JP5468380B2 - 蓄冷材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は蓄冷材およびその製造方法に係り、特に微粉化するおそれが少なく機械的強度および耐久性に優れ、低温度域において顕著な冷凍能力を発揮できる蓄冷材およびその製造方法に関する。
近年、超電導技術の発展は著しく、その応用分野が拡大するに伴って小型で高性能の冷凍機の開発が不可欠になってきている。かかる小型冷凍機は、軽量・小型で熱効率の高いことが要求されており、種々の応用分野において実用化が進められている。
例えば、超電導MRI装置やクライオポンプなどにおいては、ギフォード・マクマホン(GM)方式やスターリング方式やパルスチューブ冷凍機などの冷凍サイクルによる冷凍機が用いられている。また、磁気浮上列車にも超電導磁石を用いて磁力を発生させるために高性能な冷凍機が必須とされている。さらに、最近では、超電導電力貯蔵装置(SMES)、および高品質のシリコンウェハーなどを製造する磁場中単結晶引き上げ装置などにおいても高性能な冷凍機が用いられている。さらに高い信頼性が期待されているパルスチューブ冷凍機の開発・実用化も積極的に進められている。
このような冷凍機においては、蓄冷材が充填された蓄冷器内を、圧縮されたHeガスなどの作動媒質が一方向に流れて、その熱エネルギーを蓄冷材に供給し、ここで膨張した作動媒質が反対方向に流れ、蓄冷材から熱エネルギーを受け取る。こうした過程での復熱効果が良好になるに伴い、作動媒質サイクルでの熱効率が向上し、より低い温度を実現することが可能となる。
上述したような冷凍機に使われる蓄冷材としては、従来、CuやPbなどが主に用いられてきた。しかし、このような蓄冷材は、20K以下の極低温で比熱が著しく小さくなるため、上述した復熱効果が十分に機能せず、冷凍機での作動に際して極低温下で1サイクル毎に蓄冷材に充分な熱エネルギーを貯蔵することができず、かつ作動媒質が蓄冷材から充分な熱エネルギーを受け取ることができなくなる。その結果、前記蓄冷材を充填した蓄冷器を組み込んだ冷凍機では極低温に到達させることができない問題があった。
そこで、最近では前記蓄冷器の極低温での復熱特性を向上し、より絶対零度に近い冷凍温度を実現するために、特に20K以下の極低温域において体積比熱の極大値を有し、かつその値が大きなErNi,ErNi,HoCuなどのように希土類元素と遷移金属元素とから成る金属間化合物を主体とした磁性蓄冷材が使用されている。このような磁性蓄冷材をGM冷凍機に用いることにより、4Kでの冷凍が実現されている。
上記のような冷凍機を各種冷却システムに現実に応用することが検討されるに伴って、より大規模な冷却対象物を安定に冷却する必要性から、冷凍機には、より一層の冷凍能力の向上が求められている。
国際公開第96/06315号公報 特開平8−226718号公報 特開2000−199650号公報
しかしながら、スターリング冷凍機やパルスチューブ冷凍機などのように高速運転を行う冷凍機においては、磁性蓄冷粒子を充填した蓄冷器での圧力損失が大きくなり、十分な冷凍能力が実現できない問題点があった。またGM冷凍機などにおいては、冷凍機の運転中に作用する高圧ヘリウムガスの圧力振動や各種応力や衝撃力によって磁性体粒子が損傷したり微粉化して冷媒ガスの通気抵抗を高め、熱交換効率が急激に低下するなどの不具合が発生し易い難点があった。
特に、GM冷凍機の場合には、さらにディスプレーサ(冷媒圧縮用ピストン)の往復運動による応力が蓄冷材に作用し、影響が大きい。また、冷凍機の始動時には、室温付近から4K付近の極低温温度まで短時間に温度が降下するため、大きな熱衝撃が蓄冷材に作用する。
ところが、一般に磁性体粒子は脆性を示し、機械的強度が十分ではなく、また熱衝撃にも弱いため、冷凍機の運転中に蓄冷材が破壊したり、蓄冷材表面の一部が剥離したりして、微粉を発生させる。この微粉は冷凍機のシール部を損傷するため、結果として冷凍機の能力を短時間の運転で著しく低下させる問題点がある。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、特に高強度を有し、微粉化するおそれが少なく耐熱衝撃性および耐久性に優れ、低温度域において顕著な冷凍能力を長時間に亘って発揮できる蓄冷材およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本願発明に係る蓄冷材は、直径が0.01〜3mmである多数の磁性粒子から成り、冷凍機の蓄冷器に充填された蓄冷材であり、前記磁性粒子が希土類元素を含むものであり、この蓄冷材から無作為に100個の磁性粒子を選別し、光学顕微鏡によって投影像を撮影し、得られた各投影画像を画像解析して、各磁性粒子の平面への投影像の面積をAとする一方、投影像の周囲長をLとしたときに、4πA/Lで定義される円形度係数Rの平均値が0.7以上であり、その円形度係数Rの標準偏差が0.1以下であることを特徴とする。
また、上記蓄冷材において、前記磁性粒子が希土類元素を含むことが好ましい。
また、本発明を適用する冷凍機は、蓄冷器の上流高温側から冷媒ガスを流して上記冷媒ガスと蓄冷器に充填した蓄冷材との熱交換によって蓄冷器の下流側にて、より低温度を得る冷凍機において、上記蓄冷器に充填された蓄冷材の少なくとも一部が上記本発明の蓄冷材であることを特徴とする。
さらに、本発明を適用するMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、磁気浮上列車用超電導磁石、クライオポンプおよび磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも上記した本発明に係る冷凍機を具備することを特徴としている。
本発明に係る蓄冷材の組成は、特に限定されるものではないが、少なくとも一部の粒子状蓄冷材が希土類元素を含有することが好ましい。具体的には、上記粒子状蓄冷材は、
一般式RMz ……(1)
(但し、RはY,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,TmおよびYbから選択される少なくとも1種の希土類元素であり、MはNi,Co,Cu,Ag,Al,Ru,In,Ga,Ge,SiおよびRhから選択される少なくとも1種の希土類元素であり、zは原子比で0≦z≦9.0を満足する。)で表わされる希土類元素単体または希土類元素を含む金属間化合物で構成することが好ましい。上記蓄冷材のうち、HoCuが特に好ましい。
本発明に係る蓄冷材は、20K以下の極低温領域において比熱ピークを有する酸化物を主体とする多数の磁性粒子から構成してもよい。この磁性粒子を構成する酸化物としては、例えば下記一般式(2),(3),(4)で示す組成物が好適に使用できる。
すなわち、一般式:RMO ……(2)
(但し、Rは、Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,TmおよびYbから選択される少なくとも1種の希土類元素であり、Mは3B族元素から選択される少なくとも1種の元素である。)で表わされるペロブスカイト系酸化物;
一般式:AB ……(3)
(但し、Aは、2B族元素から選択される少なくとも1種の元素であり、Bは少なくともCrを含む遷移金属元素である。)で表わされるスピネル系酸化物;および
一般式:CD ……(4)
(但し、CはMnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素であり、DはNbおよびTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表わされる酸化物などが好適に用いられる。
これらの希土類元素系磁性粒子から成る蓄冷材は、20K以下に比熱の最大値を有し、かつその値が単位体積当りの比熱(体積比熱)として十分に大きいため、より極低温の到達が可能となることから、本発明に好適な蓄冷物質である。
本発明に係る蓄冷材を構成する磁性粒子の円形度係数Rの平均値は0.7以上の範囲とされる。ここで上記円形度係数Rは磁性粒子の平面への投影像の面積をAとする一方、投影像の周囲長さをLとしたときに、4πA/Lで与えられる値として定義される。
上記円形度係数R(=4πA/L)は磁性粒子の丸さの度合を表わす係数であり、係数値が1に近いほど粒子断面形状が真円に近いことになり、粒子形状が完全に球である場合には、1となる値である。しかしながら、ほぼ球体の磁性粒子表面に微細な突起部が形成されている場合には、ある程度の高い円形度係数Rが得られるものの、この突起部が冷凍機の運転中に作用する振動や衝撃力によって脱落して、磁性粒子の粉砕粉と同様に作用して冷凍機のシール部分を損傷させるおそれが依然として高い。
上記突起部の有無は、円形度係数Rのばらつきの大小として計測される。そこで本発明に係る蓄冷材においては、微粉化を防止し機械的強度および耐久性を高めるために、蓄冷材を構成する多数の磁性粒子の円形度係数Rの平均値を所定値(0.7)以上に規定するとともに、その円形度係数Rの標準偏差を0.1以下に規定している。この円形度係数Rの標準偏差は、磁性粒子の丸さの度合いのばらつきを示す値であり、この標準偏差が小さいほど、磁性粒子群の形状が一様で揃っていることを意味する。
そして各磁性粒子の平面への投影像形状が真円に近く、かつ破壊の起点となる突起や凹陥部が少なくて上記標準偏差が小さい磁性粒子の集合体である場合に、蓄冷材としての構造強度が高くなり、蓄冷器に充填した状態での磁性粒子の集合体としての耐久性も高くなる。
上記円形度係数Rの平均値が0.7未満の場合は、蓄冷材を構成する磁性粒子の形状が真球状態から離れて不規則形状になる。そのため、磁性粒子間の接触部位が一定せず、蓄冷器に高い充填密度で均一に充填することが困難になり、また冷媒ガスとの接触効率にもむらを生じるため、冷熱の交換効率が低下し、冷凍機としての能力が低下してしまう。したがって上記円形度係数Rの平均値は0.7以上に規定されるが、0.8以上がより好ましく、さらに0.9以上が望ましい。
また蓄冷材を構成する全磁性粒子に対して、円形度係数Rが0.7以上の磁性粒子が占める割合は70質量%以上とすることが好ましい。さらには80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が望ましい。
また蓄冷材を構成する磁性粒子の円形度係数Rの標準偏差σが0.1を超えるように、円形度係数Rのばらつきが大きくなる磁性粒子は、破壊の起点となる突起などが形成されたものである。そのような磁性粒子を蓄冷器に充填した場合、球状の磁性粒子においてブリッジ(架橋構造)が形成される傾向が高くなり、そのようなブリッジ化した磁性粒子を含む集合体においてはブリッジ部分で破壊が生じ易くなり、蓄冷材としての信頼性が低下してしまう。そのため、上記円形度係数Rの標準偏差は0.1以下に規定されるが、より蓄冷材としての耐久性および強度を確保するために、標準偏差は0.06以下がより好ましく、さらには0.035以下がさらに好ましい。
上記磁性粒子の円形度係数Rおよびその標準偏差σは、無作為に選別した約100個の磁性粒子を平板上に載置した状態で光学顕微鏡によって投影像を撮影し、得られた粒子投影画像を画像処理することにより迅速に測定することができる。上記画像処理を実施するための画像処理装置としては、例えばピアス社製画像処理装置(型番:PIAS−III)が好適に使用できる。
また、蓄冷材を構成する磁性粒子の粒径は、伝熱特性等に大きな影響を及ぼすものであるため、本発明においては全粒体の70重量%以上を粒径が0.01〜3mmの蓄冷物質粒子で構成することが好ましい。ここで、本発明でいう粒径とは、粒子を内包することができる最小球の直径を意味する。蓄冷物質粒子の粒径が0.01mm未満であると、充填密度が高くなりすぎることから圧力損失の増大等を招くおそれがあり、また粒径が3.0mmを超えると、伝熱面積が小さくなることから熱伝達効率の低下を招き易くなる。よって、このような粒子が全粒体の30重量%を超えると、蓄冷性能の低下を招くおそれがある。より好ましい粒径は、0.03〜1.0mmの範囲である。さらに好ましくは0.05〜5mmの範囲である。粒径が0.01〜3.0mmの範囲の粒子の全粒体中における比率は、80重量%以上とすることがより好ましく、さらに好ましくは90重量%以上である。
また、多数の磁性粒子から成る本発明の蓄冷材において、上記磁性粒子表面に長さ10μm以上の亀裂が2個以上存在している磁性粒子の全磁性粒子に対する質量割合を20%以下とすることが好ましい。
蓄冷材を構成する磁性粒子表面に複数の亀裂が存在すると、冷凍機運転中に作用する振動や衝撃力によって亀裂が進展し易く、粒子が破壊する可能性が高くなる。具体的には、磁性粒子表面に長さが10μm以上の亀裂が2個以上存在する磁性粒子の存在比率(個数比)が20%を超えると、粒子の破壊割合が増加する。その結果、発生した微粉が冷凍機のシール部等を損傷せしめ、冷凍機の性能を著しく低下させる。
したがって長さが10μm以上の亀裂が2個以上存在する粒子の存在比率は20%以下とすることが好ましいが、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは5%以下が望ましい。また測定対象とする亀裂は、長さ5μm以上の亀裂とすることがより好ましく、さらには長さ3μm以上の亀裂を測定対象とすることが望ましい。
また、多数の磁性粒子から成る蓄冷材において、上記磁性粒子の表面粗さの最大高さが10μm以上である磁性粒子の全磁性粒子に対する質量割合を30%以下と規定することが好ましい。
磁性粒子の表面粗さが大きい場合には、突起や段差が形成された部分で応力集中が起き易く、その応力集中部を起点として粒子が破壊してしまう。その現象を防止するため、表面粗さの程度を示す最大高さが10μm以上である磁性粒子の割合を30%以下に規定することが好ましい。上記最大高さが10μm以上である粒子割合が20%以下であることが好ましく、さらには10%以下であることがより望ましい。また評価対象とする表面粗さの最大高さは5μm以上とすることが好ましく、さらには3μm以上とすることがより望ましい。なお上記表面粗さは、電子顕微鏡などの観察手段によって表面組織を撮影し、得られた表面組織の断面曲線から、日本工業規格(JIS−B0601)に準拠して測定することができる。
本発明に係る蓄冷材の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来から金属粉末を調製する際に利用される回転ディスク法,回転電極法,ガスアトマイズ法,水アトマイズ法,双ロール法,単ロール法等の溶湯急冷凝固法により製造することが可能である。なお、上記溶湯急冷凝固法によれば、比較的に円形度(球形度)が高い磁性粒子が得られるが、製造条件によっては、円形度係数Rのばらつき(標準偏差)が大きい磁性粒子が形成され易い。この場合には、適宜得られた磁性粒子に対して形状選別を実施して、所定範囲内のみの円形度係数Rおよび標準偏差を有する粒子群を本発明に係る蓄冷材として選定する。
具体的には、本発明に係る蓄冷材の製造方法は、前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載した蓄冷材の製造方法であり、遠心噴霧急冷法により磁性粒子を調製する工程と、得られた磁性粒子を傾斜型ベルトコンベアにより形状選別して、各磁性粒子の平面への投影像の面積をAとする一方、投影像の周囲長をLとしたときに、4πA/Lで定義される円形度係数Rの平均値が0.7以上であり、その円形度係数Rの標準偏差が0.1以下である磁性粒子を形状選別する工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る蓄冷材の他の製造方法は、前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載した蓄冷材の製造方法であり、転動造粒した造粒粒子を焼結して磁性粒子を調製する工程と、得られた磁性性粒子を傾斜型ベルトコンベアにより形状選別して、各磁性粒子の平面への投影像の面積をAとする一方、投影像の周囲長をLとしたときに、4πA/Lで定義される円形度係数Rの平均値が0.7以上であり、その円形度係数Rの標準偏差が0.1以下である磁性粒子を形状選別する工程とを備えて構成してもよい。
さらに、本発明に係る蓄冷材のその他の製造方法は、前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載した蓄冷材の製造方法であり、造粒粒子を熱プラズマ装置で溶融した後に急冷凝固させて磁性粒子を調製する工程と、得られた磁性粒子を傾斜型ベルトコンベアにより形状選別して、各磁性粒子の平面への投影像の面積をAとする一方、投影像の周囲長をLとしたときに、4πA/Lで定義される円形度係数Rの平均値が0.7以上であり、その円形度係数Rの標準偏差が0.1以下である磁性粒子を形状選別する工程とを備えて構成してもよい。
すなわち、本発明に係る蓄冷材は、以下のような粉末冶金法に従って製造することも可能である。例えば原料粉末を、ボールミルなどを用いて混合して原料混合体を調製し、得られた原料混合体を転動造粒法,攪拌造粒法,押し出し法,噴霧法(スプレー法)またはプレス成形法などにより球状に成形(造粒)した後に、得られた球状成形体を焼結することにより製造できる。
上記製造方法で使用される原料粉末は、0.3〜30μmの粒径を有する粉末であることが望ましい。より好ましい粒径範囲は0.4〜10μmであり、さらには0.5〜8μmの粒径範囲がさらに好ましい。
なお、前記転動造粒法,攪拌造粒法,押し出し法,噴霧法(スプレー法)などの各種造粒法で成形された粒子は、成形密度が低く、そのまま焼結した場合に良好な焼結体になり難い場合がある。
そこで本願発明では次のような製造方法を採用することも可能である。
すなわち、原料粉末を造粒して造粒粒子を形成し、得られた造粒粒子を冷間静水圧(CIP)加圧処理することにより、球状の緻密化粒子を調製し、得られた緻密化粒子を焼結処理することにより多数の磁性粒子から成る蓄冷材を調製するような蓄冷材の製造方法を採用することもできる。
上記製造方法において、焼結処理として熱間静水圧(HIP)加圧処理を実施してもよい。すなわち、造粒した粒子に冷間静水圧加圧(CIP)処理または熱間静水圧加圧(HIP)処理を実施することにより、成形体の密度をさらに向上させることができる。さらに、この高密度成形体を焼結することにより、高密度で割れや空隙が少ない磁性粒子が効果的に得られる。
また、上記製造方法において、酸化物粉末に対してバインダを5〜30重量%添加して造粒することにより、成形密度をより高めることが可能である。
上記バインダーとしては、水、エチルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸エステルなどが好適に使用できる。
原料粉末に対するバインダーの添加量が5重量%未満と過少な場合には、粉末同士を高強度で結合して密度を高める効果が不十分となる。一方、添加量が30重量%を超えるように過量になると、成形体における蓄冷材原料粉末の比率が過度に低くなり、成形密度が低下してしまう。そのため、バインダーの添加量は5〜30重量%の範囲に規定される。
添加されたバインダーは、造粒後に成形体の脱脂処理により除去され、さらに脱脂成形体を焼結することにより、本願発明に係る蓄冷材が調製される。
球状の磁性粒子を調製する方法として、前記のように原料粉末を転動造粒法などにより球状に造粒した後に焼結する方法の他に、次のような熱プラズマを利用して球状化する方法も採用できる。
すなわち、原料粉末を、熱プラズマ中を通過せしめて溶融させ、溶融液の表面張力により球状化した状態で凝固させることにより、多数の磁性粒子から成る蓄冷材を調製するような蓄冷材の製造方法も採用できる。
ここで、熱プラズマとは高温気体が放電した状態を意味し、数MHzから数GHzの高周波電磁波または直流電流による気体の放電により発生させることができる。
図3は熱プラズマ装置の構成を示す。この熱プラズマ装置80は、反応容器81と、高周波発信器82と、コイル83と、プラズマ発生部外囲筒86と、反応容器81の頂部にて発生したプラズマフレーム85に対向して開口する粉体供給口86と、粉体供給器87に貯留された反応容器81に搬送するキャリアガス供給ボンベ88と、プラズマ発生用ガス源89と、生成した粒子を分離するサイクロン90と、反応容器81を冷却する冷却ガス源91とを備えて構成される。
上記熱プラズマ装置80において、高周波発信器82から発信された電磁波がコイル83によって増幅される一方、プラズマ発生用ガス源89から供給されたガスの放電により、反応容器81の頂部に高温度のプラズマフレーム85が形成される。このフレーム部85のガス温度は数千℃から約1万℃に達する。この高温状態のプラズマフレーム85中に、キャリアガスと共に粉体供給器87から供給された原料粉末を投入すると、粒子全体または表面を含む一部が溶融する。溶融した原料粉末はその表面張力により球状化する。そして、冷却ガス源91から供給された冷却ガスによって急冷凝固する。生成した球状の磁性粒子はサイクロン90によって分離回収される。このように少なくとも一部が溶融して球状化した状態で急冷凝固しているため、粒子表面に亀裂が発生せず、かつ表面が平滑で表面粗さが小さい上に、内部に空隙がない磁性粒子が得られる。
なお、上記のような粉末冶金法や熱プラズマ法によって形成された磁性粒子においても、その製造条件によっては、円形度係数Rのばらつき(標準偏差)が大きい磁性粒子が形成される場合がある。その場合には得られた磁性粒子群に対して下記に示すような傾斜型ベルトコンベアを使用した形状分別装置を使用して形状選別を実施するとよい。
すなわち上記形状分別装置は、搬送ベルトが斜め上方に駆動されるように傾斜させたベルトコンベアを必要に応じて複数段直列に配置した構成を有し、球状物および異形物の形状に応じた転がり易さの相違に基づいて球状物と異形物とを分別するものである。また、被処理物である球状物および異形物に対して、その転がる方向とは異なる方向に振動を与える加振装置が付設されている。すなわち、斜め上方に駆動される搬送ベルト上に球状物および異形物が混合した磁性粒子群を供給すると、より円形度係数Rが大きく転がり易い球形状の磁性粒子は搬送ベルト面上を下方に転がる一方、円形度係数Rが小さく転がりにくい異形状の磁性粒子は搬送ベルトとの摩擦力によって上方に搬送される。また円形度係数Rが大きい場合でも表面に突起等を有する磁性粒子は突起等と搬送ベルトとの引掛りを生じて上方に搬送される。その結果、球状物と異形物とはコンベアの下方側と上方側とにおいて分別される。特にベルトコンベアの傾斜角度、配設段数、搬送ベルトの材質、搬送速度等を適宜調整することにより、分別精度を変更することができる。上記形状分別装置を使用した形状選別を実施することにより、本願発明で規定する円形度係数Rおよびその標準偏差を有する磁性粒子群を蓄冷材として選定することができる。
本発明を適用する蓄冷式冷凍機は、蓄冷材の少なくとも一部として、上記の蓄冷材を充填した蓄冷器を使用して構成される。なお、所定の冷却段の蓄冷器として、本発明に係る蓄冷材を充填した蓄冷器を装填する一方、他の蓄冷器として、その温度分布に応じた比熱特性を有する他の蓄冷材を充填した蓄冷器を併用して構成してもよい。
上記構成に係る蓄冷材によれば、磁性粒子の円形度係数および標準偏差を所定の範囲に規定しているため、機械的強度や熱伝導率が高く、耐熱衝撃性が優れており、微粉化のおそれも少ない。そのため、スターリング冷凍機やパルスチューブ冷凍機などの高速運転を行う冷凍機用の蓄冷材として使用した場合においても、圧力損失が小さく、長期間に亘り安定した冷凍特性を示す蓄冷材が得られる。そして、その蓄冷材を冷凍機の少なくとも一部の蓄冷材として使用することにより、冷凍能力が高く、かつ長期間に亘って安定した冷凍性能が維持できる冷凍機を提供することができる。
そして、MRI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも冷凍機性能が各装置の性能を左右することから、上述したような冷凍機を用いたMRI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも長期間に亘って優れた性能を発揮させることができる。
以上説明の通り、本発明に係る蓄冷材によれば、磁性粒子の円形度係数およびその標準偏差を所定の範囲に規定しているため、機械的強度や熱伝導率が高く、耐熱衝撃性が優れており、微粉化のおそれも少ない。そのため、スターリング冷凍機やパルスチューブ冷凍機などの高速運転を行う冷凍機用の蓄冷材として使用した場合においても、圧力損失が小さく、長期間に亘り安定した冷凍特性を示す蓄冷材が得られる。そして、その蓄冷材を冷凍機の少なくとも一部の蓄冷材として使用することにより、冷凍能力が高く、かつ長期間に亘って安定した冷凍性能が維持できる冷凍機を提供することができる。
そして、MRI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも冷凍機性能が各装置の性能を左右することから、上述したような冷凍機を用いたMRI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも長期間に亘って優れた性能を発揮させることができる。
蓄冷式冷凍機(GM冷凍機)の要部構成を示す断面図。 パルス管冷凍機の要素構成および温度分布を模式的に示す図。 熱プラズマ装置の構成を示す図。 本発明の一実施例による蓄冷材を適用した超電導MRI装置の概略構成を示す断面図。 本発明の一実施例による蓄冷材を適用した超電導磁石(磁気浮上列車用)の要部概略構成を示す斜視図。 本発明の一実施例による蓄冷材を適用したクライオポンプの概略構成を示す断面図。 本発明の一実施例による蓄冷材を適用した磁界印加式単結晶引上げ装置の要部概略構成を示す斜視図。
次に本発明の実施形態について以下に示す実施例に基づいて具体的に説明する。
[実施例1〜5]
HoCuなる組成を有する原料合金を高周波溶解法により溶解し、得られた合金溶湯を遠心噴霧急冷法により処理し、球状の磁性粒子を調製した。得られた磁性粒子を篩分法により篩い分けして、表1に示すような粒径範囲を有する磁性粒子を得た。
引き続き、前記したような傾斜型のベルトコンベアを3台直列に配置した形状分別装置の搬送ベルト上に上記磁性粒子を供給した。このとき得られる磁性粒子の円形度係数Rおよびその標準偏差を変化させるために、形状分別装置のベルトコンベアの傾斜角度およびベルト搬送速度を調節して磁性粒子の形状選別を実施することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例1〜5に係る蓄冷材をそれぞれ製造した。
[実施例6]
ErNiなる組成を有する原料合金を使用した以外は実施例1と同一条件で処理して実施例6に係る蓄冷材を製造した。
[実施例7]
平均粒径1.5μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で12時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1700℃で12時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例7に係る蓄冷材を製造した。
[比較例1]
一方、上記形状分別処理を実施せずに遠心噴霧急冷法により調製した磁性粒子をそのまま採用した点を除き実施例1と同一条件で処理することにより、比較例1に係る磁性粒子群から蓄冷材を調製した。
[比較例2]
平均粒径10μmのHoCu合金粉末を転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を図3に示す熱プラズマ装置で発生したプラズマフレーム中に供給して溶融せしめ、さらに球状状態のまま急冷凝固させることにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る比較例2に係る蓄冷材を製造した。
[比較例3]
平均粒径10μmのHoCu合金粉末をガスアトマイズ法により処理することにより、比較例3に係る蓄冷材を製造した。
次に上記のように調製した各実施例および比較例に係る蓄冷材から無作為に100個の磁性粒子を選別し、平板ガラス上に載置した状態で光学顕微鏡によって投影像を撮影し、得られた各投影画像について、画像処理装置(ピアス社製、型番:PIAS−III)を使用して画像解析を実施することにより、円形度係数(R)およびその標準偏差(σ)を測定した。測定結果は、表1に示す。
次に上記のように調製した蓄冷材の特性を評価するため、図1に示すような2段膨張式GM冷凍機を用意した。なお、図1に示す2段式のGM冷凍機10は、本発明の蓄冷材を適用した冷凍機の一実施例を示すものである。図1に示す2段式のGM冷凍機10は、大径の第1シリンダ11と、この第1シリンダ11と同軸的に接続された小径の第2シリンダ12とが設置された真空容器13を有している。第1シリンダ11には第1蓄冷器14が往復動自在に配置されており、第2シリンダ12には第2蓄冷器15が往復動自在に配置されている。第1シリンダ11と第1蓄冷器14との間、および第2シリンダ12と第2蓄冷器15との間には、それぞれシールリング16,17が配置されている。
第1蓄冷器14には、Cuメッシュ等の第1蓄冷材18が収容されている。第2蓄冷器15には、本発明の蓄冷器に使用される板状の極低温用蓄冷材が第2蓄冷材19として収容されている。第1蓄冷器14および第2蓄冷器15は、第1蓄冷材18や極低温用蓄冷材19の間隙等に設けられたHeガス等の作動媒質(冷媒ガス)の通路をそれぞれ有している。
第1蓄冷器14と第2蓄冷器15との間には、第1膨張室20が設けられている。また、第2蓄冷器15と第2シリンダ12の先端壁との間には、第2膨張室21が設けられている。そして、第1膨張室20の底部に第1冷却ステージ22が、また第2膨張室21の底部に第1冷却ステージ22より低温の第2冷却ステージ23が形成されている。
上述したような2段式のGM冷凍機10には、コンプレッサ24から高圧の作動媒質(例えばHeガス)が供給される。供給された作動媒質は、第1蓄冷器14に収容された第1蓄冷材18間を通過して第1膨張室20に到達し、さらに第2蓄冷器15に収容された極低温用蓄冷材(第2蓄冷材)19間を通過して第2膨張室21に到達する。この際に、作動媒質は各蓄冷材18,19に熱エネルギーを供給して冷却される。各蓄冷材18,19間を通過した作動媒質は、各膨張室20,21で膨張して寒冷を発生させ、各冷却ステージ22,23が冷却される。膨張した作動媒質は、各蓄冷材18,19間を反対方向に流れる。作動媒質は各蓄冷材18,19から熱エネルギーを受け取った後に排出される。こうした過程で復熱効果が良好になるに従って、作動媒質サイクルの熱効率が向上し、より一層低い温度が実現されるように構成されている。
そして、前記のように調製した実施例および比較例に係る各蓄冷材を、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器(内径38mm)に充填した。すなわち、実施例1〜5および比較例1〜3においては、各HoCuから成る蓄冷材を単独で充填した。一方、実施例6においては蓄冷器の高温側に200gのErNi製蓄冷材を充填する一方、低温側には、実施例1で調製した200gのHoCu製蓄冷材を充填した。さらに、実施例7においては、高温側に実施例1で調製した200gのHoCu製蓄冷材を充填する一方、低温側にはGdAlO製蓄冷材を200g充填して実施例および比較例に係る冷凍機をそれぞれ組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
なお本実施例における冷凍能力は、冷凍機運転時にヒータによって第2冷却段に熱負荷を作用させ、第2冷却段の温度上昇が4.2Kで停止したときの熱負荷で定義した。なお、冷凍能力は運転開始直後における初期値と1000時間連続運転後の値との双方で測定した。測定結果を下記表1に示す。
Figure 0005468380
上記表1に示す結果から明らかなように、磁性粒子の円形度係数Rおよびその標準偏差σを適正な範囲に調製した磁性粒子群で構成した各実施例の蓄冷材を充填した冷却機においては、4.2Kにおける冷凍能力の初期値が高く、また、1000時間連続運転後の冷凍能力も高く、長時間運転した後も冷凍能力の低下が少なく、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器を分解して蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された磁性粒子や微粉の発生は認められなかった。
一方、磁性粒子の円形度係数Rおよびその標準偏差σの少なくとも一方が、本発明で規定する範囲外である磁性粒子群で構成した各比較例に係る蓄冷材を充填した冷凍機においては、4.2Kにおける冷凍能力の初期値が実施例と比較して低下した。また、1000時間連続運転後の冷凍能力も大幅に低下しており、冷凍性能の低下が顕著であった。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したところ、粉々に破壊された粒子や微粉の発生が認められた。そしてその一部の冷凍機のシール部が破損していることも確認された。
以上の実施例および比較例から明らかなように、円形度係数Rの平均値およびその標準偏差を適正に規定した各実施例に係る蓄冷材を使用した冷凍機によれば、運転中に蓄冷材が破損して微粉化することが少なく、安定した冷凍能力を長期間に亘って維持できる冷凍機が実現できる。
以上説明した各実施例では、本発明に係る蓄冷材をGM冷凍機に適用した例を示しているが、本発明の蓄冷材は図2に示すようなパルス管型冷凍機70にも適用可能である。
図2に1段式パルスチューブ冷凍機の基本構成を示す。このパルスチューブ冷凍機70の最大の構造的特徴は、前述したGM冷凍機では必須となっている寒冷発生用の往復動ピストンを具備しないことである。そのため、機械的信頼性および低振動性に優れる長所を有し、特に素子やセンサー冷却用冷凍機として期待を担っている。
パルスチューブ冷凍機70は蓄冷式冷凍機の一種であり、冷媒ガスとして一般にヘリウムガスが用いられる。基本的な構成として、冷凍機は蓄冷器1の他にヘリウムガスを圧縮する圧力振動源71、および冷媒ガスの圧力変動と位置変動(変位)の時間差を制御する位相調節機構72から成る。
GM冷凍機やスターリング冷凍機においては、上記位相調節機構72は低温部に配置された往復動ピストン機構であるのに対して、パルスチューブ冷凍機70では、それが室温部に配置され、蓄冷器1の低温端と室温部の位相調節機構72との間がパルス管と呼ばれる配管で連結され、冷媒ガスの圧力波の位相の遠隔制御がなされる。そして圧力変動による冷媒ガスと蓄冷材との間のエントロピー授受が変位との適当なタイミングで進行することにより、エントロピーが一方向へ順次汲み上げられ、蓄冷器1の低温部において、より低温度の冷熱が得られる。
次に、本発明に係る蓄冷材を充填した蓄冷式冷凍機を使用した超電導MRI装置、磁気浮上列車用超電導磁石、クライオポンプ、および磁界印加式単結晶引上げ装置の実施例について述べる。
図4は、本発明を適用した超電導MRI装置の概略構成を示す断面図である。図4に示す超電導MRI装置30は、人体に対して空間的に均一で時間的に安定な静磁界を印加する超電導静磁界コイル31、発生磁界の不均一性を補正する図示を省略した補正コイル、測定領域に磁界勾配を与える傾斜磁界コイル32、およびラジオ波送受信用プローブ33等により構成されている。そして、超電導静磁界コイル31の冷却用として、前述したような本発明に係る蓄冷式冷凍機34が用いられている。なお、図中35はクライオスタット、36は放射断熱シールドである。
本発明を適用した蓄冷式冷凍機34を用いた超電導MRI装置30においては、超電導静磁界コイル31の動作温度を長期間に亘って安定に保証することができるため、空間的に均一で時間的に安定な静磁界を長期間に亘って得ることができる。したがって、超電導MRI装置30の性能を長期間に亘って安定して発揮させることが可能となる。
図5は、本発明を適用した蓄冷式冷凍機を使用した磁気浮上列車用超電導磁石の要部概略構成を示す斜視図であり、磁気浮上列車用超電導マグネット40の部分を示している。図5に示す磁気浮上列車用超電導マグネット40は、超電導コイル41、この超電導コイル41を冷却するための液体ヘリウムタンク42、この液体ヘリウムタンクの揮散を防ぐ液体窒素タンク43および本発明に係る蓄冷式冷凍機44等により構成されている。なお、図中45は積層断熱材、46はパワーリード、47は永久電流スイッチである。
本発明を適用した蓄冷式冷凍機44を用いた磁気浮上列車用超電導マグネット40においては、超電導コイル41の動作温度を長期間に亘って安定に保証することができるため、列車の磁気浮上および推進に必要な磁界を長期間に亘って安定して得ることができる。特に、磁気浮上列車用超電導マグネット40では加速度が作用するが、本発明を適用した蓄冷式冷凍機44は加速度が作用した場合においても長期間に亘って優れた冷凍能力を維持できることから、磁界強度等の長期安定化に大きく貢献する。したがって、このような超電導マグネット40を用いた磁気浮上列車は、その信頼性を長期間に亘って発揮させることが可能となる。
図6は、本発明を適用した蓄冷式冷凍機を使用したクライオポンプの概略構成を示す断面図である。図6に示すクライオポンプ50は、気体分子を凝縮または吸着するクライオパネル51、このクライオパネル51を所定の極低温に冷却する蓄冷式冷凍機52、これらの間に設けられたシールド53、吸気口に設けられたバッフル54、およびアルゴン、窒素、水素等の排気速度を変化させるリング55等により構成されている。
本発明を適用した蓄冷式冷凍機52を用いたクライオポンプ50においては、クライオパネル51の動作温度を長期間に亘って安定に保証することができる。したがって、クライオポンプ50の性能を長期間に亘って安定して発揮させることが可能となる。
図7は、本発明を適用した蓄冷式冷凍機を使用した磁界印加式単結晶引上げ装置の概略構成を示す斜視図である。図7に示す磁界印加式単結晶引上げ装置60は、原料溶融用るつぼ、ヒータ、単結晶引上げ機構等を有する単結晶引上げ部61、原料融液に対して静磁界を印加する超電導コイル62、および単結晶引上げ部61の昇降機構63等により構成されている。そして、超電導コイル62の冷却用として、前述したような本発明を適用した蓄冷式冷凍機64が用いられている。なお、図中65は電流リード、66は熱シールド板、67はヘリウム容器である。
本発明を適用した蓄冷式冷凍機64を用いた磁界印加式単結晶引上げ装置60においては、超電導コイル62の動作温度を長期間に亘って安定に保証することができるため、単結晶の原料融液の対流を抑える良好な磁界を長期間に亘って得ることができる。したがって、磁界印加式単結晶引上げ装置60の性能を長期間に亘って安定して発揮させることが可能となる。
1 蓄冷器
10 GM冷凍機(蓄冷式冷凍機)
11 第1シリンダ
12 第2シリンダ
13 真空容器
14 第1蓄冷器
15 第2蓄冷器
16,17 シールリング
18 第1蓄熱材
19 第2蓄熱材(極低温用蓄冷材)
20 第1膨張室
21 第2膨張室
22 第1冷却ステージ
23 第2冷却ステージ
24 コンプレッサ
30 超電導MRI装置
31 超電導静磁界コイル
32 傾斜磁界コイル
33 ラジオ波送受信用プローブ
34 蓄冷式冷凍機
35 クライオスタット
36 放射断熱シールド
40 超電導磁石(マグネット)
41 超電導コイル
42 液体ヘリウムタンク
43 液体窒素タンク
44 蓄冷式冷凍機
45 積層断熱材
46 パワーリード
47 永久電流スイッチ
50 クライオポンプ
51 クライオパネル
52 蓄冷式冷凍機
53 シールド
54 バッフル
55 リング
60 磁界印加式単結晶引上げ装置
61 単結晶引上げ部
62 超電導コイル
63 昇降機構
64 蓄冷式冷凍機
65 電流リード
66 熱シールド板
67 ヘリウム容器
70 パルス管型冷凍機
71 圧力振動源
72 位相調節機構
80 熱プラズマ装置
81 反応容器
82 高周波発信器
83 コイル
84 プラズマ発生部外囲筒
85 プラズマフレーム
86 粉体供給口
87 粉体供給器
88 キャリアガス供給ボンベ
89 プラズマ発生用ガス源
90 サイクロン
91 冷却ガス源

Claims (6)

  1. 直径が0.01〜3mmである多数の磁性粒子から成り、冷凍機の蓄冷器に充填された蓄冷材であり、前記磁性粒子が希土類元素を含むものであり、この蓄冷材から無作為に100個の磁性粒子を選別し、光学顕微鏡によって投影像を撮影し、得られた各投影画像を画像解析して、各磁性粒子の平面への投影像の面積をAとする一方、投影像の周囲長をLとしたときに、4πA/Lで定義される円形度係数Rの平均値が0.7以上であり、その円形度係数Rの標準偏差が0.1以下であることを特徴とする蓄冷材。
  2. 前記円形度係数Rの標準偏差が0.022〜0.065であることを特徴とする請求項1記載の蓄冷材。
  3. 前記磁性粒子の直径が0.15〜0.25mmであることを特徴とする請求項1記載の蓄冷材。
  4. 前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載した蓄冷材の製造方法であり、遠心噴霧急冷法により磁性粒子を調製する工程と、得られた磁性粒子を傾斜型ベルトコンベアにより形状選別して、各磁性粒子の平面への投影像の面積をAとする一方、投影像の周囲長をLとしたときに、4πA/Lで定義される円形度係数Rの平均値が0.7以上であり、その円形度係数Rの標準偏差が0.1以下である磁性粒子を形状選別する工程とを備えることを特徴とする蓄冷材の製造方法。
  5. 前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載した蓄冷材の製造方法であり、転動造粒した造粒粒子を焼結して磁性粒子を調製する工程と、得られた磁性粒子を傾斜型ベルトコンベアにより形状選別して、各磁性粒子の平面への投影像の面積をAとする一方、投影像の周囲長をLとしたときに、4πA/Lで定義される円形度係数Rの平均値が0.7以上であり、その円形度係数Rの標準偏差が0.1以下である磁性粒子を形状選別する工程とを備えることを特徴とする蓄冷材の製造方法。
  6. 前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載した蓄冷材の製造方法であり、造粒粒子を熱プラズマ装置で溶融した後に急冷凝固させて磁性粒子を調製する工程と、得られた磁性粒子を傾斜型ベルトコンベアにより形状選別して、各磁性粒子の平面への投影像の面積をAとする一方、投影像の周囲長をLとしたときに、4πA/Lで定義される円形度係数Rの平均値が0.7以上であり、その円形度係数Rの標準偏差が0.1以下である磁性粒子を形状選別する工程とを備えることを特徴とする蓄冷材の製造方法。
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