本発明の接着シートは、粘接着剤層と、表面張力が40mN/mを超える基材層とを備え、粘接着材層は、熱重合性および放射線重合性の両方の性質を有する。基材層の表面張力が40mN/mを超えることにより、ダイシング工程ではウエハの固定力に優れたダイシングテープとして使用できるもので、かつダイボンド工程では接着信頼性に優れるダイボンド用接着剤として使用できる。特に、本発明の接着シートは、(A)ポリイミド樹脂を100質量部、(B)エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤を1〜200質量部、および(C)放射線重合性化合物を5〜400質量部含有する粘接着剤層により、さらに粘着力と接着力のバランスに優れるものとなる。
この接着シートは、ダイシング時には半導体素子が飛散しない十分な粘着力を有し、ピックアップ時には各半導体素子を傷つけることがないような低い粘着力を有する、という相反する要求を満足するものであり、ダイシングおよびダイボンドの各工程を、一枚のフィルムで完了することができる。
本発明の接着シートにおける(A)ポリイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを公知の方法で縮合反応させて得ることができる。例えば、有機溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを等モルまたはほぼ等モル用い、反応温度80℃以下、好ましくは0〜60℃で付加反応させる方法が挙げられる。なお、各成分の添加順序は任意である。反応が進行するにつれ反応液の粘度が徐々に上昇し、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が生成する。
上記ポリアミド酸は、50〜80℃の温度で加熱して解重合させることによって、その分子量を調整することもできる。
ポリイミド樹脂は、上記反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環させて得ることができる。脱水閉環は、加熱処理する熱閉環法と、脱水剤を使用する化学閉環法で行うことができる。
ポリイミド樹脂の原料として用いられるテトラカルボン酸二無水物としては特に制限は無い。例えば、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、ピロメリット酸二無水物、3,3´、4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2´、3,3´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3´,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2´,3´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3,3´,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2´,3´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ−〔2,2,2〕−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4´−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物等を使用することができる。これらの1種または2種以上を併用することもできる。
また、ポリイミドの原料として用いられるジアミンとしては特に制限は無く、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´−ジアミノジフェニルメタン、3,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3´−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4´−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4´−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3´−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4´−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4´−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3´−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4´−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4´−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3´−ジアミノジフェニルケトン、3,4´−ジアミノジフェニルケトン、4,4´−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2´−(3,4´−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4´−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3´−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4´−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4´−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノエノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(4−アミノエノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−アミノエノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(4−アミノエノキシ)フェニル)スルフォン、3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、下記一般式(I)
(式中、R1及びR2は炭素原子数1〜30の二価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R3及びR4は一価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、mは1以上の整数である)
で表されるジアミノポリシロキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、サン テクノケミカル(株)製品名 ジェファーミン D−230、同D−400、同D−2000、同D−4000、同ED−600、同ED−900、同ED−2001、同EDR−148等のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン等を使用することができ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
本発明に使用する(B)エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂の硬化剤は通常用いられているものを使用できる。エポキシ樹脂は、硬化して接着作用を呈するものであれば特に制限は無く、例えば、油化シェルエポキシ(株)製品名 エピコート807、同815、同825、同827、同828、同834、同1001、同1004、同1007、同1009、ダウケミカル社製品名 DER−330、同301、同361、東都化成(株)製品名 YD8125、同YDF8170等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ(株)製品名 エピコート152、同154、日本化薬(株)製品名 EPPN−201、ダウケミカル社製品名 DEN−438等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬(株)製品名 EOCN−102S、同103S、同104S、同1012、同1025、同1027、東都化成(株)製品名 YDCN701、同702、同703、同704等のo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ(株)製品名 Epon 1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製品名 アラルダイト0163、ナガセ化成(株)製品名 デナコールEX−611、同614、同614B、同622、同512、同521、同421、同411、同321等の多官能エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ(株)製品名 エピコート604、東都化成(株)製品名 YH−434、三菱ガス化学(株)製品名 TETRAD−X、同TETRAD−C、住友化学(株)製品名 ELM−120等のアミン型エポキシ樹脂、チバスペシャリティーケミカルズ社製品名 アラルダイトPT810等の複素環含有エポキシ樹脂、UCC社製品名 ERL4234、同4299、同4221、同4206等の脂環式エポキシ樹脂等を使用することができ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
エポキシ樹脂の硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤として通常用いられているものを使用でき、アミン、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三ふっ化ほう素、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する化合物であるビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、多官能フェノール及びフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂等のフェノール類等が挙げられるが、特に吸湿時の耐電食性に優れるため、フェノール類を使用するのが好ましい。
本発明に使用する(C)放射線重合性化合物には、特に制限は無く、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、ペンテニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,2−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート等が挙げられる。
また、(C)放射線重合性化合物には、例えば、下記一般式(II)
(式中、R
5は水素またはメチル基を示し、q及びrは1以上の整数である)
で表される化合物、ジオール類及び、一般式(III)
(式中、nは0〜1の整数であり、R
6は炭素原子数が1〜30の2価あるいは3価の有機性基である)
で表されるイソシアネート化合物及び、一般式(IV)
(式中、R
7は水素またはメチル基であり、R
8はエチレン基あるいはプロピレン基である)
で表される化合物からなるウレタンアクリレートまたはウレタンメタクリレート、一般式(IV)
(式中、R
9は炭素原子数が2〜30の2価の有機基を示す)
で表されるジアミン及び、一般式(VI)
(式中、nは0〜1の整数であり、R
10は炭素原子数が1〜30の2価あるいは3価の有機性基である)
で表されるイソシアネート化合物及び、一般式(VII)
(式中、nは0〜1の整数である)
で表される化合物からなる尿素メタクリレート等が挙げられる。また、側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性化合物、例えば、官能基を含むビニル共重合体に少なくとも1個のエチレン性不飽和基と、オキシラン環、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基等の1個の官能基を有する化合物を付加反応させて得られる側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体等が挙げられる。これらは単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の接着シートの粘接着剤層は、(C)放射線重合性化合物を含むため、UV(紫外線)やEB(電子線)等の放射線を照射することにより、粘接着剤層と基材層との接着力を制御することができる。
また、本発明の接着シートを形成する粘接着層には、さらに硬化促進剤を添加することもできる。硬化促進剤としては、特に制限はなく、例えば、イミダゾール類等が挙げられる。具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等を使用することができ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
硬化促進剤の添加量は、(B)エポキシ樹脂及びエポキシ硬化剤100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜3質量部がより好ましい。添加量が0.1質量部未満であると硬化性が劣る傾向があり、5質量部を超えると保存安定性が低下する傾向がある。
また、本発明の接着シートを形成する粘接着層には、活性光の照射によって遊離ラジカルを生成する光重合開始剤を添加することもできる。このような光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等を使用することができ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
上記光重合開始剤の使用量としては、特に制限はないが、(C)放射線重合性共重合体100質量部に対して通常0.01〜30質量部である。
本発明の接着シートを形成する粘接着層には、可とう性や耐リフロークラック性を向上させる目的で、エポキシ樹脂と相溶性がある高分子量樹脂を添加することができる。このような高分子量樹脂としては、特に制限はなく、例えば、フェノキシ樹脂、高分子量エポキシ樹脂、超高分子量エポキシ樹脂等を使用することができ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
エポキシ樹脂と相溶性がある高分子量樹脂の使用量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、40質量部以下とするのが好ましい。40質量部を超えると、粘接着剤層のTgが低下する傾向がある。
また、本発明の接着シートを形成する粘接着層には、その取り扱い性向上、熱伝導性向上、溶融粘度の調整及びチキソトロピック性付与等の目的のため、無機フィラーを添加することもできる。無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が挙げられ、フィラーの形状は特に制限されるものではない。これらのフィラーは単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用することができる。
中でも、熱伝導性向上のためには、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。また、溶融粘度の調整やチキソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。
無機フィラーの使用量は、粘接着層100体積部に対して1〜20体積部が好ましい。1体積部未満では添加効果が得られない傾向があり、20体積部を超えると、接着剤層の貯蔵弾性率の上昇、接着性の低下、ボイド残存による電気特性の低下等の問題を起こす傾向がある。
また、本発明の接着シートを形成する粘接着層には、異種材料間の界面結合を良くするために、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系等が挙げられ、中でも効果が高い点でシラン系カップリング剤が好ましい。
上記シラン系カップリング剤としては、特に制限はなく、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、3−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル−プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、アミルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリ(メタクリロイルオキエトキシ)シラン、メチルトリ(グリシジルオキシ)シラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、エトキシシランイソシアネート等を使用することができ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
また、チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(n−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアエチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、ポリヒドロキシチタンステアレート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テトラプロピルオルソチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、ステアリルチタネート、クレシルチタネートモノマー、クレシルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、テトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート等を使用することができ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウム−モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−iso−プロポキシド−モノエチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコレート等を使用することができ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
上記カップリング剤の使用量は、その効果や耐熱性及びコストの面から、(A)ポリイミド樹脂100質量部に対し、0.01〜10質量部とするのが好ましい。
本発明の接着シートを形成する粘接着層には、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性をよくするために、さらにイオン捕捉剤を添加することもできる。このようなイオン捕捉剤としては、特に制限はなく、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤等の、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物、ジルコニウム系、アンチモンビスマス系マグネシウムアルミニウム化合物等の無機イオン吸着剤等が挙げられる。
上記イオン捕捉剤の使用量は、添加による効果や耐熱性、コスト等の点から、(A)ポリイミド樹脂100質量部に対し0.1〜10質量部が好ましい。
本発明の接着シートは、接着シートの粘接着剤層を形成する上記の各原料組成物を溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし、基材層となるフィルム(以下、基材フィルムという。)上にこの粘接着剤ワニスを塗布、加熱し溶剤を除去することによって得ることができる。
本発明の接着シートに用いる基材フィルムとしては、40mN/mを超える表面張力を有するものであれば特に制限は無く、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。基材層が40mN/mを超える表面張力を有することにより、光照射前においては基材層と粘接着剤層との間での剥離が起こりにくくなるため、ウエハをダイシングする際のウエハの固定力が大きくなる。
上記溶剤としては、特に制限は無く、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−エトキシエタノール、トルエン、キシレン、ブチルセルソルブ、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノールジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノン等を使用することができ、これらの1種または2種以上を併用することもできる。
粘接着剤層に無機フィラーを添加する際のワニスの製造には、無機フィラーの分散性を考慮して、らいかい機、3本ロール、ボールミル及びビーズミル等を使用するのが好ましく、また、これらを組み合わせて使用することもできる。また、粘接着剤層の原料組成物のうち、無機フィラーと低分子量の原料組成物をあらかじめ混合した後、高分子量の原料組成物を配合することによって、混合する時間を短縮することもできる。また、ワニスとした後、真空脱気等によってワニス中の気泡を除去することもできる。
基材フィルムへのワニスの塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
接着シートの厚みは、特に制限はないが、粘接着層、基材層ともに5〜250μmが好ましい。5μmより薄いと応力緩和効果が乏しくなる傾向があり、250μmより厚いと経済的でなくなる上に、半導体装置の小型化の要求に応えられない。接着シートの形状は、テープ状、ラベル状等、任意の形状を取ることができる。また、保存、運搬や取り扱い性の向上のために、本接着シートを例えば樹脂巻芯、紙芯等に巻き取ってもよい。
本発明の接着シートは、例えば所望の厚さを得るために、接着シートの粘接着層側に、別途作製した粘接着剤を1枚以上貼り合わることができる。この場合には、粘接着剤層同士の剥離が発生しないような貼り合わせ条件が必要である。
以上説明したような構成の接着シートに放射線を照射すると、放射線照射後には基材層と粘接着剤層との接着力は大きく低下する。
次に、本発明の半導体装置の製造方法について説明する。本発明の半導体装置の製造方法は、本発明の接着シートを使用し、以下に詳述する貼り付け工程と、ダイシング工程と、放射線照射工程と、ピックアップ工程と、ダイボンド工程とを含むことを特徴とする。
本発明の半導体装置の製造方法の実施形態の例を以下に示す。
(貼り付け工程) まず、上記で得られた本発明の接着シートを、ダイシング装置上に固定し、この接着シートの粘接着剤層を貼着面として、ダイシング加工すべき半導体ウエハを室温または加熱しながら圧着して貼り付ける。
(ダイシング工程) ダイシングソー等の切断手段により、上記半導体ウエハを個片化して粘接着剤層が貼着したままの半導体素子(以下、粘接着剤層付き半導体素子という。)を基材層上に得る。半導体ウエハと共に、粘接着剤層も後述するエキスパンディング及びピックアップに支障ないように個片化される。ダイシング終了後に、洗浄、乾燥の工程を施す。この際、半導体素子は、半導体素子と粘接着剤層との貼着力および粘接着剤層と基材層との粘着力により接着シートに充分に接着保持されているので、上記各工程の間に半導体素子が脱落することはない。
(放射線照射工程) 紫外線(UV)あるいは電子線(EB)等の放射線を前記接着シートの粘接着剤層に照射し、放射線重合性を有する粘接着剤層を重合硬化させる。この結果、半導体素子と粘接着剤層との間の貼着力は維持されたままで、粘接着剤層と基材層との間の粘着力は、半導体素子を粘接着剤層と共に容易にピックアップできる程度に減少する。さらに、エキスパンド性を持った基材層を用いることによって容易に所望の半導体素子間隔が得られピックアップが容易になる。接着シートへの放射線照射は、接着シートの基材層面側から行うのが、効率が良い。放射線としてEBを用いる場合には接着シートの基材層は光透過性である必要はないが、放射線としてUVを用いる場合には基材層は光透過性である必要がある。
(ピックアップ工程) 必要に応じて、エキスパンディング(引き延ばし)により半導体素子同士の間隔を拡張した状態で、放射線硬化後の粘接着剤層付き半導体素子を基材層からピックアップする。この際、粘接着剤層付き半導体素子の粘接着剤層と基材層とは容易に剥離する。
(ダイボンド工程) ピックアップされた粘接着剤層付き半導体素子を、前記粘接着剤層を接着面として、半導体素子搭載用支持部材(例えばリードフレームのダイパッド部分)に室温または加熱しながら圧着し加熱する。加熱によって粘接着剤層は信頼性に耐える接着力を発現し、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材との接着が完了する。
上記接着された上記支持部材および半導体素子から、所望する半導体装置の構造に応じて、例えばワイヤボンディング、封止等の所定の工程を経て半導体装置を作製できる。この本発明の半導体装置の製造方法により、本発明の半導体装置が得られる。
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に報告する。本発明は、これらに限定されるものではない。
[(C)放射線重合性化合物の合成]
(合成例1)
攪拌機、滴下ロート、冷却管及び窒素導入管を備えた四ツ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル 90.0質量部及びトルエン 60.0質量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、メタクリル酸エチル 45.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル 35.0質量部、メタクリル酸 20.0質量部及び2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル) 1.0質量部の混合液を4時間かけて均一に滴下した。滴下後、80℃±2℃で6時間攪拌を続けた後、ヒドロキノン 0.05質量部を添加した。ヒドロキノン添加後、反応系を100℃に昇温し、0.5時間かけてメタクリル酸グリシジル 33.0質量部、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム 0.1質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル 30.0質量部及びトルエン 20.0質量部の混合液を滴下した。滴下後、100℃で20時間攪拌を続けた後、室温に冷却して側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性化合物(A−1)を得た。該化合物(A−1)は、重量平均分子量が28,000、ガラス転移温度が約5℃であった。
(合成例2)
攪拌機、滴下ロート、冷却管及び窒素導入管を備えた四ツ口フラスコに、VESTANAT IPDI(ダイセル・ヒュルス(株)製商品名、イソフォロンジイソシアネート)888質量部及び酢酸エチル 789質量部を仕込み70℃に昇温後、70〜75℃に保温し、2−ヒドロキシエチルアクリレート 232質量部、PTG650SN(保土ヶ谷化学(株)製商品名、ポリオキシテトラメチレングリコール、数平均分子量約650)1950質量部、ヒドロキノンモノメチルエーテル 1.53質量部、L101(東京ファインケミカル(株)製商品名、ジブチル錫ラウレート)1.53質量部及び酢酸エチル 526質量部の混合液体を3時間で均一滴下し反応を行った。滴下完了後約5時間反応させ、IR測定によってイソシアネート基が消失したことを確認し反応を終了して放射線重合性化合物(A−2)を得た。
(合成例3)
攪拌機、滴下ロート、冷却管及び窒素導入管を備えた四ツ口フラスコに、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン 197.06g(0.48モル)及びγ−ブチロラクトン 318.14gを仕込んだ後、30℃に昇温し、30〜40℃に保ちながら、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート 50.4g(0.24モル)を少量ずつ滴下した。滴下後、30℃で1時間反応を続けた後、カレンズMOI(昭和電工(株)製商品名、イソシアネートエチルメタクリレート)70.68g(0.456モル)及びヒドロキノンモノメチルエーテル 0.318gを、30℃に保ちながら、少量ずつ滴下した。滴下後、30℃以下で2時間反応を続け、放射線重合化合物(A−3)を得た。
(実施例1)
温度計、攪拌機及び塩化カルシウム管を備えた500mlフラスコに、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン 41.05g(0.1モル)及びN−メチル−2−ピロリドン150gを仕込み攪拌した。ジアミンの溶解後、フラスコを氷浴中で冷却しながら、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート)無水物52.2g(0.1モル)を少量ずつ添加した。室温で3時間反応させたのち、キシレン30gを加え、窒素ガスを吹き込みながら150℃で加熱し、水と共にキシレンを共沸除去した。その反応液を水中に注ぎ、沈殿したポリマーを濾別し、乾燥して(A)ポリイミド樹脂を得た。
この(A)ポリイミド樹脂50g、(B)エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤としてo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名:ESCN−195)10g、フェノールノボラック樹脂(明和化成(株)製、商品名:H−1)5.3g、硬化促進剤としてテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート(北興化学(株)製、商品名:TPPK)0.2g、(C)放射線重合性化合物として合成例1で得られた側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性化合物(A−1)13.1g及び光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.2gを、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドン200g中に加えた。これを良く攪拌し、均一に分散させて粘接着剤ワニスを得た。
この粘接着剤ワニスを、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人(株)製商品名、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50mN/m)上に均一に塗布し、150℃で20分間加熱乾燥して、ポリエチレンテレフタレートフィルムの基材層と、膜厚が50μmの粘接着剤層とを備えた接着シート(接着シート1)を作製した。
上記で得られた接着シート1を用いて、以下の順で粘着剤層付き半導体素子を得た。
接着シート1をダイシング装置上に固定し、該接着シートの粘接着剤層を貼着面として厚さ150μmの半導体ウエハを貼り付けて接着シート付きシリコンウエハを得た。これをダイシングソーにより5mm×5mmにダイシングして、基材層上に粘接着剤層付き半導体素子を得た。これを、水で洗浄し、さらに乾燥させた。次いで、(株)オーク製作所製UV−330 HQP−2型露光機を使用して、500mJ/cm2の露光量で接着シートの基材層側から露光して粘接着剤層を重合硬化させた。その後、ピックアップ装置にて半導体素子を基材層からピックアップした。
上記でピックアップされた粘接着剤層付き半導体素子を、厚み25μmのポリイミドフィルムを基材に用いた配線基板上に、180℃の温度で200gの荷重を5秒間かけて接着した。その後、日立化成工業社製封止材製品名CEL−9200を用いて封止して半導体装置のサンプルを作製した。このサンプルの耐熱性及び耐湿性を以下のように評価した。耐熱性の評価方法には、耐リフロークラック性と温度サイクル試験を適用した。
耐リフロークラック性の評価は、上記半導体装置サンプル表面の最高温度が240℃でこの温度を20秒間保持するように温度設定したIRリフロー炉にサンプルを通し、室温で放置することにより冷却する処理を2回繰り返したサンプル中のクラックを目視と超音波顕微鏡で視察した。クラックの発生していないものを○とし、発生していたものを×とした。
耐温度サイクル性は、サンプルを−55℃雰囲気に30分間放置し、その後125℃の雰囲気に30分間放置する工程を1サイクルとして、1000サイクル後において超音波顕微鏡を用いて剥離やクラック等の破壊が発生していないものを○、発生したものを×とした。また、耐湿性評価は、温度121℃、湿度100%、2.03×105Paの雰囲気(プレッシャークッカーテスト:PCT処理)で72時間処理後に剥離を観察して行った。これらの評価結果を表1に示す。剥離の認められなかったものを○とし、剥離のあったものを×とした。
別に、上記で得られた接着シート付きシリコンウエハをダイシング装置上に載置し、ウエハを5mm×5mmにダイシングしてダイシング時のチップ飛びを評価した。ダイシングで得られた粘接着剤層付き半導体素子を、上記と同様に露光して粘接着剤層を重合硬化させた。次いでピックアップ装置にて半導体素子を接着シートの基材層からピックアップしてピックアップ性を評価した。
チップ飛び及びピックアップ性の評価結果を表1に併記する。チップ飛びは、ダイシング時にチップ(個片化した素子)が飛散したかどうかを評価し、ピックアップ性の評価は、ピックアップ後のチップ100個中、基材層上に粘接着剤が残っているノリ残りが目視で確認できず、かつチップに傷が付いていない個数を示した。
別に、上記で得られた接着シート付きシリコンウエハに500mJ/cm2の露光量で接着シートの基材層側から露光し、露光前後の接着シートの粘接着剤層/基材層界面の接着強度を、90°ピール強度で測定した(引張り速度 50m/min)。この評価結果を表1に併記する。
(実施例2)
実施例1において、放射線重合性化合物(A−1)の代わりに合成例2で得られた放射線重合性化合物(A−2)とした以外は実施例1と全く同様の操作を行い、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材層と、膜厚が50μmの粘接着剤層を備えた接着シート(接着シート2)を作製した。得られた接着シート2を実施例1と同様の条件で評価した結果を表1に併記する。
(実施例3)
実施例1において、放射線重合性化合物(A−1)の代わりに合成例3で得られた放射線重合性化合物(A−3)とした以外は実施例1と全く同様の操作を行い、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材層と、膜厚が50μmの粘接着剤層を備えた(接着シート3)を作製した。得られた接着シート3を実施例1と同様の条件で評価した結果を表1に併記する。
(比較例1)
実施例1において、粘接着剤ワニスを塗布する基材フィルムを、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人(株)製商品名、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50mN/m)の代わりに、片面離型処理ポリエチレンテレフタレート(帝人(商品名)製、ピューレックスS−31、厚さ50μm、表面張力25mN/m)とし、その離型処理面に塗布した以外は実施例1と全く同様の操作を行い、接着シート4を得た。得られた接着シート4を実施例1と同様の条件で評価した結果を表1に併記する。
(比較例2)
実施例2において、粘接着剤ワニスを塗布する基材フィルムを、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人(株)製商品名、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50mN/m)の代わりに、片面離型処理ポリエチレンテレフタレート(テイジン(株)製商品名、ピューレックスS−31、厚さ50μm、表面張力25mN/m)とし、その離型処理面に塗布した以外は実施例1と全く同様の操作を行い、接着シート5を得た。得られた接着シート5を実施例1と同様の条件で評価した結果を表1に併記する。
(比較例3)
実施例3において、粘接着剤ワニスを塗布する基材フィルムを、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人(株)製商品名、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50mN/m)の代わりに、片面離型処理ポリエチレンテレフタレート(テイジン(株)製商品名、ピューレックスS−31、厚さ50μm、表面張力25mN/m)とし、その離型処理面に塗布した以外は実施例1と全く同様の操作を行い、接着シート6を得た。得られた接着シート6を実施例1と同様の条件で評価した結果を表1に併記する。
(比較例4)
実施例1において、粘接着剤ワニスにおいて、側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性化合物(A−1)及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを除いた以外は実施例1と全く同様の操作を行い、接着シート7を得た。得られた接着シート7を実施例1と同様の条件で評価した結果を表1に併記する。
表1から、本発明の接着シートは耐熱性および耐湿性に優れ、ダイシング時のチップ飛びも無く、ピックアップ性も良好であることがわかる。さらに、露光前後の接着強度差が大きいため、作業条件の許容度が大きいため、作業条件の許容度が大きく、作業性に優れるものである。