以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の駆動装置1は、例えばロータ等の第1部分と駆動駒等の第2部分とを相対的に変位させる相対駆動を行うことで、カメラのレンズ鏡筒等の光学機器や電子機器を駆動するためのものである。
図1は本実施形態の駆動装置1の正面図であり、図2はその断面図である。
図1及び図2に示すように、駆動装置1は、複数の保持部2aが設けられたベース部(第2部分)2と、保持部2aに保持された駆動駒(第2部分)3と、駆動駒3に隣接して配置されたロータ(第1部分)4と、ベース部2に挿通された支持軸5と、を備えている。
ベース部2は、例えばステンレス鋼等の金属材料により中空円筒状に形成され、支持軸5が挿通されることで、支持軸5を囲むように設けられている。
ロータ4は、ベアリング5aを介して支持軸5によって軸支され、支持軸5を回転軸として回転自在に設けられている。ロータ4の外周面には、例えばカメラのレンズ鏡筒等を駆動するための歯車4aが形成されている。ロータ4のベース部2側の面は、複数の駆動駒3によって支持されている。
ベース部2の一方の端部は、例えば不図示のボルト等により取付部101aに固定されている。ベース部2の取付部101aに対向する面の中央部には凹部2bが形成されている。凹部2bには、支持軸5の基端に形成された拡径部5aが嵌入されている。この状態でベース部2が取付部101aに固定されることで、支持軸5がベース部2及び取付部101aに固定されている。
ベース部2の他方の端部には凹状の保持部2aが、ベース部2の周方向、すなわちロータ4の回転方向Rに複数設けられている。保持部2aは駆動駒3を支持軸5に垂直でロータ4の回転方向Rに沿う方向(第1の方向)の両側から支持するとともに、駆動駒3を支持軸5に平行な方向(第2の方向)に駆動可能に保持している。
図2に示すように、ベース部2の側面2cは支持軸5と略平行に設けられている。側面2cの保持部2aと取付部101a側の端部との間には、取付部101aから保持部2aへの振動の伝達を抑制する振動抑制部としての溝部2dが形成されている。すなわち、溝部2dは、支持軸5に略垂直でかつロータ4の回転方向Rに沿う方向(第1の方向)と交差するベース部2の側面2cに設けられている。溝部2dはベース部2の周方向に連続的に設けられ、保持部2aと取付部101a側の端部との中間よりも取付部101a側の端部に近い位置に設けられている。
溝部2dの深さd1は例えばベース部2の半径r1の40%以上かつ60%以下の範囲であることが望ましい。また、支持軸5に平行な方向(第2の方向)の溝部2dの幅w1は、ベース部2の振動の振幅よりも大きく、後述する第1圧電素子6、第2圧電素子7、駆動駒3、及びベース部2からなる支持駆動部(構造部)1aの共振振動の振幅よりも大きくなるように形成されている。また、溝部2dの幅w1は、ベース部2の半径よりも短くすることが好ましい。
図2に示すように、ベース部2と支持軸5との間には、取付部101aから保持部2aへの振動を抑制するための間隙(振動抑制部)2eが設けられている。間隙2eは、支持軸5と平行な方向に、ベース部2の保持部2a側の端部から溝部2dの取付部101a側の縁と同様の位置まで設けられている。また、間隙2eの幅w2は、溝部2dの幅w1と同様に、ベース部2の振動の振幅よりも大きく、後述する支持駆動部1aの共振振動の振幅よりも大きくなるように形成されている。
図3は図1に示す駆動装置1の支持駆動部1aの斜視図であり、図4はその平面図である。
図3及び図4に示すように、駆動駒3は、断面が山形の六角柱形状を有する先端部3aと略直方体形状を有する基部3bと、を有している。先端部3aは例えばステンレス鋼等により形成され、基部3bは例えば軽金属合金等により形成されている。基部3bは保持部2aによって支持軸5と平行な方向に駆動可能に支持され、先端部3aは保持部2aから突出してロータ4を支持するようになっている。先端部3aは、ロータ4に接触する上面の面積が基部3b側の底面の面積よりも小さくなる先細状の形状に設けられている。
図4に示すように、駆動駒3の幅w3方向(第1の方向)には、駆動駒3の基部3bを幅w3方向の両側から挟みこむ一対の第1圧電素子6,6が二対設けられている。駆動駒3の幅方向w3は、支持軸5に垂直でロータ4の回転方向Rに沿う方向であって、ベース部2の平面視における中心線CLと略垂直な方向である。第1圧電素子6は保持部2aの深さd2方向に沿って延びる細長い長方形状の形状に形成され、基部3bと保持部2aとの間に挟持されている。これにより、第1圧電素子6はベース部2に設けられた溝部2d(図1、図2参照)とロータ4との間に配置されている。
第1圧電素子6は、例えば導電性の接着剤により駆動駒3の基部3bと保持部2aとに接着されている。また、ベース部2の中心を通る中心線CLと略平行な駆動駒3の奥行p1方向に配置された2つの第1圧電素子6,6は互いに略平行になっている。各々の第1圧電素子6の形状及び寸法は全て略等しくなっている。
図3に示すように、駆動駒3の基部3bと先端部3aとの間には、一対の第2圧電素子7,7が互いに略平行に設けられている。第2圧電素子7は、駆動駒3の幅w3方向と略平行に延びる細長い長方形状に形成されている。第2圧電素子7は、先端部3aの底面と基部3bの上面との間に挟持され、例えば導電性の接着剤により先端部3aの底面と基部3bの上面とに接着されている。各々の第2圧電素子7の形状及び寸法は全て略等しくなっている。
第1圧電素子6及び第2圧電素子7は例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)により形成され、その振動モードは厚み滑り振動である。すなわち、第1圧電素子6は、駆動駒3を、支持軸5と略平行な保持部2aの深さd2方向に、ベース部2に対して相対的に駆動させる。第2圧電素子7は駆動駒3の先端部3aを駆動駒3の幅w3方向(第3の方向)に、基部3b及びベース部2に対して相対的に駆動させる。すなわち、本実施形態では、第1圧電素子6が駆動駒3を挟み込む方向(第1の方向)と、第2圧電素子7が駆動駒3の先端部3aを駆動させる方向(第3の方向)とが略等しくなっている。
これら複数の第1圧電素子6、第2圧電素子7、駆動駒3、及びベース部2により、ロータ4を支持し、かつロータ4を駆動駒3及びベース部2と相対的に駆動させる支持駆動部1aが構成されている。
図3に示すように、保持部2aはベース部2の端部に設けられ、ベース部2に王冠状の凹凸を形成している。図4に示すように、保持部2aはベース部2の周方向の略60°毎に均等に形成されている。保持部2aは平面視でベース部2の中心を通る中心線CLと略平行に設けられた一対の支持面2f,2fを備えている。支持面2fは、駆動駒3の基部3bを、ベース部2の中心線CLと略垂直な保持部2aの幅w4方向(第1の方向)の両側から一対の第1圧電素子6,6を介して挟み込むように保持している。
図5(a)は保持部2a及び駆動駒3を拡大した組立正面図であり、図5(b)は保持部2a及び駆動駒3を拡大した正面図である。
図5(a)及び図5(b)に示すように、ベース部2に設けられた凹状の保持部2aの支持面2fは、図2に示す支持軸5と略平行な保持部2aの深さd2方向(第2の方向)に対して傾斜させて設けられている。
支持面2fは、図1に示す駆動駒3の先端部3aに支持されたロータ4からの距離が遠ざかるほど、対向する支持面2f,2f同士の間隔が漸次狭くなるように傾斜している。換言すると、保持部2aは底面2gに近づくほど幅w4が狭くなっている。保持部2aの深さd2方向に対する支持面2fの傾斜角度αは、各部材の寸法や公差等の関係から、2°以上6°以下であることが好ましい。本実施形態における支持面の傾斜角度αは4°である。
また、図5(a)及び図5(b)に示すように、支持面2fに対向する駆動駒3の基部3bの側面3cは、支持面2fと同様に、支持軸5と略平行な駆動駒3の高さh1方向(第2の方向)に対して傾斜させて設けられている。これにより、駆動駒3の基部3bの側面3cは支持面2fと略平行に設けられている。ここで、基部3bの保持部2aの底面2g側の端部における基部3b及び一対の第1圧電素子6,6の幅w5は、保持部2aの開口部における幅w4よりも小さく、保持部2aの深さd2方向の途中における幅w4’よりも大きくなっている。
そのため、駆動駒3の基部3b及び一対の第1圧電素子6,6を保持部2aに保持させると、図5(b)に示すように、駆動駒3の底面3dと保持部2aの底面2gとが離間した状態で、基部3bが保持部2aの幅w4方向の両側から一対の第1圧電素子6,6を介して支持面2fによって支持される。すなわち、支持面2fは、駆動駒3を保持部2aの幅w4方向(第1の方向)の両側から支持するとともに、支持軸5と略平行な保持部2aの深さd2方向(第2の方向)において位置決めをするように、深さd2方向に対して傾斜させて設けられている。
図3及び図4に示すように、本実施形態の駆動駒3は先端部3aと基部3bとの間に一対の第2圧電素子7,7を備え、基部3bの側面に一対の第1圧電素子6,6を二対備えている。駆動装置1は、この駆動駒3及び二対の第1圧電素子6を3つ備えた駆動駒3の組を、第1組及び第2組の二組備えている。第1組の駆動駒31と第2組の駆動駒32とは同一の円周上に配置されている。また、各々の組の駆動駒31,32はロータ4の回転方向Rにそれぞれ均等に配置され、異なる組の駆動駒31,32が回転方向Rに交互に(順番に)配置されている。
図6(a)は第1圧電素子6の模式的な配線図であり、図6(b)は第2圧電素子7の模式的な配線図である。
図6(a)及び図6(b)に示すように、本実施形態の駆動装置1は、第1圧電素子6及び第2圧電素子7の各々に電圧を供給する電源部10を備えている。電源部10は、図3及び図4に示す第1組及び第2組のそれぞれの駆動駒31,32の先端部31a,32aが、順次、図1及び図2に示すロータ4との接触、ロータ4の回転方向Rへの送り、ロータ4からの離間、ロータ4の回転方向Rと逆方向の戻り、を繰り返すように第1圧電素子6及び第2圧電素子7に電圧を供給する。
図6(a)に示すように、第1組の駆動駒31の各々が備える第1圧電素子61は、第1配線11を介して電源部10の第1端子T1に接続されている。第2組の駆動駒32の各々が備える第1圧電素子62は、第2配線12を介して電源部10の第2端子T2に接続されている。
図6(b)に示すように、第1組の駆動駒31の各々が備える第2圧電素子71は、第3配線13を介して電源部10の第3端子T3に接続されている。第2組の駆動駒32の各々が備える第2圧電素子72は、第4配線14を介して電源部10の第4端子T4に接続されている。
また、図6(a)及び図6(b)において図示は省略するが、駆動駒31,32の基部31b,32bは接地されている。
図7は、電源部10が各端子T1,T2,T3,T4に発生させる電圧のタイミングチャートの一例である。
図7に示すように、電源部10は第1端子T1にPhase1〜Phase2の間は−1.0Vの電圧を発生させ、Phase3〜Phase7の5Phaseは1.0Vの電圧を発生させ、Phase8〜Phase10の3Phaseは−1.0Vの電圧を発生させる。以降のPhaseでは、1.0Vの電圧を5Phase発生させ、−1.0Vの電圧を3Phase発生させることを繰り返す。すなわち、電源部10は、第1端子に8Phaseを一周期とする電圧を発生させる。
電源部10は、第2端子T2に、第1端子T1に発生させる電圧と180°の位相差を有し、第1端子T1に発生させる電圧と同様の8Phaseを一周期とする電圧を発生させる。すなわち、第1端子に発生する電圧と、第2端子に発生する電圧とは、半周期分の4Phaseの位相差を有している。
電源部10は、Phase1において第3端子T3に発生させる電圧を0Vに維持し、Phase2において−3.0Vの電圧を発生させ、Phase3〜Phase8までの各Phaseにいおいて電圧を1.0Vずつ増加させる。以降のPhaseでは、このPhase1〜Phase8の電圧の発生パターンを繰り返す。すなわち、電源部10は、第3端子T3に8Phaseを一周期とする電圧を発生させる。
電源部10は、第4端子T4に、第3端子T3に発生させる電圧と180°の位相差を有し、第3端子T3に発生させる電圧と同様の8Phaseを一周期とする電圧を発生させる。すなわち、第3端子に発生する電圧と、第4端子に発生する電圧とは、半周期分の4Phaseの位相差を有している。
本実施形態では、電源部10が第1圧電素子6及び第2圧電素子7に供給する電圧の周波数は、第1圧電素子6、第2圧電素子7、駆動駒3、及びベース部2からなる支持駆動部(構造部)1aの共振振動の振動数と略等しくなっている。
次に、本実施形態の駆動装置1の作用について、図8〜図11を用いて説明する。
図8〜図10は、第1組と第2組の駆動駒31,32の動作とロータ4の動作を示す拡大正面図である。
図11は、第1組及び第2組の駆動駒32の先端部32aの各軸方向の変位と時間tの関係を示すグラフである。図11(a)及び図11(b)において、Y軸方向におけるロータ4との接触位置y1を破線で表している。
図8(a)〜図10(a)では、ロータ4の回転方向Rに沿う第1組の駆動駒3の幅w31方向(第1の方向)をX1方向、支持軸5に平行な方向(第2の方向)をY方向とする直交座標系を用いて説明する。図8(b)〜図10(b)では、ロータ4の回転方向Rに沿う第2組の駆動駒32の幅w32方向(第1の方向)をX2方向、支持軸5に平行な方向(第2の方向)をY方向とする直交座標系を用いて説明する。
(Phase0)
電源部10は、図7に示すように、Phase0において、各端子T1,T2,T3,T4に電圧を発生させず(0V)、図6(a)及び図6(b)に示す第1圧電素子6及び第2圧電素子7に0Vの電圧を供給している(電圧を供給していない)状態である。
図8(a)及び図8(b)に示すように、Phase0において、第1組の駆動駒31と第2組の駆動駒32はそれぞれ先端部31a,32aの上面がロータ4に接した状態で静止している。ロータ4は駆動駒31,32の先端部31a,32aに支持された状態で静止している。
(Phase1)
電源部10は、図7に示すように、Phase1において、第1端子T1に−1.0Vの電圧を発生させ、図6(a)に示す第1組の駆動駒31の第1圧電素子61に第1配線11を介して電圧を供給する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase1において、第3端子T3の電圧を0Vに維持し、図6(b)に示す第1組の駆動駒31の第2圧電素子71に第2配線12を介して0Vの電圧を供給する。
すると、図8(a)に示すように、Phase1において、第1組の駆動駒31を駆動する第1圧電素子61が厚み滑り変形し、駆動駒31の基部31bを保持部2aの支持面2fに対してY方向のベース部2側(Y軸負方向側)へ移動させる(図11(a)、Phase1参照)。また、図8(a)に示すように、Phase1において、第2圧電素子71は変形せず、先端部31aはX1方向へは移動しない(図11(c)、Phase1参照)。これにより、駆動駒31の先端部31aがY軸負方向側へ移動し、ロータ4から離間する。
電源部10は、図7に示すように、Phase1において、第2端子T2に1.0Vの電圧を発生させ、図6(a)に示す第2組の駆動駒32の第1圧電素子62に第2配線12を介して電圧を供給する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase1において、第4端子T4の電圧を0Vに維持し、図6(b)に示す第2組の駆動駒32の第2圧電素子72には第4配線を介して0Vの電圧を供給する。
すると、図8(b)に示すように、Phase1において、第2組の駆動駒32を駆動する第1圧電素子62が厚み滑り変形し、駆動駒32の基部32bを保持部2aの支持面2fに対してY方向のロータ4側(Y軸正方向側)へ移動させる(図11(b)、Phase1参照)。また、図8(b)に示すように、Phase1において、第2圧電素子72は変形せず、先端部32aはX2方向へは移動しない(図11(d)、Phase1参照)。これにより、駆動駒32がY軸正方向側へ移動して、先端部32aがロータ4をY軸正方向側へ押し上げる。
すなわち、Phase1においては、図8(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aはY軸負方向側へ移動してロータ4から離間する。同時に、図8(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aはロータ4に当接してロータ4を支持しつつ、ロータ4をY軸正方向側へ押し上げる。
(Phase2)
電源部10は、図7に示すように、Phase2において、第1端子T1の電圧を−1.0Vに維持し、図6(a)に示す第1組の駆動駒31の第1圧電素子61に第1配線11を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase2において、第3端子T3に−3.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第1組の駆動駒31の第2圧電素子71に第3配線13を介して電圧を供給する。
すると、図8(a)に示すように、Phase2において、第1組の駆動駒31をY方向に駆動する第1圧電素子61の変形が維持されて先端部31aがロータ4から離間した状態が維持される(図11(a)、Phase2参照)。この状態で、図8(a)に示すように、Phase2において、第2圧電素子71が厚み滑り変形し、先端部31aが基部31b及びベース部2に対してX1軸負方向側へ移動する(図11(c)参照)。このときの先端部31aの移動量は第2圧電素子71に供給される電圧の絶対値に比例する。
電源部10は、図7に示すように、Phase2において、第2端子T2の電圧を1.0Vに維持し、図6(a)に示す第2組の駆動駒32の第1圧電素子62に第2配線12を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase2において、第4端子T4に1.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第2組の駆動駒32の第2圧電素子72に第4配線14を介して電圧を供給する。
すると、図8(b)に示すように、Phase2において、第2組の駆動駒32をY方向に駆動する第1圧電素子62の変形が維持されて先端部3aがロータ4に接触した状態が維持される(図11(b)、Phase2参照)。この状態で、図8(b)に示すように、Phase2において、第2圧電素子72が厚み滑り変形し、先端部32aが基部32b及びベース部2に対してX2軸正方向側へ移動する(図11(d)、Phase2参照)。このときの先端部32aの移動量は電圧の絶対値に比例するため、第1組の先端部31aのX1軸負方向側への移動量と比較して小さくなる。
すなわち、Phase2においては、図8(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aのX2軸正方向側への移動により、先端部32aの上面からロータ4の下面に摩擦力が作用する。ここで、第2組の駆動駒32は図3及び図4に示すようにロータ4の回転方向Rに沿ってベース部2の周方向に配置され、先端部32aはロータ4の回転方向Rに沿う駆動駒32の幅w32方向(X2方向)に変位する。そのため、ロータ4は駆動駒32の先端部32aによって回転方向Rに駆動され、図1及び図2に示す支持軸5を中心とする回転を開始する。
(Phase3)
電源部10は、図7に示すように、Phase3において、第1端子T1に正負が逆転した1.0Vの電圧を発生させ、図6(a)に示す第1組の駆動駒31の第1圧電素子61に第1配線11を介して電圧を供給する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase3において、第3端子T3に−2.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第1組の駆動駒31の第2圧電素子71に第3配線13を介して電圧を供給する。
すると、図8(a)に示すように、Phase3において、第1組の駆動駒31を駆動する第1圧電素子61が逆方向に厚み滑り変形し、駆動駒31の基部31bをY軸正方向側へ移動させる(図11(a)、Phase3参照)。同時に、図8(a)に示すように、Phase3において、第2圧電素子71のX1軸負方向側への変形量が減少し、先端部31aが基部31b及びベース部2に対してX1軸正方向側へ移動する(図11(c)、Phase3参照)。このときの移動量はPhase3で新たに供給された−2.0VとPhase2で供給されていた−3.0Vとの電圧の差に比例する。
電源部10は、図7に示すように、Phase3において、第2端子T2の電圧を維持し、図6(a)に示す第2組の駆動駒32の第1圧電素子62に第2配線12を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase3において、第4端子T4に2.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第2組の駆動駒32の第2圧電素子72に第4配線14を介して電圧を供給する。
すると、図8(b)に示すように、Phase3において、第2組の駆動駒32を駆動する第1圧電素子62の変形が維持されて先端部32aがロータ4に接触した状態が維持される(図11(b)、Phase3参照)。この状態で、図8(b)に示すように、Phase3において、第2圧電素子72が厚み滑り変形し、先端部32aが基部32b及びベース部2に対してX2軸正方向側へ移動する(図11(d)、Phase3参照)。このときの移動量はPhase3で新たに供給された2.0VとPhase2で供給されていた1.0Vとの電圧の差の絶対値に比例する。
すなわち、Phase3においては、図8(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aは、ロータ4の回転方向Rに沿うX1軸正方向側へ移動しながらY軸正方向側へ移動してロータ4に接近する。同時に、図8(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aはロータ4に当接してロータ4を支持しつつ、第1組の駆動駒31と同様にロータ4を回転方向Rへ駆動する。
(Phase4)
電源部10は、図7に示すように、Phase4において、第1端子T1の電圧を1.0Vに維持し、図6(a)に示す第1組の駆動駒31の第1圧電素子61に第1配線11を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase4において、第3端子T3に−1.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第1組の駆動駒31の第2圧電素子71に第3配線13を介して電圧を供給する。
すると、図9(a)に示すように、Phase4において、第1組の駆動駒31をY軸正方向側に駆動する第1圧電素子61の変形が進行して先端部31aがロータ4に当接する(図11(a)、Phase4参照)。同時に、図9(a)に示すように、Phase4において、第2圧電素子71のX1軸負方向側への変形量が減少し、先端部31aが基部31b及びベース部2に対してX1軸正方向側へ移動する(図11(c)、Phase4参照)。このときの移動量はPhase4で新たに供給された−1.0VとPhase3で供給されていた−2.0Vとの電圧の差の絶対値に比例する。
電源部10は、図7に示すように、Phase4において、第2端子T2に正負が逆転した−1.0Vの電圧を発生させ、図6(a)に示す第2組の駆動駒32の第1圧電素子62に第2配線12を介して電圧を供給する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase4において、第4端子T4に3.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第2組の駆動駒32の第2圧電素子72に第4配線14を介して電圧を供給する。
すると、図9(b)に示すように、Phase4において、第2組の駆動駒32を駆動する第1圧電素子62が逆方向に厚み滑り変形し、駆動駒32の基部32bをY軸負方向側へ移動させる(図11(b)、Phase4参照)。同時に、図9(b)に示すように、Phase4において、第2圧電素子72のX2軸正方向側への変形量が増加し、先端部32aが基部32b及びベース部2に対してX2軸正方向側へ移動する(図11(d)、Phase4参照)。このときの移動量はPhase4で新たに供給された3.0VとPhase2で供給されていた2.0Vとの電圧の差の絶対値に比例する。
すなわち、Phase4においては、図9(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aはロータ4の回転方向Rに沿うX1軸正方向側に移動しながらロータ4に当接し、ロータ4を支持して回転方向Rへ駆動させる。同時に、図9(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aはロータ4の回転方向Rへ沿うX2軸正方向側へ移動しながら、Y軸負方向側へ移動してロータ4から離間する。これにより、第1組及び第2組の駆動駒31,32の先端部31a,32aによってロータ4を回転方向Rに駆動させつつ、第2組の駆動駒32の先端部32aから第1組の駆動駒31の先端部31aへロータ4が受け渡される。
このとき、図11(a)及び図11(b)に示すように、Phase4において、双方の駆動駒31,32が、極めて短時間、ロータ4から離間する場合がある。このような場合であっても、ロータ4はその慣性によりY方向の変位を殆どすることなく、第2組の駆動駒32の先端部32aによって支持されていた位置に留まる。そのため、ロータ4はY方向の略一定の位置が維持され、回転方向Rに駆動された状態で、第1組の駆動駒31の先端部31aによりY方向に支持され、回転方向Rへ駆動される。これにより、ロータ4はY方向の略一定の位置で支持軸5を中心として回転を継続する。
(Phase5)
電源部10は、図7に示すように、Phase5において、第1端子T1の電圧を1.0Vに維持し、図6(a)に示す第1組の駆動駒31の第1圧電素子61に第1配線11を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase5において、第3端子T3に発生させる電圧を0Vにし、図6(b)に示す第1組の駆動駒31の第2圧電素子71に第3配線13を介して供給する電圧を0Vにする。
すると、図9(a)に示すように、Phase5において、第1組の駆動駒31をY方向に駆動する第1圧電素子61の変形が維持されて、先端部31aがロータ4に接触した状態が維持される(図11(a)、Phase5参照)。この状態で、図9(a)に示すように、Phase5において、第2圧電素子71が元の形状に戻り、先端部31aが基部31b及びベース部2に対してX1軸正方向側へ移動する(図11(c)、Phase5参照)。このときの先端部31aの移動量はPhase4において第2圧電素子71に供給されていた電圧の絶対値に比例する。
電源部10は、図7に示すように、Phase5において、第2端子T2の電圧を−1.0Vに維持し、図6(a)に示す第2組の駆動駒32の第1圧電素子62に第2配線12を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase5において、第4端子T4に発生させる電圧を0Vにし、図6(b)に示す第2組の駆動駒32の第2圧電素子72に第4配線14を介して供給する電圧を0Vにする。
すると、図9(b)に示すように、Phase5において、第2組の駆動駒32をY方向に駆動する第1圧電素子62の変形が進行して、先端部32aがロータ4からさらに離間する(図11(b)Phase5参照)。同時に、図9(b)に示すように、Phase5において、第2圧電素子72が元の形状に戻り、先端部32aが基部32b及びベース部2に対してX2軸負方向側へ移動する(図11(d)、Phase5参照)。このときの先端部32aの移動量はPhase4において第2圧電素子72に供給されていた電圧の絶対値に比例する。
すなわち、Phase5においては、図9(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aはロータ4に当接した状態を維持してロータ4を支持しつつ、X1軸正方向側に移動してロータ4を回転方向Rへ駆動させる。同時に、図9(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aはY軸負方向側へ移動してロータ4から離間した状態を維持しつつ、基部32b及びベース部2に対してロータ4の回転方向Rと逆のX2軸負方向側へ移動する。
(Phase6)
電源部10は、図7に示すように、Phase6において、第1端子T1の電圧を1.0Vに維持し、図6(a)に示す第1組の駆動駒31の第1圧電素子61に第1配線11を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase6において、第3端子T3に1.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第1組の駆動駒31の第2圧電素子71に第3配線13を介して電圧を供給する。
すると、図9(a)に示すように、Phase6において、第1組の駆動駒31をY方向に駆動する第1圧電素子61の変形が維持されて、先端部31aがロータ4に接触した状態が維持される(図11(a)、Phase6参照)。この状態で、図9(a)に示すように、Phase6において、第2圧電素子71が厚み滑り変形し、先端部31aが基部31b及びベース部2に対してX1軸正方向側へ移動する(図11(c)、Phase6参照)。このときの移動量はPhase6で新たに供給された電圧の絶対値に比例する。
電源部10は、図7に示すように、Phase6において、第2端子T2の電圧を−1.0Vに維持し、図6(a)に示す第2組の駆動駒32の第1圧電素子62に第2配線12を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase6において、第4端子T4に−3.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第2組の駆動駒32の第2圧電素子72に第4配線14を介して電圧を供給する。
すると、図9(b)に示すように、Phase6において、第2組の駆動駒32をY方向に駆動する第1圧電素子62の変形が維持されて、先端部32aがロータ4から離間した状態が維持される(図11(b)、Phase6参照)。この状態で、図9(b)に示すように、Phase6において、第2圧電素子72が厚み滑り変形し、先端部32aが基部32b及びベース部2に対してX2軸負方向側へ移動する(図11(d)、Phase6参照)。このときの先端部32aの移動量は第2圧電素子72に供給される電圧の絶対値に比例する。
すなわち、Phase6においては、図9(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aはロータ4に当接した状態を維持してロータ4を支持しつつ、X1軸正方向側に移動してロータ4を回転方向Rへ駆動する。同時に、図9(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aは、ロータ4から離間した状態を維持しつつ、基部32b及びベース部2に対してロータ4の回転方向Rと逆のX2軸負方向側へさらに移動する。
(Phase7)
電源部10は、図7に示すように、Phase7において、第1端子T1の電圧を1.0Vに維持し、図6(a)に示す第1組の駆動駒31の第1圧電素子61に第1配線11を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase7において、第3端子T3に2.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第1組の駆動駒31の第2圧電素子71に第3配線13を介して電圧を供給する。
すると、図9(a)に示すように、Phase7において、第1組の駆動駒31を駆動する第1圧電素子61の変形が維持されて、先端部31aがロータ4に接触した状態が維持される(図11(a)、Phase7参照)。この状態で、図9(a)に示すように、Phase7において、第2圧電素子71が厚み滑り変形し、先端部31aが基部31b及びベース部2に対してX1軸正方向側へ移動する(図11(c)、Phase7参照)。このときの移動量はPhase7で新たに供給された2.0VとPhase6で供給されていた1.0Vとの電圧の差の絶対値に比例する。
電源部10は、図7に示すように、Phase7において、第2端子T2に正負が逆転した1.0Vの電圧を発生させ、図6(a)に示す第2組の駆動駒32の第1圧電素子62に第2配線12を介して電圧を供給する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase7において、第4端子T4に−2.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第2組の駆動駒32の第2圧電素子72に第4配線14を介して電圧を供給する。
すると、図9(b)に示すように、Phase7において、第2組の駆動駒32を駆動する第1圧電素子62が逆方向に厚み滑り変形し、駆動駒32の基部32bをY軸正方向側へ移動させる(図11(b)、Phase7参照)。同時に、図9(b)に示すように、Phase7において、第2圧電素子72のX2軸負方向側への変形量が減少し、先端部32aが基部32b及びベース部2に対してX2軸正方向側へ移動する(図11(d)、Phase7参照)。このときの移動量はPhase7で新たに供給された−2.0VとPhase6で供給されていた−3.0Vとの電圧の差の絶対値に比例する。
すなわち、Phase7においては、図9(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aはロータ4に当接した状態を維持してロータ4を支持しつつ、ロータ4を回転方向Rへ駆動する。同時に、図9(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aは、ロータ4の回転方向Rに沿うX2軸正方向側へ移動しながらY軸正方向側へ移動してロータ4に接近する。
(Phase8)
電源部10は、図7に示すように、Phase8において、第1端子T1に正負が逆転した−1.0Vの電圧を発生させ、図6(a)に示す第2組の駆動駒32の第1圧電素子62に第1配線11を介して電圧を供給する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase8において、第3端子T3に3.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第2組の駆動駒32の第2圧電素子72に第3配線13を介して電圧を供給する。
すると、図10(a)に示すように、Phase8において、第1組の駆動駒31を駆動する第1圧電素子61が逆方向に厚み滑り変形し、駆動駒3の基部3bをY軸負方向側へ移動させる(図11(a)、Phase8参照)。同時に、図10(a)に示すように、Phase8において、第2圧電素子71のX1軸正方向側への変形量が増加し、先端部31aが基部31b及びベース部2に対してX1軸正方向側へ移動する(図11(c)、Phase8参照)。このときの移動量はPhase8で新たに供給された3.0VとPhase7で供給されていた2.0Vとの電圧の差の絶対値に比例する。
電源部10は、図7に示すように、Phase8において、第2端子T2の電圧を1.0Vに維持し、図6(a)に示す第2組の駆動駒32の第1圧電素子62に第2配線12を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase8において、第4端子T4に−1.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第2組の駆動駒32の第2圧電素子72に第4配線14を介して電圧を供給する。
すると、図10(b)に示すように、Phase8において、第2組の駆動駒32をY方向に駆動する第1圧電素子62の変形が進行して、先端部32aがロータ4に当接する(図11(b)、Phase8参照)。同時に、図10(b)に示すように、Phase8において、第2圧電素子72のX2軸負方向側への変形量が減少し、先端部32aが基部32b及びベース部2に対してX2軸正方向側へ移動する(図11(d)、Phase8参照)。このときの移動量はPhase8で新たに供給された−1.0VとPhase7で供給されていた−2.0Vとの電圧の差の絶対値に比例する。
すなわち、Phase8においては、図10(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aはロータ4の回転方向Rへ沿うX1軸正方向側へ移動しながら、Y軸負方向側へ移動してロータ4から離間する。同時に、図10(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aはロータ4の回転方向Rに沿うX2軸正方向側に移動しながらロータ4に当接し、ロータ4を支持して回転方向Rへ駆動させる。これにより、第1組及び第2組の駆動駒31,32の先端部31a,32aによってロータ4を回転方向Rに駆動させつつ、第1組の駆動駒31の先端部31aから第2組の駆動駒32の先端部32aへロータ4が受け渡される。
このとき、図11(a)及び図11(b)に示すように、Phase8において、双方の駆動駒31,32が、極めて短時間、ロータ4から離間する場合がある。このような場合であっても、ロータ4はその慣性によりY方向の変位を殆どすることなく、第1組の駆動駒31の先端部31aによって支持されていた位置に留まる。そのため、ロータ4はY方向の略一定の位置が維持され、回転方向Rに駆動された状態で、第2組の駆動駒32の先端部32aによりY方向に支持され、回転方向Rへ駆動される。これにより、ロータ4はY方向の略一定の位置で支持軸5を中心として回転を継続する。
(Phase9)
電源部10は、図7に示すように、Phase9において、第1端子T1の電圧を−1.0Vに維持し、図6(a)に示す第1組の駆動駒31の第1圧電素子61に第1配線11を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase9において、第3端子T3に発生させる電圧を0Vにし、図6(b)に示す第1組の駆動駒31の第2圧電素子71に第3配線13を介して供給する電圧を0Vにする。
すると、図10(a)に示すように、Phase9において、第1組の駆動駒31をY方向に駆動する第1圧電素子61の変形が進行して、先端部31aがロータ4からさらに離間する(図11(a)、Phase9参照)。同時に図10(a)に示すように、Phase9において、第2圧電素子71が元の形状に戻り、先端部31aが基部31b及びベース部2に対してX1軸負方向側へ移動する(図11(c)、Phase9参照)。このときの先端部31aの移動量はPhase8において第2圧電素子7に供給されていた電圧の絶対値に比例する。
電源部10は、図7に示すように、Phase9において、第2端子T2の電圧を1.0Vに維持し、図6(a)に示す第2組の駆動駒32の第1圧電素子62に第2配線12を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase9において、第4端子T4に発生させる電圧を0Vにし、図6(b)に示す第2組の駆動駒32の第2圧電素子72に第4配線14を介して供給する電圧を0Vにする。
すると、図10(b)に示すように、Phase9において、第2組の駆動駒32をY方向に駆動する第1圧電素子62の変形が維持されて、先端部32aがロータ4に接触した状態が維持される(図11(b)、Phase9参照)。この状態で、図10(b)に示すように、Phase9において、第2圧電素子72が元の形状に戻り、先端部32aが基部32b及びベース部2に対してX2軸正方向側へ移動する(図11(d)、Phase9参照)。このときの先端部32aの移動量はPhase8において第2圧電素子72に供給されていた電圧の絶対値に比例する。
すなわち、Phase9においては、図10(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aはY軸負方向側へ移動してロータ4から離間した状態を維持しつつ、ロータ4の回転方向Rと逆のX1軸負方向側へ移動する。同時に、図10(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aはロータ4に当接した状態を維持してロータ4を支持しつつ、ロータ4の回転方向Rに沿うX1軸正方向側に移動してロータ4を回転方向Rへ駆動させる。
(Phase10)
電源部10は、図7に示すように、Phase10において、第1端子T1の電圧を−1.0Vに維持し、図6(a)に示す第1組の駆動駒31の第1圧電素子61に第1配線11を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase10において、第3端子T3に−3.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第1組の駆動駒31の第2圧電素子71に第3配線13を介して電圧を供給する。
すると、図10(a)に示すように、Phase10において、第1組の駆動駒31をY方向に駆動する第1圧電素子61の変形が維持されて、先端部31aがロータ4から離間した状態が維持される(図11(a)、Phase10参照)。この状態で、図10(a)に示すように、Phase10において、第2圧電素子71が厚み滑り変形し、先端部31aが基部31b及びベース部2に対してX1軸負方向側へ移動する(図11(c)、Phase10参照)。このときの先端部31aの移動量は第2圧電素子71に供給される電圧の絶対値に比例する。
電源部10は、図7に示すように、Phase10において、第2端子T2の電圧を1.0Vに維持し、図6(a)に示す第2組の駆動駒32の第1圧電素子62に第2配線12を介して供給する電圧を維持する。また、電源部10は、図7に示すように、Phase10において、第4端子T4に1.0Vの電圧を発生させ、図6(b)に示す第2組の駆動駒32の第2圧電素子72に第4配線14を介して電圧を供給する。
すると、図10(b)に示すように、Phase10において、第2組の駆動駒32をY方向に駆動する第1圧電素子62の変形が維持されて、先端部32aがロータ4に接触した状態が維持される(図11(b)、Phase10参照)。この状態で、図10(b)に示すように、Phase10において、第2圧電素子72が厚み滑り変形し、先端部32aが基部32b及びベース部2に対してX2軸正方向側へ移動する(図11(d)、Phase10参照)。このときの移動量はPhase10で新たに供給された電圧の絶対値に比例する。
すなわち、Phase10においては、図10(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aは、ロータ4から離間した状態を維持しつつ、基部31b及びベース部2に対してX1軸負方向側へさらに移動する。同時に、図10(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aはロータ4に当接した状態を維持してロータ4を支持しつつ、ロータ4の回転方向Rに沿うX2軸正方向側に移動してロータ4を回転方向Rへ駆動する。
Phase11以降は、上記のPhase3からPhase10までの動作と同様の動作が繰り返し行われ、ロータ4の回転が継続される。これにより、第1組の駆動駒31の先端部31aと先端部3aと第2組の駆動駒32の先端部32aとによって交互に(順番に)ロータ4のY軸方向の支持及び回転方向Rの駆動がされ、ロータ4が支持軸5回りの回転を継続する。
本実施形態の駆動装置1は、各々の駆動駒3を支持軸5の平行な方向(第2の方向)へ駆動させる第1圧電体6と、駆動駒3の先端部3aをロータ4の回転方向Rに沿う駆動駒3の幅w3方向(第1の方向)へ駆動させる第2圧電素子7とが別個に独立して設けられている。そのため、それぞれの方向の振動を独立した振動として取り出すことができる。
したがって、駆動駒3によりロータ4を回転させ、ロータ4と駆動駒3とを相対駆動させる際に、従来よりもロータ4を安定して回転させることができる。また、基部3bを挟み込む第1圧電素子6が互いに異なる方向に基部3bを駆動させる場合と比較して損失が発生し難く、エネルギー効率を向上させることができ、駆動装置1の出力を増大させることができる。
また、第1圧電素子6が駆動駒3の基部3bを幅w3方向から挟み込み、第1圧電素子6が駆動駒3を幅w3方向と異なる支持軸5に平行な方向へ駆動させるようになっている。また、基部3bを挟み込む一対の第1圧電素子6,6の寸法及び形状が略等しくなっている。これにより、駆動駒3の幅w3方向の剛性を均等にすることができる。したがって、駆動駒3の基部3bの幅w3方向の振動を抑制することができる。また、全ての第1圧電素子6及び第2圧電素子7を同一の形状及び寸法とすることで、製造を容易にして生産性を向上させることができる。
加えて、ベース部2には駆動駒3を支持軸5と平行な方向へ駆動可能に保持する保持部2aが設けられている。保持部2aには駆動駒3の幅w3方向から駆動駒3の基部3bを支持する支持面2fが設けられている。そのため、支持面2fによって第1圧電素子6を支持し、第1圧電素子6を介して駆動駒3の基部3bを幅w3方向から支持することができる。これにより、駆動駒3の幅w3方向の剛性をより高め、駆動駒3の基部3bの幅w3方向の振動を抑制することができる。
ここで、第1圧電素子6は、厚み方向の弾性係数(縦弾性係数)と変形方向の弾性係数(横弾性係数)との比が例えば約3:1程度である。したがって、駆動駒3の幅w3方向の剛性を高め、基部3bの駆動方向の剛性を低くすることができる。これにより、基部3bの幅w3方向の移動を防止して振動を抑制できる。また、基部3bの駆動方向の変位をしやすくすることができる。
また、保持部2aの支持面2fは、図5(a)及び図5(b)に示すように、駆動駒3の支持軸5に平行な方向に傾斜して設けられ、ロータ4から離間して保持部2aの底面2gに近づくほど、支持面2f,2f同士の幅w4が狭くなっている。また、支持面2f,2f同士の幅w4’は、底面2gよりもロータ4側で駆動駒3の基部3bと一対の第1圧電素子6の幅w5よりも狭くなっている。
そのため、駆動駒3の基部3bとそれを挟み込む第1圧電素子6,6をロータ4側から支持軸5に平行な方向に沿って保持部2aの底面2g側へ挿入すると、支持面2fの途中で基部3bと第1圧電素子6は、幅w4方向から支持面2fによって挟み込まれて支持される。これにより、駆動駒3を、支持軸5と平行な方向に位置決めすることができる。また、支持面2fは、駆動駒3のロータ4側への駆動を規制しないので、駆動駒3をロータ4側へ駆動可能に保持することができる。
また、支持面2fに対向する駆動駒3の基部3bの側面3cは、支持面2fと同様に傾斜して支持面2fと略平行に設けられている。そのため、駆動駒3の基部3bと当該基部3bを挟み込む第1圧電素子6,6をロータ4側から支持軸5に平行な方向に沿って保持部2aの底面2g側へ挿入する際に、第1圧電素子6と保持部2aの支持面2fを隙間なく接触させて、第1圧電素子6を支持面2fに圧着することができる。これにより、駆動駒3の基部3bの幅w3方向の振動を抑制することができる。
また、支持面2fの支持軸5と平行な方向に対する傾斜角度αが、2°以上6°以下であることから、駆動駒3の支持軸5と平行な方向における位置決め誤差を許容誤差の範囲に収めることが可能になる。ここで、傾斜角度αが2°よりも小さいと、位置決めの精度が低下するだけでなく製作が困難になる。また傾斜角度αが6°よりも大きいと、駆動駒3の支持軸5に平行な方向への駆動に悪影響が生じる。本実施形態では、傾斜角度αを4°とすることで、位置決め精度、製作性、及び駆動性を良好なものとすることができる。
また、駆動駒3が保持部2aの支持面2fによって位置決めされた中立位置において、駆動駒3の基部3bの底面3dと保持部2aの底面2gとが駆動駒3の基部3bの駆動方向である支持軸5に平行な方向に離間している。したがって、駆動駒3を中立位置からベース部2側へ駆動させることができる。さらに、本実施形態では、駆動駒3を中立位置からベース部2側へ駆動させたときにも、基部3bの底面3dと保持部2aの底面2gとが離間するようになっている。したがって、駆動駒3をベース部2側へ駆動させたときに基部3bの底面3dと保持部2aの底面2gとが衝突することを防止して、駆動駒3の駆動に衝突による悪影響が及ぶことを防止できる。
また、駆動駒3が、ロータ4を支持して回転方向Rに駆動させる先端部3aと、一対の第1圧電素子6に挟み込まれた状態でベース部2の保持部2aに保持された基部3bと、を備えている。さらに、駆動駒3は先端部3aと基部3bとの間に、先端部3aをロータ4の回転方向Rに沿う保持部2a及び駆動駒3の幅w3方向に駆動する第2圧電素子7を備えている。
そのため、駆動駒3を幅w3方向に駆動することで、ロータ4の下面と駆動駒3の先端部3aとの間に回転方向Rの接線方向の摩擦力が作用し、ロータ4を回転方向Rに駆動することができる。また、第1圧電素子6及び第2圧電素子7をそれぞれ独立して制御することができる。これにより、駆動駒3の先端部3aの支持軸5に沿う方向の駆動と、ロータ4の回転方向Rに沿う方向の駆動とを独立して制御することができる。
また、第1圧電素子6及び第2圧電素子7を同時に作動させ、駆動駒3の先端部3aの支持軸5に沿う方向の駆動と、ロータ4の回転方向Rに沿う方向の駆動とを同時に行うことができる。
したがって、図8〜図10に示すように、ロータ4と先端部3aの接触時及び離間時に、駆動駒3の先端部3aをロータ4の回転方向Rに沿って移動させ、ロータ4の回転を妨げることなく、第1組の駆動駒31から第2組の駆動駒32へロータ4の受け渡しを行うことができる。
また、駆動駒3及びその基部3bを挟み込む二対の第1圧電素子6,6を3つ備えた駆動駒3の組が、第1組と第2組の二組構成されている。したがって、各組を異なるタイミングで駆動させることができる。また、各組の駆動駒31,32の先端部31a,32aによってロータ4を3点支持することが可能となる。したがって、2点支持や4点以上の支持の場合と比較して、ロータ4の支持を安定して行うことができる。
また、各組の駆動駒31,32はロータ4の回転方向Rに均等に配置され、第1組と第2組の駆動駒31,32が回転方向Rに交互に順番に配置されている。したがって、ロータ4を各組の駆動駒31,32によってバランスよく支持し、回転方向Rに効率よく駆動することができる。
また、駆動駒3の先端部3aが駆動する方向は駆動駒3の基部3bが第1圧電素子6及び保持部2aの支持面2fによって挟み込まれる方向と同一の方向となっている。したがって、駆動駒3の先端部3aが送り駆動及び戻り駆動を行った場合に、駆動方向の前後から駆動駒3の基部3bを支持することができる。したがって、駆動駒3が支持軸5に平行な方向からずれることを抑制し、ロータ4の駆動に悪影響が及ぶことを防止できる。
また、電源部10が、第1組及び第2組の駆動駒31,32に位相差を有する電圧を供給することで、各組の駆動駒31,32によってそれぞれロータ4を駆動することができる。
また、電源部10が、各組の第1圧電素子6及び第2圧電素子7に供給する電圧の位相差を180°とすることで、第1組の駆動駒31と第2組の駆動駒32とによって交互に順番にロータ4を駆動させることができる。
また、電源部10が、各組の第1圧電素子6及び第2圧電素子7に、駆動駒3の先端部3aがロータ4との接触、駆動駒3の幅w3方向への送り、ロータ4からの離間、駆動駒3の幅w3方向の戻り、を順次繰り返すように電圧を供給することで、ロータ4の回転駆動を連続的に行うことができる。
また、電源部10は、図7のPhase3,7,14に示すように、第1端子T1に供給する電圧と第2端子T2に供給する電圧をオーバーラップさせている。これにより、第1組の駆動駒31から第2組の駆動駒32へのロータ4の受け渡しを連続的かつスムーズに行うことが可能になる。
また、電源部10は、図7に示すように、駆動駒3の先端部3aに幅w3方向の送り駆動をさせる際に、第3端子T3及び第4端子T4に供給する電圧の増加率(傾き)と、戻り駆動をさせる際の電圧の減少率(傾き)とを、異ならせている。例えば第3端子T3において、先端部3aを送り駆動させるPhase2〜Phase8までの各Phaseで電圧を1.0Vずつ上昇させ、先端部3aを戻り駆動させるPhase9〜Phase10までの各Phaseで電圧を3.0Vずつ減少させている。これにより、駆動駒3の先端部3aの送り駆動の時間を戻り駆動の時間よりも長くすることができ、駆動駒3の先端部3aとロータ4との接触時間を長くすることができる。したがって、駆動駒3の動力を、より効率よくロータ4に伝達することが可能になる。
また、電源部10が第1圧電素子6及び第2圧電素子7に供給する電圧の周波数は、第1圧電素子6、第2圧電素子7、駆動駒3、及びベース部2からなる支持駆動部1aの共振振動の振動数と略等しくなっている。そのため、駆動駒3の先端部3aによるロータ4の送り駆動及び戻り駆動の振幅をより大きくすることができる。支持駆動部1aの共振振動の周波数は、ベース部2、圧電素子、駆動駒3の先端部3a及び基部3bの材質を適切に選定することで調整することができる。
また、本実施形態では、図7に示すように、第1端子T1及び第2端子T2から各組の駆動駒31,32の第1圧電素子61,62に供給される電圧の周期と、第3端子T3及び第4端子T4から各組の第2圧電素子71,72に供給される電圧の周期とが等しくなっている。したがって、駆動駒31,32の支持軸5に平行な方向の駆動と、駆動駒31,32の幅w31,w32方向の先端部31a,32aの駆動の振動数が等しくなる。これにより、支持軸5に平行な方向の駆動駒31,32の振幅と、駆動駒31,32の幅w31,w32方向の先端部31a,32aの振幅を最大振幅とすることができる。
また、駆動駒3の先端部3aはロータ4の回転方向Rに沿う断面積がロータ4に近づくほど小さくなるように先細状に設けられている。したがって、先端部3aを直方体状の形状に形成する場合と比較して先端部3aとロータ4との接触面積を減少させ、先端部3aの磨耗による先端部3aの体積変化率を小さくすることができる。これにより、先端部3aの磨耗による先端部3aの重量の変化を小さくすることができ、駆動駒3の共振周波数の変化を小さくすることができる。また、先端部3aを六角柱状の形状とすることで、その他の形状と比較して先端部3aの剛性を高くすることができる。
また、支持軸5と略平行に設けられ駆動駒3の幅w3方向と略垂直に交差するベース部2の側面2cに、溝部2dが形成されている。すなわち、溝部2dはベース部2を介して伝播する支持軸5と略平行な方向の振動に対して、略垂直に交差するように設けられている。そのため、溝部2dによって振動を吸収し、ベース部2による振動の伝播を減少させることができる。
また、第1圧電素子6が、ロータ4と溝部2dとの間に設けられている。したがって、ベース部2のロータ4と反対側から溝部2dを越えて伝播する振動を減少させることができる。
また、ベース部2の駆動駒3を保持する保持部2aと反対側の端部が取付部101aに固定され、溝部2dは駆動駒3よりも取付部101aに近い位置に設けられている。そのため、取付部101aの振動がベース部2に伝播した場合であっても、駆動駒3から比較的遠い位置で振動を減少させ、取付部101aの振動が駆動駒3の駆動に悪影響を及ぼすことを防止できる。
また、溝部2dの支持軸5に平行な方向の幅w1は、ベース部2の振動の振幅よりも大きくなっている。そのため、溝部2dの両側のベース部2同士が衝突することを防止できる。
また、溝部2dの支持軸5に平行な方向の幅w1は、ベース部2、駆動駒3、第1圧電素子6、及び第2圧電素子7からなる支持駆動部1aの共振振動の振幅よりも大きくなっている。したがって、支持駆動部1aが共振状態で振動した場合でも溝部2dの両側のベース部2同士が衝突することを防止できる。
また、溝部2dの深さd1をベース部2の半径の40%以上80%以下とすることで、ベース部2の強度を十分に確保しつつ、十分な振動の伝播の抑制効果を得ることができる。
また、ベース部2と支持軸5との間に間隙2eが形成されているので、ベース部2から支持軸5に伝播する振動を減少させることができる。また、支持軸5からベース部2に伝播する振動を減少させることができる。したがって、駆動駒3及びロータ4の駆動に悪影響が及ぶことを防止できる。
次に、本実施形態の駆動装置1を備えたレンズ鏡筒の一例として、交換レンズについて説明する。本実施形態の交換レンズは、図示しないカメラ本内とともにカメラシステムを形成するものであり、カメラ本体に着脱可能に装着されるようになっている。交換レンズは、公知のAF(オートフォーカス)制御に応じて合焦動作を行うAFモードと、撮影者からの手動入力に応じて合焦動作を行うMF(マニュアルフォーカス)モードとが切り替え可能になっている。
図12は、本実施形態の交換レンズ100を示す分解斜視図である。
図12に示すように、交換レンズ100は、固定筒101と、外筒102と、フォーカス操作筒103と、駆動部104と、を備えている。図12では図示を省略するが、固定筒101の内側には、レンズ群室及び保持筒に保持された3群構成のレンズ群が設けられている。各レンズ群は光軸方向に配置され、ズーム動作時に用いられる一対のレンズ群と、その間に設けられ合焦動作に用いられるレンズ群とにより構成されている。
駆動部104は、AF制御時に図示しないAF制御部からの信号に応じてフォーカス操作筒103を光軸回りに回転させる部分である。
駆動部104は、支持部105、駆動装置1、フォーカス操作筒側ギア103a、及び、カバー108を備えている。
支持部105は、駆動装置1を固定筒101に対して支持する部分である。支持部105は、取付部101a及び軸受部101bを備えている。
取付部101aは、駆動装置1の一端側を支持するものである。取付部101aは、固定筒101の外周面の一部からその外径側につば状に突き出して形成された部分であり、固定筒101に一体的に形成されている。
軸受部101bは、取付部101aと同様に固定筒101の外周面の一部からその外径側に突出して固定筒101に一体的に形成され、駆動装置1のロータ4に一端側が固定された回転軸106の他端側を支持するように設けられている。
駆動装置1は、ベース部2の端部が取付部101aに固定されている。
回転軸106の一端側には出力側ギア107が設けられ、他端側はロータ4と一体的に固定されている。回転軸106は、駆動装置1の支持軸5(図2参照)と同軸上に独立して設けられている。出力側ギア107はフォーカス操作筒103に設けられたフォーカス操作筒側ギア103aと噛み合っている。
カバー108は、上述した駆動装置1を保護するためのものであり、固定筒101に対して図示しないビス等によって固定されている。
交換レンズ100は、外筒102を介してカメラ本体に着脱自在に設けられている。
交換レンズ100は、AFモードにおいて、例えばカメラ本体に設けられたAF制御部からの信号に応じて駆動装置1の電源部10が作動され、駆動装置1のロータ4が回転する。ロータ4の回転により、回転軸106が回転し、その回転によってフォーカス操作筒103を光軸回りに回転させる。フォーカス操作筒103はその回転によって不図示のフォーカス用カム機構を介して合焦動作に用いられるレンズ群を光軸方向に進退動作させる。以上により、交換レンズ100においてAF動作が行われる。
一方、MFモードにおいては、フォーカス操作筒103が撮影者によって手動で光軸回りに回転操作される。フォーカス操作筒103は、AFモードと同様にその回転によって合焦動作に用いられるレンズ群を光軸方向に進退動作させる。以上により、交換レンズ100においてMF動作が行われる。
以上説明したように、本実施形態の交換レンズ100によれば、異なる2方向の振動をそれぞれ独立した振動として取り出すことができ、出力を増大させることができる駆動装置1を備えているので、AFモードにおける電力消費量を減少させることができる。
また、中間ギアや最終ギア等を用いることなく、駆動装置1の動力をダイレクトにフォーカス操作筒103に伝達することができる。したがって、エネルギーの損失が少なく省エネルギー効果が得られる。また、部品点数の削減が可能になる。
尚、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、ベース部は支持軸を囲むように設けられていれば複数に分割されていてもよく、支持軸を完全に囲んでいなくてもよい。例えば支持軸を囲む円周上の半分に偏って配置されていてもよく、支持軸を両側から挟みこむような配置であってもよい。
また、上述の実施形態では、駆動駒を支持軸と平行な方向へ駆動する第1圧電素子が駆動駒を挟み込むように一対設けられている場合について説明したが、第1圧電素子は駆動駒の一方の側面のみに設けられていてもよい。また、厚み方向への変位をする圧電素子を第1圧電素子として用い、ベース部の保持部の底面と駆動駒の基部の底面との間に第1圧電素子を配置するようにしてもよい。この場合には、ベース部に設けられた保持部の支持面によってロータの回転方向に沿う保持部の幅方向の両側から圧電素子を介すことなく基部を直接支持する。そして、基部を支持軸と平行な方向へスライド可能に保持するガイド部として支持面を機能させるようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、第1圧電素子及び第2圧電素子を備える駆動駒の組を二組備える場合について説明したが、駆動駒の組は三組以上であってもよい。また、駆動駒の組が備える駆動駒の数は、1つ、2つ、若しくは4つ以上であってもよい。例えば、上述の実施形態において、ベース部の対角に配置された配置された2つの駆動駒を1組として、駆動駒の組を3組構成してもよい。この場合には、各組の電圧の位相差を例えば120度とすることができる。これにより、常に2組の駆動駒によってロータを支持・回転させることができる。駆動駒の各組の電圧の位相差は、360度を組数で除した値(すなわち二組の場合は180度、三組の場合は120度)とすればよい。
また、上述の実施の形態では、第1圧電素子が駆動駒の基部を挟み込む方向(第1の方向)と第2圧電素子が駆動駒の先端部を駆動する方向(第3の方向)とが同一の場合について説明したが、これらを異ならせてもよい。例えば、第3の方向を駆動駒の幅w3方向と交差しかつロータの回転方向に沿う方向とすることで、ロータを回転させやすくしてもよい。
また、ベース部の支持面は、支持軸と平行な方向(第2の方向)に対して傾斜していなくてもよい。例えば、図13(a)に示すように、保持部に第1圧電素子の保持部の底面側の端部を係止する突起状の係止部を設けてもよい。また、図13(b)に示すように、第1圧電素子の保持部の底面側の端部を基部の底面よりも突出させて位置決め部として機能させ、位置決め部を保持部の底面に突き当てることで位置決めをしてもよい。
また、ベース部と支持軸との間の間隙は、ベース部の強度確保の観点から溝部の保持部側の縁まで形成するようにしてもよい。
また、電源部の各端子から第1圧電素子及び第2圧電素子へ供給する電圧を正弦波や正弦波状の電圧波形としてもよい。
まず、上述の実施形態と同様に駆動駒の組が第1組と第2組の二組構成され、電源部の第1端子と第2端子に発生する正弦波の電圧波形の位相差が180°であり、第3端子と第4端子に発生する正弦波の電圧波形の位相差が180°である場合を例に図14を用いて説明する。
図11(a)〜図11(d)と同様に、図14(a)は第1組の駆動駒の先端部のY方向の変位を示し、図14(b)は第2組の駆動駒のY方向の変位を示している。また、図14(c)は、第1組の駆動駒のX1方向の変位を示し、図14(d)は第2組のX2方向の変位を示している(図8〜図10参照)。
電源部の第1端子と第2端子に発生する正弦波の電圧波形の位相差が180°である場合、図14(a)及び図14(b)に示すように、Y軸方向に駆動する第1組及び第2組の駆動駒の先端部は、180°の位相差を有する正弦波状の軌跡を描くようになる。このとき、第1組の駆動駒の先端部は、図14(a)に太線で示すように、Y軸方向の変位が接触位置y1を越えるとロータと接触する(図8〜図10参照)。また、図14(b)に太線で示すように、第2組の駆動駒の先端部も同様にロータと接触する。
ここで、図14(a)に示す第1組の駆動駒の軌跡と、図14(b)第2組の駆動駒の軌跡は180°の位相差を有している。そのため、第1組の駆動駒の先端部と第2組の駆動駒の先端部とがロータに交互に接触してロータを支持する(図8〜図10参照)。このとき、上述の実施形態と同様に、双方の駆動駒の先端部がロータから離間する期間が存在する。しかし、上述の実施形態と同様、その間にロータはその慣性によりY方向へは殆ど変位しない。
同様に、電源部の第2端子と第3端子に発生する正弦波の電圧波形の位相差が180°である場合、図14(c)及び図14(d)に示すように、X1軸方向及びX2軸方向へ駆動する第1組及び第2組の駆動駒の先端部は、正弦波状の軌跡を描くようになる(図8〜図10参照)。
ここで、図14(c)に太線で示すように、第1組の駆動駒の先端部は、ロータと接触している間(図14(a)に示す太線部分の間)に、ロータの回転方向に沿うX1軸正方向に移動する(図8〜図10参照)。また、図14(d)に太線で示すように、第2組の駆動駒の先端部も同様に、ロータと接触している間(図14(b)に示す太線部分の間)に、ロータの回転方向に沿うX2軸正方向に移動する。
したがって、上述の実施形態と同様に、ロータは第1組の駆動駒と第2組の駆動駒とによって交互に回転方向へ駆動される(図8〜図10参照)。
次に、駆動駒の組が第1組〜第3組の三組構成され、電源部の各端子に120°の位相差を有する正弦波又は正弦波状の電圧波形を発生させる場合について、図15を用いて説明する。この場合、電源部として、上述の第1端子〜第4端子に加え、第3組の駆動駒の第1圧電素子と第2圧電素子にそれぞれ電圧を供給する第5端子と第6端子を備えたものを用いる。また、第1組の駆動駒のX1方向及び第2組の駆動駒のX2方向(図8〜図10参照)と同様に、支持軸に垂直でロータの回転方向に沿う第3組の駆動駒の幅方向(保持部の幅方向)をX3方向とする。
図15(a)は第1組〜第3組の駆動駒の先端部のY方向の変位を示し、図15(b)は第1組〜第3組の駆動駒の先端部のX1〜X3方向の変位を示している。図15(a)及び図15(b)では、第1組の駆動駒の先端部の軌跡を実線、第2組の駆動駒の先端部の軌跡を破線、第3組の駆動駒の軌跡を一点鎖線で示している。
電源部が各組の第1圧電素子に供給する電圧波形が120°の位相差を有する場合、図15(a)に示すように、Y軸方向に駆動する各組の駆動駒の先端部は、120°の位相差を有する正弦波状の軌道を描くようになる。このとき、各組の駆動駒の先端部は、図15(a)に太線で示すように、Y軸方向の変位が接触位置y1を越えるとロータと接触する(図8〜図10参照)。
ここで、図15(a)に示す各組の駆動駒の軌跡は120°の位相差を有している。そのため、各組の駆動駒の先端部がロータに順番に接触してロータを支持する(図8〜図10参照)。このとき、上述の実施形態と同様に、各組の駆動駒の先端部がロータから離間する期間が存在する。しかし、上述の実施形態と同様、その間にロータはその慣性によりY方向へは殆ど変位しない。
同様に、電源部が各組の第2圧電素子に供給する電圧波形が120°の位相差を有する場合、図14(b)に示すように、X1〜X3軸方向へ駆動する各組の駆動駒の先端部は、正弦波状の軌道を描くようになる(図8〜図10参照)。
ここで、図15(b)に太線で示すように、各組の駆動駒の先端部は、ロータと接触している間(図15(a)に示す太線部分の間)に、ロータの回転方向に沿うX1〜X3軸正方向に移動する(図8〜図10参照)。
したがって、上述の実施形態と同様に、ロータは各組の駆動駒によって順番に回転方向へ駆動される(図8〜図10参照)。