JP5475940B2 - スラリー法による包接化合物の製造法 - Google Patents

スラリー法による包接化合物の製造法 Download PDF

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Description

本発明は、包接化合物の新規な製造方法に関し、詳しくは、特定のイミダゾール誘導体やポリアミンをゲスト化合物とし、テトラキスフェノールをホスト化合物とする包接化合物の新規な製造方法に関する。
二種以上の化合物が水素結合やファンデルワールス力などに代表される、共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合した分子化合物の一つとして、従来から知られる包接化合物は、簡単な操作によってもとの各成分化合物に解離する性質を有することから、近年、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの技術分野における応用が期待されている。
包接化合物として種々のものが報告されているが(例えば、特許文献1〜3参照)、包接化合物の機能は、個々の成分化合物がどのように集合するかによって決まるため、包接化合物を製造する上では集合形態の制御が極めて重要となる。
包接化合物の製造方法としては、例えば、ホスト化合物の溶解性が高い溶媒中に、ホスト化合物を十分に溶解させ、該溶液中にゲスト化合物を加えて反応させる方法や、ゲスト化合物の溶解性が高い溶媒中に、ゲスト化合物を十分に溶解させ、該溶液中にホスト化合物を加えて反応させる方法が一般的に行われている。これらの方法では、両化合物をいったん溶解し反応させた後、該溶液を冷却することにより、包接化合物を晶析させている。しかし、この方法は、ホスト化合物及びゲスト化合物のいずれかが、溶媒に高い溶解性を有することを前提とする方法であり、ホスト化合物及びゲスト化合物が共に溶媒への溶解性が低い場合は、包接化合物を製造することができないか、又は製造することができたとしても、かなり効率が悪く、実用的なレベルで製造することはできなかった。
一方、包接化合物の別の製造方法として、例えば特許文献4には、固体ホスト化合物と固体ゲスト化合物、又は固体ホスト化合物と液体ゲスト化合物とを混合及び/又は混練することにより安定性の向上した分子化合物を製造する方法がいくつか記載されており、そのうちのひとつとして、固体ホスト化合物、固体ゲスト化合物及び液体ゲスト化合物に対する貧溶媒を添加して混合及び/又は混練する工程を含む製造方法(混練法)が開示されている。このような混練法は、ニーダー等を用いることにより、大きなスケールで安価に包接化合物を製造することができるという利点があるが、加熱により溶媒が蒸発して製造区域内の空気中に広がり、さらには外気へと放出してしまう可能性があるため、有機溶媒を使用することはできない。
特開昭61−53201号公報 特開昭62−22701号公報 特開平6−166646号公報 特開2002−179597号公報
本発明の課題は、溶媒への溶解度がかなり低いホスト化合物及びゲスト化合物と該溶媒とを用いた場合であっても、包接化合物を製造することが可能な包接化合物の製造方法を提供することにある。また、本発明の課題は、溶媒への溶解度が低く、晶析法や混練法では効率よく包接化合物を製造することが困難なホスト化合物やゲスト化合物を用いた場合であっても、包接化合物を効率よく製造することが可能な、包接化合物の製造方法を提供することにある。
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(以下、「TEP」という)及び2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(以下、「2P4MHZ」という)は、共に、酢酸エチル等の有機溶媒や水への溶解度がかなり低い。上記の従来技術でも述べたように、再結晶法は、ホスト化合物及びゲスト化合物のいずれかが、溶媒に高い溶解性を有することを前提とする方法であるため、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンをホスト化合物とし、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールをゲスト化合物とし、酢酸エチルを溶媒として、再結晶法を行っても包接化合物は得られないと考えられた。実際、本発明者らは、TEPをホスト化合物、2P4MHZをゲスト化合物、酢酸エチルを溶媒として再結晶法により、包接化合物の製造を試みたが、包接化合物は得られなかった。また、混練法では有機溶媒は使用できないので、溶媒を水とし、TEPをホスト化合物、2P4MHZをゲスト化合物として用いて混練法により包接化合物の製造を試みたが、包接化合物は得られなかった。
しかし、本発明者らは、鋭意検討し、TEP及び2P4MHZを溶媒中に懸濁させ、該懸濁液を加熱還流することにより、包接化合物を製造することが可能となることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)式(I)
[式(I)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1〜C6アルキル基、又は水素原子を表す。]で表される化合物(I)及び/又は式(II)
[式(II)中、R3〜R6は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。]で表される化合物(II)と、式(III)
(式(III)中、Xは、(CH2nを表し、nは、0、1、2又は3であり、R7 〜R14 は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基を示す。)で表される化合物(III)と、溶媒とを含む懸濁液を加熱還流させる工程を有することを特徴とする包接化合物の製造方法や、(2)溶媒が、化合物(I)及び化合物(III)、又は化合物(II)及び化合物(III)に対する貧溶媒であることを特徴とする上記(1)に記載の包接化合物の製造方法や、(3)化合物(I)が、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール又は2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールであり、化合物(II)が、4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン及び3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメチル−ジフェニルメタンからなる群から選ばれるいずれか1つ又は2つ以上の化合物であり、化合物(III)が、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の包接化合物の製造方法や、(4)貧溶媒が、エステル系溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、及び/又はケトン系溶媒であることを特徴とする上記(2)又は(3)に記載の包接化合物の製造方法に関する。
本発明の包接化合物の製造方法によれば、溶媒への溶解度がかなり低いホスト化合物及びゲスト化合物と該溶媒とを用いた場合であっても包接化合物を製造することが可能となる。また、溶媒への溶解度が低く、晶析法や混練法では効率よく包接化合物を製造することが困難なホスト化合物やゲスト化合物を用いた場合であっても、本発明の包接化合物の製造方法によれば、包接化合物を効率よく製造することが可能となる。
本発明の包接化合物の製造方法としては、化合物(I)及び/又は化合物(II)と、化合物(III)と、溶媒とを含む懸濁液を加熱還流させる工程を有する限り特に制限されるものではない。ここで包接化合物とは、原子又は分子が結合してできた三次元構造の内部に適当な大きさの空孔があり、その中に他の原子又は分子が、非共有結合的な相互作用(例えば、水素結合やファンデルワールス力などに代表される共有結合以外の比較的弱い相互作用)により一定の組成比で入り込んだ物質をいう。かかる包接化合物は、有用物質であるゲスト化合物の選択分離、ゲスト化合物の化学的安定化、不揮発化及び粉末化を可能とする機能を有している点で有用な物質である。また、本発明の包接化合物には、二種類以上のゲスト化合物を反応させることにより得られる、三成分以上の多成分からなる包接化合物も含まれる。さらに、包接化合物の結晶性は主にX線回折により確認することができ、また同一組成の包接化合物における結晶多形の存在は熱分析、X線回折、固体NMR等により確認することができる。
本発明における包接化合物においては、化合物(I)で表されるイミダゾール誘導体及び/又は化合物(II)で表されるポリアミンがゲスト化合物となる。これらの化合物は、上述したような原子又は分子が結合してできた三次元構造の内部の空孔に、一定の組成で取り込まれ、特定の構造を構築し得る。本発明の包接化合物の製造方法においては、化合物(I)及び化合物(II)のいずれか一方のみを用いてもよいし、化合物(I)及び化合物(II)を両方用いてもよい。
式(I)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1〜C6アルキル基、又は水素原子を表す。化合物(I)としては、式(I)で表される化合物である限り特に制限はされないが、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールであることが実用上好ましい。また、本発明における包接化合物の製造方法においては、化合物(I)を1種単独で用いてもよいし、2種以上の化合物(I)を併用してもよい。
式(II)中、R3〜R6は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。化合物(II)としては、式(II)で表される化合物である限り特に制限はされないが、4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン及び3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメチル−ジフェニルメタンであることが実用上好ましい。また、本発明における包接化合物の製造方法においては、化合物(II)を1種単独で用いてもよいし、2種以上の化合物(II)を併用してもよい。
本発明における包接化合物においては、化合物(III)で表されるテトラキスフェノール系化合物がホスト化合物となる。この化合物は、上述したような原子又は分子が結合してできた三次元構造の内部の空孔に、他の原子又は分子を一定の組成で取り込んで、特定の構造を構築し得る。
式(III)中、Xは、(CH2nを表し、nは、0、1、2又は3であり、R7 〜R14としては、互いに同一又は相異なっていてもよく、例えば、水素原子;水酸基;メチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等のC1 〜C6 の低級アルキル基;C1 〜C6 の低級アルキル基やハロゲン原子などで置換されていてもよいフェニル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子;又はメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等のC1 〜C6 の低級アルコキシ基などを示す。化合物(III)としては、式(III)で表される化合物である限り特に制限はされないが、具体的な例として、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス[(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル]エタン、1,1,3,3−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,4,4−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン等を例示することができ、中でも1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEP)を実用上好ましく例示することができる。本発明における包接化合物の製造方法においては、化合物(III)を1種単独で用いてもよいし、2種以上の化合物(III)を併用してもよい。
また、本発明に用いられる溶媒としては、化合物(I)及び化合物(III)に対する貧溶媒;化合物(II)及び化合物(III)に対する貧溶媒;化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III)に対する貧溶媒;のいずれかであればよい。ここで、例えば、化合物X及び化合物Yに対する貧溶媒とは、室温における化合物Xの溶解度、及び室温における化合物Yの溶解度が、それぞれ5g/100ml以下、好ましくは2g/100ml以下、より好ましくは1g/100ml以下である溶媒を意味する。化合物(I)、化合物(II)や化合物(III)の溶解度がより低い溶媒である場合は、本発明の効果をより多く享受することができる。
本発明に用いられる溶媒として、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジクロルメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒を例示することができ、中でもエステル系溶媒及びケトン系溶媒を好ましく例示することができ、さらに酢酸エチルを特に好ましく例示することができる。
包接化合物を製造する際の懸濁液中の、溶媒に対するホスト及びゲストの含有量としては、本発明における包接化合物が得られる限り特に制限されないが、10〜30%(w/vol)の範囲内であることが好ましく、20%(w/vol)であることがより好ましい。
本発明の包接化合物の製造方法は、化合物(I)及び/又は化合物(II)と、化合物(III)と、溶媒とを含む懸濁液を加熱還流させる工程を有する。懸濁液の調製方法については特に制限はなく、溶媒に化合物(I)及び/又は化合物(II)を添加した後、化合物(III)を添加してもよいし、溶媒に化合物(III)を添加した後、化合物(I)及び/又は化合物(II)を添加してもよいし、化合物(III)と、化合物(I)及び/又は化合物(II)とを同時に溶媒に添加してもよいし、化合物(I)及び/又は化合物(II)と、化合物(III)とをあらかじめ混合した後、その混合物を溶媒に添加してもよい。また、本発明における前記工程には、化合物(I)及び/又は化合物(II)と、化合物(III)と、溶媒とを含む液体であって、まだ懸濁されていない溶液を、加熱還流することによって懸濁させる場合も含まれる。
本発明における「加熱還流させる」とは、上記の懸濁液を加熱することにより、該懸濁液を還流させる限り、特に制限はないが、0.5〜12時間加熱還流させることが好ましく、1〜6時間加熱還流させることがより好ましい。なお、上記の懸濁液を加熱還流させる際には、該懸濁液の温度は、用いる溶媒の沸点近辺の温度となる。
本発明の包接化合物の製造方法は、本発明の効果が損なわれない範囲で、化合物(I)及び/又は化合物(II)と、化合物(III)と、溶媒とを含む懸濁液を加熱還流させる工程(以下、「工程A」という)の他の工程を有していてもよい。他の工程として例えば、工程Aの後に該懸濁液を冷却する工程;冷却したその液体を濾過する工程;濾過して得られた物質を乾燥させて、包接化合物の結晶を得る工程;ホスト化合物やゲスト化合物が固体の場合に、工程Aの前に、該ホスト化合物や該ゲスト化合物を粉砕する工程;等が挙げられる。ここで、ホスト化合物やゲスト化合物の粒径は、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、平均粒径を50μm以下とすることが好ましく、20μm以下とすることがより好ましい。
化合物(I)及び化合物(III)を用いて得られる包接化合物(イミダゾール包接化合物)は、エポキシ樹脂を硬化させる用途、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、半導体封止材、プリント配線板用積層板、ワニス、粉体塗料、注型材料、インク等の用途に好適に使用することができる。また、化合物(II)及び化合物(III)を用いて得られる包接化合物は、前述の、エポキシ樹脂を硬化させる用途の他に、ウレタン樹脂の硬化触媒としても好適に使用することができる。なお、化合物(II)及び化合物(III)を用いて得られる包接化合物として、例えば、4,4’−ジアミノフェニルメタンのTEP包接体を例示することができる。該包接体は、樹脂の硬化剤として好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(実施例1)
4.38g(11mmol)の1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEP)、及び3.76g(20mmol)の2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(2P4MHZ)を100ml三口フラスコに秤取り、そこに40mlの酢酸エチルを加え、還流条件化で3時間撹拌した。フラスコ内の液体は、反応中、懸濁状態であった。還流条件化で3時間撹拌した後、フラスコを室温で放置して室温まで冷却し、結晶分を析出させた。その結晶分を濾取し、乾燥させた。乾燥して得られた結晶に、TG−DTA測定(熱分析)、粉末X線回析測定を実施し、包接比(TEP:2P4MHZ)=1.1:2という包接化合物(実施例1)であることを確認した。実施例1の熱分析(TG−DTA)のチャート及び粉末X線回析のチャートをそれぞれ図1及び図2に示す。また、2P4MHZの熱分析(TG−DTA)のチャートを図3、TEPの粉末X線解析のチャートを図4、2P4MHZの粉末X線解析のチャートを図5に示す。これらのチャートを比較することにより、実施例1で得られた結晶が包接体(包接化合物)であることを確認した。
(実施例2)
2P4MHZの代わりに2−メチル−イミダゾール(2MZ)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、結晶(実施例2)を得た。実施例2の熱分析(TG−DTA)のチャート及び粉末X線回析のチャートをそれぞれ図6及び図7に示す。また、2MZの熱分析(TG−DTA)及び粉末X線回析のチャートを、それぞれ図8及び図9に示す。これらのチャートを比較することにより、実施例2で得られた結晶が包接体(包接化合物)であることを確認した。
(実施例3)
2P4MHZの代わりに2−フェニル−イミダゾール(2PZ)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、結晶(実施例3)を得た。実施例3の熱分析(TG−DTA)のチャートを図10に示す。また、2PZの熱分析(TG−DTA)のチャートを図11に示す。これらのチャートを比較することにより、実施例3で得られた結晶が包接体(包接化合物)であることを確認した。
(実施例4)
2P4MHZの代わりに2,4−ジメチル−イミダゾールを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、結晶(実施例4)を得た。実施例4の熱分析(TG−DTA)のチャートを図12に示す。また、2,4−ジメチル−イミダゾールの熱分析(TG−DTA)のチャートを図13に示す。これらのチャートを比較することにより、実施例4で得られた結晶が包接体(包接化合物)であることを確認した。
(実施例5)
2P4MHZの代わりに1−ブチル−イミダゾールを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、結晶(実施例5)を得た。実施例5の熱分析(TG−DTA)のチャートを図14に示す。また、1−ブチル−イミダゾールの熱分析(TG−DTA)のチャートを図15に示す。これらのチャートを比較することにより、実施例5で得られた結晶が包接体(包接化合物)であることを確認した。
(実施例6)
2P4MHZの代わりに2−プロピル−イミダゾールを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、結晶(実施例6)を得た。実施例6の熱分析(TG−DTA)のチャートを図16に示す。また、2−プロピル−イミダゾールの熱分析(TG−DTA)のチャートを図17に示す。これらのチャートを比較することにより、実施例6で得られた結晶が包接体(包接化合物)であることを確認した。
(実施例7)
2P4MHZの代わりに4−メチル−イミダゾールを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、結晶(実施例7)を得た。実施例7の熱分析(TG−DTA)のチャートを図18に示す。また、4−メチル−イミダゾールの熱分析(TG−DTA)のチャートを図19に示す。これらのチャートを比較することにより、実施例7で得られた結晶が包接体(包接化合物)であることを確認した。
(実施例8)
2P4MHZの代わりに1−メチル−イミダゾールを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、結晶(実施例8)を得た。実施例8の熱分析(TG−DTA)のチャートを図20に示す。また、1−メチル−イミダゾールの熱分析(TG−DTA)のチャートを図21に示す。これらのチャートを比較することにより、実施例8で得られた結晶が包接体(包接化合物)であることを確認した。
実施例1の包接化合物の熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 実施例1の包接化合物の粉末X線回析のチャートを示す図である。 2P4MHZの熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 TEPの粉末X線回析のチャートを示す図である。 2P4MHZの粉末X線回析のチャートを示す図である。 実施例2の包接化合物の熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 実施例2の包接化合物の粉末X線回析のチャートを示す図である。 2MZの熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 2MZの粉末X線回析のチャートを示す図である。 実施例3の包接化合物の熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 2PZの熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 実施例4の包接化合物の熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 2,4−ジメチル−イミダゾールの熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 実施例5の包接化合物の熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 1−ブチル−イミダゾールの熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 実施例6の包接化合物の熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 2−プロピル−イミダゾールの熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 実施例7の包接化合物の熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 4−メチル−イミダゾールの熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 実施例8の包接化合物の熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。 1−メチル−イミダゾールの熱分析(TG−DTA)のチャートを示す図である。

Claims (2)

  1. 式(I)
    [式(I)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1〜C6アルキル基、又は水素原子を表す。]で表される化合物(I)と、式(III)
    (式(III)中、Xは、(CH2nを表し、nは、0、1、2又は3であり、R7 〜R14 は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基を示す。)で表される化合物(III)と、前記式(I)で表される化合物及び式(III)で表される化合物それぞれの室温における溶解度が5g/100ml以下であって、エステル系溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒及びケトン系溶媒からなる群より選ばれる溶媒とを含む懸濁液を加熱還流させる工程を有することを特徴とする包接化合物の製造方法。
  2. 化合物(I)が、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール又は2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールであり、化合物(III)が、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンであることを特徴とする請求項1に記載の包接化合物の製造方法。
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