JP5474116B2 - 太陽電池用保護シート - Google Patents
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Description
太陽電池の前面保護シート又は裏面保護シートに用いられる保護材としては、紫外線に対する耐久性や高熱環境を経た後のカール発生の抑制効果に優れることが要求されるが、加えて、湿気等の透過による内部の導線や電極の発錆を防止するために、防湿性に優れることが極めて重要な要件となる。更には長期使用や高温条件下における防湿性の低下が少ない優れた保護材の開発が望まれている。
また、特許文献2は、基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面にエチレン-酢酸ビニル共重合体を未硬化の塗膜を形成する工程Aと、前記未硬化の塗膜を硬化させる工程Bを経て形成された太陽電池モジュール用保護シートとすることで、太陽電池モジュールとした場合の反りを抑制できることを提案している。
すなわち、本発明の課題は、太陽電池保護シートなどの保護シート、及びこれを使用する太陽電池モジュールなどの積層体品のカール発生を抑制し外観が良好な保護シート、及び該保護シートを用いた太陽電池モジュールを提供することにある。
また、本発明の課題は、積層体端面のデラミネーションを抑制しうる保護シートを提供することにある。
(1)少なくとも、耐候性フィルム、接着剤層、フィルムA、接着剤層、及び厚みが60μm以上であるフィルムBをこの順に有する保護シートであって、前記耐候性フィルムの幅a、フィルムAの幅b、及びフィルムBの幅cがa>c>bの関係を有することを特徴とする保護シート、
(2)幅cに対する幅bの比(b/c)が0.65以上、1.0未満であり、かつ幅cと幅bの差(c−b)が32mm以下である、前記(1)に記載の保護シート、
(3)幅aに対する幅cの比(c/a)が0.80以上、1.0未満、かつ幅aと幅cの差(a−c)が80mm以下である、前記(1)又は(2)に記載の保護シート、
(4)フィルムBの厚みに対する、耐候性フィルムの厚みの比(耐候性フィルムの厚み/フィルムBの厚み)が、0.75以下である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の保護シート、
(6)フィルムAが、基材及び該基材の少なくとも一方の面に無機層を有し、水蒸気透過率が0.1[g/m2・日]未満の防湿フィルムである、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の保護シート、
(7)接着剤層が粘着剤を含む、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の保護シート、
(8)耐候性フィルムの熱収縮率が0.5%以上である、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の保護シート、
(9)太陽電池用として用いる、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の保護シート、
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の保護シートが巻き取られてなるフィルムロール、及び
(11)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の保護シートを用いて作製された太陽電池モジュール、
に存する。
なお、本発明において、「○以上、△以下」を「○〜△」と表すことがある。
また、本発明によれば、保護シートの積層体端面のデラミネーションを抑制しうる保護シートを提供することができる。
複数のフィルムの積層体からなる保護シートにおいては、その構成フィルム各々の熱収縮率の相違により、例えば、高温環境を経た場合、著しいカールが発生することがある。例えば、太陽電池モジュールにおいては、曝露面側の耐候性フィルムと防湿層等の他のフィルム層との熱収縮率が異なるため、カールが発生しやすい。
本発明は、少なくとも、耐候性フィルム、接着剤層、フィルムA、接着剤層及び厚みが60μm以上であるフィルムBをこの順に有する保護シートであって、前記耐候性フィルムの幅a、フィルムAの幅b、及びフィルムBの幅cがa>c>bの関係を有することを特徴とする保護シートに関する。以下、各構成フィルムについて詳述する。
本発明の保護シートは、長期の耐久性を付与するために、耐加水分解性や耐候性を備えた耐候性フィルムを有する。
耐候性フィルムは、耐候性を有する点でフッ素系樹脂フィルムが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)等が好ましく用いられる。
耐候性フィルムとしては、真空ラミネーション時や高温高湿時の温度・湿度変化においてもその特性変化が小さいことが好ましいことから、例えば、ポリエチレンナフタレートなどの低収縮性耐候基材の使用や、熱収縮率が大きいポリエチレンテレフタレートフィルムやフッ素系フィルムの場合は、事前の熱処理による低収縮率化等が行われたフィルムを使用することが好ましい。
また、耐候性フィルムの熱収縮率は、加熱前のサンプル長をL0、150℃の温度条件下において30分間オーブンで加熱処理した後のサンプル長をL1としたとき、(L0−L1)×100/L0の式から算出され、フィルムの幅方向または長さ方向の少なくともいずれかの熱収縮率が0.3%以上である場合、本発明によるカール抑制効果が顕著であり、好ましくは0.3〜5.0%であり、更に好ましくは、0.5〜4.0%、特に好ましくは1.0〜3.5%である場合、その効果がより顕著である。また、フィルムの幅方向及び長さ方向の熱収縮率が上記範囲の場合、その効果が特に顕著である。
フィルムAは、前記耐候性フィルムと接着剤層を介して積層されるものであり、例えば、種々の用途において、水蒸気バリア性や酸素バリア性を有するものが好ましく用いられ、具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、生分解性樹脂等を材料とする樹脂フィルムや、基材に無機層を形成した防湿フィルムが使用される。本発明の保護シートが太陽電池用保護シートに使用される場合は、防湿フィルムであることが好ましい。
フィルムAの厚さは、一般に5〜100μm程度であり、生産性や取り扱いやすさの点から8〜50μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。
防湿フィルムとしては、基材及び基材の少なくとも一方の面に形成される無機層を少なくとも有するものが好ましい。太陽電池用保護シートとしては、長期に高い防湿性を保持することが望まれるため、初期の防湿性も一定以上のものである必要がある。したがって、上記防湿フィルムは水蒸気透過率が0.1[g/m2・日]未満であることが好ましく、より好ましくは0.05[g/m2・日]以下であり、更に好ましくは、0.03[g/m2・日]以下である。また、該防湿フィルムは、太陽電池用保護材が、受光面側に用いられるフロントシートとして使用される場合には、透明であることが好ましい。
具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、生分解性樹脂等が挙げられ、中でも熱可塑性樹脂が好ましい。更にフィルム物性、コスト等の点から、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンが好まく、表面平滑性、フィルム強度、耐熱性等の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
かかる基材は、従来公知の方法により製造することができ、例えば、原料を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して、急冷することにより実質的に無定型で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。また、多層ダイを用いることにより、1種の樹脂からなる単層フィルム、1種の樹脂からなる多層フィルム、多種の樹脂からなる多層フィルム等を製造することができる。
フィルムBは、前記フィルムAに接着剤層を介して貼合されるフィルムであり、厚みが60μm以上の樹脂フィルムが用いられ、また、23℃における弾性率が、好ましくは2.0GPa以上のものが用いられる。上記性状を有することで、フィルムBは、他の構成層の収縮に対して変形を抑制する効果を持つため、カールの発生抑制に優れたものとなる。
上記観点から、カール発生の抑制に必要なフィルムBの厚みは、60〜300μm以上であることが好ましく、フィルムの取り扱いやすさとコストの点からより好ましくは75〜250μm程度であり、更に好ましくは100〜200μmである。また、23℃における弾性率は、2.0〜10.0GPaであることがより好ましく、2.0〜8.0GPaであることが更に好ましい。上記範囲の弾性率を有することにより、外力の変形に対する変形抵抗を発揮することができ、保護シートおよび保護シートを含む積層品のカールを十分に抑えることが可能となり好ましい。ここで、弾性率とは、応力−歪み曲線の直線部の傾きから求められる引張弾性率を指し、JIS K7161:1994に準拠した引張試験の方法により求めることができる。
本発明の保護シートは、前記耐候性フィルムとフィルムAの間、フィルムAとフィルムBの間にそれぞれ接着剤層を有する。
保護シートの製造においては、例えば、耐候性フィルムと防湿フィルム(フィルムA)、更には防湿フィルムとフィルムBをそれぞれ接着剤層を介して積層する。この際、溶剤を用いて希釈した接着剤を各フィルム上、例えば、フィルムB、防湿フィルムの基材側に所定の厚みに塗布し、通常70℃〜140℃の範囲での乾燥により溶剤を蒸発させフィルム上に接着剤層を形成した後、他の樹脂フィルム等を接着剤層側に向けて貼合することを繰り返し、最後に所定の温度での養生を経て作成する。養生は例えば30℃〜80℃の範囲で1日から1週間行なわれる。
なお、本発明における引張り貯蔵弾性率は、実施例に記載の方法により求めた値である。
保護シートの防湿性の劣下の原因として、接着剤自身の防湿性の劣下も挙げられる。これについては加水分解しにくい接着剤を選択することが有効である。
前記アクリル系(共)重合体の主モノマー成分としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル等のアクリル酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記アクリル系(共)重合体の官能基含有モノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、前記アクリル系粘着剤が上述のアクリル系(共)重合体である場合の分子量としては、質量平均分子量で30万〜150万であるものが好ましく、40万〜100万であることが更に好ましい。質量平均分子量を上記範囲にすることによって被着体に対する密着性や接着耐久性を確保し、浮きや剥がれなどを抑制することができる。
接着剤層と無機層が強い化学結合を形成すると、接着剤層の粘弾性の変化や接着剤層塗膜の分解、収縮によって無機層に大きな応力がかかるが、無機層と接着剤層が化学結合を形成する要因は、例えばSiOx層等の無機層の欠陥部分と接着剤層中の水酸基等が反応することによると考えられる。これを抑制するためには、接着剤中の反応性官能基の数を減らせばよく、接着剤層の塗布、硬化後の未反応官能基の数を少なくすることが好ましい。
本発明において、接着剤層は、前述したように、耐候性フィルム、フィルムA又はフィルムBに直接塗工することにより形成してもよいし、前記接着剤を剥離処理された剥離シートの剥離処理面に塗工し、これを耐候性フィルム等に接合することにより形成することもできる。
塗工する前記接着剤(以下、塗工液という)には、有機溶剤系、エマルション系、無溶剤系があるが、耐水性が問われる太陽電池シート等の用途には有機溶剤系が望ましい。
有機溶剤系の塗工液に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソブタノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
塗工液の塗工は、例えば、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、エアドクターコート法、ドクターブレードコート法等、従来公知の塗工方法により行うことができる。
塗工後、通常70〜140℃の温度で1〜5分程度乾燥処理することにより、接着剤層が形成される。
本発明の保護シートは、少なくとも、耐候性フィルム、接着剤層、フィルムA、接着剤層及び厚みが60μm以上であるフィルムBをこの順に有するものであり、前記耐候性フィルムの幅a、フィルムAの幅b、及びフィルムBの幅cがa>c>bの関係を有する。幅a、b及びcが上記関係を満たさない場合や、フィルムBの厚みが60μm未満の場合は、耐候性フィルム、フィルムA及びフィルムBの各々の熱収縮率の相違により、得られる積層体においてカールの発生が著しく、またはデラミネーションを起こし、本発明の課題を解決することができない。
なお、本発明において、「フィルムの幅」とは、保護シートがロールで提供される場合はロールから巻きだしたフィルムの長さ方向に対して横方向の長さをいい、枚葉で提供される場合は4辺のうちの短辺側をいう。
保護シート全体の厚みとしては、特に限定されるものではないが、好ましくは90〜600μmであり、より好ましくは100〜400μmであり、更に好ましくは120〜320μmである。
また、本発明の保護シートは、加工性、運搬性、生産性、外観保護等の観点から、ロール形状で用いることが好ましく、少なくとも50m以上、好ましくは100m以上が巻き取られてロールの形で提供されるのが望ましい。
本発明の保護シートの好ましい態様である太陽電池用保護シートは、少なくとも、前記フッ素系樹脂フィルム、前記接着剤層、前記フィルムAとしての防湿フィルム、前記接着剤層及び前記フィルムBとしての保護フィルムをこの順に有するものが好ましく、フロントシートに用いる場合、フッ素系樹脂フィルムを曝露側に有するものであることが好ましい。
本発明の太陽電池用保護シートには、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、諸物性(柔軟性、耐熱性、透明性、接着性等)や成形加工性あるいは経済性等を更に向上させる目的で、その他の層を積層させてもよい。
本発明の太陽電池用保護シートにおいて積層しうるその他の層としては、通常、太陽電池用保護材に使用しうるいかなる層も使用可能であるが、例えば封止材、集光材、導電材、伝熱材、水分吸着材等の層が挙げられる。
これらのその他の層には、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。該添加剤としては、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、耐候安定剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等が挙げられるが、これらに限られない。
本発明の太陽電池用保護シートは、初期防湿性に優れ、且つ、高温高湿環境下での保存においても防湿性やデラミネーション防止にも優れる。
なお、本発明における各防湿性はJIS Z0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z0208「防湿包装材量の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じ評価することができる。
本発明の保護シートは、そのまま、あるいは更にガラス板等と貼り合わせて太陽電池用表面保護シートとして用いることができる。
太陽電池用保護シートをフロントシート、バックシート等の表面保護材の層構成に使用し、太陽電池素子を封止材とともに固定することにより太陽電池モジュールを製作することができる。
本発明の太陽電池保護シートは、特に、電子デバイスの中でも、化合物系発電素子太陽電池モジュールやアモルファスシリコン系等のフレキシブル太陽電池モジュール用の太陽電池用保護材として好適に用いられる。
本発明における太陽電池用保護シートを用いて、太陽電池モジュールを形成する場合、前記太陽電池発電素子の種類により防湿性が、水蒸気透過率で0.1[g/(m2・日)]未満程度の低防湿フィルムから0.01[g/(m2・日)]未満程度の高防湿フィルムまで素子のタイプに応じて適宜選択し、適当な引張り貯蔵弾性率と厚みを有する粘着剤を使用し積層して形成する。
また、バッチ式の製造設備やロール・ツー・ロール式の製造設備等も適用することができる。
また本発明の保護シートは上記太陽電池の他、液晶表示素子、電磁波シールド、タッチパネル、有機デバイス、カラーフィルター及び真空断熱材等の工業部材としての用途にも展開できる。
(1)フィルムBの弾性率
JIS K6734:2000に基づき、平行部幅10mm、長さ40mmの引張試験ダンベルに成形し、JIS K7161:1994に準拠して引張試験を行い、応力−歪み曲線の直線部の傾きから求められた値を弾性率とした。
シリコーン離型PETフィルム上に粘着剤を、厚み10g/m2となるよう塗布し、40℃で4日間養生し、更にその後150℃、30分保持し接着剤層(粘着剤層)を形成した。その後当該接着剤層のみを取り出し、所定の厚みに重ね、試料(縦4mm、横60mm、厚み200μm)を調製し、得られた試料について、アイティ計測(株)製の粘弾性測定装置、商品名「粘弾性スペクトロメーターDVA−200」を用いて、振動周波数10Hz、歪0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmで横方向について、−100℃から180℃までサンプルに印加される歪に対する応力を測定し、得られたデータから100℃における引張り貯蔵弾性率(MPa)を求めた。
保護シートを、150℃に保持したオーブン内に平置きし、5分間静置させた。その後、保護シートの四隅の高さをマイクロノギスによって測定し、四隅の測定値の平均値をカール値とした。標線は保護シートを耐候性フィルムが上向きになるように水平の台の上に置いた時、台と保護シートが接する面とした。
カール値測定の結果をもとにカール抑制効果を下記の基準で判断した。
〇:カール値が5〜20mm
△:カール値が20mmより大きく30mm以下
×:カール値が30mmより大きい
ガラス、封止材、各保護シートの順に,耐候性フィルムの端面に各端面が揃うように積層し、また耐候性フィルムが外側に向くようにセットし、150℃×15分の条件で真空ラミネーションを行い、外観状態を観察し、下記基準で評価した。
◎:フィルムBと耐候性フィルムの間に封止材が回り込んでおり、かつ、耐候性フィルムの突き出し部分のシワもない
〇:フィルムBと耐候性フィルムの間に封止材が回り込んでおり、かつ、耐候性フィルムの突き出し部分のシワが確認できる
△:フィルムBと耐候性フィルムの間に封止材が回り込んでいない
×:封止材と耐候性フィルムがデラミネーション
(耐候性フィルム)
C−1:フッ素系樹脂フィルム
テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)フィルム(旭硝子(株)製、商品名:アフレックス50 MW1250DCS、厚み50μm、150℃での熱収縮率:3.0%)
C−2:PETフィルム
二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱樹脂社製、商品名:T100、厚み50μm、150℃での熱収縮率:1.0%)
C−3:二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱樹脂社製、商品名:T100、厚み50μm)に170℃でヒートセット加工処理し、熱収縮率が0.3%である
C−4:二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱樹脂社製、商品名:T100、厚み75μm、150℃での熱収縮率:0.3%)に170℃でヒートセット加工処理したもの
C−5:二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱樹脂社製、商品名:T100、厚み125μm、150℃での熱収縮率:0.3%)に170℃でヒートセット加工処理したもの
C−6:アイソタクチックポリプロピレン樹脂
アイソタクチックポリプロピレン樹脂に、白色化剤として酸化チタン(8質量%)と紫外線吸収剤として超微粒子酸化チタン(粒子径:0.01〜0.06μm、3質量%)とを添加し、その他、所用の添加剤を添加し、充分に混練してポリプロピレン樹脂組成物を調製し、次いで、該ポリプロピレン樹脂組成物を押出機で押し出して、厚み125μmの無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを製造した。
温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置を用い、アクリル酸ブチル90質量部、アクリル酸10質量部、酢酸エチル75質量部、トルエン75質量部の混合溶液に、アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部を加え、窒素ガス雰囲気下、80℃で8時間重合した。反応終了後、トルエンにて固形分30質量%に調製し、質量平均分子量50万である樹脂を得た。得られた樹脂100質量部に対して、イソシアナート系架橋剤としてコロネートL(商品名:日本ポリウレタン工業社製、固形分75質量%)1質量部を添加して、粘着剤を調製した。
基材として、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン製、「Q51C12」)を用い、そのコロナ処理面に、下記のコート液を塗布乾燥して厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成した。
次いで、真空蒸着装置を使用して1.33×10-3Pa(1×10-5Torr)の真空下でSiOを加熱蒸発させ、アンカーコート層上に厚さ50nmのSiOx(x=1.5)薄膜を有する防湿フィルムAを得て、幅180mm、長さ180mmに裁断し使用した。作製した防湿フィルムAの水蒸気透過率は0.01[g/m2・日]であった。
日本合成(株)製「ゴーセノール」(ケン化度:97.0〜98.8mol%、重合度:2400)のポリビニルアルコール樹脂220gをイオン交換水2810gに加え加温溶解した水溶液に、20℃で攪拌しながら35%塩酸645gを加えた。次いで、10℃でブチルアルデヒド3.6gを攪拌しながら添加し、5分後に、アセトアルデヒド143gを攪拌しながら滴下し、樹脂微粒子を析出させた。次いで、60℃で2時間保持した後、液を冷却し、炭酸水素ナトリウムで中和し、水洗、乾燥し、ポリビニルアセトアセタール樹脂粉末(アセタール化度75mol%)を得た。
また、架橋剤としてイソシアネート樹脂(住友バイエルウレタン(株)製「スミジュールN−3200」)を用い、水酸基に対するイソシアネート基の当量比が1:2になるように混合した。
ブリヂストン社製、封止材 商品名:EVASKY S11(厚み500μm融点69.6℃)を使用した。
AGCファブリテック社製太陽電池専用カバーガラス TCB09331(3.2mm厚)を使用し、実施例、比較例それぞれで使用する耐候性フィルムと同じサイズのガラスに切削加工し使用した。
38μmシリコーン離型PETフィルムに粘着剤を厚みが固形分換算10μmとなるよう塗布し、乾燥して粘着剤層(幅は防湿フィルムAと同じ、長さ:250mm)を形成し、その粘着面に厚み12μmの防湿フィルムA(幅:328mm、長さ:250mm)のSiOX面を貼り合せた。そのシリコーン離型PETフィルム付き防湿フィルムのSiOX背面側に粘着剤を厚みが固形分換算で10μmとなるように塗布し、乾燥して粘着剤層(幅は防湿フィルムAと同じ、長さ:250mm)を形成させ、その粘着面に厚み125μmの熱収縮率低減PETフィルムC−5(幅:330mm、長さ:250mm)を貼合した。
次に、防湿フィルムAのSiOX面側のシリコーン離型PETフィルムを剥離し、厚み50μmのフッ素系樹脂フィルムC−1(幅:380mm、長さ:250mm、熱収縮率:3.0%)を貼り合わせた。その後、40℃で4日間養生を行い、厚み207μmの保護シートD−1を作成した。
作成した保護シートD−1を150℃に保持したオーブン内に平置きし、5分間静置させ、カール値を測定した。更に、ガラス、封止材、保護シートD−1(フッ素系樹脂フィルムが曝露側)の順になるように積層し、150℃×15分の条件で真空ラミネートを行い外観状態を評価した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、結果を表2に示す。
防湿フィルムAの幅を326mmとした以外は、実施例1と同様に厚み207μmの保護シートD−2を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
防湿フィルムAの幅を320mmとした以外は、実施例1と同様に厚み207μmの保護シートD−3を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
防湿フィルムAの幅を310mmとした以外は、実施例1と同様に厚み207μmの保護シートD−4を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
防湿フィルムAの幅を296mmとした以外は、実施例1と同様に厚み207μmの保護シートD−5を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
防湿フィルムAの幅を70mm、熱収縮率低減PETフィルムC−5の幅を90mm、フッ素系樹脂フィルムC−1の幅を100mmとした以外は、実施例1と同様に厚み207μmの保護シートD−6を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
防湿フィルムAの幅を346mm、熱収縮率低減PETフィルムC−5の幅を350mmとした以外は、実施例1と同様に厚み207μmの保護シートD−7を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
熱収縮率低減PETフィルムC−5の幅を300mmとした以外は、実施例5と同様に厚み207μmの保護シートD−8を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
フッ素系樹脂フィルムC−1をPETフィルムC−2(幅:380mm、長さ:250mm、熱収縮率:1.0%)とした以外は、実施例2と同様に厚み207μmの保護シートD−9を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
熱収縮率低減PETフィルムC−5の厚みを75μmとした二軸延伸ポリエステルフィルムC−4を用いた以外は、実施例2と同様に厚み157μmの保護シートD−10を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
熱収縮率低減PETフィルムC−5をアイソタクチックポリプロピレン樹脂C−6(幅:330mm、長さ:250mm、弾性率:1.5GPa)とした以外は、実施例2と同様に厚み207μmの保護シートD−11を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例2と同様の評価を行った結果を表2に示す。
防湿フィルムAを厚み50μmの熱収縮率低減PETフィルムC−3(幅:326mm、長さ:250mm)とした以外は、実施例2と同様に厚み245μmの保護シートD−12を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
防湿フィルムAの幅を330mm、とした以外は、実施例1と同様に厚み207μmの保護シートD−13を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
防湿フィルムの幅を376mm、熱収縮率低減PETフィルムC−5の幅を380mmとした以外は、実施例1と同様に厚み207μmの保護シートD−14を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
熱収縮率低減PETフィルムC−5の厚みを50μmとした二軸延伸ポリエステルフィルムC−3を用いた以外は、実施例2と同様に厚み132μmの保護シートD−15を作成した。各層の構成及び幅、厚みの関係を表1に示し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
2・・・接着剤層
3・・・フィルムA
4・・・接着剤層
5・・・フィルムB
Claims (17)
- 少なくとも、耐候性フィルム、接着剤層、フィルムA、接着剤層、及び厚みが60〜300μmであるフィルムBをこの順に有する太陽電池用保護シートであって、前記耐候性フィルムの幅a、フィルムAの幅b、及びフィルムBの幅cがa>c>bの関係を有し、前記耐候性フィルムはフッ素系樹脂フィルムであり、前記フィルムAは厚み5〜100μmのポリエステル系フィルムを有し、前記フィルムBは、23℃における弾性率が1.5〜10.0GPaであり、フィルムBの厚みに対する、耐候性フィルムの厚みの比(耐候性フィルムの厚み/フィルムBの厚み)が、0.2以上2.0以下であることを特徴とする太陽電池用保護シート。
- 幅cに対する幅bの比(b/c)が0.65以上、1.0未満であり、かつ幅cと幅bの差(c−b)が32mm以下である、請求項1に記載の太陽電池用保護シート。
- 幅aに対する幅cの比(c/a)が0.80以上、1.0未満であり、かつ幅aと幅cの差(a−c)が80mm以下である、請求項1又は2に記載の太陽電池用保護シート。
- フィルムBの厚みに対する、耐候性フィルムの厚みの比(耐候性フィルムの厚み/フィルムBの厚み)が、0.75以下である請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用保護シート。
- フィルムBの、23℃における弾性率が2.0〜8.0GPaである、請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池用保護シート。
- フィルムBが、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、フッ素樹脂、アクリレート樹脂、生分解性樹脂及び酪酢酸セルロールから選ばれる樹脂からなるフィルム、あるいは該フィルム中に有機材又は無機材を添加してなるフィルムである、請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池用保護シート。
- フィルムAが、基材である前記ポリエステル系フィルム及び該基材の少なくとも一方の面に無機層を有し、水蒸気透過率が0.1[g/m2・日]未満の防湿フィルムである、請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池用保護シート。
- 前記基材であるポリエステル系フィルムが、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレート及び/又はポリエチレンナフタレートと他の樹脂との共押出二軸延伸フィルムから選ばれる何れかである、請求項7に記載の太陽電池用保護シート。
- 前記基材であるポリエステル系フィルムの熱収縮率が0.01〜5%である、請求項7又は8に記載の太陽電池用保護シート。
- 接着剤層が粘着剤を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の太陽電池用保護シート。
- 耐候性フィルムの熱収縮率が0.3%以上である、請求項1〜10のいずれかに記載の太陽電池用保護シート。
- 耐候性フィルムの熱収縮率が0.5%以上である、請求項1〜11のいずれかに記載の太陽電池用保護シート。
- 耐候性フィルムの熱収縮率が5.0%以下である、請求項1〜12のいずれかに記載の太陽電池用保護シート。
- 耐候性フィルムの厚みが20〜150μmである、請求項1〜13のいずれかに記載の太陽電池用保護シート。
- 前記フッ素系樹脂が、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体またはテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体である、請求項1〜14のいずれかに記載の太陽電池用保護シート。
- 請求項1〜15のいずれかに記載の太陽電池用保護シートが巻き取られてなるフィルムロール。
- 請求項1〜15のいずれかに記載の太陽電池用保護シートを用いて作製された太陽電池モジュール。
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