JP5473873B2 - 能動型液封入式防振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、能動型液封入式防振装置に関し、特に、軸方向一方および軸方向他方の両方向への駆動軸の変位を規制できる能動型液封入式防振装置に関するものである。
防振すべき振動の周波数に対応した周期の加振力を、アクチュエータの駆動力を利用して発生させ、振動を積極的に低減させる能動型液封入式防振装置が知られている。例えば、特許文献1には、電磁式アクチュエータ68の駆動力を利用して、加振板112を受圧室42,48内で加振する能動型液封入式防振装置が開示されている。
この特許文献1に開示される能動型液封入式防振装置は、エンジン側に取り付けられる第1の取付金具12と、車体側に取り付けられる第2の取付金具14とが本体ゴム弾性体16によって連結され、第2の取付金具14に取り付けられたダイヤフラム26と本体ゴム弾性体16との間に液封入室が形成されると共に、この液封入室は、仕切金具40によって受圧室42,48と平衡室44とに仕切られている。加振板112は、仕切金具40に形成された透孔110に嵌め入れられており、かかる加振板112が電磁式アクチュエータ68により入力振動と逆位相で加振されることで、振動が低減される。
ところで、特許文献1に開示される能動型液封入式防振装置には、加振板112の変位を規制する手段が設けられていない。そのため、大振幅の振動が入力され、加振板112の変位が電磁式アクチュエータ68の許容変位を越えた場合には、電磁式アクチュエータ68の損傷を招く恐れがある。また、電磁式アクチュエータ68が制御不能となり暴走した場合には、加振板112の変位が過大となり、ダイヤフラム26等の損傷を招く恐れがある。
この変位規制に関し、特許文献2には、電磁加振器90の駆動ロッド168(駆動軸)に弾性ストッパ134を当接させて変位を規制する技術が開示されている。即ち、電磁加振器90の下方底部を蓋部材132で覆い、その蓋部材132の上面に弾性ストッパ134を重ね合わせることで、電磁加振器90の駆動ロッド168が軸方向下方へ過大に変位された場合には、その軸方向下方への変位が弾性ストッパ134の当接により受け止められ、駆動ロッド168の変位が規制される。
特開2005−291276号公報(図1、段落[0035,0053〜0056]など) 特開2007−252017号公報(図1、段落[0046〜0049]など)
しかしながら、上述した特許文献2の技術では、電磁加振器90の下方底部に設けた弾性ストッパ134が駆動ロッド168(駆動軸)を受け止めることで、かかる駆動ロッド168の変位を規制する構造であるため、駆動ロッド168の変位を規制できる方向は、軸方向下方への変位に限られる。即ち、駆動ロッド168の軸方向上方への変位は規制できないという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、軸方向一方および軸方向他方の両方向への駆動軸の変位を規制できる能動型液封入式防振装置を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段および発明の効果
請求項1記載の能動型液封入式防振装置によれば、アクチュエータの駆動力により駆動軸が軸方向へ駆動されると、ピストン部材が軸方向へ加振変位され、第1液室の液圧制御が行われる。
この場合、請求項1によれば、ピストン部材の外周面から径方向外方へ張り出すと共に第1液室に配設される第1張出部材と、ピストン部材の外周面から径方向外方へ張り出すと共に第2液室に配設され仕切り部材を挟んで第1張出部材と反対側に配設される第2張出部材とを備えるので、ピストン部材の軸方向一方への変位が所定量以上となった場合には、第1張出部材が仕切り部材に当接されると共に、ピストン部材の軸方向他方への変位が所定量以上となった場合には、第2張出部材が仕切り部材に当接されることで、ピストン部材の変位を規制することができる。即ち、駆動軸の変位を、軸方向一方および軸方向他方の両方向において、規制することができるという効果がある。
これにより、アクチュエータが制御不能となり暴走した場合、軸方向一方および軸方向他方のいずれの方向に対しても、駆動軸の変位を所定範囲内に規制することができるので、ダイヤフラム等の損傷を確実に防止することができる。同様に、大振幅の振動が入力された場合、軸方向一方および軸方向他方のいずれの方向に対しても、駆動軸の変位をアクチュエータの許容変位内に規制することができるので、アクチュエータの損傷を確実に防止することができる。
このように、請求項1は、第1張出部材および第2張出部材を、ピストン部材の外周面から張り出させると共に仕切り部材を挟む位置に配設することで、液封入室を仕切るための仕切り部材を利用して、ピストン部材(駆動軸)の変位を規制する構成である。即ち、既存の構成を利用することで、新たな部材の追加を抑制できるので、その分、製品コストの削減を図ることができる。
請求項2記載の能動型液封入式防振装置によれば、請求項1記載の能動型液封入式防振装置の奏する効果に加え、ピストン部材がゴム状弾性体からダイヤフラムと一体に形成されているので、これらピストン部材とダイヤフラムとを別部品とする場合と比較して、これら両部品をかしめ加工などにより連結する必要がない。また、一体であれば、これら両部品を同時に加硫成形することができる。よって、部品点数および製造工数を低減して、その分、製品コストの削減を図ることができるという効果がある。
更に、第1張出部材および第2張出部材がピストン部材と一体に形成されているので、加硫成形時にピストン部材と同時に第1張出部材および第2張出部材も形成することができる。また、第1張出部材および第2張出部材をピストン部材の外周面に接着等により固着する作業の必要もない。よって、部品点数および製造工数を低減して、製品コストの削減を図ることができるという効果がある。また、ピストン部材と第1張出部材および第2張出部材との間の固着を強固として、第1張出部材および第2張出部材による変位規制機能の信頼性を向上することができるという効果がある。
また、このように、ピストン部材に第1張出部材および第2張出部材が一体とされていれば、仕切り部材へピストン部材を組み付ける作業は、ピストン部材を第1張出部材側から仕切り部材の挿通孔へ挿入し、第1張出部材を挿通孔の反対側へ飛び出させれば、組み付け作業を完了させることができる。よって、ピストン部材を挿通孔内に配置させつつ別体の第1張出部材をピストン部材に装着するなどの作業が不要なので、その分、組み付け作業における作業工数の低減を図ることができるという効果がある。
一方で、このように、仕切り部材の挿通孔へピストン部材を挿入して組み付ける場合に、挿通孔を第1張出部材が通過する必要のある構成であると、その分、挿通孔の内径を大きくする必要がある。そのため、ピストン部材の外周面と挿通孔の内周面との間の隙間が大きくなり、隙間から液圧が逃げやすくなるため、発生力の低下を招く。これに対し、請求項2では、周方向に連続すると共に第1張出部材に連接される凹部がピストン部材の外周面に凹設されるので、仕切り部材の挿通孔へピストン部材を挿入し、挿通孔の出口側まで第1張出部材を通過させる場合には、凹部により形成された空間内に第1張出部材を収納することができる。その結果、第1張出部材を挿通孔の出口側まで通過させる作業を容易として、組み付け作業の作業性の向上を図りつつ、ピストン部材の外周面と挿通孔の内周面との間の隙間を小さくすることで、ピストン部材の加振変位による発生力の向上を図ることができる。
請求項3記載の能動型液封入式防振装置によれば、請求項1記載の能動型液封入式防振装置の奏する効果に加え、ピストン部材が、外周面から径方向外方へ第1張出部材が張り出す第1液室側ピストンと、外周面から径方向外方へ第2張出部材が張り出す第2液室側ピストンと、第1液室側ピストンのねじ穴に挿通され駆動軸のねじ締結穴に螺合されることで第1液室側ピストンを第2液室側ピストンに締結固定する締結ねじとを備えるので、仕切り部材の挿通孔を挟んだ両側に第1液室側ピストンと第2液室側ピストンとをそれぞれ配設し、これら第1液室側ピストンと第2液室側ピストンとを締結ねじで締結固定することで、仕切り部材を挟んで第1張出部材と反対側に第2張出部材が配設された状態を得ることができる。
即ち、ピストン部材を第1張出部材側から仕切り部材の挿通孔へ挿入し、第1張出部材を挿通孔の反対側へ飛び出させることで、仕切り部材にピストン部材を組み付ける場合のように、挿通孔の内径を第1張出部材が通過可能な寸法とする必要がなく、かかる挿通孔の内径を第1液室側ピストン又は(及び)第2液室側ピストンの外径のみに基づいて設定することができるので、挿通孔の内径をより小さな寸法に設定することができる。よって、ピストン部材の外周面と挿通孔の内周面との間の隙間から液圧が逃げることを抑制できるので、ピストン部材の加振変位による発生力の向上を図り、その結果、第1液室の液圧制御を確実に行うことができるという効果がある。
また、第2液室側ピストンがダイヤフラムとゴム状弾性体から一体に形成されると共に、第2張出部材が第2液室側ピストンとゴム状弾性体から一体に形成されるので、加硫成形時には、これらダイヤフラム、第2液室側ピストン及び第2張出部材を同時に形成することができる。また、第2張出部材を第2液室側ピストンの外周面に接着等により固着する作業の必要もない。よって、部品点数および製造工数を低減して、製品コストの削減を図ることができるという効果がある。また、第2液室側ピストンと第2張出部材との間の固着を強固として、第2張出部材による変位規制機能の信頼性を向上することができるという効果がある。
請求項4記載の能動型液封入式防振装置によれば、請求項3記載の能動型液封入式防振装置の奏する効果に加え、第1液室側ピストン及び第1張出部材がゴム状弾性体から形成されるので、第1液室側ピストンが樹脂材料や金属材料から形成される場合と比較して、軽量化を図ることができるという効果がある。一方、加硫成形時には、これら第1液室側ピストン及び第1張出部材を同時に形成することができる。また、第1張出部材を第1液室側ピストンの外周面に接着等により固着する作業の必要もない。よって、部品点数および製造工数を低減して、製品コストの削減を図ることができるという効果がある。また、第1液室側ピストンと第1張出部材との間の固着を強固として、第1張出部材による変位規制機能の信頼性を向上することができるという効果がある。
この場合、第1液室側ピストンがゴム状弾性体から形成されると、加振変位時に受ける液圧により第1液室側ピストンが弾性変形して、力の伝達ロスが発生する。そのため、第1液室側ピストンの加振変位による発生力が低下して、第1液室の液圧制御が不十分となる。これに対し、請求項4では、金属材料から形成される締結ねじの頭部が、駆動軸よりも大径に形成されるので、加振変位時に受ける液圧を締結ねじの頭部に受け止めさせて、力の伝達ロスを低減することができる。これにより、発生力を確保して、第1液室の液圧制御を確実に行うことができるという効果がある。
本発明の第1実施の形態における能動型液封入式防振装置の断面図である。 図1の一部を拡大して図示した能動型液封入式防振装置の部分拡大断面図である。 (a)は、仕切り板の上面図であり、(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における仕切り板の断面図である。 (a)は、ダイヤフラム及びピストン部材の上面図であり、(b)は、図4(a)のIVb−IVb線におけるダイヤフラム及びピストン部材の断面図である。 第2実施の形態における能動型液封入式防振装置の部分拡大断面図である。 第3実施の形態における能動型液封入式防振装置の断面図である。 図6の一部を拡大して図示した能動型液封入式防振装置の部分拡大断面図である。 (a)は、ダイヤフラム及び第2液室側ピストンの上面図であり、(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線におけるダイヤフラム及び第2液室側ピストンの断面図である。 (a)は、第1液室側ピストンの底面図であり、(b)は、図9(a)のIXb−IXb線における第1液室側ピストンの断面図である。 第4実施の形態における能動型液封入式防振装置の部分拡大断面図である。 第5実施の形態における能動型液封入式防振装置の断面図である。 (a)は、第1仕切り板の上面図であり、(b)は、図12(a)のXIIb−XIIb線における第1仕切り板の断面図である。 (a)は、第2仕切り板の上面図であり、(b)は、図13(a)のXIIIb−XIIIb線における第2仕切り板の断面図である。 (a)は、ダイヤフラム及びピストン部材の上面図であり、(b)は、図14(a)のXIVb−XIVb線におけるダイヤフラム及びピストン部材の断面図である。 (a)は、逃げ凹部と張出部材との位相が一致した状態を示す模式図であり、(b)は、図15(a)の状態からピストン部材が90度回転した状態を示す模式図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における能動型液封入式防振装置100の断面図であり、図2は、図1の一部を拡大して図示した能動型液封入式防振装置100の部分拡大断面図である。また、図1及び図2では、エンジンを支持する前の状態(即ち、エンジンの重量が負荷される前の状態)を図示している。
この能動型液封入式防振装置100は、自動車のエンジンを支持固定しつつ、そのエンジン振動を車体フレームへ伝達させないようにするための防振装置であり、図1及び図2に示すように、エンジン側に取り付けられる第1取付け金具1と、エンジン下方の車体フレーム側に取付けられる筒状の第2取付け金具2と、これらを連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体3と、第2取付け金具2に取付けられて防振基体3との間に液封入室8を形成すると共にゴム状弾性体から構成されるダイヤフラム7と、そのダイヤフラム7に連結され金属材料から形成される駆動軸23を有すると共にダイヤフラム7を挟んで液封入室8と反対側に配設されるアクチュエータ20と、そのアクチュエータ20の駆動軸23により軸方向へ加振変位されるピストン部材9と、そのピストン部材9が挿通される挿通孔15を有する仕切り板11とを備えている。
第1取付け金具1は、アルミニウム合金などの金属材料から略円柱状に形成され、その上端面には、内周面にめねじが螺刻されためねじ部1aが凹設されている。また、第1取付け部1の外周部には、径方向外方へ略フランジ状に張り出す張出部1bが形成されており、この張出部1bがストッパ金具6と当接することで、大変位時のストッパ作用が得られるように構成されている。
第2取付け金具2は、防振基体3が加硫成形される筒状金具4と、その筒状金具4の下方にかしめ加工により固着される底金具5とを備えている。筒状金具4は上広がりの開口を有する筒状に、底金具5は底部を有するカップ状に、それぞれ鉄鋼材料などから形成されている。なお、筒状金具4の開口周縁には、第1取付け金具1における張出部1bの外周側および上面側を囲うストッパ金具6がかしめ加工により固着されている。また、底金具5の底部には、取付けボルト5aが突設されている。
防振基体3は、ゴム状弾性体から円錐台形状に形成され、第1取付け金具1の下面側と筒状金具4の上端開口部との間に加硫接着されている。また、防振基体3の下端部には、筒状金具4の内周面を覆うゴム膜3aが連なっており、このゴム膜3aには、仕切り板11の外周縁が密着されることで、仕切り板11とゴム膜3aとの間にオリフィス13が形成される。
ダイヤフラム7は、ゴム状弾性体から蛇腹状に屈曲したゴム膜として形成され上面視円環状の取付け板10に加硫接着されている。このダイヤフラム7は、取付け板10が、筒状金具4の下方に底金具5がかしめ加工により固着されるかしめ部に、狭持固定されることで、第2取付け金具2に取着される。その結果、このダイヤフラム7の上面側と防振基体3の下面側との間に液封入室8が形成される。なお、液封入室8には、エチレングリコールなどの不凍性の液体(図示せず)が封入される。
ピストン部材9は、ゴム状弾性体から円柱状に形成される部材であり、ダイヤフラム7と一体に形成される。ピストン部材9の外周面からは、第1張出部材41及び第2張出部材42が径方向外方へ向けて張り出し形成されている。また、ピストン部材9の内部には、軸状の埋設部材12が加硫接着されている。これらピストン部材9と埋設部材12とは、第2取付け金具2の軸心Oに沿って(本実施の形態では同軸に)縦姿勢に配設されている。ピストン部材9は、駆動軸23を介して、アクチュエータ20の駆動力が伝達されることで、液封入室8内で軸心O方向に加振変位される。これにより、液封入室8の液圧制御が行われる。なお、埋設部材12は、駆動軸23の一部をなす部材であり、後述する可動子22と共に駆動軸23を構成する。
仕切り板11は、樹脂材料から円板状に形成され、この仕切り板11が防振基体3とダイヤフラム7との間に配設されることで、液封入室8が防振基体3側の第1液室8aとダイヤフラム7側の第2液室8bとの2室に仕切られる。なお、仕切り板11は、軸心O方向に沿って穿設された挿通孔15を備える。挿通孔15には、ピストン部材9が挿通され、ピストン部材9が第1液室8a及び第2液室8bを仕切る区画壁の一部を形成している。また、仕切り板11は、ダイヤフラム7の取付け板10と防振基体3の膜部3aに形成された段部との間で挟圧保持される。
アクチュエータ20は、鉄心可動形の電磁石式のリニアアクチュエータであり、ダイヤフラム7を挟んで液封入室8と反対側に配設され、底金具5により形成される収納空間に外部から密閉された状態で収納保持されている。
アクチュエータ20は、第2取付け金具2に固定された固定子21と、その固定子21に対して往復動可能に支持されるとともにピストン部材9に連結されてこれを加振変位させる可動子22とを備える。
可動子22は、第2取付け金具2の軸心Oに沿って(本実施の形態では同軸に)縦姿勢に配設された軸状部材であり、その先端部が、ピストン部材9に埋設された埋設部材12に同軸に連結され、これら可動子22と埋設部材12とが一体となってピストン部材9を軸心O方向に沿って上下に加振変位(往復動)させる。
可動子22は、上述したように、埋設部材12と共に駆動軸23を構成する。即ち、駆動軸23は、可動子22と、埋設部材12と、ボルトとを備えて構成される。具体的には、可動子22は、軸心Oに沿って貫通孔を有する筒状に形成される一方、埋設部材12は、基端側に開口し内周面にめねじが螺刻されためねじ部を備え、可動子22の基端側から挿通されたボルトの先端を埋設部材12のめねじ部に螺合することで、可動子22と埋設部材12とが一体に連結され、駆動軸23が構成される。
可動子22の外周面には、電磁鋼板等の磁性金属よりなる多数の金属板を積層してなる可動子鉄心としての磁性材部24が固設される。磁性材部24は、軸心O方向に所定間隔を隔てつつ複数個(本実施の形態では2個)が設けられている。また、可動子22は、上下一対の弾性支持材である板バネ25を介して、固定子21に対して、軸心O方向に往復動可能に、かつ、軸心O方向位置および軸心Oの直交方向位置を位置決めした状態に支持されている。
固定子21は、可動子22の外周を同軸に取り囲む環状をなし、その中空部において可動子22を軸心O方向に往復動可能に支持しており、取付け板50によって底金具5内に吊り下げ状態に保持されている。取付け板50は、筒状金具4の下方に底金具5がかしめ加工により固着されるかしめ部に、ダイヤフラム7の取付け板10と共に狭持固定されている。
固定子21は、電磁鋼板等の磁性金属よりなる多数の環状の金属板を積層してなるヨーク26と、ヨーク26の中央部において磁性材部24を挟んで相対向するように両側より径方向内方に向かって突出する一対の磁極部28を備える。
磁性材部24に対向する固定子21の磁極部28の先端(即ち、磁極部28の内端)には、可動子22の往復動方向(軸心O方向)に沿って隣り合った状態に並設されつつ可動子22に対向する上下一対の円弧板状をなす永久磁石30,31が、それらの磁極が互いにNS交互の異極をなすように、可動子22の往復移動方向と直交する方向に磁極を並べて、かつ、互いの磁極(N極とS極)の並びが逆となる状態に配設されている。なお、本実施の形態では、上下一対の永久磁石30,31が、磁性材部24に対応させて、軸心O方向に2組が並設されている。
固定子21の一対の磁極部28には、それぞれその周りにコイル32が、可動子22の往復動方向(軸心O方向)と直交する方向の軸心周りに巻回され、一対の永久磁石30,31を通る磁束が発生可能に構成されている。本実施の形態では、一対の永久磁石30,31が、磁性材部24を挟んで対向する固定子21の一対の磁極部28の内端部にそれぞれ設けられており、両磁極部28それぞれの永久磁石30,31は、可動子22の往復動方向と直交する方向で可動子22を挟んで対向すると共に、この対向する磁極が互いに異極をなすように磁極の並びを左右(図1左右)で逆にして配設されている。
これにより、コイル32に正方向の電流を流すと、コイル32に発生する起磁力の向きと上側の永久磁石30の起磁力の向きとが同一となって、起磁力が強まる。一方、下側の永久磁石31の起磁力の向きとコイル32の起磁力の向きが反対になって、両者の起磁力が相殺されて弱まる。その結果、磁性材部24に上向きの力が作用して、可動子22が上昇する。一方、コイル32に逆方向の電流を流すと、上記とは反対に、磁性材部24に下向きの力が作用して、可動子22が下降する。よって、コイル32の電流の向きを正逆に交互に切り替えることで、可動子22を上下に往復動変位させることができる。
次いで、図3を参照して、仕切り板11の詳細構成について説明する。図3(a)は、仕切り板11の上面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における仕切り板11の断面図である。
仕切り板11は、樹脂材料から軸心O周りに対称な円板形状に形成され、外周側には、径方向外向きに開かれた断面コの字状をなすオリフィス形成部14が形成される。即ち、仕切り板11は、上面視円形の板状体の下面から軸心Oに沿って筒状体が垂下されると共に、その筒状体の外周面から壁部が径方向外方へ張り出し形成されることで、その外周側にオリフィス形成部14が形成される。また、仕切り板11は、オリフィス形成部14の内周側(軸心O側)に、ダイヤフラム7及びピストン部材9を収納するための、下方に開かれた空間が形成されている。
オリフィス形成部14は、筒状金具4の内周を覆うゴム膜3aに密着することで、断面略矩形状のオリフィス13を形成する(図1参照)。オリフィス形成部14は、そのオリフィス形成部14の上側の壁部に凹欠形成される切欠き部14aと、オリフィス形成部14の胴部に開口形成される開口部14bと、オリフィス形成部14の上下の壁部および胴部を接続する縦壁14cとを備える。オリフィス13は、縦壁14cにより周方向に分断され、切欠き部14aを介して第1液室8aに連通されると共に、開口部14bを介して第2液室8bに連通される(図1参照)。即ち、本実施の形態では、切欠き部14aから開口部14bまで約半周の流路長を持つオリフィス流路として、オリフィス13が形成される。
仕切り板11の中央部には、挿通孔15が穿設される。挿通孔15は、軸心Oに同軸で内径が直径D1の孔として形成され、ピストン部材9が挿通される(図2参照)。なお、挿通孔15には、図3(b)下拡がりの抜き勾配(例えば、3度)が付与されている。この場合、直径D1は、挿通孔15の最小径に対応する。
次いで、図4を参照して、ダイヤフラム7及びピストン部材9の詳細構成について説明する。図4(a)は、ダイヤフラム7及びピストン部材9の上面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb−IVb線におけるダイヤフラム7及びピストン部材9の断面図である。
ダイヤフラム7は、上述したように、防振基体3との間に液封入室8を形成するゴム膜状の部材であり、取付け板10とピストン部材9との間で、断面視蛇腹状に屈曲されている。これにより、限られたスペース内において、ダイヤフラム7の自由長が確保されている。
なお、本実施の形態では、ダイヤフラム7の中央側がピストン部材9の下面(図4(b)下側面)及び第2張出部材42と略平行に形成されている。よって、ゴム加硫金型からのダイヤフラム7及びピストン部材9等の脱型性が確保される。
ピストン部材9は、上述したように、ゴム状弾性体からダイヤフラム7と一体に形成される部材であり、軸心Oに同軸で外径が直径D2の円柱状体に形成され、仕切り板11の挿通孔15に挿通される(図2参照)。なお、ピストン部材9の直径D2は、挿通孔15の直径D1(図3参照)よりも小さく(例えば、2mm小さく)されている(D2<D1)。また、ピストン部材9の外径は、本実施の形態では、軸心Oに沿って一定の大きさに設定されている。但し、軸心Oに沿って所定の勾配が一部または全部に付与されていても良い。
ピストン部材9の軸心O方向上端および下端(図4(b)上側および下側)における外周面からは、第1張出部材41及び第2張出部材42が径方向外方へ向けてフランジ状に張り出して形成される。第1張出部材41は、第1液室8a側に配設される部材であり(図2参照)、第1張出部材41の直径D3は、挿通孔15の直径D1(図3参照)よりも大きくされている(D1<D3)。よって、ピストン部材9のアクチュエータ20へ近接する方向への変位が所定量以上に達した場合には、第1張出部材41が仕切り板11の上面(図2参照)に当接することで、ピストン部材9の変位が規制され、ストッパ作用を得ることができる。
第2張出部材42は、第2液室8b側に配設される部材であり(図2参照)、第1張出部材41の直径D3と同径に設定されている。よって、ピストン部材9の防振基体3へ近接する方向への変位が所定量以上に達した場合には、第2張出部材41が仕切り板11の下面(図2参照)に当接することで、ピストン部材9の変位が規制され、ストッパ作用を得ることができる。
また、ピストン部材9の外周面には、径方向内方へ向けて断面U字状に延びる凹部9aが凹設されている。凹部9aは、周方向に連続すると共に第1張出部材41の下面(図4下側面)に連接される。これにより、仕切り板11の挿通孔15へピストン部材9を挿入し、挿通孔15の出口側まで第1張出部材41を通過させる場合には(図2参照)、凹部9aにより形成された空間内に第1張出部材41を収納することができるので、第1張出部材41を挿通孔15の出口側まで通過させる作業を容易とすることができる。その結果、仕切り板11へピストン部材9を組み付ける組み付け作業の作業性を向上させることができる。また、挿通孔15の直径D1(図3参照)をより小径として、ピストン部材9の直径D2との差を小さくすることができるので、その分、発生力の向上を図ることができる。
なお、第1張出部材41と第2張出部材42とは、厚み寸法(図4(b)上下方向寸法)が同一の寸法に設定されている。また、第1張出部材41の外周縁部は、径方向外方へ向かうほど厚み寸法が小さくなる断面先細形状に形成される。これにより、上述した第1張出部材41を挿通孔15の出口側まで通過させる作業をより容易として、組み付け作業の作業性の向上を図ることができる。
ここで、ピストン部材9は、ゴム状弾性体から構成されるので、加振変位時に受ける液圧によりピストン部材9が弾性変形して、力の伝達ロスが発生する。そのため、ピストン部材9の加振変位による発生力が低下して、第1液室8aの液圧制御が不十分となる。
これに対し、本実施の形態では、金属材料から形成される埋設部材12(駆動軸23)がピストン部材9の内部に埋設されるので、加振変位時に受ける液圧を埋設部材12に受け止めさせることができる。よって、力の伝達ロスを低減して、発生力を確保できるので、第1液室8aの液圧制御を確実に行うことができる。
一方で、埋設部材12の軸方向先端(図4(b)上側)は、凹部9aよりも下方に位置するので、仕切り板11にピストン部材9を組み付ける作業時には、ピストン部材9の第1張出部材41側の変形性が埋設部材12により阻害されることを抑制することができる。即ち、挿通孔15の内周面により軸心O側へ向けて第1張出部材41が押圧される場合に、凹部9aにより形成される空間へ第1張出部材41を押し込むと共に、その押し込みに伴ってピストン部材9の上端面側(図4(b)上側)を盛り上がらせる(ピストン部材9を軸心O方向へ伸ばす)ことで、ピストン部材9の外径をより小径として、挿通孔15を通過し易くすることができる。その結果、第1張出部材41を挿通孔15の出口側まで通過させる作業をより容易として、組み付け作業の作業性の向上を図ることができる。
なお、埋設部材12の軸方向先端から凹部9aの下面(図4(b)下側面)までの軸心O方向寸法は、第1張出部材41の厚み寸法および凹部9aの幅寸法(軸心O方向寸法)の合計値よりも大きく、その合計値の1.5倍よりも小さいことが好ましい。埋設部材12に液圧を受け止めさせる効果と、第1張出部材41を挿通孔15の出口側まで通過させやすくする効果との両立を図るためである。
図1及び図2に戻って、以上のように構成された能動型液封入式防振装置100の製造方法について説明する。第1取付け金具1と第2取付け金具2とが防振基体3により連結された第1成形体と、ダイヤフラム7、ピストン部材9、第1張出部材41及び第2張出部材42が一体に形成されると共に取付け板10及び埋設部材12が加硫接着された第2成形体とを、ゴム加硫金型によりそれぞれ加硫成形する。
この場合、能動型液封入式防振装置100は、ピストン部材9がゴム状弾性体からダイヤフラム7と一体に形成されるので、ピストン部材9とダイヤフラム7とを別部品として形成する従来品のように、これら両部品をかしめ加工などにより連結する必要がない。
更に、第1張出部材41及び第2張出部材42がゴム状弾性体からピストン部材9と一体に形成されるので、第1張出部材41及び第2張出部材42を別部品として準備する必要や、第1張出部材41及び第2張出部材42をピストン部材9の外周面に接着等により固着する作業も必要がない。よって、組立工数を低減して、製品コストの削減を図ることができる。また、ピストン部材9を樹脂材料から構成する場合と比較して、材料コストを削減できるので、その分、製品コストの削減を図ることができる。また、ピストン部材9と第1張出部材41及び第2張出部材42との間の固着を強固として、耐久性の向上を図ることができる。
ゴム加硫金型による加硫成型の後は、まず、仕切り板11に第2成形体を組み付けて、中間組立体を組み立てる。具体的には、仕切り板11と第2成形体とを液体中に沈め、仕切り板11の挿通孔15へ第2成形体のピストン部材9を挿入し、挿通孔15の出口側まで第1張出部材41を通過させる(図2参照)。
次いで、第1成形体も液体中に沈め、第1成形体の下方開口から中間組立体を仕切り板11側から筒状金具4内へ挿入し、第1組立体を液体中で組み立てる。その後、この第1組立体を第1取付け金具1が下方となる姿勢で液体外へ取り出し、この姿勢を維持しつつ、アクチュエータ20をダイヤフラム7の下面側から重ね、埋設部材12と可動子22とをボルトにより締結固定する。そして、底金具5をアクチュエータ20に被せ、筒状金具4の下方開口に底金具5をかしめ加工により固着する。また、ストッパ金具6を筒状金具4の上方開口にかしめ加工により固着する。これにより、能動型液封入式防振装置100の製造が完了する。
このように、第2成形体は、ピストン部材9に第1張出部材41及び第2張出部材42が一体とされているので、仕切り板11へ第2成形体を組み付ける場合には、ピストン部材9を第1張出部材41側から仕切り板11の挿通孔15へ挿入し、第1張出部材41を挿通孔15の反対側へ飛び出させれば、組み付け作業を完了させることができる。よって、ピストン部材を挿通孔15内に配置させつつ別体の第1張出部材をピストン部材に装着するなどの作業が不要なので、その分、組み付け作業における作業工数の低減を図ることができる。
一方で、このように、仕切り板11の挿通孔15へピストン部材9を挿入して組み付ける場合に、挿通孔15を第1張出部材41が通過する必要がある構成であると、その分、挿通孔15の内径を大きくする必要がある。そのため、ピストン部材9の外周面と挿通孔15の内周面との間の隙間が大きくなり、隙間から液圧が逃げやすくなるため、発生力の低下を招く。これに対し、本実施の形態では、周方向に連続すると共に第1張出部材41に連接される凹部9aがピストン部材9aの外周面に凹設されるので、第1張出部材41を挿通孔15の出口側まで通過させる作業を容易として、組み付け作業の作業性の向上を図りつつ、ピストン部材9の外周面と挿通孔15の内周面との間の隙間を小さくすることで、ピストン部材9の加振変位による発生力の向上を図ることができる。
次いで、能動型液封入式防振装置100の動作について説明する。比較的大振幅の低周波振動が入力される場合には、仕切り板11に形成されたオリフィス13を介して、第1液室8aと第2液室8bとの間で液体が流通することで、その液体流動効果によって振動を減衰することができる。なお、本実施の形態では、比較的大振幅の低周波振動が入力される場合、アクチュエータ20の動作が停止されている。
比較的小振幅の高周波振動が入力される場合には、制御部(図示せず)によって、アクチュエータ20のコイル32に正弦波交流電圧が印加されることで、可動子22(即ち、埋設部材12と共に構成される駆動軸23)を上下に往復動変位させる。これにより、駆動軸23に連結されたピストン部材9が入力振動に対して逆位相で加振変位される。
即ち、振動入力により、第1取付け金具1(図1参照)が仕切り板11へ向けて近接する方向へ変位されると、ピストン部材9が第1取付け金具1へ近接する方向へ変位され、第1取付け金具1が仕切り板11から離間する方向へ変位されると、ピストン部材9が第1取付け金具1から離間する方向へ変位される。その結果、第1液室8aの液圧を制御し、振動を低減することができる。
なお、ピストン部材9には、金属材料から形成される埋設部材12(駆動軸23)が埋設されるので、加振変位時に受ける液圧を埋設部材12に受け止めさせることができる。よって、力の伝達ロスを低減して、発生力を確保できるので、第1液室8aの液圧制御を確実に行うことができる。
この場合、本実施の形態によれば、第1張出部材41と第2張出部材42とが仕切り板11を挟みつつピストン部材9から張り出し形成されているので、ピストン部材9の第1取付け金具1から離間する方向への変位が所定量以上となった場合には、第1張出部材41が仕切り板11に当接されることで、ピストン部材9の変位を規制すると共に、ピストン部材9の第1取付け金具1へ近接する方向への変位が所定量以上となった場合には、第2張出部材41が仕切り板11に当接されることで、ピストン部材9の変位を規制することができる。即ち、駆動軸23の変位を、軸心O方向一方および軸心O方向他方の両方向において、規制することができる。
これにより、アクチュエータ20が制御不能となり暴走した場合、軸心O方向一方および軸心O方向他方のいずれの方向に対しても、駆動軸23の変位を所定範囲内に規制することができるので、ダイヤフラム7等の損傷を確実に防止することができる。同様に、大振幅の振動が入力された場合、軸心O方向一方および軸心O方向他方のいずれの方向に対しても、駆動軸23の変位をアクチュエータ20の許容変位内に規制することができるので、アクチュエータ20の損傷を確実に防止することができる。
このように、能動型液封入式防振装置100は、第1張出部材41及び第2張出部材42を、ピストン部材9の外周面から張り出させると共に仕切り部材11を挟む位置に配設することで、液封入室8を仕切るための仕切り板11を利用して、ピストン部材9(駆動軸23)の変位を規制する構成である。即ち、既存の構成を利用することで、新たな部材の追加を抑制できるので、その分、製品コストの削減を図ることができる。
次いで、図5を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、第1張出部材41が平板状に形成される場合を説明したが、第2実施の形態の第1梁台部材241は、上面側が傾斜して形成される。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。また、各構成の説明は、第1実施の形態の場合と異なる部分についてのみ説明し、同一の部分についての説明は省略する。
図5は、第2実施の形態における能動型液封入式防振装置200の部分拡大断面図であり、図2に対応する。なお、図5では、エンジンを支持する前の状態(即ち、エンジンの重量が負荷される前の状態)を図示している。
第2実施の形態における第1張出部材241は、第1実施の形態の場合と同様に、ピストン部材209の軸心O方向上端(図5上側)における外周面から径方向外方へ向けて張り出して形成される。この第1張出部材241は、下面(図5下側面)が軸心Oと直交する面として(即ち、第2張出部材42の上下面と平行な面)として形成される一方、上面(図5上側面)が軸心O側から径方向外方へ向けて下降傾斜して形成される。なお、ピストン部材209の上面(図5上側面)の外周縁側も下降傾斜され、第1張出部材241の上面に滑らかに連なっている。
なお、第1張出部材241の直径は、第1実施の形態における第1張出部材241の直径D3と同一(即ち、第2張出部材42の直径と同一)の寸法に設定されている。よって、ピストン部材209のアクチュエータ20へ近接する方向(図5下方)への変位が所定量以上に達した場合には、第1張出部材241が仕切り板11の上面に当接することで、ピストン部材209の変位が規制され、ストッパ作用を得ることができる。
また、第2実施の形態における凹部209aは、周方向に連続すると共に第1張出部材241の下面(図5下側面)に連接されつつ軸心O側へ向けて上昇傾斜する凹部としてピストン部材209の外周面に凹設される。具体的には、凹部209aの上面は、第1張出部材241の下面と平行に軸心O側へ向けて一端延設された後、第1張出部材241の上面よりも大きな角度で上昇傾斜され、凹部209aの下面は、ピストン部材209の外周面から軸心O側へ向けてその凹部209の上面と同じ角度で上昇傾斜される。
第2実施の形態における能動型液封入式防振装置200によれば、仕切り板11の挿通孔15へピストン部材209を挿入し、挿通孔15の出口側まで第1張出部材241を通過させる場合には、凹部209aにより形成された空間内に第1張出部材241を収納することができる。
この場合、凹部209aが軸心O側へ向けて上昇傾斜しているので、挿通孔15の内周面に第1張出部材241が押圧され、凹部209aにより形成される空間へ第1張出部材241が押し込まれる際に、かかる空間を確実に埋めることができる。よって、その押し込みに伴ってピストン部材209の上端面側(図5上側)を盛り上がらせ易くして(ピストン部材209を軸心O方向へ伸ばし易くして)、ピストン部材9の外径をより小径とすることができるので、第1張出部材241を挿通孔15の出口側まで通過させ易くすることができる。更に、第1張出部材241の上面側が下降傾斜しているので、この点においても、第1張出部材241を挿通孔15の出口側まで通過させ易くすることができる。その結果、第1張出部材241を挿通孔15の出口側まで通過させる作業をより容易とすることができるので、仕切り板11にピストン部材209(第2成形体)を組み付ける組み付け作業の作業性の向上を図ることができる。
次いで、図6から図9を参照して、第3実施の形態について説明する。第1実施の形態では、ピストン部材9全体が一体に形成される場合を説明したが、第3実施の形態のピストン部材309は、2部材に分割され、締結ねじ351により2部材を連結するように構成されている。なお、上述した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。また、各構成の説明は、上述した各実施の形態の場合と異なる部分についてのみ説明し、同一の部分についての説明は省略する。
図6は、第3実施の形態における能動型液封入式防振装置300の断面図であり、図7は、図6の一部を拡大して図示した能動型液封入式防振装置300の部分拡大断面図である。なお、図6及び図7では、エンジンを支持する前の状態(即ち、エンジンの重量が負荷される前の状態)を図示している。
ここで、第3実施の形態における仕切り板311と第1実施の形態における仕切り板11との違いは、挿通孔15,315の内径(直径D1)の設定値のみであり、その他の構成については同一であるので、その説明は省略する。なお、第3実施の形態における第1液室側ピストン309aの外径が、第1実施の形態におけるピストン部材9の外径(直径D2)と同一寸法であれば、第3実施の形態における仕切り板311の挿通孔315は、少なくとも第1実施の形態における仕切り板11の挿通孔15よりも小さな内径に設定される。
図6及び図7に示すように、ピストン部材309は、第1液室側ピストン309aと、第2液室側ピストン309bとの2部材に分割して形成されている。第1液室側ピストン309aは、ゴム状弾性体から軸心Oに同軸の円柱状体に形成され、仕切り板311の挿通孔315に挿通される。第2液室側ピストン309bは、軸心Oに同軸の円盤状に形成され、ゴム状弾性体からダイヤフラム7と一体に形成される。これら第1液室側ピストン309a及び第2液室側ピストン309bは、軸心O方向に連結された状態(即ち、第1液室側ピストン309aの底面側(図6及び図7下側面)に第2液室側ピストン309bが重ねあわされた状態)で、締結ねじ351により締結固定される。
第1液室側ピストン309aの軸心O方向上端(図6及び図7上側)における外周面からは第1張出部材341が径方向外方へ向けてフランジ状に張り出しつつゴム状弾性体から一体に形成される。また、第2液室側ピストン309bの外周面からは、第2張出部材342が径方向外方へ向けてフランジ状に張り出しつつゴム状弾性体から一体に形成される。
埋設部材312の軸心O方向先端面(図6及び図7上側面)には、内周面にめねじが螺刻されたねじ締結穴312aが凹設されると共に、埋設部材312の軸心O方向先端側の外周面には、断面V字状に形成される返し切欠き部312bが周方向に連続して凹設される。
ねじ締結穴312aには、第1液室側ピストン309aに加硫接着されたインサート部材310のねじ穴310a(図9参照)に挿通された締結ねじ351が螺合される。なお、締結ねじ351の頭部の下面と埋設部材312の先端面との間に金属材料からなるインサート部材310が介在することで、締結ねじ351と埋設部材312とを剛体接続として、第1液室側ピストン309aと第2液室側ピストン309bとを強固に締結固定することができる。
返し切欠き部312bは、上面(図7上側面)が軸心Oに直交すると共に下面(図7下側面)が開口側へ向けて下降傾斜する断面形状に形成され、第1液室側ピストン309aが埋設部材312から抜けることを防止している。
即ち、埋設部材312の外径は、第1液室側ピストン309aの埋設凹部309a2(図9参照)の内径よりも大きくされているので、埋設部材312の軸心O方向先端側が第1液室側ピストン309aの埋設凹部309a2に挿入され埋設されると、かかる埋設により余肉となった埋設凹部309a2周辺のゴム材料が、返し切欠き部312b内に押し込まれる。その結果、仮に締結ねじ351の締結が緩んだとしても、第1液室側ピストン309aが埋設部材312から抜けることを防止できる。
締結ねじ351は、フランジ状の頭部と、その頭部から垂下し軸状に形成されるおねじ部とを備える。頭部は、第1液室側ピストン309aに加硫接着されるインサート部材310のねじ穴310a(図9参照)の内径よりも大きな外径を有すると共に少なくとも側面(図7左右側面)が軸心Oに水平な断面矩形に形成される。おねじ部は、埋設部材312のねじ締結穴312aに螺合可能なおねじが外周面に螺刻される。よって、かかる締結ねじ351を、第1液室側ピストン309aに加硫接着されたインサート部材310を間に介在させつつ、埋設部材312のねじ締結穴312aに螺合させることで、第1液室側ピストン309aと第2液室側ピストン309bとを締結固定できる。
なお、締結ねじ351は、頭部の上面に上面視六角形の凹部(即ち、六角レンチを係合させるための凹部)が凹設された六角穴付きボルトとして形成される。この締結ねじ351の頭部の外径は、埋設部材312の外径よりも大きな寸法に設定される。これにより、ピストン部材309の加振変位時には、かかる締結ねじ351の頭部に液圧を効率的に受け止めさせることができる。
次いで、図8及び図9を参照して、ピストン部材309の詳細構成について説明する。図8(a)は、ダイヤフラム7及び第2液室側ピストン309bの上面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線におけるダイヤフラム7及び第2液室側ピストン309bの断面図である。
第2液室側ピストン309bは、ゴム状弾性体からダイヤフラム7及び第2張出部材342と一体に形成される。即ち、第2液室側ピストン309bと第2張出部材342とによって一の円板状体が形成される。言い換えれば、第2液室側ピストン309bの外周面から第2張出部材342が径方向外方へ向けてフランジ状に張り出して形成される。
第2張出部材342は、第2液室8b側に配設される部材であり(図7参照)、その外径は、仕切り板311の挿通孔315の内径よりも大きな直径D3とされている。よって、ピストン部材309の防振基体3へ近接する方向への変位が所定量以上に達した場合には、第2張出部材342が仕切り板311の下面に当接することで(図7参照)、ピストン部材309の変位が規制され、ストッパ作用を得ることができる。
なお、第2張出部材342の上面および下面(図8(b)上側面および下側面)は、軸心Oと直交する面としてとして形成される。この第2張出部材342の上面(図8(b)上側面)には、軸心Oを中心として放射直線状に延設される突条としての立設リブ342aが複数(本実施の形態では5本)立設されている。複数の立設リブ342aは、周方向等間隔に配設されると共に、各立設リブ342aの軸心O側の側面は、第2液室側ピストン309bに締結ねじ351によって締結固定された第1液室側ピストン309aの側面に密着される(図7参照)。
このように、第2張出部材342の上面には、複数の立設リブ342aが立設されるので、第2張出部材342の上面が仕切り板311の下面に当接される際には、先に立設リブ342aから当接させ、その変形を利用して衝突を緩やかとすることができる。よって、異音の発生を抑制することができる。
また、このように、立設リブ342aが複数立設されると共に、それら各立設リブ342aの軸心O側の側面が第1液室側ピストン309aの側面に密着されることで、第2張出部材342の剛性を高めることができる。よって、ピストン部材309の変位を第2張出部材342と仕切り板311との当接によって規制する際には、そのストッパ作用をより確実に発揮させることができる。
図9(a)は、第1液室側ピストン309aの底面図であり、図9(b)は、図9(a)のIXb−IXb線における第1液室側ピストン309aの断面図である。
第1液室側ピストン309aは、ゴム状弾性体からゴム状弾性体から軸心Oと同軸で外径が直径D2の円柱状体として形成され、第1液室側ピストン309aの底面側(図9(b)下側)に凹設される埋設凹部309a2と、第1液室側ピストン309aの上面側(図9(b)上側)に凹設される頭部収納凹部309a3とを備え、これら埋設凹部309a2と頭部収納凹部309a3とは、インサート部材310のねじ穴310aを介して連通されている。
インサート部材310は、金属材料から円筒状に形成され、第1液室側ピストン309aに加硫接着されると共に、軸心Oに沿って(本実施の形態では同軸に)縦姿勢に配設されている。インサート部材310には、締結ねじ251のおねじ部が挿通される軸心O方向視円形の穴であるねじ穴310aが軸心Oに沿って貫通形成される。
埋設凹部309a2は、埋設部材312(図7参照)が挿入され埋設される軸心O方向視円形の凹部であり、軸心Oに沿って凹設される。埋設凹部309a2の内径は、上述したように、埋設部材312の外径よりも小さくされている。なお、埋設凹部309a2の凹部底面(図9(b)上側面)は、インサート部材310の軸心O方向端面(図9(b)下側面)により形成されている。
頭部収納凹部309a3は、締結ねじ351の頭部が収納される軸心O方向視円形の凹部であり(図7参照)、締結ねじ351の頭部の外径と略同一の(又は若干小さな)内径を有すると共に締結ねじ351の頭部の厚みと略同一の凹設深さ(図9(b)上下方向寸法)を有して形成される。よって、締結ねじ351により第1液室側ピストン309aと第2液室側ピストン309bとが締結固定されると、締結ねじ351の頭部の側面が、頭部収納凹部309a3の凹部の側面に密着される。
これにより、ストッパ部材309の変位が所定量に達し、第1張出部材341が仕切り板311に当接する場合には、その第1張出部材341の倒れ変形を締結ねじ351の頭部の側面で受け止めて規制することができるので、ピストン部材309の変位を第1張出部材341と仕切り板311との当接によって規制する際のストッパ作用をより確実に発揮させることができる。
なお、頭部収納凹部309a3の凹設深さ(即ち、締結ねじ351(図7参照)の頭部の厚み寸法)は、第1張出部材341の厚み寸法(図9上下方向寸法)よりも大きくされていることが好ましい。上述した第1張出部材341の倒れ変形を規制する効果を大きくすることができるからである。本実施の形態では、頭部収納凹部309a3の凹設深さ(締結ねじ351の頭部の厚み寸法)が、第1張出部材341の厚み寸法と立設リブ341aの立設高さ(図9上下方向寸法)とを合わせた寸法よりも大きくされている。これにより、立設リブ341aの変形も締結ねじ351の頭部の側面により規制することができるので、第1張出部材341の倒れ変形を規制する効果をより大きくすることができる。
また、頭部収納凹部309a3の凹部底面(図9(b)下側面)の一部(軸心O近傍)は、インサート部材310の軸心O方向端面(図9(b)上側面)により形成されている。即ち、頭部収納凹部309a3の凹部底面とインサート部材310の軸心O方向端面とは段差のない面一状に形成されている。これにより、締結ねじ351による締結固定時には、第1液室側ピストン309aを弾性変形させることなく、締結ねじ351の頭部の下面をインサート部材310の軸心O方向端面に当接させることができる。
第1液室側ピストン309aの軸心O方向上端(図9(b)上側)における外周面からは、第1張出部材341が径方向外方へ向けて張り出して形成される。第1張出部材341は、第1液室8a側に配設される部材であり(図7参照)、その外径は、第2張出部材342(図8参照)の外径と同一に設定され、仕切り板311の挿通孔315の内径よりも大きい。よって、ピストン部材309のアクチュエータ20(図1参照)へ近接する方向への変位が所定量以上に達した場合には、第1張出部材341が仕切り板311の上面に当接することで(図7参照)、ピストン部材309の変位が規制され、ストッパ作用を得ることができる。
第1張出部材341の上面および下面(図9(b)上側面および下側面)は、軸心Oと直交する面としてとして形成される。この第1張出部材341の下面(図9(b)下側面)には、軸心Oを中心として放射直線状に延設される突条としての立設リブ341aが複数(本実施の形態では5本)立設されている。複数の立設リブ341aは、周方向等間隔に配設されると共に、各立設リブ341aの軸心O側は、第1液室側ピストン309aの側面に一体に形成されている。
このように、第1張出部材341の下面には、複数の立設リブ341aが立設されるので、第1張出部材341の下面が仕切り板311の上面に当接される際には、先に立設リブ341aから当接させ、その変形を利用して衝突を緩やかとすることができる。よって、異音の発生を抑制することができる。
また、このように、立設リブ341aが複数立設されると共に、それら各立設リブ342aの軸心O側が第1液室側ピストン309aの側面に一体に形成されることで、第1張出部材341の剛性を高めることができる。よって、ピストン部材309の変位を第1張出部材341と仕切り板311との当接によって規制する際には、上述した締結ねじ351の頭部の側面が第1張出部材341の倒れ変形を規制する構造による効果との相乗作用により、第1張出部材341によるストッパ作用をより確実に発揮させることができる。
図6及び図7に戻って、以上のように構成された能動型液封入式防振装置300の製造方法について説明する。上述した第1成形体と、ダイヤフラム7、第2液室側ピストン309b及び第2張出部材342が一体に形成されると共に取付け板10及び埋設部材12が加硫接着された第2成形体と、第1液室側ピストン309a及び第1張出部材309aが一体に形成されると共にインサート部材310が加硫接着された第3成形体とを、ゴム加硫金型によりそれぞれ加硫成形する。
この場合、第2成形体は、第2液室側ピストン309bがダイヤフラム7とゴム状弾性体から一体に形成されると共に、第2張出部材342が第2液室側ピストン309bとゴム状弾性体から一体に形成されるので、加硫成形時には、これらダイヤフラム7、第2液室側ピストン309b及び第2張出部材342を同時に形成することができる。また、第2張出部材342を第2液室側ピストン309bの外周面に接着等により固着する作業の必要もない。よって、部品点数および製造工数を低減して、製品コストの削減を図ることができる。また、第2液室側ピストン309bと第2張出部材342との間の固着を強固として、第2張出部材342による変位規制機能の信頼性を向上することができる。
同様に、第3成形体は、第1張出部材341が第1液室側ピストン309aとゴム状弾性体から一体に形成されるので、加硫成形時には、これら第1液室側ピストン309a及び第1張出部材341を同時に形成することができる。また、第1張出部材341を第1液室側ピストン309aの外周面に接着等により固着する作業の必要もない。よって、部品点数および製造工数を低減して、製品コストの削減を図ることができる。また、第1液室側ピストン309aと第1張出部材341との間の固着を強固として、第1張出部材341による変位規制機能の信頼性を向上することができる。
ゴム加硫金型による加硫成型の後は、まず、仕切り板311に第2成形体および第3成形体を組み付けて、中間組立体を組み立てる。具体的には、仕切り板311と第2成形体と第3成形体とを液体中に沈め、仕切り板311の挿通孔315へ第3成形体の第1液室側ピストン309aを挿通させると共に、その第1液室側ピストン309aの埋設凹部309a2へ第2成形体の埋設部材312を挿入し、これら第2成形体の第2液室側ピストン309bと第3成形体の第1液室側ピストン309aとを締結ねじ351により締結固定する。これにより、仕切り板311が第1張出部材341と第2張出部材342とに挟まれた状態となる。
次いで、第1成形体も液体中に沈め、第1成形体の下方開口から中間組立体を仕切り板11側から筒状金具4内へ挿入し、第1組立体を液体中で組み立てる。その後、この第1組立体を第1取付け金具1が下方となる姿勢で液体外へ取り出し、この姿勢を維持しつつ、アクチュエータ20をダイヤフラム7の下面側から重ね、埋設部材312と可動子22とをボルトにより締結固定する。そして、第1実施の形態の場合と同様に、底金具5をアクチュエータ20に被せ、筒状金具4の下方開口に底金具5をかしめ加工により固着する。また、ストッパ金具6を筒状金具4の上方開口にかしめ加工により固着する。これにより、能動型液封入式防振装置300の製造が完了する。
このように、第1液室側ピストン309aと第2液室側ピストン309bとを別体とし、締結ねじ351により締結固定する構造とすることで、仕切り板311の挿通孔315よりも大径の第1張出部材341を設けた場合であっても、かかる仕切り板311の挿通孔315の内径を第1液室側ピストン309aの外径(直径D2)のみに基づいて設定することができる。よって、挿通孔315の内径をより小さな寸法に設定することができるので、第1液室側ピストン309aの外周面と挿通孔315の内周面との間の隙間から液圧が逃げることを抑制できる。その結果、ピストン部材309の加振変位による発生力の向上を図り、第1液室8aの液圧制御をより確実に行うことができる。
次いで、能動型液封入式防振装置300の動作について説明する。第1実施の形態の場合と同様に、比較的小振幅の高周波振動が入力される場合に、ピストン部材309を入力振動に対して逆位相で加振変位させることで、第1液室8aの液圧を制御して、振動を低減させる。
なお、本実施の形態では、金属材料から形成される締結ねじ351の頭部が、第1液室側ピストン309aの頭部収納凹部309a3に収納され防振基体3に対面されると共に、埋設部材312よりもさらに大径に形成される。よって、加振変位時に受ける液圧を締結ねじ351の頭部に受け止めさせることができるので、かかる液圧により第1液室側ピストン309aが弾性変形して、力の伝達ロスが発生することを抑制することができる。これにより、ピストン部材309の加振変位による発生力を確保して、第1液室8aの液圧制御を確実に行うことができる。
この場合、第1実施の形態の場合と同様に、第1張出部材341と第2張出部材342とが仕切り板311を挟んで配設されるので、駆動軸23の変位を、軸心O方向一方および軸心O方向他方の両方向において、規制することができる。これにより、アクチュエータ20の暴走時におけるダイヤフラム7等の損傷を防止できる。また、大振幅の振動入力時におけるアクチュエータ20の損傷を防止できる。
次いで、図10を参照して、第4実施の形態について説明する。第1実施の形態では、ピストン部材9及び第1張出部材41がゴム状弾性体から形成される場合を説明したが、第4実施の形態のピストン部材409の一部および第1張出部材441は、金属材料から形成されている。なお、上述した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。また、各構成の説明は、上述した各実施の形態の場合と異なる部分についてのみ説明し、同一の部分についての説明は省略する。
ここで、第4実施の形態における埋設部材412と第3実施の形態における埋設部材312との違いは、返し切欠き部312bの有無とその軸心O方向長さのみであり、その他の構成については同一であるので、その説明は省略する。
図10は、第4実施の形態における能動型液封入式防振装置400の部分拡大断面図であり、図2に対応する。なお、図10では、エンジンを支持する前の状態(即ち、エンジンの重量が負荷される前の状態)を図示している。
図10に示すように、ピストン部材309は、第1液室側ピストン409aと、第2液室側ピストン409bとの2部材に分割して形成されている。第1液室側ピストン409aは、金属材料から第1張出部材441と一体に形成される。即ち、第1液室側ピストン409aと第1張出部材441とによって一の円板状体が形成される。言い換えれば、第1液室側ピストン409aの外周面から第1張出部材441が径方向外方へ向けてフランジ状に張り出して形成される。
第1液室側ピストン409aには、軸心Oに沿って貫通形成されるねじ穴と、そのねじ穴に連通されると共に第1液室側ピストン409aの上面側(図10上側)に凹設され頭部収納凹部とを備える。第1張出部材441の外径は、第2張出部材442の外径と同一に設定され、仕切り板311の挿通孔315の内径よりも大きい。よって、ピストン部材409のアクチュエータ20(図1参照)へ近接する方向への変位が所定量以上に達した場合には、第1張出部材441が仕切り板311の上面に当接することで、ピストン部材409の変位が規制され、ストッパ作用を得ることができる。
第2液室側ピストン409bは、ゴム状弾性体からダイヤフラム7と一体に形成されると共に、軸心Oに同軸で外径が直径D2(図示せず)の円柱状体に形成され、仕切り板311の挿通孔315に挿通される。この第2液室側ピストン409bは、埋設部材412のねじ締結穴312aに連通するねじ挿通穴を備え、第1液室側ピストン409aと軸心O方向に連結された状態(即ち、第1液室側ピストン409aの底面側(図10下側面)に第2液室側ピストン409bの上面が重ねあわされた状態)で、締結ねじ451により締結固定される。
第2張出部材442は、第2液室側ピストン409bの下端側(図10下側)における外周面から径方向外方へ向けてフランジ状に張り出して形成され、その外径は、仕切り板311の挿通孔315の内径よりも大きくされている。よって、ピストン部材409の防振基体3へ近接する方向への変位が所定量以上に達した場合には、第2張出部材442が仕切り板411の下面に当接することで、ピストン部材409の変位が規制され、ストッパ作用を得ることができる。
なお、第2張出部材442の上面および下面(図10上側面および下側面)は、軸心Oと直交する面としてとして形成される。この第2張出部材442の上面(10上側面)には、軸心Oを中心として放射直線状に延設される突条としての立設リブ442aが複数(本実施の形態では5本)立設されている。この立設リブ442aは、軸心O側が第2液室側ピストン409bの側面に一体に形成されている。なお、立設リブ442aのその他の構成は、立設リブ342aと同様の構成であるので、その説明は省略する。
締結ねじ451は、頭部の上面に上面視六角形の凹部(即ち、六角レンチを係合させるための凹部)が凹設された六角穴付きボルトとして形成される。この締結ねじ451を、第1液室側ピストン409aのねじ穴に挿通させつつ、埋設部材412のねじ締結穴312aに螺合させることで、第1液室側ピストン409aと第2液室側ピストン409bとを締結固定できる。
なお、埋設部材412は、その軸心O方向先端面(図10上側面)の位置が第2液室側ピストン409bの上端面(図10上側面)との間に段差がなく面一となる位置に設定されている。これにより、締結ねじ451により締結固定されると、第1液室側ピストン409aが埋設部材412に剛体接続される。
以上のように構成された能動型液封入式防振装置400の製造方法について説明する。上述した第1成形体と、ダイヤフラム7、第2液室側ピストン409b及び第2張出部材342が一体に形成されると共に取付け板10及び埋設部材412が加硫接着された第2成形体とを、ゴム加硫金型によりそれぞれ加硫成形する。
この場合、第2成形体は、第2液室側ピストン409bがダイヤフラム7とゴム状弾性体から一体に形成されると共に、第2張出部材442が第2液室側ピストン409bとゴム状弾性体から一体に形成されるので、加硫成形時には、これらダイヤフラム7、第2液室側ピストン409b及び第2張出部材442を同時に形成することができる。また、第2張出部材442を第2液室側ピストン409bの外周面に接着等により固着する作業の必要もない。よって、部品点数および製造工数を低減して、製品コストの削減を図ることができる。また、第2液室側ピストン409bと第2張出部材442との間の固着を強固として、第2張出部材442による変位規制機能の信頼性を向上することができる。
ゴム加硫金型による加硫成型の後は、まず、仕切り板311に第2成形体および第1液室側ピストン409aを組み付けて、中間組立体を組み立てる。具体的には、仕切り板311と第2成形体と第1液室側ピストン409aとを液体中に沈め、仕切り板311の挿通孔315へ第2成形体の第2液室側ピストン409bを挿通させると共に、この第2成形体の第2液室側ピストン409bと第1液室側ピストン409aとを締結ねじ451により締結固定する。これにより、仕切り板311が第1張出部材441と第2張出部材442とに挟まれた状態となる。
次いで、第1成形体も液体中に沈め、第3実施の形態の場合と同様に、第1組立体を液体中で組み立て、アクチュエータ20を装着し、底金具5及びストッパ金具6をかしめ加工により固着する。これにより、能動型液封入式防振装置400の製造が完了する。
このように、第1液室側ピストン409aと第2液室側ピストン409bとを別体とし、締結ねじ451により締結固定する構造とすることで、第3実施の形態の場合と同様に、挿通孔315の内径をより小さな寸法に設定して、第2液室側ピストン409bの外周面と挿通孔315の内周面との間の隙間から液圧が逃げることを抑制できる。その結果、ピストン部材409の加振変位による発生力の向上を図り、第1液室8aの液圧制御をより確実に行うことができる。
次いで、能動型液封入式防振装置400の動作について説明する。第1実施の形態の場合と同様に、比較的小振幅の高周波振動が入力される場合に、ピストン部材409を入力振動に対して逆位相で加振変位させることで、第1液室8aの液圧を制御して、振動を低減させる。
本実施の形態では、第1液室側ピストン409a及び第1張出部材441が金属材料から一体に形成され防振基体3に対面されるので、加振変位時に受ける液圧を第1液室側ピストン409a及び第1張出部材441の全体に受け止めさせることができる。また、第1液室側ピストン409a及び第1張出部材441は、埋設部材412に剛体接続されているので、これら第1液室側ピストン409a及び第1張出部材441が液圧を受けた場合に、第2液室側ピストン409bが弾性変形されることを回避できる。これにより、力の伝達ロスを低減して、ピストン部材409の加振変位による発生力の向上を図ることができる。
また、第1実施の形態の場合と同様に、第1張出部材441と第2張出部材442とが仕切り板311を挟んで配設されるので、駆動軸23の変位を、軸心O方向一方および軸心O方向他方の両方向において、規制することができる。これにより、アクチュエータ20の暴走時におけるダイヤフラム7等の損傷を防止できる。また、大振幅の振動入力時におけるアクチュエータ20の損傷を防止できる。
次いで、図11から図15を参照して、第5実施の形態について説明する。第1実施の形態では、第1張出部材41が軸心O方向一方への変位規制を、第2張出部材42が軸心O方向他方への変位規制を、それぞれ分担して行う場合を説明したが、第5実施の形態の張出部材543は、軸心O方向一方および軸心O方向他方の両方向への変位規制をそれぞれ行う。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。また、各構成の説明は、上述した各実施の形態の場合と異なる部分についてのみ説明し、同一の部分についての説明は省略する。
図11は、第5実施の形態における能動型液封入式防振装置500の断面図である。なお、図11では、エンジンを支持する前の状態(即ち、エンジンの重量が負荷される前の状態)を図示している。
図11に示すように、能動型液封入式防振装置500は、第1仕切り板511aと、その第1仕切り板511aの下方に重ねあわされる第2仕切り板511bとを備え、第1仕切り板511aの挿通孔515にピストン部材509が挿通されると共に、そのピストン部材509から張り出して形成される張出部材543が、第1仕切り板511aと第2仕切り板511bとの対向面間に配設されている。
ここで、図12及び図13を参照して、第1仕切り板511a及び第2仕切り板511bの詳細構成について説明する。図12(a)は、第1仕切り板511aの上面図であり、図12(b)は、図12(a)のXIIb−XIIb線における第1仕切り板511aの断面図である。また、図13(a)は、第2仕切り板511bの上面図であり、図13(b)は、図13(a)のXIIIb−XIIIb線における第2仕切り板511bの断面図である。
図12及び図13に示すように、第1仕切り板511a及び第2仕切り板511bは、樹脂材料から軸心O周りに対称な円板形状に形成され、その外径は同じ直径に設定されている。これら第1仕切り板511a及び第2仕切り板511bが重ね合わされた状態では、外周側に径方向外向きに開かれた断面コの字状をなすオリフィス形成部が形成される(図11参照)。
即ち、第1仕切り板511aには、上面視円形の板状体の下面から軸心Oに沿って筒状の筒部514が垂下されており、この筒部514の下端に第2仕切り板511bが重ね合わされることで、それらの外周側にオリフィス形成部が形成される。なお、オリフィス形成部は、筒状金具4の内周を覆うゴム膜3aに密着することで、断面略矩形状のオリフィス13を形成する(図11参照)。
第1仕切り板511aは、板状体の一部に凹欠形成される切欠き部514aと、筒部514に開口形成される開口部514bと、板状体および筒部514を接続する縦壁514cとを備える。第1仕切り板511aと第2仕切り板511bとが重ね合わされてオリフィス13が形成されると、そのオリフィス13は、縦壁514cにより周方向に分断され、切欠き部514aを介して第1液室8aに連通されると共に、開口部514bを介して第2液室8bに連通される(図11参照)。
第1仕切り板511aの中央部には、挿通孔515が穿設される。挿通孔515は、軸心Oに同軸で内径が直径D4の孔として形成され、ピストン部材509が挿通される(図11参照)。なお、挿通孔515には、図12(b)下拡がりの抜き勾配(例えば、3度)が付与されている。この場合、直径D4は、挿通孔515の最小径に対応する。
第2仕切り板511bの中央部には、組立孔516が穿設される。組立孔516は、軸心Oに同軸で内径が直径D4(図示せず)の孔として形成される。なお、組立孔516からは、軸心Oを挟んだ両側(即ち、位相が180度ずれた位置)に、上面視略U字状の逃げ凹部516aが径方向外方へ向けて延設される。これら一対の逃げ凹部516aは、中間組立体を組み立てる際に、第2成形体の一対の張出部材543を通過させるための凹部であり、張出部材543よりも若干大きな形状に形成される。
次いで、図14を参照して、ダイヤフラム507及びピストン部材509の詳細構成について説明する。図14(a)は、ダイヤフラム507及びピストン部材509の上面図であり、図14(b)は、図14(a)のXIVb−XIVb線におけるダイヤフラム507及びピストン部材509の断面図である。
ダイヤフラム507は、防振基体3との間に液封入室8を形成するゴム膜状の部材であり(図11参照)、自由長が確保できるように、取付け板10とピストン部材9との間で断面視蛇腹状に屈曲されている。
ピストン部材509は、ゴム状弾性体からダイヤフラム507と一体に形成される部材であり、軸心Oに同軸で外径が直径D2の円柱状体に形成され、第1仕切り板511aの挿通孔515に挿通される(図11参照)。なお、ピストン部材509の直径D2は、挿通孔515の直径D4(図12参照)よりも小さく(例えば、0.5mm小さく)されている(D2<D4)。
ピストン部材509の軸心O方向下端(図14(b)下側)における外周面からは、軸心Oを挟んだ両側(即ち、位相が180度ずれた位置)に、上面視略U字状の張出部材543が径方向外方へ向けて張り出して形成される。張出部材543は、第1仕切り板511aと第2仕切り板511bとの対向面間に配設される部材であり(図11参照)、挿通孔515の直径D4(図12参照)及び組立孔516の直径よりも張り出し寸法が大きくされている。
よって、ピストン部材509のアクチュエータ20へ近接する方向への変位が所定量以上に達した場合には、張出部材543が第2仕切り板511bの上面に当接されると共に、ピストン部材509の防振基体3へ近接する方向への変位が所定量以上に達した場合には、張出部材543が第1仕切り板511aの下面に当接されることで、ピストン部材509の変位が規制され、ストッパ作用を得ることができる。
なお、張出部材543の上面および下面(図14(b)上側面および下側面)は、軸心Oと直交する面としてとして形成される。この張出部材543の上面および下面には、軸心Oを中心として放射直線状に延設される突条としての立設リブ543a,543bが複数(本実施の形態では上面に4本および下面に4本)立設されている。各立設リブ543a,543bの軸心O側は、ピストン部材509の側面に一体に形成されている。
このように、第1張出部材341の上面および下面には、複数の立設リブ543a,543bが立設されるので、張出部材543の上面または下面が第1仕切り板511aの下面または第2仕切り板511bの上面に当接される際には、先に立設リブ543a,543bから当接させ、その変形を利用して衝突を緩やかとすることができる。よって、異音の発生を抑制することができる。
また、このように、立設リブ543a,543bが複数立設されると共に、それら各立設リブ543a,543bの軸心O側がピストン部材509の側面に一体に形成されることで、張出部材543の剛性を高めることができる。よって、ピストン部材509の変位を張出部材543と第1仕切り板511a又は第2仕切り板511bとの当接によって規制する際には、張出部材543によるストッパ作用をより確実に発揮させることができる。
図11に戻って、以上のように構成された能動型液封入式防振装置500の製造方法について説明する。なお、製造方法の説明においては、図15を適宜参照する。図15は、第2仕切り板511bとピストン部材509との位相の関係を説明するための模式図であり、図15(a)は、逃げ凹部516aと張出部材543との位相が一致した状態を示す模式図であり、図15(b)は、図15(a)の状態からピストン部材509が90度回転した状態を示す模式図である。
まず、上述した第1成形体と、ダイヤフラム7、ピストン部材509及び張出部材543が一体に形成されると共に取付け板10及び埋設部材12が加硫接着された第2成形体とを、ゴム加硫金型によりそれぞれ加硫成形する。
この場合、第2成形体は、ピストン部材509がダイヤフラム7とゴム状弾性体から一体に形成されると共に、張出部材543がピストン部材509とゴム状弾性体から一体に形成されるので、加硫成形時には、これらダイヤフラム7、ピストン部材509及び張出部材543を同時に形成することができる。また、張出部材543をピストン部材509の外周面に接着等により固着する作業の必要もない。よって、部品点数および製造工数を低減して、製品コストの削減を図ることができる。また、ピストン部材509と張出部材543との間の固着を強固として、張出部材543による変位規制機能の信頼性を向上することができる。
ゴム加硫金型による加硫成型の後は、第1仕切り板511a及び第2仕切り板511bに第2成形体を組み付けて、中間組立体を組み立てる。具体的には、第1仕切り板511aと第2仕切り板511bと第2成形体とを液体中に沈め、第2仕切り板511bの組立孔516に、図15(a)に示すように逃げ凹部516aと張出部材543との位相が一致した状態で、第2成形体のピストン部材509を挿入し、張出部材543が組立孔516を通過した状態とする。次いで、第2仕切り板511bに対して、図15(b)に示すようにピストン部材509が90度回転した状態とした後、これに第1仕切り板511aを重ね合わせる。なお、この重ね合わせる場合には、第2成形体のピストン部材509を第1仕切り板511aの挿通孔515に挿通させる。これにより、これにより、張出部材543が第1仕切り板511aと第2仕切り板511bとの対向面間に配置された状態となる。
中間組立体を組み立てた後は、第1成形体も液体中に沈め、第1成形体の下方開口から中間組立体を第1仕切り板511a側から筒状金具4内へ挿入し、第1組立体を液体中で組み立てる。その後、この第1組立体を第1取付け金具1が下方となる姿勢で液体外へ取り出し、この姿勢を維持しつつ、アクチュエータ20をダイヤフラム7の下面側から重ね、埋設部材12と可動子22とをボルトにより締結固定する。そして、第1実施の形態の場合と同様に、底金具5及びストッパ金具6をかしめ加工により固着することで、能動型液封入式防振装置500の製造が完了する。
このように、第1仕切り板511aと第2仕切り板511bとを別体に構成すると共に、張出部材543が逃げ凹部516aと通過した後に、ピストン部材509を90度回転させる構造とすることで、張出部材543と第1仕切り板511a及び第2仕切り板511bとによってピストン部材509の軸心O方向一方および他方の両方向の変位を規制できるだけでなく、挿通孔515及び組立孔516の直径よりも大きく張り出す張出部材543を設けた場合であっても、第1仕切り板511aの挿通孔515の内径をピストン部材509の外径(直径D2)のみに基づいて設定することができる。よって、挿通孔515の内径をより小さな寸法に設定することができるので、ピストン部材509の外周面と挿通孔515の内周面との間の隙間から液圧が逃げることを抑制できる。その結果、ピストン部材509の加振変位による発生力の向上を図り、第1液室8aの液圧制御をより確実に行うことができる。
次いで、能動型液封入式防振装置500の動作について説明する。第1実施の形態の場合と同様に、比較的小振幅の高周波振動が入力される場合に、ピストン部材509を入力振動に対して逆位相で加振変位させることで、第1液室8aの液圧を制御して、振動を低減させる。
なお、本実施の形態では、金属材料から形成される埋設部材12が、ピストン部材509に埋設される。よって、加振変位時に受ける液圧を埋設部材12に受け止めさせることができるので、かかる液圧によりピストン部材509が弾性変形して、力の伝達ロスが発生することを抑制することができる。これにより、ピストン部材509の加振変位による発生力を確保して、第1液室8aの液圧制御を確実に行うことができる。
この場合、第1仕切り板511aと第2仕切り板511bとが張出部材543を挟んで配設されるので、駆動軸23の変位を、軸心O方向一方および軸心O他方の両方向において、規制することができる。これにより、アクチュエータ20の暴走時におけるダイヤフラム507等の損傷を防止できる。また、大振幅の振動入力時におけるアクチュエータ20の損傷を防止できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。例えば、上記各実施の形態で説明した各部材の直径(内径または外径)やピストン部材9と挿通孔15との間の隙間などの寸法値は一例であり、それら各寸法値を適宜変更することは当然可能である。
上記各実施の形態では、仕切り板11,311、第1仕切り板511a及び第2仕切り板511bを樹脂材料から形成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の材料から形成することは当然可能である。他の材料としては、例えば、鉄鋼材料やアルミニウム合金などが例示される。
上記各実施の形態では、埋設部材12,312,412が軸心O方向に一定の外径を有する軸状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、埋設部材12,312,412の外周面からフランジ状の部位を径方向外方へ張り出し形成し、かかるフランジ状の部位を第2張出部材42,342,442又は張出部材543に埋設させても良い。これにより、埋設部材12等の剛性を利用して、変位規制機能の信頼性を確保することができる。
上記各実施の形態では、説明を省略したが、埋設部材12,312,412の軸心O方向長さを適宜設定することは当然可能である。例えば、第1、第2又は第5実施の形態の場合には、軸心O方向へ延長させ、その先端面をピストン部材9,209,509の上面に露出させても良い。その分、加振変位時における液圧を埋設部材12等の先端面に受け止めさせ、ピストン部材9等の弾性変形を抑制できるので、力の伝達ロスを低減して、発生力を確保できる。また、第3又は第4実施の形態の場合には、第1液室側ピストン309a又は第2液室側ピストン409bの上面に先端面を露出させ、その先端面を締結ねじ351又は第1液室側ピストン409aに直接当接させても良い。これにより、ゴム状弾性体が介在しないので、締結強度を確保して、使用時に締結ねじ351,451が緩むことを抑制できる。
上記第1実施の形態および第2実施の形態では、第1張出部材41,241の下面および第2張出部材42の上面に立設リブが設けられず、これら上面および下面が平滑面として形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これら上面および下面の一方または両方に立設リブを設けることは当然可能である。例えば、第3実施の形態における立設リブ341a,342aのように、軸心Oを中心として放射直線状に設けても良い。異音の発生を抑制しつつ、第1張出部材41,241及び第2張出部材42の剛性を高め、変位規制機能の信頼性の向上を図ることができる。
また、この場合、突条状の立設リブには限定されず、突起状の突部を上記上面および下面に分散配置するようにしても良い。なお、第3実施の形態から第5実施の形態においても同様である。
上記第3実施の形態では、第1液室側ピストン309aにインサート部材310を加硫接着し、そのインサート部材310を締結ねじ351と埋設部材312との間に介在させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、インサート部材310を省略すると共に、埋設部材312の軸心O方向先端面が頭部収納凹部309a3の底面と面一となる位置まで埋設部材312の長さを延長しても良い。これによっても、第3実施の形態の場合と同様に、第1液室側ピストン309aを弾性変形させることなく、第1液室側ピストン309aと第2液室側ピストン309bとを強固に締結固定することができる。
上記第4実施の形態では、第1液室側ピストン409aが第1張出部材441と金属材料から一体に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の材料から構成することは当然可能である。他の材料は、ゴム状弾性体よりも剛性の高いものが好ましい。ピストン部材409の弾性変形による力の伝達ロスを抑制して、発生力の向上を図ることができるからである。他の材料としては、例えば、樹脂材料やアルミニウム合金などが例示される。
上記第4実施の形態では、第1液室側ピストン409a及び第1張出部材441から一体に形成される円盤状の部材と、かかる円盤状の部材を締結固定するための締結ねじ451とを備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、円盤状の部材と締結ねじ451とを一体に形成しても良い。即ち、円盤状の部材の上面に六角穴を凹設すると共に下面におねじ部を設けた部材として一体に形成しても良い。これにより、部品点数を削減して、製品コストの削減を図ることができる。
上記第4実施の形態では、第1液室側ピストン409a及び第1張出部材441から一体に形成される円盤状の部材が露出された状態で使用される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、円盤状の部材の少なくとも下面にゴム状弾性体を覆設しても良い。これにより、仕切り板311の上面に当接される際の異音の発生を抑制することができる。なお、この場合、下面に突条状の突設リブや突起状の突部を設けても良い。
上記第5実施の形態では、説明を省略したが、第1仕切り板511aと第2仕切り板511bとは、ダイヤフラム507の取付け板10と防振基体3の膜部3aに形成された段部との間で挟圧保持される。この場合、両仕切り板511a,511bの合わせ面の一方から凸部を突出させると共に他方に凹部を凹設し、これら凸部と凹部とを凹凸嵌合させることで、第1仕切り板511aと第2仕切り板511bとを周方向に相対回転不能に接合することが好ましい。例えば、超音波溶着などを利用して接合する場合と比較して、製造コストを低減しつつ、ピストン部材509と組立孔516との位相がずれることを回避して、変位規制機能の信頼性を確保することができる。
上記第5実施の形態では、埋設部材12が軸心O方向に一定の外径を有する軸状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、埋設部材12の軸心O方向先端における外周面から径方向外方へフランジ状の部位を張り出して形成しても良い。また、このフランジ状の部位をピストン部材509の上面に露出させても良い。加振変位時における液圧をフランジ状の部位に受け止めさせ、ピストン部材509の弾性変形を抑制できるので、力の伝達ロスを低減して、発生力を確保できる。なお、フランジ状の部位の外径は、ピストン部材509の外径よりも小さい又は同等の値であれば、任意に設定可能である。
100,200,300,400,500 能動型液封入式防振装置
1 第1取付け金具(第1取付け具)
2 第2取付け金具(第2取付け具)
3 防振基体
4 筒状金具(第2取付け具の一部)
5 底金具(第2取付け具の一部)
7 ダイヤフラム
8 液封入室
8a 第1液室
8b 第2液室
9,209,309,409,509 ピストン部材
9a,209a 凹部
309a,409a 第1液室側ピストン
309b,409b 第2液室側ピストン
41,241,341,441 第1張出部材
42,342,442 第2張出部材
11,311 仕切り板(仕切り部材)
15,315,515 挿通孔
511a 第1仕切り板(仕切り部材の一部)
511b 第2仕切り板(仕切り部材の一部)
12、312,412 埋設部材(駆動軸の一部)
13 オリフィス
20 アクチュエータ
22 可動子(駆動軸の一部)
23 駆動軸
312a ねじ締結穴
310 ねじ穴
351,451 締結ねじ

Claims (4)

  1. 第1取付け具と、第2取付け具と、前記第2取付け具と前記第1取付け具とを連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体と、前記第2取付け具に取付けられて前記防振基体との間に液封入室を形成すると共にゴム状弾性体から構成されるダイヤフラムと、前記ダイヤフラムに連結され金属材料から形成される駆動軸を有すると共に前記ダイヤフラムを挟んで前記液封入室と反対側に配設されるアクチュエータと、前記アクチュエータの駆動軸により軸方向へ加振されるピストン部材と、前記ピストン部材が挿通される挿通孔を有し前記挿通孔に挿通されたピストン部材と共に前記液封入室を前記防振基体側の第1液室と前記ダイヤフラム側の第2液室とに仕切る仕切り部材と、前記第1液室と第2液室とを連通させるオリフィスと、を備えた能動型液封入式防振装置において、
    前記ピストン部材の外周面から径方向外方へ張り出すと共に前記第1液室に配設される第1張出部材と、前記ピストン部材の外周面から径方向外方へ張り出すと共に前記第2液室に配設され前記仕切り部材を挟んで前記第1張出部材と反対側に配設される第2張出部材とを備え、
    前記ピストン部材の軸方向一方または軸方向他方への変位が所定量以上となった場合には、前記第1張出部材または第2張出部材が仕切り部材に当接されることで、前記ピストン部材の変位が規制されることを特徴とする能動型液封入式防振装置。
  2. 前記ピストン部材がゴム状弾性体から前記ダイヤフラムと一体に形成されると共に、
    前記第1張出部材および第2張出部材がゴム状弾性体から前記ピストン部材と一体に形成され、
    前記ピストン部材の外周面には、周方向に連続すると共に前記第1張出部材に連接される凹部が凹設されることを特徴とする請求項1記載の能動型液封入式防振装置。
  3. 前記駆動軸は、前記第1液室側の軸方向端面にねじ締結穴が形成され、
    前記ピストン部材は、
    ゴム状弾性体から前記ダイヤフラムと一体に形成されると共に前記駆動軸の少なくとも一部が埋設される第2液室側ピストンと、
    ねじ穴が貫通形成される第1液室側ピストンと、
    前記第1液室側ピストンのねじ穴に挿通されると共に前記駆動軸のねじ締結穴に螺合されることで前記第1液室側ピストンを前記第2液室側ピストンに締結固定する締結ねじと、を備え、
    前記第1張出部材は、前記第1液室側ピストンの外周面から径方向外方へ張り出され、
    前記第2張出部材は、前記第2液室側ピストンの外周面から径方向外方へ張り出しつつ前記第2液室側ピストンとゴム状弾性体から一体に形成され、
    前記締結ねじにより前記第1液室側ピストンが前記第2液室側ピストンに締結固定された場合には、前記第2張出部材が、前記仕切り部材を挟んで前記第1張出部材と反対側に配設されることを特徴とする請求項1記載の能動型液封入式防振装置。
  4. 前記第1液室側ピストンがゴム状弾性体から形成されると共に、第1張出部材が第1液室側ピストンとゴム状弾性体から一体に形成され、
    前記締結ねじは、前記駆動軸のねじ締結穴に一端側が螺合されるおねじ部と、前記おねじ部の他端側から径方向外方へ張り出すと共に前記駆動軸よりも大径に形成される頭部とを備え、金属材料から形成されることを特徴とする請求項3記載の能動型液封入式防振装置。
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