〈画像形成装置〉
以下に、本発明の画像形成システムで使用する画像形成装置の基本的なコピー機能の処理を説明する。本発明の実施形態に係る画像形成装置は、プリンタ、コピー、スキャナ、ファクシミリ等を備えた複合機、デジタル複写機、プリンタ等が該当し、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能等を備えた画像形成装置として機能する。
図1は、複合機の概略模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。なお、一例として複合機を利用して原稿のコピーを行う際の画像形成装置の動作を簡単に説明する。
ユーザが複合機100を利用して例えば原稿の印刷を行う場合、原稿を図1に示す原稿台103、或いは載置台105に配置し、原稿台103近傍に備えられた操作部400に対して印刷の指示を行う。当該指示があると、以下に示す各部(駆動部)が動作することで、印刷が行われる。
即ち、図1に示すように、本実施の形態の複合機100は、本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102を備える。本体101の上面は原稿台103が設けられており、原稿台103は、プラテンカバー102によって開閉されるようになっている。プラテンカバー102は、自動原稿給紙装置104と載置台105と排紙台109が設けられている。
原稿台103の下方には、読取部110が設けられており、図2にその詳細が示されている。読取部110は、原稿台103を照射する主走査方向に長い光源111と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット116と、原稿台からの光を導くミラー112とを備える第一の移動キャリッジ117や、第一の移動キャリッジ117からの反射光を再度反射するミラー113A、113Bを備える第二の移動キャリッジ118、さらにミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群119、当該レンズ群119より補正された光を受光する撮像素子115、撮像素子115にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正・修正などを行う画像データ生成部114とで構成されている。
自動原稿給紙装置104上の原稿を読み取る場合には、光源111は、読取位置Pを照射できる位置に移動して発光する。光源111からの光は、原稿台103を透過して読取位置Pを通過する原稿にて反射し、スリット116、ミラー112、113A、113B、レンズ群119によって撮像素子115に導かれる。撮像素子115は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部114に送信する。画像データ生成部114には、上記撮像素子115にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部114では、順次変換されたデジタル信号を単位データとし、これら単位データを補正、修正等することで複数の単位データからなる画像データを生成する。
また、読取部110が原稿台103に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ117は、光源111を発光しながら副走査方向に移動し、光源111から撮像素子115までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ118は第一の移動キャリッジ117の1/2の速度で撮像素子115方向に移動する。
撮像素子115は、ミラー112、113A、113Bに導かれた光に基づいて原稿台103に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部114が画像データを生成する。
本体101の読取部110の下方には、画像データを印刷する印刷部120を備えている。印刷部120が印刷できる画像は、上記のように画像データ生成部114にて生成されたものや、複合機100に接続された通信ケーブル150を介して、ネットワーク151から画像形成の指示とともに送信される場合もある。
印刷部120が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム121を帯電器122で一様に帯電させ、その後レーザ123で感光ドラム121を照射して感光ドラム121に潜像を形成し、現像器124で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を用紙に転写する方式である。
可視像が印刷される用紙は、手差しトレイ131、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
印刷部120が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから用紙1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した用紙を搬送ローラ137やレジストローラ138で中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込む。用紙を引き出す場合、手差しトレイ131に載置された用紙を、手差しトレイ用ピックアップローラ136を用いて引き出しても構わない。
印刷部120は、中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込んだ用紙に、上記中間転写ベルト125A上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト126で定着装置127に用紙を送る。定着装置127は、ヒータが内蔵された加熱ローラ128と、所定の圧力で加熱ローラ128に押し当てられた加圧ローラ129とで構成されている。加熱ローラ128と加圧ローラ129の間を用紙が通過すると、熱と用紙への押圧力によって可視像が用紙に定着する。印刷部120は、定着装置127を通過した用紙を排紙トレイ130に排紙する。
以上が、複合機100における基本的なコピー機能の処理である。なお、複合機100は、上述した各部(読取部110、印刷部120)を適宜協働的に動作することによって、他の機能、例えば、ファクシミリ送受信機能、プリント機能、スキャン機能、後処理機能、メモリ機能等をユーザに提供する。
本発明と直接には関係しないその他のコピー機能の説明は省略する。なお、複数の機能の組み合わせにより提供される機能、すなわち複合機能も複合機100は提供可能である。
図3は、複合機100に備えられた操作部200の外観の一例を示す図である。ユーザは、上記操作部200を用いて、上述のような機能提供についての設定条件等を入力する。設定条件の入力、各機能の実行開始、各種設定や、設定変更等が行なわれる際に、上記操作部200に備えられたタッチパネル301、タッチペン302、操作キー303が用いられる。タッチパネル301上に表示された画面(例えば、画像形成画面)内の設定項目等を押下することによって、設定項目等に関連付けられた設定画面が表示され、設定条件の入力が行われる。
タッチパネル301には、設定条件を入力する機能と当該設定条件を表示する機能(例えば、表示パネルが備える機能に該当する)が備えられている。すなわち、タッチパネル301上に表示された設定画面内の項目またはアイコンを押下することによって、その項目またはアイコンに関連付けられた設定条件が入力される。
タッチパネル301の近傍には、タッチペン302が備えられており、ユーザがそのタッチペン302の先をタッチパネル301に接触させると、タッチパネル301下方に設けられたセンサが接触先を検知する。そのため、タッチペン302の接触により、キーボード画面のキーの押下や所定の手書き情報の入力が可能である。所定の手書き情報は、随時、所定の文字等に変換される。なお、入力された設定条件に連動して項目またはアイコンの背景色が白色から灰色へ変更されるため、背景色の如何によって、入力された設定条件が確認される。
図4は、画像形成システム10の制御系ハードウェア構成する概念図であり、複合機100の制御系ハードウェアの概略構成と、当該複合機100にネットワーク151で接続する端末(例えばコンピュータ470や携帯端末)を記載している。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、各駆動部に対応する各ドライバ561、562,564及び、HDD(ハードディスクドライブ)を内部バス406によって接続している。上記CPU401は、例えば、RAM403を作業領域として利用し、上記ROM402、ハードディスクドライブ等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ561〜562、564と操作部200からのデータや指示を授受し、図1に示した各駆動部の動作を制御する。また、複合機100は、通信インターフェース407を介して、ネットワーク151に接続可能であり、また、上記駆動部以外の後述する各手段(図5に示す)についても、上記CPU401がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。上記ROM402、ハードディスクドライブ等には、後述する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
また、本発明に係る画像形成システム10の端末(例えばコンピュータ470)には、上記複合機100と同様に、図示しないCPU、ROM、RAM、HDD、各駆動部に対応するドライバ、通信インターフェース等を備えている。そして、上記CPUがプログラムを実行することで後述する各手段(図5に示す)を実現する。上記コンピュータ470は、通信インターフェースを介して、ネットワーク151に接続可能であり、上記コンピュータ470のCPUは、通信インターフェースを介してネットワーク151に接続された複合機100とデータの授受を行う。
図5は、本発明の画像形成システム10の特徴的な機能構成を示す機能ブロック図である。図5において、スキャナドライバ561は、原稿読取処理を行うスキャナ機能を実行するドライバであり、上述の自動原稿給紙装置104を含む読取部110がこれに該当する。また、印刷ドライバ562は、印刷処理を行う印刷機能を実行するドライバであり、上述の定着装置127を含む印刷部120がこれに該当する。また、ハードディスクドライバ563は、スキャナドライバ561により得られる読取データを電子ファイルとしてハードディスクに保存するデータ保存機能を実行するドライバである。そして、上記のスキャナドライバ561による原稿読取処理と印刷ドライバ462による印刷処理、及び、ハードディスクドライバ563とを組み合わせることで、コピー処理の機能が実行される。
ファクシミリドライバ564は、スキャナドライバ461により得られる読取データを電話回線等を通じて送信するファクシミリ送信機能を実行するものである。
つまり、本願でいうドライバとは、各機能を提供する駆動部を含むものである。
電力供給手段560は、上記の各ドライバ561〜564、操作部200を含む表示受付手段500に動作用の電力を供給するものである。
更に、電力供給制御手段550は、上記電力供給手段560を制御することで、上記各ドライバ561〜564の動作及び電力の供給又は電力の遮断を制御する制御手段である。
また、後述のように、本発明では、ハードディスクドライバ563は、スリープ状態で待機させる構成を採用するので、後述の予約情報記憶手段530、処理ドライバ記憶手段531及び、移行時間記憶手段532は、不揮発性のメモリ(半導体メモリ)を使用することが望ましい。
(実施の形態1)
次に本発明の画像形成システムの画像形成装置を(スリープ状態)に移行する処理について、図5から図10を参照しながら説明する。図5は、本発明の画像形成システム10の機能ブロック図、図7は、本発明の画像形成システム10における複合機100の省電力移行の処理を示すフローチャートである。
本発明の複合機100は、電力供給制御手段550により、電力が供給された状態と、電力を遮断した状態とのいずれか一方から他方に遷移することが可能である。上記消費電力を抑えた状態をスリープ状態という。上記スリープ状態では、CPUなどの回路基板を駆動する程度の比較的少ない電力は供給されるが、モータなどの各駆動部を駆動する電力は遮断される。また、上記電力供給手段550により複合機100に電力が供給された状態をレディ状態と称する。なお、本発明では、各ドライバ561〜564を上記スリープ状態及びレディ状態に遷移させることが可能である。
更に、複合機100内の後述の計時手段555と、ネットワーク151に接続されたパーソナルコンピュータ(以下コンピュータ)470内の計時手段(図示せず)との時間のズレは本発明の実施に支障が生じない程度であるとする。
複合機100の機能の実行を予約したいユーザ(予約ユーザ)が、ユーザIDとともに、所定の条件(複合機100を予約モードにする旨、予約情報(複合機100に行わせる処理とその予定時刻)及び、予約ID)をコンピュータ470により設定する。
ここで、ユーザIDとは、予約ユーザが複合機100の使用を許されたユーザであるか否かの認証のためのIDである。更に、予約IDとは、予約したユーザと複合機100を使用するユーザが一致するか否か判断するためのIDであり、パスワードでも構わない。
次に、所定のソフトを起動すると、コンピュータ470の端末側予約情報通信手段575が、図8に示すような、予約モード画面820を予約ユーザのコンピュータ470の画面810上に表示する。上記予約モード画面820には、複合機100を予約モードにして、予約情報を送信する旨と設定条件及び予定時刻の入力を促す文言825が表示される。更に、予約モード画面820には、「設定条件」の項目830と、予定時刻の項目920及び、予約IDの項目945が表示される。更に、上記「設定条件」の項目830として、処理を行うデバイスを決定するための「希望する処理」の項目930と、「詳細設定」の項目940が表示される。予約をしたいユーザは、ユーザIDの他、予約IDをコンピュータ470のキーボードから入力し、上記各項目のリストを表示させて、希望する設定条件を選択することができる。なお、「詳細設定」は複合機100のタッチパネル301でも設定可能である。
本実施例では、ユーザID「00011XYZ」を入力し、「希望する処理」としてコピー(スキャン、記憶処理)を選択し、「予定時刻」として「13時00分」を選択し、更に、予約ID「ABCD1234」を入力し、「送信」850の項目を押下する。
上記のように、予約モード画面820に対して、予約ユーザが所定の事項を入力し、「送信」の項目850を押下すると、コンピュータ470の端末側予約情報通信手段575が、これを受け付ける(図6:S101)。そして、上記端末側予約情報通信手段575は、ユーザID、複合機100を予約モードにする旨と、予約情報(複合機100に行わせる処理とその予定時刻)及び、予約ID、詳細設定を複合機100の予約情報通信手段510に通知する(図6:S102)。
上記のように、端末側予約情報通信手段575が、ユーザIDを予約情報通信手段510に通知すると、予約情報通信手段510これを受け付け(図7:S201YES)、受け付けたユーザIDを認証手段505に通知する。これに対して、認証手段505は、上記ユーザIDが複合機100に記憶されたユーザIDと一致するか否かを判断し(図7:S202)、認証結果を予約情報通信手段510に通知する。
ここで、ユーザIDが一致する場合、予約情報通信手段510が、複合機100を予約モードにする旨と、予約情報(及び複合機100に行わせる処理とその予定時刻)及び、予約IDと、詳細設定を受け付ける(図7:S202YES→S203)。なお、ユーザIDが一致しない場合は、予約情報通信手段510が、ユーザIDが一致しない旨を端末側予約情報通信手段575に通知し、これを受けて、端末側予約情報通信手段575が、ユーザIDが一致しない旨と、再度予約モード画面820をコンピュータ470の画面810に表示する構成を採用することができる(図7:S202NO→S204NO→A)。更に、ユーザIDの送信回数に制限を設けることもできる(図7:S202NO→S204YES)。
上記のように、予約情報通信手段510が、複合機100を予約モードにする旨を受け付けると、当該予約情報通信手段510は、複合機100を予約モードにする旨を予約モード切替手段515に通知する。これを受けて、予約モード切替手段515は、複合機100を予約モードに切り替える。
更に、上記のように、予約情報通信手段510が、予約情報及び、予約IDと、詳細設定を受け付けると、当該予約情報通信手段510は、上記予約情報(複合機100に行わせる処理及び、その予定時刻)及び、予約IDと、詳細設定を予約情報記憶手段530に記憶させる(図7:S205)。
例えば、予約情報記憶手段530は、図9(A)に示すような予約テーブル900に「予約情報」の項目910と「詳細設定」の項目940と「予約ID」の項目945を関連付けて記憶する。そして、「予約情報」の項目910として、「予定時刻」の項目920と複合機100に行わせる「処理」の項目930を記憶する。
本実施例では、予定時刻として、「13:00」(13時00分)を記憶し、複合機100に行わせる処理として、「コピー(スキャンあり、記憶処理あり)」の項目931を記憶する。
更に、上記のように予約情報通信手段510が、予約情報を予約情報記憶手段530に記憶させると、当該予約情報通信手段510は、予約情報記憶手段530に上記予約情報を記憶させた旨(予約があった旨)を開始時刻計算手段520に通知する。これを受けて、開始時刻計算手段520は、上記予約情報記憶手段530の上記予約テーブル900を参照することで予約情報を取得する。
本実施例では、開始時刻計算手段520は、予約情報の内、予定時刻として、「13:00」を取得し、更に、予約情報の内、複合機100に行わせる処理として、「コピー(スキャンあり、記憶処理あり)」の項目931を取得する。
上記のように、開始時刻計算手段520が予約情報を取得すると、処理ドライバ記憶手段531及び、移行時間記憶手段532を参照して、電力を供給すべきドライバと、当該ドライバに電力を供給させる(以下遷移させる)時刻である開始時刻を決定する(図7:S206)。
まず、開始時刻計算手段520は、取得した予約情報と、処理ドライバ記憶手段531を参照して、電力を供給すべきドライバを取得する。
処理ドライバ記憶手段531は、図9(B)に示すような、ドライバテーブル950を記憶している。上記ドライバテーブル950には、複合機100に行わせる「処理」の項目930と、当該処理に対応する処理部として、各種ドライバの項目970が関連付けられて記憶されている。なお、図9(B)に示す「○」が必要なドライバを示している。
本実施例では、開始時刻計算手段520は、ドライバテーブル950を参照して、予約情報中の複合機100に行わせる処理として「コピー(スキャンあり、記憶処理あり)」の項目931に関連付けられたドライバである、スキャナドライバ561、印刷ドライバ562、ハードディスクドライバ563とを電力を供給すべきドライバとして取得する。
更に、開始時刻計算手段520は、取得した上記各ドライバと、予約情報中の予定時刻と、移行時間記憶手段532とを参照することで、各ドライバを遷移させる時刻を算出する。
移行時間記憶手段532は、図9(C)に示すような、移行時間テーブル980を記憶する。上記移行時間テーブル980には、各種「ドライバ」の項目970と、当該各種「ドライバ」の項目970がスリープ状態からレディ状態へ遷移する時間である「移行時間」の項目990が関連付けられて記憶されている。ここで、移行時間とは、所定のドライバに電力を供給してから、当該ドライバが使用可能となるまでに要する時間をいう。
開始時刻計算手段520は取得したドライバであるスキャナドライバ561、印刷ドライバ562、ハードディスクドライバ563と、上記移行時間テーブル980を参照して、各ドライバに対応する「移行時間」の項目990を取得する。更に、開始時刻計算手段520は、予約情報中の予定時刻から、上記取得した移行時間を差し引くことで、ドライバをスリープ状態からレディ状態に遷移させるための開始時刻を算出する。
本実施例では、開始時刻計算手段520は、例えばハードディスクドライバ563の移行時間「60sec」を取得すると、予約情報中の予定時刻である「13:00」から当該移行時間を差し引くことで、ハードディスクドライバ563の開始時刻として、12時59分を算出する。
なお、遷移させるドライバが複数の場合には、ドライバ毎に、開始時刻を変えることもできるが、本実施例では、最も移行時間の長いドライバに合わせて全てのドライバの開始時刻を同一にする構成を採用する。例えば本実施例では、最も移行時間の長いドライバは、ハードディスクドライバ563及び、印刷ドライバ562なので、スキャナドライバ561の開始時刻をハードディクドライバ563及び、印刷ドライバ562の開始時刻である12時59分とする構成を採用する。
上記のように、開始時刻計算手段520が、電力を供給すべきドライバと、当該ドライバを遷移させる時刻(開始時刻)を算出すると、計時手段555からの時刻情報を常時取得し、現在時刻が上記開始時刻と一致するか否か判断する(図7:S207)。なお、開始時刻計算手段520は、最先の開始時刻と現在時刻を比較する。すなわち、開始時刻計算手段520は、予約情報通信手段510がユーザIDを受け付け、最先の予約情報が変更されると、当該変更された最先の予約情報の開始時刻が現在時刻と一致するか否かを判断する(図7:S207NO→S201)。なお、後述のように予定時刻は重複しない構成を採用するので、開始時刻が同時刻の予約情報は予定時刻が早いほうを最先の予約情報とする。
ここで、現在時刻が開始時刻になると、開始時刻計算手段520は、上記ドライバに電力を供給する旨を電力供給制御手段550に通知する。これを受けて、電力供給制御手段550は、電力供給手段560を制御することで、上記ドライバへの電力の供給を開始する(図7:S207YES→S208)。
本実施例では、現在時刻が、12時59分になると、開始時刻計算手段520が、スキャナドライバ561、印刷ドライバ562、ハードディスクドライバ563に電力を供給する旨を電力供給制御手段550に通知し、これを受けて、電力供給制御手段550は、電力供給手段560を制御することで、スキャナドライバ561、印刷ドライバ562、ハードディスクドライバ563に電力を供給する。なお、上記ドライバの内、既にレディ状態のドライバは、当該レディ状態を維持することはいうまでもない。更に、後述のように、先行の予約ユーザの画像形成処理が終了していないのに、次の予約情報の開始時刻が到来する場合は、先行の予約ユーザの画像形成処理が終了してから、次の予約情報に対応するドライバに電力を供給することになる。
更に、開始時刻計算手段520は、計時手段555からの時刻情報を常時取得し、現在時刻が上記予定時刻になると、複合機100のタッチパネル301に予約IDを入力可能な画面を表示させる旨を一致確認手段570に指示する。これを受けて、一致確認手段570は、表示受付手段500を制御して、タッチパネル301に予約IDを入力可能な画面を表示して、予約IDを受け付ける(図7:S209YES→S210)。
例えば、一致確認手段570は、タッチパネル301に図10(A)に示すような確認画面1000を表示する。上記確認画面1000には、予定時刻をユーザに通知し、予約IDの入力を促す文言1010が表示される。予約ユーザは当該確認画面1000に対して、確認画面1000に表示されたキーボード1015を使用して、予約IDを予約ID入力項目1012に入力することができる。
本実施例では、予約ユーザは、確認画面1000に対して、予約ID「ABCD1234」を入力し、OKの項目1016を押下する。
上記のように、予約ユーザが、上記確認画面1000に対して、予約IDを入力し、OKの項目1016を押下すると、一致確認手段570が予約IDを取得する。そして、一致確認手段570は、取得した予約IDと、予約情報記憶手段530の予約テーブル900を参照し、予約ユーザの予約ID946と、入力された予約IDが一致するか否かを判断する。なお、予約IDの入力に回数制限を設けることもできる(図7:S210NO→S211)。
ここで、予約ユーザの予約ID946と、入力された予約IDが一致する場合、ユーザの要求により、画像形成手段580がコピー等の操作(ジョブ)を行うことになる(図7:S210YES→S212)。
例えば、上記予約IDが一致すると、表示受付手段500がタッチパネル301に図10(B)に示すような初期画面1020を表示する。ここで、表示受付手段500が初期画面1020を表示する際に、表示受付手段500は、予約情報記憶手段530を参照し、予約テーブル900の詳細設定の項目940を取得する。そして、取得した詳細設定の項目940の内容で設定条件を受け付けるように構成することができる。
本実施例では、表示受付手段500は、予約情報記憶手段530の予約テーブル900を参照し、詳細設定の項目から用紙サイズとして「A3」、濃度として「自動濃度」、モノクロ/カラーとして「カラー」を取得する。そして、表示受付手段500は、上記詳細設定に対応する設定項目の背景色を白色からグレー色へ変更して上記初期画面1020に表示する。そして、予約ユーザが、原稿を配置し、操作部200のスタートキー305を押下すると、画像形成手段580がこれを受け付け、上記設定条件で、画像形成の処理を行う。
上記画像形成処理の際、待機時間通知手段585が、表示受付手段500及び画像形成手段580を監視し、画像形成処理の終了を検知する(図7:S213)。
すなわち、待機時間通知手段585は、計時手段555のタイマーからの情報を常時取得し、予定時刻から表示受付手段500への操作及び、画像形成手段580の動作が終了してから所定の待機時間が経過したか否かを監視する。ここで、待機時間とは、画像形成処理の終了を判断するための基準となる時間である。
例えば、待機時間通知手段585は表示受付手段500に何らかの操作がなされると、又は、画像形成手段580の動作が終了すると、上記計時手段555のタイマーをリセットし、再度計測させる。そして、待機時間通知手段585は、計時手段555のタイマーが上記待機時間まで計測できた場合に、画像形成処理が終了したと判断し、待機時間が経過した旨と、上記待機時間が経過した時刻である画像形成処理終了時刻を開始時刻計算手段520に通知する。
なお、予約ユーザが予定時刻に複合機100を使用しない場合も、上記と同様に、待機時間通知手段585は、画像形成手段580の動作が終了してから待機時間が経過すると、待機時間が経過した旨と、当該待機時間が経過した時刻を画像形成処理の終了として、当該画像形成処理終了時刻を開始時刻計算手段520に通知する。
上記のように、待機時間通知手段585から待機時間が経過した旨と、画像形成処理終了時刻を通知されると、開始時刻計算手段520は、次の予約情報が存在するか否か判断する(図7:S214)。本実施例では、次の予約情報は存在しない場合を取り扱うので、開始時刻計算手段520は、複合機100の状態をスリープ状態に遷移させる旨を電力供給制御手段550に通知する。これを受けて電力供給制御手段は、電力供給手段560を制御して、レディ状態のドライバをスリープ状態に遷移させる(図7:S214NO→S215)。更に、開始時刻計算手段520は、予約情報記憶手段530に記憶された予約情報、詳細設定、予約IDを削除する(図7:S216→エンド)。
(実施の形態2)
実施の形態1では、先行の画像形成処理が終了する際に、次の予約情報が存在しない場合を取り扱い、当該画像形成処理が終了すると、レディ状態のドライバをスリープ状態に遷移させる構成を採用した。これに対して、実施の形態2の画像形成システムは、次の予約情報が存在する場合に、先行のユーザによる画像形成処理が終了すると、現在レディ状態のドライバの遷移状態を場合分けする構成を採用する。図11から図13を参照しながら、実施の形態2の画像形成システムが、複合機100をスリープ状態に移行する処理について説明する。
実施の形態2では、複合機100の予約情報通信手段510が、ユーザのコンピュータ470、471,472に備えられた端末側予約情報通信手段575、576、577から、複数の予約情報を受け付ける。これら複数のコンピュータ470、471,472から送信された複数の予約情報は、上記予約情報通信手段510が受け付けた順に予約情報記憶手段530の予約テーブル900に蓄積される。なお、予約情報中の予定時刻が、先行の予約情報の予定時刻と同時刻である場合には、予定時刻を変更する旨を端末側予約情報通信手段575がユーザに通知することで、複数の予約情報の内、予定時刻を異なった時刻にする構成を採用することができる。
例えば、図12に示すように、予約情報記憶手段530に記憶された予約テーブル900には予定時刻「13:00」の項目921、処理「コピー(スキャンあり、記憶処理あり)」の項目931を内容とする予約情報(予約情報1)と、予定時刻「13:07」の項目922、処理「コピー(スキャンなし、記憶処理なし)」の項目932を内容とする予約情報(予約情報2)が記憶される。尚、処理「コピー(スキャンあり、記憶処理あり)」は、複合機100が読取部110で原稿の画像を取得し、印刷物120で当該画像に基づいて画像形成処理を実行することに対応し、処理「コピー(スキャンなし、記憶処理なし)」は、コンピュータからネットワーク151を介して画像形成の指示と印刷できる画像とが複合機100に送信され、当該複合機100が当該画像に基づいて画像形成処理を実行することに対応する。
そして、予約情報通信手段510は、予約情報記憶手段530に予約情報を記憶させた旨を開始時刻計算手段520に通知することになる。
更に、実施の形態1のステップS206と同様に、開始時刻計算手段520が、処理ドライバ記憶手段531及び、移行時間記憶手段532を参照することで、電力を供給すべきドライバと、当該ドライバを遷移させる時刻である開始時刻を決定する。なお、予約情報1の開始時刻と予約情報2の開始時刻が同時になる場合は、予約情報中の予定時刻が早いほうを最先の開始時刻とする。
本実施例では、図9(B)に示すように、開始時刻計算手段520は、処理ドライバ記憶手段531のドライバテーブル950を参照する。そして、開始時刻計算手段520は、予定時刻「13:00」の項目921、処理「コピー(スキャンあり、記憶処理あり)」の項目931を内容とする予約情報(予約情報1)に対しては、電力を供給すべきドライバとして、スキャナドライバ561、印刷ドライバ562、ハードディスクドライバ563を取得する。更に、開始時刻計算手段520は、取得した各ドライバと、移行時間記憶手段532の移行時間テーブル980を参照して、先行の予約情報に対する開始時刻として、「12時59分」を算出する。
同様に、開始時刻計算手段520は、予定時刻「13:09」の項目822、処理「コ
ピー(スキャンなし、記憶処理なし)」の項目932を内容とする予約情報(予約情報2)に対しては、電力を供給すべきドライバとして、印刷ドライバ562を取得する。そして、開始時刻計算手段520は、印刷ドライバ562の開始時刻として、「13時08分」を算出する。
次に、予約情報1に対応する画像形成処理が実行され、待機時間通知手段585が、当該画像形成処理が終了したと判断し、待機時間が経過した旨と、画像形成処理終了時刻が開始時刻計算手段520に通知される。これを受けて、開始時刻計算手段520は、次の予約情報が存在するか否か判断することになる。
実施の形態2では、次の予約情報2が存在するので、上記開始時刻計算手段520は、次に電力を供給すべきドライバの内、現在レディ状態のドライバ(対象ドライバと称す)が存在するか否か判断する(図11:B→S301)。
例えば、開始時刻計算手段520は、先行の予約情報1に対応するドライバを記憶しておき、当該先行の予約情報1に対応するドライバと、次の予約情報2に対応するドライバが重複する場合、当該重複するドライバが現在レディ状態であると判断する。
若しくは、開始時刻計算手段520は、電力を供給しているドライバについて電力供給制御手段550に問い合わせる。これを受けて、電力供給制御手段550は、電力を供給しているドライバを開始時刻計算手段520に通知する。そして、開始時刻計算手段520は、次に電力を供給すべきドライバの内、上記電力供給手段550から電力を供給している旨の通知を受けたドライバが存在するか否か判断することで、決定したドライバが現在レディ状態か否かを判断する構成を採用してもよい。
本実施例では、現在電力が供給されているドライバは、スキャナドライバ561、印刷ドライバ562、ハードディスクドライバ563であり、次に電力を供給すべきドライバは、印刷ドライバ562であるので、開始時刻計算手段520は、次に電力を供給すべきドライバである印刷ドライバ562が現在レディ状態であると判断する。
ここで、開始時刻計算手段520は、次に電力を供給すべきドライバが現在レディ状態であると判断すると、次の開始時刻が既に到来しているか否かを判断する(図11:S301YES→S302)。
ここで、次の開始時刻が既に到来している場合は、後述の基準時刻の計算をすることなく、先行の予約情報1を削除し、次に電力を供給すべきドライバをレディ状態で維持する(図11:S302YES→S303→C)。この場合、表示受付手段500が、タッチパネル301に予約IDを入力可能な確認画面1000を表示し予約IDを受け付けることになる。
一方、次の開始時刻がまだ到来していない場合、開始時刻計算手段520は、待機時間通知手段585から受け付けた画像形成処理終了時刻に、所定の基準時間を加えることで基準時刻を計算する(図11:S302NO→S304)。ここで基準時間とは、現在レディ状態のドライバの遷移状態を決定するための基準となる時間であり、予め設定された任意の時間である。本実施例では、基準時間を10分と設定する。よって、開始時刻計算手段520は、上記画像形成処理終了時刻に基準時間の「10分」を加えて基準時刻を計算する。
次に、開始時刻計算手段520は、上記基準時刻と次の開始時刻の前後を比較する(図11:S305)。
例えば、本実施例では、画像形成処理終了時刻が「13時05分」であれば、開始時刻計算手段520は、上記時刻に10分を加えて、基準時刻を「13時15分」であると計算する。更に、開始時刻計算手段520は、次の予約情報2に対応する開始時刻として、「13時08分」を計算している。したがって、開始時刻計算手段520は、次の開始時刻が基準時刻迄に到来すると判断する。
ここで、上記のように、次の開始時刻が、基準時刻迄に到来する場合、開始時刻計算手段520は、対象ドライバである印刷ドライバ562(現在レディ状態)をレディ状態に維持する旨を電力供給制御手段550に通知する。これを受けて、電力供給制御手段550は、電力供給560を制御して、図13(A)に示すように、レディ状態の印刷ドライバ562をレディ状態に維持する(図11:S305YES→S306)。
図13(A)は、基準時刻と次の開始時刻との関係を表わした基準時刻関係図1300であり、次の開始時刻が、基準時刻迄に到来する場合の処理を示している。図中、待機時間経過時点が現在時刻である。次の開始時刻が「基準時刻」1320迄に到来するので、待機時間が経過しても、対象ドライバはレディ状態で維持されている様子を矢印1310で示している。
上記のように、開始時刻計算手段520が、対象ドライバをレディ状態に維持する旨を電力供給制御手段550に通知すると、当該開始時刻計算手段520は、電力供給制御手550は、当該対象ドライバをレディ状態に維持する(図11:S306)。そして、開始時刻計算手段520は、予約情報記憶手段530に記憶された、先行の予約情報1(予定時刻「13:00」の項目821、処理「コピー(スキャンあり、記憶処理あり)」の項目831を内容とする予約情報)、詳細設定、予約IDを削除し、現在時刻が次の予約情報の開始時刻になるまで上記ステップを繰り返すことになる(図11:S307→D)。
一方、開始時刻計算手段520は、基準時刻迄に次の開始時刻が到来しないと判断した場合や、次に電力を供給すべきドライバが現在レディ状態で無いと判断した場合には、対象ドライバを一旦スリープ状態にする旨を電力供給制御手段550に通知する。これを受けて電力供給制御手段550は、電力供給手段560を制御して、図13(B)に示すように、対象ドライバをスリープ状態に遷移する(図11:S305NO→S308、S301NO→S308)。
図13(B)は、次の開始時刻が、基準時刻迄に到来しない場合の処理を表わしたものである。待機時間が経過すると、対象ドライバがスリープ状態に遷移する様子を矢印1330で示している。
更に、開始時刻計算手段520は、先行の予約情報1、詳細設定、予約IDを削除し、現在時刻が次の予約情報の開始時刻になるまで上記ステップを繰り返すことになる(図11:S309→D)。
(その他)
実施の形態1,2では、ドライバの遷移先として、レディ状態若しくは、スリープ状態の2状態を考えた。これに対して、印刷する際の温度を制御することで、印刷ドライバ562をレディ状態とスリープ状態との中間状態に遷移させることができる。
例えば、印刷を実行するためには、上記印刷ドライバ562に備えられたヒータを所定の温度(以下定着温度と称す。)に上げる必要がある。中間状態とは、ヒータの定着温度を制御することで、上記定着温度よりも、所定温度だけ低い温度にした状態である。上記制御は、電力供給制御手段550が制御する構成を採用することができる。
当該中間状態では、レディ状態の電力消費量よりも低い電力消費量で上記印刷ドライバ562を維持でき、且つ、当該中間状態からレディ状態にする時間は、スリープ状態からレディ状態に遷移させる時間よりも短時間でよい。この場合、中間状態の温度を上記定着温度よりどの程度低い温度にするかは、任意に設定できる構成を採用しても構わない。
したがって、図14に示すように、次の開始時刻が、基準時刻1320よりも早く到来する場合、現在レディ状態の印刷ドライバ562を中間状態に遷移させる構成を採用することができる。図14は、次の開始時刻が、予定移行終了時刻よりも早く到来する場合の処理を表わしたものである。待機時間経過すると、対象ドライバ(印刷ドライバ562)が中間状態で維持されている様子を矢印1400で示している。
本実施例では、割り込みを認める構成を採用することもできる。この場合、操作部200に備えた割込キー(図示せず)を押下することで、コピー等の割り込み処理を実行させることができる。この場合であっても、待機時間通知手段585は、表示受付手段500及び、画像形成手段580を監視し、割り込みユーザの画像形成処理終了時刻を開始時刻計算手段520に通知する。これを受けて、開始時刻計算手段520は、画像形成処理終了時刻に、基準時間を加えることで基準時刻を計算する。そして、開始時刻計算手段520は、実施の形態2と同じように、上記基準時刻と、次の予約情報に対応する開始時刻を比較することで、対象ドライバの遷移先を決定することが可能となる。