JP5471387B2 - Iii族窒化物結晶半導体基板の製造方法、及びiii族窒化物結晶半導体基板 - Google Patents

Iii族窒化物結晶半導体基板の製造方法、及びiii族窒化物結晶半導体基板 Download PDF

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Description

本発明は、主として半導体素子の基板として使用されるIII族窒化物結晶半導体基板の製造方法、及びそれを用いて得られるIII族窒化物結晶半導体基板に関する。
窒化ガリウム(GaN)をはじめとするIII族窒化物結晶は、発光ダイオード及びレーザーダイオード等の発光デバイスや高電子移動度トランジスタ(HEMT)及びヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)等の高周波及び高出力の電子デバイスに適用される物質として有用である。このため、結晶性が良くて表面が平坦なIII族窒化物結晶半導体基板を、なるべく個体差を小さくしながら再現性良く製造することが必要とされている。
III族窒化物結晶は、有機金属気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタキシ法(MBE法)あるいはハイドライド気相成長法(HVPE法)といったエピタキシャル成長の手法により、下地基板上に育成される。
一般に、上記の方法で得られたIII族窒化物結晶は表面平坦性が悪く、そのままではIII族窒化物結晶半導体基板として用いることはできない。そこで、このようなIII族窒化物結晶を基板として加工する場合、通常、基板の表面(III族原子面)は鏡面研磨される。
III族窒化物結晶は、異種の下地基板にヘテロエピタキシャル成長させた後に下地基板を剥離して得られるが、剥離したままでは結晶の裏面(N面)が下地基板のパターンニングによって梨地状に荒れていたり、下地基板の一部が付着していたりすることが多い。また、このようなIII族窒化物結晶を用いて得られる基板においては、結晶の反りに起因して平坦でない場合もある。
このため、このような基板をサセプタに載せて基板上にエピタキシャル層を成長させる場合には、基板の温度分布が不均一になり、その結果エピタキシャル層の均一性が低下したり、基板ごとのエピタキシャル層の均一性に関する再現性が悪化したりする。
そのため、基板の裏面(N面)に関しては、基板上にエピタキシャル層を成長させる際にサセプタから基板に伝わる熱分布を均一化すべく、基板裏面(N面)の表面粗度を均一にする技術が強く望まれている。
特許文献1では、窒化物半導体基板上にエピタキシャル層を成長させる際の基板の温度分布を均一化するため、基板の裏面を鏡面研磨することを提案している。
特許文献2では、裏面(N面)を研削(ラップ)後、エッチングする裏面処理工程を行い、裏面(N面)の算術平均粗さRaを1μm以上、10μm以下にすることを提案している。基板ホルダー表面は算術平均粗さ10μm程度であり、裏面(N面)を粗面とすることで、基板と基板ホルダーの密着度を良くできるとしている。
特許文献3では、結晶成長させる面の粗さRa(C)が10nm以下であり、前記結晶成長させる面の反対側の裏面の粗さRa(R)が0.5μm以上10μm以下であり、前記面粗さRa(C)に対する前記面粗さRa(R)の比Ra(R)/Ra(C)が50以上であるGaN結晶基板が、その上に成長させる半導体層のモフォロジーを低下させることなく、基板の表裏を目視で容易に識別することができるとしている。
特開2005−263609号公報 特開2007−153712号公報 特開2007−297263号公報
特許文献1のような方法では、III族窒化物結晶半導体基板上にエピタキシャル層を成長させる際の基板とサセプタとの密着度が悪く温度分布が不均一になりやすい他、表面と裏面の両方が鏡面研磨されているために表裏の区別がつきにくいという問題がある。
特許文献2のような方法では、研削(ラップ)後エッチングしても、基板全面を均一に粗化できずに鏡面の領域が多くなる場合があるので、III族窒化物結晶半導体基板上にエピタキシャル層を成長させる際の基板とサセプタとの密着度が悪く、温度分布が不均一になりやすい。これにより、エピタキシャル層の均一性に関する再現性が得られずに個体差が大きいという問題がある。
特許文献3については、基板の裏面の粗化方法について具体的な規定はないが、実施例中で研削加工により粗くしている。この場合、裏面の研削歪のために基板裏面が凸形状になるように反る。このような基板上にエピタキシャル層を成長させる際に、基板とサセプタは点接触になり基板全体に熱が伝わりにくい他、基板姿勢が不安定になることや、原料ガスが裏面に回りこむこと、等といった問題がある。さらに、裏面をエッチングにより凹凸形状にする実施例の記載もあるが、基板全面を均一に粗化できずに鏡面の領域が多くなる場合があるので、特許文献2と同様に均一性に関する再現性が得られずに個体差が大きいという問題がある。
裏面を確実に凹凸形状とする手段としてフォトリソグラフィによるパターン形成も考えられるが、露光や現像が必要になり工程が複雑で装置も高価であるため、簡単にバッチ処理でエッチングできる方法が望まれる。
本発明者らは、上記の課題に鑑みIII族窒化物結晶半導体基板の裏面を簡単にかつ均一に粗化することができる製造方法につき鋭意検討を行った。その結果、N面を研削及び/又は研磨し、該N面に不揮発性有機物を付着させた後にエッチングを行うことで上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を提供するに至った。
すなわち本発明の要旨は、III族窒化物結晶半導体基板の製造方法において、
1)III族窒化物結晶のN面を研削及び/又は研磨する工程と、
2)該N面に不揮発性有機物を付着させた後にエッチングを行う裏面処理工程
とを含むIII族窒化物結晶半導体基板の製造方法に関する。
また本発明は、前記工程2)において、有機溶剤と不揮発性有機物とを含む組成物にIII族窒化物結晶のN面を接触させて不揮発性有機物を付着させる、前記III族窒化物結晶半導体基板の製造方法に関する。
また本発明は、前記不揮発性有機物が高分子化合物である、前記III族窒化物結晶半導体基板の製造方法に関する。
また本発明は、前記高分子化合物がラテックスゴム、ポリスチレン、ポリカーボネート及びワックスから選ばれる1以上の高分子化合物である、前記III族窒化物結晶半導体基板の製造方法に関する。
また本発明は、前記有機溶剤がアセトン及び/又はアルコールである、前記III族窒
化物結晶半導体基板の製造方法に関する。
さらに本発明は、前記III族窒化物結晶半導体基板の製造方法により得られた、III族窒化物結晶半導体基板にも関する。
また本発明は、N面の十点平均粗さRzが1μm以上13μm以下である、前記III族窒化物結晶半導体基板に関する。
また本発明の別の要旨は、N面の十点平均粗さRzが1μm以上13μm以下である、III族窒化物結晶半導体基板に関する。
また本発明は、N面の算術平均粗さRaが0.1μm以上5μm以下である、前記III族窒化物結晶半導体基板に関する。
本発明によれば、従来のIII族窒化物結晶半導体基板のN面を簡単にかつ均一に粗化することができる。これにより、得られるIII族窒化物結晶半導体基板を用いた窒化物半導体素子の良品歩留率を向上させることができる。
GaN結晶のN面を本発明の方法にてエッチング後に、真上から60°傾けてSEM観察した像である。 GaN結晶のN面を本発明の方法にてエッチング後に、真上からSEM観察した像である。 GaN結晶のN面を本発明の方法にてエッチング後に真上からマイクロスコープで観察した像である。 本発明の実施の形態に係る、III族窒化物結晶半導体基板の製造工程の一例の概略を示すフローである。
以下、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
(結晶、基板)
本発明の方法において、III族窒化物結晶(以下、単に結晶と称することがある)とはIII族窒化物からなる結晶を意味し、例えばGaAlIn1―x―yN結晶(式中、0<x≦1)等をいう。
特に、半導体素子を形成するために、エピタキシャル層を形成する面を有する結晶をIII族窒化物結晶半導体基板(以下、単に基板と称することがある)という。一般に、アズグロウン結晶からスライス・研削・研磨・化学機械的研磨などの加工を実施して基板を得るが、本発明において加工途中の結晶は基板とは言わず結晶と呼ぶこととする。
(研削、研磨)
本発明において、研削とはダイヤモンド砥粒や炭化珪素砥粒などを結合剤で固定した固定砥粒を用いた加工をいう。また、研磨とは、遊離砥粒を利用した加工である機械研磨、化学機械的研磨を総称して研磨と呼ぶことにする。
(プレート)
本発明の方法においてプレートとは、研削あるいは研磨時に結晶を装置に取付けるために、結晶を貼り付けるプレートのことである。結晶を貼り付けるプレート面は、研削・研磨後に均一な厚みの基板を得るために、平坦なものが好ましい。
(平坦化)
本発明の方法において、平坦化とはプレートに貼り付けた結晶の表裏面を研削・研磨し
、これによって平坦な面を得る加工をいう。
(粗化)
本発明において粗化とは、III族窒化物結晶のN面をエッチングし、多角錐形状が連なる面を得ることをいう。エッチング方法としてはウエットエッチングが好ましく、中でもアルカリ液でエッチングすることがより好ましい。
例えば、窒化ガリウムのN面を均一に粗化した面を電子顕微鏡で真上から60度傾けて観察すると多角錐の形状をした突起が形成されることが分かる(図1)。真上から電子顕微鏡観察すると、多角錐は主に六角錐からなるが、円錐に近い場合もあり、隣り合う多角錐の距離が短いと、複雑な形状となる場合もある(図2)。本明細書では、上記のような様々な形状のものを含めて全て多角錘と総称し、これら多角錘の頂点の数が多角錘の数と一致するものと仮定した。
多角錐は顕微鏡やマイクロスコープでも観察可能(図3)であり、本発明ではマイクロスコープにて倍率1000倍で観察し、一定範囲の多角錐の頂点の個数を数えて多角錘密度を算出した。
(均一な粗化)
N面をエッチングして多角錐を形成した場合、前述した本発明の多角錘密度の評価方法では多角錐密度が1.0×10個/cm以上であると均一に粗化しているといえる。粗化の均一/不均一状態は目視観察でも可能であり、多角錐密度が大きいと目視観察で基板が白濁した状態になり、密度が小さいと基板が透明になる。
以下、III族窒化物結晶半導体基板の製造工程の一例として図4に従って説明をするが、本発明はこの方法に限定されるものではなく、
1)III族窒化物結晶のN面を研削及び/又は研磨する工程と、
2)該N面に不揮発性有機物を付着させた後にエッチングを行う裏面処理工程
を含んでいればよい。よって、例えばN面の研削及び/又は研磨とIII族原子面の研削及び/又は研磨の工程は、順不同であり、これらを交互に行ってもよい。また、例えば上記1)、2)の工程やその他の工程が同時に行われてもよい。
これらの製造方法によって得られるIII族窒化物結晶半導体基板は、均一に粗化されたN面を有し、半導体素子を形成する際に優れたエピタキシャル層を容易に形成することが可能となる。
[1.N面の研削及び/又は研磨]
N面の研削及び/又は研磨の方法は特に限定されないが、例えば以下のような方法が挙げられる。
先ず、III族窒化物結晶のIII族原子面をワックスや両面接着性フィルムでプレートに貼り付け、結晶のN面を研削及び/又は研磨して平坦化する。次に、プレートから取り外し、結晶の表面に付着したワックスを除去する。除去は除去剤を含ませたワイパーで拭き取ることで実施しても良いし、結晶を除去剤に浸して洗い流してもよい。
プレートに貼り付けずに結晶を研削及び/又は研磨できる場合は、プレートに貼り付けなくても良いが、III族窒化物結晶がGaN結晶の場合、研削及び/又は研磨中の歪みで割れやすいため、プレートに貼付けてから自動研削盤あるいはラッピングマシンで平坦化することが好ましい。
[2.N面の不揮発性有機物付着]
本発明では、結晶の裏面であるN面を研削及び/又は研磨した後に、不揮発性有機物を付着させてからエッチングを行う一連の工程を裏面処理工程とし、これを行うことによって、得られるIII族窒化物結晶半導体基板のN面を簡単にかつ均一に粗化することがで
きる。これは、N面表面に不揮発有機物が付着すると、不揮発性有機物が密に、あるいは厚く付着した部分とそうではない部分でエッチング速度に差が生じて、結果として異方性エッチングが促進されると推察される。これにより、N面の表面に均一に多角錐が形成されるのではないかと考えられる。
III族窒化物結晶のN面に対する不揮発性有機物の付着方法としては、特に限定されず、好ましくは不揮発性有機物の付着部分がN面表面上で均一に分散するような方法で付着することである。具体的には、結晶を加熱して高分子化合物を付着させた後、有機溶剤と接触させる方法や、有機溶剤と不揮発性有機物を含む組成物に結晶のN面を接触させる方法などが挙げられるが、中でも後者の方法が好ましい。後者の方法の場合、有機溶剤中に不揮発性有機物が均一に分散していることが好ましいと考えられる。
例えば有機溶剤としては、イソプロピルアルコールなどのアルコールや、アセトンなどが挙げられる。有機溶剤は1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
また、不揮発性有機物として高分子化合物が好ましく、例えばラテックスゴム、ポリスチレン、ポリカーボネートや、市販のワックスなどが挙げられる。不揮発性有機物は1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
有機溶剤と不揮発性有機物の組み合わせとしては不揮発性有機物が有機溶剤に溶解あるいは分散する組み合わせであれば何でも良いが、イソプロピルアルコールとワックス、アセトンとワックス、アセトンとポリスチレン、アセトンとポリカーボネート、アセトンとラテックスゴム等が好ましい例として挙げられる。これらの組み合わせであると、有機溶剤中に不揮発性有機物が均一に溶解あるいは分散していると考えられるため、好ましい。
さらに、不揮発性有機物付着後、該不揮発性有機物付着が完全に除去されない範囲でN面と水や有機溶剤が接触するような工程を実施してもよいし、別の不揮発性有機物付着工程があっても良い。
[3.N面のエッチング工程]
エッチングはガスエッチングやウエットエッチングなどが挙げられるが、中でもウェットエッチングが好ましく、エッチング液としてはNaOH水溶液やKOH水溶液が好ましい。エッチングは、温度を上げるほど、又は時間を長時間にするほどエッチング後の表面粗度が変化するが、エッチング温度に合わせてエッチング時間を変化させることで表面粗度は適宜調整可能である。
[4.III族原子面の研削及び/又は研磨]
III族原子面の研削及び/又は研磨は、当業者に知られる方法であればよく特に限定されないが、例えば以下のような方法が挙げられる。
III族窒化物結晶のN面側をプレートに対向するように貼り付け、結晶のIII族原子面を研削及び/又は研磨する。III族原子面の研磨工程では、砥粒径を段階的に小さくして機械研磨し、最終的に化学機械的研磨を実施して研削歪や研磨歪を除去することが好ましい。次に、プレートから取り外し、結晶の表面に付着したワックスを除去してIII族窒化物結晶半導体基板を得る。
III族窒化物結晶がGaN結晶の場合、機械的研磨はダイヤモンド砥粒を用いるのが好ましく、化学機械的研磨はコロイダルシリカ砥粒を混入した酸性スラリーを用いるのが好ましい。
<III族窒化物結晶半導体基板の特徴>
上述した本発明の製造方法により、III族窒化物結晶半導体基板を得られる。
本発明のIII族窒化物結晶半導体基板は、N面に多角錐が均一に形成され、その高さ
もおおよそ揃っていることを特徴とする。これは、マクロ的に見るとN面が均一に祖化されていると言え、III族窒化物結晶半導体基板上にエピタキシャル層を成長させる際の基板とサセプタと密着度が良好で、温度分布が均一になりやすい。これにより、エピタキシャル層を均一に成長させることが出来、さらには均一性に関する再現性が高く個体差が少ないので好ましい。
III族窒化物結晶半導体基板の表面粗度は、具体的には、触針式粗さ試験機等で測定することができる算術平均粗さRa及び十点平均粗さRzなどで評価する。
算術平均粗さRaとは、平均線からの絶対値偏差の平均値を示し、本発明のIII族窒化物結晶半導体基板のN面では0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上である。
十点平均粗さRzとは、基準長さ毎の山頂の高い方から5点、谷底の低い方から5点を選びその平均の高さを示し、本発明のIII族窒化物結晶半導体基板のN面では1μm以上13μm以下が好ましい。より好ましくは1μm以上であって、10μm以下である。
本発明の製造方法により、III族窒化物結晶のN面に多角錐が均一に形成され、上記表面粗度の範囲内となる基板を得ることができる。
また、本発明のIII族窒化物結晶半導体基板のN面に多角錐が均一に形成されている指標として、多角錘密度が挙げられ、1.0×10個/cm以上であることが好ましく、より好ましくは2.0×10個/cm以上である。
本発明の製造方法では、概算密度1.0×10個/cm以上の多角錐を形成することができる。
また、本発明のIII族窒化物結晶半導体基板は、目視にて観察した場合に外観が白濁していることが好ましい。本発明の製造方法では、III族窒化物結晶半導体基板のN面全体が白濁した基板を得ることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<評価方法>
[1]算術平均粗さRa、十点平均粗さRz
算術平均粗さRa、十点平均粗さRzは、JIS0601(1994年版)に従って、触針式粗さ試験機 SURFCOM130A、及びピックアップ E−DT−SE19A(共に東京精密社製)を用いて測定した。測定条件は、測定長さ3mm、測定速度0.3mm/秒、カットオフ値0.8mmとした。
[2]多角錘密度
N面の多角錐形成状況は、キーエンス社製 マイクロスコープ(CCDカメラ VH−Z100R、モニタ VHX−900)により観察を行った。
多角錐密度の概算は、マイクロスコープ 倍率1000倍で観察を実施し、マイクロスコープで見える範囲内での多角錐の個数をカウントして、1cmあたりの多角錘の個数を算出した。このとき、多角錐が密に発生している場合は25μm×50μm以上の面積内カウントを行い、多角錐があまり発生していない場合は100μm×100μm以上の面積内でカウントを行った。カウントエリアは、表1に示すとおりである。
[3]外観
得られたGaN結晶半導体基板を目視にて観察し、外観が白濁しているか透明であるかを評価した。
<実施例1>
以下で説明する(1)〜(13)の手順により、窒化ガリウム(GaN)結晶を加工し、N面が均一に粗化された基板を得た。
[1.N面の研削及び/又は研磨工程]
(1)外径2インチ以上で厚み2mmのGaN結晶の外周部を、ビトリファイド砥石を用いて研削し、外径を2インチにした。
(2)日化精工社製 シフトワックス679を用い、GaN結晶のGa面側がセラミックスプレートと接触するように貼付けた。
(3)ビトリファイド砥石(#2000)を用いて、GaN結晶のN面側の全面が平坦になるまで研削し、純水で流水洗浄した。
(4)GaN結晶をプレートから取り外し、アルコールを染込ませたワイパーでGa面側を拭き、Ga面側のワックスを除去した。この際、N面側の汚染防止のため、N面側をワイパーや手で接触しないように十分に注意して行った。
[2.N面の不揮発性有機物付着工程]
(5)ビーカーに有機溶剤としてアセトンを入れ、高分子化合物としてラテックスゴムを入れて攪拌し、そこへGaN結晶を30分間浸した。
(6)GaN結晶をビーカーから取出し、GaN結晶に残っているアセトンを常温にて自然乾燥で揮発させた。
[3.N面のエッチング工程]
(7)120℃に加熱された47重量%KOH水溶液に、GaN結晶を10分間浸し、N面のエッチングを行った。
(8)KOH水溶液からGaN結晶を取り出し、純水で洗浄した。
[4.Ga面の研削及び/又は研磨工程]
(9)ワックスを用い、GaN結晶のN面側がセラミックスプレートと接触するように貼付けた。
(10)ビトリファイド砥石(#2000)を用いて、GaN結晶のGa面側の全面が平坦になるまで研削した。
(11)ダイヤモンドスラリーを用いて、Ga面側の全面が平坦になるまで研磨した。
(12)コロイダルシリカスラリーを用いて、Ga面側の全面を化学機械的研磨した。
(13)GaN結晶をプレートから取り外し、GaN結晶半導体基板を得た。
得られたGaN結晶半導体基板について、マイクロスコープ観察でN面が均一に粗化されていることを確認し、算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、多角錘密度及び外観の評価を行った。結果は表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、[2. N面の不揮発性有機物付着工程](5)の有機溶剤をイソプロピルアルコール、高分子化合物を日化精工社製 シフトワックス679とした他は、実施例1と同様にして基板の製作を行った。
その結果、N面が均一に粗化されたGaN結晶半導体基板を得た。
得られたGaN結晶半導体基板について、算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、多角錘密度及び外観の評価を行った。結果は表1に示す。
<実施例3>
実施例1において、[2. N面の不揮発性有機物付着工程](5)の有機溶剤をアセ
トン、高分子化合物をポリカーボネートとした他は、実施例1と同様にして基板の製作を行った。
その結果、N面が均一に粗化されたGaN結晶半導体基板を得た。
得られたGaN結晶半導体基板について、算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、多角錘密度及び外観の評価を行った。結果は表1に示す。
<実施例4>
実施例1において、[2. N面の不揮発性有機物付着工程](5)の有機溶剤をアセトン、高分子化合物をポリスチレンとした他は、実施例1と同様にして基板の製作を行った。
その結果、N面が均一に粗化されたGaN結晶半導体基板を得た。
得られたGaN結晶半導体基板について、算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、多角錘密度及び外観の評価を行った。結果は表1に示す。
<比較例1>
実施例1において、[2. N面の不揮発性有機物付着工程]を実施しなかった他は、実施例1と同様にして基板の製作を行った。
その結果、得られたGaN結晶半導体基板は、目視観察で基板が透明であり、マイクロスコープ観察でN面の粗化状態が不均一であって、多角錐密度が小さいことを確認した。
得られたGaN結晶半導体基板について、算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、多角錘密度及び外観の評価を行った。結果は表1に示す。
<実施例5>
以下で説明する手順(14)〜(19)により、GaN結晶を加工し、N面が均一に粗化された基板を得た。
[1.N面の研削及び/又は研磨工程]
(14)外径2インチ以上で厚み2mmのGaN結晶の外周部をビトリファイド砥石を用いて研削し、外径を2インチにした。
(15)ワックスを用い、GaN結晶のGa面側がセラミックスプレートと接触するように貼付けた。
(16)ビトリファイド砥石(#2000)を用いて、GaN結晶のN面側の全面が平坦になるまで研削し、純水で流水洗浄した。
(17)ダイヤモンドスラリーでN面を研磨後、コロイダルシリカでさらに研磨を実施し、純水で流水洗浄を行った。
(18)GaN結晶をプレートから取り外し、アルコールを染込ませたワイパーでGa面側を拭き、Ga面側のワックスを除去した。この際、N面側の汚染防止のため、N面側をワイパーや手で接触しないように十分に注意して行った。
(19)以下、実施例1の(5)〜(13)と同一の処理を行って基板の製作を行った。
その結果、N面が均一に粗化されたGaN結晶半導体基板を得た。
得られたGaN結晶半導体基板について、算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、多角錘密度及び外観の評価を行った。結果は表1に示す。
<比較例2>
実施例5の[2. N面の不揮発性有機物付着工程]を実施しなかった他は、実施例5と同様にして基板の製作を行った。
その結果、得られたGaN結晶半導体基板は、目視観察で基板が透明であり、マイクロスコープ観察でN面の粗化状態が不均一であって、多角錐密度が小さいことを確認した。
得られたGaN結晶半導体基板について、算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、多角錘密度及び外観の評価を行った。結果は表1に示す。
本発明にかかる製造方法により製造されるIII族窒化物結晶半導体基板は、発光素子(発光ダイオード、レーザーダイオードなど)、電子デバイス(整流器、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタまたはHEMT(High Electron Mobility Transistor;高電子移動度トランジスタ)など)、半導体センサ(温度センサ、圧力センサ、放射センサまたは可視−紫外光検出器など)、SAWデバイス(Surface Acoustic Wave Device;表面弾性波素子)、加速度センサ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)部品、圧電振動子、共振器または圧電アクチュエータなどに好適に利用され得る。

Claims (9)

  1. III族窒化物結晶半導体基板の製造方法において、
    1)III族窒化物結晶のN面を研削及び/又は研磨する工程と、
    2)該N面に不揮発性有機物を付着させた後にエッチングを行う裏面処理工程
    とを含むことを特徴する、III族窒化物結晶半導体基板の製造方法。
  2. 前記工程2)において、有機溶剤と不揮発性有機物とを含む組成物にIII族窒化物結晶のN面を接触させて不揮発性有機物を付着させる、請求項1に記載のIII族窒化物結晶半導体基板の製造方法。
  3. 前記不揮発性有機物が高分子化合物である、請求項1又は2に記載のIII族窒化物結晶半導体基板の製造方法。
  4. 前記高分子化合物がラテックスゴム、ポリスチレン、ポリカーボネート及びワックスから選ばれる1以上の高分子化合物である、請求項3に記載のIII族窒化物結晶半導体基板の製造方法。
  5. 前記有機溶剤がアセトン及び/又はアルコールである、請求項2に記載のIII族窒化物結晶半導体基板の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶半導体基板の製造方法により得られた、N面の十点平均粗さRzが1μm以上13μm以下である、III族窒化物結晶半導体基板。
  7. N面の十点平均粗さRzが1μm以上13μm以下であることを特徴とする、III族窒化物結晶半導体基板。
  8. N面の算術平均粗さRaが0.1μm以上5μm以下であることを特徴とする、請求項6又は7に記載のIII族窒化物結晶半導体基板。
  9. N面に多角錐の形状をした突起が形成されており、該多角錐の密度が1.0×10個/cm以上である、請求項6〜8のいずれかに記載のIII族窒化物結晶半導体基板。
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