JP5474367B2 - 穀物類の酵素糖化方法 - Google Patents

穀物類の酵素糖化方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5474367B2
JP5474367B2 JP2009035937A JP2009035937A JP5474367B2 JP 5474367 B2 JP5474367 B2 JP 5474367B2 JP 2009035937 A JP2009035937 A JP 2009035937A JP 2009035937 A JP2009035937 A JP 2009035937A JP 5474367 B2 JP5474367 B2 JP 5474367B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
saccharification
starch
enzyme
rice
raw material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009035937A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009219486A (ja
Inventor
信行 林
研一 土井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mizota Co Ltd
Original Assignee
Mizota Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mizota Co Ltd filed Critical Mizota Co Ltd
Priority to JP2009035937A priority Critical patent/JP5474367B2/ja
Publication of JP2009219486A publication Critical patent/JP2009219486A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5474367B2 publication Critical patent/JP5474367B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
    • Y02E50/10Biofuels, e.g. bio-diesel

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、澱粉系穀物を効率よく糖化する穀物類の酵素糖化方法に関する。更に詳しくは、特に米を混練、圧縮、押し出し後に膨化させて膨化物を作り、これを粉砕し酵素の添加で糖化する穀物類の酵素糖化方法に関する。
米を中心とする澱粉系穀物は、大変有益な食物である。この澱粉系穀物は食物以外に、エタノール化すると液体燃料としても利用できる可能性がある。このためには、澱粉系穀物を糖化する必要がある。この糖化技術は、従来からアルコール発酵で代表されるように穀物全般に亘って行われている。しかし従来の糖化処理は、例えば米を例にとると、生米を蒸煮しなければならないが、このために多くのエネルギーを消費している。又、特に酒類の糖化処理の手法は、酒税法に基づいているので、新規開発の方法を行うには制約があってその手法は限界がある。しかしながら、前述のように米といえども穀物類は酒類以外にも多様な利用が期待されている。
従来の製法においては、例えば、酒類、味噌、醤油等の醸造食品を製造するのに用いられる麹を製造する製法では、炭水化物原料、植物性タンパク質原料、種麹を混練押出機に投入し、製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。これは炭水化物原料の糊化や蛋白質原料の一次変性を行って、原料が麹菌の作用を受けやすい形態としたあと、この原料に種麹を添加して更に混合分散してから押し出すようにして、麹菌にダメージを与えることなく、最適な形態の製麹原料が製造できるとしたものである。混練押出機、即ち、エクストルーダーの使用は、発泡したポン菓子のペレットで代表される膨化食品の製造にも使用されており、また生の米、麹菌、水等を加えて、米の澱粉を糊化処理と同時に行なうことでも公知である。
このエクストルーダーは、混練・混合・加熱・せん断・破砕・加圧・成形・膨化・乾燥・殺菌等の加工を、1台の機械で同時に行えると言われる機械である。一般に、外周面に螺旋状の翼が形成された軸で、粉体、粒状等の食品原料を送りながら、機械的な作用により混練・混合等を行い、この機械を出るときに膨化を行うものである。又、植物加工品の製造方法として、植物又はその処理物を、高温高圧の気体、又は流体で処理し、新規な香味を有する植物加工品の製造、この製造になる加工品を原料として飲料物を製造する技術が知られている。この加工品はリグニンの分解処理によって得られるもので、この製造過程で、エクストルーダーの使用されることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
又、とうもろこし麹の製造法ではあるが、ドライミリングで得たとうもろこし粉を水分含量が15ないし40質量%になるごとく調節した後、加圧、加熱式押し出し装置で、100ないし160℃の高温、高圧状態から連続的に常温、常圧下に押し出し処理し、その断面積膨張率を2ないし20倍に膨化させる技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。この中で押し出し処理する装置として、エクストルーダーの使用で多孔質化し、これに麹菌酵素を添加する製法の技術が開示されている。
更に、澱粉及びタンパク質を含有する材料から、高マルトースシロップと高タンパク質副生成物を同時に製造する酵素法的方法も知られている。この技術は、オートクレーブ中で澱粉を可溶性オリゴ糖に消化するために熱安定性α―アミラーゼを使用することが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特許第2570554号公報 WO2004/039936号公報 特公昭52−21078号公報 特開平6−62881号公報
エタノール発酵では、一般に酵母により糖質原料をエタノールに変換するが、糖質源が澱粉のような多糖の場合、酵母は多糖類を発酵できないため麹菌や麦芽、或いは糖化酵素を用いて資化可能な二糖、又は単糖に加水分解しなければならない。麹菌や麦芽を用いる場合は、麹菌が生産する糖質分解酵素、或いは麦芽が含有する糖化酵素に頼っている。糖化の点では工業的に精製された酵素製剤を用いる場合との違いはないが、酒やビールの場合は香りや味覚も重要な因子なので一般的には酵素剤は用いない。
サトウキビの糖蜜は、蔗糖であるため澱粉系原料のような糖化工程を必要としないが、澱粉の場合は単糖化が容易に進むように糊化しなければならない。これは澱粉の加水分解酵素であるアミラーゼが、未糊化の澱粉に対しての消化性が低いことに起因している。酒造りでは、この糊化のために、米や麦、芋等の原料を蒸煮または煮沸しており、多量の水分の存在下で加熱するため多くのエネルギーを必要としている。
しかしながら、例えば、穀物を食品以外の利用として、燃料用エタノールの生産に使用する場合には、この糖化工程の省エネルギー化は必須である。工業用エタノールの生産では、澱粉系原料の糊化を行わずに「高温アミラーゼ」を用いる「無蒸煮発酵」も行われる。即ち、90℃の条件下で高温アミラーゼ(高温型α-アミラーゼ)を作用させ液化を行い、続いて40℃〜50℃に冷却後、プルラナーゼやグルコアミラーゼにより糖化を行う。
この関係について補足説明すると、澱粉はブドウ糖がα-1,4結合でつながった多糖で、所々α-1,6結合の分岐がある。この枝分かれが少ない澱粉をアミロース、枝分かれが多い澱粉をアミロペクチンと呼び、餅米のようにアミロペクチンが多い澱粉は糊化時に粘りけが大きい。α-アミラーゼは、澱粉のα-1,4結合をランダムに加水分解する酵素で、オリゴ糖や二糖(マルトース)と少量のグルコースを産する。
ただし、α-アミラーゼは、α-1,6結合の近傍の加水分解能がないため、アミラーゼ消化物には限界デキストリンと呼ばれる多糖が残る。このようにα-アミラーゼによる分解では未消化のデキストリンが残るため、また、固体の澱粉が消化により液状に変化するため「液化」と呼ばれる。プルラナーゼは「枝切り酵素」とも呼ばれ、α-アミラーゼでは消化できないα-1,6結合を切断する。グルコアミラーゼは糖鎖端(非還元末端)から、グルコース単位で切断する酵素でα-1,6結合分解能を持つものが多い。
ここまでの説明で理解できるように、澱粉を発酵性糖である単糖(グルコース)にまで分解するには、α-アミラーゼにより巨大分子である澱粉をランダムに切断して断片化し(液化という)、グルコアミラーゼ単独、或いはプルラナーゼの併用により単糖化する(糖化という)ことを行わねばならない。この時、これらの酵素を有効に働かせるための至適温度、至適pH値が、近い酵素剤を用いるのであれば全ての酵素を一度に作用させて糖化を行うことができる。ただし、その場合、基質となる澱粉が充分に糊化されてなければ、消化速度が極端に低下することとなる。酒造りにおいて、原料を蒸煮したり煮沸したりするのは、麹菌や麦芽のアミラーゼが充分に作用できるようにするためである。
一方、工業用エタノール、或いは燃料用エタノールの製造においては、生産コストを抑えた省エネルギープロセスとする必要がある。その目的から、熱エネルギーを多量に必要とする澱粉系原料の糊化工程を省略できるように、生澱粉を液化できる耐熱性α-アミラーゼが、種々の微生物から単離され用いられるようになった。即ち、原料の糊化処理を行わないまま、70〜90℃の高温条件下で高温アミラーゼにより液化を行う手法である。液化中は高温であるため微生物のコンタミネーションの危険も少ない優れた方法で、現在多くの液化工程で用いられている。ただし、前述したように、α-アミラーゼは液化酵素であり、酵母が発酵できない多糖が残るため、その後に糖化処理が必要である。だが、高温耐性の糖化酵素が存在しないため、一旦これを40℃前後に冷却してから糖化処理を行わなければならない欠点がある。
即ち、高温アミラーゼを用いる手法は、澱粉の糊化工程が省略できる方法ではあるが、エネルギーロスが大きい2段階の工程が必要であるという欠点がある。即ち、この手法は、液化のための高温過程と、冷却後の糖化過程を同時に行うことは不可能であり、高温液化のための投入熱エネルギーの節約、及び2段階とせざるを得ない工程の簡略化は不可能である。酵素による液化、及び糖化工程は、一般に数十時間を要する工程であり、これを簡略化できれば投入エネルギーの節約のみならず、糖化装置のスケールダウン、ランニングコストの低減化、生産速度の向上が達成できる。
この方法では、上記の糊化工程で蒸煮や煮沸がない分エネルギー効率が良いが、高温アミラーゼによる液化、即ち固体の澱粉の糖鎖を所々切断して、どろどろの液状にするためには、雑菌の増殖を防ぐ目的を含め、相変わらず90℃近傍の温度が必要であり、加熱が必要であることに変わりはない。また、酵母ができる糖質(グルコース)とするため、また、デキストリンを分解して単糖収率を上げるために、冷却後グルコアミラーゼ(必要に応じてプルラナーゼ=枝切り酵素を併用)による単糖化を行わねばならず、反応時間が長い酵素糖化処理を2段階で行う工程となることが避けられない。
又、前述の特許文献2等に示すように、製法の効率を向上させるためにエクストルーダーの利用も行われ公知であるが、単にエクストルーダーの保有する機能をそのまま使用したケースが多く、しかも多くは特に飲料食品において、麹等の混合・攪拌に主に利用されている。澱粉系の穀物においては、幅広く多様にこの装置を活用して、効果を上げる有効、且つ効率的な糖化処理技術においてはまだ十分に活用されてはいない。本発明は、エタノールへの転化を意識した糖化処理の技術開発を狙いとしている。このために食品等とは異なり短時間で、且つ省エネルギーで糖化させることが必然で、このことが要望されている。
本発明は、このような背景のもとに、これら澱粉糖化工程の問題点を解決するために開発されたもので、次の目的を達成する。
本発明の目的は、糖化に必要なエネルギーを少なくして、澱粉系穀物を省エネルギーで糖化できる穀物類の酵素糖化方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、工程数を少なくて糖化処理を高速化して、澱粉系穀物を効率よく糖化できる穀物類の酵素糖化方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、糖化処理設備を小型化して、澱粉系穀物を効率よく糖化できる穀物類の酵素糖化方法を提供することにある。
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。次にその具体的な手段について説明する。
本発明1の穀物類の酵素糖化方法は、
澱粉系穀物原料をエクストルーダーにより混練、圧縮、押し出し、糊化した後に圧力を開放して蒸気圧で膨化させ膨化物を得るものであり、前記澱粉系穀物原料時の水分割合を20±5質量%に一定化し、且つ一定の温度160℃〜220℃、圧力3.5〜9.0Mpa下で前記混練、圧縮、押し出し後に膨化させるまでの処理時間を30秒以内で管理して、前記澱粉系穀物原料中の澱粉を糊化する糊化工程と、
前記糊化工程で得られた前記膨化物を水分含有量10±2質量%に維持するように処理し、粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕工程で粉砕された粉砕物に40℃±10℃の温度で酵素グルコアミラーゼのみを添加し、前記澱粉系穀物原料中の澱粉を糖化し糖化物とする糖化工程とからなる。
本発明の穀物類の酵素糖化方法は、本発明1において、前記澱粉系穀物原料は、前記混練、圧縮、押し出しする前に粉砕されている原料であることを特徴とする。
本発明の穀物類の酵素糖化方法は、本発明において、前記糖化工程は、アルコール発酵も同時に行う工程であることを特徴とする。
[エクストルーダー]
図1は、澱粉系穀物原料として米を例にとり、糖化処理を行なう工程をブロック化して示した図である。本発明における実施の手段として、原料米を混練、圧縮、押し出しで、最終的に膨化させる手段は、エクストルーダーを使用している。このエクストルーダーは、各メーカーにより種々の形式のものが市販され、公知技術である。エクストルーダーは、一般に混練、混合、加熱、せん断、破砕、加圧、成形、膨化、乾燥、殺菌等の機能を、一台の機械で同時に行える特徴がある。このエクストルーダーには、単軸、2軸及び多軸とがある。本発明で使用するエクストルーダー1は、単軸でも2軸、或いは多軸のいずれでも使用可能である。
[エクストルーダーによる加工]
エクストルーダー1は、澱粉系穀物原料を高圧下で、混練、圧縮、押し出し、これらの過程で加熱、及び/又はこれらの過程で発生する摩擦熱等で発熱させ、澱粉系穀物原料を糊化した後に、圧力を解放して蒸気圧で糊化した原料を膨化するものである。即ち、糊化された澱粉系穀物原料は、その圧力、温度から解放され膨化する。このとき、エクストルーダー1に投入される澱粉系穀物原料は、膨化後に一定の水分割合になるように調整されている。即ち、エクストルーダー1に投入される澱粉系穀物原料の水分割合により、添加する水分を調整するために水、又は湯水を添加する。
このエクストルーダー1は、一定の温度、圧力下で、一定の処理速度で澱粉系穀物原料中の澱粉を糊化する。エクストルーダー1によって造られる食品は、穀物では、澱粉主体の膨化製品、大豆その他の植物タンパクによる製品等、最近では澱粉、食用粉末の糊化処理により消化率を高くした製品等が知られている。本発明では、このエクストルーダー1に、例えば澱粉系穀物原料である生の米2を投入する。
この投入に当たって、水3を加える。全体の水の量は、米2の全質量の20±5%とする。米2自体にも水が含まれているので、この水分も考慮して加水量が算定される。又、エクストルーダー1に投入される米2は、予め投入前に粉砕しておくと、エクストルーダー1の安定性がよくなる。特に、使用するエクストルーダー1が小型の場合は有効である。エクストルーダー1は米2と水3が投入されると、その有する機能に従い前述のように混練、加熱、加圧、成形、膨化等を連続的に行う。
前述したように、原料水分と添加水をあわせて20±5%の条件で、混練、圧縮、押し出しの後に膨化をさせ、米2は低水分条件下の混練による内部摩擦等により、エクストルーダー1のバレル内で自己発熱する。バレル内滞留時間は、本例では30秒以内が好ましい。本実施の形態では平均22秒であった。蒸煮法(1時間程度)と比較すると、高速で糊化できる。完全糊化を行うには、エクストルーダー1から吐出される直前の溶融原料の温度(ダイ内の溶融原料の温度)は、160〜210℃の範囲が最適であるが、好ましくは約190℃前後である。この160℃の温度より低いと、澱粉の糊化が不完全になる可能性がある。210℃の温度より高いと、糊化した澱粉が焼付ける可能性がある。このときの圧力は、3.5〜9.0MPaの範囲が良い。
ただし、エクストルーダー1の運転時の圧力は、原料の溶融粘性(水分や原料そのものの物性、温度で決まる。)、水分量、ダイ孔径、その孔径の形状等に大きく左右される。更に、エクストルーダー1のスクリューが台形ネジ、ボールネジ、或いはニーディングエレメントが入っていたりいなかったりで異なる。更に、スクリューの回転速度によっても異なる。要は、原料中の澱粉が完全に糊化され、脆くて多孔質で表面積が大きい膨化物、即ち酵素による糖化性が高いものが得られれば良いわけである。従って、エクストルーダー1の最適な運転条件は、この理想的な膨化物が得られるように選択するのが好ましい。
この膨化物4は、ダイ孔径の4〜6倍に膨張するとともに水分含量は10%以下に低下する。前述の投入水分の量を原料の20±5質量%としたのは、膨化後の膨化物4の水分含有量を10%以下にするための設定値である。これによって得られる膨化物4は、乾燥したスポンジ状のものとなる。このため少ないエネルギーで粉末化することが可能で、これにより、酵素との接触面積が増加し、以後の液化糖化工程における酵素反応速度を向上させることが可能となった。次に、膨化物4が完全滅菌状態で得られることから、外部と遮断して粉砕し粉砕物5とする。この状態の粉砕物5を糖化工程へ送ることによって容易にコンタミネーションを防止できる。
[エクストルーダー処理による膨化物の糊化度]
エクストルーダー処理(押し出し処理)により得られた膨化物の糊化度を知るために、DSC、及びBAP法(β‐アミラーゼ、プルラナーゼ法)による糊化度測定を行った。次の表1は、DSC(Differential Scanning Calorymetry:示差走査熱量測定)を示し、横軸に温度、縦軸に吸熱量を示す。
Figure 0005474367
表1のデータは、水をレファレンスとして、粉砕した膨化物あるいは粉砕した生米を粉砕物1、水2の比率で20μL容量の銀製パン(銀製容器)に詰め、各温度での吸熱量を測定した(セイコーインスツルメント(千葉県千葉市)製DSC220C)。測定方法は、10℃/分の昇温速度で測定した。表1に示すように、生米では澱粉の糊化による吸熱ピークが65℃付近に見られるが、エクストルーダー処理した膨化物では、何れの糊化温度でも吸熱ピークが全く見られず、押し出し処理により糊化が完全に進んでいることがわかる。
通常、含水率20%程度では、澱粉の糊化温度は100℃を超えるとされているが、押し出し処理では180℃以上の温度で処理されるため、数十秒程度のバレル内滞留時間内に完全糊化が達成されている。念のため、190℃で得られた押し出し物の糊化度をBAP法(酵素を用いた糊化度測定法。β-アミラーゼ・プルラナーゼ法の略)で測定した結果、糊化度は97%で完全に糊化されていることが確認された。
[膨化後の粉砕物]
膨化後に粉砕され糊化された米2の粉砕物5は、表面積が大きく、従来の蒸米の液化に比べると、粉砕物5は格段に酵素反応速度が速くなる。本実施の形態で添加される酵素は、グルコアミラーゼ(正式名称は、グルカン1,4-α-グルコシダーゼ)6である。このグルコアミラーゼ6を質量比で0.4%を粉砕物5に添加する。酵素反応で糖化物7となるが、このときの温度は低温度の40℃のみの糖化処理、即ち低温の1段階の処理のみで糖化処理ができる。
このようにグルコアミラーゼ6のみを酵素として添加するのは、約0.4%(実施例で用いた天野エンザイム製グルクザイムAF6の場合、18U/g-基質(以下、単に「U」ともいう。))で最適な条件を満足し、この数値については、後述する実施例で高効率の糖化実績を得ている。なお、本発明でいう上記の「U/g-基質」は、酵素単位のことで、澱粉に酵素を作用させたとき、30分間で10mgのブドウ糖に相当する還元力の増加をもたらす酵素量を1U(ユニット)としている。また、このようにしたことで、無蒸煮糖化のように高温α-アミラーゼを用いる必要が無く、至適温度が低い糖化酵素を含めた単体、又は混合酵素系により、即ち低温(40℃)の1段階の処理のみで糖化液を得ることができることとなった。
以上の手法により、糖化工程と発酵工程を分離したプロセスの構築が可能となるが、本手段においては、両者を含めて糖化工程としている。この分離プロセスのため、酵母の浸透圧耐性に応じて糖化液を添え掛けしながら発酵させる高効率発酵システムを確立できる利点がある。エクストルーダーによる澱粉の糊化は、米のみでなく、トウモロコシや小麦、芋類などの穀物、或いはそれらから分離した澱粉を原料にしても可能であることはいうまでもない。
本発明による効果を列記すると次のようになる。エクストルーダーによる糊化は、装置内部での自己発熱(内部摩擦熱)による加熱により行われるため、外部からの加熱は非常に少なくてすむ。エタノール発酵製品の代表である酒造りでは、多量の水(比熱が大きい)の存在下で澱粉系原料(米や芋、大麦など)を蒸煮や煮沸により糊化しており、エネルギー投入量が大きい。本発明の場合、エクストルーダーによる膨化は、水分含量20%程度で処理でき、即ち、原料の熱容量が小さい状態で加熱し、糊化できる利点がある。
エクストルーダーによる処理時間は、装置内滞留時間が約30秒以内と非常に高速で、即ち、30秒以内で完全糊化できることになる。更に、押し出し時に低水分(水分約10%程度)の膨化物にできるので、多孔質で脆い組織となり、以後の粉砕が省エネルギーで容易にできる。即ち、粉砕により表面積を大きくし、酵素反応による糖化を高速に行うことが可能となる。
膨化物は、約180℃前後の高温度工程を経ているので無菌状態であり、以後の酵素糖化、及び発酵工程におけるコンタミネーションの心配がない。酵素はグルコアミラーゼのみを添加し、結果的に酵素糖化速度が非常に速く、かつ低温で酵素処理できることとなった。この結果、高温アミラーゼ処理のように液化のための高温維持、冷却後の糖化という2段階の糖化の必要が無く、装置の小型化、工程の高速化、コストの削減、省エネルギーが達成できるようになった。又、糊化物の酵素糖化とアルコール発酵を同時に行う並行複発酵により、高速にエタノール発酵も可能となった。
図1は、本発明の一連の糖化処理を示すブロック図である。 図2は、実施例1に対応したデータ図であり、種々の温度で膨化した米の酵素糖化速度を示す糖化曲線である。 図3は、実施例2に対応したデータ図であり、対基質濃度0.2%の3種混合酵素で糖化したときの粉砕生米と190℃の膨化物の糖化速度の比較を示す線図である。 図4は、実施例3に対応したデータ図であり、種々のグルコアミラーゼ濃度で糖化した膨化物の糖化速度を示す糖化曲線である。 図5は、実施例4に対応したデータ図であり、α-アミラーゼ濃度での膨化物の糖化速度を示す線図である。 図6は、実施例5に対応したデータ図であり、種々のプルラナーゼ濃度での膨化物の糖化速度を示す線図である。 図7は、実施例6に対応したデータ図であり、0.2%酵素濃度の場合と最適化した24Uグルコアミラーゼ酵素濃度との糖化比較を示す線図である。 図8は、実施例7に対応したデータ図であり、膨化物と炊飯した米を24Uグルコアミラーゼのみで糖化したときの糖化速度の比較を示す線図である。 図9は、実施例7に対応したデータ図であり、種々のグルコアミラーゼ濃度での並行複発酵曲線である。 図10は、実施例7に対応したデータ図であり、種々の初発菌数での発酵曲線線図である。
以下、本発明の実施の形態を実験例に替えて説明する。
本実施例で用いる原料米は、次の2種である。
1)うるち米(西海203号):H18年度産の精白米を築上町(福岡県)より入手した。
2)タイ米:福岡市内の米問屋より、2005年度産タイ米(精白米)を購入した。
この2種を次のエクストルーダーへ投入する前に、原料米を次の要領で粉砕した。
粉砕は、槇野産業株式会社(東京都葛飾区)製のDD−2型衝撃式粉砕器(スクリーン2Φ)を使用し、前記精白米を粉砕し、これをエクストルーダー処理用原料米とした。この粉砕工程は必ずしも必要ではなく、本実施例で使用したエクストルーダーが小型であるため運転安定化のために行ったものである。次に、この粉砕した原料米を前述の割合の水を加えてエクストルーダーに投入し、混練、圧縮、押し出し、膨化処理等を行った。原料米中の澱粉を糊化するエクストルーダーは、株式会社幸和工業(大阪府大阪市)製で、スクリューを2軸備えたエクストルーダー KE−45型(スクリュー径45mm、L/D=20、ただし、スクリュー径をD、スクリュー長さをLとする。)を用いた。
本実施例で用いたエクストルーダーは、スクリューを2軸備えたものを使用したが、これが単軸製であっても良い。これが単軸の場合、原料とスクリューが共回りして全く搬送されなくなる場合があり、一般的にはスクリューを2軸備えたエクストルーダーが好ましい。
本実施例で使用したエクストルーダーは、原料供給口側を第1ゾーンとして、バレル先端までが5つのゾーンに分けられ、個別に温度設定できるようになっている。その個別の温度は、次のように設定した。
第1ゾーン:ヒーターOFF
第2ゾーン:ヒーターOFF
第3ゾーン:120℃
第4ゾーン:150℃
第5ゾーン:170℃〜200℃(押し出し温度を、180〜210℃と変化させた実験を行ったため。おおむね押し出し温度―10℃位の設定である。)
ダ イ :ヒーターOFF
本実験では、原料(米)を45kg/hで処理し、バレル内含水率が約20%程度に調整し、5φの1穴ノズルから押し出しという条件で行った。投入した原料がしっかり充填されているのは、先端の2つのゾーンくらいであり、供給口から充填領域に至る途中は原料が充填されていないスカスカの状態であった。ただし、原料の蒸気圧を受け止める意味では、シール材の役割を果たしているので、これらのゾーンは必須ではないが無駄でもない。測定した押し出し圧力と温度は、第5ゾーン後端(出口側)の圧力センサー、及び温度センサーで測定し、この温度をモニターしながら第4、第5ゾーンの設定温度を微調整した。
この圧力及び設定温度を指示する温度指示器は、本実施例で使用したエクストルーダーに備えているものを使用した。一例を示すと、184℃で7.2MPa(71kg/cm2)、201.5℃で4.4MPa(43kg/cm2)示している。圧力が高温で低下しているが、蒸気圧は温度が高いほど大きくなるものの、それ以上に溶融物の粘性が低下するため圧力が低くなっていることを示している。また、第4,5ゾーンのヒーターの温度は上記のように設定しているが、内部摩擦熱による自己発熱のためヒーターそのものへの通電量はそれほど多くはない。ダイ温度190〜210℃、スクリュー回転数250〜270rpm、ダイ内の圧力は、約4.1〜8.2Mpa(40〜80kg/cm2)、加水量6〜8ゲージ(原料水分と合わせて18〜20%となる)で、押し出し試験を行った。
原料供給速度は、45kg/hで、この時のバレル内の滞留時間を色素投入法によって測定した結果、色素先端17秒、色素濃度のピーク22秒、色素後端32秒であった。ダイは5φのものを使用し、その後のハンドリングを考え、膨化物をダイ先端で回転刃でカットし、碁石状の膨化物を製造した。得られた膨化物の直径は約20φで、ダイ口径(5φ)との比、即ち膨化率は4であった。また135℃乾燥法で測定した水分は9%であった。
次は酵素糖化試験であるが、得られた膨化物を卓上型粉砕器で42mesh程度に粉砕後、添加する酵素として、α-アミラーゼとしてビオザイムA(90,000U/g、天野エンザイム株式会社製、愛知県名古屋市)、グルコアミラーゼとしてグルクザイムAF6(6,000U/g、天野エンザイム株式会社製)、プルラナーゼとしてプルラナーゼ「アマノ」3(天野エンザイム株式会社製)を用いた糖化試験を種々の条件のもとに行った。後述するが、この実験の結果、結論として、押し出し膨化物は、室温・単一酵素で糖化可能で、しかも炊飯した米よりも糖化速度・糖化率共に高かったことが確認された。
酵素糖化は、10%基質濃度のpH6.0緩衝液に、種々の酵素濃度となるように酵素を加え、40℃の恒温槽中で80rpmで振盪しながら行い、糖化により生成するグルコースをムタロターゼ・GOD法(グルコースCIIテスト・ワコー)で測定した。当初は、各酵素の濃度を基質に対して0.2%(基質1gあたり、グルコアミラーゼ12U、α-アミラーゼ180U、プルラナーゼ6U)となるように加えた糖化実験を行い、その後酵素濃度を変化させた糖化実験を行い、至適酵素濃度を求めた。また、生米粉砕物、及び炊飯した米(炊飯による糊化物)と押し出し膨化物との糖化速度を比較した。
[実施例1]
図2は、種々の温度で膨化した米の酵素糖化速度を示す図であり、基質に対し0.2%の酵素濃度(3種の酵素を各々基質質量の0.2%質量で添加)で糖化したときのグルコース生成挙動を示したものである。横軸は酵素処理時間、縦軸は固形物(基質)1g当たりのグルコース生成量(糖化率)を示している。凡例は、エクストルーダーで処理時の温度(ダイ部分での原料温度)を示している。米は、タイ米以外は全てうるち米(西海203号)である。この結果から、180℃から210℃の範囲では、糖化速度にほとんど差異はなく、うるち米でもタイ米でもほぼ100%糖化できることが判明した。図2に示す結果から、180℃から210℃の処理温度範囲では、糖化速度に遜色がなかったので、以後の比較試験は190℃処理物を用いて行った。
[実施例2]
図3は、対基質濃度0.2%の3種混合酵素で、糖化したときの粉砕生米と190℃の膨化物の糖化速度の比較を示した図である。図3に示すように、エクストルーダーで処理した190℃膨化物は、粉砕生米よりも著しく糖化速度が速く、糖化率も優れていることが判明した。要するに本例の膨化物が従来よりも短時間で糖化されることを確認した。続いて、使用する酵素の最適化を行うために、添加濃度(酵素ユニット数)を変化させた時の糖化速度の比較試験を行った。当然酵素濃度は高い方が基質との接触チャンスが増加し、糖化速度は速くなる。
しかしながら、糖化物をアルコール発酵原料として用いる場合、発酵速度が律速段階となるため糖化速度を必要以上に速くすることは無意味であるばかりでなく、酵素コストも無駄になる。後の工程でアルコール発酵を行う場合、その速度とのマッチングを図るには24〜48時間程度で糖化できるのが最も効率が高くなる。そこで、以後の実験では糖化完了目標時間を24時間として、次に示す各3種(1)〜(3)の酵素について至適濃度の検索を行った。なお、これ以降は酵素濃度をより正確に表すためにユニット数で標記する。これまで用いた対基質0.2%の酵素濃度は、(1)α-アミラーゼ(ビオザイムA)では180U/g-基質、(2)グルコアミラーゼ(グルクザイムAF6)では12U/g-基質、(3)プルラナーゼ(プルラナーゼアマノ3)では6U/g-基質に相当する。
[実施例3]
図4は、α-アミラーゼを180U/g-基質、プルラナーゼを6U/g-基質の濃度に固定して、種々のグルコアミラーゼ濃度で糖化した膨化物の糖化速度を示す。図4の結果から、グルコアミラーゼ濃度は24U/g-基質(0.4%)とするのが最適であると判断された。
[実施例4]
図5は、グルコアミラーゼを24U/g-基質、プルラナーゼを6U/g-基質の条件下で、α-アミラーゼ濃度での膨化物の糖化速度を示した図である。その結果、グルコアミラーゼ24U/g-基質、プルラナーゼ6U/g-基質の存在下で、糖化速度はα-アミラーゼの濃度に関係しないことが判明し、結果的にα-アミラーゼ非存在下(無添加)でも充分な糖化速度が得られることが判明した。このときの糖化処理温度は40℃である。
このことは、前述したように、通常高温条件で液化を行い2段階の糖化プロセスが必要であった従来の工程が、原料米をエクストルーダーで処理することにより40℃という低温で糖化処理ができ、しかもα-アミラーゼ非存在下で処理ができることになった。図5までの結果で、エクストルーダーで処理された膨化物の糖化にはα-アミラーゼが不要であることが判明したので、続いてプルラナーゼの至適濃度について検討した。
[実施例5]
図6は、グルコアミラーゼを24U/g-基質のみの存在下で、種々のプルラナーゼ濃度での膨化物の糖化速度を示した図である。図6に示したデータによると、プルラナーゼの濃度に関係なく糖化が進行し、結果的にプルラナーゼも不要であることが示された。
[実施例6]
図7は、膨化物に対し、3種の混合酵素(各0.2%、即ち、基質1g当たり、グルコアミラーゼ12U、α-アミラーゼ180U、プルラナーゼ6U)を作用させた場合と、グルコアミラーゼを単独で24U/g-基質(=0.4%)の濃度で作用させたときの糖化速度を比較した図である。図7で示したように、24U/g-基質グルコアミラーゼ酵素濃度の場合が、より大きな効果があることが明確である。以上の結果から、澱粉系原料を発酵原料化(糖化)する場合、エクストルーダーによる膨化処理を行う事により単一酵素(グルコアミラーゼのみ)で、40℃程度の低温状態においても充分な速度での糖化が行えることが示された。
このように、エクストルーダーで処理された膨化物が非常に容易に糖化できるのは、エクストルーダーのバレル内での原料米の挙動が大きく関与しているものと考えられる。エクストルーダーの原料供給口から投入された原料米(水分12%)は回転するスクリューにより搬送され、その途中で本実施例の場合約8%加水し、20%の水分量とした。
バレル先端部まで運ばれた原料米は、高圧となりスクリューによる混練が加わって高温の熱溶融状態に相変化する。澱粉は水分の蒸発を防いだ140〜150℃の密閉条件下で溶融する。この時、澱粉は分子同士が激しく相互に摩擦して、摩擦熱を発生するため低水分下でも充分な糊化が進行する。澱粉の糊化は充分な水分が存在する状態では60〜90℃で進行するが、低水分状態では140℃以上の温度が必要となる。同時に溶融した澱粉糖鎖の機械的な切断が所々で発生し、酵素による糖化性が向上するのである。
出口(ダイ)付近で190℃前後にまで昇温した原料は、スーパーヒートされた液体の水を含んでいるが、大気圧下に出てきた瞬間に高圧の水蒸気に相変化し、澱粉を膨化させスポンジ状の組織を形成する。この時、自由水は水蒸気として大気中に散逸するために膨化物(組織化物)は低水分の脆い組織となり、以後の粉砕工程では大きなエネルギーを投入することなく粉砕が可能で、その結果、糖化酵素との接触チャンスが容易に増大できることとなる。本実施例では、吐出後の水分が9%であった。即ち11%相当量の水が吐出時に水蒸気に相変化し散逸したことになる。その時の圧力で組織を膨化する。
今回の実験では使用できる装置の関係から、L/D=20の長バレルを有する2軸エクストルーダーを用いたが、装置の標準処理速度である45kg/hで処理した場合の原料充填領域は、バレル先端部分のみ(L/Dで、約5に相当する長さ)であったことからもっとL/Dの短い装置でも充分処理可能で、また、短軸装置でも処理可能であり、低価格の装置で処理可能である。
[実施例7]
図8は、膨化物と炊飯器で糊化した原料米(従来の蒸煮米に相当する。)、及び粉砕米を24Uのグルコアミラーゼで糖化したときの糖化速度の比較を示した図である。図8に示されるように、膨化米は糖化速度、糖化率ともに炊飯米や生米を上回り、本発明の効果が実証された。なお、図8では澱粉の糖化をより正確に表すために、グルコース生産量は基質当たりではなく、澱粉当たりで表してある。また、この結果は、以後の並行複発酵(糖化と発酵を同時に行う発酵法)での酵母の温度耐性を考慮して35℃で糖化を行ったものである。
上記のようにして得られた至適糖化酵素条件(18U/g-基質)のもとで並行複発酵した時の発酵曲線を図9に示す。図9中には18U/g-基質の条件のみでなく、比較のために12U、24U、30Uの発酵曲線も合わせて示した。アルコール発酵は、協会701号酵母を用い、初発菌数1×107cell/mL、35℃条件下で静置培養にて行った。基質濃度は200g/Lで、基質中の糖量と発生したCO2量のモル比で表してある。
図9から判るように、12U/g-基質条件下では、発酵末期に若干の速度、及び変換率の低下が認められた。また、24U以上の酵素添加は18U添加の場合と大差なく、酵素コストの節約を考慮すると、200g/Lの基質濃度の場合、グルコアミラーゼ18Uの添加条件で発酵するのが最も効率がよいと判断された。この実験では、18〜24Uでは大きな違いは観測されなかった。また、このときの発酵所要時間は、アルコール変換率85%で33時間、90%で43時間と、充分な発酵速度で発酵が進行した。また、18U添加条件でのアルコール濃度は9.2%で、ほぼ理論収量のアルコールが生産された。
なお、図9の発酵曲線から理解されるように、12U/g-基質の条件下でも発酵時間をかけれは、糖化率は18U及び30Uと変わりがないので、12Uも技術的には使用可能な範囲である。また、糖化率は30Uでほぼ飽和しているが、この範囲も効率を高める意味では使用できる範囲である。結局、基質濃度や初発菌数、使用する酵母等に応じて、12〜30U/g-基質の添加量の範囲でも使用できる。
図10は、図9で実験したときと同一条件下で、初発菌数のみを1×107cell/mL、1×108cell/mL、1×109cell/mLと変化させたときの発酵曲線を示した。初発菌数が多いほど、初期の発酵速度は速くなるが、終盤では速度に大差なく、初発菌数は1×107cell/mLで良いと判断された。
本発明の実施例は米について示したが、本発明の糖化方法は、澱粉系穀物として、トウモロコシや芋類、小麦、或いはそれらの澱粉など広く澱粉系原料の処理に適用可能であることはいうまでもない。また、本発明の糖化方法は、アセトンブタノール発酵による燃料化、アミノ酸発酵のような食品の製造など幅広く適用が可能である。特に国内では近年「米粉」の有効活用が叫ばれており、エクストルーダーを利用した本法は工程の効率化、新規加工製品の製造に大きく貢献すると考えられる。
1…エクストルーダー
2…米
3…水
4…膨化物
5…粉砕物
6…グルコアミラーゼ
7…糖化物

Claims (3)

  1. 澱粉系穀物原料をエクストルーダーにより混練、圧縮、押し出し、糊化した後に圧力を開放して蒸気圧で膨化させ膨化物を得るものであり、前記澱粉系穀物原料時の水分割合を20±5質量%に一定化し、且つ一定の温度160℃〜220℃、圧力3.5〜9.0Mpa下で前記混練、圧縮、押し出し後に膨化させるまでの処理時間を30秒以内で管理して、前記澱粉系穀物原料中の澱粉を糊化する糊化工程と、
    前記糊化工程で得られた前記膨化物を水分含有量10±2質量%に維持するように処理し、粉砕する粉砕工程と、
    前記粉砕工程で粉砕された粉砕物に40℃±10℃の温度で酵素グルコアミラーゼのみを添加し、前記澱粉系穀物原料中の澱粉を糖化し糖化物とする糖化工程と
    からなる穀物類の酵素糖化方法。
  2. 請求項1に記載の穀物類の酵素糖化方法において、
    前記澱粉系穀物原料は、前記混練、圧縮、押し出しする前に粉砕されている原料であることを特徴とする穀物類の酵素糖化方法。
  3. 請求項1に記載の穀物類の酵素糖化方法において、
    前記糖化工程は、アルコール発酵も同時に行う工程であることを特徴とする穀物類の酵素糖化方法。
JP2009035937A 2008-02-18 2009-02-18 穀物類の酵素糖化方法 Active JP5474367B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009035937A JP5474367B2 (ja) 2008-02-18 2009-02-18 穀物類の酵素糖化方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008036721 2008-02-18
JP2008036721 2008-02-18
JP2009035937A JP5474367B2 (ja) 2008-02-18 2009-02-18 穀物類の酵素糖化方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009219486A JP2009219486A (ja) 2009-10-01
JP5474367B2 true JP5474367B2 (ja) 2014-04-16

Family

ID=41236962

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009035937A Active JP5474367B2 (ja) 2008-02-18 2009-02-18 穀物類の酵素糖化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5474367B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105483159B (zh) * 2015-12-28 2020-04-28 河南振新生物技术股份有限公司 一种发酵专用籼米粉的制备方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6036279B2 (ja) * 1980-03-07 1985-08-19 キッコーマン株式会社 糖液の製造法
JPS62208264A (ja) * 1986-03-08 1987-09-12 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd 米糖液の製造法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009219486A (ja) 2009-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1337679C (en) Cereal products naturally sweetened with fructose
EP3481228B1 (en) Process for preparing hydrolysed starch with reduced sugar content
JP2000509748A (ja) 化学的に誘導体化されたマルトデキストリン類
JP2011084674A (ja) レジスタントスターチ高含有澱粉およびそれを用いた飲食品
CN112280815A (zh) 一种麦芽糖的加工工艺
WO2007010979A1 (ja) 液体麹の製造方法
Chien et al. Extrusion puffing pretreated cereals for rapid production of high-maltose syrup
JP6388460B1 (ja) 禾穀類を糖化処理して飲料を製造する方法
Xu et al. Calcium—lactate-induced enzymatic hydrolysis of extruded broken rice starch to improve Chinese rice wine fermentation and antioxidant capacity
JP5474367B2 (ja) 穀物類の酵素糖化方法
JP2009142184A (ja) β−グルカン含有飲料
KR20150001057A (ko) 즉석 편이식 제조를 위한 효소압출팽화미분의 제조방법
Cereda Starch hydrolysis: physical, acid, and enzymatic processes
AU2017365642B2 (en) Method of preparing cereal extract
JP4964710B2 (ja) β−グルカン含有穀物糖化物の製造方法
Lee et al. Gelatinization and liquefaction of starch with a heat stable α‐amylase
TW201622578A (zh) 澱粉糊化麵團用硬化促進劑
Yan et al. A review of the effects of fermentation on the structure, properties, and application of cereal starch in foods
Choton et al. Enzymatic Modification of Starch: A Review
CN107927502A (zh) 一种增加超高压处理的米粉制备米乳的方法
TWI505783B (zh) 一種製造不可溶膳食纖維的方法
Lin et al. Effect of carbon dioxide injection on physiochemical properties and saccharification of extruded corn starch for fermentation substrate preparation
Garkina et al. Control of technological properties of unmalted grain raw materials
Tong Improving saccharification process by pre-swelling of normal maize starch granules for production of sugar and fermented chemicals
RU2259400C1 (ru) Способ получения декстрина из крахмалсодержащего сырья

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5474367

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250