JP5477781B2 - ダイヤモンド被覆切削工具 - Google Patents
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Description
ダイヤモンド皮膜の剥離防止に関しては、今までに種々の提案がなされており、例えば、特許文献1、2に示されるように、工具基体表面にSiC、Si3N4、Siからなる層を介してダイヤモンド皮膜を形成することにより、ダイヤモンド被覆工具の密着性を改善する技術が提案されている。
また、特許文献3に示されるように、工具基体表面に、基体成分(例えば、WC,TiC)及び炭素成分を有する中間層を介してダイヤモンド皮膜を形成することにより、ダイヤモンド被覆工具の密着性を改善することが提案されている。
また、特許文献4には、工具基体表面にダイヤモンドを主成分とする粉体を吸着させた後、炭素を主成分とする膜(例えば、ダイヤモンド膜、非晶質ダイヤモンド膜)を被覆することにより、ダイヤモンド被覆工具の密着性を改善することが提案されている。
また、特許文献5には、例えばWC超硬合金の表面から結合相を除去した後、該除去された部分にダイヤモンド状カーボン及び/又はダイヤモンドを含有させてなる中間層を形成させ、さらに、該中間層の表面にダイヤモンド状カーボン及び/又はダイヤモンドからなる外層を被覆することにより密着性を改善することも提案されている。
WC基超硬合金、TiCN基サーメットからなる工具基体表面にダイヤモンド皮膜を成膜するにあたり、工具基体表面に種ダイヤ付着処理を行った後、その一部を、例えば、レーザー照射により除去した後、この上に、ダイヤモンドを成膜すると、種ダイヤを除去した部分にはダイヤモンド膜が形成されるが、種ダイヤの残存する部分には、結晶性のグラファイトが生成され、工具基体の表面近傍のダイヤモンド膜には、ダイヤモンド相とグラファイト相の共存領域が形成されることを見出したのである。
そして、ダイヤモンド皮膜中に上記共存領域が形成されているダイヤモンド被覆工具は、ダイヤモンド皮膜に残留する内部応力が緩和され、また、切削時に発生する応力による歪を緩和することから、ダイヤモンド皮膜の剥離が発生しにくく、長期の使用に亘ってすぐれた切削性能を発揮するようになることを見出したのである。
「 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体表面に5〜30μmの膜厚のダイヤモンド皮膜が被覆されたダイヤモンド被覆切削工具において、
工具基体表面から、ダイヤモンド皮膜の膜厚方向400nm以下の範囲にわたってダイヤモンド相とグラファイト相の共存領域が形成され、該共存領域を、工具基体表面と平行な面で観察した場合、10〜100μmの格子幅でダイヤモンド相が格子状に存在し、かつ、該格子状のダイヤモンド相の格子間間隙を埋めるように幅10〜200μmのグラファイト相が分散分布していることを特徴とするダイヤモンド被覆切削工具。」
を特徴とするものである。
(a)本発明では、工具基体として、WC基超硬合金、TiCN基サーメットを用い、先ず、5〜100nmの粒径を有するダイヤモンド粒子を分散させた2−プロパノール(イソプロパノール)液中に浸漬し、超音波を付与することにより、工具基体表面に種ダイヤを付着させる。
なお、工具基体としてWC超硬合金を使用した場合には、種ダイヤ付着処理に先立って、WC超硬合金表面を酸処理し、最表面のCo除去を行っておくことが望ましい。
(b)次いで、種ダイヤ付着処理を施した上記工具基体の表面に、所定の格子幅(10〜100μm)、所定の格子間隔(10〜200μm)となるようにレーザーを格子状に照射し、工具基体表面に付着させた種ダイヤを部分的に除去する。
(c)次いで、上記工具基体を熱フィラメントCVD成膜炉に装入し、水素とメタンの混合雰囲気(但し、メタンと水素の容量比CH4/H2=0.03〜0.06)中で、雰囲気圧4kPa、工具基体温度900℃、フィラメント温度2200℃の条件下で、ダイヤモンド皮膜を5〜30μmの厚みに成膜する。
上記(a)〜(c)にしたがって、ダイヤモンド皮膜を成膜することによって、図1に示されるような工具基体表面から、ダイヤモンド皮膜の膜厚方向400nm以下の範囲にわたってダイヤモンド相とグラファイト相の共存領域が形成される。
なお、以下では、WC超硬合金製工具基体を用いたダイヤモンド被覆ドリルについて説明するが、工具基体としてTiCN基サーメットを用いることも勿論可能であり、また、切削工具もドリルに何ら限定されるものではない。
なお、表4に示す条件でレーザー照射を行ったものについては、表5からも明らかなように、本発明範囲外のダイヤモンド相とグラファイト相の共存領域が形成されている。
同様に、上記ダイヤモンド相とグラファイト相の共存領域におけるダイヤモンド相の格子幅を10箇所で測定し、また、グラファイト相の幅を10箇所で測定し、その平均値を算出することにより、ダイヤモンド相の格子幅およびグラファイト相の幅の平均値を求めた。
表3、表5に、これらの測定値を示す。
《切削条件A》
被削材:厚さ8mmの炭素繊維と熱硬化型エポキシ系樹脂が直交積層構造を持つCFRP(炭素繊維強化樹脂複合材)の板材、
切削速度:95 m/min.、
送り:0.06 mm/rev、
貫通穴:(8 mm)、
エアーブロー、
《切削条件B》
被削材:厚さ10mmのグラファイト板、
切削速度:130 m/min.、
送り:0.18 mm/rev.、
穴深さ:10 mm(貫通穴)、
上記いずれの穴あけ切削加工試験でも、切削不能になるまでの穴あけ加工数を測定した。
これらの測定結果を表6に示す。
これに対して、ダイヤモンド皮膜の内部にダイヤモンド相とグラファイト相の共存領域が形成されていない比較例1〜5、また、本発明範囲外の共存領域が形成されている比較例6〜10では、これらを難削材の切削加工に用いた場合には、ダイヤモンド皮膜の剥離により短時間で使用寿命に至ることは明らかである。
Claims (1)
- 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体表面に5〜30μmの膜厚のダイヤモンド皮膜が被覆されたダイヤモンド被覆切削工具において、
工具基体表面から、ダイヤモンド皮膜の膜厚方向400nm以下の範囲にわたってダイヤモンド相とグラファイト相の共存領域が形成され、該共存領域を、工具基体表面と平行な面で観察した場合、10〜100μmの格子幅でダイヤモンド相が格子状に存在し、かつ、該格子状のダイヤモンド相の格子間間隙を埋めるように幅10〜200μmのグラファイト相が分散分布していることを特徴とするダイヤモンド被覆切削工具。
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