JP5473272B2 - 親水性ソルビタンモノステアレートおよび粘着付与樹脂を含有するゴム、およびそのサイドウォールを有するタイヤ - Google Patents
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Description
本発明は、親水性ソルビタンモノステアレートおよび特化粘着付与樹脂を含有するカーボンブラック強化ゴム組成物、並びに例えばゴムサイドウォールのような上記ゴム組成物の視覚的に観察できるゴム部品を有する空気入りゴムタイヤに関する。未硬化状態での上記ゴム組成物の表面、即ちタイヤサイドウォール部品の表面は、その表面上に親水性ソルビタンモノステアレートを、成形粘着性を増進、高めることによって、ゴム組成物の加工中に、特に例えば押出しのようなゴム組成物の高剪断加工後に湿分に暴露された親水性ソルビタンモノステアレート(湿分暴露表面)による成形粘着性の損失を妨げるべく特化された粘着付与樹脂と共に含有している。
ソルビタンモノステアレートは、時には、ソルビタンモノステアレートをゴムサイドウォールゴム組成物内から移行させてタイヤの硬化したゴムサイドウォールの可視表面上に相対的に光沢のある保護膜を作ることによってタイヤサイドウォールゴム組成物の表面外観を良くするためにカーボンブラック強化タイヤサイドウォールゴム組成物中で使用されることがある。
用語「ゴム」および「エラストマー」は、外に指摘されなければ互換的に使用される。用語「加硫(vulcanized)」および「硬化(cured)」は外に指摘されなければ互換的に使用される。用語「コンパウンド」および「ゴム組成物」は外に指摘されなければ互換的に使用することができる。
発明の開示と実施
この発明によれば、ゴム100重量部(phr)に基づいて;
(A)少なくとも1種(100phr)のジエン系エラストマー、
(B)約20〜約120phrの、或いはそれに代わって約45〜約90phrの、
(1)ゴム強化用カーボンブラック、または
(2)(a)約10〜約80phrの、或いはそれに代わって約30〜約60phrのゴム強化用カーボンブラック、および
(b)約10〜約50phrの、或いはそれに代わって約15〜約30phrの非晶質シリカ(例えば、沈降シリカ)
を含むゴム強化用カーボンブラックと非晶質シリカ(例えば、沈降シリカ)、との組み合わせ
を含む粒状ゴム強化剤
を含む未硬化ゴム組成物であって、このゴム組成物は
(C)約0.5〜約20phrの、或いはそれに代わって約1〜約10phrのソルビタンモノステアレート、および
(D)2phrを超える、或いはそれに代わって2〜約10phrの、或いはそれに代わって約3〜約5phrの、さらにそれに代わって2〜約4phrの(未硬化ゴム組成物について湿分で老化した表面の成形粘着性(moisture-aged surface building tack)を増進するように)特化された粘着付与樹脂
の分散物を含有し;
上記特化粘着付与樹脂はアルキルフェノール/ホルムアルデヒド樹脂とビニル単量体との反応生成物を含む、ビニル単量体で修飾されたアルキルフェノール/ホルムアルデヒド樹脂であり、そして
上記ゴム組成物の少なくとも1つの表面は上記のソルビタンモノステアレートと特化粘着付与樹脂との組み合わせを含有している
上記の未硬化ゴム組成物が提供される。
本発明のもう1つの面では、上記粒状ゴム強化剤はゴム強化用カーボンブラックと非晶質シリカ、特に沈降シリカとの組み合わせを含む。
実際面では、この発明で使用するための特化粘着付与樹脂は、本発明では、ビニル修飾アルキルフェノール/ホルムアルデヒド樹脂と称され、ここでそのような修飾は、例えば上記米国特許出願公開第2006/0199924号明細書に示される酸触媒による。
このような特化粘着付与剤樹脂自身は、ビニル単量体で修飾されていない一般的なゴム粘着付与剤としてのフェノール樹脂を含むことは意図されない(但し、そのような一般的なゴム粘着付与剤樹脂は、所望とされるならば、ゴム組成物中に上記特化粘着付与剤樹脂と一緒に含めることができる)。このようなより一般的なゴム粘着付与樹脂は、主として、ホルムアルデヒドと、パラ−第三オクチルフェノールおよびパラ−第三ブチルフェノールのようなアルキルフェノールの少なくとも1種を含むアルキルフェノール、好ましくはパラ−第三オクチルフェノールとの反応生成物を含むもので、その代表は、例えば上記SI Group社(以前はSchenectady)からのSP-1068TMである。
特に、この発明によれば、前記タイヤは、前記タイヤ部品の可視外表面上に、前記特化粘着付与樹脂の存在下における未硬化ゴム部品内での移行によって形成される上記ソルビタンモノステアレートの膜を含み、この場合上記特化粘着付与樹脂もまた上記未硬化ゴム部品内でゴム部品の可視外表面へ、最後にはタイヤの可視外表面上に膜として移行する。
この発明の1つの面において、カーボンブラックリッチのゴム組成物および前記のタイヤ部品、例えばサイドウォール部品のための粒状強化剤は、ゴム強化用カーボンブラックであって、好ましくは、認識し得るいかなる量のシリカ(例えば、5phr未満のシリカ)も除外され、またシラン系物質(例えば、アルキルシラン、アルコキシシラン、並びに、例えばアルコキシ有機シランポリスルフィドおよびアルコキシ有機メルカプトシランのようなシリカカップラー)は無い(好ましくは、そのようなシラン系物質は除外される)。
タイヤは、このような技術分野の当業者には直ちに明らかになるいろいろな方法により成形し、付形し、型で成型し、そして硬化させることができる。
本発明は、部数および百分率が外に指摘されない限りは重量によるものである次の実施例を参照することによってさらによく理解されるだろう。
比較のためのゴム試料AおよびBは、ソルビタンモノステアレートと常用のアルキルフェノール/ホルムアルデヒド粘着付与樹脂との組み合わせをタイヤサイドウォール部品のためのゴム組成物中で用いることの効果を、ゴム組成物について表面成形粘着性を湿分老化(moisture ageing)の前後に測定し、そしてまたゴム組成物を硬化させた後にゴム組成物の表面の外観を観察するという意味において評価するために調製された。
1.粘着付与樹脂Yと識別されるゴム試料Cのための石油系粘着付与樹脂(ゴム粘着付与樹脂);
2.粘着付与樹脂Zと識別されるゴム試料Dのための常用アルキルフェノール/ホルムアルデヒド粘着付与樹脂(ゴム粘着付与樹脂);
3.粘着付与樹脂Qと識別されるゴム試料Eのためのビニル単量体修飾アルキルフェノール/ホルムアルデヒド樹脂(ゴム粘着付与樹脂)
との組み合わせをゴム組成物中で用いることを評価するために調製された。
ゴム試料の調製には、成分は、第一の、即ち非硬化発現密閉式混合段階において、約150℃という落下温度へと約4分間混合された。第二の、即ち硬化発現混合段階においては、硫黄および促進剤(1種または複数種)が添加され、そして約110℃という落下温度へと約2分間混合された。
硬化試料のオゾン試験、即ち静的および動的オゾン試験の結果、並びに未硬化ゴム試料について測定された原表面粘着性および湿分老化表面粘着性の結果が示される。静的であると、動的であるとにかかわらず、オゾン濃度、時間および温度に関して試料のオゾン試験の一般的条件が示される。
3粘着付与剤Z:Sovereign Chemical社からのCRJ-418TMとしての非反応性アルキルフェノール/ホルムアルデヒド樹脂。
表2では、ソルビタンモノステアレートを含有する未硬化試料(試料B、C、DおよびE)の表面についての原成形粘着性は未硬化対照試料と実質的に同等であり、かつ包含粘着付与樹脂X、Y、ZおよびQは全て好適な成形粘着性を与えるように見えたことが分かる。
実験用ゴム試料F〜Iは、ソルビタンモノステアレートと、望ましいレベル範囲を確立するための色々なレベルの特化粘着付与樹脂Qとの組み合わせをタイヤサイドウォール部品のためのゴム組成物に用いることの効果を、高湿度「湿分」老化の前後にゴム組成物の表面成形粘着性を、またゴム組成物を硬化させた後のゴム組成物の表面の外観を観察するという意味において評価するために調製された。
基本処方は、部数が外に指摘されない限りは重量によるものである、表1に示される物質を用いている次の表3に例示される。
Claims (19)
- ゴム100重量部に基づいて(phr);
(A)少なくとも1種のジエン系エラストマー、
(B)(1)ゴム強化用カーボンブラック、または
(2)(a)10〜80phrのゴム強化用カーボンブラックと(b)10〜50phrの沈降シリカとを含む、ゴム強化用カーボンブラックと沈降シリカとの組み合わせ
を含む粒状ゴム強化剤20〜120phr
を含む未硬化ゴム組成物であって、該ゴム組成物は
(C)0.5〜20phrのソルビタンモノステアレート、および
(D)2phr以上の特化粘着付与樹脂
の少なくとも1つの露出表面の分散物を含有し;
該特化粘着付与樹脂はアルキルフェノール/ホルムアルデヒド樹脂とビニル単量体との反応生成物を含む、ビニル単量体で修飾されたアルキルフェノール/ホルムアルデヒド樹脂であり、
該特化粘着付与樹脂のためのビニル単量体が、スチレン、アルファ−メチルスチレン、N,N−ジメチルアミノスチレン、ヒドロキシスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルピリジンおよびそれらの混合物の少なくとも1種から選ばれ、そして
該ゴム組成物の少なくとも1つの表面は該ソルビタンモノステアレートと特化粘着付与樹脂との組み合わせを含有している
上記の未硬化ゴム組成物。 - 該粒状ゴム強化剤がゴム強化用カーボンブラックである、請求項1に記載のゴム組成物。
- 該粒状ゴム強化剤がゴム強化用カーボンブラックと沈降シリカとの組み合わせである、請求項1に記載のゴム組成物。
- 該シリカ上のヒドロキシル基と反応性の部分および該ジエン系エラストマー(1種または複数種)と相互作用性の他の異なる部分を有する、該シリカのためのシリカカップリング剤を含んでいる、請求項3に記載のゴム組成物。
- 該特化粘着付与樹脂のためのビニル単量体がスチレン、アルファ−メチルスチレンおよびそれらの混合物から選ばれる、請求項1に記載のゴム組成物。
- 該特化粘着付与樹脂のためのアルキルフェノールが第三オクチルフェノールおよび第三ブチルフェノールの少なくとも1種を含む、請求項1に記載のゴム組成物。
- 該特化粘着付与樹脂のためのアルキルフェノールが第三オクチルフェノールを含む、請求項1に記載のゴム組成物。
- 該特化粘着付与樹脂のためのアルキルフェノールが第三オクチルフェノールおよび第三ブチルフェノールの少なくとも1種を含む、請求項1に記載のゴム組成物。
- 該特化粘着付与樹脂のためのアルキルフェノールが第三オクチルフェノールを含む、請求項5に記載のゴム組成物。
- 該特化粘着付与樹脂がビニル単量体修飾アルキルフェノール/ホルムアルデヒド樹脂であり、ここでその修飾が酸触媒によってなされている、請求項1に記載のゴム組成物。
- 該ソルビタンモノステアレートおよび特化粘着付与樹脂を含有するゴム組成物の少なくとも1つの表面が湿分に暴露されている、請求項1に記載のゴム組成物。
- 該湿分に暴露されたソルビタンモノステアレートおよび特化粘着付与樹脂を表面上に含有する請求項11に記載の未硬化ゴム組成物を、硫黄硬化させることによって与えられる硫黄硬化ゴム組成物。
- 該ソルビタンモノステアレートと特化粘着付与樹脂との組み合わせを含んでいる表面を有する請求項1に記載の未硬化ゴム組成物を含む未硬化タイヤゴム部品。
- 該部品がタイヤサイドウォール部品である、請求項13に記載の未硬化タイヤゴム部品。
- 該ソルビタンモノステアレートおよび特化粘着付与樹脂を含有する未硬化ゴムサイドウォール部品の表面が湿分に暴露された表面である、請求項14に記載の未硬化ゴムサイドウォール部品。
- 該ソルビタンモノステアレートおよび特化粘着付与樹脂を含有する該未硬化ゴムサイドウォール部品表面が該未硬化ゴムサイドウォール部品の未硬化状態での造形加工中に湿分に暴露されており、それに続いて、その結果として得られる湿分暴露表面が乾燥され、そしてその湿分の一部分が該ソルビタンモノステアレートによって保持されている、請求項14に記載の未硬化ゴムサイドウォール部品。
- 請求項14に記載の未硬化ゴムサイドウォール部品を含んでいる未硬化タイヤゴム部品の組立品。
- 該未硬化ゴムサイドウォール部品が、該ソルビタンモノステアレート、および該未硬化ゴムサイドウォール部品を成形して未硬化タイヤゴム部品の組立品にするのに適した成形粘着性を有する特化粘着付与樹脂を含有する湿分暴露表面を有する、請求項17に記載の組立品。
- 該サイドウォール部品を含んでいる請求項17に記載の組立品を、タイヤを成型するのに適した型の中で硬化させることによって製造されたタイヤであって、該タイヤのサイドウォール部品は該ソルビタンモノステアレートおよび特化粘着付与樹脂を含有することが視覚的に観察できる外表面を有する上記のタイヤ。
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