)14.5質量部、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール0.27質量部、滑剤としてカルナバワックス0.54質量部、カップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名 KBM−403、信越化学工業社製)11.5質量部をミキシングロールにて110℃で5分間溶融混練し、冷却後、粗砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。
無機充填剤として平均粒径80μmの球状溶融シリカ(商品名 ES−30、瀬戸窯業原料社製)503.0質量部、エポキシ樹脂としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名 EPICLON N−660、DIC社製、エポキシ当量206、軟化点65℃)100.0質量部、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂として合成例8で得たフェノール樹脂(水酸基当量240、軟化点68℃)116.5質量部、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール0.50質量部、滑剤としてカルナバワックス1.00質量部、カップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名 KBM−403、信越化学工業社製)21.6質量部をミキシングロールにて110℃で5分間溶融混練し、冷却後、粗砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。
無機充填剤として平均粒径80μmの球状溶融シリカ(商品名 ES−30、瀬戸窯業原料社製)342.0質量部、エポキシ樹脂としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名 EPICLON N−660、DIC社製、エポキシ当量206、軟化点65℃)100.0質量部、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂として比較合成例1で得たフェノール樹脂(水酸基当量122、軟化点155℃)59.2質量部、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール0.37質量部、滑剤としてカルナバワックス0.74質量部、カップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名 KBM−403、信越化学工業社製)15.9質量部をミキシングロールにて110℃で5分間溶融混練し、冷却後、粗砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。
無機充填剤として平均粒径80μmの球状溶融シリカ(商品名 ES−30、瀬戸窯業原料社製)352.0質量部、エポキシ樹脂としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名 EPICLON N−690、DIC社製、エポキシ当量212、軟化点92℃)100.0質量部、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂として通常のフェノールノボラック樹脂(商品名PSM−4261、群栄化学工業社製、水酸基当量108、軟化点82℃)51.0質量部、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール0.35質量部、滑剤としてカルナバワックス0.70質量部、カップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名 KBM−403 信越化学工業社製)15.1質量部をミキシングロールにて110℃で5分間溶融混練し、冷却後、粗砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。
無機充填剤として平均粒径80μmの球状溶融シリカ(商品名 ES−30、瀬戸窯業原料社製)272.0質量部、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名 EPICLON 2050、エポキシ当量640、軟化点87℃)100.0質量部、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂として通常のフェノールノボラック樹脂、群栄化学工業社製(商品名PSM−4261、水酸基当量108、軟化点82℃)17.0質量部、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール0.27質量部、滑剤としてカルナバワックス0.54質量部、カップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名 KBM−403、信越化学工業社製)11.7質量部をミキシングロールにて110℃で5分間溶融混練し、冷却後、粗砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。
上記テストピースを用い、25℃、曲げ速度10mm/分の条件下、東洋精機製作所社製ストログラフV10−Cにより、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
[ガラス転移温度]
上記テストピースを用い、熱機械分析装置(セイコーインスツルメンツ社製 TMA/SS120)により測定した。
[熱分解温度]
上記テストピースの一部を粉砕、微粉化し、示差熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツルメンツ社製 TG/DTA6300)により、窒素雰囲気下で熱重量減量を測定し、熱分解開始温度を求めた。
[吸湿率]
上記テストピースを温度85℃、相対湿度85%の環境下、168時間放置して、吸湿処理を施した。そして、下記式に基づき、吸湿率を求めた。
吸湿率=[(吸湿処理後テストピース質量/吸湿処理前テストピース質量)×100]−100
また、エポキシ樹脂硬化用フェノール樹脂における化合物aの含有量が25質量%以下であった実施例2〜5,7、参考例1,6では、得られたエポキシ樹脂硬化成形物のガラス転移温度および熱分解開始温度が高く、耐熱性に優れていた。また、耐湿性にも優れていた。
これに対し、糖質類を用いて得たが、化合物aを含有しないフェノール樹脂を硬化剤として用いた比較例1では、得られたエポキシ樹脂硬化成形物の曲げ弾性率が高かった。
硬化剤として通常のフェノールノボラック樹脂を用いた比較例2,3では、同じエポキシ樹脂を用いた実施例または参考例(比較例2については実施例3、比較例3については参考例6)と比較して、エポキシ樹脂硬化成形物の曲げ弾性率が高かった。
Claims (4)
- エポキシ樹脂と、請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化剤を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂および/またはビスフェノールA型エポキシ樹脂である請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化剤を用いてエポキシ樹脂を硬化させることを特徴とするエポキシ樹脂硬化方法。
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