以下に、本発明の実施の形態1を、角形鋼管の処理に採用した状態として、図1〜図15に基づいて説明する。本処理設備は、角形鋼管(鋼管の一例)1を切断し、切断した切断端面2に開先3を形成する。図1は角形鋼管1の切断端面2に開先3が形成された状態を示す。
たとえば各種成形機から連続して角形鋼管1を長さ方向に搬送する搬送経路5は、ローラコンベア6により形成されている。搬送経路5には、クランプ手段111A,111Bと、搬送経路5を挟んで左右一対に配設される処理手段21A,21Bとが設けられている。なお角形鋼管1は、4つの辺部1aと4箇所の隅部(R状コーナー部)1bとによって四角形状に形成されており、一つの辺部1aには突き合せ溶接部(シーム溶接部)1cが形成されている。
クランプ手段111A,111Bと処理手段21A,21Bとは本体10に配設される。本体10は、前後方向(搬送方向)に一対配設されるベース枠部10aと、これらベース枠部10a上に配設される左右一対の縦枠部10bと、これら縦枠部10bの左右方向の上部間に設けられる横枠部10cと、横枠部10c間に設けられた上部前後枠部10dなどにより枠組状に構成されている。本体10の中央部分には、ベース枠部10aと両縦枠部10bと横枠部10cとによって、搬送経路5が挿通される貫通部10eが形成されている。
クランプ手段111A,111Bは、処理手段21A,21Bを中にして搬送経路5の方向で一対配設されるもので、それぞれ本体10側に設けられた左右クランプ装置112と上下クランプ装置120とからなる。左右クランプ装置112は、そのピストンロッドを相対向させた状態で縦枠部10bに取り付けられた左右一対のシリンダー装置113と、これらシリンダー装置113のピストンロッドに連結された押し引き体114と、この押し引き体114の内端部分に連結された可動体115と、この可動体115に内端部分が連結され縦枠部10b側に支持案内されるガイド体116と、可動体115の内面側に搬送経路5の方向で摺動自在に設けられた挟持体117と、この挟持体117を摺動すべく可動体115側に設けられる摺動用シリンダー装置118などにより構成されている。上下クランプ装置120は、ピストンロッドを下向きとした状態で横枠部10cに取り付けられたシリンダー装置121と、このシリンダー装置121のピストンロッドに連結された押さえ体122などにより構成されている。
このように構成されたクランプ手段111A,111Bによると、シリンダー装置113を伸展動させ、挟持体117を角形鋼管1の両側面に当接させることで、左右クランプ装置112によって角形鋼管1を両側からクランプすることができる。そしてシリンダー装置121を伸展動させ、押さえ体122を角形鋼管1の上面に当接させることで、ローラコンベア6のローラ7群と上下クランプ装置120とによって角形鋼管1を上下からクランプすることができる。また摺動用シリンダー装置118により、可動体115に対して挟持体117を摺動させることで、クランプしている角形鋼管1を搬送経路5の方向に移動させることができる。以上の112〜122などにより、クランプ手段111A,111Bの一例が構成される。
処理手段21A,21Bは、搬送経路5に対して接近離間方向に横移動自在として本体10側に設けられた横移動体22A,22Bと、これら本体10側と横移動体22A,22Bとの間に設けられた横移動装置24A,24Bと、横移動体22A,22Bに対して昇降動自在に設けられた縦移動体40A,40Bと、横移動体22A,22Bと縦移動体40A,40Bとの間に設けられた昇降動装置42A,42Bと、縦移動体40A,40Bに対して揺動可能に設けられた揺動体60A,60Bと、縦移動体40A,40Bと揺動体60A,60Bとの間に設けられた揺動装置62A,62Bとを備える。
処理手段21A,21Bは、左右方向に長尺なベース枠部10a,10aを連結する連結部10fと、同じく左右方向に長尺な横枠部10c,10cとに、それぞれLMガイド23A,23Bを介して支持案内されており、接近離間方向(左右方向)に横移動自在である。
本体10側と横移動体22A,22Bとの間に設けられる横移動装置24A,24Bは、連結部10f上に配設されたベース板体25A,25Bを有し、このベース板体25A,25B上に螺子体(ボール螺子など)26A,26Bが、その長さ方向を接近離間方向に沿った方向として配設されるとともに、両端部が軸受部材27A,27Bに支持されることで、ベース板体25A,25Bに回転自在に設けられている。
ベース板体25A,25B(本体10側)の外端側には正逆駆動自在なモータ(正逆回転駆動部の一例で、DCモータなどからなる。)28A,28Bが設けられ、このモータ28A,28Bの出力軸と螺子体26A,26Bとが、巻き掛け伝動機構29A,29Bを介して連動連結されている。そして、螺子体26A,26Bに螺合されるナット体30A,30Bが設けられ、このナット体30A,30Bは横移動体22A,22Bの底面側に支持されることで、接近離間方向に移動自在に設けられている。
縦移動体40A,40Bは、横移動体22A,22Bに対してLMガイド41A,41Bを介して昇降自在に設けられている。横移動体22A,22Bと縦移動体40A,40Bとの間に設けられる昇降動装置42A,42Bは、横移動体22A,22Bの上部に設けられた正逆駆動自在なモータ(正逆回転駆動部の一例で、DCモータなどからなる。)43A,43Bと、このモータ43A,43Bの上向き出力軸に巻き掛け伝動機構44A,44Bを介して連動連結された螺子体45A,45Bと、縦移動体40A,40Bに固定されかつ螺子体45A,45Bに螺合されるナット体46A,46Bなどにより構成されている。なお螺子体45A,45Bの上下端部は、軸受部材47A,47Bを介して横移動体22A,22B側に回転自在に支持されている。以上の43A,43B〜47A,47Bなどにより、昇降動装置42A,42Bの一例が構成される。
昇降動装置42A,42Bには昇降バランス装置50A,50Bが設けられている。横移動体22A,22Bの上部には、保持枠体51A,51Bを介して鎖輪52A,52Bが遊転自在に設けられており、この鎖輪52A,52Bに掛けられたチェーン53A,53Bの一端部が、連結部材54A,54Bを介して縦移動体40A,40Bに連結されている。チェーン53A,53Bの他端部は連結部材54A,54Bを介してバランスウエイト55A,55Bに連結されている。バランスウエイト55A,55Bは、横移動体22A,22Bの内部に昇降可能に収容されている。以上の51A,51B〜55A,55Bなどにより、昇降バランス装置50A,50Bの一例が構成される。
横移動装置24A,24Bによって横移動体22A,22Bを横移動させるとともに、昇降動装置42A,42Bによって縦移動体40A,40Bを昇降動させることにより、縦移動体40A,40Bは、搬送経路5に対して接近離間方向に横移動自在でかつ昇降自在に構成される。
なお、縦移動体40A,40Bにはシリンダー装置48A,48Bが設けられている。詳細な説明はしないが、シリンダー装置48A,48Bは、縦移動体40A,40Bに掛けられた過負荷を吸収する。
揺動体60A,60Bは、搬送経路5側の上部が、縦移動体40A,40Bに係止された揺動軸63A,63Bによって揺動可能に支持されている。揺動体60A,60Bを揺動させる揺動装置62A,62Bは、縦移動体40A,40Bの下部に設けられている。揺動装置62A,62Bは、ピストンロッドを搬送経路5側に向けたシリンダー装置71A,71Bを備えており、そのピストンロッドは揺動体60A,60Bの下部に連結されている。
揺動体60A,60Bの搬送経路5側の下部には、搬送経路5に沿った軸心69A,69Bを有する駆動軸79A,79Bを介して回転自在に設けられた切断・開先加工用刃体82A,82Bと、駆動軸79A,79Bに連動した回転駆動部90A,90Bを備える。回転駆動部90A,90Bの駆動軸91A,91Bは、歯車で連結された回転軸92A,92B、93A,93B、94A,94Bを介して減速されて駆動軸79A,79Bに連動されている。回転駆動部90A,90Bは、巻き掛け伝動機構95A,95Bを介して、横移動体22A,22Bに設けられた駆動モータ97A,97Bに連動連結されている。なお、回転駆動部90A,90Bと駆動モータ97A,97Bとは連結部材76A,76Bによって連結されている。駆動モータ97A,97BはLMガイド98A,98Bを介して横移動体22A,24Bに設置されており、水平方向に移動可能である。
縦移動体40A,40Bの搬送経路5に沿った前部と後部とには、揺動体60A,60Bを位置決めするための揺動位置決め装置100A,100Bが設けられている。揺動位置決め装置100A,100Bは、シリンダー装置101A,101Bを備えており、揺動体60A,60Bにはシリンダー装置101A,101Bのピストンロッドが嵌入される孔部102A,102Bが形成されている。シリンダー装置101A,101Bのピストンロッドが孔部102A,102Bに嵌入されて、揺動体60A,60Bが位置決めされる。
シリンダー装置101A,101Bを駆動して、ピストンロッドを揺動体60A,60Bの孔部102A,102Bから離間させた状態で、シリンダー装置71A,71Bを駆動して、揺動体60A,60Bを揺動させることができる。
切断・開先加工用刃体82A,82Bは、切断用刃83A,83Bと、切断用刃83A,83Bを挟みこんだ状態で左右対称となるように切断用刃83A,83Bの両側に取り付けられる開先加工用刃84A,84Bとを備えている。開先加工用刃84A,84Bの外周縁には傾斜刃面(研磨面)85A,85Bが設けられている。開先加工用刃84A,84Bの外側には、各々習いローラ86A,86Bが遊転自在に設けられている。以上の22A,22B〜102A,102Bなどにより処理手段21A,21Bの一例が構成される。なお、両処理手段21A,21Bの下方には、切屑などを受け止めて排出するための排出装置が設けられている。
以下に、上記した実施の形態1における作用を説明する。図10(a)に示すように、左右クランプ装置112のシリンダー装置113を収縮動させて挟持体117を離間動させるとともに、上下クランプ装置120のシリンダー装置121を収縮動させて押さえ体122を上昇動させることで、両クランプ手段111A,111Bを非クランプ姿勢とする。そして両処理手段21A,21Bにおいて、図11に示すように、横移動体22A,22Bを搬送経路5に対して離間動させる。さらに、一方の処理手段21Aにおいては縦移動体40Aを下降させ、他方の処理手段21Bにおいては縦移動体40Bを上昇させる。
この状態で、前工程(各種成形機)側にある角形鋼管1を、ローラコンベア6によって搬送経路5上を長さ方向に搬送する。角形鋼管1は、先端が切断用刃82A,82Bを少し越えた所定の位置まで搬送される。次いで図10(b)に示すように、クランプ手段111A,111Bを用いて角形鋼管1をクランプする。すなわち、左右クランプ装置112のシリンダー装置113を伸展動させて挟持体117を角形鋼管1の両側面に当接させ、角形鋼管1の両側をクランプする。また、上下クランプ装置120のシリンダー装置121を伸展動させて角形鋼管1の上面に押さえ体122を当接させ、角形鋼管1をローラコンベア6のローラ7群との間で上下からクランプする。
クランプ手段111A,111Bを用いて角形鋼管1を所定位置に固定した状態で、処理手段21A,21Bを作動させて角形鋼管1先端の切断除去を行う。すなわち、駆動モータ97A,97Bを駆動することで、巻き掛け伝動機構95A,95Bを介して回転駆動部90A,90Bを回転させる。回転駆動部90A,90Bに設けられた歯車を回転軸92A,92B、93A,93B、94A,94Bに設けられた歯車と順次噛み合わせて減速した状態で、駆動軸79A,79Bに設けられた切断・開先加工用刃体82A,82Bを駆動回転させる。
図11に示す状態で、横移動装置24A,24Bのモータ28A,28Bを駆動して螺子体26A,26Bを回転させる。螺子体26A,26Bは、横移動体22A,22B側のナット体30A,30Bに螺合しており、横移動体22A,22Bを搬送経路5に対して接近方向に横移動させることができる。
図12(a)に示す状態から切断・開先加工用刃体82A,82Bを横移動させる。図12(b)に示すように、一方の切断・開先加工用刃体82Aの軸心69Aが下部の辺部1a中央に下方から対向したときに、一方の横移動装置24Aを停止するとともに、他方の切断・開先加工用刃体82Bの軸心69Bが上部の辺部1a中央に上方から対向したときに、他方の横移動装置24Bを停止する。
次に、昇降動装置42A,42Bのモータ43A,43Bを駆動して螺子体45A,45Bを回転させる。螺子体45A,45Bは、縦移動体40A,40B側のナット体46A,46Bに螺合されているので、縦移動体40A,40Bを昇降動させることができる。すなわち、一方の縦移動体40Aを上昇動させて、図12(c)に示すように、回転している切断用刃83Aを下方から辺部1aに入り込ませる。さらに、他方の縦移動体40Bを下降動させて、回転している切断用刃83Bを上方から辺部1aに入り込ませる。
入り込んだ切断用刃83Aが、図12(d)に示すように、辺部1aの上面側に抜ける直前に位置したとき、横移動装置24Aを駆動して横移動体22Aを横移動させる。さらに、揺動位置決め装置100Aを解除してシリンダー装置71Aを駆動して揺動体60Aを揺動させて、辺部1aの上面側に抜ける直前に位置している切断用刃83Aを斜めに傾いた方向に上昇動させる。
入り込んだ切断用刃83Bが、図12(d)に示すように、辺部1aの下面側に抜ける直前に位置したとき、横移動装置24Bを駆動して横移動体22Bを横移動させる。さらに、揺動位置決め装置100Bを解除してシリンダー装置71Bを駆動して揺動体60Bを揺動させて、辺部1aの下面側に抜ける直前に位置している切断用刃83Bを斜めに傾いた方向に下降動させる。このとき切断用刃83Bは図6に示すイの位置からロの位置へ移動する。
揺動体60A,60Bを駆動することによって、切断用刃83A,83Bに斜め方向の力を加えることができるので、横移動体22A,22Bと縦移動体40A,40Bのみ駆動する場合よりも安定した状態で切断用刃83A,83Bを斜めに傾いた方向に移動させることができる。
図12(e)に示すように、切断用刃83Aの刃先が辺部1aの上面側に抜け、切断用刃83Bの刃先が辺部1aの下面側に抜けて、軸心69Aと69Bとが角形鋼管1の外周面との間に一定の距離を保持した状態で、縦移動体40A,40Bと揺動体60A,60Bとの駆動を停止する。
以後、切断用刃83Aは、刃先が角形鋼管1の内面側に抜け、軸心69Aと角形鋼管1の外周面との間に一定の距離を保持した状態で、角形鋼管1の一方側に沿って移動して角形鋼管1の一方側を切断する。さらに、切断用刃83Bは、刃先が角形鋼管1の内面側に抜け、軸心69Bと角形鋼管1の外周面との間に一定の距離を保持した状態で、角形鋼管1の他方側に沿って移動して角形鋼管1の他方側を切断する。
まず、図12(e)に示す状態から、一方の横移動体22Aを横移動させ、回転駆動している切断用刃83Aを一方側の隅部1bに向かって移動させて、下部辺部1aを切断する。また、他方の横移動体22Bを横移動させ、回転駆動している切断用刃83Bを他方側の隅部1bに向かって移動させて、上部辺部1aを切断する。
図12(f)に示すように、切断用刃83AがR状に形成された下部隅部1bの下端に位置すると、縦移動体40Aを駆動し、さらに揺動体60Aを駆動する。横移動体22Aを横移動させるとともに縦移動体40Aを上昇動させ、さらに揺動体60Aを揺動させて、下部隅部1bのRに沿って切断用刃83Aを移動させる。さらに、切断用刃83BがR状に形成された上部隅部1bの上端に位置すると、縦移動体40Bを駆動し、さらに揺動装置62Bを駆動する。横移動体22Bを横移動させるとともに縦移動体40Bを下降動させ、さらに揺動体60Bを揺動させて、上部隅部1bのRに沿って切断用刃83Bを移動させる。
切断用刃83A,83Bは、隅部1bを切断する間に、進行方向が水平方向から垂直方向に変化するので、横移動体22A,22Bと縦移動体40A,40Bとのみ駆動して、隅部1bを安定した状態で切断することは難しい。揺動装置62A,62Bを駆動して切断用刃83A,83Bに斜め方向の力を加えることによって、安定した切断を行うことができる。
図13(a)に示すように、切断用刃83AがR状に形成された下部隅部1bを切断して下部隅部1bの上端に位置すると、横移動装置24Aおよび揺動体60Aの駆動を停止して、縦移動体40Aを上昇動させ、切断用刃83Aを一方側の辺部1aに沿って上方に移動させる。さらに、切断用刃83BがR状に形成された上部隅部1bの下端に位置すると、横移動装置24Bおよび揺動体60Bの駆動を停止して、縦移動体40Bを下降動させ、切断用刃83Bを他方側の辺部1aに沿って下方に移動させる。
図13(b)に示すように、切断用刃83Aが、R状に形成された上部隅部1bの下端に位置すると、横移動装置24Aを駆動して横移動体22Aを横移動させるとともに揺動体60Aを揺動させる。縦移動体40Aを上昇動させ、横移動体22Aを横移動させ、さらに揺動体60Aを駆動して、上部隅部1bのRに沿って切断用刃83Aを移動させる。さらに、切断用刃83Bが、R状に形成された下部隅部1bの上端に位置すると、横移動装置24Bを駆動して横移動体22Bを横移動させるとともに揺動体60Bを揺動させる。縦移動体40Bを下降動させ、横移動体22Bを横移動させ、さらに揺動体60Bを駆動して、下部隅部1bのRに沿って切断用刃83Bを移動させる。
切断用刃83A,83Bは、隅部1bを切断する間に、進行方向が垂直方向から水平方向に変化するので、横移動体22A,22Bと縦移動体40A,40Bとのみ駆動して、隅部1bを安定した状態で切断することは難しい。揺動装置62A,62Bを駆動して切断用刃83A,83Bに斜め方向の力を加えることによって、安定した切断を行うことができる。
図13(c)に示すように、切断用刃83Aが、R状に形成された上部隅部1bを切断して上部隅部1bの上端に位置すると、縦移動体40Aの駆動を停止し、さらに揺動体60Aの駆動を停止した状態で、横移動体22Aを横移動させ、切断用刃83Aを一方側上部の辺部1aに沿って移動させる。さらに、切断用刃83Bが、R状に形成された下部隅部1bを切断して下部隅部1bの下端に位置すると、縦移動体40Bの駆動を停止し、さらに揺動体60Bの駆動を停止した状態で、横移動体22Bを横移動させ、切断用刃83Bを他方側下部の辺部1aに沿って移動させる。
図13(d),(e)に示すように、切断用刃83Aの回転中心が、上部辺部1aの中央部に上方から対向したときに、横移動装置24Aを停止する。さらに、切断用刃83Bの回転中心が下部辺部1aの中央部に下方から対向したときに、他方の横移動装置24Bを停止する。昇降動装置42Aを駆動して一方の縦移動体40Aを上昇動させ、上部の辺部1aに入り込んでいる切断用刃83Aを抜き取る。さらに、昇降動装置42Bを駆動して他方の縦移動体40Bを下降動させ、下部の辺部1aに入り込んでいる切断用刃83Bを抜き取る。
このように、横移動装置24A,24Bによって横移動体22A,22Bを横移動させる動作と、昇降動装置42A,42Bによって縦移動体40A,40Bを昇降動させる動作と、シリンダー装置71A,71Bによって揺動体60A,60Bを揺動させる動作との組み合わせ動作により、回転駆動している一対の切断用刃83Aと83Bとを角形鋼管1の外周面に沿って移動させて、角形鋼管1の先端の切断を行うことができる。なお、切断した先端部分1Aは、たとえば落下させて除去される。
揺動体60A,60Bを駆動して、辺部1aの上面側に抜ける直前に位置している切断用刃83Aを、斜めに傾いた方向に上昇動させて辺部1aの上面側に抜き、さらに、辺部1aの下面側に抜ける直前に位置している切断用刃83Bを、斜めに傾いた方向に下降動させて辺部1aの下面側に抜くことによって、切断面にバリが出ることを防止することができるとともに、切断用刃83A,83Bに掛かる負荷を軽減することができる。
隅部1bは、隅部1bのRに沿って切断用刃83A,83Bを移動させて切断されるので、隅部1bの切断面にバリが出ることを防止することができるとともに、切断用刃83A,83Bに掛かる負荷を軽減することができる。
つぎに、角形鋼管1の切断端面2に対して開先加工を行う。開先加工は、切断・開先加工用刃体82A,82Bを上述した切断加工のルートを概ね逆方向に移動させて行われる。すなわち、図14(a)〜(c)に示すように、一方の縦移動体40Aを下降動させて、回転駆動している開先加工用刃84Aの傾斜刃面85Aを上部辺部1aに当接させ、昇降動装置42Aを停止する。さらに、他方の縦移動体40Bを上昇動させて回転駆動している開先加工用刃84Bの傾斜刃面85Bを下部辺部1aに当接させ、昇降動装置42Bを停止する。
開先加工用刃84A,84Bを横移動,昇降動または揺動させて開先加工をする際に、習いローラ86A,86Bが辺部1aや隅部1bの外面に当接して遊転しながら移動するので、開先加工用刃84A,84Bによる加工位置(加工姿勢)を好適にすることができるとともに、開先加工用刃84A,84Bの損傷を減らすことができる。
図14(c)に示す状態から、一方の横移動体22Aを横移動させて、回転駆動している開先加工用刃84Aを一方側の上部隅部1bに向かって移動させて、上部辺部1aの開先加工を行う。さらに、他方の横移動体22Bを横移動させて、回転駆動している開先加工用刃84Bを他方側の下部隅部1bに向かって移動させて、下部辺部1aの開先加工を行う。
図14(d)に示すように、開先加工用刃84Aが、R状に形成された上部隅部1bの上端に位置すると、縦移動体40Aを駆動し、さらに揺動体60Aを駆動する。横移動体22Aを横移動させるとともに縦移動体40Aを下降動させ、さらに揺動体60Aを揺動させて、上部隅部1bのRに沿って開先加工用刃84Aを移動させる。さらに、開先加工用刃84BがR状に形成された下部隅部1bの下端に位置すると、縦移動体40Bを駆動し、さらに揺動装置62Bを駆動する。横移動体22Bを横移動させるとともに縦移動体40Bを上昇動させ、さらに揺動体60Bを揺動させて、下部隅部1bのRに沿って開先加工用刃84Bを移動させる。
開先加工用刃84A,84Bは、隅部1bの開先加工をする間に、進行方向が水平方向から垂直方向に変化するので、横移動体22A,22Bと縦移動体40A,40Bとのみ駆動して、安定した状態で隅部1bの開先加工をすることは難しい。揺動装置62A,62Bを駆動して開先加工用刃84A,84Bに斜め方向の力を加えることによって、安定した開先加工を行うことができる。
図14(e)に示すように、開先加工用刃84Aが上部隅部1bの下端に位置すると、横移動体22Aと揺動装置62Aとの駆動を停止する。縦移動体40Aを下降動させて開先加工用刃84Aを一方側の辺部1aに沿って下方に移動させる。さらに、開先加工用刃84Bが下部隅部1bの上端に位置すると、横移動体22Bと揺動装置62Bとの駆動を停止する。縦移動体40Bを上昇動させて開先加工用刃84Bを他方側の辺部1aに沿って上方に移動させる。
図14(f)に示すように、開先加工用刃84Aが下部隅部1bの上端に位置すると、横移動装置24Aを駆動して横移動体22Aを横移動させるとともに揺動体60Aを揺動させる。縦移動体40Aを下降動させ、横移動体22Aを横移動させ、さらに揺動体60Aを駆動して、下部隅部1bのRに沿って開先加工用刃84Aを移動させる。さらに、開先加工用刃84Bが、R状に形成された上部隅部1bの下端に位置すると、横移動装置24Bを駆動して横移動体22Bを横移動させるとともに揺動体60Bを揺動させる。縦移動体40Bを上昇動させ、横移動体22Bを横移動させ、さらに揺動体60Bを駆動して、上部隅部1bのRに沿って開先加工用刃84Bを移動させる。
開先加工用刃84A,84Bは、隅部1bの開先加工をする間に、進行方向が垂直方向から水平方向に変化するので、横移動体22A,22Bと縦移動体40A,40Bとのみ駆動して、安定した状態で隅部1bの開先加工をすることは難しい。揺動装置62A,62Bを駆動して開先加工用刃84A,84Bに斜め方向の力を加えることによって、安定した開先加工を行うことができる。
図15(a)に示すように、開先加工用刃84Aが下部隅部1bの下端に位置すると、縦移動体40Aと揺動装置62Aとの駆動を停止する。横移動体22Aを横移動させて開先加工用刃84Aを一方側下部の辺部1aに沿って移動させる。さらに、開先加工用刃84Bが上部隅部1bの上端に位置すると、縦移動体40Bと揺動装置62Bとの駆動を停止する。横移動体22Bを横移動させて開先加工用刃84Bを他方側上部の辺部1aに沿って移動させる。
図15(b)に示すように、開先加工用刃84Aの軸心69Aが、下部辺部1aの中央部に下方から対向したときに、一方の横移動体22Aの横移動を停止する。さらに、開先加工用刃84Bの軸心69Bが上部辺部1aの中央部に上方から対向したときに、他方の横移動体22Bの横移動を停止する。縦移動体40Aを駆動して一方の縦移動体40Aを下降動させ、下部辺部1aに当接している開先加工用刃84Aを下方に引き離して縦移動体40Aの下降動を停止する。さらに、縦移動体40Bを駆動して他方の縦移動体40Bを上昇動させ、上部辺部1aに当接している開先加工用刃84Bを上方に引き離して縦移動体40Bの上昇動を停止する。
図15(c)に示すように、横移動体22Aを横移動させて、開先加工用刃84Aをホームポジションに移動させる。さらに、横移動体22Bを横移動させて、開先加工用刃84Bをホームポジションに移動させる。そして両クランプ手段111A,111Bを非クランプ姿勢(クランプ解除)とする。開先加工を行った角形鋼管1は、搬送経路5上をローラコンベア6によって搬送される。図15(d)は、開先加工用刃84A,84Bがホームポジションに戻った状態を示す。
開先加工用刃84A,84Bは、辺部1aおよび隅部1bに沿って移動するので、開先加工用刃84A,84Bに掛かる負荷を軽減することができるとともに良好な開先を形成することができる。
上述では、角形鋼管1先端の切断と、切断された先端の切断端面2に対する開先加工を行っているが、同様にして、角形鋼管1後端の切断と、切断された後端の切断端面2に対する開先加工を行うことができる。また、角形鋼管1の中間の切断、すなわち所定寸法の切断を行ったのち、この切断により生じた一対(前後両側)の切断端面2に対して、切断・開先加工用刃体82A,82Bによって同時に開先加工を行うことができる。
たとえば切断用刃による角形鋼管1の中間部の切断を行った後、上下クランプ装置120によるクランプを開放し、摺動用シリンダー装置118によって両クランプ手段111A,111Bの挟持体117を搬送経路5の方向において互いに離間動させることで、クランプ手段111A,111Bによりクランプしている角形鋼管1を互いに離間動させて、切断端面2間の隙間距離を調整することができる。これによって、角形鋼管1のサイズや開先加工用刃の厚さの変化などに対応して、上下クランプ装置120をクランプした状態で、両切断端面の開先加工を同時に好適に行うことができる。
なお、本処理設備は、種々の角形鋼管1に対応することができる。たとえば短外寸で薄肉な角形鋼管に対しても、切断・開先加工用刃体82A,82Bの横移動,昇降動あるいは揺動を制御することで、同様に切断や開先加工を行うことができる。
このようにして角形鋼管1の切断端面2に対して開先加工を行って開先を形成することができる。すなわち、処理手段21A,21Bを配設した1箇所において、角形鋼管1の切断を行って切断端面2を形成し、切断端面2に対して開先を形成することができる。クランプ手段111A,111Bは処理手段21A,21Bに対応した位置のみに設けられる。これによって、製造ラインを短くすることができ、設備の小型化、低価格化を図ることができる。
上記の実施の形態では、横移動装置24A,24Bや昇降動装置42A,42Bとして螺子体26A,26B、45A,45Bを使用した形式が示されているが、シリンダー装置を使用した形式や駆動チェーンを使用した形式などであってもよい。
このように、角形鋼管1を長さ方向に搬送する搬送経路5の部分に、角形鋼管1のクランプ手段111A,111Bと、搬送経路5を挟んだ左右一対の処理手段21A,21Bとが設けられ、処理手段21A,21Bは搬送経路5に対して接近離間方向に横移動自在として、本体10側に設けられた横移動体22A,22Bと、本体10と横移動体22A,22Bとの間に設けられ横移動体22A,22Bを駆動する横移動装置24A,24Bと、横移動体22A,22Bに対して昇降動自在に設けられた縦移動体40A,40Bと、横移動体22A,22Bと縦移動体40A,40Bとの間に設けられ縦移動体40A,40Bを駆動する昇降動装置42A,42Bと、縦移動体40A,40Bに対して搬送経路5に沿った前後方向軸心の周りに揺動可能に支持される揺動体60A,60Bと、縦移動体40A,40Bと揺動体60A,60Bとの間に設けられ揺動体60A,60Bを駆動する揺動装置62A,62Bと、角形鋼管1を切断する切断用刃83A,83Bと、切断用刃83A,83Bが切断した鋼管端面の開先加工を行う開先加工用刃84A,84Bとを同一軸心上に一体的に備え揺動体60A,60Bに回転自在に取付けられる切断・開先加工用刃体82A,82Bとを備えているので、処理設備である処理手段21A,21Bを構成する部品点数および加工時間を減らすことができる。鋼管1の内面側に抜ける直前に位置している切断用刃83A,83Bを斜めに傾いた方向に移動させて切断用刃83A,83Bの刃先を鋼管1の内面側に抜く場合、あるいは鋼管1の隅部1bを切断する場合に、揺動体60A,60Bを揺動させて切断用刃83A,83Bに斜め方向の力を加えることによって、切断用刃83A,83Bに掛かる負荷を減らし、鋼管1の切断面にバリが出ることを防止することができる。
さらに、開先加工用刃84A,84Bが、切断用刃83A,83Bの両側に切断用刃83A,83Bを中心として左右対称に設けられているので、鋼管1の中間部を切断した後、この切断により生じた一対(前後両側)の切断端面に対して同時に開先加工を行うことができる。
さらに、揺動体60A,60Bは、搬送経路5側上部が縦移動体40A,40Bに対して揺動可能に支持されており、搬送経路5側下部に切断・開先加工用刃体82A,82Bが取り付けられているので、揺動体60A,60Bを揺動させて容易に切断用刃83A,83Bに斜め方向の力を加えることができる。
本実施の形態では角形鋼管の切断および切断面の開先加工について説明したがこれに限定されるものではない。たとえば、丸形鋼管の切断および切断面の開先加工を行う場合にも適用することができる。この場合には、ローラコンベア6は鼓形ローラ群により形成され、クランプ手段111A,111Bの挟持体117の内周面が凹円弧状面に形成され、さらに押さえ体122の下面が凹円弧状面に形成される。